JP3327709B2 - シリカ微小球状粒子の製造方法 - Google Patents

シリカ微小球状粒子の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリカ微小球状粒子お
よびその製造方法に関し、さらに詳しくは、流動性、耐
摩耗性などに優れた、流動床用の触媒担体、活性調整
剤、流動調節剤、緩衝剤、希釈剤および熱媒体などとし
ての用途に適したシリカ微小球状粒子の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来技術とその問題点】従来、流動床用触媒担体や希
釈剤などに使用されるシリカ微小球状粒子は、比表面積
が大きくて細孔容積の大きいものが種々提案されてい
る。例えば、特開昭63−16049号公報には、流動
床用触媒担体として比表面積が30〜800m2/gで
あり、細孔容積が0.3〜2.0ml/gであり、粒径
が20〜500μmの球状シリカゲルが記載されてお
り、このような球状シリカゲルはケイ酸アルカリ水溶液
を酸と混合して得られる活性シリカゲルを気体媒体又は
水不溶性有機媒体中に噴霧し、次いで得られる球状シリ
カヒドロゲルを乾燥して製造することが開示されてい
る。また、特公平3−23211号公報には、触媒担体
等に有用な大細孔径のシリカゲルの製法として、多孔性
シリカにリン酸を含浸し、加熱処理後、アンモニア水、
強有機塩基水溶液又は希薄塩酸にて洗浄処理する方法が
記載されている。しかし、比表面積および細孔容積が小
さくて、耐摩耗性に優れた流動床用触媒担体や希釈剤な
どに適したシリカ微小球状粒子については見当らない。
【0003】
【発明の目的】本発明は、流動床で使用される触媒担
体、活性調整剤、流動調節剤、緩衝剤、希釈剤および熱
媒体などに好適な、耐摩耗性、流動性に優れた比表面積
および細孔容積の小さいリンおよび/またはホウ素を含
有するシリカ微小球状粒子の製造方法を提供することを
目的とする。
【0004】
【構成】本発明は、(i)400〜2000nmの平均
粒子径を有するシリカ粒子または該シリカ粒子が分散し
たシリカゾル、(ii)40〜120nmの平均粒子径を
有するシリカコロイド粒子が分散したシリカゾルおよび
(iii)3〜10nmの平均粒子径を有するシリカコロ
イド粒子が分散したシリカゾルと(iv)リンおよび/ま
たはホウ素化合物、とを混合し、得られた混合物を噴霧
乾燥することを特徴とするシリカ微小球状粒子の製造方
法に関する。
【0005】微小球状粒子を構成するシリカは、平均粒
子径の異なる3種の成分からなり、最も粒径の大きな
(i)成分を骨材にして、骨材が凝集して生じる空隙を
(ii)成分のシリカが充填し、更に小さな空隙を(ii
i)成分のシリカが充填するとともに結合剤として作用
する。これらのシリカ成分に(iv)成分のリンおよび/
またはホウ素化合物を添加することで、各シリカ成分の
結合が強固になり、さらに得られるシリカ微小球状粒子
の比表面積、細孔容積などが小さくなり摩耗強度等が強
くなる。
【0006】シリカ成分の種類は、シリカ微小球状粒子
の性状に大きく影響し(i)、(ii)成分のみでは耐摩
耗性形状が悪くなり、(ii)、(iii)成分のみでは形
状が悪くなる。流動床で触媒担体及び希釈剤などとして
使用されるに適したシリカ微小球状粒子を得るには、平
均粒子径の異なる3種のシリカ成分が必須である。
【0007】これらシリカ成分の混合割合は酸化物とし
て、(i)成分30〜65wt%、(ii)成分20〜4
0wt%、(iii)成分15〜30wt%および(iv)
成分1〜10wt%とすることが好ましい。各成分の混
合割合が前述の範囲外では、得られたシリカ微小球状粒
子の比表面積、耐摩耗性、嵩比重、形状などの性状を全
て満足させることが困難で、流動床で使用する触媒担
体、活性調整剤、流動調節剤、緩衝剤および希釈剤など
に好適なシリカ微小球状粒子を得ることが困難になる。
【0008】本発明のシリカ微小球状粒子は、単独又
は、酸化触媒などと物理的に混合して使用されるので該
シリカ微小球状粒子中に含まれるアルカリ金属は、反応
に悪影響を及ぼすことがあるため好ましくない。それ
故、本発明で使用されるシリカ成分は、あらかじめ限外
膜又はイオン交換樹脂などを用いた公知の方法でゾル状
態を維持しながら脱アルカリを行うことが好ましい。該
シリカ微小球状粒子中のアルカリ金属はNa2Oとして
1.0wt%以下が好ましい。
【0009】(iv)成分のリンおよび/またはホウ素化
合物の含有量は、酸化物として1〜10wt%が好まし
く、より好ましくは、3〜7wt%の範囲にある。リン
および/またはホウ素化合物が酸化物として1%より少
ないと結合力の不足から得られる該球状粒子は耐摩耗性
が悪くなり、又比表面積が大きくなる。又リンおよび/
またはホウ素化合物が酸化物として10%以上になる
と、粒子が凝集を起こし、粒子の形状、流動性が悪化す
る傾向にある。
【0010】前述の(i)〜(iv)成分の混合物は、噴
霧乾燥して微小球状粒子とした後、焼成して流動床で使
用する触媒担体、活性調整剤、流動調節剤、緩衝剤及び
希釈剤などに好適な性状を有するシリカ微小球状粒子と
なる。
【0011】本発明で使用される(i)成分としては、
有機シリケート溶液を高温気流中で処理した溶融シリ
カ、エアロジル、大粒子径のシリカゾルなどが好適であ
る。
【0012】又、(ii)および(iii)成分のシリカゾ
ルとしては、コロイド粒子が所定の平均粒子径を有する
市販されている水を分散媒とするシリカゾルが使用可能
である。シリカコロイド粒子の粒子径分布としては、分
布が狭くて粒子径がそろっているものが、得られるシリ
カ微小球状粒子の細孔容積の面で特に好ましく、そのよ
うなシリカゾルとしては、カタロイド−SI〔触媒化成
工業(株):商品名〕などを挙げることができる。
【0013】(iv)成分のリン化合物としては、リン
酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウムなど
が挙げられ、ホウ素化合物としては、ホウ酸、酸化ホウ
素、メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウムな
どが挙げられる。
【0014】本発明では(i)〜(iii)のシリカ成分
と(iv)のリンおよび又はホウ素化合物の混合時の添加
順序は、特に限定されないが、(ii)、(iii)のシリ
カゾルが状態変化を起さぬよう添加することが望まし
い。
【0015】本発明の方法で得られたシリカに係る微小
球状粒子は焼成して下記のa)〜e)の性状を有するこ
とが望ましい。 a)比表面積 ;50m2/g以下、好ましくは30m2
/g以下、 b)細孔容積 ;0.3ml/g以下、好ましくは0.
2ml/g以下、 c)耐摩耗性 ;3.0wt%/15hr以下、好まし
くは1.0wt%/15hr以下、 d)嵩比重 ;0.6〜1.3g/ml、好ましくは
0.9〜1.2g/ml、 e)平均粒子径;30〜150μm、好ましくは40〜
80μm。
【0016】これらの性状は次の方法により測定した値
である。 a)比表面積(m2/g)は、BET法により測定し
た。 b)細孔容積(ml/g)は、窒素ガス吸着法により測
定した。 c)耐摩耗性(wt%/15hr)は、ACC法(英国
特許737429号記載の方法)により流動開始後5h
r目から20hrの間の15hrに摩耗した割合を示
す。 d)嵩比重(CBD g/ml)は、メスシリンダー法
により測定した。 e)平均粒子径(μm)は、篩により測定した。
【0017】本発明で得られるシリカ微小球状粒子は、
粒径の大きなシリカ骨材にコロイド状シリカの粒度配合
とリンおよび/またはホウ素の組合せで、比較的低い温
度での焼成で、部分的にガラス化させ得るため、得られ
る球状粒子の比表面積を小さくすることができるので、
比表面積を小さくするために1000℃以上の高温で焼
成する必要はなく、通常400〜1000℃、好ましく
は600〜850℃の温度で0.5〜10時間焼成する
ことにより、目的とするシリカ微小球状粒子を得ること
ができる。このため流動床用の触媒担体や希釈剤として
好適である。
【0018】
【実施例】以下に実施例を示すが、特許請求の範囲に記
載の発明の特定の説明を与えるものであるが、本発明は
実施例に記載された特定の詳細事項に限定されるもので
はない。
【0019】実施例1 内容積100リットルのタンクに、(iii)成分として
(シリカコロイド粒子の)平均粒子径が5nmの脱Na
したシリカゾル〔カタロイドSI−550LSiO2
度 15重量% 触媒化成工業(株)製〕40kgを張
り込み、これに、(ii)成分として(シリカコロイド粒
子の)平均粒子径が80nmの脱Naしたシリカゾル
〔カタロイドSI−80PL SiO2濃度 40重量
% 触媒化成工業(株)製〕22.5kgを加えて激し
く撹拌した。更に撹拌しながら(i)成分として平均粒
子径が550nmのシリカゾル〔カタロイドSI−55
0P SiO2濃度 40重量% 触媒化成工業(株)
製〕37.5kg添加した。この混合物を30分間撹拌
混合した後、湿式粉砕機〔内容積5.3リットル芦澤鉄
工製〕にて処理量30リットル/hrの速度で通液して
さらに均一に混合分散させた。次いで該混合物にH3
4(工業用試薬H3PO4として85重量%)2.14
kgを加え、激しく撹拌した。この時の該スラリー(混
合物)の固形分濃度は30.0重量%であった。該スラ
リーは、噴霧乾燥させた後、750℃にて2時間焼成を
行いシリカ微小球状粒子Aを得た。このものの各成分の
割合を表1に性状を表3に示す。
【0020】実施例2 実施例1において、(i)成分の平均粒子が650nm
のシリカ粉末を16.5kg使用した以外は、実施例1
と同様の方法でシリカ微小球状粒子Bを調製した。この
ものの各成分の割合を表1に性状を表3に示す。
【0021】実施例3 実施例1において、(i)成分の平均粒子径が1500
nmのシリカ粉末15.8kgを使用した以外は、実施
例1と同様の方法でシリカ微小球状粒子Cを調製した。
このものの各成分の割合を表1に性状を表3に示す。
【0022】実施例4 実施例1においてH3PO4の代りにH3BO3を4.2重
量%使用した以外は、実施例1と同様の方法でシリカ微
小球状粒子Dを調製した。このものの各成分の割合を表
1に性状を表3に示す。
【0023】比較例1 内容積150リットルのタンクに、実施例1と同じ原料
の(ii)成分30kgを張り込み、これに実施例2と同
じ原料の(i)成分19.8kgを加えて激しく撹拌し
た。この混合物(スラリー)を30分撹拌したのち、湿
式粉砕機にて処理量30リットル/hrの速度で通液し
て分散させた。次いで該スラリーに85%リン酸溶液を
酸化物として4.2重量%添加し、更に該スラリーを固
形分濃度が30重量%になるようイオン交換水を加えて
混合を充分に行った。該スラリーは、噴霧乾燥させた
後、750℃にて2時間焼成を行いシリカ微小球状粒子
Eを得た。このものの各成分の割合を表1に性状を表3
に示す。
【0024】比較例2 内容積150リットルのタンクに、実施例1と同じ原料
の(ii)成分37.5kgを張り込み、これに実施例1
と同じ原料の(iii)成分100kgを加えて激しく撹
拌した。この混合物(スラリー)を30分撹拌したの
ち、湿式粉砕機にて処理量30リットル/hrの速度で
通液して分散させた。次いで該スラリーに85%リン酸
溶液を酸化物として4.4重量%添加し、混合を充分に
行った。該スラリーは、噴霧乾燥させた後、750℃に
て2時間焼成を行いシリカ微小球状粒子Fを得た。この
ものの各成分の割合を表2に性状を表4に示す。
【0025】比較例3 実施例1において85%リン酸水溶液の添加を除いた以
外は、実施例1と同様の方法でシリカ微小球状粒子Gを
得た。このものの各成分の割合を表2に性状を表4に示
す。
【0026】実施例5 内容積100リットルのタンクに、(iii)成分として
(シリカコロイド粒子の)平均粒子径が5nmの脱Na
したシリカゾル〔カタロイドSI−550LSiO2
度 15重量% 触媒化成工業(株)製〕40kgを張
り込み、これに、(ii)成分として(シリカコロイド粒
子の)平均粒子径が80nmの脱Naしたシリカゾル
〔カタロイドSI−80PL SiO2濃度 40重量
% 触媒化成工業(株)製〕20.3kgを加えて激し
く撹拌した。更に撹拌しながら(i)成分として(シリ
カコロイド粒子の)平均粒子径が550nmのシリカゾ
ル〔カタロイドSI−550P SiO2濃度 40重
量%触媒化成工業(株)製〕52.9kg添加した。こ
の混合物(スラリー)にH3PO4(工業用試薬H3PO4
として85重量%)2.51kgを加え、激しく撹拌し
た。得られた該スラリーを噴霧乾燥させた後、600℃
にて2時間焼成を行いシリカ微小球状粒子Hを得た。こ
のものの各成分の割合を表2に性状を表4に示す。
【0027】実施例6 内容積50リットルのタンクに、シリカコロイド粒子の
平均粒子径が9nmの脱Naした(iii)成分のシリカ
ゾル〔カタロイドSI−350 SiO2濃度20重量
% 触媒化成工業(株)製〕12.5kgを張り込み、
これに、(ii)成分として(シリカコロイド粒子の)平
均粒子径が50nmの脱Naしたシリカゾル〔カタロイ
ドSI−80PL SiO2濃度 40重量% 触媒化
成工業(株)製〕10kgを加えて激しく撹拌した。更
に撹拌を続けながら(i)成分として550nmのシリ
カゾル〔カタロイドSI−550P SiO2濃度 4
0重量% 触媒化成工業(株)製〕8.75kg添加し
た。該スラリーにH3PO4(工業用試薬H3PO4として
85重量%)1.70kgを加えた。得られた混合物を
噴霧乾燥させた後、700℃にて2時間焼成を行い、シ
リカ微小球状粒子Iを得た。このものの各成分の割合を
表2に性状を表4に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】 1 安息角は、筒井理化学器械(株)・三輪式円筒回転方安息角測定器で測定 した。 *2 顕微鏡観察により、球状粒子の形状を次の方法で示す。 ○…完全な球状に近く良好なもの。 △…形が悪く、いびつな形状のもの。 ×…粒子同士が凝集してくっつき合い又はわれて形状の悪いもの。
【0031】
【表4】
【0032】本発明の実施態様を以下に列挙する。 1.(i)400〜2000nmの平均粒子径を有する
シリカ粒子または該シリカ粒子が分散したシリカゾル、
(ii)40〜120nmの平均粒子径を有するシリカコ
ロイド粒子が分散したシリカゾルおよび(iii)3〜1
0nmの平均粒子径を有するシリカコロイド粒子が分散
したシリカゾルと(iv)リンおよび/またはホウ素化合
物、とを混合し、得られた混合物を噴霧乾燥することを
特徴とするシリカ微小球状粒子の製造方法。 2. 前記の各成分の混合割合が酸化物として (i) 30〜65wt% (ii) 20〜40wt% (iii)15〜30wt% (iv) 1〜10wt% の範囲である前項1記載のシリカ微小球状粒子の製造方
法。 3. 前記(i)〜(iii)のシリカが、いずれも脱ア
ルカリ処理をほどこされたものである前項1または2記
載のシリカ微小球状粒子の製造方法。 4. 前記脱アルカリ処理が、得られたシリカ微小球状
粒子中のアルカリ金属含有量がNa2Oとして1.0重
量%以下となるようなものである前項3記載のシリカ微
小球状粒子の製造方法。 5. 前記シリカ微小球状粒子が下記a)〜e)の性状 a)比表面積 ;50m2/g以下、 b)細孔容積 ;0.3ml/g以下、 c)耐摩耗性 ;3.0wt%/15hr以下、 d)嵩比重 ;0.6〜1.3g/ml、 e)平均粒子径;30〜150μm、 を有するものである前項1、2、3または4記載のシリ
カ微小球状粒子の製造方法。
【0033】
【効果】
(1)本発明方法によれば、目的とする大きさの粒径を
もつシリカ微小球状粒子を容易に製造することができ
る。 (2)本発明方法によれば、焼成が1000℃以下でも
シリカ微小球状粒子の比表面積、細孔容積を小さくする
ことができるため、製造コストが低い。 (3)表3、4から分かるように、本発明方法により得
られたシリカ微小球状粒子は、耐摩耗性が良く、粒子形
状が良好であり、しかも比表面積、細孔容積が小さいた
め脂肪族、芳香族化合物の酸化反応やアンモオキシデー
ション、オキシクロリネーションなどの流動床での種々
の触媒反応の活性調整剤、流動調節剤、緩衝剤及び希釈
剤などに使用して好適である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−138015(JP,A) 特開 昭58−156524(JP,A) 特開 昭63−16049(JP,A) 特開 平3−23211(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 33/12 - 33/193 C01B 13/14 B01J 21/00 - 38/74 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)400〜2000nmの平均粒子
    径を有するシリカ粒子または該シリカ粒子が分散したシ
    リカゾル、(ii)40〜120nmの平均粒子径を有す
    るシリカコロイド粒子が分散したシリカゾルおよび(ii
    i)3〜10nmの平均粒子径を有するシリカコロイド
    粒子が分散したシリカゾルと(iv)リンおよび/または
    ホウ素化合物、とを混合し、得られた混合物を噴霧乾燥
    することを特徴とするシリカ微小球状粒子の製造方法。
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