JP3325972B2 - ノズル残液検出方法 - Google Patents

ノズル残液検出方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料を吸引・吐出する
ノズルの内部等に残液があるか否かを検出する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】試料採取装置としての分注装置では、ノ
ズルによって試料の吸引・吐出が行われる。そのノズル
は、異なる試料に対して繰り返し使用され、各試料の分
注後にノズル洗浄が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、そのような洗
浄後、ノズル内に、残液として洗浄液が残存している
と、次に試料を吸引した際に、上記残液によりその試料
が希釈されたり、また試料の組成が変化してしまったり
する。また、エアフロー方式の液面検出を行う際に、ノ
ズル内残液により誤液面検出をする恐れがあった。
【0004】そこで、従来においては分注精度を高める
ため、ノズル洗浄後、ノズル内に強力なエアを送り込む
ことにより、あるいは真空吸引を行うことにより、残液
の除去を行っている。しかし、従来、最終的に残液の除
去確認はなされておらず、除去が不十分な場合、分注精
度を低下させる。また、残液の除去が本来不要であるに
もかかわらず、不必要に長い時間エアの送り込みが行わ
れる場合があり、迅速な分注を妨げていた。なお、洗浄
液に限られず、ノズルの内側又は外側に何らかの残液が
存在すると、分注精度を低下させてしまう。
【0005】また、本発明者は、特願平5−22691
9号で、二重管ノズルを用いた試料採取装置を提案して
いるが、かかる装置において、試料の吸引採取を行う内
ノズルに付着した残液の検査を行う方法が要望されてい
た。
【0006】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされた
ものであり、その目的は、ノズルに付着した残液を検出
する方法を提供することにある。
【0007】また、本発明の目的は、ノズルの内側のほ
か、ノズルの外側に付着した残液を検出する方法を提供
することにある。
【0008】更に、本発明の目的は、二重管ノズルにお
いて、吸引用の内ノズルの内側及び外側に付着した残液
を検出する方法を提供することにある。
【0009】
【0010】
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、内ノズルと外ノズルとから
成る二重管構造のノズル部における残液検出を行う方法
であって、前記ノズル部の先端を実質的に密閉された空
間で囲み、内ノズルの中とノズル間通路とを連通させて
エア還流経路を形成する密閉工程と、内ノズル又はノズ
ル間通路のいずれか一方から所定の流量のエアを送るエ
ア供給工程と、前記エア供給時のエア圧力を検出するエ
ア圧力検出工程と、前記エア圧力を所定の判定しきい値
と比較する比較工程と、前記エア圧力が前記判定しきい
値を超えた場合に、前記内ノズルの内外面における残液
の存在を判定する判定工程と、を含むこと特徴とする。
【0012】
【作用】上記請求項1記載の構成によれば、エア供給工
程において、ノズル内に既知の流量でエアが供給され、
エア圧力検出工程において、その時のエア圧力が検出さ
れる。その場合、ノズルの内面等に残液が付着していれ
ば、検出される圧力波形が通常の波形と異なることにな
る。すなわち、残液による流体力学的な抵抗が生じ、エ
ア圧力が上昇する。そこで、本発明では、比較工程にお
いて、検出されたエア圧力を所定の判定しきい値と比較
し、判定工程において、その比較結果に基づき、残液の
存在を判定する。
【0013】
【0014】更に、上記請求項記載の発明によれば、
密閉工程において、内ノズルの内側とノズル間通路とが
連通される。よって、その状態でエアの供給を行えば、
内ノズルの内側又は外側に残液が存在すると、エア圧力
が上昇するので、残液の検出を行い得る。
【0015】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を図面に基づい
て説明する。
【0016】図1には、本発明の基本原理が示されてい
る。試料の採取を行った後のノズル70に対しては洗浄
が行われるが、図1に示すノズル70はそのような洗浄
後のものである。図示のように、ノズル70の内面に
は、洗浄液が残液106として付着している。また、洗
浄の仕方によっては、ノズル70の外側にも付着する。
よって、そのままの状態で次の試料の採取を行うと、上
述の問題が引き起こされる。
【0017】そこで、本発明では、ノズル70に所定の
流量のエア200を供給し、その時の配管系内の圧力を
正常圧力と比較することにより、残液の検出を行ってい
る。その場合、ノズル70の内側だけ残液の検出を行う
のであれば、ノズル70の先端開口を開放して行えばよ
い。一方、ノズル70の内側のほか、外側まで残液検出
を行う場合には、図1に示すように、ノズル70の先端
をウェル72内に挿入して、エア200の供給を行う。
ウェル72は、図示されるように、ノズル外形より大き
な径を有し、すなわち、ウェル72の内面とノズル70
の外面との間に一定のエア還流路74が形成される。
【0018】従って、図1に示す状態において、エア2
00の供給を行えば、ノズル70の中に供給されたエア
は、ノズル先端開口からノズル周囲(エア還流路74)
を通って、外界に放出されることになる。
【0019】図2(A)には、残液がない正常時の圧力
波形の例が示されている。一方、(B)には、比較的多
くの残液が存在する場合の圧力波形の例が示されてい
る。この2つのグラフの対比から明らかなように、残液
が存在すると、圧力が通常以上高くなり、かつ残液の移
動等により、波形が非平坦化することになる。
【0020】そこで、本発明では、残液判定のためのし
きい値202を設定し、そのしきい値202を圧力波形
が超えた場合に、残液の存在を判断している。
【0021】図3には、本発明に係るノズル残液検出方
法が適用された試料採取装置の全体構成が示されてい
る。この装置は、ゴム材の封止栓がされた真空採血管か
ら、その封止栓を外さずに、内部に入れられた試料(血
液)を採取する装置である。そのため、以下のように、
二重管ノズルが採用されている。まず全体の構成につ
き、説明する。
【0022】図3において、ノズル部10は、穿刺用の
外ノズル12と試料吸引用の円筒形内ノズル14とで構
成される。図1に模式的に示されるように、内ノズル1
4は、外ノズル12の内部で昇降自在に挿通されてい
る。
【0023】外ノズル12は、昇降機構16によって上
下に昇降され、その昇降機構16はモータ18とネジ2
0と連結部22と、で構成される。これと同様に、内ノ
ズル14は、昇降機構24によって上下方向に自在に昇
降可能とされており、その昇降機構24はモータ26と
ネジ28と連結部30とで構成される。
【0024】すなわち、このような昇降機構16及び2
4によって、外ノズル12及び内ノズル14をそれぞれ
独立して上下移動させることができる。ここで、昇降機
構16では、モータ18の軸がネジ20に連結され、そ
のネジ20と連結部22に形成されたネジ溝との噛み合
いによって外ノズル12が上下に移動される。これは、
昇降機構24においても同様である。
【0025】内ノズル14の上方端にはホース32の一
方端が連結され、その他方端はポンプ34に接続されて
いる。このポンプ34はシリンジ36とピストン38で
構成され、内ノズル内部の圧力を制御可能である。この
配管系の圧力は圧力検出器40にて検出され、その出力
信号は分注制御部42に送られる。ここで分注制御部4
2は、弁及びポンプ、更にはモータの制御を行ってい
る。また、分注制御部42は、残液判定も行っている。
【0026】内ノズル14の上方には2つの分岐路44
及び46が形成され、一方の分岐路44には弁Aが設け
られ、他方の分岐路46には弁Bが設けられ、ポンプ4
8を介して洗浄液50を入れたタンク52が接続されて
いる。なお、弁Aは大気開放を行うための弁である。
【0027】内ノズル14の外側と外ノズル12の内側
の間に形成されるノズル間通路54の上方端はシール部
56によってシールされると共に2つの分岐路58及び
60に連通されている。ここで、分岐路58には弁Cが
設けられ、分岐路60には弁Dが設けられてトラップ6
2を介してポンプ64に接続されている。なお、弁Cは
大気開放を行うための弁であり、ポンプ64は洗浄液を
受け取るトラップ62内の圧力を負圧にしている。
【0028】以上の装置により、試料76を採取する場
合には、内ノズル14を外ノズル12内に収納した状態
で、封止栓77に対して突き刺しを行い、次に図4に示
すように、内ノズル14のみを下降させて、吸引を行
う。吸引終了後、図5に示すように、まず、内ノズル1
4のみを上昇させて、内ノズル14を外ノズル12内に
収納した後、ノズル部10の全体を封止栓77から引き
抜く。そして、所定の分注を行い、更に、試料が付着し
た内ノズル14及びノズル間通路54に洗浄液を供給し
て洗浄を行う。
【0029】その洗浄後、洗浄液が残存していると、次
の液面検出が正常に行えず、分注精度を低下させ、また
汚染を生じさせるので、残液が存在しているか否かの検
査が行われる。以下、二重管ノズルについての残液の検
出について、図5を用いて説明する。
【0030】図5において、まずノズル部10の先端が
ウェル204内に挿入される。ここで、ウェル204の
直径は、ノズル部10の挿入を円滑に行わせるために、
外ノズル12の外径よりやや大きく形成されている。こ
れで、ノズル部10の先端は、残液判定の見地から見
て、実質的に密閉された空間で囲まれる。つまり、外ノ
ズル12の外面とウェル204の内面との間に若干の隙
間が存在しても、そこからのエアの漏れを考慮した上で
残液判定のためのしきい値を設定すれば、そのような隙
間からのエアの漏れは無視できる。いずれにしても、エ
アの漏れが多大になることによりノズル間通路54に存
在する残液が判定不能になるような大きい隙間でなけれ
ばよい。
【0031】以上の挿入工程の後、エア供給工程が実行
される。すなわち、弁Cのみを開放しノズル間通路54
を大気開放とした状態で、内ノズル14の内部に所定流
量のエアが供給される。なお、弁Aのみを開放しノズル
間通路54にエアを供給しても同様の結果を得られる。
【0032】そのエア供給時に、圧力検出器40によ
り、配管内のエア圧力が検出され、その検出された圧力
が分注制御部42に送られる。そして、分注制御部42
は、検出されたエア圧力をしきい値と比較し、そのしき
い値よりエア圧力が高ければ、残液の判定を行う。
【0033】ちなみに、残液が検出された場合、強力な
エアが供給され、そのような残液の除去工程が実行さ
れ、その後に、再び上述した残液検出が実行される。そ
して、残液除去工程と残液検出工程は所定回数繰り返し
実行され、それでも残液が検出されれば、アラームが発
生される。
【0034】なお、図5に示したウェル204が形成さ
れた部材は、洗浄槽202であり、洗浄時に洗浄液を内
ノズル14からノズル間通路54に還流させてその洗浄
が行われる。
【0035】以上の説明では、洗浄後の残液検出につい
て説明したが、他の残液の検出も上述同様に行うことが
できる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の構
成によれば、ノズル内の残液を検出することができ、そ
の結果、分注精度等を向上できる。
【0037】また、請求項記載の構成によれば、ノズ
ルの外側に残液が付着していても、それを検出できる。
【0038】更に、請求項記載の構成によれば、二重
管ノズルにおける内ノズルとノズル間通路にある残液を
検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本原理を説明するための図である。
【図2】正常時の圧力波形と残液が存在している状態で
の圧力波形を示す図である。
【図3】本発明に係るノズル残液検出方法が適用される
分注装置の構成を示す図である。
【図4】封止栓に二重管ノズルを突き刺して試料の採取
を行う状態を示す図である。
【図5】二重管ノズルに対する残液検出方法を示す図で
ある。
【符号の説明】
10 ノズル部 12 外ノズル 14 内ノズル 54 ノズル間通路 70 ノズル 72、204 ウェル 74 エア還流路 106 残液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−249124(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 1/00 101 G01N 35/10 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内ノズルと外ノズルとから成る二重管構造
    のノズル部における残液検出を行う方法であって、 前記ノズル部の先端を実質的に密閉された空間で囲み、
    内ノズルの内部とノズル間通路とを連通させてエア還流
    経路を形成する密閉工程と、 前記内ノズル又はノズル間通路のいずれか一方から所定
    の流量のエアを送るエア供給工程と、 前記エア供給時のエア圧力を検出するエア圧力検出工程
    と、 前記エア圧力を所定の判定しきい値と比較する比較工程
    と、 前記エア圧力が前記判定しきい値を超えた場合に、前記
    内ノズルの内外面における残液の存在を判定する判定工
    程と、 を含むこと特徴とするノズル残液検出方法。
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