JP3325369B2 - 記録媒体及びその記録媒体を用いた記録装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、高品質画像の高速出
力が要求される印刷業界から、オフィス、パーソナルな
要求に基づくプリンタ業界、多種多用な記録紙を用いる
低価格な汎用出力機器等の民生品業界までの広範なニー
ズに対応可能な出力画像を記録紙に得る為の記録媒体及
び該記録媒体を用いる記録装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の熱転写記録方式の一種である熱溶
融型記録では、図２に示す様に熱転写記録媒体３３とし
て、主成分にカルナバワックス、エステルワックス等の
天然ワックス類や熱溶融性樹脂等をバインダ材とし、そ
れに顔料又は染料等の着色剤、柔軟剤および調整剤等を
添加したホットメルトタイプ着色インク３２を、ポリエ
チレンテレフタレート等のベースフィルム基材３１上に
塗布したものを用いている。

【０００３】ここでベースフィルム基材３１は、搬送時
に於ける機械的強度を保つように比較的厚く、又背面に
サーマルヘッドに対して耐熱性および潤滑性を有する処
理を施してある。そして、この熱溶融型記録装置では、
サーマルヘッドから、所望の出力印字あるいは画像に対
応する熱転写記録媒体の位置に熱エネルギを供給し、当
該位置のホットメルトタイプ着色インク３２の粘性を変
化させる。それと同時に、サーマルヘッド等から圧力を
与えて、粘性変化したホットメルトタイプ着色インク３
２、すなわち所望の出力印字あるいは画像に対応する位
置にあるホットメルトタイプ着色インク３２を熱転写記
録紙上に付着・浸透させる。その後、前記着色インクが
冷えた状態で、熱転写記録媒体と熱転写記録紙を剥離す
ることにより熱転写記録紙上に所望の出力印字あるいは
画像が得られることになる。

【０００４】このような従来の熱転写記録装置は、熱転
写記録媒体に、サーマルヘッドから熱エネルギ及び圧力
を与えるという単純な記録メカニズムを有するもので、
極めて短時間で凝縮された記録メカニズムにより、比較
的高品質な印字あるいは出力画像を記録紙上に得る事が
出来る。また記録紙上に出力された印字あるいは画像は
鮮鋭度の高い、高濃度な出力印字品質であり耐久性、対
環境性も良好である。

【０００５】さらには熱転写記録装置がコンパクトでメ
ンテナンスフリーであるという特性も備えている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の熱転写
記録装置では、熱転写記録媒体、記録ヘッド仕様及び記
録ヘッド回りの機構及び組立精度等に出力印字品質が依
存しているという傾向を持つ。出力印字を得る為に、記
録装置内サーマルヘッドの発熱素子が出力画像画素に応
じて印加制御される。そこで熱転写記録媒体上のインク
は、熱転写記録紙を挟み込んだ状態で、熱転写記録媒体
背面から熱転写記録媒体ホットメルトタイプ着色インク
へ熱エネルギの供給を受けることになる。その熱エネル
ギを熱転写記録媒体の基材およびホットメルトタイプ着
色インク層に発散することなく、印加制御された出力画
像画素領域内で有効に利用する為に、ホットメルトタイ
プ着色インクの一定濃度を維持した上で、熱転写記録紙
へのインク接着力を損なわない範囲で、熱転写記録媒体
の基材またはホットメルトタイプ着色インク層自身の薄
膜化への改良が行われている。しかしホットメルトタイ
プ着色インク層薄膜化により、逆に記録紙への高平滑度
仕様の要求が起き、それに伴って専用紙化、特殊仕様化
が進み、一搬的な市場要求である記録紙の普通紙化とは
逆行することになり好ましくない。

【０００７】サーマルヘッドに於いても、着色インクの
記録紙への接着性を良くし、出力印字品質を向上させる
べく種々の改良が行われている。例えばサーマルヘッド
の凸グレーズ化、発熱素子の副走査方向における保護膜
高さの均一化、発熱素子形状および発熱素子厚みの適正
化、または発熱素子の温度上昇・下降特性の改良、副走
査方向の各発熱低抗値の均一化あるいは高抵抗値化や高
解像度化等のサーマルヘッド材料も含めた適正化が行わ
れている。しかしサーマルヘッド副走査方向の隣接する
発熱素子間、又特に連続あるいは高速出力印字時での主
走査方向出力画像画素間において、サーマルヘッドの蓄
熱現象等が、記録紙上の出力画像画素ドット形成で悪影
響を及ぼし記録紙上の画素ドット再現性劣化を招くとい
う状況がある。すなわち出力印字品質の高精細化や記録
装置の高速化が立ち遅れているのが現状である。

【０００８】更に記録装置内の熱転写記録媒体、サーマ
ルヘッドとプラテンローラ等の主構成要素を、サーマル
ヘッドから熱転写記録媒体または記録紙への接触状態や
圧力等を実際に出力した印字サンプル等を評価して微調
整し、適正で高精度な組立を行う必要がある。

【０００９】今後予想される、更に高精細な印字品質、
高速化、普通紙化へのニーズから、記録ヘッド材料、熱
転写記録媒体、又は印字制御等の改善が行われており、
又通電感熱式、レーザ熱転写方式、マルチリボン記録
法、マイクロカプセルを用いた方法等が提案されている
が、充分に改善された品質を得る結果に至っていない。

【００１０】この発明の目的は、高精細で高品質な印字
が高速に行われ、かつ記録紙を選ばない出力印字が可能
な記録媒体及びその記録媒体を用いた記録装置を提供す
ることである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明の記録媒体は、基材と、該基材上に色材と
バインダ材を主成分としたホットメルトタイプの着色イ
ンクを塗布してなるインク層と、該インク層の上に形成
された光機能層と、更に該光機能層の上に形成された剥
離層との少なくとも４層から構成されている。また前記
基材上に前記インク層を通過した光を反射させる、アル
ミ蒸着を施した基材を使用する構成の記録媒体も提案す
る。

【００１２】そして、この発明は、前記記録媒体を用い
た記録装置の第１の構成を、少なくても前記光機能層に
光エネルギーを供給する記録ヘッドと、前記光機能層の
前記記録ヘッドによる光エネルギー照射部を前記剥離層
と供に剥離する剥離手段と、剥離層を剥離した後、前記
インク層上に残存する光機能層の全面に対し光エネルギ
ーを照射する光照射手段と、ホットメルトタイプの着色
インク層を活性化する熱制御を行い、記録紙に所望の印
字または画像を定着させる定着ヘッドとを有するように
した。

【００１３】さらにまた、この発明は、前記の記録媒体
を用いた記録装置の第２の構成として、少なくとも、記
録ヘッドと、光機能層を記録ヘッドで凝集力変化或いは
粘性変化させる際、光化学反応を促進させる為、光機能
層に熱バイアス効果が得られる様、前記記録ヘッドから
の光エネルギーが供給されている時に前記記録媒体に熱
を供給する加熱手段を設けて温度制御が可能な構成と
し、前記光機能層の前記記録ヘッドによる光エネルギー
照射部を前記剥離層と供に剥離する剥離手段と、剥離層
を剥離した後、前記インク層上に残存する光機能層の全
面に対し光エネルギーを照射する光照射手段と、ホット
メルトタイプの着色インク層を活性化する熱制御を行
い、記録紙に所望の印字または画像を定着させる定着ヘ
ッドとを有するようにした。

【００１４】さらにまた、この発明は、前記の記録媒体
を用いた記録装置の第３の構成として、少なくとも前記
光機能層に光エネルギーを供給する記録ヘッドと、前記
光機能層の前記記録ヘッドによる光エネルギー照射部を
前記剥離層と供に剥離する剥離手段と、剥離層を剥離し
た後、前記インク層上に残存する光機能層の全面に対し
光エネルギーを照射する光照射手段と、ホットメルトタ
イプの着色インク層を活性化する熱制御を行い、記録紙
に所望の印字または画像を定着させる定着ヘッドと、前
記インク層の前記記録紙への転写を促進する加圧手段と
を有する構成とした。

【００１５】そして、この発明は、前記記録媒体を用い
た記録装置の第４の構成として、少なくても前記光機能
層に光エネルギーを供給する記録ヘッドと、前記光機能
層の前記記録ヘッドによる光エネルギー照射部を前記剥
離層と供に剥離する剥離手段と、剥離時に熱バイアスを
加える加熱手段と、剥離層を剥離した後、前記インク層
上に残存する光機能層の全面に対し光エネルギーを照射
する光照射手段と、ホットメルトタイプの着色インク層
を活性化する熱制御を行い、記録紙に所望の印字または
画像を定着させる定着ヘッドとを有する構成とした。

【００１６】さらにまた、この発明は、前記の記録媒体
を用いた記録装置の第５の構成として、少なくとも前記
光機能層に光エネルギーを供給する記録ヘッドと、前記
光機能層を前記記録ヘッドで凝集力変化或いは粘性変化
させる際、光化学反応を促進させる為、光機能層に熱バ
イアス効果が得られる様、前記記録ヘッドからの光エネ
ルギーが供給されている時に前記記録媒体に熱を供給す
る加熱手段を設けて温度制御が可能な構成とし、前記光
機能層の前記記録ヘッドによる光エネルギー照射部を前
記剥離層と供に剥離する剥離手段と、剥離層を剥離した
後、前記インク層上に残存する光機能層の全面に対し光
エネルギーを照射する光照射手段と、ホットメルトタイ
プの着色インク層を活性化する熱制御を行い、記録紙に
所望の印字または画像を定着させる定着ヘッドと、前記
インク層の前記記録紙への転写を促進する加圧手段とを
有する構成とした。

【００１７】さらにまた、この発明は、前記の記録媒体
を用いた記録装置の第６の構成として、少なくとも、記
録ヘッドと、光機能層を記録ヘッドで凝集力変化或いは
粘性変化させる際、光化学反応を促進させる為、光機能
層に熱バイアス効果が得られる様、前記記録ヘッドから
の光エネルギーが供給されている時に前記記録媒体に熱
を供給する加熱手段を設けて温度制御が可能な構成と
し、前記光機能層の前記記録ヘッドによる光エネルギー
照射部を前記剥離層と供に剥離する剥離手段と、剥離時
に熱バイアスを加える加熱手段と、剥離層を剥離した
後、前記インク層上に残存する光機能層の全面に対し光
エネルギーを照射する光照射手段と、ホットメルトタイ
プの着色インク層を活性化する熱制御を行い、記録紙に
所望の印字または画像を定着させる定着ヘッドとを有す
るようにした。

【００１８】さらにまた、この発明は、前記の記録媒体
を用いた記録装置の第７の構成として、少なくとも前記
光機能層に光エネルギーを供給する記録ヘッドと、前記
光機能層の前記記録ヘッドによる光エネルギー照射部を
前記剥離層と供に剥離する剥離手段と、剥離時に熱バイ
アスを加える加熱手段と、剥離層を剥離した後、前記イ
ンク層上に残存する光機能層の全面に対し光エネルギー
を照射する光照射手段と、ホットメルトタイプの着色イ
ンク層を活性化する熱制御を行い、記録紙に所望の印字
または画像を定着させる定着ヘッドと、前記インク層の
前記記録紙への転写を促進する加圧手段とを有する構成
とした。

【００１９】さらにまた、この発明は、前記の記録媒体
を用いた記録装置の第８の構成として、少なくとも記録
ヘッドと、光機能層を記録ヘッドで凝集力変化或いは粘
性変化させる際、光化学反応を促進させる為、光機能層
に熱バイアス効果が得られる様、前記記録ヘッドからの
光エネルギーが供給されている時に前記記録媒体に熱を
供給する加熱手段を設けて温度制御が可能な構成とし、
前記記録ヘッドによる光エネルギー照射部と供に剥離層
を剥離する剥離手段と、剥離時に熱バイアスを加える加
熱手段と、剥離層を剥離した後、前記インク層上に残存
する光機能層の全面に対し光エネルギーを照射する光照
射手段、とホットメルトタイプの着色インク層を活性化
する熱制御を行い、記録紙に所望の印字または画像を定
着させる定着ヘッドと、前記インク層の前記記録紙への
転写を促進する加圧手段とを有する構成とした。

【００２０】

【作用】上記のような構成による記録媒体に於いては、
この光機能層が所望の文字あるいは画像を記録媒体上に
記録する記録プロセスで記録装置内の記録ヘッドから供
給された光エネルギー量に応じて化学変化を起こし、凝
集力変化、或いは粘性硬化する事となり、剥離層を基材
上より剥離する時に、凝集力変化或いは粘性硬化が起こ
った光エネルギー照射部は剥離層と供に剥離手段により
剥離され、ホール加工がおこなわれる。このホールを通
じて、記録媒体のホットメルトタイプ着色インクが記録
紙に移動し、浸透して付着するので，所望の印字或いは
画像が記録紙に得られることとなる。

【００２１】この時、光を照射する記録ヘッドは、非接
触に潜像を形成できるという特徴から極めて高速に記録
処理が行える。又記録ヘッドから記録媒体までの結像光
学系、記録ヘッドから照射される光の波長、あるいは記
録ヘッドの出力、照射回数、または照射光のパルス変調
時のパルス幅および変調強度を適正に設定することによ
り照射領域の真円化等の適正な微細加工形状を得ること
ができる。すなわち出力画像画素を構成する微小面積領
域を得ることができるので、極めて高解像度に記録処理
が可能となる。

【００２２】更に前記ホール加工後に残存している光機
能層にＵＶランプ等により光エネルギーを照射し、融点
上昇或いは転移点上昇を起こして、凝集力変化或いは粘
性変化させることができる。本発明の記録媒体を用いた
記録装置に於いて、インクを記録紙へ転写・定着する処
理では、定着ヘッドで記録媒体の基材上のホットメルト
タイプ着色インクを転移点以上に加熱活性化する。その
際、記録紙印字面と記録プロセス時に加工された記録媒
体の光機能層側とを、圧着手段により向かい合わせ密着
させる。これにより活性化された溶融状態のホットメル
トタイプ着色インクが光機能層の所望の位置に微細加工
されたスルーホールから、所望する出力画像画素構成分
の微細転写領域だけ記録紙上に移動、浸透、付着するこ
ととなる。

【００２３】又逆に記録プロセスで加工されない光機能
層残存領域ではホットメルトタイプ着色インクは記録紙
に転写は発生しない。その後記録媒体と記録紙とを剥離
することで記録紙上に所望の印字あるいは画像が得られ
る。

【００２４】その際、ホットメルトタイプ着色インク自
身の粘度特性や定着ヘッドからのインク活性化転移点の
設定でホットメルトタイプ着色インクの流動性が管理さ
れ、記録紙側への浸透度が決定される。同様に記録媒体
と記録紙との圧着力、圧着時間を管理することで、ホッ
トメルトタイプ着色インクの記録紙への転写性を促進す
ることが可能となる。

【００２５】ここでは各種記録紙に高品質な出力印字を
得るべく、低溶融粘度状態のインクを用いたので、ラフ
紙の表面凸部にのみ付着しインク分散されたためにボイ
ドを伴っていた印字品質や、あるいはＯＨＰ等樹脂系の
記録紙上でのインク過冷却特性違いから生じるの印字品
質差等を、この定着プロセスでホットメルトタイプ着色
インク転写量と転写時のインク粘度を適性管理すること
で改善することが可能である。

【００２６】又従来、熱転写記録装置で記録紙に転写さ
れたインクの冷時状態で、記録媒体内の非転写領域のイ
ンクとの分離性を促進する為の手段として記録媒体と記
録紙の剥離を行ってきた。ここでは本発明の記録媒体と
記録装置を用いて、各種記録紙の表面状態に応じた適性
なインクの状態で転写し、記録装置内の剥離手段を通じ
て適性な記録紙上のインク状態で剥離する事が出来るた
め所望の文字あるいは画像を忠実に再現し定着管理する
ことが可能となる。

【００２７】本発明は、インク層を加熱して溶融させる
従来の熱転写記録方式とは異なり、記録媒体自身の粘度
特性を変化させるものである。したがって、従来の熱転
写記録装置のように、本来印字すべきでない部分のイン
クが熱の影響を受けて一部溶融し、記録紙に転写されて
しまうという不都合はない。つまり、本発明の記録媒体
を用いることによって、より高精細な出力印字や画像が
得られることになる。

【００２８】また、この記録媒体を用いた記録装置を構
成する際に於いては、記録ヘッドで光機能層に所望の印
字や画像を書き込む記録処理と、インクを活性化させて
記録紙に転写する定着処理をそれぞれ独立に最適化する
ことができ、印字品質をより向上させることが可能であ
る。又、インクを熱制御により活性化させた状態で記録
ヘッドで記録媒体上に所望の印字や画像を書き込むこと
が、記録ヘッドと定着ヘッド等の記録装置要素の構成で
可能であることから、記録処理時に熱バイアス効果を与
えることができ、出力印字の高速化も行える。

【００２９】さらに、記録処理と定着処理を記録媒体上
で行えるので、この記録装置の簡素化、構成要素の小型
化が進み、メンテナンスフリー、消費エネルギのロスの
少ない、記録装置が得られる。

【００３０】

【実施例】以下図面に基づいて本発明の一実施例を説明
する。図１は本発明の記録媒体の断面構成図である。記
録媒体５は、基材１、ホットメルトタイプ着色インク層
２、光機能層３、及び剥離層４の積層構造になってい
る。

【００３１】基材１はポリエチレンテレフタレート等の
ベースフィルムに耐熱性、潤滑性を盛り込んだ背面処理
を施したものである。前記基材１上に形成されたホット
メルトタイプ着色インク層２は、カーボンブラック等の
着色剤となる顔料又は染料を、主成分のカルナバワック
ス、エステルワックス等の天然ワックス又は熱溶融性樹
脂などのバインダ材に添加し、さらに柔軟剤、を配合し
たものである。前記ホットメルトタイプ着色インク層２
の上に形成された光機能層３は、記録ヘッドからの光エ
ネルギーによって凝集力変化或いは粘性変化するもので
ある。光機能層３は、熱可塑性樹脂（熱融解性樹脂）、
光硬化性のモノマー、オリゴマーを主成分とし、ケトン
溶剤、炭化水素系溶剤、分散剤、光重合開始剤、光増感
剤、更に熱重合禁止剤等の添加剤を配合したものであ
る。

【００３２】前記光機能層３の上に形成された剥離層４
は前記記録ヘッドからの光エネルギーによって凝集力変
化或いは粘性変化した光機能層３の光エネルギー照射部
分をホットメルトタイプインク層２上より剥離するため
に設けられた層であり前記基材１と同様の材料で構成す
ることが出来る。

【００３３】また、記録ヘッドから供給される光エネル
ギーを効率良く使用するため、前記基材１上にホットメ
ルトタイプ着色インク層２と光機能層３を通過した光を
反射させる、アルミ蒸着を施した基材を使用する事も出
来る。もちろん、アルミ蒸着以外でも、光を反射し、同
等の機能および効果を有するものであれば何でもよい。

【００３４】図３は、この記録媒体５を用いる記録装置
の構成を示す説明図である。また図４、図５はこの記録
装置に於ける記録処理部を拡大した説明図である。図３
に於いて、記録媒体供給ローラ１０から送出された記録
媒体５上の所望の出力画像画素に対応する位置に、記録
ヘッド１３からレーザ光１４を照射する。記録媒体５上
の光機能層３では、レーザ光１４が照射された部分の光
機能層３は凝集力変化或いは粘性硬化する。ここでレー
ザ光１４の発振波長と光機能層３の吸光係数とを整合さ
せて、レーザ光１４を効率的に使用している事は、言う
までもない。また、本実施例ではレーザ光１４を照射す
る際に光化学反応を促進させるため光機能層３に熱バイ
アス効果が得られる様、ヒートローラ１５により記録媒
体５の基材側より加熱制御を行う構成とした。もちろ
ん、記録装置を簡素化するためにこのヒートローラ１５
を省略しても本発明の記録装置を構成できるが、ヒート
ローラ１５を設けた方がより効果的である。なお、熱バ
イアス効果を得るための加熱手段は、ヒートローラに限
らず、記録媒体５に熱を供給するものであれば限定され
ない。

【００３５】また、レーザ光１４は、半導体レーザ等の
レーザ発信装置から照射されたレーザ光を記録ヘッド１
３で光学レンズ等により照射光強度分布や結像光スポッ
ト形状等の最適化が行われると供にポリゴンミラー等か
ら構成されるレーザ光走査機構から構成することができ
る。

【００３６】本記録装置では、記録ヘッド１３からレー
ザ光１４を照射するので、非接触でかつ高速に、所望の
出力画像画素に対応した位置の光機能層３に画像を潜像
させる事が出来る。図４は本発明の記録ヘッド１３から
のレーザ光１４による潜像過程とホール加工を行う為の
剥離層４の剥離処理部を拡大したものである。レーザ光
１４により光エネルギーを照射された光機能層３は凝集
力変化或いは粘性硬化し剥離層４への接着性が向上する
こととなり、剥離層巻き取りローラ１２により巻き取ら
れる剥離層４と一緒にインク層２上より剥離され、光機
能層３のレーザ光照射部すなわち所望の出力画像画素に
対応する位置にホール加工が施されることとなる。ここ
では剥離過程にヒートローラ１６を設けより高速かつ効
率的に剥離が行える構成とした。もちろん、記録装置を
簡素化するために、このヒートローラ１６を省略しても
本発明の記録装置を構成できるが、ヒートローラ１６を
設けた方が効率的に剥離が行える。

【００３７】更にホール加工が施された光機能層３は、
ＵＶランプ２０により光エネルギー照射が行われ、凝集
力変化或いは粘性硬化が行われる。ここでもヒートロー
ラ等の熱バイアス効果が得られるような構成にしても良
い。また、図５は本発明の定着ヘッド１７での転写過程
を拡大した機構構成図であり、図３と同一部分は同じ符
号で示してある。図５は記録ヘッド１３からのレーザ光
１４の光エネルギーによって、所望の画像画素に対応す
る位置の光機能層３にホール加工が施され、光機能層３
上に微細なスルーホールが形成された記録媒体５は、記
録媒体供給ローラ１０または記録媒体巻き取りローラ１
１によって駆動搬送され、定着ヘッド１７に搬入され
る。ここで記録媒体５のスルーホールを形成された光機
能層３と別の搬送経路から搬入された記録紙２１とが密
着するように定着ローラ１９（プラテンローラ）によっ
て圧接されるとともに、定着ヘッド１７によって基材１
側から加熱される。また転写面に均一な加圧を行う為、
ここでは定着ヘッド１７を加圧ローラ１８により加圧す
る。本実施例では定着ヘッド１７としてヒートローラを
用いているが、これに限定されるものではない。

【００３８】定着ヘッド１７はホットメルトタイプ着色
インク２の転移点以上の温度に設定されており、ここで
はホットメルトタイプ着色インク２は活性化される。活
性化されたホットメルトタイプ着色インク２は、定着ロ
ーラ１９と加圧ローラ１８の押圧により、光機能層３の
スルーホールを通過して記録紙２１に流動し、浸透し、
そして付着する。すなわち、所望の出力画像画素に対応
した記録紙２１上の位置にホットメルトタイプ着色イン
ク２が転写される。ここで、記録装置を簡素化するため
に、この加圧ローラ１８を省略しても本発明の記録装置
を構成できるが、加圧ローラ１８を設けた方がより良好
な定着が可能となる。

【００３９】その後、密着した記録媒体５と記録紙２１
とを、前記記録紙２１の種類に応じたインク定着状態を
現実させる手段の記録装置剥離部２２で、安定に剥離す
ることにより、所望の出力印字或いは画像が連続出力時
に於いても得られる。本発明の記録媒体５を用いた記録
装置のインク定着処理に於いては、定着ヘッド１７の加
熱温度、又は着色インク自身の粘性特性により、ホット
メルトタイプ着色インク２の転写時の粘度状態が決めら
れる。すなわち、加熱温度を高く設定することによりイ
ンクがより液状化され、記録紙２１側への流動、浸透性
が加速され、また逆に加熱温度を低く設定するとインク
粘度が高くなるので、所望の出力画像画素に対応した位
置及び形状に忠実に転写され、さらに各種記録紙に応じ
たインク状態で行われることとなる。また、定着ヘッド
１７からの加熱温度だけでなく、記録媒体５と記録紙２
１との密着性を決める定着ローラ１９からの圧着力すな
わち加圧ローラ１８の押圧や、記録媒体５と記録紙２１
との搬送速度（すなはち圧着時間）もインク転写挙動を
左右する。

【００４０】また、上記のパラメータを設定することに
より、この記録装置は、インクの記録紙への転写量、換
言すると、記録媒体内のインクの残存量を把握できる。
これにより、規定以上のインクが記録媒体内に残存して
いる場合には、その記録媒体を使用して複数回印字でき
るのでランニングコストの低減が可能である。これは前
記記録紙搬送に対する記録媒体の搬送速度・量を制御す
ることで得られる記録媒体の有効利用にもつながるもの
である。

【００４１】さらに剥離処理に関しては、記録媒体と記
録紙の剥離時間、剥離角度を管理を行うことにより、記
録紙の表面状態や所望する出力印字品質に応じて、記録
媒体からの記録紙側へのインク流動、浸透、付着等の転
写状態とインクの粘度状況に対し、その記録紙上に適性
な最終印字品質を得られる、そのために、普通紙、ＯＨ
Ｐ、更に樹脂系の記録紙等の広範囲にわたる各種記録紙
の選択が可能である。

【００４２】なお、本実施例では、光照射時に熱バイア
ス効果を得るためのヒートローラ１５、剥離過程を効率
的に行うためのヒートローラ１６、および定着過程を効
率的に行うための加圧ローラ１８を用いているが、これ
らの手段を採用するか、しないかは、記録装置の構成の
簡素化との兼ね合い、および、出力印字品質あるいは印
字時間との兼ね合いで決定される。すなわち、これらを
用いなくとも本発明の記録装置を構成できるし、また上
記の要求条件に応じて１つ以上を適宜単独で、または組
み合わせて用いても良い。

【００４３】

【発明の効果】この発明は、以上説明したように、記録
媒体を、基材と、該基材上に塗布されたバインダ材を含
むホットメルトタイプ着色インクと、該着色インク層の
上に形成され、記録ヘッドから供給された光エネルギー
により凝集力或いは粘性変化する光機能層と、該光機能
層の上に形成された剥離層とから構成したので次の効果
がある。

【００４４】着色インク層と光機能層を基材と剥離層
で挟み込む構成となっており、機械的強度が従来の記録
媒体より大きい。また記録ヘッド、定着ヘッド等からの
熱ストレスが記録メカニズム上少ない為、記録媒体の薄
膜化が行える。よって加熱などに於いても省エネルギー
化となる。

【００４５】基材上にアルミ蒸着を施した記録媒体
は、記録ヘッドからの光エネルギをさらに効率よく使用
できるので、高速にかつ高精細に光機能層への記録処理
が行える。又、この記録媒体を用いた記録装置は、記録
処理部とインク定着部とを分離することが出来るので、
以下に示す効果がある。

【００４６】定着ヘッドによる記録媒体内着色インク
の活性化状態で、記録ヘッドより光機能層へ所望の印字
或いは画像に応じた書き込みを行うことにより、極めて
高速に出力印字が行える。 従来の熱転写記録装置の様に、本来印字すべきでない
部分のインクが熱の影響を受けて一部溶融反応し記録紙
に転写してしまったり、又は印字部領域の画素ドットの
再現性が悪くなるといったことが排除される。つまり、
より高精細な出力印字や画像が得られることになる。

【００４７】記録処理と定着処理をそれぞれ独立に最
適化する事が出来、印字品質をより向上させるととも
に、色々な種類の記録紙に対しても高品質な印字を行う
ことが可能である。 記録処理後の定着処理に於いて、記録紙に対する記録
媒体搬送速度制御や記録紙側へのインク転写量を制御抑
制することで、記録媒体消耗度合いの低減を図ることが
でき、複数回印字が可能となる。

【００４８】記録処理と定着処理が記録媒体上で行え
ることから、この記録装置の構成の簡素化、調整の単純
化、メンテナンスフリー化が行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の記録媒体の断面構成図である。

【図２】従来例の記録媒体の説明図である。

【図３】本発明の記録媒体を用いて印字を行う記録装置
の構成を示す説明図である。

【図４】本発明の記録装置に於ける剥離処理部を拡大し
た説明図である。

【図５】本発明の記録装置に於ける記録処理部を拡大し
た説明図である。

【符号の説明】

１ 基材 ２ ホットメルトタイプ着色インク層 ３ 光機能層 ４ 剥離層 ５ 記録媒体 １０ 記録媒体供給ローラ １１ 記録媒体巻き取りローラ １２ 剥離層巻き取りローラ １３ 記録ヘッド １４ レーザ光 １５ ヒートローラ １６ ヒートローラ １７ 定着ヘッド １８ 加圧ローラ １９ 定着ローラ ２０ ＵＶランプ ２１ 記録紙

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ Ｂ４１Ｍ 5/40 Ｂ４１Ｍ 5/26 Ｂ (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41M 5/00 B41M 5/26 B41M 5/38 - 5/40 B41J 2/32 B41J 2/435 B41J 31/00

Claims (11)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基材と、該基材上に色材とバインダ材を
   主成分としたホットメルトタイプの着色インクを塗布し
   てなるインク層と、該インク層の上に形成された光機能
   層と、更に該光機能層の上に形成された剥離層とから構
   成され、前記光機能層が記録ヘッド等から供給された光
   エネルギーにより凝集力変化或いは粘性変化することを
   特徴とする記録媒体。
2. 【請求項２】 前記光機能層は光硬化性樹脂を主成分と
   して形成され、前記インク層と前記光機能層は記録ヘッ
   ド等から供給される光エネルギーが照射される以前は、
   前記光機能層の方が凝集力或いは粘性が高いことを特徴
   とする請求項１に記載の記録媒体。
3. 【請求項３】 前記基材は、前記インク層との積層面側
   の表面にアルミが蒸着されていることを特徴とする請求
   項１に記載の記録媒体。
4. 【請求項４】 請求項１乃至３に記載の記録媒体に前記
   光機能層の凝集力変化或いは粘性変化させる光エネルギ
   ーを供給する記録ヘッドと、該記録ヘッドからの光エネ
   ルギー照射部と供に前記剥離層を前記インク層上から剥
   離する剥離手段と、前記剥離層を剥離した後、前記イン
   ク層上に残存する前記光機能層に対し光エネルギーを照
   射する光照射手段と、前記インク層のホットメルトタイ
   プ着色インクを活性化する熱制御を行う定着ヘッドとを
   少なくとも有することを特徴とする記録装置。
5. 【請求項５】 請求項１乃至３に記載の記録媒体に前記
   光機能層の凝集力変化或いは粘性変化させる光エネルギ
   ーを供給する記録ヘッドと、前記記録媒体に前記記録ヘ
   ッドからの光エネルギーが供給されている時に、前記記
   録媒体に熱エネルギーを供給する加熱手段と、該記録ヘ
   ッドからの光エネルギー照射部と供に前記剥離層を前記
   インク層上から剥離する剥離手段と、前記剥離層を剥離
   した後、前記インク層上に残存する光機能層に対し光エ
   ネルギーを照射する光照射手段と、前記インク層のホッ
   トメルトタイプ着色インクを活性化する熱制御を行う定
   着ヘッドとを有することを特徴とする記録装置。
6. 【請求項６】 請求項１乃至３に記載の記録媒体に前記
   光機能層の凝集力変化或いは粘性変化させる光エネルギ
   ーを供給する記録ヘッドと、該記録ヘッドからの光エネ
   ルギー照射部と供に前記剥離層を前記インク層上から剥
   離する剥離手段と前記剥離層を剥離した後、前記インク
   層上に残存する前記光機能層に対し光エネルギーを照射
   する光照射手段と、前記インク層のホットメルトタイプ
   着色インクを活性化する熱制御を行う定着ヘッドと、前
   記インク層の記録紙への転写を促進する加圧手段を有す
   ることを特徴とする記録装置。
7. 【請求項７】 請求項１乃至３に記載の記録媒体に前記
   光機能層の凝集力変化或いは粘性変化させる光エネルギ
   ーを供給する記録ヘッドと、該記録ヘッドからの光エネ
   ルギー照射部と供に前記剥離層を前記インク層上から剥
   離する剥離手段と、剥離時に熱バイアスを加える加熱手
   段と、前記剥離層を剥離した後、前記インク層上に残存
   する前記光機能層に対し光エネルギーを照射する光照射
   手段と、前記インク層のホットメルトタイプ着色インク
   を活性化する熱制御を行う定着ヘッドとを少なくとも有
   することを特徴とする記録装置。
8. 【請求項８】 請求項１乃至３に記載の記録媒体に前記
   光機能層の凝集力変化或いは粘性変化させる光エネルギ
   ーを供給する記録ヘッドと、前記記録媒体に前記記録ヘ
   ッドからの光エネルギーが供給されている時に、前記記
   録媒体に熱エネルギーを供給する加熱手段と、該記録ヘ
   ッドからの光エネルギー照射部と供に前記剥離層を前記
   インク層上から剥離する剥離手段と、前記剥離層を剥離
   した後、前記インク層上に残存する前記光機能層に対し
   光エネルギーを照射する光照射手段と、インク層のホッ
   トメルトタイプ着色インクを活性化する熱制御を行う定
   着ヘッドと、前記インク層の記録紙への転写を促進する
   加圧手段を有することを特徴とする記録装置。
9. 【請求項９】 請求項１乃至３に記載の記録媒体に前記
   光機能層の凝集力変化或いは粘性変化させる光エネルギ
   ーを供給する記録ヘッドと、前記記録媒体に前記記録ヘ
   ッドからの光エネルギーが供給されている時に、前記記
   録媒体に熱エネルギーを供給する加熱手段と、該記録ヘ
   ッドからの光エネルギー照射部と供に前記剥離層を前記
   インク層上から剥離する剥離手段と、剥離時に熱バイア
   スを加える加熱手段と、前記剥離層を剥離した後、前記
   インク層上に残存する前記光機能層に対し光エネルギー
   を照射する光照射手段と、インク層のホットメルトタイ
   プ着色インクを活性化する熱制御を行う定着ヘッドを有
   することを特徴とする記録装置。
10. 【請求項１０】 請求項１乃至３に記載の記録媒体に前
    記光機能層の凝集力変化或いは粘性変化させる光エネル
    ギーを供給する記録ヘッドと、該記録ヘッドからの光エ
    ネルギー照射部と供に前記剥離層を前記インク層上から
    剥離する剥離手段と、剥離時に熱バイアスを加える加熱
    手段と、前記剥離層を剥離した後、前記インク層上に残
    存する前記光機能層に対し光エネルギーを照射する光照
    射手段と、前記インク層のホットメルトタイプ着色イン
    クを活性化する熱制御を行う定着ヘッドと、前記インク
    層の記録紙への転写を促進する加圧手段とを少なくとも
    有することを特徴とする記録装置。
11. 【請求項１１】 請求項１乃至３に記載の記録媒体に前
    記光機能層の凝集力変化或いは粘性変化させる光エネル
    ギーを供給する記録ヘッドと、前記記録媒体に前記記録
    ヘッドからの光エネルギーが供給されている時に、前記
    記録媒体に熱エネルギーを供給する加熱手段と、該記録
    ヘッドからの光エネルギー照射部と供に前記剥離層を前
    記インク層上から剥離する剥離手段と、剥離時に熱バイ
    アスを加える加熱手段と前記剥離層を剥離した後、前記
    インク層上に残存する前記光機能層に対し光エネルギー
    を照射する光照射手段と、前記インク層のホットメルト
    タイプ着色インクを活性化する熱制御を行う定着ヘッド
    と、前記インク層の記録紙への転写を促進する加圧手段
    とを少なくとも有することを特徴とする記録装置。