JP3324132B2 - エポキシ変性ポリアリーレンサルファイド樹脂の製造方法 - Google Patents

エポキシ変性ポリアリーレンサルファイド樹脂の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエポキシ変性ポリアリー
レンサルファイド樹脂の製造方法に関する。さらに詳し
くは、本発明は、金属との接着性および他の樹脂との相
溶性に優れていて、構造材料用または機械部品などとし
て有用なエポキシ変性ポリアリーレンサルファイド樹脂
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンサルファイド(以下、
「PPS」という)によって代表されるポリアリーレン
サルファイド(以下、「PAS」という)は耐熱性、耐
薬品性、耐溶剤性および難燃性に優れており、各種の成
形材料として利用されているが極性基を有していないた
め、金属その他の無機基材との接着性に劣ったり、ま
た、耐衝撃性を向上させる目的でポリマーアロイ化を行
っても、他の樹脂との相溶性が悪く、物性バランスの優
れたポリマーアロイが得難いという問題点がある。
【0003】PASの耐衝撃性およびその他の特性を向
上させる目的で、他のポリマーとのポリマーブレンドが
数多く提案されている。例えば、ポリカーボネートとの
ブレンド(特開昭51−59952および同59−15
5461)、ポリアミドとのブレンド(特開昭53−6
9255および同59−155462)、ポリエステル
とのブレンド(特開昭59−64657および同61−
207462)などである。さらに、これらの提案の中
には、PASと他の樹脂との相溶性を高めるために組成
物中にエポキシ樹脂を混入することが教示されている
(特開昭59−64657、同59−155461およ
び同59−155462)。これらのブレンドは未変性
PASと他のポリマーとエポキシ樹脂との単純なブレン
ドであって、このようなブレンドにおいては、たとえ、
エポキシ樹脂のような相溶化剤が混入されていても、P
ASと他のポリマーとの相溶性は依然十分とは言えず、
満足すべき耐衝撃性その他の特性は得られていない。
【0004】また、PASの接着性、成形加工性、およ
びその他の特性を改善する目的でPASにエポキシ樹脂
を溶融状態で混練することが知られている(特公平3−
16386、特開昭64−69657、特公昭54−3
9856)。しかしながら、PASにエポキシ樹脂を溶
融状態で混練してなる組成物の金属等との接着性および
他の樹脂との相溶性は決して満足できるものではなく、
より高い接着性および相溶性が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような従来の技術の欠点を解消して、PAS本来の良
好な耐熱性、耐溶剤性などの特性を維持したまま、他の
多くの樹脂との相溶性に優れ且つ金属その他の無機基材
との接着性に優れた変性PASを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ナトリウム含
有量900ppm以下のポリアリーレンサルファイド
(PAS)とエポキシ樹脂とを極性有機溶媒中で反応さ
せることを特徴とする変性ポリアリーレンサルファイド
(PAS)樹脂の製造方法を提供する。
【0007】本発明の製造方法により得られるエポキシ
変性PASは末端にエポキシ基を有するため金属その他
の無機基材との接着性および他の多くのエンジニアリン
グプラスチックその他の樹脂との相溶性に優れている。
【0008】本発明のエポキシ変性PASの製造に使用
するPASは、その骨格は次の式(I)で表わされるア
リーレンサルファイド結合からなるか、または該アリー
レンサルファイド結合(I)を主成分とし、
【0009】
【化1】 次の式(II)で示されるエーテル結合、次の式(III) で
示されるスルホン結合、次の式(IV)で示されるビフェ
ニル結合、次の式(V)で示される置換フェニルスルフ
ィド結合(但し、式(V)中、R1 はアルキル、ニト
ロ、フェニル、アルコキシ、カルボキシル基を示
す。)、次の式(VI)で示される3官能結合で例示され
るような共重合成分から導かれる結合を劣成分として含
有していてもよい。但し、当該共重合成分は、30モル
%未満であることが好ましい。
【0010】
【化2】 上記のような骨格を有するPASは、例えば、アルカリ
金属サルファイド(代表的には硫化ソーダ)とジハロゲ
ン化物とを反応させることによって得られる。ここで、
原料として使用されるジハロゲン化物の例としては、下
記の式で示されるジハロゲン化ベンゼンが挙げられる。
【0011】
【化3】 (式中R2 は炭素原子1〜3個のアルキルもしくはアル
コキシ基を示し、nは0〜3の整数を示し、Xはハロゲ
ン原子を示す)。
【0012】かかるジハロゲン化ベンゼンの具体例とし
ては、次の式で示される化合物が挙げられる。但し、こ
れらの式において、X1 はハロゲン原子であって、その
例としてClまたはBrが挙げられる。これらジハロゲ
ン化ベンゼンは、一般に混合物の形態で用いられるが、
この混合物中にパラ体のジハロゲン化物が85モル%以
上含まれることが好ましい。
【0013】
【化4】
【0014】アルカリ金属サルファイドとジハロゲン化
物との反応に際して、必要に応じて、ジハロゲン化物に
対し5モル%以下の範囲内で、トルクロルベンゼンなど
のトリハロゲン化物を反応系に添加してもよい。重合反
応は、極性溶媒中で、好ましくは、N−メチル−2−ピ
ロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミドなどのアミ
ド系溶媒やスルホラン等のスルホン系溶媒中で行なうと
よい。この際に、重合度を調節するために、カルボン酸
やスルホン酸のアルカリ金属塩、水酸化アルカリなどを
添加するのが望ましい。好ましい重合反応の温度および
時間は、およそ120〜300℃で2〜10時間であ
る。反応は不活性ガスの雰囲気下に行なうのが望まし
い。反応終了後、固体生成物をろ別し、脱イオン水で十
分洗浄、乾燥してPAS樹脂が得られる。
【0015】PASは重合後酸素雰囲気において加熱す
ることにより、あるいは過酸化物等の架橋剤を添加して
加熱することにより架橋して高分子量化したうえ、エポ
キシ樹脂との反応に供することも可能である。本発明で
使用するPASは上記のように種々のタイプのものが使
用可能であるが、ナトリウム含有量が900ppm以
下、好ましくは、500ppm以下のPASを用いる。
ナトリウム含有量がこのように低減されたPASは、脱
イオン処理によって得ることができ、脱イオン処理とし
ては酸処理が挙げられる。
【0016】酸処理の代表的な方法は、酸またはその水
溶液にPASを浸漬せしめる方法である。酸処理に際
し、適宜攪拌または加熱することも可能である。酸処理
方法の具体例としては、pH4の酢酸水溶液にPAS粉末
を浸漬し、約30分間攪拌する方法が挙げられる。酸処
理を施されたPASは残留している酸または塩を除去す
るため、水または温水で数回洗浄することが必要であ
る。洗浄に用いる水は、酸処理による変性効果を損わぬ
よう蒸溜水および脱イオン水であることが好ましい。P
ASの酸処理に用いる酸は、PASを分解する作用を有
しないものであれば特に制限はなく、その具体例として
は酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸、プロピオン
酸が挙げられる。なかでも、酢酸および塩酸が好まし
く、また、硝酸はPASを分解劣化させるので好ましく
ない。
【0017】本発明に使用されるエポキシ樹脂の具体例
としては、共役または非共役ジエン、共役または非共役
環状ジエンおよび共役または非共役ジエンを有する不飽
和カルボン酸エステルなどのエポキシ化物、脂肪族ジオ
ール、脂肪族の多価アルコール、ビスフェノール類、フ
ェノールノボラックおよびクレゾールノボラックなどと
エピクロルヒドリンまたはβ−メチルエピクロルヒドリ
ンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル、ジ
カルボン酸とエピクロルヒドリンまたはβ−メチルエピ
クロルヒドリンとを反応して得られるポリグリシジルエ
ステルなどが挙げられる。
【0018】PASとエポキシ樹脂との反応を行うに際
し、両反応成分の仕込割合は、PAS100重量部に対
しエポキシ樹脂0.1重量部以上、好ましくは1〜10
0重量部とする。エポキシ樹脂の量が0.1重量部未満
では本発明の目的は達成できない。
【0019】PASとエポキシ樹脂との反応に反応媒体
として用いられる極性有機溶媒としては、例えば、N−
メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトア
ミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが
挙げられる。反応温度および反応時間は一般に室温〜3
00℃、好ましくは100℃〜280℃および10分〜
20時間の範囲で選ぶことができる。
【0020】反応終了後、スラリーを濾過し、得られた
ケーキをアセトン、NMPなどのエポキシ樹脂を溶解し
得る溶剤で洗浄し、次いで乾燥する。NMPのような高
沸点の有機溶媒で洗浄した場合は、乾燥を容易にするた
め、さらにイオン交換水などで洗浄することが望まし
い。
【0021】PASとエポキシ樹脂との反応を行うに際
し、必要ならば、反応系中にエポキシ樹脂の硬化剤や、
PASとエポキシ樹脂との反応を促進する触媒を存在さ
せてもよい。硬化剤は、本発明による反応に従ってPA
Sに結合したエポキシ樹脂とさらに他のエポキシ樹脂と
の結合を促す作用を有するので、PASに結合するエポ
キシ樹脂の量を増大するのに役立つ。硬化剤としては、
エポキシ樹脂の硬化剤として一般に用いられているアミ
ン類、酸無水物、イミダゾール類、多硫化物、フェノー
ル樹脂などを加えることができる。これらの硬化剤に硬
化促進剤を併用することもできる。PASとエポキシ樹
脂との反応を促進する触媒としては第3級アミンおよび
ホスフィンが好ましく用いられる。それらの具体例とし
ては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチル
ベンジルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェ
ノール、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ンなどが挙げられる。本発明の方法で得られるエポキシ
変性PASの重量平均分子量は5,000〜100,0
00であることが好ましい。
【0022】本発明に従ってPASとエポキシ樹脂とを
反応させると、エポキシ樹脂のグリシジル基がPASの
−SHおよび/または−SNaと反応して結合すると考
えられ、さらに、この結合によって生成する水酸基が別
のエポキシ基樹脂のグリシジル基と反応する可能性があ
る。
【0023】本発明の方法で得られるエポキシ変性PA
S樹脂は、その用途に応じて種々の特性を付与する目的
から、繊維状または粒子状充填剤を適当量配合して使用
することができる。そのような充填剤としては、ガラス
繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、繊維状チタ
ン酸カリウム、アスベストおよび炭化ケイ素や窒化ケイ
素等を初めとする各種のウイスカー等の繊維状無機およ
び有機充填剤、グラファイト、炭酸カルシウム、マイ
カ、シリカ、窒化ホウ素、硫酸バリウム、硫酸カルシウ
ム、カオリン、クレー、バィロフィライト、ベントナイ
ト、セリサイト、ゼオライト、雲母、ネフェリンシナイ
ト、フェライト、アタパルジャイト、ウォラストナイ
ト、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイ
ト、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、
酸化チタン、酸化鉄、二硫化モリブデン、黒鉛、石こ
う、ガラス粉、ガラスビーズ、石英、石英ガラス、鉄、
亜鉛、銅、アルミニウム、ニッケル等の無機粒子状充填
剤が挙げられる。これらの充填剤は一種または二種以上
を配合することができる。
【0024】また、本発明の方法で得られるエポキシ変
性PAS樹脂は、他の多くの樹脂やエラストマーに対し
優れた相溶性を示すため、各種の樹脂やエラストマーと
ブレンドして使用することができる。ブレンドされる樹
脂およびエラストマーの具体例としては、エチレン、プ
ロピレン、ブチレン、ペンテン、ブタジエン、イソプレ
ン、クロロプレン、スチレン、α−メチルスチレン、酢
酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、(メタ)
アクリロニトリルなどの単独重合体および共重合体、ナ
イロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン1
2、ナイロン46などのポリアミド、ポリウレタン、ポ
リアセタール、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリ
アリルサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレー
ト、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリイミド、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、
フッ素樹脂、ポリアリールエーテル、ポリスルフィドな
どの単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合
体、グラフト共重合体、上記以外のポリエステルおよび
エラストマーが挙げられる。これらの樹脂およびエラス
トマーを混合するには、PASとこれらの樹脂やエラス
トマーとの共通の同一溶媒に溶解して混合する方法およ
び押出機等の溶融混練機を用いて混合する方法が採られ
る。
【0025】
【実施例】以下、実施例について本発明のエポキシ変性
PAS樹脂の製法を具体的に説明する。参考例1 (ポリフェニレンサルファイド(PPS)の合成)容量
1リットルの攪拌機付のオートクレーブ中に、N−メチ
ル−2−ピロリドン(NMP)300gとNa2 S(含
水量40重量%)129g(0.99モル)とNaOH
0.31gを仕込み、窒素雰囲気中で攪拌しながら約2
時間かけて205℃にまで徐々に昇温させて脱水した。
その後、反応系を150℃にまで冷却し、反応系にパラ
ジクロルベンゼン147g(1.00モル)をNMP1
00g中に溶解した溶液を加え、更に1時間かけて25
0℃にまで昇温し、2時間反応を行った。反応終了後、
オートクレーブを室温にまで冷却し、内容物を濾別し
た。反応生成物である濾過ケーキを約80℃のイオン交
換水500mlに加え、得られたスラリーを30分間攪拌
した後、濾過した。更に、上記の温水洗浄を7回行い、
副生した食塩やその他未反応物を除き、120℃で乾燥
してPPSを得た。得られたPPSを硫酸灰化法で灰化
した後、稀塩酸に溶解し、原子吸光分光光度計にてナト
リウムイオン含有量を測定したところ800ppm であっ
た。
【0026】参考例2 (酸処理したPPSの合成例)参考例1と同様にして反
応を行い、反応後、オートクレーブを室温にまで冷却
し、内容物を濾別した。得られたケーキをNMPで2回
洗浄した後、約80℃のイオン交換水で2回洗浄し濾別
した。ケーキをイオン交換水500mlに加えスラリーに
した後、酢酸を加え、pH4〜5に調整し、室温で30分
間攪拌した。濾過後、約80℃のイオン交換水で5回洗
浄した後、120℃で乾燥して酸処理したPPSを得
た。得られた酸処理したPPSについて上記のPPSの
合成例と同様にしてナトリウムイオン含有量を測定した
ところ21ppm であった。
【0027】実施例1 参考例1で得たNaイオン含有量が800ppm のPPS
1.0gにエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製
エピコート828)1.0gをN−メチル−2−ピロリ
ドン(NMP)10mlに溶解した溶液を加え、180℃
で3時間反応を行った。反応後、室温にまで冷却し、次
いで濾過した。得られたケーキをアセトンで洗浄し、1
50℃で真空乾燥してエポキシ変性PPSを得た。得ら
れた生成物のIRスペクトルをフィルム法により測定し
たところ、エポキシ樹脂に基づく吸収が2980,15
20,1260,960,570cm-1付近に見られた。
反応前のPPSのIRスペクトルを図1に、反応後の生
成物のIRスペクトルを図2にそれぞれ示す。得られた
生成物のエポキシ樹脂の付加率および接着強度を下記方
法により測定した。結果を表1に示す。
【0028】エポキシ樹脂の付加率の測定 付加率〔(結合エポキシ樹脂の重量/PPS樹脂の重
量)×100(%)〕は次のようにして得られた生成物
のIRスペクトルから求めた。あらかじめ、変性に使用
した反応前のPPSと変性に使用したエポキシ樹脂を種
々の割合でブレンドしたものから作成した検量線を用い
て、エポキシ樹脂のC=C伸縮振動に基づく1520cm
-1とPPSのC=C伸縮振動に基づく1400cm-1の吸
光度比から付加率を求めた。
【0029】接着強度の測定 変性PPSの金属との接着強度を次の方法により測定し
た。2枚のアルミニウム板(厚さ:0.1mm)の間に口
の字形のポリイミドフィルム(厚さ:50μm)のわく
をはさみ、そのわくの中に変性PPS粉末を入れて、熱
プレス機で300℃で1分間予熱した後、100kgf/cm
2 で1分間加圧して、変性PPSとアルミニウムとの接
着を行った。接着したアルミニウム板を巾10mmの短冊
状に細断して作成した試験片について、引張試験機を用
い、チャック間距離40mm、引張速度50mm/分で18
0°方向に引っ張って接着強度を求めた。
【0030】実施例2 参考例1で得たNaイオン含有量が800ppm のPPS
2.5gにエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製
エピコート828)0.25gをN−メチル−2−ピロ
リドン(NMP)50mlに溶解した溶液を加え、240
℃で3時間反応を行った。反応後の処理は実施例1と同
様に行い、エポキシ変性PPSを得た。得られた生成物
のエポキシ樹脂付加率および接着強度を実施例1と同じ
方法により測定した。結果を表1に示す。
【0031】実施例3 用いたエポキシ樹脂の量を2.5gに変えた他は、実施
例2と同様にエポキシ変性PPSを製造し、エポキシ樹
脂付加率および接着強度を評価した。結果を表1に示
す。
【0032】実施例4 用いたエポキシ樹脂を東都化成(株)製エポトートYD
−019に変えた他は、実施例3と同様にエポキシ変性
PPSを製造し、エポキシ樹脂付加率および接着強度を
評価した。結果を表1に示す。
【0033】実施例5 参考例2において酸処理して得たNaイオン含有量21
ppm のPPSを用いた他は実施例1と同様にエポキシ変
性PPSを製造し、エポキシ樹脂付加率および接着強度
を評価した。結果を表1に示す。
【0034】実施例6 参考例2において酸処理して得たNaイオン含有量21
ppm のPPS2.5gにエポキシ樹脂(油化シェルエポ
キシ(株)製エピコート828)0.05gをNMP5
0mlに溶解した溶液を加え、240℃で3時間反応を行
った。以下の操作は実施例1と同様に行った。得られた
エポキシ変性PPSのエポキシ樹脂付加率および接着強
度を測定した。結果を表1に示す。
【0035】実施例7 PPSとして、参考例2において酸処理して得たNaイ
オン含有量21ppm のPPSを用いた他は実施例3と同
様にエポキシ変性PPSを製造し、エポキシ樹脂付加率
および接着強度を測定した。結果を表1に示す。
【0036】実施例8 PPSとして、参考例2において酸処理して得たNaイ
オン含有量21ppm のPPSを用い、且つエポキシ樹脂
の量を0.05gに変えた他は実施例4と同様にエポキ
シ変性PPSを製造し、エポキシ樹脂付加率および接着
強度を評価した。結果を表1に示す。
【0037】実施例9 PPSとして、参考例2において酸処理して得たNaイ
オン含有量21ppm のPPSを用いた他は実施例4と同
様にエポキシ変性PPSを製造し、エポキシ樹脂付加率
および接着強度を評価した。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】比較例1 PPS(トープレン社製T−4AG)500gにエポキ
シ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製エピコート82
8)10gを加え、ヘンシェルミキサーを用いてブレン
ドした後、異方向回転型20mm2軸押出機を用いて30
0℃で溶融混練してペレットを得た。得られたペレット
を粉砕機を用いて粉末状にした後、実施例1と同じ方法
を用いて接着強度を測定したところ0.49kgf/cmであ
った。
【0040】比較例2 PPS(トープレン社製T−4AG)250gと参考例
2において酸処理して得たNaイオン含有量21ppm の
PPS250gとエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ
(株)製エピコート828)15gをヘンシェルミキサ
ーを用いてブレンドした後、比較例1と同様にしてペレ
ットを得て、接着強度を測定したところ、0.60kgf/
cmであった。
【0041】
【発明の効果】本発明の方法により得られるエポキシ変
性PAS樹脂は、金属その他の無機基材との接着性に優
れており、また、エポキシ基が多くの樹脂に高い親和性
を示すため、多くのエンジニアリング樹脂、その他の樹
脂との相溶性がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】PPSの赤外吸収スペクトル。
【図2】エポキシ変性PPSの赤外吸収スペクトル。
フロントページの続き (72)発明者 青木 現 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡一丁目3番 1号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 池田 忠生 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡一丁目3番 1号 東燃株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平3−290436(JP,A) 特開 平2−182726(JP,A) 特開 平4−1266(JP,A) 特開 昭59−164360(JP,A) 特開 昭59−68367(JP,A) 特開 昭58−49718(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/14 C08G 75/02 - 75/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナトリウム含有量900ppm以下の
    リアリーレンサルファイドとエポキシ樹脂とを極性有機
    溶媒中で反応させることを特徴とする変性ポリアリーレ
    ンサルファイド樹脂の製造方法。
JP03149892A 1992-01-22 1992-01-22 エポキシ変性ポリアリーレンサルファイド樹脂の製造方法 Expired - Lifetime JP3324132B2 (ja)

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