JP3323753B2 - イソチオシアン酸誘導体の改良製造法 - Google Patents

イソチオシアン酸誘導体の改良製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺線虫作用を有す
る農薬として、また医薬や農薬等の中間体等として有用
な式〔I〕
【化4】 (式中、X1はハロゲン原子を示す。)で表されるイソ
チオシアン酸2−ハロゲノアリルの改良された工業的製
造法に関する。
【0002】
【従来の技術】イソチオシアン酸2−ハロゲノアリルの
製造法としては、例えばジャーナルオブ ザ ケミカル
ソサイエティー(Journal of the Chemical Societ
y)1901年,553頁、EP−A−446913お
よび特開平6−256326に記載されている。これら
の文献に具体的に記載された製造法ではいずれも、下記
の〔数1〕に示されるように、まず2,3−ジクロロ−
1−プロペンとチオシアン酸塩とをエタノールやアセト
ニトリル等の比較的低沸点の有機溶媒中で反応後、溶媒
及び無機物を除去し、さらに無溶媒またはトルエン、キ
シレン等の高沸点有機溶媒中で110〜140℃程度に
再度加熱し、イソチオシアン酸2−クロロアリルに導い
ている。これは前半の反応で蓄積する反応中間体である
チオシアン酸2−クロロアリル〔II〕を、さらに高温で
加熱して目的とするイソチオシアン酸2−クロロアリル
への転位を促進させるためである。
【数1】
【0003】
【発明が解決しようとする課題】イソチオシアン酸2−
ハロゲノアリル〔I〕は目及び皮膚刺激性を有している
ので、より反応操作が簡便で、収率よく、しかも安全な
イソチオシアン酸2−ハロゲノアリル〔I〕の工業的製
法の開発が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決する手段を鋭意検討した結果、2,3−ジクロロ−
1−プロペン等の2,3−ジハロゲノ−1−プロペン
と、式 M(SCN)n 〔IV〕 (式中、Mは金属またはアンモニウム基を、nはMの原
子価を示す。)で表わされるチオシアン酸塩(以下、単
に化合物〔IV〕と称することがある)とを、水の存在下
で加熱することにより、驚くべきことにチオシアン酸2
−ハロゲノアリルからイソチオシアン酸2−ハロゲノア
リルへの転位反応までスムーズに進行し、目的のイソチ
オシアン酸2−クロロアリル等のイソチオシアン酸2−
ハロゲノアリルが高収率で製造できることを見いだし
た。反応工程を〔数2〕に示す。
【数2】 (式中の記号は前記と同意義を有する。) 上記反応における出発物質である2,3−ジハロゲノ−
1−プロペンは水に不溶であり、化合物〔IV〕は水溶性
である。従って、2,3−ジハロゲノ−1−プロペンと
化合物〔IV〕との反応性は、水の存在下では、有機溶媒
中で行うよりさらに低くなることが予想されるが、この
ような予想に反し、2,3−ジハロゲノ−1−プロペン
と化合物〔IV〕との反応は水の存在下で加熱することに
より速やかに進行する。
【0005】上記製造法は、一段階の反応で目的とする
イソチオシアン酸2−ハロゲノアリルを製造することが
可能であるのみならず、反応後に分液するだけで過剰の
チオシアン酸塩や副生する塩(MCln,各記号は前記と
同意義を有する)が除去できるという後処理上の利点も
合わせ持っている。本願発明者らは、これらの知見に基
づいてさらに検討を加え、本発明を完成した。すなわ
ち、本発明は、(1)式〔III〕
【化5】 (式中、X1はハロゲン原子を、X2は脱離基を示す。)
で表わされる化合物と、式〔IV〕 M(SCN)n (式中、Mは金属またはアンモニウム基を、nはMの原
子価を示す。)で表わされるチオシアン酸塩とを、水の
存在下、加熱することを特徴とする式
【化6】 (式中、X1はハロゲン原子を示す。)で表される化合
物の製造法、(2)X2がハロゲン原子である上記
(1)記載の製造法、(3)X1およびX2が共に塩素で
ある上記(1)記載の製造法、(4)Mがアルカリ金属
またはNH4 +である上記(1)記載の製造法、(5)約
90〜150℃に加熱する上記(1)記載の製造法、
(6)100℃付近で反応させることを特徴とする上記
(1)記載の製造法および(7)式
【化7】 (式中、X1およびX2は前記と同意義を、X3は脱離基
を示す。)で表される化合物と塩基とを反応させ、得ら
れる化合物〔III〕と化合物〔IV〕とを、水の存在下、
加熱することを特徴とする化合物〔I〕の製造法に関す
る。
【0006】上記、X1で示されるハロゲン原子として
は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。こ
れらの中で、フッ素、塩素、臭素が好ましく、塩素が特
に好ましい。上記、X2で示される脱離基としては、化
合物〔III〕が化合物〔IV〕と反応するときに化合物〔I
II〕から脱離する基であればよく、例えばフッ素、塩
素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、例えばホルミルオ
キシ、アセトキシ、トリフルオロアセトキシ、ベンゾイ
ルオキシ等のハロゲン等で1〜5個置換されていてもよ
いC1-11アシルオキシ基、例えばメタンスルホニルオキ
シ、エタンスルホニルオキシ、ブタンスルホニルオキ
シ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等のハロゲン
等で1〜5個置換されていてもよいC1-4アルキルスル
ホニルオキシ基、例えばベンゼンスルホニルオキシ、p-
トルエンスルホニルオキシ、p-ブロモベンゼンスルホニ
ルオキシ、メシチレンスルホニルオキシ等の低級アルキ
ル(メチル、エチル等のC1-6アルキル)やハロゲン等
で1〜5個置換されていてもよいC6-10アーリルスルホ
ニルオキシ基等が用いられる。X2としては、ハロゲン
原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。化合物〔II
I〕としては、2,3−ジクロロ−1−プロペンが特に好
ましい。上記、Mで示される金属としては、チオシアン
酸アニオンと塩を形成する全ての金属が用いられる。好
ましくは、例えば1価または2価の金属が用いられる。
具体的には、例えばナトリウム,カリウム等のアルカリ
金属、例えばマグネシウム,カルシウム等のアルカリ土
類金属が好ましく用いられる。上記、Mで表されるアン
モニウム基の好ましい具体例としては、例えばNH4 +
(C1-6アルキル)4+が用いられる。該C1-6アルキル基
としては、例えばメチル,エチル,プロピル,イソプロ
ピル,ブチル,t-ブチル,ペンチル,ヘキシル等が挙げ
られる。Mとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、アンモニウム基が好ましく、アルカリ金属、NH4 +
が特に好ましい。化合物〔IV〕としては、水溶性である
ことが好ましい。該水溶性とは、室温で水100gに対
し化合物〔IV〕が約5g以上溶解することを意味する。
このような化合物〔IV〕として特に好ましい具体例とし
ては、例えばチオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カ
リウム及びチオシアン酸アンモニウムが挙げられる。n
はMで示される金属イオンまたはアンモニウムイオンの
原子価数を示し、通常1から4の整数である。Mがナト
リウム、カリウム及びNH4 +の場合、nは1である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は、適当な反応
条件(原料の割合、温度、圧力、時間、水,有機溶媒の
使用量等)に従って、化合物〔III〕と化合物〔IV〕と
を水の存在下、加熱することにより実施することができ
る。具体的には以下のような反応条件に従って実施する
ことができる。化合物〔IV〕に対し化合物〔III〕は約
0.5〜5当量、好ましくは約0.8〜1.5当量用いら
れるが、反応に支障がない場合には大過剰量用いてもよ
い。反応は通常水中で行われる。水は化合物〔III〕に
対し、重量で約0.1〜20倍、好ましくは約0.5〜5
倍用いられる。また、本発明の製造方法では通常有機溶
媒は必要ではないが、反応に支障がない限り、有機溶媒
を添加することもできる。このような有機溶媒としては
例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジク
ロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、例
えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和炭化
水素類、例えばジエチルエ−テル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエ−テル類、例えばアセトン、メチ
ルエチルケトン等のケトン類、例えばアセトニトリル、
プロピオニトリル等のニトリル類、例えばジメチルスル
ホキシド等のスルホキシド類、例えばN,N-ジメチルホル
ムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等の酸アミド類、
例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、例えば
メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、イソプロパノ
−ル等のアルコ−ル類等が用いられる。これらの有機溶
媒は単独で用いることもできるし、また必要に応じて二
種またはそれ以上の多種類を適当な割合例えば約1:1
〜約1:10の割合で混合して用いてもよい。有機溶媒
の添加量は、通常水1容量に対し、有機溶媒約0.3容
量以下、好ましくは約0.01ないし約0.3容量であ
る。反応混合物は通常二相となるので、例えばトリエチ
ルベンジルアンモニウムクロリド、トリn-オクチルメチ
ルアンモニウムクロリド、トリメチルデシルアンモニウ
ムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、セチ
ルピリジニウムブロミド等の四級アンモニウム塩やクラ
ウンエ−テル類等の相間移動触媒の存在下に反応を行っ
てもよい。有機溶媒が添加され、反応温度が100℃付
近に上昇しない場合は転位反応が遅く、場合によっては
停滞するので、反応温度が100℃付近を越えるまで溶
媒を留去するか、耐圧反応装置等を使用して強制的に反
応温度を上げることもできる。
【0008】反応温度は、圧力、有機溶媒の種類・濃度
によって異なるが、好ましくは約90℃〜約150℃の
範囲、さらに好ましくは約90℃〜約110℃の範囲、
最も好ましくは100℃付近(約95℃〜約105℃の
範囲)である。90℃未満でも化合物〔III〕と化合物
〔IV〕との反応自体は進行する場合が多いが、化合物
〔I〕への転移が不充分となる。従って、例えば室温〜
約90℃でまず反応させたのち、上記温度に加熱して転
移を促進させてもよい。反応は、通常常圧ないしは10
気圧程度の加圧下で行うことができる。好ましくは常圧
下で行われる。なお、化合物〔III〕として2,3−ジク
ロロ−1−プロペンを使用し、常圧下、溶媒として水を
用いた場合は、80℃付近から水との共沸が始まるが、
反応の進行と共に還流温度が上昇し、通常最終的には1
00℃を越える。反応時間は通常、約30分〜50時
間、好ましくは約2時間〜10時間の範囲である。反応
は、通常、空気雰囲気下もしくは不活性ガス(例、窒素
ガス,アルゴンガス等)雰囲気下で行われる。反応は好
ましくは、不活性ガス(例、窒素ガス,アルゴンガス
等)雰囲気下で行われる。このようにして得られたイソ
チオシアン酸2−ハロゲノアリル〔I〕は、自体公知の
手段により精製することができる。該精製手段として
は、例えば濃縮、減圧濃縮、蒸留、分留、溶媒抽出、液
性変換、転溶、クロマトグラフィ−等が挙げられる。特
に溶媒が水のみの場合は、過剰のチオシアン酸塩〔IV〕
及び副生する無機塩が通常水層に溶解するので、後処理
操作が極めて簡便となる。
【0009】本製造法の原料となる1−プロペン誘導体
〔III〕は市販されているか、プロパン誘導体〔V〕と
塩基とを反応させることにより製造することができる。
【数3】 (式中、X3は脱離基を、その他の記号は前記と同意義
を示す。) X3で示される脱離基としては、X2で示される脱離基と
同様のものが用いられる。X3としては、ハロゲン原子
が好ましく、塩基原子が特に好ましい。塩基としては、
例えば炭酸水素アルカリ金属(例、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム等)、炭酸アルカリ金属(例、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、水酸化アルカリ金属
(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、水酸化
アルカリ土類金属(例、水酸化カルシウム等)、アルキ
ルリチウム(例、ブチルリチウム等)、アリールリチウ
ム(例、フェニルリチウム等)、アルキル金属アミド類
(例、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミ
ド等)、水素化アルカリ金属(例、水素化ナトリウム、
水素化カリウム等)、アルカリ金属アルコシキド(例、
ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)、ア
ルカリ金属(例、金属ナトリウム、金属カリウム等)な
どの無機塩基、例えばトリエチルアミン、トリブチルア
ミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、ピコリ
ン、ルチジン、コリジン、5−エチル−2−メチルピリ
ジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1,8−ジア
ザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(以下DBU
と略称する。)などの有機塩基が用いられる。特に好ま
しい塩基は水酸化ナトリウムである。
【0010】化合物〔V〕に対し塩基は約0.8〜5当
量、好ましくは約1〜1.5当量用いられるが、反応に
支障がない場合は大過剰量用いてもよい。反応は通常、
本発明の製造法で述べたような有機溶媒や水もしくはこ
れらの混合溶媒中で行われ、反応混合物が均一相でない
場合は、上述したような相間移動触媒を用いてもよい。
反応温度は通常0〜200℃、好ましくは50〜150
℃の範囲である。反応時間は通常約10分〜50時間、
好ましくは約30分〜6時間の範囲である。特に好まし
い溶媒は水で、相間移動触媒として四級アンモニウム塩
(塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化トリオク
チルメチルアンモニウム等)を触媒量(化合物〔V〕に
対して約0.2〜0.001当量)用いるのが好ましい。
2,3−ジクロロ−1−プロペンの場合、例えばシンセ
シス(Synthesis)1982年494頁及び特開昭63
−5037等に記載の方法が利用できる。化合物〔II
I〕は例えば上記方法で製造した後、単離精製すること
なく、あるいは精製操作を加えることなく、チオシアン
酸塩〔IV〕と反応させることができる。もちろん、市販
の化合物〔III〕や単離精製したものを用いても構わな
い。化合物〔IV〕は通常市販されている。化合物〔V〕
は市販されているか、公知(J. Am. Chem. Soc., 3432
頁, 61巻(1939)及び特開昭61−68432)又はそれ
と類似の方法で製造することができる。
【0011】
【実施例】次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定解釈される
べきものではない。実施例におけるプロトンNMRスペ
クトル(1H NMR)はブルカーAC−200P型スペクト
ロメ−タ−で測定し、テトラメチルシランを内部基準と
して用い、全δ値をppmで示した。なお、下記実施例で
用いる略号は、次のような意義を有する。dd:ダブルダ
ブレット、dt:ダブレットトリプレット、J:結合定
数、Hz:ヘルツ、CDCl3:重クロロホルム。また室温と
あるのは約15〜25℃を意味する。
【0012】実施例1 2,3−ジクロロ−1−プロペン (1.12 kg, 10.1 mo
l),チオシアン酸カリウム (0.99 kg, 10.1 mol)及び水
(2.02 L)を混合し、窒素気流下にて撹拌しながら徐々に
加熱した。反応混合液は、約80℃前後より加熱還流が
起こり、その後徐々に還流温度が上昇し、5時間後には
104℃に達した。合計6時間加熱還流した後、反応液
を室温まで冷却し有機層を分液分取した。これを、水
(1.00 L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、イ
ソチオシアン酸2−クロロアリルを粗収量1.27kgで
得た。 沸点64〜68℃/10〜13mmHg。1 H NMR (CDCl3) δ=4.25 (2H, dd, J=1.3, 1.0 Hz),
5.45 (1H, dt, J=2.3, 1.0 Hz), 5.55 (1H, dt, J=2.3,
1.3 Hz)。
【0013】実施例2 2,3−ジクロロ−1−プロペン (1.07 kg, 9.36 mo
l),チオシアン酸カリウム (0.91 kg, 9.32 mol)及び水
(1.86 L)を混合し、窒素気流下にて撹拌しながら徐々に
加熱した。反応混合液は、約75℃前後より加熱還流が
起こり、その後徐々に還流温度が上昇し、4時間後には
108℃に達した。合計8時間加熱還流した後、反応液
を室温まで冷却し有機層を分液分取した。ヘキサン(1
00ml)で水層を抽出し、これと合わせて水(1.00 L)
で2回洗浄したのち無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ヘ
キサンを留去した。残留物を120℃で2時間加熱した
のち冷却し、ヘキサン (8.00 L) を加え約1時間激しく
撹拌した。本懸濁溶液を室温で2時間静置したのち、不
溶物をデカンテーションで取り除いた。ヘキサン溶液を
減圧下にて濃縮し、イソチオシアン酸2−クロロアリル
を粗収量1.1kgで得た。NMRスペクトルは実施例1と同
一であった。
【0014】実施例3 2,3−ジクロロ−1−プロペン(578 g, 5.05 mol),チ
オシアン酸ナトリウム(409 g, 5.00 mol) 及び水 (1.00
L) を混合し、窒素気流下にて撹拌しながら徐々に加熱
した。反応混合液は、約75℃前後より加熱還流が起こ
り、その後徐々に還流温度が上昇し、4時間後には10
4℃に達した。合計5時間加熱還流した後、反応液を室
温まで冷却し有機層を分液分取した。有機層を水(500 m
l)で2回洗浄したのち無水硫酸マグネシウムで乾燥し、
イソチオシアン酸2−クロロアリルを粗収量580gで
得た。NMRスペクトルは実施例1と同一であった。
【0015】実施例4 2,3-ジクロロ-1-プロペン(45.8 g, 0.40 mol),チオ
シアン酸アンモニウム(36.9 g, 0.48 mol)及び水(90ml)
を混合し、撹拌しながら徐々に加熱した。反応混合液
は、約83℃前後より加熱還流が起こり、その後徐々に
還流温度が上昇し、103℃に達した。合計5時間加熱
還流した後、反応液を室温まで冷却し有機層を分液分取
した。クロロホルム(100 ml)で水層を抽出し、有機層と
合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶液を減圧
下濃縮し、イソチオシアン酸2−クロロアリルを粗収量
46.8gで得た。NMRスペクトルは実施例1と同一であ
った。
【0016】実施例5 水酸化ナトリウム(22.9 g,0.55 mol)を水88mlに溶解
させた溶液に塩化トリオクチルメチルアンモニウム(2.
00 g,5.00 mol)及び1,2,3−トリクロロプロパン
(73.7 g, 0.50 mol)を加え、3時間加熱還流した。約
50℃まで冷却後、有機層を分離、水洗した。この有機
層を水100mlとチオシアン酸カリウム(55.7 g,0.55
mol)の混合液に加え、窒素気流下で3時間加熱還流し
た(還流温度90〜104℃)。室温付近まで冷却後、
有機層を分取し、水層をヘキサン(50 ml)で抽出し
た。ヘキサン層と分取した有機層とを合わせて無水硫酸
マグネシウムで乾燥後ヘキサンを留去し、粗収量61.
0gでイソチオシアン酸2−クロロアリルを得た。NMR
スペクトルは実施例1と同一であった。
【0017】比較例(トルエン中での反応) 2,3-ジクロロ-1-プロペン(11.4 g, 0.1 mol),チオ
シアン酸アンモニウム(10.3 g, 0.11 mol)及びトルエン
45mlを加熱還流下で2時間撹拌したが、ほとんど反応し
なかった。
【0018】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、それ自体殺線
虫作用を有し、また医薬や農薬等の中間体等として有用
なイソチオシアン酸2−ハロゲノアリル〔I〕を収率よ
く一工程で工業的に大量生産できる。また、溶媒が水の
みの場合は、過剰のチオシアン酸〔IV〕及び副生する無
機塩が通常水層に溶解するので、後処理操作が極めて簡
便となる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−55867(JP,A) 特開 平6−256326(JP,A) 特開 平4−234864(JP,A) 特公 昭49−33166(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 331/16 - 331/22 CA(STN) REGISTRY(STN) CASREACT(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 (式中、X および、各々、塩素を示す。)で表
    される化合物と、式 M(SCN)n [IV] (式中、Mは金属またはアンモニウム基を、nはMの原
    子価を示す。)で表されるチオシアン酸塩とを、水の存
    在下、相間移動触媒不存在下に90〜150℃で加熱す
    ることを特徴とする式 【化2】 (式中、X塩素を示す。)で表される化合物の製造
    法。
  2. 【請求項2】 95〜105℃で加熱する請求項1記載
    の製造法。
  3. 【請求項3】 Mがアルカリ金属またはNH である
    請求項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】 式 【化3】 (式中、XおよびXは上記と同意義を、X塩素
    を示す。)で表される化合物と塩基とを反応させて得ら
    れる上記化合物〔III〕と上記化合物〔IV〕とを、水の
    存在下、相間移動触媒不存在下に90〜150℃で加熱
    する請求項1記載の製造法。
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