JP3319943B2 - 建設作業機におけるブーム揺動シリンダの保護装置 - Google Patents

建設作業機におけるブーム揺動シリンダの保護装置

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JP3319943B2
JP3319943B2 JP11280196A JP11280196A JP3319943B2 JP 3319943 B2 JP3319943 B2 JP 3319943B2 JP 11280196 A JP11280196 A JP 11280196A JP 11280196 A JP11280196 A JP 11280196A JP 3319943 B2 JP3319943 B2 JP 3319943B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バックホー、パワ
ーショベル等の建設作業機におけるブーム揺動シリンダ
の保護装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】バックホー等の建設作業機は、旋回機体
の前部にブームシリンダの作動によって上下揺動するブ
ームを支持し、該ブームの上端部にアームシリンダの作
動によって前後揺動するアームの上端部を支持し、該ア
ームの下端部に作業装置用シリンダの作動によって前後
揺動する作業装置を着脱自在に支持している。また、ブ
ームシリンダは、前記ブームの前方に配置されており、
アーム先端の作業装置としては、各種作業に対応するべ
くバケットや油圧ブレーカー等を取り付けるようにして
いる。
【0003】ところで、上記のバックホーを旋回させる
際等には、旋回半径を小さくするためにブーム,アー
ム,作業装置を折り畳んだ状態(それぞれブーム又はア
ーム、作業装置を上方又は後方に揺動配置した状態)と
する必要があるが、アーム先端に油圧ブレーカーを取り
付けた場合、このようにブーム等を折り畳んだ状態とす
ると、アーム下端に設けた油圧ブレーカーのチゼルがブ
ームシリンダに接触することがあり、この接触によって
ブームシリンダを破損する恐れがある。そのため、この
ようなブームシリンダの破損を防止するために、該シリ
ンダの前方に保護装置を設けるようにしている。
【0004】この保護装置は、図8に示すように、横断
面略コ字状に形成された保護カバー50にてなり、前記
ブームシリンダの前面に対応して前向きに配置される前
壁部分50aと、該前壁50aの左右両側部から90°
屈曲して後方に延設される左右側壁50bとを有してい
る。そして、保護カバー50の上端部をブームシリンダ
51のロッド部51b先端部にボルト固定し、保護カバ
ー50の側壁50b内側面に形成したガイド溝50cに
ブームシリンダ51のシリンダ部51a上部に設けたプ
レート52が係合しており、ロッド部51bがシリンダ
部51aに対して伸縮すると、これに伴って保護カバー
50がシリンダ部50に沿って上下動するように取り付
けられている。
【0005】また、前記保護カバー50を2重の構造と
して一方を上記のようにシリンダのロッド部51bに固
定し、他方をシリンダ部51aに固定するようにしたも
のがあり、これらはブームシリンダ51の伸縮に伴って
相対上下動するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような保護カバ
ー50にあっては、アームの先端に取り付けた油圧ブレ
ーカー53のチゼル53aが接触した場合に、保護カバ
ー50の前壁50a部分でチゼル53a(図8(b)参
照)からの衝撃をそのまま受けることとなって保護カバ
ー50が大きく変形してしまう恐れがあり、このように
保護カバー50が大きく変形すると、ブームシリンダ5
1やこのシリンダ51の油圧配管に対しても損傷を与え
る可能性が大となる。
【0007】また、ブームシリンダ51のロッド部51
bが伸縮する際には、プレート52、ガイド溝50cに
よって案内されて保護カバー50も共に上下動するが、
上記のように保護カバー50が大きく変形した場合に
は、該カバー50がブームシリンダ51に接触したりガ
イド溝50c等が変形したりしてカバー50の上下動が
スムーズになされなくなることがあり、このような場合
にはロッド部51bの伸縮動作に抵抗を与えるものとな
ってしまう。また、保護カバーは、ブームシリンダに対
してボルト等で固定していることからブームシリンダに
は雌ネジ加工等を施す必要が生じ、このような加工はコ
ストアップの原因となっている。
【0008】そして、保護カバー50を2重の構造とし
た場合には、内側に配置したものと外側に配置したもの
との隙間から土,砂等が入り込んで詰まりを生じ、内,
外のカバーの相対上下動がスムーズに行われなくなるこ
とがあり、これによってもブームシリンダの伸縮動作に
抵抗を与えるようになってしまう。そこで、本発明は、
上記のような作業装置の衝突による保護カバーの変形を
防止することで、ブームシリンダ等の損傷を防ぎ、ま
た、ブームシリンダの伸縮動作を円滑に行うことができ
るようにすることを目的とする。
【0009】また、本発明は、ブームシリンダにネジ加
工等の加工を施すことなく、保護カバーを取付けること
を可能としてコストダウンを図ることを目的とする。そ
して、本発明は、2重構造の保護カバーであって内側と
外側のカバー間の隙間への土,砂の侵入、詰まりを防止
することでブームシリンダの伸縮を円滑に行えるように
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の目的を
達成するために以下の技術的手段を講じた。すなわち、
作業機1の機体3に上下揺動自在に支持したブーム9の
上端部に前後揺動自在にアーム10の上端部を支持する
とともに該アーム10の下端部に前後揺動自在に作業装
置11を支持し、前記ブーム9を揺動動作するブームシ
リンダ13を、そのシリンダ部13aを下側としかつロ
ッド部13bを上側としてブーム11前方に配置すると
ともに、該ブームシリンダ13の前方に、ブームシリン
ダ13を作業装置11の接触から保護するべくブームシ
リンダ13の長手方向に沿った保護カバー17を設けた
建設作業機のブーム揺動シリンダの保護装置であって、
前記保護カバー17は、前記シリンダ部13aを覆うよ
うに同シリンダ部13aに固定される内カバー18と
前記ロッド部13bを覆うように同ロッド部13bに固
定されていて内カバー18に対して前側で重合し且つブ
ームシリンダ13の伸縮に伴い内カバー18に対してブ
ームシリンダ13の長手方向に相対移動する外カバー1
9とからなり、前記内カバー18及び外カバー19は、
前記作業装置11が接触した際に該作業装置11をブー
ムシリンダ13の左右中途部側から後左右外方へと逃が
すように左右中途部が前方突出状に屈曲し左右外側が
後方へ傾斜する逃げ面とされた横断面くの字型に形成さ
れ、且つこの横断面形状が互いに沿った形状とされてお
り、 前記外カバー19には前記内カバー18の後側に係
合するガイド片19cが設 けられていることを特徴とし
ている。
【0011】これによれば、アーム10の先端に作業装
置として油圧ブレーカー11を取り付けた場合に、ブー
ム9,アーム10,油圧ブレーカー11を折り畳んでこ
の油圧ブレーカー11のチゼル11aが保護カバー17
に接触するようなことがあっても、このチゼル11a先
端が、保護カバー17(内,外カバー18,19)に形
成した逃げ面によって左右外方へ逃げるような移動を促
され、これにより保護カバー17に対しての衝撃が少な
くなり変形を防止できる。また、内カバー18と外カバ
ー19との横断面形状に互いに沿った形状としているこ
とから、内,外カバー18,19が重合した部分におい
ては、外カバー19に対してチゼル11aが接触した場
合に、内カバー18が外カバー19の後側で支えとなっ
てその変形を阻止するように働き、該外カバー19の変
形を最小減に防止できる。
【0012】また、本発明は、前記内カバー18は、こ
の内カバー18と、ブームシリンダ13のシリンダ部1
3aの後側に配置した抑え部材33とによって前記シリ
ンダ部13aを挟み込むことで該シリンダ部13aに固
定されることを特徴としている。これによれば、ブーム
シリンダ13にボルト固定のための雌ネジ等を形成する
必要もなく、また容易に着脱ができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る
建設機械を示しており、この建設機械1は、クローラ走
行装置2上に縦軸心回りに回転自在な旋回機体3を備
え、旋回機体3上には運転座席4、操縦レバー5等より
なる運転部6が設けられ、該旋回機体3の前部に掘削装
置7を備えたバックホーである。掘削装置7は、旋回機
体3の前部に縦軸心回りに左右揺動自在に備えた揺動ブ
ラケット8と、該揺動ブラケット8の上部に、左右軸心
回りに上下揺動自在に基端部が支持されたブーム9と、
該ブーム9の上端部に、左右軸心回りに前後揺動自在に
上部が支持されたアーム10とを有している。そして、
このアーム10の先端部(下端部)には作業装置11が
前後揺動自在に取り付けられるようになっている。
【0014】なお、この作業装置11としては、通常掘
削作業用にバケットが取付けられるようになっている
が、各種作業に対応するべくこのバケットの替えてアタ
ッチメント装置を取り付けることができるようになって
おり、本実施形態においては、バケットに替えて油圧ブ
レーカー11を取付けている。前記ブーム9は、揺動ブ
ラケット8の前部に基端部(シリンダ部13a)側が上
下揺動自在に支持されるとともに上端部(ロッド部13
b)側がブーム9前部の上下中途位置に枢結された油圧
シリンダよりなるブームシリンダ13の作動によって上
下に揺動動作するようになっている。またアーム10
は、ブーム9後部の上下中途位置に基端部側が枢結され
るとともに先端部側がアーム10の上端部に枢結された
油圧シリンダよりなるアームシリンダ14の作動により
前後に揺動動作するようになっている。また、油圧ブレ
ーカー11はアーム10の先端部に前後揺動自在に枢結
されており、アーム10の上部側にその基端部側が枢結
されるとともに先端部側が前記油圧ブレーカー11に枢
結される油圧シリンダよりなる作業機器用シリンダ15
の作動によって前後に揺動動作するようになっている。
【0015】前記ブームシリンダ13の前方には該シリ
ンダ13を外部(油圧ブレーカー11におけるチゼル1
1a等)から保護し、シリンダ13の損傷を防止するた
めの保護カバー17が設けられている。この保護カバー
17は、図2にも示すように、ブームシリンダ13にお
けるロッド部13bの前方を主に覆うようにした外カバ
ー19と、シリンダ部13aの前方を覆うようにした内
カバー18との2重構造をなしており、この内,外カバ
ー18,19によってブームシリンダ13の長手方向に
沿って覆うようにしている。この内カバー18及び外カ
バー19は、それぞれシリンダ部13a、ロッド部13
bに対応して上下に長い鋼板を横断面左右中途部が前方
突出状の略く字状に屈曲形成してなり、図1に示すよう
に内,外カバー18,19の屈曲部分18a,19aが
ブームシリンダ13における左右略中央に対応して配置
されるとともに平板部分が屈曲部分18a,18bより
後左右外方へ傾斜する傾斜壁18b,19bとなってい
る。また、前記内カバー18と外カバー19とは、その
横断面が互いに沿ったく字形状とされている。
【0016】内カバー18はブームシリンダ13におけ
るシリンダ部13aに溶接等で固定された支持ブラケッ
ト20を介してこのシリンダ部13aに固定されてい
る。そして、外カバー19は内カバー18に対して前側
に配置されていて、外カバー19の上端部に設けた側面
略L字状のブラケット21がロッド部13b先端にボル
ト固定されることでこのロッド部13bに支持されてい
る。また、外カバー19の下部側には、図1にも示すよ
うに略L字状に形成されたガイド片19cが内カバー1
8の裏面から後方に突出するとともにこのガイド片19
cと外カバー19の裏面とによってガイド溝19dが形
成されていて、このガイド溝19dに前記内カバー18
の左右側端部が係合している。
【0017】したがって、外カバー19は、ロッド部1
3bの伸縮に伴ってブームシリンダ13のシリンダ部1
3aに固定の内カバー18に対して上下に移動するとと
もに、その下部側がガイド溝19dを介して内カバー1
8の左右側端部に沿って上下に案内されるようになって
いる。これにより、ロッド部13bが伸長した際には、
内カバー18によってシリンダ部13aを、外カバー
によって主にロッド部13bを覆い、ロッド部13b
が縮んだ際には内,外カバー18,19によって2重に
シリンダ部13aを覆うようになっている。
【0018】上記のようなバックホー1において、旋回
機体3を旋回させる場合等には、旋回半径を極力小さく
するためにブーム9、アーム10、油圧ブレーカー11
をそれぞれ上方又は後方に揺動配置して折り畳むように
するが、このような場合に、油圧ブレーカー11のチゼ
ル11a先端が保護カバー17に接触することがある。
この際に、内,外カバー18,19は、ブームシリンダ
13の左右略中央から左右外方へ後方に傾斜する傾斜壁
18b,19bを有しているため、また油圧ブレーカー
11におけるチゼル11aは、装置本体11bに対して
若干遊びをもってその先端部分の自由移動を許容するよ
うに支持されているため、左右中途部側が前方突出状と
なる前記傾斜壁18b,19bの前面がチゼル11aに
対する逃げ面となり、この逃げ面に沿ってチゼル11a
先端が左右外側方へと滑って逃げるよう移動し、内,外
カバー18,19への衝撃を緩和する。これによって
内、外カバー18,19の変形等を極力防止することが
できるとともに、ブームシリンダ13の損傷が防止され
る。また、内,外カバー18,19の変形が防止される
ので、外カバー19と内カバー18との相対上下移動に
支障を生じることが少なく、ロッド部13aの伸縮動作
に対して抵抗もなくスムーズに伸縮できるようになる。
なお、内,外カバー18,19は、上記の逃げ面として
の作用を好適に得るうえでその屈曲角度を90°〜12
0°とするのが好ましい。
【0019】そして、内カバー18と外カバー19とが
重合している部分においては、ブームシリンダ13に対
するカバー効果も大となり、該シリンダ13の保護を厚
くしているとともに、内カバー18と外カバー19との
横断面形状が互いに沿った形状となっていることから重
合部分では、外カバー19の後側で内カバー18が支え
るようになり外カバー19の変形を阻止するようになっ
ている。また、内カバー18及び外カバー19とは、そ
れぞれ略く字状に形成しているため、前後方向の負荷に
対する剛性が高められており、これらカバーの強度向上
を図っている。
【0020】そして、内カバー18における支持ブラケ
ット21のシリンダ部13aに対する固着部分は該シリ
ンダ部13aの前側面に亘って左右に広く形成されてい
るので、油圧ブレーカー11のチゼル11aの接触によ
る内カバー18からの衝撃を広範囲で分散し、シリンダ
部13aに局部的な強い衝撃を与えないようにしている
図4及び図5は、保護カバー17における第2の実施形
態を示している。この保護カバー17は、ブームシリン
ダ13のシリンダ部13aの前方を覆う外カバー29
と、主にロッド部13bの前方を覆う内カバー28とを
有している。
【0021】内カバー28は、前記ブームシリンダ13
の左右略中央に対応し、前向きに配置された前壁28a
と、この前壁28aの左右両側端から後左右外方に傾斜
する傾斜壁28bとを有する略台形状に形成されてお
り、鋼板等を屈曲成形することによりなっている。ま
た、外カバー29は、ブームシリンダ13の左右略中央
に対応し前向きに配置された前壁29aと、この前壁2
9aの左右側端部から後左右外方に傾斜する傾斜壁29
bとを有していて略台形状に形成され、さらに、この傾
斜壁29bの左右外方端部から後左右内方に突出する連
結片29cを有し、これら前壁29a,傾斜壁29b、
連結片29cとは鋼板等を屈曲成形してなっている。
【0022】また、外カバー29の後側には、横断面が
内カバー28、外カバー29に略沿った形状でその後面
がブームシリンダ13におけるシリンダ部13aの前外
側面に略沿うように屈曲形成された裏当板30を備えて
いる。そして、外カバー29の連結片29cの後端部
と、裏当板30の左右側端部とが溶接等で固着されてい
て、外カバー29と裏当板30とで筒形状を成すように
なっている。前記外カバー29における連結片29c部
分には、後方へ突出する左右一対の取付ボルト32が外
カバー29の上下に間隔をおいて複数箇所に設けられて
おり、この左右のボルト32間にブームシリンダ13の
シリンダ部13aを配置するとともに、前記裏当板30
の裏面と、左右のボルト32が挿通する挿通孔33aを
形成した板状の押さえ部材33とよってシリンダ部13
aを挟み込むようにし、前記ボルト32に押さえ部材3
3の後方からナット34を螺合して締めつけることによ
りシリンダ部13aに外カバー29を固定するようにし
ている。これにより、溶接や、シリンダ部側にネジ孔等
を形成する必要もなく簡単に外カバーの着脱ができるよ
うになっている。
【0023】ブーム9前部の中途位置には左右一対の支
持板36が形成されており、支持板間36にブームシリ
ンダ13のロッド部13b先端が配置されている。この
左右支持板36の内側面には筒ボス36aが形成されて
おり、この筒ボス36aとロッド13b先端部とに支軸
ピン37が挿通されていて支軸ピン37の軸心回りにロ
ッド部13b先端部が回動自在に枢支されている。そし
て、内カバー28の上端部には上方へ突出する取付片2
8cを形成しており、この取付片28cには、U字状に
形成されていてその両端部に雄ネジを形成した左右一対
の連結ボルト38の両端部が挿通可能となっている。そ
して、この左右の連結ボルト38の二股間に前記支持板
36の左右筒ボス36aが位置するように連結ボルト3
8を筒ボス36aに係合させるとともに、連結ボルト3
8の両端部を内カバー28の支持板28cに後方から挿
通し、支持板28cの前面側から連結ボルト38にナッ
ト39を螺合することで内カバー28の上端部分が筒ボ
ス36aに対して回動自在に支持されるようにしてい
る。これにより、ブームシリンダ13のロッド部13b
に内カバー28を取り付けるために、ネジ孔等を形成し
たりするような必要もなく、容易に内カバー28を着脱
できるようになっている。
【0024】そして、内カバー28は、外カバー29の
後側に配置され且つ外カバー29と裏当板30とで形成
した筒の上部側から筒内に挿通されるようになってお
り、したがって、シリンダ13のロッド部13aの伸縮
に伴い、シリンダ部13aに固定の外カバー29に相対
して、内カバー28が筒内で上下に案内されて移動する
ようになっている。前記外カバー29の裏面(後面)側
には、前壁29aに対応し且つ外カバー29の上下に亘
って補強部材40が設けられている。この補強部材40
は長方形板材よりなり、外カバー29の裏面に溶接等で
固着しており、この前壁29a部分の板厚を厚くし、強
度を高めている。
【0025】本実施形態においては、上記したように油
圧ブレーカー11のチゼル11a部分が保護カバー17
に接触した場合に、内,外カバー28,29の前壁28
a,29aにおいては補強部材40によって変形を阻止
し、また、油圧ブレーカー11のチゼル11a先端部は
前記したように若干の自由移動を許容するため、左右中
途部側が前方突出状となる前記傾斜壁28b,29bの
前面がチゼル11aに対する逃げ面となり、この逃げ面
に沿ってチゼル11a先端を左右外方に逃がして衝撃を
緩和するようになる。これにより、カバーの変形を防止
し、ブームシリンダ13の損傷を防ぐことができる。
【0026】また、ロッド部13bが縮んだ状態におい
ては、外カバー29、内カバー28、裏当板30とによ
り3重にシリンダ部13aを覆うようになり、シリンダ
部13aの破損を確実に防止できる。そして、外カバー
29は筒形状を成しているため、外カバー29に対して
油圧ブレーカー11のチゼル11aが衝突した衝撃を筒
内の空間で緩衝し、シリンダ部13aに対して衝撃を伝
えにくくし、また、伝わった衝撃は、裏当板30がシリ
ンダ部13aの前側面に広範囲で接触していることから
分散されるようになり、局部的に強い衝撃をシリンダ部
13aに与えないようにしている。
【0027】なお、前記内カバー28についても、外カ
バー29裏面に設けたような補強部材40をその前壁2
8aに対応して設けるようにしてもよい。図6及び図7
は、保護カバー17における第3の実施形態を示してお
り、その9本構成は上記第2の実施形態と同様である
が、第2の実施形態における補強部材40を設けていな
い点で相違し、そして、外カバー29の上端部の縁部で
は、外カバー29の裏面と、内カバー28の表面(前
面)との間の隙間が小さくなるように鍔部材41が設け
られている。
【0028】この鍔部材41は鋼板等よりなり、外カバ
ー29裏面の形状に沿って屈曲成形されており、この外
カバー29裏面の上端に溶接等で固着されている。した
がって、外カバー29の上端部分においては、この鍔部
材41が外カバー29の裏面より後方へ突出するように
なるので、内カバー28前面との隙間T1が小さくな
り、鍔部材41よりも下方側においては、内カバー28
前面との隙間T2が広くなっている。これにより、内,
外カバー28,29の隙間T1から土砂等が侵入しにく
くなり、両カバー28,29間が土、砂で詰まるのを防
止し、内,外カバー28,29間の相対移動に支障がな
いようにしている。また、前記隙間T1から土,砂等が
侵入したとしても、鍔部材41よりも下方側における
内,外カバー28,29間の隙間T2は広くなっている
ため、侵入した土砂を下方へと出しやすくなり、土詰ま
りを確実に防止できる。
【0029】また、この鍔部材41は、比較的変形しや
すい外カバー29端部に設けていることから、この部分
に油圧ブレーカー11のチゼル11a等が接触した場合
にその変形を防止する補強にもなり、また、この鍔部材
41よりも下方位置においては、内,外カバー28,2
9間の隙間が広くなっていることから、油圧ブレーカー
11のチゼル11a等が接触して外カバー29が変形し
た場合であっても内カバー28との相対移動への影響を
少なくしている。なお、この鍔部材41は、外カバー2
9の上端部を後方へ屈曲形成することで設けるようにす
ることもできる。
【0030】本発明は、上記実施形態に限ることなく適
宜設計変更可能であり、例えば、上記第2、第3の実施
形態においては、内カバー28をロッド部13bに対し
て固定し、外カバー29をシリンダ部13aに対して固
定するようにしたが、これを上下逆にすることもでき、
この場合は、内,外カバー28,29の隙間に上方から
土,砂が侵入することがなくなり、第3の実施形態のよ
うな鍔部材41を設ける必要がなくなる。また、第1の
実施形態における保護カバーに、第2実施形態で示した
ような補強部材を設けるようにしてもよく、これによ
り、保護カバーの変形確実に防止して、ブームシリンダ
の損傷防止、円滑な伸縮動作を図ることができるように
なる。また、第1の実施形態で示した内カバーを、第
2,第3実施形態で示したように、内カバーと押さえ部
材によってブームシリンダのシリンダ部を挟み込むよう
にしてこのシリンダ部に取り付けるようにしてもよい。
【0031】また、第3の実施形態で示した外カバー
(裏当板)、内カバー、及び鍔部材の構成で、それぞれ
のカバーの前面の形状を第1の実施形態で示したような
略く字形状としてもよい。また、第2、第3の実施形態
においては、内カバー28上端部の支持板をロッド部1
3b先端に対して直接的にボルト固定するようにしても
よいし、第1の実施形態において内カバー19の上端部
をU字状ボルトによってブーム9のロッド部支持部分に
固定するようにしてもよい。
【0032】また、上記の保護カバーの形状についても
変更可能で保護カバーにおける前壁、傾斜壁をそれぞれ
円弧状に弯曲させるようにしてもよく、また保護カバー
全体をシリンダを囲むように円弧状に形成するようにし
てもよい。そして、本発明に係る保護カバーは、作業装
置として油圧ブレーカーを取りつけた場合に限らず、バ
ケット、その他アタッチメント機器を取り付けた場合に
も採用できる。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、作業機
の機体に上下揺動自在に支持したブームの上端部に前後
揺動自在にアームの上端部を支持するとともに該アーム
の下端部に前後揺動自在に作業装置を支持し、前記ブー
ムを揺動動作するブームシリンダを、そのシリンダ部を
下側としかつロッド部を上側としてブーム前方に配置す
るとともに、該ブームシリンダの前方に、ブームシリン
ダを作業装置の接触から保護するべくブームシリンダの
長手方向に沿った保護カバーを設けた建設作業機のブー
ム揺動シリンダの保護装置であって、前記保護カバー
は、前記シリンダ部を覆うように同シリンダ部に固定さ
れる内カバーと、前記ロッド部を覆うように同ロッド部
に固定されていて内カバーに対して前側で重合し且つブ
ームシリンダの伸縮に伴い内カバーに対してブームシリ
ンダの長手方向に相対移動する外カバーとからなり、
記内カバー及び外カバーは、前記作業装置が接触した際
に該作業装置をブームシリンダの左右中途部側から後左
右外方へと逃がすように左右中途部が前方突出状に屈
曲し左右外側が後方へ傾斜する逃げ面とされた横断面く
の字型に形成され、且つこの横断面形状が互いに沿った
形状とされており、前記外カバーには前記内カバーの後
側に係合するガイド片が設けられているので、アームの
先端に作業装置として油圧ブレーカーを取り付けた場合
に、ブーム,アーム,油圧ブレーカーを折り畳んでこの
油圧ブレーカーのチゼルが保護カバーに接触するような
ことがあっても、このチゼル先端は、保護カバー(内,
外カバー)に形成した逃げ面によって左右外方へ逃げる
ような移動を促され、これにより保護カバーに対しての
衝撃が少なくなり変形を防止できる。また、内カバーと
外カバーとの横断面を互いに略沿った形状としているこ
とから、内,外カバーが重合した部分においては、外カ
バーに対してチゼルが接触した場合に、内カバーが外カ
バーの後側で支えとなってその変形を阻止するように働
き、該外カバーの変形を最小に防止できる。これによ
り、ブームシリンダの損傷を防止し、また、ブームシリ
ンダにおけるロッド部の伸縮を円滑に行えるようにな
る。
【0034】また、本発明は、前記内カバーは、この内
カバーと、ブームシリンダのシリンダ部の後側に配置し
た抑え部材とによって前記シリンダ部を挟み込むことで
該シリンダ部に固定されるので、ブームシリンダにボル
ト固定のための雌ネジ等を形成する必要もなくコストダ
ウンを図っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、図2のA−A矢示図、(b)は、図
2のB−B矢示断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る保護装置の側面図
である。
【図3】本発明に係る建設作業機を示す全体側面図であ
る。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る保護装置の側面
図である。
【図5】(a)は、図4のC──C矢示図、(b)は図
4のD─D矢示断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る保護装置の側面
図である。
【図7】図6のE──E矢示断面図である。
【図8】従来例を示しており、(a)は保護装置を示す
斜視図、(b)は同横断面図である。
【符号の説明】
1 建設作業機 3 旋回機体 9 ブーム 13 ブームシリンダ 17 保護カバー 18,28 内カバー 19,29 外カバー 18b,28b 内カバーの傾斜壁 19b,29b 外カバーの傾斜壁 41 鍔部材
フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭62−35071(JP,U) 実開 昭60−85341(JP,U) 実開 昭64−37560(JP,U) 実開 平7−20349(JP,U) 実開 平5−71410(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02F 9/24 E02F 3/36 F15B 15/14 335

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作業機の機体に上下揺動自在に支持した
    ブームの上端部に前後揺動自在にアームの上端部を支持
    するとともに該アームの下端部に前後揺動自在に作業装
    置を支持し、前記ブームを揺動動作するブームシリンダ
    、そのシリンダ部を下側としかつロッド部を上側とし
    ブーム前方に配置するとともに、該ブームシリンダの
    前方に、ブームシリンダを作業装置の接触から保護する
    べくブームシリンダの長手方向に沿った保護カバーを設
    けた建設作業機のブーム揺動シリンダの保護装置であっ
    て、 前記保護カバーは、前記シリンダ部を覆うように同シリ
    ンダ部に固定される内カバーと、前記ロッド部を覆うよ
    うに同ロッド部に固定されていて内カバーに対して前側
    で重合し且つブームシリンダの伸縮に伴い内カバーに対
    してブームシリンダの長手方向に相対移動する外カバー
    とからなり、前記内カバー及び外カバーは、 前記作業装置が接触した
    に該作業装置をブームシリンダの左右中途部側から後
    左右外方へと逃がすように左右中途部が前方突出状
    屈曲し左右外側が後方へ傾斜する逃げ面とされた横断面
    くの字型に形成され、且つこの横断面形状が互いに沿っ
    た形状とされており、 前記外カバーには前記内カバーの後側に係合するガイド
    片が設けられていること を特徴とする建設作業機のブー
    ム揺動シリンダの保護装置。
  2. 【請求項2】 前記内カバーは、この内カバーと、ブー
    ムシリンダのシリンダ部の後側に配置した抑え部材とに
    よって前記シリンダ部を挟み込むことで該シリンダ部に
    固定されることを特徴とする請求項1に記載の建設作業
    機のブーム揺動シリンダの保護装置。
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