JP3318711B2 - パイ類食品及びパイ類食品の製造方法 - Google Patents

パイ類食品及びパイ類食品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、折りパイ生地を焼
成して製造されるパイ類食品及びその製造方法に関する
ものである。
【0001】
【従来の技術】従来、折りパイ生地を焼成したパイ類食
品の形態としては、パイ皮の薄い層が幾重にも重ねられ
たような内相(内部構造)が形成された角柱状、円柱状
等が一般的であるが、例えば、特開昭61−24933
8号公報には、パイ生地のみを使用してドーム状で半球
状のパイ菓子からなるパイ類食品の製造方法が提案され
ている。この半球状のパイ類食品の製造方法は、常法に
よりつくったパイ類用生地を焼きあげてパイ類食品を製
造する方法において、焼き上げられるパイ類用生地の1
ケ当たりの外周縁部をその膨化を阻上しうる程度の加圧
状態に保持して焼き上げることを構成とし、これによ
り、焼き上げられるパイ類食品は、特に中央部において
膨化が大きく、周縁部では非常に膨化が抑えられた略半
球状のものとなる。なお、本願発明とは関係がないが、
パイ生地を他の生地と組み合わせたものとして、特開平
6−327408号公報では、シュー生地をパイ生地で
被覆したものを焼成したド一ム状のパイ菓子が提案され
ており、さらに、特開平10−66502号公報では、
シューをパイで被覆したドーム状の菓子を大量生産する
場合に作業効率よく行うための製造方法として、シュー
生地の上に冷凍パイ生地を載置して焼成するパイ菓子の
製造方法が提案されている。また、特開平9−3084
32号公報では、パン生地をパイ生地で被覆したものを
焼成したドーム状の複合菓子パンが提案されている。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の特開
昭61−249338号公報で提案されている半球状の
パイ類食品の製造方法による場合にあっては、 そもそもパイ類食品のボリュームが小さく、さらに焼
成後は経時的にボリュームがなくなり、保形性に劣る、 パイ生地の上面が焼成されて半球状の表面となったに
すぎないので、従来のパイ菓子と同様に、外観的な目新
しさがない。 等の問題があった。本発明はこのような問題点に鑑みて
なされたもので、折りパイ生地を焼成することにより、
略ドーム状であり、保形性に優れ、ボリュームがあり、
サクサクした食感を有し、しかもその表面に独特の模様
のある新規な外観を有するパイ類食品及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ため、本発明のパイ類食品は、折りパイ生地を焼成して
製造されるパイ類食品において、外形を略ドーム状に形
成するとともに、表面に山形状の波形層が下側から頂点
側に向かって連続する複数の波紋状模様を形成した構成
としている。ここで、「略ドーム状」とは、必ずしも半
球状であるものに限らず、その垂直方向に高いものや低
いものでもよく、また左右対称でなくてもよく、おおよ
そドーム状に類する形状のものを広く含む概念である。
「山形状の波形層」とは、短幅の山形状の帯状の層であ
り、各波形層はパイ表面に連続して「波紋状模様」を形
成する視覚的にも視認できる層である。
【0004】詳しくは、本発明のパイ類食品は、その表
面に下から頂点付近に向かって広がる複数の波紋状模様
がある。これにより独特の模様のある新規な外観が得ら
れる。この模様は成形工程においてどのような形の生地
を使用するかにより、また、成形方法を変えることによ
り、様々なバリエーションのものとすることができ、例
えば、三角形の生地を使用し、成形工程において3箇所
の頂点から中心部に向けて折り曲げて重ねるようにした
場合は、焼成後の製品の表面に、下から頂点に向かって
3つの波紋状模様が形成される。
【0005】そしてまた、上記波紋状模様の各組を略対
称に形成した構成とすると、波紋状模様の組が対称配置
されるので、外観を安定感あるものにすることができ
る。
【0006】また、必要に応じ、内部に、薄皮状のパイ
クラム壁を間隔を隔てて複数形成して、該パイクラム壁
に囲まれた大小異なる不定形の空洞を複数形成した構成
としている。ここで、「パイクラム壁」とは、パイ生地
を焼成した場合に内部に形成される薄皮状の、油脂が湿
潤した壁の一つ一つのことをいう。詳しくは、特開昭6
1−249838号公報で提案されている半球状のパイ
類食品の内部横断面には(同公報4頁第1図参照)、地
図上で山地の尾根を表現する等高線のように、薄皮状の
パイクラム壁が比較的規則的に形成されるのに対して、
本発明のパイ類食品の内部には、薄皮状のパイクラム壁
と該パイクラム壁に囲まれた大小、不定形の空洞が形成
される。また、該パイクラム壁を表面付近部分ではほぼ
表面クラストに沿った方向に、比較的密に形成し、内部
中央部分では略水平方向に、比較的疎密に形成する構成
を特徴とする。更に、必要に応じ、上記の空洞の少なく
とも一部にフィリング類を充填した構成としている。即
ち、これらの空洞には、様々なものを含有させることが
でき、ここでは、フィリング等を注入している。菓子等
の応用範囲が広がる。
【0007】また、上記の問題点を解決するため、本発
明のパイ類食品の製造方法は、折りパイ生地を焼成して
製造されるパイ類食品の製造方法において、折りパイ生
地をその周縁上の端部を中心部に向けて折り曲げて重ね
る成形工程と、該成形された折りパイ生地をその重ねた
側が下側となるように凹状に窪んだ焼成型の中に載置す
る型入れ工程と、該焼成型で該折りパイ生地を焼成する
焼成工程とを備えた構成としている。「折りパイ生地」
は、小麦粉、油脂、卵、乳製品、塩、水等の原料を混捏
して小麦粉生地を作成し、この生地にロールイン用油脂
を折り込み、数回、畳みと圧延とを繰返して作成され
る。生地の層数は30〜200層程度とし、厚さが1〜
8mmのシート状の生地とするとよい。「折りパイ生
地」の形状はどのようなものでもよく、例えば、多角形
でも、円形でも、これらに類するものでもよいが、生地
を作成するときにロスが出にくいことから略正三角形、
略正方形、または略正六角形とすることが望ましい。そ
の中でも略正方形の生地を使用することが望ましい。略
正方形とすると、一定幅ごとに縦横に直角に切断すれば
作成できて生地作成の効率がよくなる。「凹状」(に窪
んだ焼成型)は、その内側が全体として湾曲していれば
よく、例えば、半球状でもよいし、お椀型でもよく、ま
た、釣鐘型でもよい。これにより、焼成工程で、パイ生
地が膨化していき、外形が略ドーム状に形成されるとと
もに、膨化する際に、パイ生地が折り曲げられた重ねた
端の部分がわずかにずれるように移動するので、折り曲
げられた部分の外輪形状に対応した山形状の波形層が下
側から頂点側に向かって連続する波紋状模様が表面に形
成されていき、本発明に係るパイ類食品が焼成される。
このパイ類食品は、上記のように、外形が略ドーム状に
形成され、保形性が優れ、ボリュームがあり、サクサク
した食感を有し、しかも、山形状の波形層の連続する波
紋状模様が表面に形成されるので、独特の模様のある新
規な外観が得られる。
【0008】そして、必要に応じ、上記成型工程におい
て、折りパイ生地をその周縁上のほぼ均等な間隔の複数
箇所の端部を中心部に向けて折り曲げて重ねる構成とし
ている。例えば、折りパイ生地をほぼ均等な間隔の3箇
所以上の端部から、中心部に向けて折り曲げて重ねるよ
うにする。これにより、波紋状模様の組がパイ表面に均
等に複数組形成される。すなわち、山形状の波形層によ
る波紋状模様が均等に配置されるので、外観を安定感あ
るものにすることができる。この場合、上記成型工程に
おいて、略正方形の折りパイ生地を用い、その4箇所の
頂点を中心部に向けて折り曲げて重ねることが有効であ
る。略正方形の生地を使用するので、一定幅ごとに縦横
に直角に切断すれば作成できて生地作成の効率がよくな
る。また、上記成形工程において、折りパイ生地の表面
に水等の接着剤を付着させることが有効である。粘着力
が加わり重なり部分が強く付着するので、成形後の工程
での成形生地の取り扱いが容易となる。
【0009】また、必要に応じ、上記成形工程後で、上
記型入れ工程前に、成形された折りパイ生地を冷蔵温度
でねかせるねかせ工程を備えた構成としている。これに
より、焼成時の生地の゛暴れ″が抑制され、焼成後の製
品形態が安定化し、製品間でのバラツキも抑えることが
できる。この場合、上記ねかせ工程の冷蔵条件を1℃〜
10℃で60分間以上、望ましくは2℃〜5℃で120
分間以上とすることが有効である。温度が低すぎると、
焼成時にボリュームがでにくくなる(“浮き”が悪くな
る)。温度が高すぎると、生地中の折り込み油脂が溶出
するおそれがある。時間が短すぎると、ねかせが足り
ず、生地の“暴れ”を十分に抑えられない。更に、必要
に応じ、上記焼成工程後に、パイ類食品内部に間隔を隔
てて複数形成された薄皮状のパイクラム壁によって囲ま
れた大小異なる不定形の複数の空洞の少なくとも一部に
フィリング等を充填する充填工程を備えた構成としてい
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の実施の形態に係るパイ類食品及びパイ類食品の製造方
法について説明する。図1乃至図7に示すように、本発
明の実施の形態に係るパイ類食品は、折りパイ生地1を
焼成して製造されるパイ類食品Pであって、外形が略ド
ーム状に形成されるともに、表面に山形状の波形層2が
下側から頂点側に向かって連続する波紋状模様3が形成
されている。波紋状模様3の組は、複数組(図では4組
(3a,3b,3c,3d))形成され、かつ、波紋状
模様3の各組は、ほぼ均等に形成されている。「山形状
の波形層2」とは、短幅の山形状の帯状の層であり、各
波形層2は表面に連続して「波紋状模様」を形成する視
覚的に視認できる層である。また、図3及び図4に示す
ように、内部には、薄皮状のパイクラム壁4が間隔を隔
てて複数形成され、パイクラム壁4に囲まれた大小異な
る不定形の空洞5が複数形成されている。図4に示すよ
うに、この空洞5の少なくとも一部にフィリング類6を
充填してもよい。
【0011】次に、この実施の形態に係るパイ類食品P
を製造する本発明の実施の形態に係るパイ類食品の製造
方法について説明する。実施の形態に係るパイ類食品P
の製造方法の基本的構成は、図5に示すように、(1)
成形工程と、(2)ねかせ工程と、(3)型入れ工程
と、(4)焼成工程と、(5)充填工程とからなる。以
下、各々の工程について詳しく説明する。
【0012】(1)成形工程 図6に示すように、折りパイ生地1をその周縁上の端部
を中心部に向けて折り曲げて重ねる工程である。折りパ
イ生地1は、小麦粉、油脂、卵、乳製品、塩、水等の原
料を混捏して小麦粉生地を作成し、この生地にロールイ
ン用油脂を折り込み、数回、畳みと圧延とを繰返して作
成される。この成型工程においては、図6に示すよう
に、折りパイ生地1をその周縁上のほぼ均等な間隔の複
数箇所の端部を中心部に向けて折り曲げて重ねるように
するとよく、例えば、図6に示すように、略正方形の折
りパイ生地1をその4つの頂点1aを中心部に向けて折
り曲げかつ中心部で合致させるようにして折り曲げて重
ねている。略正方形の生地を使用することが望ましい。
略正方形とすると、一定幅ごとに縦横に直角に切断すれ
ば作成できて生地作成の効率がよくなる。また、折りパ
イ生地1の表面に水等の接着剤を付着させる。水等の接
着剤の付着は、生地を折り曲げて重ねるにあたり、重ね
ようとする面にスプレー又は塗布して行う。これによ
り、粘着力が加わり重なり部分が強く付着するので、成
形後の工程での成形生地の取り扱いが容易となる。
【0013】(2)ねかせ工程 成形された折りパイ生地1を冷蔵温度でねかせる。この
ねかせ工程の冷蔵条件は、2℃〜5℃で120分間以上
としている。温度が低すぎると、焼成時にボリュームが
でにくくなる(“浮き”が悪くなる)。温度が高すぎる
と、生地中の折り込み油脂が溶出するおそれがある。時
間が短すぎると、ねかせが足りず、生地の“暴れ”を十
分に抑えられない。
【0014】(3)型入れ工程 図7(a)に示すように、成形された折りパイ生地1を
その重ねた側が下側となるように凹状に窪んだ焼成型1
0の中に載置する。焼成型10は、実施の形態では、そ
の内側が半球状に凹状に窪んでいる。この場合、該折り
パイ生地を凹状に窪んだ焼成型10の内面との間に、な
るべく空間をあけないように沿わすように載置した方が
よい。焼成時の生地膨化が安定し、完成製品の形態が一
定化する。
【0015】(4)焼成工程 図7(b)(c)に示すように、焼成型10で折りパイ
生地1を焼成する。上記型入れ工程において型入れされ
た状態で生地焼成を行うことにより焼成後のパイ類が独
特の外観及び内部構造を有し、ボリューム感、保型性に
優れたものとなる。詳述すると、焼成時の生地は、その
重なり部分11(図7(a))では比較的密なパイクラ
ム壁4を形成するように膨化し、逆に、内側中央部分で
は比較的疎密なパイクラム壁4を形成するように膨化す
ることから、焼成後のパイ類食品Pには、焼成型に接し
て焼成された頑丈な表面クラスト13(図7(c))と
重なり部分に由来するほぼ表面クラストに沿った方向で
あり、かつ、比較的密なパイクラム壁4の表面付近部分
と、略水平方向であり、かつ、比較的疎密なパイクラム
壁4の内部中央部分とが形成され、独特の外観及び内部
構造を有するものとなる。そしてまた、ほぼ表面に沿っ
た方向であり、かつ、比較的密なパイクラム壁が形成さ
れる表面付近部分が頑丈な表面クラストと共に焼成後の
パイ類全体を支えるように機能することにより、経時的
にボリュームがなくなることを防止して保型性に優れた
ものとなる。図7中、12は生地の重なり部分11に由
来する製品内部の比較的密なパイクラム壁が形成される
表面付近部分、13は波形層2が形成された頑丈な表面
クラストを指す。そして、パイクラム壁4に囲まれて空
洞5が形成されるが、該空洞5は、パイクラム壁4が比
較的密な表面付近部分では小さくなり、逆に比較的疎密
な内部中央部分では大きくなる。このことから、全体と
して、焼成後のパイ類食品Pは内部に、薄皮状のパイク
ラム壁4とパイクラム壁4に囲まれたランダムな大小、
不定形の空洞5が形成されることになる。
【0016】また、この焼成工程では、パイ生地1が膨
化していく際、外形が略ドーム状に形成されるととも
に、パイ生地1が折り曲げられた重ねた端の部分がわず
かにずれるように移動するので、折り曲げられた部分に
由来する山形状の波形層2が下側から頂点側に向かって
連続する波紋状模様3が表面に形成されていく。更に、
ねかせ工程で、生地をねかせているので、焼成時に生地
が暴れるおそれがなく、焼成後の製品が安定化し、製品
間でのバラツキも抑えることができる。即ち、成形した
生地をねかせることなくそのまま型入れしてもよいが、
その場合には成形直後に焼成すると焼成時に生地が“暴
れる”(パイ生地1がロールイン油脂の折り込み・圧延
時に進展された方向に縮むために形状が不安定になるこ
と)おそれがあるためである。
【0017】(5)充填工程 図4に示すように、パイ類食品P内部に略水平方向に延
び間隔を隔てて複数形成された薄皮状のパイクラム壁4
によって囲まれた大小異なる不定形の複数の空洞5の少
なくとも一部にフィリング等を充填する。このようにし
て製造されたパイ類食品Pは、外形が略ドーム状に形成
され、保形性が優れ、ボリュームがあり、サクサクした
食感を有し、しかも、山形状の波形層2の連続する複数
の波紋状模様3が表面に形成されるので、独特の模様の
ある新規な外観を有する。また、山形状の波形層2によ
る波紋状模様3が均等かつ略対称に配置されるので、外
観を安定感あるものにすることができる。また該パイ類
食品Pの内部構造は、詳しくは、上記もした生地の重な
り部分11に由来するほぼ表面クラスト13に沿った方
向であり、かつ、比較的密なパイクラム壁4(と該密な
パイクラム壁4に囲まれた比較的小さい空洞5が形成さ
れる)表面付近部分は、略水平方向であり、かつ、比較
的疎密なパイクラム壁4(と該疎密なパイクラム壁に囲
まれた比較的大きい空洞が形成される)内部中央部分と
からなり、前者は後者よりも保形性に優れており、しか
も、この保形性に優れた比較的密なパイクラム壁4は焼
成型10と接触して形成される表面クラストのすぐ内側
に形成されて(焼成後にはパイ類食品Pは型から外して
上下をひっくりかえされるので)、焼成後のパイ類食品
Pの最も頑丈な部分である表面クラストのすぐ内側を構
成することになる(図7参照)。従って、前記保形性に
優れた比較的密なパイクラム壁4が、前記頑丈な表面ク
ラストのすぐ内側を構成して、焼成後のパイ類食品P全
体を支えるように機能することにより、経時的にボリュ
ームがなくなることを防止することができ保形性にすぐ
れたものとすることができる。
【0018】次に、折りパイ生地1の別の成形方法つい
て説明する。図8に示す成形方法は、正三角形の折りパ
イ生地1をその3つの頂点を中心部で合致させるように
して折り曲げて重ねている。図9に示す成形方法は、正
六角形の3ケ所をその3つの頂点を中心部で合致させる
ようにして折り曲げて重ねている。また、必ずしも頂点
を中心部で合致させなくてもよく、例えば、中心部に届
かない程度で折り曲げてもよい。図10に示す成形方法
は、略正方形の折りパイ生地1をその4つの頂点を中心
部に届かない程度で折り曲げている。更に、必ずしも頂
点を中心部に真っ直ぐ向けなくてもよく、例えば、少し
ずつ左右どちらかにずらして折り曲げてもよい。図11
に示す成形方法は、略正方形の折りパイ生地1をその4
つの頂点を中心部に届かない程度で、かつ、頂点を中心
部に真っ直ぐ向けることなく左右どちらかにずらして折
り曲げている。更にまた、折りパイ生地1は、多角形に
限定されず、円形でも良い。図12に示す成形方法は、
円形の生地を折り曲げて重ねる場合を示し、例えば、内
接する正三角形または正方形を折れ線として3箇所また
は4箇所を重なり部分とすればよい。尚、成形方法は、
上記の例に限らない。どのような形状の生地の何箇所を
どのように折り曲げるかにより、様々なバリエーション
の模様が形成される。
【0019】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。こ
の実施例のパイ生地1は、以下のように作成した。小麦
粉100質量%(強力粉50質量%と薄力粉50質量
%)砂糖5質量%、食塩1.5質量%、油脂8質量%、
卵5質量%、 脱脂粉乳3質量%、水55質量%の原料を
ミキサーで混捏し、数時間生地をリターダーねかせ、そ
の後、この生地にロールイン用油脂75質量%を包み込
んで折り畳んでリターダーでねかせる。この後、折り畳
みとねかしを数回繰り返し、144層とする。次に、こ
れを展延し厚さ約2.5mmのシート状として、たて約
12cm×よこ約12cmの正方形となるようにカット
する(約80g)。
【0020】(1)成形工程 上記のパイ生地1を、上面に水を霧状にスプレーした
後、正方形の各頂点から中心部に向けて折り曲げ、頂点
が中心部で合致するようにして重ねる。 (2)ねかせ工程 上記の成形した生地を温度約2℃〜3℃で、約2時間ね
かせる。 (3)型入れ工程 成形後ねかせた生地を重なり部分が下側となるようにし
て、その内側が略半球状に窪んだ 焼成型10に型の内
側に沿わせるようにして載置する。 (4)焼成工程 上記型入れしたものをオーブンで、約200℃で約30
分間焼成する。焼成後に、型からはずして上下をひっく
りかえし、クーリングする。焼成されたパイ類食品P
は、略ドーム状で、焼成後に経時的にボリュームが減少
することがない、保形性にすぐれたものであり、また、
その表面に波紋様の独特の層状模様のある新規な外観を
有し、しかも、内部には薄皮状のパイクラム壁4と該ク
ラム壁に囲まれた多数のランダムな大小、不定形の空洞
5が形成されている。 (5)充填工程(フィリング注入) 上記パイ類食品Pの下方付近に形成された上記空洞5の
一部にフィリングとして蜂蜜入リクリームを注入した。
より付加価値の高いパイ類食品Pとなる。蜂蜜入りクリ
ームは、泡立てたマーガリンに、110℃〜120℃に
加熱したシロップを加えてかき混ぜ、さらにかき混ぜな
がら卵黄、香料を添加したものと蜂蜜とを混ぜ合わせた
もの(蜂蜜は全体の40パーセント)。様々なフィリン
グを使用することにより、バラエティに富むパイ類食品
Pを製造することができる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本願発明のパイ類
食品及びパイ類食品の製造方法によれば、外形が略ドー
ム状で、表面に山形状の波形層が下側から頂点側に向か
って連続する複数の波紋状模様が形成されるので、独特
の模様のある新規な外観が得られる。また、火通りが良
好で大きく膨張した、ボリュームがあり、サクサクした
食感のあるパイ類食品を提供することができる。
【0022】更に、波紋状模様の各組を略対称に形成し
た場合には、波紋状模様の組が対称配置されるので、外
観を安定感あるものにすることができる。更にまた、内
部に、薄皮状のパイクラム壁を間隔を隔てて複数形成し
て、パイクラム壁に囲まれた大小異なる不定形の空洞を
複数形成し、かつ、該パイクラム壁が表面付近部分では
ほぼ表面クラストに沿った方向に比較的密に形成される
とともに、内部中央部分では略水平方向に比較的疎密に
形成された内部構造を有することとすると、前記保形性
に優れた比較的密なパイクラム壁4が、前記頑丈な表面
クラストのすぐ内側を構成して、焼成後のパイ類食品P
全体を支えるように機能することにより、経時的にボリ
ュームがなくなることを防止することができ保形性にす
ぐれたものとすることができる。
【0023】また、パイ類食品の製造方法の成形工程に
おいて、折りパイ生地をその周縁上のほぼ均等な間隔の
複数箇所の端部を中心に向けて折り曲げて重ねる場合に
は、波紋状模様の組がパイ表面に均等に複数組形成され
る。すなわち、山形状の波形層による波紋状模様が均等
に配置されるので、外観を安定感あるものにすることが
できる。略正方形の折りパイ生地を用い、その4箇所の
頂点を中心部に向けて折り曲げて重ねる場合には、略正
方形の生地を使用するので、一定幅ごとに縦横に直角に
切断すれば作成できて生地作成の効率を大幅に向上させ
ることができる。また、折りパイ生地の表面に水等の接
着剤を付着させる場合には、粘着力が加わり重なり部分
が強く付着するので、成形後の工程での成形生地の取り
扱いを容易にすることが出来る。更に、成形後の型入れ
工程前に、成形された折りパイ生地を冷蔵温度でねかせ
るねかせ工程を備えた場合には、焼成時に生地が暴れる
おそれがなく、焼成後の製品が安定化し、製品間でのバ
ラツキも抑えることができる。また、空洞の一部にフィ
リング等を含有させることにより、より付加価値の高い
パイ類食品とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るパイ類食品を示す斜
視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るパイ類食品を示す平
面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るパイ類食品を半割に
した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るパイ類食品を半割に
した状態であって、内部にフィリング類が充填された状
態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るパイ類食品の製造方
法の製造工程を示す工程図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るパイ類食品の製造方
法の成形工程を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るパイ類食品の製造方
法の製造工程を示し、(a)は型入れ工程、(b)は焼
成工程、(c)は焼成された製品を模式的に示す図であ
る。
【図8】本発明の実施の形態に係るパイ類食品の製造方
法において、パイ生地の別の成形方法を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るパイ類食品の製造方
法において、パイ生地の別の成形方法を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るパイ類食品の製造
方法において、パイ生地の別の成形方法を示す図であ
る。
【図11】本発明の実施の形態に係るパイ類食品の製造
方法において、パイ生地の別の成形方法を示す図であ
る。
【図12】本発明の実施の形態に係るパイ類食品の製造
方法において、パイ生地の別の成形方法を示す図であ
る。
【符号の説明】
P パイ類食品 1 折りパイ生地 2 波形層 3(3a,3b,3c,3d) 波紋状模様 4 パイクラム壁 5 空洞 6 フィリング類 10 焼成型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A21D 2/00 - 17/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 折りパイ生地を焼成して製造されるパイ
    類食品の製造方法において、 折りパイ生地をその周縁上の端部を中心部に向けて折り
    曲げて重ねる成形工程と、 該成形された折りパイ生地をその重ねた側が下側となる
    ように凹状に窪んだ焼成型の中に載置する型入れ工程
    と、 該焼成型で該折りパイ生地を焼成する焼成工程とを備え
    たことを特徴とするパイ類食品の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記成型工程において、折りパイ生地を
    その周縁上のほぼ均等な間隔の複数箇所の端部を中心部
    に向けて折り曲げて重ねることを特徴とする請求項
    載のパイ類食品の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記成型工程において、略正方形の折り
    パイ生地を用い、その4箇所の頂点を中心部に向けて折
    り曲げて重ねることを特徴とする請求項記載のパイ類
    食品の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記成形工程において、折りパイ生地の
    表面に水等の接着剤を付着させることを特徴とする請求
    1,2または3記載のパイ類食品の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記成形工程後で、上記型入れ工程前
    に、成形された折りパイ生地を冷蔵温度でねかせるねか
    せ工程を備えたことを特徴とする請求項1,2,3また
    は4記載のパイ類食品の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記焼成工程後に、パイ類食品内部に略
    水平方向に延び間隔を隔てて複数形成された薄皮状のパ
    イクラム壁によって囲まれた大小異なる不定形の複数の
    空洞の少なくとも一部にフィリング等を充填する充填工
    程を備えたことを特徴とする請求項1,2,3,4また
    は5記載のパイ類食品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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GATEUX,日本,社団法人日本洋菓子協会連合会,1990年 5月 1日,第39巻5号,第17頁

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