JP3317863B2 - 重合用分散剤、発泡性スチレン系樹脂粒子および(発泡性)スチレン系樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

重合用分散剤、発泡性スチレン系樹脂粒子および(発泡性)スチレン系樹脂粒子の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重合用分散剤、
(発泡性)スチレン系樹脂粒子の製造方法及び発泡性ス
チレン系樹脂粒子に関し、ことにスチレン系樹脂および
発泡性スチレン系樹脂粒子の製造に有用な重合用分散剤
に関する。更に詳しくは、本発明の重合用分散剤は、界
面活性剤の使用を必要としない所謂ソープフリー重合用
分散剤として、粒度分布の狭いスチレン系樹脂粒子およ
び発泡性スチレン系樹脂粒子を製造するのに用いられ
る。
【0002】本発明の製造方法によるスチレン系樹脂粒
子および発泡性スチレン系樹脂粒子は、インスタント食
品などのカップ用、鋳造におけるフルモールド法用、各
種梱包用、魚箱用、軽量盛土工法などのブロック用、各
種OA機器、オーディオ機器、電化製品等の緩衝包装材
用の原料として好適に使用される。
【0003】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】スチ
レン系樹脂粒子の製造方法としては、水性媒体中で、ス
チレン系単量体に懸濁安定剤を添加して重合させる懸濁
重合法が知られている。この懸濁重合法において使用さ
れる懸濁安定剤は、熱安定性、機械的強度および透明性
等の観点から、難水溶性無機塩が使用されている。この
難水溶性無機塩は単量体との親和性に乏しいので、通
常、少量の界面活性剤が懸濁安定助剤として使用され
る。
【0004】しかしながら、難水溶性無機塩と界面活性
剤を用いた懸濁重合法は、特定の粒度の範囲に粒子を揃
えることが困難であり、粒度分布幅の広い樹脂粒子しか
得られなかった。これに対して、粒径の揃った粒子を製
造するために難水溶性リン酸塩の存在下で、界面活性剤
を使用することなく、スチレン系単量体を重合させる方
法(いわゆるソープフリー重合法)が知られている(特
公昭46−15112号公報、米国特許2652392
号)。ソープフリー重合のための添加剤として、特公昭
46−15112号公報では水溶性亜硫酸塩が、米国特
許2652392号では水溶性過硫酸塩が添加されてい
る。このようにこれら特許では、分散剤すなわち難水溶
性リン酸塩は、難水溶性無機塩と界面活性剤を使用した
一般的な懸濁重合法で使用される難水溶性リン酸塩であ
る。
【0005】発泡性スチレン系樹脂粒子は、一般に粒径
0.25〜2.0mmの粒子が使用されている。粒径が
0.25〜0.5mmの粒子は、カップ等の温湯容器、
鋳造におけるフルモールド法用等に、粒径が0.5〜
1.2mmの粒子は各種梱包用、魚箱用等の型物成形体
として、0.7〜2.0mmは、軽量盛土工法、家屋等
の断熱材、緩衝包装材としてのブロック用に主に使用さ
れている。
【0006】このため、発泡性スチレン系樹脂粒子の製
造方法は上記のそれぞれの用途に満足できるもので、粒
度分布が狭くなければならない。しかしながらこれまで
の前記ソープフリー重合法を使用した発泡性スチレン系
樹脂粒子の製造では、一般的な懸濁重合法よりも粒度分
布幅が狭くなるが、なお十分満足できるものではなく製
造、在庫管理の煩雑さや不必要な粒子の処理等の問題が
なお残っている。
【0007】従って、この粒度分布幅を更に狭くするこ
とが生産性、在庫管理の点で 非常に重要である。しか
しながら従来の懸濁重合用難水溶性リン酸塩は界面活性
剤を分散助剤とする懸濁重合反応に好適なように改良が
加えられてきた。すなわち水溶液中重合性単量体の分散
力が高くなるように開発されてきた。その改良について
は特公昭54−44313号、特開平5−222103
号、特開平6−220108号、特開平7−10200
5号および特開平7−102006号等が知られ、沈降
半減期と電気伝導度がその改善の指標とされている。こ
の指標において、沈降半減期は長いほど、電気伝導度は
低いほど分散剤として適している。更に結晶形態の特定
化、微粒子化、凝集防止、そのままX線回折分析した際
の結晶性の増大等と検討が加えられてきた。更に本発明
者らはこの分散剤を約800℃で約3時間焼成し、X線
回折分析するとハイドロキシアパタイト100%である
ことの知見を得ている。
【0008】しかしながら、上記分散剤は、界面活性剤
を添加しないソープフリー重合反応の分散剤としては適
したものではなかった。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、このような課題
を鑑み本発明の発明者らは、鋭意研究の結果、特定の非
晶質リン酸カルシウムからなる重合用分散剤を使用する
ことにより、所望の粒径で狭い粒度分布幅を有すると共
に発泡成形体とした際の品質の優れた樹脂粒子を得るこ
とができることを見い出し本発明に至った。
【0010】かくして本発明は、CaO/P2 5 (重
量比)が0.90〜1.45を示す非晶質リン酸カルシ
ウムの粉末又はこれを含有する水性スラリーからなり、
前記非晶質リン酸カルシウムが10重量%の水性スラリ
ーのとき150μS/cm〜10000μS/cmの電
気伝導度をかつ1.5重量%の水性スラリーのとき5分
〜20分の沈降半減期をそれぞれ示すか、又は前記非晶
質リン酸カルシウムが約800℃で約3時間焼成して結
晶化されたとき主成分としてハイドロキシアパタイトと
β−TCPを生成しかつX線回折装置で測定した時のハ
イドロキシアパタイトとβ−TCPの最強ピークの強度
から算出したβ−TCPのピーク強度割合が5%〜10
0%であることを特徴とする重合用分散剤である。
【0011】また本発明は、上記の重合用分散剤、懸濁
重合可能なスチレン系単量体、重合開始剤からなる混合
系において水溶性亜硫酸塩又は水溶性過硫酸塩又はその
両方の存在下で懸濁重合を行うことを特徴とするスチレ
ン系樹脂粒子の製造方法である。そして本発明は、上記
のスチレン系樹脂粒子の製造方法において重合途中又は
重合後に発泡剤を含浸させることを特徴とする発泡性ス
チレン系樹脂粒子の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる非晶質リン酸
カルシウムは、CaO/P2 5 (重量比)が0.90
〜1.45であり、好ましくは1.15〜1.20であ
る。CaO/P2 5 (重量比)が0.90より小さい
とリン酸水素カルシウムが生成し分散効果がなくなる。
また1.45よりも大きくなるとカルシウムの未反応物
が多くなり経済的ではないと共に重合反応時の粒径に影
響を与え好ましくない。
【0013】本発明の非晶質リン酸カルシウムは、1.
5重量%の水性スラリーのとき、5分〜20分、好まし
くは5分〜15分の沈降半減期を示す。1.5重量%の
水性スラリーの沈降半減期が5分未満であると粒子が大
きくなるため分散剤としての効果がわるくなり重合反応
が完結できなくなる。一方、20分より大きくなると分
散剤としての効果が良過ぎるためか粒度分布が広くなっ
てしまい適当ではない。
【0014】更に10重量%の水性スラリーのとき、電
気伝導度は150μS/cm〜10000μS/cmの
範囲、好ましくは300μS/cm〜8000μS/c
mの範囲を示すものが適している。150μS/cmよ
り小さいと分散効果が良過ぎるためか粒度分布が広くな
り好ましくなく、10000μS/cmより大きくなる
とその電解質の影響の為か重合反応に種々の影響がでて
好ましくない。更に分散力が弱くなるためか重合が完結
できない場合もあり好ましくない。
【0015】また本発明の非晶質リン酸カルシウムは、
そのままX線回折装置で測定してもピークがブロードで
解析できない。すなわち結晶化されていない非晶質リン
酸カルシウムである。そこで約800℃で約3時間焼成
して結晶化させればハイドロキシアパタイトとβ−TC
Pが主成分となり解析できるようになる。X線回折装置
で測定した時のハイドロキシアパタイトとβ−TCPの
最強ピークの強度から算出したβ−TCPのピーク強度
割合が5%〜100%、好ましくは25%〜100%で
ある非晶質リン酸カルシウムの粉末又はこれを含有する
水性スラリーがソープフリー重合に適した分散剤である
ことが判った。β−TCPのピーク強度割合が5%未満
になると分散力が増すためか粒度分布が広くなってしま
い適さない。
【0016】本発明の重合用分散剤は、非晶質リン酸カ
ルシウムの粉末又はそれを含有する水性スラリーとして
用いられる。粉末自体を使用する場合は、重合反応系に
存在する水に添加される。水性スラリーにおける非晶質
リン酸カルシウムの濃度は、特に限定されない。例えば
3〜20重量%の濃度が実用上簡便に使用できる範囲で
ある。本発明の重合用分散剤の添加量は、使用する単量
体の種類により相違するが、例えばスチレン系単量体の
場合、単量体に対して、固形分換算で0.03重量%以
上添加することが好ましい。0.03重量%より少ない
と分散状態が維持できず、1重量%以上でも反応は可能
であるがさらなる効果がないと共に経済的ではない。
【0017】上記本発明の重合用分散剤は、以下に説明
する(発泡性)スチレン系樹脂粒子のソープフリー重合
法による製造方法に好適に使用することができる。本発
明によるスチレン系樹脂粒子の製造方法は、界面活性剤
を必要とせず、上記重合用分散剤、懸濁重合可能なスチ
レン系単量体、重合開始剤からなる混合系において水溶
性亜硫酸塩及び/又は水溶性過硫酸塩の存在下で懸濁重
合さすことを特徴としている。
【0018】本発明に使用されるスチレン系単量体は、
スチレン単量体又はスチレンを主成分とする単量体混合
物、すなわちスチレン単独又はスチレンを主成分とし、
これと少量の他の単量体との単量体混合物である。その
他の単量体としてはたとえば、α−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレ
ン等のスチレン系単量体、メチルメタクリレート、ブチ
ルメタクリレート、イソブチルメタクリレート等のメタ
クリレート単量体、エチルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート等のアクリレート単量体、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単
量体、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート等の多官能性単量体等があげられる。
【0019】また、水溶性亜硫酸塩としては、亜硫酸水
素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモ
ニウム等が挙げられる。更に水に溶解および重合反応系
内で反応して亜硫酸塩となる物質、すなわち前駆物質も
使用できる。これらの前駆物質としては水溶性のピロ亜
硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜二チオン酸塩、チオ硫酸塩、ス
ルホキシル酸塩、硫酸塩等があげられる。これらの中で
特に亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜
二チオン酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムス
ルホキシラートが好ましい。
【0020】水溶性亜硫酸塩は、スチレン単量体に対し
て単独では1.5〜100ppm、好ましくは2〜50
ppmの範囲で用いられる。1.5ppmより少ない
と、添加の効果が現れないもしくは、発泡成形体の品質
が悪くなるため好ましくなく、100ppmより多いと
品質上の問題はないが量を増やす効果がない。更に、水
溶性過硫酸塩としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリ
ウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。この内特に
過硫酸カリウムが好ましい。
【0021】水溶性過硫酸塩は、スチレン系単量体に対
して単独では1.5〜50ppm、好ましくは2〜10
ppmの範囲で用いられる。1.5ppmより少ない
と、添加の効果が現れないもしくは、粒度分布が広くな
り発泡成形体の品質が劣るため好ましくなく、50pp
mより多いと発泡成形体の品質が劣るため好ましくな
い。
【0022】また水溶性亜硫酸塩と水溶性過硫酸塩を併
用する場合は、両者の添加量の和が1.5ppm以上必
要である。1.5ppmより少ないと重合反応途中で分
散不良となり反応が完結できないので好ましくない。更
に併用する水溶性過硫酸塩は0.1〜10ppmの範囲
で用いられる。本発明で使用されるラジカル重合開始剤
としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、
2,2−ビス−t−ブチルパーオキシブタン等の有機過
酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等
一般的なラジカル重合に使用される重合開始剤が挙げら
れる。
【0023】また上記の重合法においては、一般的な添
加剤が使用できる。例えば、エチレンビスステアリルア
マイド、ポリエチレンワックス等の造核剤、ヘキサブロ
モシクロドデカン等の難燃剤が添加できる。更に、本発
明によれば、上記のスチレン系樹脂粒子の重合中又は重
合後に、スチレン系樹脂粒子に発泡剤を添加含浸するこ
とにより、発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法も
提供される。
【0024】ここで使用できる発泡剤としては、種々の
公知のものを利用できるが、プロパン、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭
素数3〜6の飽和炭化水素、メチルクロライド、ジクロ
ルジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げら
れる。これらは、単独若しくは2種以上を組み合わせて
使用してもよい。発泡剤の添加量は、スチレン系樹脂粒
子に対して3〜15重量%が好ましい。含浸時期は、重
合途中又は重合後のいずれでもよいが、重合転化率85
%以上の時点が好ましい。
【0025】上記のように製造された発泡性スチレン系
樹脂粒子は、所望時に、加熱して予備発泡粒子とし、更
に所定の形状を有する金型を用いて発泡成形体とするこ
とができる。次に、本発明の非晶質リン酸カルシウムに
対して用いられた測定法について説明する。
【0026】[CaO/P2 5 (重量比)の測定方
法]粉末はそのまま、スラリー状のものは濾過して14
0℃3時間乾燥させた後、試料を1N硝酸に溶解し、シ
ーケンシャル型高周波プラズマ発光分光分析装置(セイ
コー電子工業(株)製)を用いてカルシウムとリンの量
を測定し、CaO/P2 5 (重量比)を算出した。
【0027】[電気伝導度の測定方法]試料を10重量
%水性スラリーにして、導電率計((株)堀場製作所
製)で測定した。
【0028】[沈降半減期の測定方法]試料が均一に分
散された1.5重量%水性スラリーを、100ミリリッ
トルの沈降管に入れて25℃で静置し、沈降物の体積が
50ミリリットルになるまでの時間を測定したものであ
る。
【0029】[ハイドロキシアパタイト、β−TCP最
強ピーク強度割合]粉末はそのまま、スラリー状のもの
は濾過して、140℃3時間乾燥させた後、試料を約8
00℃で約3時間焼成して結晶化させ、X線回折装置
(理学電機(株)製)で測定しそれぞれの最強ピーク
[ハイドロキシアパタイト(ミラー指数(211)2θ
=31.7°)、第三リン酸カルシウム(β−TCP)
(ミラー指数(217)2θ=31.0°)]のピーク
強度(X線の単位時間当たりのカウント数)を比較して
β−TCPのピーク強度割合(%)を求めた。
【0030】β−TCPのピーク強度割合(%)=β−
TCPのピーク強度/(ハイドロキシアパタイトのピー
ク強度+β−TCPのピーク強度)×100(%)
【0031】
【実施例】次に、本発明の実施例および比較例について
説明する。 実施例1 [非晶質リン酸カルシウムの合成方法]5リットル容器
に4075gのイオン交換水と355gの水酸化カルシ
ウムを仕込み分散液とした。この分散液を強力撹拌下で
436.5gの75.1重量%リン酸水溶液をプランジ
ャーポンプで連続的に30分で添加した。この添加最終
時の温度は40℃であった。リン酸添加終了後30分間
撹拌しながら放置冷却してスラリーを得た。このスラリ
ーの固形分は10.56重量%であり、CaO/P2
5 (重量比)を測定すると1.11であった。リン酸水
溶液添加開始時の水酸化カルシウム分散液の温度は20
℃であった。
【0032】同様に407.7gの75.1重量%リン
酸水溶液を添加した。この場合のスラリーの固形分は1
0.24重量%であり、重量比を測定すると1.20で
あった。
【0033】次に、本発明の重合についての実施例と比
較例を示す。なお、以下において、ピーク3ふるいと
は、JIS標準ふるい目開き2.36mm(7.5メッ
シュ)、目開き2.00mm(8.6メッシュ)、目開
き1.70mm(10メッシュ)、目開き1.40mm
(12メッシュ)、目開き1.18mm(14メッシ
ュ)、目開き1.00mm(16メッシュ)、目開き
0.85mm(18メッシュ)、目開き0.71mm
(22メッシュ)、目開き0.60mm(26メッシ
ュ)、目開き0.50mm(30メッシュ)、目開き
0.425mm(36メッシュ)、目開き0.355m
m(42メッシュ)、目開き0.300mm(50メッ
シュ)、目開き0.250mm(60メッシュ)、目開
き0.121mm(70メッシュ)、目開き0.180
mm(83メッシュ)、で分級し、累積重量分布曲線を
基にして累積重量が50%となる粒径(メディアン径)
をD50とし、D50の粒径が属する範囲から分布割合
の多い3個のふるいの範囲の粒度分布の割合を示したも
のをいう。
【0034】実施例2〜14、比較例1〜6 [ソープフリー重合方法1]100リットルのオートク
レーブに分散剤として固形分で120g相当量の表1に
示した性状の非晶質リン酸カルシウムの水性スラリー
(約10重量%)を加え、更に0.4gの亜硫酸水素ナ
トリウムと140gの過酸化ベンゾイル(純度75
%)、30gのt−ブチルパーオキシベンゾエート、4
0kgのイオン交換水および40kgのスチレン単量体
を混合して仕込み、攪拌下で溶解および分散させ懸濁液
を形成した。
【0035】次に、200rpmの攪拌下でスチレン単
量体を90℃、6時間、更に115℃で2時間重合反応
させた。反応終了後、冷却し、オートクレーブから内容
物を取り出し、遠心分離工程に付した後、乾燥させたス
チレン樹脂粒子を得た。得られたスチレン樹脂粒子の粒
度分布(ピーク3ふるい)を表1に示した。更に、図1
に実施例3,5及び6、図2に比較例2〜4の乾燥時
(140℃3時間)のX線回折分析チャートを、図3に
実施例3,5及び6、図4に比較例1,2及び4の焼成
時(約800℃)のX線回折分析チャートを示した。
【0036】
【表1】
【0037】但し、実施例13、14と比較例5、6
は、表1のように過硫酸カリウムを添加したものであ
る。また、比較例3〜6は、従来から界面活性剤と併用
する重合用分散剤として知られている太平化学(株)製
TCP−10、ブーデンハイム化学社製リン酸三カルシ
ウムC13−09を用いたものである。従来の市販の分
散剤は約800℃で結晶化させると第三リン酸カルシウ
ム(TCP)と表示されていても、実際はハイドロキシ
アパタイトであることが判った。それに対して、本発明
の重合用分散剤は約800℃で結晶化させるとハイドロ
キシアパタイトと第三リン酸カルシウム(β−TCP)
又はほとんどが第三リン酸カルシウム(β−TCP)か
ら構成されていた。
【0038】そして、従来の分散剤(比較例3〜6)は
重合反応系において単量体モノマー液滴の分散保護効果
が強いと考えられる。しかし、本発明の重合法において
はこの単量体液滴の分散保護効果が弱いことが粒度分布
をより狭くする効果となることがわかった。また、図1
及び2から、比較例の分散剤は、ハイドロキシアパタイ
トの吸収が明確であるが、実施例の分散剤は、ピークが
ブロードであり、複数の物質の混合物であることがわか
った。一方、図3及び4から、実施例の分散剤は、ハイ
ドロキシアパタイトとβ−TCPの混合物であることが
わかった。
【0039】実施例15〜17 [非晶質リン酸カルシウムの合成方法]5リットル容器
に4075gのイオン交換水と355gの水酸化カルシ
ウムを仕込み分散液とした。この分散液を一定の温度に
した後、360rpmの撹拌下で450gの75.1重
量%リン酸水溶液(温度25℃)をプランジャーポンプ
で30分かけて連続的に添加した(CaO/P2
5 (配合時の重量比、以下配合重量比と称する。尚、こ
の重量比は、使用する水酸化カルシウム及びリン酸の重
量及び濃度により換算した値を示している。)1.
1)。リン酸添加終了後30分間撹拌放置し、冷却して
スラリーを得た。このスラリーの固形分は約10重量%
であった。リン酸添加開始時の水酸化カルシウム分散液
の温度、添加終了時のスラリーの温度、得られた分散剤
の性質は表2の通りである。
【0040】[ソープフリー重合反応2]100リット
ルのオートクレーブに、分散剤として固形分で120g
相当量の上記条件で製造した非晶質リン酸カルシウムの
水性スラリー(約10重量%)を加え、更に0.65g
の亜硫酸水素ナトリウムを添加し、次に140gの過酸
化ベンゾイル(純度75%)、30gのt−ブチルパー
オキシベンゾエート、40kgのイオン交換水および4
0kgのスチレン単量体を混合して仕込み、攪拌下で溶
解および分散させ懸濁液を形成した。
【0041】次に、この懸濁液を、200rpmの攪拌
下でスチレン単量体を90℃、6時間、更に115℃で
2時間重合反応させた。反応終了後、冷却し、オートク
レーブから内容物を取り出し、遠心分離工程に付した
後、乾燥させたスチレン樹脂粒子を得た。得られたスチ
レン樹脂粒子の平均粒径(D50)と粒度分布(ピーク
3ふるい)を表2に示した。
【0042】
【表2】
【0043】表2から、本発明の分散剤は、ソープフリ
ー重合反応に使用した場合、粒度分布の狭い樹脂粒子を
提供できることがわかった。
【0044】実施例18〜20 [非晶質リン酸カルシウムの合成方法]冬(2月)、春
(4月)、夏(8月)に、5リットルオートクレーブに
4075gのイオン交換水と355gの水酸化カルシウ
ムを仕込み分散液とした。この分散液を30℃まで加熱
して一定化した後、360rpmの撹拌下で、430g
の75.1重量%リン酸水溶液をプランジャーポンプで
30分間で連続的に添加した(CaO/P2 5 (配合
重量比)1.15)。リン酸添加終了後30分間撹拌放
置し、冷却してスラリーを得た。このスラリーの固形分
は約10重量%であった。リン酸添加終了時のスラリー
の温度、合成された分散剤の性質は表3の通りである。
【0045】[ソープフリー重合反応3]100リット
ルのオートクレーブに分散剤として固形分で120g相
当量の上記の条件で製造した非晶質リン酸カルシウムの
水性スラリー(約10重量%)を加え、更に0.3gの
過硫酸カリウムを添加し、次に140gの過酸化ベンゾ
イル(純度75%)、30gのt−ブチルパーオキシベ
ンゾエート、40kgのイオン交換水および40kgの
スチレン単量体を混合して仕込み、攪拌下で溶解および
分散させ懸濁液を形成した。次にこの懸濁液を、実施例
15〜17と同様に重合反応させスチレン樹脂粒子を得
た。得られたスチレン樹脂粒子の平均粒径(D50)、
粒度分布(ピーク3ふるい)を表3に示した。
【0046】
【表3】
【0047】表3から、分散剤の合成温度が季節により
変動しても、ソープフリー重合反応の狭い粒度分布を得
ることができるという利点は変わらないが粒子径には影
響を与えるということがわかった。
【0048】実施例21〜23 反応器周辺雰囲気温度が4℃,23℃,34℃の条件下
で、5リットルオートクレーブにて非晶質リン酸カルシ
ウムを合成する際に、リン酸水溶液添加中のスラリー温
度を添加開始時の30℃から終了時の55℃に直線的に
上昇するように制御した。その他は実施例18〜20と
同様に処理してスラリーを得た。この合成された分散剤
の性質と実施例18〜20と同様のソープフリー重合を
実施して得られたスチレン樹脂粒子の平均粒径(D5
0)、粒度分布(ピーク3ふるい)を表4に示した。
【0049】
【表4】
【0050】表4から、合成温度を制御することにより
得られた分散剤を、ソープフリー重合反応に使用した場
合でも、粒度分布の狭い樹脂粒子を提供できることがわ
かった。
【0051】実施例24〜27、比較例7〜11 [非晶質リン酸カルシウムの合成方法]5リットルオー
トクレーブに4075gのイオン交換水と355gの水
酸化カルシウムを仕込み分散液とした。この分散液を2
5℃に加熱後360rpmの撹拌下で390gの75.
1%リン酸水溶液をプランジャーポンプで連続的に添加
した(CaO/P2 5 (配合重量比)1.27)。リ
ン酸添加終了後30分間撹拌放置し、冷却してスラリー
を得た。スラリーの固形分は約10重量%であった。リ
ン酸添加時間(添加速度)と合成された分散剤の性質は
表5の通りである。
【0052】[ソープフリー重合反応4]100リット
ルのオートクレーブに分散剤として固形分で120g相
当量の上記の条件で製造した非晶質リン酸カルシウムの
水性スラリー(約10重量%)を加え、更に0.16g
の亜硫酸水素ナトリウムと0.16gの過硫酸カリウム
を添加し、次に140gの過酸化ベンゾイル(純度75
%)、30gのt−ブチルパーオキシベンゾエート、4
0kgのイオン交換水および40kgのスチレン単量体
を混合して仕込み、攪拌下で溶解および分散させ懸濁液
を形成した。次にこの懸濁液を、実施例15〜20と同
様に重合反応させスチレン樹脂粒子を得た。得られたス
チレン樹脂粒子の粒度分布(ピーク3ふるい)を表5に
示した。
【0053】
【表5】
【0054】表5から、β−TCPの割合が5〜100
%の範囲内にある本発明の分散剤は、ソープフリー重合
反応において、粒度分布の狭い樹脂粒子を提供できるこ
とがわかった。
【0055】実施例28、比較例12 実施例17の分散剤と太平化学社製TCP−10(10
重量%水性スラリー)を2リットル容器に入れ冷暗所に
1年間放置した。放置後手で良く撹拌して沈殿物を再び
スラリー状態に戻した。これを遠心沈降式粒度分布測定
装置SA−CP3型(島津製作所社製)で粒度分布を測
定し凝集の状態を評価した。更にこれらの分散剤を使用
して実施例15〜17と同様のソープフリー重合反応と
一般懸濁重合反応を行いその粒度分布(ピーク3ふる
い)を測定した。その結果を表6に示した。
【0056】[一般懸濁重合反応]100リットルのオ
ートクレーブに固形分で60g相当量の非晶質リン酸カ
ルシウムの水性スラリー(約10重量%)を加え、更に
懸濁安定剤として2.2gのαーオレフィンスルフォネ
ートを添加し、次に140gの過酸化ベンゾイル(純度
75%)、30gのt−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、40kgのイオン交換水および40kgのスチレン
単量体を混合して仕込み、攪拌下で溶解および分散させ
懸濁液を形成した。次にこの懸濁液を115rpmの撹
拌下でスチレン単量体を90℃6時間、更に115℃で
2時間重合反応させた。反応途中の2および3時間目に
それぞれ固形分で6gの同じ分散剤を追加添加した。反
応終了後、実施例15〜23と同様に処理しスチレン樹
脂粒子を得た。結果を表6に示した。
【0057】
【表6】
【0058】表6から、本発明の分散剤は、ソープフリ
ー重合反応に使用することが特に好ましいことがわかっ
た。更に放置前の分散剤スラリー50gを濾紙No2.
(東洋濾紙)で濾過し、残さを140℃で3時間乾燥さ
せた後の試料と、この試料を更に約800℃で約3時間
焼成して結晶化させた試料をX線回折装置(理学電機社
製)で測定した。その測定結果のチャートを図5(a)
〜(d)に示した。図5(a)及び(c)は、140℃
で3時間乾燥させた実施例28及び比較例12のチャー
トであり、図5(b)及び(d)は、約800℃で約3
時間焼成した実施例28及び比較例12のチャートであ
る。
【0059】図5(c)及び(d)では、比較例12の
分散剤が100%ハイドロキシアパタイトであることが
わかった。一方、本発明の分散剤は、図5(a)では、
ピークがはっきりしないので、種々の混合物からなると
考えられるが、それを焼成した図5(b)では、β−T
CPとハイドロキシアパタイトの混合物であることが示
されていた。
【0060】実施例29 100リットルオートクレーブに60kgのイオン交換
水と5kgの水酸化カルシウムを仕込み分散液とした。
この分散液を200rpmの撹拌下で20℃に昇温し、
25重量%リン酸水溶液をプランジャーポンプで連続的
に添加した(リン酸添加速度は水酸化カルシウム1kg
あたり五酸化二リン換算で20.8g/分)。この反応
途中において反応スラリーを300g程度サンプリング
し50℃のウオーターバス中で撹拌下30分保持後冷却
し、分散剤とした。その一部を濾過して140℃で3時
間乾燥させた後、試料を約800℃で約3時間焼成して
結晶化させ、X線回折装置(理学電機社製)で測定し
た。
【0061】サンプリング時期と分散剤の性質について
表7に示した。更にX線回折分析チャートを図6(a)
〜(e)に示した。図6(a)〜(e)は、それぞれ1
8分目、27分目、30分目、33分目、46分目のチ
ャートを示している。
【0062】[ソープフリー重合反応5]5リットルの
オートクレーブに分散剤として固形分で6g相当量の上
記の条件で製造した非晶質リン酸カルシウムの水性スラ
リー(約10重量%)を加え、更に0.06gの亜硫酸
水素ナトリウムを添加し、次に7gの過酸化ベンゾイル
(純度75%)、1.5gのt−ブチルパーオキシベン
ゾエート、2kgのイオン交換水および2kgのスチレ
ン単量体を混合して仕込み、攪拌下で溶解および分散さ
せ懸濁液を形成した。次にこの懸濁液を、実施例15〜
20と同様に重合反応させスチレン樹脂粒子を得た。得
られたスチレン樹脂粒子の粒度分布(ピーク3ふるい)
を表7に示した。
【0063】
【表7】
【0064】以上の結果より水酸化カルシウムとリン酸
の反応は反応系がアルカリ条件であればハイドロキシア
パタイトが安定となっているが、弱酸性から酸性条件に
なるにしたがってβ−TCPが安定化することがわかっ
た。更に一旦生成しているハイドロキシアパタイトも酸
性条件になるにしたがってβ−TCPに変化しているこ
とが判った。更にリン酸を添加し、酸性条件が強くなる
と更に別のリン酸カルシウム化合物に変化してしまうこ
とが判った。
【0065】実施例30〜32、比較例13〜17 [非晶質リン酸カルシウムの合成方法]5リットルオー
トクレーブにイオン交換水と水酸化カルシウムを仕込み
分散液とする。この分散液を360rpmの撹拌下でリ
ン酸水溶液をプランジャーポンプで30分かけて連続的
に添加した。リン酸添加終了後30分間撹拌放置し、冷
却してスラリーを得た。このスラリーの固形分が10重
量%になるように水酸化カルシウム、リン酸量を決定し
た。CaO/P2 5 (配合重量比)、リン酸の濃度、
リン酸添加スタート時の水酸化カルシウム分散液の温度
は表8の通りである。
【0066】[ソープフリー重合反応6]100リット
ルのオートクレーブに分散剤として固形分で120g相
当量の上記の条件で製造した非晶質リン酸カルシウムの
水性スラリー(約10重量%)を加え、更に0.65g
の亜硫酸水素ナトリウムを添加し、次に140gの過酸
化ベンゾイル(純度75%)、30gのt−ブチルパー
オキシベンゾエート、40kgのイオン交換水および4
0kgのスチレン単量体を混合して仕込み、攪拌下で溶
解および分散させ懸濁液を形成した。次にこの懸濁液
を、175rpmの攪拌下でスチレン単量体を90℃、
6時間、更に115℃で2時間重合反応させた。反応終
了後、冷却し、オートクレーブから内容物を取り出し、
遠心分離工程に付した後、乾燥させスチレン樹脂粒子を
得た。得られたスチレン樹脂粒子の粒度分布(ピーク3
ふるい)を表8に示した。
【0067】
【表8】
【0068】表8からも、β−TCPの割合が5〜10
0%の範囲内にあるか、又は電気伝導度が150〜10
000μS/cmかつ沈降半減期が5〜20分の範囲内
にある本発明の分散剤は、ソープフリー重合反応におい
て、粒度分布の狭い樹脂粒子を提供できることがわかっ
た。
【0069】実施例33〜35、比較例18〜20 [非晶質リン酸カルシウムの合成方法]5リットルオー
トクレーブに4075gのイオン交換水と355gの水
酸化カルシウムを仕込み分散液とする。この分散液を3
60rpmの撹拌下で365.4gの75.1重量%リ
ン酸水溶液をプランジャーポンプで20分間で連続的に
添加した(CaO/P2 5 (配合重量比)1.35、
リン酸添加速度28g/分)。リン酸添加終了後30分
間撹拌放置し、冷却してスラリーを得た。このスラリー
の固形分は約10重量%であった。リン酸添加スタート
時の水酸化カルシウム分散液の温度は表9の通りであ
る。
【0070】[ソープフリー重合反応7]100リット
ルのオートクレーブに分散剤として固形分で120g相
当量の上記の条件で製造した非晶質リン酸カルシウムの
水性スラリー(約10重量%)を加え、更に0.3gの
過硫酸カリウムを添加し、次に140gの過酸化ベンゾ
イル(純度75%)、30gのt−ブチルパーオキシベ
ンゾエート、40kgのイオン交換水および40kgの
スチレン単量体を混合して仕込み、攪拌下で溶解および
分散させ懸濁液を形成した。次にこの懸濁液を、実施例
30〜32、比較例13〜17と同様に重合反応させス
チレン樹脂粒子を得た。得られたスチレン樹脂粒子の粒
度分布(ピーク3ふるい)を表9に示した。
【0071】
【表9】
【0072】表9からも、β−TCPの割合が5〜10
0%の範囲内にあるか、又は電気伝導度が150〜10
000μS/cmかつ沈降半減期が5〜20分の範囲内
にある本発明の分散剤は、ソープフリー重合反応におい
て、粒度分布の狭い樹脂粒子を提供できることがわかっ
た。
【0073】比較例21 5リットル容器に4075gのイオン交換水と355g
の水酸化カルシウムを仕込み分散液とする。この分散液
を360rpmの撹拌下で30℃に昇温し、365.4
gの75.1重量%リン酸水溶液をペリスターポンプで
90分かけて連続的に添加した(添加速度6.2g/
分、CaO/P2 5 (配合重量比)1.35)。リン
酸添加終了後の温度は50℃〜54℃であり、このまま
30分間撹拌放置し、冷却してスラリーを得た。このス
ラリーの固形分は約10重量%である。この反応を10
回繰り返しその物性を測定し、その結果を表10に示し
た。
【0074】
【表10】
【0075】実施例36、比較例22〜27 比較例21と同様に3から5回各種の条件下で合成反応
を繰り返し、目的とするソープフリー重合用分散剤の生
成した回数を調査し、合成反応の確実性の指標とした。
使用部材量、リン酸濃度、リン酸添加速度、生成反応開
始温度および結果については表11に示した。更に比較
例21についても再掲載した。
【0076】
【表11】
【0077】実施例37〜40、比較例28〜33 [非晶質リン酸カルシウムの合成方法]5リットルオー
トクレーブに2100gのイオン交換水と250gの水
酸化カルシウムを仕込み分散液とする。この分散液を8
0℃に加熱し、360rpmの撹拌下で265gの7
5.1重量%リン酸水溶液に2100gのイオン交換水
を加えて希釈し(8.4重量%)プランジャーポンプで
連続的に添加した(リン酸添加速度は113.3、3
7.8、18.9、12.6、9.4g/分の5段
階)。またリン酸を希釈しない場合は2100gのイオ
ン交換水をオートクレーブに初めに添加し合成反応を行
った。更に75重量%リン酸をそのまま15分以上かけ
て添加する場合には、プランジャーポンプでは吐出量の
下限以下となるためペリスターポンプを使用した。リン
酸添加終了後の温度は78℃〜82℃で、そのまま30
分間撹拌放置し、冷却してスラリーを得た。このときの
スラリーの固形分は約7重量%であった。リン酸添加時
間は表12の通りである。 [一般懸濁重合反応]
【0078】100リットルのオートクレーブに分散剤
として固形分で60g相当量の上記の条件で製造した非
晶質リン酸カルシウムの水性スラリー(約7重量%)を
加え、更に懸濁安定助剤として2.2gのα−オレフィ
ンスルフォネートを添加し、次に140gの過酸化ベン
ゾイル(純度75%)、30gのt−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、40kgのイオン交換水および40kg
のスチレン単量体を混合して仕込み攪拌下で溶解および
分散させ懸濁液を形成した。次にこの懸濁液を、125
rpmの撹拌下でスチレン単量体を90℃6時間、更に
115℃で2時間重合反応させた。反応途中の2および
3時間目にそれぞれ固形分で6gの同じ分散剤を追加添
加した。反応終了後、冷却し、オートクレーブから内容
物を取り出し、遠心分離工程に付したのち、乾燥させた
スチレン樹脂粒子を得た。得られたスチレン樹脂粒子の
粒度分布(ピーク3ふるい)を表12に示した。
【0079】
【表12】
【0080】表12から、本発明の分散剤は、ソープフ
リー重合反応に使用することが特に好ましく、一般の懸
濁重合反応にはむかないことがわかった。
【0081】
【発明の効果】本発明の特定の非晶質リン酸カルシウム
からなる重合用分散剤を使用することにより、従来の難
水溶性リン酸塩を使用する重合方法に比べ更に粒度分布
の狭いスチレン系樹脂粒子が得られる。このことから必
要な粒度分布をより効率よく生産することができ生産
性、在庫管理等の経済性に優れた効果が得られる。
【0082】また、本発明のスチレン系樹脂粒子の製造
方法は、特定の非晶質リン酸カルシウムからなる重合用
分散剤の存在下に、界面活性剤を添加しない水性媒体中
で、スチレン系単量体を懸濁重合させる際に、水溶性亜
硫酸塩および水溶性過硫酸塩の片方又は両方を水性媒体
に添加して、攪拌下でスチレン系単量体を重合させるこ
とにより、所望の粒径に制御でき粒度分布の非常に狭い
スチレン系樹脂粒子が得られる。本発明の重合用分散剤
は、界面活性剤を分散助剤に併用する一般懸濁重合法に
おいては反応途中において分散出来ず餅状になり反応が
できない。
【0083】また、本発明では、粒度分布の狭いスチレ
ン系樹脂粒子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3,5及び6の乾燥時の分散剤のX線回
折分析チャートである。
【図2】比較例2〜4の乾燥時の分散剤のX線回折分析
チャートである。
【図3】実施例3,5及び6の焼成時のX線回折分析チ
ャートである。
【図4】比較例1,2及び4の焼成時のX線回折分析チ
ャートである。
【図5】実施例28と比較例12の乾燥時および焼成後
の分散剤のX線回折分析チャートである。
【図6】サンプリング時期に対する分散剤の結晶状態の
変化を示すX線回折分析チャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−102006(JP,A) 特開 平7−102005(JP,A) 特開 平6−220108(JP,A) 特開 平5−222103(JP,A) 特開 昭53−90386(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CaO/P2 5 (重量比)が0.90
    〜1.45を示す非晶質リン酸カルシウムの粉末又はこ
    れを含有する水性スラリーからなり、前記非晶質リン酸
    カルシウムが10重量%の水性スラリーのとき150μ
    S/cm〜10000μS/cmの電気伝導度をかつ
    1.5重量%の水性スラリーのとき5分〜20分の沈降
    半減期をそれぞれ示すか、又は前記非晶質リン酸カルシ
    ウムが約800℃で約3時間焼成して結晶化されたとき
    主成分としてハイドロキシアパタイトとβ−TCPを生
    成しかつX線回折装置で測定した時のハイドロキシアパ
    タイトとβ−TCPの最強ピークの強度から算出したβ
    −TCPのピーク強度割合が5%〜100%であること
    を特徴とする重合用分散剤。
  2. 【請求項2】 請求項1の重合用分散剤、懸濁重合可能
    なスチレン系単量体、重合開始剤からなる混合系におい
    て水溶性亜硫酸塩又は水溶性過硫酸塩又はその両方の存
    在下で懸濁重合を行うことを特徴とするスチレン系樹脂
    粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2のスチレン系樹脂粒子の製造方
    法において重合途中又は重合後に発泡剤を含浸させるこ
    とを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の製造方法により得られ
    る発泡性スチレン系樹脂粒子。
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