JP3315581B2 - 真空ポンプ - Google Patents

真空ポンプ

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JP3315581B2 JP09047896A JP9047896A JP3315581B2 JP 3315581 B2 JP3315581 B2 JP 3315581B2 JP 09047896 A JP09047896 A JP 09047896A JP 9047896 A JP9047896 A JP 9047896A JP 3315581 B2 JP3315581 B2 JP 3315581B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は真空ポンプに係り、
特に半導体製造工程等に好適に使用され大気圧から駆動
することができる真空ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、一対のロータが同期しながら
反対方向に回転して吸入排気を行うルーツ型真空ポンプ
と呼ばれる真空ポンプが知られている。一対のロータ
は、ケーシング内面及びロータ同士の間にわずかな隙間
を保持して、非接触で逆方向に回転する。この種の真空
ポンプはロータを多段にすることにより、吸込側では約
10-3Torr、排気側では大気圧となるように設計さ
れている。多段のポンプロータのうち、吸込側のロータ
はあまり高温にならないが(100℃程度)、排気側に
いくにつれてロータ段間の圧縮作用により発熱し、およ
そ200℃程度に加熱される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、この種の真空ポ
ンプは、かご形の誘導モータによって駆動している。か
ご形の誘導モータはキャンド構造をしており、積層され
た鉄芯の溝にロータバーを納め、その両端をエンドリン
グで接続したかご形のモータロータを備えている。そし
て、かご形のモータロータを直接にポンプ軸端に取付け
ていたが、モータの2次抵抗が増加し2次銅損等による
モータロータ等の発熱とポンプの発熱とにより、モータ
は非常に効率が悪くなっていた。
【0004】上記のモータロータの温度を下げるため、
ポンプの温度を低くすると、半導体製造工程で真空ポン
プを通過するガス中の反応生成物が付着し易くなる。そ
のため、真空ポンプの寿命を縮めることになるので、あ
まりポンプの温度を低くすることはできない。また、モ
ータロータの発熱は、真空中で熱伝達媒体がなく、主に
輻射によりキャンに熱伝達され、キャン→ステータコア
→モータフレームに伝熱される。しかしながら、この伝
熱は伝熱量も小さく、モータロータを効果的に冷却する
ことは困難であり、モータロータは高温の状態(約20
0〜300℃)になっていた。
【0005】本発明は上述の事情に鑑みなされたもの
で、モータロータの発熱を少なくするとともにモータロ
ータの冷却効率を向上させることにより、モータ効率を
改善することができる真空ポンプを提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明は、対向して配置された一対のポンプロータ
を同期回転させて排気を行う真空ポンプにおいて、前記
ポンプロータの吸込側の主軸端に永久磁石を周設したモ
ータロータを取付けるとともに、該モータロータの外周
および片側の面を覆ったキャンにてポンプ部を密封し、
前記キャンの外周にモータステータを配置し、該モータ
ステータの空間移動磁界で前記モータロータを直接回転
駆動するようにし、前記モータステータは水冷のモータ
フレームとモータステータコアおよび巻線で構成され
とを特徴とするものである。
【0007】本発明によれば、モータロータの発熱量を
下げるため、従来のかご形誘導モータではなく、直流モ
ータとし、モータロータの構成をロータヨークに永久磁
石を周設した構造とした。このことにより、モータロー
タの2次銅損はなくなり、モータロータの発熱量は激減
する。さらに前記永久磁石として磁石粉と樹脂を混合し
て製造したボンド磁石を使用することにより、永久磁石
の電気比抵抗が103〜104μΩ・cm程度であるから
永久磁石内部を通過する磁界の変動によるうず電流損失
を小さくして発熱を小さくしている。
【0008】また、モータロータをポンプロータの吸込
側の主軸端に取付けることにより、ポンプからの伝熱量
を小さくできる。永久磁石は高温下による熱減磁特性が
あり、一般に100℃を越えると減磁が著しく、モータ
性能が悪くなるが、これを防ぐためである。永久磁石の
温度を低くすることにより、結果として高温熱減磁特性
の良い高価な永久磁石を使用しなくて済む。
【0009】また本発明の1態様においては、モータロ
ータからキャンへの輻射熱量を増やすために、キャンの
内面およびロータ外面を黒色とし、モータロータの冷却
効率を高めている。
【0010】さらに本発明によれば、モータロータの冷
却を良くするために、従来のキャン→ステータコア→モ
ータフレームに伝熱される熱伝達経路に加えて、キャン
の外面全面を覆い、かつ水冷モータフレームに密着する
ようにステータコア・巻線を含めて、ゴム・樹脂等のモ
ールド材によりモールドして、モータロータ→キャン→
モールド材→水冷モータフレームの熱伝達経路を設ける
ことにより、さらに冷却効果を高めることができる。
【0011】また、モールド材でモールドすることによ
り、薄いキャンの外側を真空容器として補強する効果、
および、万一キャンが破損するようなことがあっても、
大量の外気を吸込むことなく真空を維持することがで
き、例えば半導体製造工程で使用されるシランガス等と
大気との反応による事故を防ぐ安全性をも高めるという
効果をも奏する。
【0012】さらにはキャンの全外面をモールド材でモ
ールドすることにより、ポンプ内部から伝播される騒音
の緩衝材としても有効であり、ポンプ外部に漏れる騒音
を低減させることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明に係る真空ポンプの一実施例を
図面を参照して説明する。図1は本発明のルーツ型真空
ポンプを示す断面図であり、図2は図1のII−II線断面
図である。
【0014】図1および図2において、符号1はケーシ
ングであり、ケーシング1内に一対のポンプロータを構
成するルーツロータ2,2が配設されている。ケーシン
グ1は細長状に形成されており、吸込口1sを有した吸
込側と吐出口1dを有した吐出側とを備えている。各ル
ーツロータ2は両端部近傍で軸受3,3によって支承さ
れている。ルーツロータ2,2は2軸ブラシレス直流モ
ータMによって回転駆動されるようになっている。
【0015】図3および図4は、2軸ブラシレス直流モ
ータMの詳細を示す図であり、それぞれ図1のIII−III
線断面図、IV−IV線断面図である。図3および図4に示
されるように、ルーツロータ2,2の主軸端2a,2a
には、モータロータ5A,5Bが固定されている。即
ち、モータロータ5A,5Bは真空ポンプの吸込側の主
軸端2a,2aに固定されている。2つのモータロータ
5A,5Bは、それぞれ2n極(nは整数)の永久磁石
5a,5bを軸芯に対称に等間隔で磁束がラジアル方向
に発生するように周設している。
【0016】図5はモータロータ5Aの詳細を示す図で
あり、図5(a)は側面図、図5(b)は図5(a)の
V(b)−V(b)線断面図である。なお、モータロー
タ5Bはモータロータ5Aと全く同一の構造であるため
図示は省略する。モータロータ5AはS,N,S,Nの
4極の永久磁石5aを周設してある。そして、永久磁石
5aと主軸端2aとの間には積層されたケイ素鋼板から
なる鉄芯5cが介装されている。
【0017】また、図1、図3および図4に示すよう
に、モータロータ5A,5Bの外周側には耐食性の良好
な材料または樹脂からなるキャン7,7を介して1個の
モータステータ6が配設されている。キャン7,7はモ
ータロータ5A,5Bの外周および片側の端面を覆って
おり、これらキャン7,7により真空ポンプのポンプ部
を密封している。また、キャン7の内面およびモータロ
ータ5A,5Bの外面は黒色になっている。モータステ
ータ6は、図1、図3および図4に示すように、ウォー
タジャケット9aを具備した水冷のモータフレーム9
と、積層されたケイ素鋼板からなるモータステータコア
6aと、巻線8a,8bとから構成されている。
【0018】モータステータコア6aには、それぞれ6
枚の磁極歯U〜Z,U1〜Z1が円周等配に形成されて
いる。そして、磁極歯U〜Z,U1〜Z1には、両モー
タロータ5A,5Bの軸線の中心面Cにおいて対称かつ
反対の磁極となるように巻線8a,8bがそれぞれ装着
されており、巻線8bは巻線8aと反対巻きとなってい
る。前記水冷モータフレーム9に密着するとともにモー
タステータコア6a、巻線8a,8bおよびキャン7,
7の外面の全てを覆うようにゴムまたは樹脂等のモール
ド材12が設けられている。また図1に示すようにモー
タフレーム9にはモータドライバ10が固定されてい
る。
【0019】一方、ルーツロータ2,2の反モータ側の
軸端には、互いに噛み合う一対のタイミングギヤ11,
11(図1では一方のギヤのみ示す)が固定されてお
り、突発的な外部要因による一対のルーツロータ2,2
の同期のずれを防ぐようになっている。
【0020】次に、前述のように構成された真空ポンプ
の作用を説明する。図6はモータMの動作を説明する説
明図である。なお、図6では図解を簡略化するために樹
脂キャン7およびモールド材12を省略している。2軸
ブラシレス直流モータMのコイル8a,8bにモータド
ライバ10を介して通電すると、モータステータコア6
aにはモータロータ5A,5Bをそれぞれ反転して回転
させる空間移動磁界が形成される。
【0021】すなわち、図6(a)の状態では磁極歯
U,XにはN極、磁極歯V,YにはS極が形成され、磁
極歯U1,X1にはS極、磁極歯V1,Y1にはN極が
同時に形成されるように通電するとモータロータ5A,
5Bは矢印で示すように、対向する方向に回転駆動され
る。
【0022】同様に図6(b)において、磁極歯V,Y
にはS極、磁極歯W,ZにはN極が形成され、磁極歯V
1,Y1にはN極、磁極歯W1,Z1にはS極が形成さ
れ、更に図6(c)に示すように、磁極歯X,UにはS
極、磁極歯Y,VにはN極が形成され、磁極歯X1,U
1にはN極、磁極歯Y1,V1にはS極がそれぞれ同時
に形成されるように通電すると、モータロータ5A,5
Bは連続した回転力で矢印で示す対向する方向に回転駆
動される。
【0023】モータロータ5A,5Bのそれぞれ永久磁
石5a,5bにより発生する磁界は、モータステータコ
ア6aによって磁路が各モータロータ5A,5B間で形
成され閉じるように構成されている。したがって、一対
のモータロータ5A,5Bには、異磁極面で磁気カップ
リング作用が働き,必ず同期して相互に反対側に回転す
る。
【0024】モータロータ5A,5Bの回転により、一
対のルーツロータ2,2は同期回転する。図7は、第1
段等の所定段での一対のルーツロータ2,2の動作を説
明する図であり、一対のルーツロータ2,2は、ケーシ
ング1の内面及びロータ2,2同士の間にわずかな隙間
を保持して、非接触で逆方向に回転する。一対のルーツ
ロータ2,2が位相1から位相4まで回転するにつれ
て、吸込側気体はロータ2とケーシング1間に閉じ込め
られて吐出側に移送される。3葉ロータでは、1つのル
ーツロータで3ヶ所谷部があるため、ポンプ1回転あた
り6回排気されることになる。図7に示す第1段等の所
定段から排出されたガスは第2段等の次段に導入され、
上述と同様な作用がなされる。
【0025】本発明によれば、モータロータ5A, 5B
の発熱量を下げるため、従来のかご形誘導モータではな
く、ブラシレス直流モータMとし、モータロータ5A,
5Bの構成をロータヨークに永久磁石5a,5bを周設
した構造とした。このことにより、モータロータ5A,
5Bの2次銅損はなくなり、モータロータ5A,5Bの
発熱量は激減する。
【0026】また、モータロータ5A,5Bをルーツロ
ータ2,2の吸込側の主軸端2a,2aに取付けること
により、ポンプからの伝熱量を小さくできる。永久磁石
は高温下による熱減磁特性があり、一般に100℃を越
えると減磁が著しく、モータ性能が悪くなるが、これを
防ぐためである。永久磁石の温度を低くすることによ
り、結果として高温熱減磁特性の良い高価な永久磁石を
使用しなくて済む。さらに本発明においては、永久磁石
の材質をボンド磁石にすることにより、永久磁石自身の
うず電流の発生を抑制しロータの発熱を最小にすること
ができる。
【0027】また本発明においては、モータロータ5
A,5Bの冷却効率を高めるため、モータロータ5A,
5Bからキャン7,7への輻射熱量を増やすためにキャ
ン7,7の内面およびモータロータ5A,5Bの外面を
黒色としている。
【0028】さらに本発明によれば、モータロータ5
A,5Bの冷却を良くするために、従来のキャン→ステ
ータコア→モータフレームに伝熱される熱伝達経路に加
えて、キャン7,7の外面全面を覆い、かつ水冷モータ
フレーム9に密着するようにステータコア6a・巻線8
a,8bを含めて、ゴム・樹脂等のモールド材12によ
りモールドして、モータロータ5A,5B→キャン7,
7→モールド材12→水冷モータフレーム9の熱伝達経
路を設けることにより、さらに冷却効果を高めることが
できる。また、モールド材12でモールドすることによ
り、薄いキャン7,7の外側を真空容器として補強する
効果、および、万一キャンが破損するようなことがあっ
ても、大量の外気を吸込むことなく真空を維持すること
ができ、例えば半導体製造工程で使用されるシランガス
等と大気との反応による事故を防ぐ安全性をも高めると
いう効果をも奏する。
【0029】さらにはキャン7,7の全外面をモールド
材12でモールドすることにより、ポンプ内部から伝播
される騒音の緩衝材としても有効であり、ポンプ外部に
漏れる騒音を低減させることができる。
【0030】図1乃至図7に示す実施例においては、2
軸の真空ポンプと2軸のモータについて説明をしたが、
真空ポンプが1軸のポンプであったり2軸のポンプであ
っても、1軸のみにモータを取り付けた場合においても
同様な効果が得られる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次
に列挙する効果が得られる。 (1)真空ポンプを駆動するモータを直流モータとし、
モータロータを永久磁石を周設した構造とすることによ
り、従来のモータロータの2次銅損をなくし、ロータの
発熱量を下げることができる。このことはモータ効率を
高めることになり、従来型のモータに比較して効率を1
0%以上高めることができる。 (2)永久磁石を周設したモータロータをポンプ吸込側
の主軸端に取付けることにより、ポンプロータからモー
タロータへの伝熱量を下げることができ、永久磁石の温
度を下げることができる。このことは、特に高温熱減磁
特性の良い高価な永久磁石を使用せずに済み、結果とし
て安価なポンプを製造することができる。 (3)さらに永久磁石として磁石粉と樹脂を混合して製
造したボンド磁石を使用することにより、永久磁石自身
のうず電流損失を抑制しロータ発熱を下げることができ
る。 (4)モータロータの温度を下げるため、キャンの内面
およびロータ外面を黒色とすることにより、モータロー
タからキャンへの輻射熱量を増加させることができる。 (5)水冷モータフレームとキャン外周およびステータ
コア・巻線をゴムまたは樹脂等のモールド材でモールド
することにより、モータロータの冷却効果を高めること
ができるとともに真空容器としてのキャンの補強、真空
容器としてのキャン破損時の真空破壊の防止、ポンプの
騒音低減をあわせて達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空ポンプの一実施例を示す断面
図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1の III−III 線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】図1におけるモータロータの詳細を示す図であ
り、図5(a)は側面図、図5(b)は図5(a)のV
(b)−V(b)線断面図である。
【図6】図1におけるブラシレス直流モータの動作を説
明する説明図である。
【図7】図1におけるルーツロータの動作説明図であ
る。
【符号の説明】
1 ケーシング 2 ルーツロータ 3 軸受 5A,5B モータロータ 5a,5b 永久磁石 6 モータステータ 6a モータステータコア 7 樹脂キャン 8a,8b 巻線 9 モータフレーム 10 モータドライバ 11 タイミングギヤ 12 モールド材
フロントページの続き (72)発明者 眞武 幸三 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会 社 荏原電産内 (72)発明者 久部 泰史 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会 社 荏原電産内 (72)発明者 佐藤 源一 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会 社 荏原製作所内 (56)参考文献 特開 昭63−120887(JP,A) 特開 平6−307368(JP,A) 実開 平4−40186(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 23/00 - 29/10 331 H02K 1/24 H02K 9/00 - 9/28 F04C 25/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向して配置された一対のポンプロータ
    を同期回転させて排気を行う真空ポンプにおいて、前記
    ポンプロータの吸込側の主軸端に永久磁石を周設したモ
    ータロータを取付けるとともに、該モータロータの外周
    および片側の面を覆ったキャンにてポンプ部を密封し、
    前記キャンの外周にモータステータを配置し、該モータ
    ステータの空間移動磁界で前記モータロータを直接回転
    駆動するようにし、前記モータステータは水冷のモータ
    フレームとモータステータコアおよび巻線で構成され
    とを特徴とする真空ポンプ。
  2. 【請求項2】 前記永久磁石は磁石粉と樹脂を混合して
    製造されたボンド磁石であることを特徴とする請求項1
    記載の真空ポンプ。
  3. 【請求項3】 前記水冷モータフレームに密着するとと
    もに、前記ステータコア、巻線を覆うようにゴムまたは
    樹脂等のモールド材を設けたことを特徴とする請求項1
    又は2記載の真空ポンプ。
  4. 【請求項4】 前記モータステータの内面および前記モ
    ータロータの外面が黒色であることを特徴とする請求項
    1乃至3のいずれかに記載の真空ポンプ。
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