JP3315576B2 - エネルギービーム加工装置及び加工方法 - Google Patents

エネルギービーム加工装置及び加工方法

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JP3315576B2 JP04663396A JP4663396A JP3315576B2 JP 3315576 B2 JP3315576 B2 JP 3315576B2 JP 04663396 A JP04663396 A JP 04663396A JP 4663396 A JP4663396 A JP 4663396A JP 3315576 B2 JP3315576 B2 JP 3315576B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工室内で、マス
クパターンを透過して被加工物にエネルギービームを照
射し、被加工物をマスク形状に加工する装置において、
マスクと被加工物との位置合わせが加工進行中にずれて
しまうことを防ぐための位置合わせ装置を搭載し、位置
ずれ補正することを可能としたエネルギービーム加工装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、イオンビームのようなエネルギー
ビームを、マスクを通過させて被加工物に照射し、加工
することが行われている。ここでは、被加工物やマスク
をビーム源に対して位置決めし、あるいは相対移動させ
るために、これらを並進や回転が可能なステージなどに
取り付けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、実際の加工
においては、エネルギービームからのエネルギーが、マ
スクや被加工物だけでなく、ステージやそれを設置した
ベースにも吸収され、ベースが熱膨張によって変形す
る。すると、せっかく位置合わせしたマスクと被加工物
同士の位置がずれてしまう。また、基板をエネルギービ
ームとの化学反応で加工するときには、基板の温度を上
昇させて化学反応を促進し、加工を速める工夫をするこ
とがあり、このようなときも、基板だけでなく、位置合
わせステージやベースの温度まで変化させてしまい、同
様の位置ずれを起こしてしまう。
【0004】このような課題に対して、温度が定常状態
になるまで装置を空運転してから本番の加工を行うと
か、装置の熱容量を非常に大きくして、温度変化が簡単
に起きない条件にして、短時間で加工を終えてしまうな
どの方法を用いることもあるが、装置が大きくなる、温
度が定常状態に入るまでの運転時間が長く、稼動率が下
がるなどの問題が生じる。
【0005】従って、本発明は上記従来技術の欠点を除
去すべくなされたものであって、エネルギービーム加工
において、装置規模を過大にすることなく、稼動率を下
げることなく精度が良い加工を行なうことができる加工
装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、
マスク保持部と、被加工物保持部が相対移動可能に設置
され、マスクと被加工物を位置合わせした状態でエネル
ギービームを照射して被加工物に所定の加工を行なうエ
ネルギービーム加工装置において、上記マスク保持部と
被加工物保持部の間の機械系の一部に、該機械系の熱膨
張による変位を測定するセンサを設置するとともに、該
センサの出力に応じてマスク及び被加工物の相対距離を
調整する制御手段が設けられていることを特徴とするエ
ネルギービーム加工装置である。
【0007】これにより、機械系の一部に設置したセン
サで間接的にマスクと被加工物の間のずれを検出し、こ
れをもとに両者の位置関係を調整して正しい位置に維持
する。センサを加工位置から離れたところに配置すれ
ば、設置が容易であり、加工用ビームの影響を受けるこ
とも少ない。
【0008】請求項2に記載の発明は、上記センサが、
測定される機械系部分と熱膨張係数の小さい比較部材と
の間の相対変位を測定する変位センサであることを特徴
とする請求項1に記載のエネルギービーム加工装置であ
り、簡単な構成で広い範囲に設置して正確な検出値を得
ることができる。請求項3に記載の発明は、上記変位セ
ンサが、上記機械系部分と上記比較部材とを結ぶ可撓性
部材の変形を測定する歪みゲージであることを特徴とす
る請求項2に記載のエネルギービーム加工装置であり、
微小な変位を精度良く検知することができる。
【0009】請求項4に記載の発明は、上記可撓性部材
に、歪み量を拡大する平行平板部が設けられていること
を特徴とする請求項3に記載のエネルギービーム加工装
置である。請求項5に記載の発明は、上記変位センサ
が、上記マスク保持部と上記被加工物保持部を載置する
ベース上に設置されていることを特徴とする請求項2な
いし4のいずれかに記載のエネルギービーム加工装置で
ある。請求項6に記載の発明は、上記センサは、測定さ
れる機械系部分の温度を測定して間接的に変位を算出す
るための温度センサであることを特徴とする請求項1に
記載のエネルギービーム加工装置であり、センサの設置
が容易であるとともに、微小な部材にも取り付けること
ができるので、各部の変位をきめ細かく算出することが
できる。
【0010】請求項7に記載の発明は、マスク保持部と
被加工物保持部を相対移動させ、マスクと被加工物を位
置合わせした状態でエネルギービームを照射して被加工
物に所定の加工を行なうエネルギービーム加工方法にお
いて、上記マスク保持部と被加工物保持部の間の機械系
の熱膨張による変位を測定又は推定し、該測定値又は推
定値に応じてマスク及び被加工物の相対距離を調整し、
熱膨張による変位を補正しながら加工を行なうことを特
徴とするエネルギービーム加工方法である。
【0011】請求項8に記載の発明は、予め測定される
機械系部分の熱膨張変位と上記マスク保持部及び被加工
物保持部の間の熱膨張変位との相関を測定し、この相関
関係のデータに基づいて上記測定値又は推定値を補正す
ることを特徴とする請求項7に記載のエネルギービーム
加工方法であり、実際のマスクと被加工物のずれをより
精度良く検知して調整することができる。
【0012】
【実施例】以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を
説明する。図1は、本発明の一実施例のエネルギービー
ム加工装置を示すもので、微小な被加工物1の上に、マ
スク2を配置し、エネルギービームである高速原子線3
を照射することにより、マスク2の形状を被加工物1に
転写する装置である。このマスク2と被加工物1とを位
置合わせするために、それぞれ独立に微動位置合わせが
可能なステージ群4,5を用いている。なお、6は被加
工物とマスクのステージ4,5を載せるベース、7は位
置ずれを補正するための微動ブロック、8は、マスク2
の把持具9を取り付ける把持部である。
【0013】ベース6の上には、ベースの熱膨張に伴う
変位を測定する変位センサ10が配置されている。この
変位センサは、図2に示すように、ベースと平行に配置
した棒体11がX,Yの2方向に延びて設置され、その
一端は支柱12に、他端は変形しやすい薄い平行平板部
13aを持つ可撓柱13により支持されている。この平
行平板部13aには、この部分の歪みを測定する歪みゲ
ージ13bが設けられている。
【0014】この変位センサ10の原理を図2を参照し
て説明する。棒体11は、線膨張係数の極めて小さいイ
ンバー合金でできており、温度上昇に伴う伸びは、ほと
んど0と考えて良い。この棒体11は、支柱12と可撓
柱13によりベース6に固定されている。ここで、可撓
柱13の平行平板部13aは2枚の薄い板ばねとして構
成されているため、ベース6が熱膨張で伸びると、図2
(b)に示すように板ばね部分に撓みが集中するので、
ここの歪みを歪みゲージにて測定すればベース6の伸び
に比例する出力が得られる。
【0015】この装置には、図示しない制御装置が設け
られており、上記変位センサ10の出力端子はこの制御
装置に接続されている。この制御装置は、変位センサ1
0の信号によりベース6の伸びを検知し、その伸びの分
に応じた駆動信号をピエゾ微動ブロック7に出力してこ
れを動かすようになっている。
【0016】この装置による加工は、顕微鏡などで観察
しながら、被加工物1とマスク2とを適切な場所に位置
合わせした後に行なう。加工している間に、高速原子線
の照射により、ステージ4,5やベース6の温度が上昇
すると、ベース6をはじめ各部が膨張する。例えば、ス
テージのベース6にアルミの板を使っていたとすると、
長さが10cmあれば、1℃の上昇で約2.4μmも伸
びてしまう。このため、位置合わせしたマスク2と被加
工物1とは温度の上昇に伴って徐々にずれる。
【0017】この位置ずれは変位センサ10により検知
され、制御装置に伝達される。制御装置はベース6の伸
び量に応じた駆動信号をピエゾ微動ブロック7に出力
し、これを動かす。これによって、ベース6の伸びによ
るマスク2と被加工物1との位置ずれを補正する。
【0018】なお、歪みゲージ13bの出力と変位セン
サ10の変位量は、一度検定しておけば対応関係を求め
ることができ、定量的なベース6の伸び量を歪みゲージ
13bの出力から得ることができる。
【0019】ピエゾ微動ブロック7は、図3に示すよう
に、固定部16aと可動部16bとが一対の平行平板部
15で連結されている。この平行平板部15は、2枚の
薄い板ばねとして構成されている。この板ばねの厚み
は、たとえば0.5mmである。このピエゾ微動ブロッ
ク7は、ブロック状素材をワイヤ放電加工などの手法に
より加工して、一体に製造されている。そして、この平
行平板部15の連結部根元にそれぞれ歪みゲージ15a
を貼り付けてある。また2つの互いに平行なブロックで
ある固定部16aと可動部16bには、内側に向けて突
出する突起17が形成され、この突起17の間にピエゾ
素子18が架設されて構成されている。
【0020】これにより、ピエゾ素子18が伸びると板
ばねでできた平行平板部15に撓みが集中するので、こ
この歪みをひずみゲージ15aにて測定すれば変位出力
が得られる。この変位出力をもとにピエゾ素子に印加す
る電圧をフィードバック制御すれば、ピエゾ素子自体の
もつヒステリシスや非線形性にもかかわらず、目標どお
りの変位量を得ることができる。
【0021】上記の実施例において、変位センサ10の
出力から得られる測定値はベースの膨張であって、マス
ク2と被加工物1の間の変位ではない。そこで、複雑な
系においてマスクと被加工物とのずれををより正確に測
定する方法を、図4により説明する。
【0022】すなわち、マスク2と被加工物1とがセッ
トされる台の間に、図4に示すような検定用変位センサ
19を架設する。図5に示すように、この状態で高速原
子線エッチングと同様の条件下においてベース6の温度
を上昇させる。これにより、、検定用変位センサ19と
変位センサ10との相関をとっておく。定常的には、こ
の結果を用いて変位センサの出力を補正し、制御装置で
はそれを基にピエゾ微動ブロック7に駆動信号を出力す
る。これにより、マスクと被加工物とのずれをより正確
に補正することができる。
【0023】ここでは、マスク2と被加工物1とのずれ
量を補正するために歪みゲージ13bを用いた変位セン
サ10を用いたが、これに限らず、機械式のエンコー
ダ、光学的干渉稿を利用したリニアスケールやレーザ干
渉計、顕微鏡の画像をコンピュータ処理して変位を検出
する画像処理装置、温度を測定して変位を見積もる(温
度変化×線膨張係数=変位)熱電対や赤外放射温度計等
を採用してもよい。
【0024】また、エネルギービーム源として高速原子
線を用いた例を示したが、イオンビーム、電子線、原子
・分子ビーム、レーザ光、放射光等のエネルギービーム
による加工装置であっても同様の構成の装置で、位置の
ずれを補正することができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の加工装置
によれば、簡単な構成のしかも加工の影響を受けにくい
位置に設置した検知手段でマスクと被加工物のずれを精
度良く検知して、これに基づいて両者の相対位置を調整
するので、長時間の加工においてもマスクと被加工物の
位置のずれが起こりにくく、例えば、大きな被加工物に
精密な加工を行なう場合でも、高精度の加工を安定に行
なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例のエネルギービーム加工装
置を示す斜視図である。
【図2】この発明の主要部材の動作原理を説明する図で
ある。
【図3】この発明の要部を示す斜視図である。
【図4】この発明のエネルギービーム加工方法に用いる
主要部材を示す図である。
【図5】この発明の方法を説明する図である。
【符号の説明】
4 ステージ(被加工物保持部) 5 ステージ(マスク保持部) 6 ベース 7 ピエゾ微動ブロック 10 変位センサ 11 棒体 13 可撓柱 13a 平行平板部 13b 歪みセンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 當間 康 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社 荏原総合研究所内 (72)発明者 畑村 洋太郎 東京都文京区小日向2丁目12番11号 (72)発明者 中尾 政之 千葉県松戸市新松戸4−272 D−805 (56)参考文献 特開 平4−187394(JP,A) 特開 平3−88317(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 26/02 B23K 15/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスク保持部と、被加工物保持部が相対
    移動可能に設置され、マスクと被加工物を位置合わせし
    た状態でエネルギービームを照射して被加工物に所定の
    加工を行なうエネルギービーム加工装置において、 上記マスク保持部と被加工物保持部の間の機械系の一部
    に、該機械系の熱膨張による変位を測定するセンサを設
    置するとともに、該センサの出力に応じてマスク及び被
    加工物の相対距離を調整する制御手段が設けられている
    ことを特徴とするエネルギービーム加工装置。
  2. 【請求項2】 上記センサは、測定される機械系部分と
    熱膨張係数の小さい比較部材との間の相対変位を測定す
    る変位センサであることを特徴とする請求項1に記載の
    エネルギービーム加工装置。
  3. 【請求項3】 上記センサは、測定される機械系部分の
    温度を測定して間接的に変位を算出するための温度セン
    サであることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー
    ビーム加工装置。
  4. 【請求項4】 マスク保持部と被加工物保持部を相対移
    動させ、マスクと被加工物を位置合わせした状態でエネ
    ルギービームを照射して被加工物に所定の加工を行なう
    エネルギービーム加工方法において、 上記マスク保持部と被加工物保持部の間の機械系の熱膨
    張による変位を測定又は推定し、該測定値又は推定値に
    応じてマスク及び被加工物の相対距離を調整し、熱膨張
    による変位を補正しながら加工を行なうことを特徴とす
    るエネルギービーム加工方法。
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