JP3314658B2 - パワーアシスト付き助力アーム - Google Patents

パワーアシスト付き助力アーム

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JP3314658B2
JP3314658B2 JP11388697A JP11388697A JP3314658B2 JP 3314658 B2 JP3314658 B2 JP 3314658B2 JP 11388697 A JP11388697 A JP 11388697A JP 11388697 A JP11388697 A JP 11388697A JP 3314658 B2 JP3314658 B2 JP 3314658B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワークの重量如何
にかかわらずに軽く搬送できるようにしたパワーアシス
ト付き助力アームに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、重量物を搬送する場合の負担
を軽減するために、図11に示すような助力アームが使
用されている。この助力アームは、アーム10に取り付
けられたシリンダ12(モータを用いている場合もあ
る)によってワークの重量を相殺できるようになってい
る。
【0003】このアーム10は、上下方向に移動でき、
さらに主軸14に対して旋回でき、さらにその先端部が
前後方向にスライドできるようになっている。このた
め、作業者はこの助力アームによって、ワークを軽い操
作で自由に搬送させることができる。
【0004】ところが、ワークがかなりの重さのものと
なると、重量物(ワーク)の重量はシリンダ12の作用
によって相殺されるものの、ワークを搬送する場合に
は、ワークの重量に応じた慣性力が作用するため、その
搬送にかなりの労力を要するという別の問題が発生す
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この問題を解決するた
めに、各アームにモータを取り付けるとともに、作業者
がアームに加える作用力を検出するセンサを設け、その
センサによって検出された作用力と同様の作用力がワー
クに加えられるようにして、より軽い操作でワークの搬
送をさせるようにすることが考えられる。
【0006】ところが、このように構成した場合には、
ワークを動かそうとする場合(ワークの搬送開始時や、
ワークを少しだけ動かそうとしたとき)に、各アームの
慣性力などの相違から、各アームを作業者が動かそうと
する方向に追従制御させることが難しくなることが考え
られ、追従制御が適切に行われない場合には、作業者は
ワークの搬送に違和感を感じることになる。したがっ
て、このように構成した場合には、作業者がワークを動
かそうとする方向に素直にワークが動くように制御でき
る構成とする必要がある。
【0007】本発明は、このような従来の要請に応じる
ためになされたものであり、ワークを動かそうとする初
期時であっても、作業者の動かそうとする方向にワーク
を搬送することができるパワーアシスト付き助力アーム
の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、次のように構成される。請求項1に記載の
発明は、ワークを所望の位置に搬送する複数のアームを
備えるとともに、いずれかのアームに作用して当該ワー
クの重量を重力とバランスさせる重力バランス機構を備
えた助力アームであって、作業者が前記ワークに作用さ
せる三次元方向及び各次元の捩じれ方向の力の大きさを
検出する作用力検出センサと、前記複数のアームのそれ
ぞれに設けられた駆動手段と、前記作用力検出センサに
よって検出された力の大きさ,方向に基づいて、当該駆
動手段の加速時でも前記ワークが前記作業者の望む方向
に移動できるようにそれぞれの駆動手段の動作速度を前
記作業者の望む速さまで時間の経過とともに上昇させる
制御手段とを有することを特徴とするパワーアシスト付
き助力アームである。
【0009】制御手段は、作用力検出センサによって検
出された力の大きさ,方向に基づいて、ワークを最終的
にどの方向にどの程度の速度まで加速させるかを演算
し、この演算結果に基づいて各アームに設けられたそれ
ぞれの駆動手段の最終的な動作速度を演算し、各駆動手
段をその動作速度まである程度の時間をかけて上昇させ
る。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のパワーアシスト付き助力アームにおいて、前記制御手
段は、前記それぞれの駆動手段の動作速度を下記の式で
演算されるよりも大きな近い時間内に、前記作業者の望
む速さまで上昇させることを特徴とするパワーアシスト
付き助力アームである。
【0011】TJ/D ただし、T:所定時間 J:それぞれの駆動手段を含めた各アームの慣性モーメ
ント D:それぞれの駆動手段を含めた各アームの粘性摩擦係
数 このようにアームの慣性モーメントと粘性摩擦係数とを
勘案して所定時間、即ち加速時間を演算し、この加速時
間よりも長い時間をかけて最終的な速度まで各駆動手段
を駆動すれば、ワークを搬送させる際にいずれかの駆動
手段が加速能力を越えてしまうようなことがなくなり、
作業者の望む速度までには多少の時間を要するものの、
ワークの搬送方向は作業者の意図する方向と一致させる
ことができる。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項1又は請
求項2に記載のパワーアシスト付き助力アームにおい
て、前記それぞれの駆動手段の動作速度の制御は、それ
ぞれの駆動手段に与える信号の大きさを時間の経過とと
もに線形的に上昇させるようにしたことを特徴とするパ
ワーアシスト付き助力アームである。
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項1又は請
求項2に記載のパワーアシスト付き助力アームにおい
て、前記それぞれの駆動手段の動作速度の制御は、それ
ぞれの駆動手段に与える信号の大きさを時間の経過とと
もに非線形的に上昇させるようにしたことを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載のパワーアシスト付き助力
アームである。
【0014】
【発明の効果】請求項1から請求項4に記載の発明にあ
っては、作用力検出センサによって検出された力の大き
さ,方向に基づいて、各駆動手段を最終速度まで時間を
かけて動作させるようにしたので、ワークの搬送初期時
であっても、ワークが常に作業者の望む方向に移動する
ことになり、違和感のない搬送作業をすることができる
ようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明にかかるパワーア
シスト付き助力アームの一実施形態について説明する。
図1は、本発明のパワーアシスト付き助力アームの外観
図である。
【0016】図に示すように、アーム10には、重力バ
ランス用のシリンダ12が取り付けられている。このア
ーム10は、モータ13により主軸14に対して上下方
向に回動する。このアーム10の先端部分には、ハンド
15を進退させるアーム16が設けられ、このアーム1
6の進退はモータ17によって行う。ハンド15には作
業者がワークに加える力を検出するロードセル18が取
り付けられ、このロードセル18によって三次元(X,
Y,Z)方向の外力とこれらの各次元の捩じれ方向の力
が検出される。アーム10は、主軸14を中心に旋回で
きるようになっており、この旋回はモータ20によって
行う。
【0017】コントローラ25は、このパワーアシスト
付き助力アームの動作を制御するものであって、このコ
ントローラ25には、ロードセル18からの検出信号
(操作力)、各モータ13,17,20が有する回転角
度検出用のエンコーダ(図示せず)からのパルス信号が
入力され、コントローラ25からは各モータ13,1
7,20に与える電流や電圧が出力される。また、アシ
スト力を自由に調整するための調整機能を有している。
なお、これらのモータ13,17,20には、安全面か
ら80W程度の低出力サーボモータを用いている。
【0018】本発明のパワーアシスト付き助力アーム
は、概略次のような動きをする。作業者がハンド15に
ワークを把持させ、ワークを動かそうとすると、ワーク
に加えられる力の大きさと方向とがロードセル18によ
って検出され、コントローラ25は、このロードセル1
8からの検出信号に基づいて、作業者が動かそうとして
いる速度で動かそうとしている方向にワークを動かす。
作業者がワークから手を離せばロードセル18に作用す
る力がなくなるので、ワークは自然に停止する。
【0019】ワークを動かし始める際には、ロードセル
18は、その動かし始めの力の大きさと方向とを検出す
ることになり、コントローラ25は、この検出された力
の大きさと方向に基づいて各モータを最終的な速度まで
急速に加速する。ところが、各モータにかかる負荷はア
ームの姿勢等に応じて変化するために、各モータが最終
的な速度に達するまでの時間は必ずしも一致しない。時
間が一致しないということは、全てのモータが定常速度
になるまではワークの動く方向と作業者の搬送しようと
する方向とが一致しないことになる。これでは作業に支
障を来すことになる。したがって、本発明では、このよ
うな場合でも、搬送方向は作業者の意図する方向になる
ように、加速させる時間を演算し、その時間内にそれぞ
れのモータが最終速度まで加速させるようにしている。
【0020】同様に、作業者がワークを比較的速い速度
で動かそうとしたときには、いずれかのモータの最高速
度を越えてしまう場合も起こり得るが、このような場合
には、作業者の意図する方向とは違った方向にワークが
動いてしまうことになる。これでは作業に違和感を感じ
ることになるばかりではなく、作業の安全面での問題も
生じることから、1つのアームのモータの最高速度を越
えるような速度でワークを動かすことが要求された場合
には、ワークの動作速度を低下させて移動する方向だけ
は作業者の要求に沿うようにし、作業の違和感を生じな
いようにしている。
【0021】したがって、作業者がワークを動かし始め
るときには、ワークは作業者の意図する方向に速度を徐
々に上げながら搬送され、その搬送速度が大きくなりす
ぎると、搬送方向が作業者の意図する方向を維持できる
ように搬送速度を低下させるようになる。このため、い
つでも搬送方向は作業者の意図する方向と一致すること
になる。
【0022】図2に示すブロック図は、本発明にかかる
パワーアシスト付き助力アームの制御系の概略構成図で
ある。エンコーダ1からエンコーダ3は、図1に示した
各アームを駆動するモータ13,17,20のそれぞれ
に設けられているものであって、一定の回転角度ごとに
パルス信号を出力するように構成されているものであ
る。
【0023】エンコーダ1からエンコーダ3でそれぞれ
出力されるパルス信号q1 〜q3 は、制御手段である各
軸モータ速度演算部50に入力され、駆動手段としての
各軸のモータ13,17,20を指定の速度で回転させ
るためのフィードバック信号として、また、各軸のモー
タが最高速度を越えているか否かを判断する信号として
用いられる。
【0024】ロードセル18は作用力検出センサとして
機能し、前述のように作業者がワークに加える力(操作
力)を三次元方向及び各次元の捩じれ方向にそれぞれ分
けて電気信号として各軸モータ速度演算部50に出力す
るものであって、具体的には、X,Y,Z方向の外力F
と、X,Y,Z方向の捩じれ力Nが出力される。
【0025】各軸モータ速度演算部50は、本願発明と
は直接関係はないが、各軸のモータ13,17,20か
ら最適なトルクが出力されるように、エンコーダ1から
エンコーダ3でそれぞれ出力されるパルス信号q1 〜q
3 に基づいて、各モータ13,17,20から出力すべ
きトルクをヤコビアン行列J(g)等を用いて演算して
いる。
【0026】具体的には、ヤコビアン行列J(g)の逆
行列J-1(g)、ヤコビアン行列J(g)の転置行列J
T (g)、パルス信号q1 〜q3 の微分値q1 ドット〜
q3 ドットコリオリ力、遠心力、粘性摩擦力に関する
項h(q,qドット)慣性行列R(g)X,Y,Z
方向の外力Fと、X,Y,Z方向の捩じれ力Nを用い
て、次のような演算を行うことによって、トルクを算出
する。
【0027】一般的に、ワークに与えられた力に対応す
るモータのトルクをτとすると、各モータのトルクは下
記の式で表わすことができる。 ここで、JT (θ)は、アームのヤコビアン行列、F
は、ワークに加わる外力、Nは、捩じれ力、θは、間接
角であり、したがって、アシスト力は、このトルクτを
打ち消すようにモータにトルクを発生させれば良い。
【0028】この時のモータのトルクτは、 となる。
【0029】なお、外力Fとねじれ力Nは、ロードセル
18から得られ、間接角θはエンコーダから出力される
パルス信号によって得られる。一般式は、以上の通りで
あるが、更にワークに関して具体的な運動方程式を考え
ると、作業者がワークに加える外力をFとした場合、ワ
ークの望ましい運動を下式で与える。 F=M・d2 x/dt2 +D・dx/dt+Kx このとき、作業者の負荷軽減を望ましい運動とすれば、
K=0,D=0とし、Mは、実際のワークの質量よりも
小さい値(なるべく小さくした方が負荷の低減率が大き
くなる)を選定する。
【0030】上記の条件に基づいて上式を書き替える
と、F=M・d2 x/dt2 …(1) となる。 一方、助力アームの運動方程式は、一般的に下式で表わ
される。 τ=(J0 +R(g))d2 q/dt2 +h(q,qド
ット)+g(q) ここで、J0 は、各アームの慣性モーメント、R(g)
は、慣性行列、h(q,qドット)は、コリオリ力、遠
心力、粘性摩擦力に関する項g(q)は、重力に関する
項、τは、各モータのトルクである。
【0031】したがって、望ましい運動特性を与えるモ
ータのトルクは、(1)式より τ=h(q,qドット)+g(q)−(J0 +R
(g))・J-1(g)・Jドット(g)・qドット+
{(J0 +R(g))・J-1(g)・M-1−JT
(g)}・F となり、助力アームの場合には、シリン
等により重力を相殺しているから、 τ=h(q,qドット)−(J0 +R(g))・J-1(g)・Jドット(g)・ qドット+{(J0 +R(g))・J-1(g)・M-1−JT (g)}・F となる。
【0032】この演算に必要な諸量は、各軸モータ速度
演算部50内に設けられている(図示せず)J-1(g)
演算部,JT (g)演算部,微分演算部,h(q,qド
ット)演算部,R(g)演算部及びロードセル18から
それぞれ出力されているので、ワークの重量Mを与えれ
ば、各モータ13,17,20に発生させるべきトルク
が算出できることになる。
【0033】以上のようにしてワークに与えるべき最適
のトルクが演算されるが、本発明のパワーアシスト付き
助力アームでは、これに加えて、ワークを動かし始めよ
うとするときや、ワークを動かしている最中に、ワーク
を作業者の意図する方向に動くように制御している。
【0034】図3は、この制御の概念を示した図であ
る。作業者のワークへの作用力はロードセル18で力F
として検出される。この検出された力FにはゲインKが
かけられて速度指令Vが算出され、この速度に基づいて
遅れ演算がなされ、演算の結果得られた速度V′にヤコ
ビアン行列がかけられて各軸の速度指令θが算出され
る。この各軸の速度指令θはモータ制御系に加えられて
各軸のモータM、具体的には、モータ13,17,20
が駆動される。
【0035】そして、これらのモータの回転によって発
生するエンコーダEからのパルス信号は、モータ制御系
とヤコビアン行列演算部にフィードバックされる。この
ように、エンコーダEからのパルス信号をフィードバッ
クしているのは、最高速度に達したモータを検出するた
めであるとともに、他のモータのゲインを再計算させる
ためである。なお、ロードセル18とモータM及びエン
コーダE以外の部分は、各軸モータ速度演算部50内に
設けられている機能である。
【0036】具体的には、図4から図6に示すフローチ
ャートに従う処理が行われる。まず、ロードセル18に
よって操作力Fが検出されると、これが各軸モータ速度
演算部50に入力され、この操作力FにゲインKが掛け
られて速度指令Vが算出される。この速度指令Vは、三
次元方向の速度(Vx ,Vy ,Vz )として算出される
(S1,S2)。
【0037】つぎに遅れ演算処理が施される。この遅れ
演算処理は、速度指令Vをそのまま出力するのではな
く、一定の時間かけて徐々に速度指令を大きくする演算
を行なって速度指令V′を算出する処理である(S
3)。具体的には、図5または図6に示したフローチャ
ートの処理によって速度指令V′を演算している。図5
に示すフローチャートは、時間に比例して(線形的に)
速度指令V′を徐々に大きくするものである。
【0038】まず、速度指令Vが算出されると、加速時
間を計測するタイマーの設定を0にし(S31)、設定
時間tまでV′=FkT/t=VT/tの割合で速度指
令を大きくする(S32,S34)。このような処理を
すると、ワークを動かそうとした時にロードセル18に
よって検出された操作力Fが図7に示したような一定の
ものであった場合、通常であれば、速度指令Vが図8に
示すようにステップ状に与えられることになってしまう
が、この処理をした場合には、同図の太線で示されてい
るように時間の経過と共に速度指令を大きくすることが
できる。
【0039】ステップ状の入力がモータ制御系に入力さ
れた場合には、その立ち上がり時間は、モータの容量や
負荷の大きさで大きく異なることになる。各モータに
は、最終的な速度が与えられることになるが、この速度
に達するまでの時間が各モータ毎にまちまちであると、
当然のことながらワークの搬送方向は作業者の意図する
方向とは異なる方向となってしまい、非常に作業がやり
にくくなる。ところが、このように、速度指令を刻々と
変化させ、追従させる制御を行わせるようにすれば、各
モータ毎に若干の追従遅れが生じたとしても、ワークの
搬送方向が作業者の意図する方向から大きくずれてしま
うようなことはない。
【0040】このような制御をさせるには、設定時間t
の算出が重要である。この設定時間tが適当な時間でな
いと、速度指令の速度変化について行けなくなって、結
局は搬送方向が意図する方向でなくなってしまう場合が
あるし、逆に方向は意図する方向であるものの、搬送速
度が作業者の思うように上昇しなくなるなどの不具合が
生じてしまうからである。
【0041】この設定時間tは、次のようにして算出し
ている。今、各アームの動きを運動方程式で表すと、J
ω(t)+Dω(t)+T=u(t) となるとする。 J:それぞれのモータを含めた各アームの慣性モーメン
ト、 D:それぞれのモータを含めた各アームの粘性摩擦係
数、 T:それぞれのモータを含めた各アームのクーロン摩擦
トルク、 u(t):それぞれのモータの駆動トルク、 駆動トルクu(t)が一定であるとすると、速度上昇の
時間変化は、ω(t)=1/D(1−eDt/J)u とな
る。
【0042】この式から、1/Dは最高速度を、D/J
は立ち上がり時間を決定する変数であることがわかる。
本発明では、上記のω(t)の速度上昇をこの式で得ら
れる理論値よりも遅くすることが目的であるので、設定
時間tは、t=D/Jよりも小さな値とすることはでき
ない。t=D/Jよりも短い時間とした場合には、本願
発明を適用しない場合と同じくなってしまうからであ
る。したがって、t=D/Jよりも長い時間とすれば良
いことになるが、余りに長い時間とすれば、搬送速度に
問題が生じるので、t=D/Jよりも大きな近い値に設
定することが最も好ましい。
【0043】また、アームは複数であるので、それぞれ
のアームの内、D/Jが最も大きいアームを基準に設定
時間tを設定しておくようにする。なお、このフローチ
ャートではワークを加速させる場合について述べている
が、減速させる場合にも、同様に適用させることが可能
である。
【0044】このようにして設定された設定時間tに達
すると、速度指令V′=Fk=Vとして速度指令を出力
する(S33)。このように、このフローチャートの制
御で与えられる速度指令は、図8に示す太線の変化と同
じくなる。
【0045】また、図6に示すフローチャートは、時間
の経過と共に非線形的に速度指令V′を大きくするもの
である。まず、速度指令Vが算出されると、加速時間を
計測するタイマーの設定を0にし(S36)、時定数α
までV′=Fk(1−e−αT)の割合で速度指令を大
きくする(S37,S38)。そして、時間Tが2/α
よりも大きくなったら、速度指令V′=Fk=Vとして
速度指令を出力する(S39)。このように、このフロ
ーチャートの制御で与えられる速度指令は、図9に示す
曲線の変化と同じくなる。
【0046】ここで、αは時定数であり、図9に示して
あるように、T=1/αのときに速度指令V′が速度指
令Vの約63%の速度まで上昇する時間である。この時
定数αも、上記した設定時間Tを決定する場合と同じ要
領で決定する。なお、速度指令の切換え時間を2/αと
したのは、T=2/αを経過すれば、速度指令Vに近い
速度まで上昇すると考えられるからである。
【0047】そして、このようにして図5または図6の
フローチャートが処理されることによって求められた速
度指令V′に、図10に示すヤコビアン行列を掛けて、
各軸毎のモータ13,17,20の速度指令θ(θ1 ,
θ2 ,θ3 )を算出する(S4)。
【0048】この算出された速度指令θ1 ,θ2 ,θ3
のそれぞれが、それぞれのモータに対して設定されてい
る最高速度θ1max,θ2max,θ3maxを越えていないかど
うかが判断される。全てのモータがそれぞれの最高速度
を越えていなければ、作業者の要求している速度で要求
している方向にワークを搬送することが可能であるか
ら、その速度指令θをそれぞれのモータ13,17,2
0に対する電流増幅部13A,17A,20Aに出力
し、モータ13,17,20はこの指令に基づく速度
(θ1 ,θ2 ,θ3 )で回転する(S5〜S7)。
【0049】一方、いずれかのモータの速度が、設定さ
れている最高速度を越えている場合には、この速度指令
θを電流増幅部13A,17A,20Aに出力しても作
業者の要求している速度で要求している方向にワークを
搬送することができない。
【0050】たとえば、図11に示すように作業者がワ
ークの搬送に要求する速度と方向が図11のθ(太線)
のベクトルとして表される場合、モータ2の最高速度θ
2maxを越えてしまうので、実際に行われるワークの搬送
速度と搬送方向とは、同図のθ′(細線)で表されるベ
クトルとなる。これでは、作業者の意図するようにワー
クが搬送されないから、作業者は違和感を感じることに
なる。
【0051】このような場合には、最高速度を越えるモ
ータ(図11ではモータ2)の回転数は最高速度を保っ
たまま、他のモータ(図11ではモータ1)の速度を図
7のθ1′に低下させれば、搬送する速度は意図する速
度ではなくなってしまうが、方向だけは意図する方向に
なり、作業者の違和感が軽減でき、また安全の確保もで
きる。
【0052】これは具体的には、図6に示したヤコビア
ン行列のゲインKを演算し直すということで解決してい
る。つまり、ヤコビアン行列Jsin -1(θ)に速度指令
Vを掛け、この演算結果で速度指令θを割って、ゲイン
を求めるという計算をモータ対して行う。たとえば、図
11の場合では、モータ2の速度としてθ2maxの速度指
令が出力されていたと仮定した場合のゲインkを求め、
このゲインを用いてモータ1の速度指令θ1 を計算し直
す(S7〜S9)。
【0053】このようにアームの慣性モーメントと粘性
摩擦係数とを勘案して設定時間t、即ち加速時間を演算
し、この加速時間よりも長い時間をかけて最終的な速度
まで各モータを駆動すれば、ワークを搬送させる際にい
ずれかのモータが加速能力を越えてしまうようなことが
なくなり、作業者の望む速度までには多少の時間を要す
るものの、ワークの搬送方向は作業者の意図する方向と
一致させることができる。
【0054】また、指令速度が最高速度を越えるモータ
が存在する場合には、そのモータが最高速度のまま動い
た場合に他のモータがどのような速度で動くべきかを再
計算しているため、作業者が意図する方向にワークを動
かすことができるようになる。したがって、非常に操作
性の良い助力アームとなり、作業性を著しく向上させる
ことができるようになる。
【0055】なお、本実施の形態では、最高速度を越え
るモータを基準(1つのモータを基準)にゲインを再計
算する態様を例示してあるが、これに限らず、作業者の
意図する方向にワークが搬送できるように、全てのモー
タ速度指令を変える(いずれのモータも基準としない)
ようにゲインを再計算しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のパワーアシスト付き助力アームの外
観図である。
【図2】 本発明にかかるパワーアシスト付き助力アー
ムの制御系の概略構成図である。
【図3】 本発明にかかるパワーアシスト付き助力アー
ムの制御の概念図である。
【図4】 本発明にかかるパワーアシスト付き助力アー
ムの動作フローチャートである。
【図5】 本発明にかかるパワーアシスト付き助力アー
ムの動作フローチャートである。
【図6】 本発明にかかるパワーアシスト付き助力アー
ムの動作フローチャートである。
【図7】 図5の動作フローチャートの説明に供する図
である。
【図8】 図5の動作フローチャートの説明に供する図
である。
【図9】 図6の動作フローチャートの説明に供する図
である
【図10】 各軸速度指令を算出するために用いるヤコ
ビアン行列である。
【図11】 本発明にかかるパワーアシスト付き助力ア
ームの動作説明に供する図である。
【図12】 一般的な助力アームの外観図である。
【符号の説明】
10,16…アーム、 14…主軸、 13,17,20…モータ、 18…ロードセル、 50…各軸モータ速度演算部。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークを所望の位置に搬送する複数のア
    ームを備えるとともに、いずれかのアームに作用して当
    該ワークの重量を重力とバランスさせる重力バランス機
    構を備えた助力アームであって、 作業者が前記ワークに作用させる三次元方向及び各次元
    の捩じれ方向の力の大きさを検出する作用力検出センサ
    と、 前記複数のアームのそれぞれに設けられた駆動手段と、 前記作用力検出センサによって検出された力の大きさ,
    方向に基づいて、当該駆動手段の加速時でも前記ワーク
    が前記作業者の望む方向に移動できるようにそれぞれの
    駆動手段の動作速度を前記作業者の望む速さまで時間の
    経過とともに上昇させる制御手段とを有することを特徴
    とするパワーアシスト付き助力アーム。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記それぞれの駆動手
    段の動作速度を下記の式で演算されるよりも大きな近い
    時間内に、前記作業者の望む速さまで上昇させることを
    特徴とする請求項1記載のパワーアシスト付き助力アー
    ム。 TJ/D ただし、T:所定時間 J:それぞれの駆動手段を含めた各アームの慣性モーメ
    ント D:それぞれの駆動手段を含めた各アームの粘性摩擦係
  3. 【請求項3】 前記それぞれの駆動手段の動作速度の制
    御は、それぞれの駆動手段に与える信号の大きさを時間
    の経過とともに線形的に上昇させるようにしたことを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載のパワーアシスト
    付き助力アーム。
  4. 【請求項4】 前記それぞれの駆動手段の動作速度の制
    御は、それぞれの駆動手段に与える信号の大きさを時間
    の経過とともに非線形的に上昇させるようにしたことを
    特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパワーアシス
    ト付き助力アーム。
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