JP3314017B2 - 窒化処理における窒化防止方法 - Google Patents

窒化処理における窒化防止方法

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JP3314017B2 JP30084897A JP30084897A JP3314017B2 JP 3314017 B2 JP3314017 B2 JP 3314017B2 JP 30084897 A JP30084897 A JP 30084897A JP 30084897 A JP30084897 A JP 30084897A JP 3314017 B2 JP3314017 B2 JP 3314017B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、窒化処理される加工
材料の表面のうち窒化を防止する部分を金属被膜で被覆
して、金属被膜で被覆された部分の加工材料表面の窒化
を防止する方法に関し、より詳細には、前記金属被膜
を、加工材料の表面に金属粉体を噴射することにより形
成する、窒化処理における窒化防止方法に関する。
【0002】なお、本明細書において、「窒化」とは加
工材料の表面に窒素を拡散させることをいい、加工材料
の表面硬化を目的とするの狭義の「窒化」の他、表面高
硬化を目的としない「軟窒化」等広義の窒化を含む。
【0003】
【従来の技術】窒化鋼、その他の加工材料の耐摩耗性、
耐疲労性、その他種々の性質向上を目的として、加工材
料の表面に窒素を拡散させて窒化層を形成する窒化処理
が行われている。
【0004】この窒化処理において、加工材料によって
はそのうちの一部分だけを窒化し、その他の部分をその
ままに残しておく場合があることから、このように窒化
処理を希望しない部分の加工材料の表面に窒素が拡散し
ないよう、該加工材料に部分的にメッキを施した後に窒
化処理を行い、メッキ層により被覆された加工材料の表
面に窒素が拡散することを防止した窒化防止方法が行わ
れている。
【0005】このように、加工材料の窒化しない部分に
メッキ層を形成する方法として、溶融メッキ法及び電気
メッキ法が用いられている。
【0006】前述の溶融メッキ法とは、溶融された金属
中に加工材料を浸漬して加工材料の表面に該溶融金属を
メッキする方法であり、比較的融点が低い錫等の金属を
メッキするに適した方法である。
【0007】一例として錫(Sn)によるメッキを行う場
合、加工材料の表面全体を掃除した後に、この加工材料
を400℃に保たれた溶融錫に約1分間浸漬後取り出
し、余剰の錫を取り除くことにより、メッキが行われ
る。
【0008】なお、前記錫(Sn)の代わりに鉛(Pb)5
0%と錫(Sn)50%の合金、又は鉛(Pb)80%と錫
(Sn)20%の合金中に加工材料を浸漬することにより
行うこともできる。
【0009】また、電気メッキ法は電着法ともいい、電
解槽の電着液内に陰極の加工材料と陽極の金属を投入し
て通電し、電解によって陽極の金属を陰極の加工材料の
表面に析出させて(電着という)金属被覆を行う方法で
あり、窒化防止法としては、この電気メッキ法により一
般にはニッケル(Ni)のメッキが施される。
【0010】ニッケルメッキを施す場合には、低電圧を
用いて細密なメッキ層を作ることにより、0.0125
mm厚のメッキ層の形成により十分な窒化防止を図ること
ができる。
【0011】なお、前述のように加工材料の表面をメッ
キする代わりに、窒素の拡散を防止する部分の加工材料
の表面に前述の錫(Sn)やニッケル(Ni)等の金属やセ
ラミック等を含有するペーストを塗布し、これを自然乾
燥または熱乾燥した後に窒化処理を行う窒化防止方法も
行われている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前述した窒化防止方法
のうち、溶融メッキ法による場合、加熱溶融された金属
中に加工材料を浸漬する必要があるため作業に危険を伴
い、また、加工材料の表面に余剰に付着した金属を除去
するための作業を必要とし、該作業に長時間を要する。
【0013】さらに、加工材料を浸漬するための加熱溶
融された金属が必要であるために、金属を常に溶融状態
に維持するための加熱設備費を必要とし、そのためにコ
ストがかかるという問題点を有する。
【0014】加えて、溶融メッキにより形成されたメッ
キ層は接着力が弱く、窒化処理中に加工材料の表面より
メッキ層が剥離して不良品が発生しやすく、そのため該
方法により加工された製品のコストを高める原因となっ
ている。
【0015】また、電解メッキ法による場合、加工材料
の表面に金属が析出されてメッキが形成されるまでに長
時間を要し、また、細密なメッキ層を作るために低電圧
で電着を行う場合にはより一層の長時間を要する。その
ため、メッキ作業に長時間を要しコスト高となるという
問題点を有する。
【0016】さらに、窒化処理のされた加工材料を溶接
等する場合、該溶接する部分のメッキを除去する必要が
あるが、前述のようにしてメッキされたニッケルは加工
材料の表面から容易に剥離することができず、これを剥
離するためにはカセイソーダ等の剥離剤を使用する必要
がある。そのため該剥離に使用された剥離剤を処理する
ための設備、施設等が必要となり、該設備、施設の維持
・管理にコストがかかる。
【0017】一方、加工材料の表面に錫(Sn)やニッケ
ル(Ni)、セラミックを含有するペーストを塗布するこ
とにより窒化防止を行う窒化防止方法にあっては、比較
的低コストで窒化防止を行うことができるが、この方法
により窒化を防止する場合、窒化後に加工材料を洗浄等
して塗布されたペーストを除去する必要があり煩雑であ
る。特に、窒化防止を完全ならしめるためにペーストを
加工材料の表面に高密度で付着させた場合には、ペース
トの除去がより一層困難となり、該ペーストの除去作業
に多大な労力と時間を必要とする一方、窒化後の除去を
考慮して前記ペーストを低密度で塗布して除去し易くす
ると、該ペーストの塗布部分も窒化されて不良品が発生
するという欠点を有する。
【0018】そこで、本発明の目的は、比較的簡単な方
法によりかつ短時間で加工材料の表面に対する密着強度
が強く、密度が高いと共に、窒化処理後にあっては加工
材料の表面から容易に剥離することのできる金属被膜を
加工材料の窒化を防止する部分に施し、金属被膜の形成
された加工材料を窒化処理した際に該金属被膜により覆
われた部分に窒素が拡散することを良好に防止できる窒
化防止方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の窒化処理における窒化防止方法は、窒化
鋼、その他窒化処理の対象である金属より成る加工材料
W、その一部を窒化処理の対象となる金属により形成さ
れた加工材料W、及び窒化処理の対象となる金属成分を
含む加工材料Wの表面に、例えば金属被膜14を形成し
ない部分を被覆するマスク材12を付着させ、加工材料
Wよりも低融点かつ低硬度の金属粉体15を噴射速度8
0m/sec以上又は噴射圧力0.3MPa以上で噴射し、前記
噴射された金属粉体15を加工材料Wの表面に溶着させ
て金属被膜14を形成した後、該金属被膜14の形成さ
れた加工材料Wをガス窒化、液体窒化、軟窒化等の既知
の方法により窒化処理することを特徴とする。
【0020】前記金属粉体15は、好ましくは錫(Sn)又
はアルミニウム(Al)の粉体を使用する。
【0021】さらに、噴射される前記金属粉体を、平均
粒径20〜300μm、好ましくは20〜100μm、よ
り好ましくは、30〜60μmとする。
【0022】なお、加工材料の表面に形成された金属被
膜は、窒化処理後もそのまま残すこともできるが、必要
に応じて窒化処理後の該加工材料の表面に形成された金
属被膜をサンドブラストにより剥離することもできる。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態につき添
付図面を参照しながら以下説明する。
【0024】本発明の窒化処理における窒化防止方法
は、所定形状に形成されたマスク材12等により被覆さ
れた加工材料Wの表面に金属被膜14となる金属粉体1
5を所定噴射速度又は所定噴射圧力以上で噴射すること
により、噴射された金属粉体15を被加工物Wの表面に
溶着させて金属被膜14を形成し、この金属被膜14の
形成された加工材料Wを窒化処理して金属被膜14によ
り被覆された加工材料Wの表面に窒素が拡散することを
防止するものである(図1参照)。
【0025】噴射される金属粉体15は、加工材料Wよ
りも低融点でかつ、低硬度の種々の金属を使用すること
ができるが、亜鉛(Zn)は、窒化防止の効果がなく、ニ
ツケル(Ni)等の金属にあっては、加工材料Wの材質に
よつては被膜が形成され難いものもあり、好ましくは広
範な材質の加工材料に対して使用できる錫(Sn)を使用
する。なお、アルミニウム(Al)は、爆発の危険性から
圧縮空気による噴射には、不適当である。
【0026】錫(Sn)の噴射により形成された錫被膜1
4は、窒化処理後に錫被膜14に対してサンドブラスト
を行うことにより容易に加工材料の表面より剥離するこ
とができ、窒化処理後の加工材料を溶接する必要がある
場合等においても該溶接を行う部分の被膜14を容易に
除去することができる。
【0027】前述のように、加工材料Wの表面に噴射さ
れて金属被膜14を形成する金属粉体15は、平均粒径
20〜300μm、好ましくは20〜100μm、より好
ましくは30〜60μmである。
【0028】また、金属粉体15の形状は球状のもの、
多角形状のものなど種々のものを使用することができる
が、加工材料Wの表面が研摩され難い球状のものを好ま
しくは使用する。
【0029】前述の金属粉体15を噴射する噴射装置と
しては、乾式により金属粉体15を所定速度又は所定の
圧力で噴射し得る構成のものであれば如何なるものをも
使用可能であり、具体的には遠心作用により金属粉体1
5を噴射する遠心式ブラスト加工装置、金属粉体15を
打撃して噴射する平打式のブラスト加工装置、圧縮空気
等の気体流と共に金属粉体15を噴射するエア式のブラ
スト加工装置等、金属粉体15の噴射装置として既知の
各種ブラスト加工装置を使用することができるが、本実
施形態にあってはこのうち、噴射速度、噴射圧力、金属
粉体15の噴射範囲等の調整が容易であるエア式のブラ
スト加工装置を使用する。
【0030】本実施形態にあっては、前記エア式のブラ
スト加工装置のうち特に金属粉体15の投入されたタン
ク内に圧縮空気を供給し該圧縮空気により搬送された金
属粉体15を別途与えられた圧縮空気の空気流に乗せて
ブラストガンより噴射する直圧式のブラスト加工装置、
金属粉体15のタンクから重力により落下した金属粉体
15を圧縮空気に乗せて噴射する重力式のブラスト加工
装置を使用している。もっともこの噴射装置は、圧縮空
気の噴射により生じた負圧により金属粉体15を吸引し
て圧縮空気と共に噴射するサイフオン式等他のエア式の
ブラスト加工装置を使用することも可能である。
【0031】本発明の方法に使用する金属粉体15の噴
射装置の一例として、重力式のブラスト加工装置を図2
及び図3に示す。
【0032】以下、金属粉体15の噴射装置としてのブ
ラスト加工装置60の全体構成について説明すると、図
2及び図3において61はキヤビネットで、被加工物W
を出し入れする投入口を備え、キヤビネット61内に前
記投入口から投入した被加工物Wに金属粉体15を噴射
するブラストガン40を設ける。
【0033】また、前記キヤビネット61の下部にはホ
ッパ68が設けられ、ホッパ68の最下端は導管65を
介してキヤビネット61の上部に設置された金属粉体1
5回収用の回収タンク70の上部に連通する。
【0034】回収タンク70はいわゆるサイクロンで、
粉塵を金属粉体15から分離する装置であり、図2に示
すように上部に円筒状を成す円筒部と、下部に下方に向
けて徐々に狭くなる円錐状を成す円錐部とから成り、回
収タンク70の円筒部の上部の側壁に流入口73を設
け、この流入口73に連通管75を介して前記導管65
の先端を連結する。
【0035】前記連通管75の軸線方向は横断面円形状
を成す円筒部の内壁面の接線方向に位置しているので、
連通管75から回収タンク70内へ流入した気流は円筒
部の内壁に沿って回りながら降下してゆく。
【0036】回収タンク70の円錐部の下端はブラスト
ガン40から噴射される金属粉体15の噴射量を調整す
る調整器78を備え、この調整器78にブラストガン4
0を連通している。
【0037】一方、回収タンク70の上端壁面の略中央
には連結管74が設けられ、この連結管74は排出管6
7を介してダストコレクタ66に連通している。
【0038】ダストコレクタ66は、排風機69を回転
しダストコレクタ66内の空気を外気へ放出している。
この排風機69によりブラスト加工装置60のキヤビネ
ット61、導管65、回収タンク70内の空気を吸引
し、各部がそれぞれ負圧になり、また図示せざる圧縮空
気供給源から供給された空気が金属粉体15と共にブラ
ストガン40から噴射されるので、キヤビネット61か
ら順に導管65、回収タンク70、ダストコレクタ66
へ気流が流れる。
【0039】以上のように構成されたブラスト加工装置
60のキヤビネット61内に金属被膜14を形成する加
工材料Wを投入し、この加工材料Wの表面に対して金属
粉体15を噴射速度80m/sec以上、又は3Mpa以上で噴
射する。
【0040】本発明の方法により加工される加工材料W
としては、狭義の「窒化」に用いられる窒化鋼の他、窒
化処理の対象となる各種の金属について適用可能であ
り、また、セラミック等の一部に窒化処理の対象となる
金属より成る部分を備えた加工材料、前記窒化処理の対
象となる金属成分を含む加工材料等、表面に窒素が拡散
される性質のものであれば種々の加工材料について適用
可能である。
【0041】なお、前記加工材料Wは、必要に応じて焼
なまし、焼入れ、焼もどし、研摩、ひずみ取り等を行っ
た後、その表面に金属粉体15の噴射を行う。
【0042】このような加工材料Wの表面に、前記噴射
速度又は噴射圧力により噴射された金属粉体15は加工
材料Wよりも低融点かつ低硬度であるので、加工材料W
の表面に衝突した際の衝撃と該衝突の際に発生した熱に
より加工材料Wの表面に溶着して、加工材料Wの表面に
該金属粉体15により形成された金属被膜14が形成さ
れる。
【0043】この金属被膜14は、金属粉体15の噴射
速度又は噴射圧力、並びに噴射時間を調整することによ
り、約0.2〜15μmの範囲で所望の厚みとすること
ができ、加工材料Wに対する付着強度が強く、高密度の
金属被膜14を形成することが可能である。
【0044】前記加工材料Wの表面に対して所望パター
ンの金属被膜14を形成する場合には、加工材料Wの表
面の金属被膜14を形成する部分以外をマスク材12に
より被覆してマスキングする。
【0045】そして、該マスキングされた加工材料Wの
表面に金属粉体15を噴射して金属被膜14を形成する
と、後述する窒化処理を行った際に、所望の形状に形成
された該金属被膜14により被覆された加工材料Wの表
面の窒化を防止することができる。
【0046】加工材料Wの表面のマスキング方法として
は、形成されるパターンが微細又は複雑でない場合に
は、粘着剤の塗布された樹脂フィルムやテープをマスク
材12と成し、これを加工材料Wの表面に貼付けて金属
被膜14の非形成面を被覆することもできるが、加工材
料Wの表面に正確なパターンの金属被膜14を形成する
必要がある場合には、ゴム、樹脂等のマスク材12をス
クリーン印刷等により加工材料Wの表面に直接印刷し、
又は、転写紙に印刷されたマスク材12を加工材料Wの
表面に転写してマスクする方法や、フオトレジスト等を
使用した既知のリソグラフィー技術によりマスクする。
【0047】このようにしてマスキングのされた加工材
料Wの表面に対して、前述と同様の方法により金属粉体
15を噴射すると、マスク材12により被覆されていな
い加工材料Wの表面に衝突した金属粉体15が、加工材
料Wに対する衝突の際の衝撃及び該衝突の際に発生した
熱により加工材料Wの表面に付着して、該部分に金属被
膜14が形成される。
【0048】このようにして、加工材料の表面に所望パ
ターンの金属被膜14が形成された後、前記加工材料の
表面よりマスク材12を剥離又は洗浄等して除去し、所
望パターンの金属被膜14が被加工物の表面に形成され
る。
【0049】以上のようにして金属被膜14の形成され
た加工材料Wは、アンモニアガス中で500〜525℃
に数時間から100時間保持して行うガス窒化、NaCNO
を主剤とする塩浴中で約540℃に保持する液体窒化、
タフトライド(Tufftride)法等の既知の窒化法により
窒化処理される。
【0050】このとき、前記金属粉体15の噴射により
金属被膜14の形成された加工材料Wの部分には、前記
窒化処理によっても窒素の拡散が行われず、したがっ
て、該部分の窒化が好適に防止される。
【0051】なお、窒化処理後の加工材料Wに溶接等す
る場合等、該溶接する部分の金属被膜14を剥離する場
合、該金属被膜14の表面にサンドブラストを行うこと
によりきわめて容易に該金属被膜14を加工材料Wの表
面より剥離することができる。
【0052】従って、ニッケルメッキ等のようにカセイ
ソーダ等の剥離剤を使用して剥離する必要のあった従来
の電気メッキ法等により形成されたメッキに比較して容
易に剥離することができると共に、サンドブラストとい
う汚染、公害のおそれの少ない方法により金属被膜を剥
離することができ、さらに、剥離剤の処理等に使用され
る施設、設備を必要としない。
【0053】〔試験例〕次に、本発明の方法により、窒
化処理の際に加工材料の表面の一部分の窒化を防止した
結果につき説明する。
【0054】試験例1 加工材料として、縦20mm×横100mm×厚さ5mmのS
US304(オーステナイト系ステンレス鋼:18Cr-8N
i)のプレートにマスク材を付着させ、その表面に錫(S
n)の粉体を噴射しての20mm×50mmの範囲に厚さ約
5μmの錫被膜を形成した後、ガス軟窒化処理を行っ
た。
【0055】なお、本試験例における加工条件を表1に
示す。
【0056】
【表1】
【0057】上記方法において、窒化防止の行われた加
工材料Wの断面顕微鏡写真を図4に示す。なお、図4に
示す顕微鏡写真において、加工材料の表面においてやや
黒色に変色している部分が窒素の拡散の生じた部分であ
る。
【0058】図4に示す顕微鏡写真より明らかなよう
に、黒色に変色している部分、すなわち窒素の拡散が生
じている部分は、錫の被膜が形成されていない部分のみ
であり、錫の被膜の形成された部分において加工材料の
表面の変色は全く見られなかった。
【0059】従って、本発明の方法により加工材料の表
面に錫の被膜を形成すことにより、ガス軟窒化の際に該
錫の被膜により被覆された加工材料の表面が窒化するこ
とを好適に防止できることが確認された。
【0060】試験例2 加工材料として、縦20mm×横100mm×厚さ5mmのS
US304(オーステナイト系ステンレス鋼:18Cr-8N
i)のプレートにマスキングを施し、その表面に錫(S
n)の粉体を噴射して20mm×50mmの範囲で厚さ約1
0μmの錫の被膜を形成した後、イオン窒化処理を行っ
た。
【0061】なお、本試験例における加工条件を表2に
示す。
【0062】
【表2】
【0063】上記方法において、窒化防止の行われた加
工材料の断面顕微鏡写真を図5に示す。なお、図5に示
す顕微鏡写真においても加工材料の表面においてやや黒
色に変色している部分が窒素の拡散の生じた部分であ
る。
【0064】図5に示す顕微鏡写真より明らかなよう
に、黒色に変色している部分、すなわち窒素の拡散が生
じている部分は、錫の被膜が形成されていない部分のみ
であり、錫の被膜が形成された部分において加工材料の
表面の変色は全く確認できなかった。
【0065】従って、本発明の方法により加工材料の表
面に錫の被膜を形成することにより、イオン窒化による
場合であつても該錫の被膜により被覆された加工材料の
表面部分の窒化を好適に防止できることが確認された。
【0066】
【発明の効果】以上説明した本発明の構成により、金属
粉体の噴射という比較的簡単な方法によりかつ短時間で
加工材料の表面に密着強度が強く、密度の高い金属被膜
を形成し、該金属被膜の形成された部分の加工材料を窒
化処理することで、該金属被膜の形成された部分の加工
材料の表面に窒素が拡散することを好適に防止できた。
【0067】特に、噴射される金属粉体として錫(Sn)
を使用した場合には、加工材料の材質を選ばす良好に金
属被膜を形成することができ、従って、広範な材質の加
工材料の窒化防止を行う方法を提供することができた。
【0068】また、金属粉体の噴射により行われる金属
被膜の形成は、加工材料の表面にマスク材を付着するこ
とにより加工材料の表面中の所望の範囲に容易に行うこ
とができ、加工材料の表面中の所望部分を正確に窒化防
止することができた。
【0069】さらに、本発明の方法により形成された金
属被膜は、窒化処理後にサンドブラストを行うことによ
り容易に除去することができ、特に錫の粉体を噴射して
形成された金属被膜にあっては該サンドブラストにより
極めて容易に除去することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法を示す概略説明図。
【図2】 本発明の方法に使用されるブラスト加工装置
の一例を示す正面図。
【図3】 図2に示すブラスト加工装置の左側面図。
【図4】 試験例1により処理した加工材料の断面顕微
鏡写真。
【図5】 試験例2により処理した加工材料の断面顕微
鏡写真。
【符号の説明】
12 マスク材 14 金属被膜 15 金属粉体 40 ブラストガン 60 ブラスト加工装置 63 投入口 65 導管 66 ダストコレクタ 67 排出管 68 ホッパ 69 排風機 70 回収タンク 73 流入口 74 連結管 75 連通管 78 調整器
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−285062(JP,A) 特開 昭51−145439(JP,A) 実開 平3−115654(JP,U) 実開 昭60−37055(JP,U) 微粒子の高速衝突現象を利用した表面 創製の動向,電気製鋼,日本,71巻第1 号(2000年1月別冊),第51−58頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 8/04,8/02,8/24

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化を防止する部分の加工材料の表面に加
    工材料よりも低融点かつ低硬度の金属粉体を噴射速度8
    0m/sec以上又は噴射圧力0.3MPa以上で噴射して前記
    金属粉体を溶着させて金属被膜を形成した後、前記金属
    被膜の形成された加工材料を窒化処理することを特徴と
    する窒化処理における窒化防止方法。
  2. 【請求項2】前記金属粉体が、錫(Sn)またはアルミニウ
    ム(Al)より成る請求項1記載の窒化処理における窒化防
    止方法。
  3. 【請求項3】前記金属粉体が、平均粒径20〜300μ
    m、好ましくは20〜100μm、より好ましくは30〜
    60μmである請求項1又は2記載の窒化処理における
    窒化防止方法。
  4. 【請求項4】加工材料の表面に所望パターンに形成され
    たマスク材を取り付けた後、前記金属粉体を噴射するこ
    とを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の窒化処
    理における窒化防止方法。
  5. 【請求項5】窒化処理後の前記加工材料表面の金属被膜
    をサンドブラストにより除去することを特徴とする請求
    項1〜4いずれか1項記載の窒化処理における窒化防止
    方法。
JP30084897A 1997-10-31 1997-10-31 窒化処理における窒化防止方法 Expired - Fee Related JP3314017B2 (ja)

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