JP2001158974A - 防食方法 - Google Patents

防食方法

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JP2001158974A
JP2001158974A JP34443799A JP34443799A JP2001158974A JP 2001158974 A JP2001158974 A JP 2001158974A JP 34443799 A JP34443799 A JP 34443799A JP 34443799 A JP34443799 A JP 34443799A JP 2001158974 A JP2001158974 A JP 2001158974A
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corrosion
metal
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powder
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Keiji Mase
恵二 間瀬
Shinji Kanda
真治 神田
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Fuji Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Fuji Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的簡単な方法により腐食性金属の腐食を
防止する腐食防止方法を提供する。 【解決手段】 平均粒径が12μm 以下で1気圧下にお
ける融点が500℃以下の耐食性低融点金属の粉末を、
鉄、マグネシウム、銅等の腐食性金属より成る成品の表
面に、風速100m/sec以上の高圧ガスにて噴射して、
2μm 以上の膜厚を有する耐食性低融点金属より成る皮
膜を形成する。より一層の防食効果の向上を得る場合に
は、形成された耐食性低融点金属の皮膜上にさらに塗装
や鍍金を施すこともできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は腐食の生じ易い、
鉄、銅、マグネシウム等の金属やこれらの金属を含む合
金(本明細書においてこれらを総称して「腐食性金属」
という)の腐食防止方法に関し、より詳細には、腐食性
金属より成る成品の表面に皮膜を形成して、腐食性金属
の腐食及び錆の発生を同時に防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に鉄、銅、マグネシウム等の金属や
これらの金属を含む合金等の腐食性金属は、空気中の酸
素と結合して酸化することにより腐食することから、従
来よりこのような腐食性金属より成る成品にあっては、
その腐食を防止するための加工が施されて腐食の防止が
図られている。
【0003】このような腐食防止方法としては、腐食性
金属より成る成品の表面に、例えば無電解鍍金法、電気
鍍金法、溶融鍍金法により鍍金を行い、耐食性金属やそ
の合金(本明細書においてこれらを総称して「耐食性金
属」といい、このうち特に1気圧下における融点が50
0℃以下のものを「耐食性低融点金属」という)より成
る皮膜を形成し、又は、腐食性金属成品の表面に有機溶
剤系塗料、水系塗料、紫外線硬化型塗料、粉体塗料等の
塗料で塗装を施して樹脂皮膜を形成する等して、腐食性
金属と酸素との接触を遮断することによる腐食の防止が
図られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、腐食性
金属成品の表面に皮膜を形成することで、腐食性金属成
品が常時外気に曝される場合に比較して腐食の発生を好
適に防止することができるが、前記従来技術においては
下記に示すような各種の問題が生じていた。
【0005】無電解鍍金及び電気鍍金により皮膜を形成
して腐食の発生を防止する方法にあっては、皮膜に不純
物等による欠陥が生ずる場合があり、また、形成される
皮膜自身が多孔質であったりと、単一層の皮膜だけでは
腐食の発生を完全に防止することは困難であった。ま
た、電気鍍金により皮膜を形成する場合には、鍍金作業
中に発生する水素のため水素脆性が発生して、金属材料
の機械的性質が劣化する。
【0006】さらに、電気鍍金や無電解鍍金による場合
には、使用された電解液や浴剤等を廃棄する際の処理が
煩雑であると共に、これらの廃棄等に伴う環境汚染の危
険もあることから、環境問題に対する社会の感覚が鋭敏
化した今日にあってはこのような電気鍍金や無電解鍍金
を使用する工程は可及的に減少させることが望ましい。
【0007】また、鍍金による皮膜の形成のうち低融点
金属を加熱溶融して金属皮膜を形成する溶融鍍金の技法
を用いる場合、形成される皮膜の膜厚は50μm 以上と
比較的厚いものであり、過剰品質となり材料コストが嵩
む。
【0008】塗装により樹脂皮膜を形成することによる
腐食防止方法にあっては、塗装により形成された樹脂皮
膜に生じた傷や、樹脂皮膜の剥離が生じ易い端部、角部
等から腐食が生じ易く、一旦腐食が始まると成品の表面
と樹脂皮膜間で腐食が広がり、樹脂皮膜が金属成品の表
面から剥がれ落ちてしまうという問題点を有する。その
ため、このような塗装による樹脂皮膜の形成に際して
は、予め腐食性金属成品の表面に亜鉛鍍金処理を行って
から塗装を行い腐食が進まないようにする方法がとられ
る場合も多い。しかし、この場合には鍍金処理とそれに
続く塗装という複数工程を必要とし、腐食の発生防止処
理を施すためのコストが嵩むと共に、前述の鍍金の有す
る問題が同時に発生する。
【0009】なお、腐食性金属成品に金属の被膜を形成
する方法としては、前述の各方法の他、PVD法やCV
D法等の蒸着によることも考えられるが、このような蒸
着により被膜を形成する場合には、被膜を形成する工程
が複雑となり煩雑であるだけでなく、蒸着を行うために
は一般に高価な装置を必要とし、設備投資などの負担が
増大する。
【0010】そこで、本発明の目的は、上記従来技術に
おける欠点を解消するためになされたものであり、比較
的簡単な方法で、かつ、化学薬品等を使用することなく
均一かつ必要な厚みを有する耐食性金属の皮膜を腐食性
金属の表面に形成することにより、腐食性金属の錆の発
生を含む腐食発生を防止する腐食防止方法を提供するこ
とにより、腐食性金属における腐食の発生をより完全に
防止すると共に、腐食防止処理に要するコストを低減
し、更に腐食防止処理の際に発生するおそれのある作業
環境や周辺環境の汚染の発生を防止することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の防食方法は、平均粒径が1〜12μm で1
気圧下における融点が500℃以下の耐食性低融点金属
の粉末、例えば亜鉛、アルミニュウム、錫、鉛、銅、カ
ドミウム、インジウム、ビスマス等の金属及びその合金
の粉末を、鉄・マグネシウム・銅等の金属及びその合金
より成る腐食性金属成品の表面に、風速100m/sec以
上の高圧ガスにて噴射して、2μm 以上の膜厚を有する
耐食性低融点金属の皮膜を形成することを特徴とする。
【0012】前記腐食性金属の防食方法において、腐食
性金属成品の表面に形成される皮膜の膜厚は、噴射され
る粉末の粒径を変化することにより調整することがで
き、粒径を小さくするに従って膜厚を増大させることが
できる。
【0013】さらに、より一層の防食効果の向上を図っ
た本発明の防食方法にあっては、前記方法において形成
された耐食性低融点金属の皮膜上に、さらに有機溶剤系
塗料、水系塗料、紫外線硬化型塗料、粉体塗料等により
塗装を行って樹脂皮膜を形成することもでき、また、例
えば電気鍍金、無電解鍍金等の既知の鍍金技術により亜
鉛、銅、クロム、ニッケル等の耐食性金属を鍍金しても
良い。
【0014】平均粒径が12μm 以上、融点500℃以
上では、皮膜の膜厚が1μm以下となってしまい防食効
果が低い。
【0015】耐食性低融点金属の粉体が、処理対象とな
る金属成品の表面に衝突すると、耐食性低融点金属の粉
末が金属成品の表面に衝突したときの衝撃熱及び摩擦熱
により粉末の表面が溶融して金属成品の表面に付着す
る。
【0016】この金属成品の表面に形成される皮膜の膜
厚は、噴射される粉末の粒径を変更することにより増減
し、一例として、本発明の方法における他の条件をその
ままに、粉末の粒径を20μm 以上とすると、金属成品
の表面に形成される皮膜は十分に成長することができ
ず、形成される皮膜の膜厚は1μm 以下の比較的薄いも
のとなり、また、粉末の粒径を12μm 以下とすると、
皮膜の膜厚が2μm 以上となり、また、粉末の粒径を徐
々に小さくすると、粒径の減少に従ってより厚い皮膜を
形成することができた。
【0017】このように、噴射される粉末の粒径を変え
ることにより、形成される皮膜の厚みに相違が現れる
が、これは下記の理由によるものと考えられる。
【0018】(1)粉末が金属成品の表面に衝突すると、
発熱による粉体の溶融及びこの溶融した粉体の金属成品
表面への付着という作用と、前記衝突の際の衝撃により
既に金属成品の表面に付着している耐食性低融点金属の
皮膜を剥がそうとする作用という相反する2つの作用が
生ずる。噴射される粉末の粒径が小さくなるに従い両作
用とも薄れるが、粉末の粒径変更により両作用が受ける
影響は一様ではなく、両作用間の相対的関係において、
粒径が小さくなるに従い皮膜を形成しようとする作用
が、皮膜を剥離しようとする作用よりも強く顕れて形成
される皮膜が徐々に厚くなるものと考えられる。
【0019】(2)また、耐食性低融点金属粉末は酸化に
より金属成品の表面に付着し難くなるが、粒径が12μ
m 以下と比較的小さい場合には、衝突の際の加熱後、粉
末は瞬時に冷却されて高温で保持される時間が短くな
り、また衝突エネルギー自体も小さくなるため周辺雰囲
気の温度も低くなり表面が酸化しにくくなる点も影響し
ているものと考えられる。
【0020】本発明の方法にあっては、噴射される粉体
の粒径と、形成される皮膜の膜厚間の前述のような相関
関係に着目し、噴射される耐食性低融点金属の粉体の粒
径を12μm 以下とすることで、有効な防食効果を得る
ことのできる2μm 以上の膜厚を有する皮膜の形成を可
能と成すと共に、この粉末の粒径を変化させることによ
り、形成すべき皮膜の膜厚を調整可能としている。
【0021】なお、噴射される耐食性低融点金属粉体の
粒径と、形成される皮膜の膜厚との間にある前述の如き
関係を明らかにすると共に、形成された皮膜による腐食
防止効果を確認すべく下記の試験を行った。
【0022】〔試験例〕本試験例では、鉄板を処理対象
とし、この鉄板に対して異なる粒径の耐食性低融点金属
粉末を噴射して皮膜を形成すると共に、皮膜の形成され
た鉄板に対して塩水を噴霧して放置し、各条件における
腐食防止効果を確認した。
【0023】なお、本試験例において使用された粉体
は、 (1)本願例:平均粒径がそれぞれ12μm 、5μm 、
3.5μm の亜鉛の粉末 (2)比較例:平均粒径がそれぞれ20μm 、40μm 、
70μm の亜鉛粉末及び銀粉末であり、その他の条件
は、 処理対象:鉄板100mm×100mm 厚さ2.3mm ブラスト装置:不二製作所製SCF−4型 加工圧力:4kg/cm ノズル距離:50mm である。
【0024】上記試験の結果、本願例にあっては、平均
粒径12μm の亜鉛粉末では膜厚2μm 、平均粒径5μ
m の亜鉛粉末では膜厚4μm 、平均粒径3.5μm の亜
鉛粉末では膜厚5μm の亜鉛皮膜がそれぞれ形成され
た。そして、この皮膜形成後の各鉄板に対して塩水を噴
霧して24時間放置した後観察した結果、いずれの鉄板
に対しても腐食は見られず、いずれの粒径の粉体の噴射
によっても十分な腐食防止の効果が得られていることが
確認された。
【0025】一方、比較例にあっては、いずれの粉末の
噴射によって形成された皮膜も膜厚が1μm 以下と薄
く、塩水噴霧後2時間でいずれも部分的に腐食しており
十分な腐食防止の効果は発揮されなかった。
【0026】本発明の腐食防止方法にあっては、前述の
ようにして耐食性低融点金属の皮膜が形成された腐食性
金属成品の表面にさらに塗装を施し、又は鍍金を施すこ
とにより、例えばより過酷な条件下で使用される耐食性
金属成品の腐食防止を行うこともできる。
【0027】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態につき以
下説明する。
【0028】本発明の防食方法は、従来より腐食性金属
の腐食発生防止のために金属成品の表面に形成されてい
る、例えば亜鉛、錫、鉛及びこれらの合金等から成る耐
食性低融点金属の皮膜を、電気鍍金や無電解鍍金、溶融
鍍金等によることなく形成して防食処理を施すものであ
り、粒径が12μm 以下で1気圧下における融点が50
0℃以下の亜鉛、アルミニュウム、錫、鉛、銅、カドミ
ウム、インジウム、ビスマス等の金属及びその合金より
成る耐食性低融点金属の粉末を、例えば圧縮空気等の風
速100m/sec以上の高圧ガスにて鉄、銅、マグネシウ
ム等の金属及びその合金より成る腐食性金属成品の表面
に噴射することにより、膜厚2μm 以上の耐食性低融点
金属の皮膜を形成して、腐食性金属に錆の発生を含む腐
食が発生することを防止するものである。
【0029】腐食性金属成品の表面に対して耐食性低融
点金属粉体を噴射する装置としては、圧縮ガスと共に研
磨材を噴射する既知のブラスト装置を使用することがで
き、このブラスト装置により研磨材に代えて耐食性低融
点金属の粉体を処理対象となる金属成品の表面に噴射す
ることで、耐食性低融点金属の皮膜を金属成品の表面に
形成することができる。
【0030】本実施形態にあっては、このブラスト装置
として、圧縮ガスとして圧縮空気を使用してノズル10
に導入される圧縮空気の圧力等により粒体を噴射する既
知のエア式のブラスト装置を使用している。
【0031】このエア式のブラスト装置としては、各種
の型式のものを使用することができ、例えば耐食性低融
点金属粉末の投入されたタンク内に圧縮空気を供給し該
圧縮空気により搬送された耐食性低融点金属粉末をノズ
ルより噴射する直圧式のブラスト装置、ノズルの内部に
生ずるエゼクタ現象を利用して耐食性低融点金属粉末を
ノズルに引き込み噴射するサクション式のブラスト装置
を使用することができ、さらに、このサクション式のブ
ラスト装置として、タンクから重力によリ落下した耐食
性低融点金属粉末を圧縮空気に乗せて噴射する重力式の
ブラスト装置、圧縮空気の噴射により生じた負圧により
耐食性低融点金属粉末を吸引して圧縮空気と共に噴射す
るサイフォン式のブラスト装置等の各種のブラスト装置
を使用することができる。
【0032】前記エア式のブラスト装置のうち、サクシ
ョン式、直圧式のものを示せば図4及び図5に示す通り
である。
【0033】図4はノズル10の内部に生ずるエゼクタ
ー現象を利用して粉体をノズル10に引き込み噴射する
装置で、一般にサクション式サンドブラスト装置として
使用されているものを本発明の方法に転用した例であ
る。
【0034】図4に示す装置において、まず耐食性低融
点金属粉末はキャビネット47内に投入される。投入さ
れた耐食性低融点金属粉末はダストコレクタ33の負圧
に引かれて導管48を通りサイクロン29からタンク4
6に入る。タンク46に入った耐食性低融点金属粉末は
サクション式の定量供給装置25に入る。ノズル10は
サクション式噴射ノズルで、図示せざる圧縮空気供給源
と連通されたエアーホース32からの圧縮空気を使用し
てエゼクター現象によリ供給ホース31内を負圧にする
ことにより定量供給装置25内の耐食性低融点金属粉末
を一定量引き込みノズルチップ14から圧縮空気と共に
噴射する。
【0035】このときの圧縮空気の風速は100m/秒
以上で、圧縮空気と共に噴射された耐食性低融点金属粉
末の一部は金属成品の表面に付着して被膜を形成し、そ
の他の耐食性低融点金属粉末はダストコレクタの負圧に
引かれてサイクロン内に捕集され再度同様の経路を介し
て循環されて噴射される。
【0036】図5は定量供給装置26内に図示せざる圧
縮空気供給源からの圧縮空気を導入して該圧縮空気と共
に耐食性低融点金属粉末を圧送して直圧式噴射ノズル1
0’から噴射する装置であり、一般に直圧式サンドブラ
スト装置として使用されるものを本発明の方法に転用し
たものである。
【0037】図5に示す装置においてまず耐食性低融点
金属粉末はキャビネット47に投入される。投入された
耐食性低融点金属粉末はダストコレクタ33の負圧によ
り引かれて導管48を通りサイクロン29からタンク4
6に入る点については、前述のサクション式ブラスト装
置と同様である。
【0038】タンク46に入った耐食性低融点金属粉末
は直圧式の定量供給装置26に入る。定量供給装置26
内には、図示せざる圧縮空気供給源より圧縮空気が導入
されており、この導入された圧縮空気により圧力を加え
られた耐食性低融点金属粉末は圧縮空気と共に供給ホー
ス31を通り直圧式噴射ノズル10’に導入され、該ノ
ズル10’の先端に設けられたノズルチップ14より風
速100m/秒以上の圧縮空気と共に噴射される。
【0039】以上のように構成されたブラスト装置のキ
ャビネット47内に、所望の耐食性低融点金属粉末を投
入して該装置を作動させると、ノズルチップ14から耐
食性低融点金属粉末が圧縮空気と共に噴射される。
【0040】図1に示す実施形態においては、耐食性低
融点金属の皮膜8を形成する前に、処理対象となる金属
成品1に対して研磨材12によるブラストを行い(工程
1)、また、耐食性低融点金属の皮膜8の形成された金
属成品1に対して、粉体塗料13による塗装(工程3及
び工程4)を行う例を示す。
【0041】図1に示す実施形態においては、耐食性低
融点金属粉末15の噴射(工程2)に先立って、金属成
品1の表面に既知のブラスト法により研磨材12を噴射
して金属成品の表面に付着する汚れ、バリ、離型剤等を
除去している(工程1)。このように耐食性低融点金属
粉末15の噴射に先立って研磨材12のブラスト(工程
1)を行うことにより、皮膜の付着性を向上させること
ができる。
【0042】この工程1において使用されるブラスト装
置は、研磨材12を処理対象である金属成品1の表面に
投射し得るものであれば如何なるものを使用しても良
く、圧縮ガスにより研磨材12を噴射するブラスト装置
の他、遠心力により研磨材を投射するもの、回転する羽
根車に研磨材を衝突させて投射するもの、その他既知の
各種の装置を使用することができる。本実施形態にあっ
ては、前述の耐食性低融点金属粉末15の噴射(図1中
の工程2)に際して使用されると同一のブラスト装置を
使用し、タンク内に投入される粉体を、工程1にあって
は研磨材12に、工程2にあっては耐食性低融点金属粉
末15に交換することにより同一のブラスト装置により
加工して、本発明を実施する際の設備投資等の負担を軽
減している。
【0043】工程1において、研磨材12によるブラス
トがされた金属成品の表面に対しては、前述した方法に
より耐食性低融点金属粉末15が噴射され、2μm 以上
の所定の厚みを有する耐食性低融点金属の皮膜8が形成
され(工程2)る。図1に示す実施形態にあっては、こ
のようにして形成された耐食性低融点金属の皮膜8上に
にさらに塗装により樹脂皮膜9を形成している(工程3
及び工程4)。
【0044】図1に示す実施形態は、この塗装を粉体塗
料13による静電塗装を行う例を示しており、静電塗装
用のノズル20より噴射された粉体塗料13を静電気に
より皮膜8の形成された金属成品1の表面に付着させる
と共に(工程3)、この付着された粉体塗料13を加熱
・溶融して、金属成品1の表面に定着させている(工程
4)。
【0045】なお、この樹脂皮膜9の形成は、前述の静
電塗装に限定されるものではなく、溶剤系塗料や水性塗
料の塗布、樹脂の溶噴、加熱された金属成品に対する粉
体塗料の噴射等の既知の各種の方法により行うことがで
きる。もっとも、有機溶剤等の揮発による作業環境や周
辺環境の汚染を考慮すれば、ここで行われる塗装は、前
述の粉体塗料13や水性塗料等の有機溶剤等の有害物質
を使用しない塗料により行われることが好ましい。
【0046】以上のようにして、耐食性低融点金属の皮
膜8又は耐食性低融点金属の皮膜8及び樹脂皮膜9の形
成された処理対象たる金属成品1は、その表面が外気に
曝されることがなく、好適にその腐食が防止される。
【0047】前述した図1の構成に基づき、マグネシウ
ムより成る金属成品を処理対象としてその腐食発生防止
を行った実施例を一例として示せば下記の通りである。 (実施例1)〔マグネシウム成品の腐食防止処理例〕 工程1で研磨材12としてカーボランダム♯600を使
用し、加工圧力4kg/cm2 、ノズル距離100mmとし
てこの研磨材をノズルから吹きつけサンドブラスト処理
を行い、金属成品1の表面の汚れや離型剤を除去する。
【0048】工程2で、耐食性低融点金属粉末15とし
て平均粒径3.5μm の亜鉛粉末を金属成品1上に噴射
して膜厚5μmの亜鉛皮膜8を形成した。
【0049】なお、亜鉛粉末の噴射条件は以下の通りで
ある。
【0050】ブラスト装置:不二製作所製SCM−1A
DE 401型 噴射圧力:5kg/cm ノズル距離:70mm ノズルチップ径:7mm 工程3で粉体塗装用ノズル20からポリエステル系の粉
体塗料13(東亜合成製)を吹きつけ静電粉体塗装にて
膜厚約200μmの粉体塗料層を形成した。
【0051】工程4で、前記工程3により粉体塗料層の
形成された金属成品1を200℃で10分加熱して、粉
体塗料層を溶融して約200μmのポリエステル皮膜9
を亜鉛皮膜8上に定着させた。
【0052】以上のようにして腐食防止処理のされた腐
食性金属成品は、比較的軟質である亜鉛皮膜8が塗装に
より形成された樹脂皮膜9により保護されて金属成品1
とされた耐食性金属成品の腐食防止効果がより向上する
と共に、塗装による装飾効果により、美しい化粧面を有
する金属成品を得ることができた。従って、この前述の
方法により防食処理された金属成品1は、耐食性低融点
金属の皮膜8のみが形成された金属成品以上の過酷な条
件下において使用できると共に、塗装の色等を適宜に選
択することにより、様々な用途に使用することができ
る。
【0053】図2は、金属成品1の表面に耐食性低融点
金属粉体15を噴射して耐食性低融点金属の皮膜8を形
成すると共に(工程1)、この耐食性低融点金属の皮膜
8を形成された金属成品1の表面にさらに電気鍍金を施
した例を示したものであり(工程2)、図2において研
磨材のブラスト工程(図1における工程1)は省略され
ている。
【0054】本発明の方法において使用される耐食性低
融点金属である錫、亜鉛、鉛等の金属及びその合金は、
比較的柔軟で傷付きやすいが、このような耐食性低融点
金属より成る皮膜8上にさらに鍍金を施すことにより、
耐食性低融点金属の皮膜8が好適に保護されてより一層
の防食効果が得られると共に、鍍金による装飾効果も得
ることができる。
【0055】図2に示す実施形態にあっては、前述の鍍
金を電気鍍金により行う例を示しているが、この鍍金は
電気鍍金に限定されず既知の各種の方法により行うこと
ができる。
【0056】一例として、工程2による鍍金される金属
は亜鉛、銅、ニッケル、クロム等の耐食性のある金属で
あることが好ましく、特に、腐食性の強いマグネシウム
等の金属成品1の腐食を防止する場合には、例えば耐食
性低融点金属の皮膜8の形成後(工程1の後)銅鍍金を
行い、その後更に耐食性の向上と装飾を目的としてニッ
ケルやクロム等を鍍金して、複数の鍍金層を形成しても
良い。
【0057】前述した図2の構成に基づき、マグネシウ
ムより成る金属成品1の腐食発生防止を行った実施例を
一例として示せば下記の通りである。 (実施例2)〔マグネシウム成品の腐食防止処理例〕 前処理として、カーボランダム♯600を研磨材として
を使用し、加工圧力4kg/cm 2 、ノズル距離100mm
にて前記研磨材を噴射してブラスト処理を行い、処理対
象である金属成品1の表面に付着する汚れや離型剤を除
去する。
【0058】工程1で、耐食性低融点金属粉末15とし
て、平均粒径5μmの亜鉛粉末をマグネシウム製の金属
成品1上に噴射して、膜厚略4μmの亜鉛皮膜8を形成
した。
【0059】なお、亜鉛粉末の噴射条件は以下の通りで
ある。
【0060】 ブラスト装置:不二製作所製SCM−1ADE−401 噴射圧力:5kg/cm ノズル距離:50mm ノズルチップ径:7mm 工程2にてシアン化銅浴3を使用した電気鍍金で、防食
効果の向上を目的として膜厚約50μmの銅鍍金を行
い、その後、防食効果の向上と表面装飾を目的としてニ
ッケル鍍金にて約10μmのニッケル鍍金層を形成し
た。
【0061】以上の通りの防食処理を行うことにより、
腐食性の強いマグネシウム製の金属成品1の腐食防止を
好適に行うことができ、また、ニッケル鍍金により美し
く表面装飾された金属成品を得ることができた。
【0062】以上図1及び図2に示す実施形態にあって
は、処理対象とされる金属成品1が平板状である例につ
いて示したが、本発明の方法は、立体的形状を持った金
属成品2に対しても適用することが可能である。
【0063】図3に示す実施形態にあっては、本発明の
方法を立体形状を有する金属成品2に適用したもので、
一例として円筒状の鉄パイプの腐食防止処理を行った例
である。なお、本発明の方法は、図3に示すような円筒
状の金属成品2のみならず、より複雑な立体的形状を成
す金属成品の防食においても有効に使用し得る。
【0064】一例として、鉄パイプの腐食防止処理を行
った実施例を示せば下記の通りである。 (実施例3)〔鉄パイプの腐食防止処理例〕 長さ500mm、外径φ50mmの鉄パイプの表面に、耐食
性低融点金属粉体15として平均粒子径3.5μmの亜
鉛を噴射して膜厚が約4μmの亜鉛皮膜8を形成した。
【0065】なお、亜鉛粉末の噴射条件は以下の通りで
ある。
【0066】使用装置:不二製作所製SVF−4型 噴射圧力:5kg/cm ノズル距離:80mm ノズルチップ径:7mm 以上のように、鉄パイプ等の立体的形状を有する金属成
品2に対しても、本発明の方法により膜厚約4μmの略
均一な皮膜を形成することができ、有効に防食処理を行
うことができた。
【0067】なお、前述の実施形態にあっては、耐食性
低融点金属の皮膜上には、鍍金又は塗装のいずれか一方
のみを行う例について示したが、耐食性低融点金属の皮
膜上に鍍金をした後、更に塗装を施しても良く、また、
耐食性低融点金属粉体の噴射により形成される皮膜は、
複数層にわたるものであってもも良く、各種の組合せが
可能である。
【0068】
【発明の効果】以上説明した本発明の構成により、比較
的簡単な方法で、かつ、化学薬品等を使用することなく
均一かつ必要な厚みを有する耐食性金属の皮膜を腐食性
金属の表面に形成することにより、腐食性金属の腐食発
生を防止する腐食防止方法を提供することができた。
【0069】従って、この方法により防食処理をするこ
とにより、腐食性金属における腐食の発生をより完全に
防止でき、また、腐食防止処理に要するコストを低減
し、更に腐食防止処理の際に発生するおそれのある作業
環境や周辺環境の汚染の発生を防止することができた。
【0070】また、本発明の方法により、噴射される耐
食性低融点金属粉末の粒径を変更することにより、形成
される皮膜の膜厚を適宜変更することができ、従って、
処理対象の使用目的、使用環境等に応じて所望の厚みの
皮膜を容易に形成することかできた。
【0071】さらに、耐食性低融点金属の皮膜上にさら
に塗装や鍍金を施して防食処理する本発明の方法にあっ
ては、防食効果がより一層向上すると共に、美しく装飾
された表面を有する金属成品を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す工程図。
【図2】 本発明の別の実施形態を示す工程図。
【図3】 本発明の別の実施形態を示す工程図。
【図4】 本発明の方法に使用するブラスト装置の概略
図。
【図5】 本発明の方法に使用する別のブラスト装置の
概略図。
【符号の説明】
1 腐食性金属成品(板材) 2 腐食性金属成品(パイプ) 3 電気鍍金浴 5 アノード材料 6 直流電源 8 耐食性低融点金属の皮膜 9 樹脂皮膜 10 サクション式噴射ノズル 10’重力式噴射ノズル 12 研磨材 13 粉体塗料 14 ノズルチップ 15 耐食性低融点金属粉末 25 定量供給装置(サクション式) 26 定量供給装置(直圧式) 29 サイクロン 30 サンドブラスト加工装置 31 供給ホース 32 エアーホース 33 ダストコレクタ 34 排風機 46 タンク 47 キャビネット 48 導管

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が12μm 以下で1気圧下に
    おける融点が500℃以下の耐食性低融点金属の粉末
    を、鉄、マグネシウム、銅等の腐食性金属より成る成品
    の表面に、風速100m/sec以上の高圧ガスにて噴射し
    て、2μm 以上の膜厚を有する耐食性低融点金属の皮膜
    を形成することを特徴とする防食方法。
  2. 【請求項2】 前記皮膜の膜厚を、噴射される粉末の粒
    径を変化することにより調整することを特徴とする請求
    項1記載の防食方法。
  3. 【請求項3】 前記皮膜上に、更に耐食性金属を鍍金す
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の防食方法。
  4. 【請求項4】 前記皮膜上に、更に有機溶剤系塗料、水
    系塗料、紫外線硬化型塗料、粉体塗料等の塗料により塗
    装を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の防食方
    法。
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