JP3312932B2 - 蛍光x線分析用ガラスビード製造方法及びガラスビード製造装置 - Google Patents

蛍光x線分析用ガラスビード製造方法及びガラスビード製造装置

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JP3312932B2
JP3312932B2 JP27702892A JP27702892A JP3312932B2 JP 3312932 B2 JP3312932 B2 JP 3312932B2 JP 27702892 A JP27702892 A JP 27702892A JP 27702892 A JP27702892 A JP 27702892A JP 3312932 B2 JP3312932 B2 JP 3312932B2
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glass bead
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恭之 山本
典子 武田
京子 阿南
由太郎 柚原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックス,鉄鉱
石,セメント等の粉末酸化物のガラスビード法による蛍
光X線分析に好適な蛍光X線分析用ガラスビード製造方
法及びガラスビード製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス,鉄鉱石,セメント等の粉
末酸化物の元素の含有率を求めるのに、元素の含有率に
より蛍光X線強度が異なることを利用した蛍光X線分析
方法が一般に広く用いられている。また、この蛍光X線
分析を行う場合に、試料(粉末酸化物)を蛍光X線分析
に適した形態に調整する必要がある。その方法として粉
末プレス法とガラスビード法が代表的であるが、粉末プ
レス法より種々の点で優れるガラスビード法が一般的に
用いられている。
【0003】このガラスビード法では、図5に示すよう
に、容器1内にガラスビードの組成粉末2′を投入した
後、その投入した粉末2′の溶解,冷却工程を経ること
により、図6に示すようなガラス化したガラスビード2
を製造する。そしてガラスビード2の容器1の底部内面
(直径約30mm)1aに対応する面が、蛍光X線分析
における分析面2aとなる。
【0004】また、ガラスビード法で用いられる容器1
は、得られるガラスビード2に不純物が混入せず、ま
た、ガラスビード2が冷却した場合の剥離性が良好で、
変形し難いことが望ましい。そのような材質としては、
一般に、白金と金の合金又は白金と金とロジウムの合金
などの高価な貴金属が用いられている。しかしながら、
この容器1,ガラスビード2間の熱膨脹差が大きいた
め、冷却した際の熱応力により、繰り返し使用するにつ
れ容器1の底部内面1aは図5の想像線で示すように変
形し、ガラスビード2の分析面2aも図6の想像線で示
すように変形(平坦度が最大0.8mm)してくる。よ
って1つの容器1で数百個のガラスビード2を製造する
と変形がさらに大きくなり、分析精度が低下する。
【0005】一方、日本工業規格(JIS)では、ガラ
スビード2の分析面2aについての規定はなく、容器1
の底部内面1aに関し、「ビードの剥離性を良好に保つ
ために、底部内面を平滑に保つ」如く規定されているだ
けであるため、従来、底部内面1aを平滑にする考えは
あっても、平坦にするという考えはなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の
技術革新に伴い、高い分析精度が要求されるようにな
り、その要求を満たすガラスビード2を得ようとする
と、従来法では1つの容器1でせいぜい10個程度しか
製造できないことになり、量産性が低下する。また、そ
の都度改鋳したのではコスト高を招くことにもなる。
【0007】そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなさ
れたものであり、分析精度の向上が図れ、しかも量産性
に優れる蛍光X線分析用ガラスビード製造方法及びガラ
スビード製造装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1記載の製造方法は、底部内面が平滑な有底容
器内にガラスビードの組成粉末を投入した後、前記容器
に投入した粉末の溶解,冷却工程を経て、前記底部内面
に接する面を分析面とするガラスビードを得る蛍光X線
分析用ガラスビード製造方法において、前記分析面の平
滑度が5μm以下、平坦度が50μm以下の値となるよ
うにその分析面を研磨することを特徴とするものであ
る。
【0009】また、請求項2記載の製造方法は、前記分
析面の平滑度及び平坦度の値は、分析対象元素により
異なることを特徴とするものである。
【0010】また、請求項3記載の製造装置は、底部内
面が平滑な有底容器内にガラスビードの組成粉末を投入
した後、前記容器に投入した粉末の溶解,冷却工程を経
て、前記底部内面に接する面を分析面とするガラスビー
ドを得るガラスビード製造装置において、前記分析面の
平滑度及び平坦度を測定する測定部と、前記分析面の平
滑度が5μm以下、平坦度が50μm以下の値となるよ
うに分析面を研磨する研磨部とを有することを特徴とす
るものである。
【0011】また、請求項4記載の製造装置は、前記分
析面の平滑度及び平坦度の値は、分析対象元素により
異なることを特徴とするものである。
【0012】
【作用】請求項1記載の製造方法によれば、溶解,冷却
工程を経て得られるガラスビードの分析面には、容器の
底部内面の平滑度,平坦度がそのまま転写される。この
ため、底部内面を平滑にすることにより平滑な分析面が
得られるが、分析精度は、分析面の平滑度よりもむしろ
平坦度により左右される。従って、溶解,冷却工程によ
り容器が変形し、平滑度及び平坦度が悪くなっても、ガ
ラスビード自体を平滑度が5μm以下、平坦度が50μ
以下の値となるように研磨することにより、分析精度
が向上し、量産性も向上する。
【0013】請求項2記載の製造方法によれば、分析対
象元素に応じて平滑度及び平坦度の値を定めることに
より、分析対象元素に応じた分析精度の向上が図れる。
【0014】請求項3記載の製造装置によれば、請求項
1記載と同様、溶解,冷却工程を経て得られるガラスビ
ードの分析面には、容器の底部内面の平滑度,平坦度が
そのまま転写される。このため、底部内面を平滑にする
ことにより平滑な分析面が得られるが、分析精度は、分
析面の平滑度よりもむしろ平坦度により左右される。従
って、溶解,冷却工程により容器が変形し、平滑度及び
平坦度が悪くなっても、測定部によりその平滑度及び平
坦度の測定をしてその良否判定が可能となり、研磨部に
より不良と判定されたガラスビードの分析面の平滑度
5μm以下、平坦度が50μm以下の値となるように研
磨することにより、分析精度が向上し、量産性も向上す
る。
【0015】請求項4記載の製造装置によれば、請求項
2記載と同様に、分析対象元素に応じて平滑度及び平坦
度の値を定めることにより、分析対象元素に応じた分
析精度の向上が図れる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳述
する。
【0017】図2は本発明に係るガラスビード製造装置
の概略構成図である。
【0018】同図に示す製造装置10は、ガラスビード
2の組成粉末(試料)2′を入れるための前記図5に示
したのと同様の容器1と、容器1内に投入された試料,
融剤を振動により混合する混合部11と、容器1を例え
ば高周波誘導により最大1200℃まで加熱可能な加熱
部12と、例えば容器1に冷却用エアーを送風すること
により容器1を冷却する冷却部13と、ガラスビード2
の分析面2aの平坦度,平滑度を測定する測定部14
と、分析面2aを研磨する研磨部15とを有して概略構
成されている。
【0019】前記測定部14は、例えば、平坦度,平滑
度の測定として一般に用いられている表面あらさ計が適
用される。なお、ここでいう「平滑度」とは、JISB
0601で定義されている「表面粗さ」のことをいい、
分析面2a全域における中心線平均粗さ(Ra)で示
す。また、「平坦度」とは、JISB0610で定義さ
れている「表面うねり」のことをいい、「基準長さ」を
分析面2aの直径(約30mm)とした場合の「最大う
ねり」で示す。
【0020】前記研磨部15は、図示しない研磨手段に
より分析面2aを機械研磨することにより、分析面2a
の平坦度が10μm以下、平滑度が5μm以下となるよ
うに構成されている。研磨手段は、例えば、研磨布,砥
石,研磨紙などに各種粒度の人造コランダム研磨材(A
2 3 )やカーボランダム(SiC)などの研磨材を
塗布したものが適用される。なお、平坦度50μm以
下,平滑度5μm以下でも所望する分析精度が得られる
ならば、手による研磨でもよい。
【0021】次に、上記構成の製造装置10を用いた本
発明のガラスビード製造方法の一実施例を図1に示す工
程図に従って説明する。
【0022】まず、所定量の試料2′を容器1内に投入
する(工程A)。この工程Aの後、仮焼工程及び冷却工
程を入れてもよい。次に、所定量の融剤を容器1内に投
入し(工程B)、混合部11にて容器1に振動を与えて
試料2′と融剤とを混合し(工程C)、所定量の剥離剤
を容器1内に投入する(工程D)。続いて、加熱部12
にて容器1内に投入した試料2′,融剤,剥離剤が溶解
するまで加熱し(工程E)、冷却部13にて容器1に冷
却用エアを送風して容器1を冷却し(工程F)、ビード
2を剥離する(工程G)。
【0023】そして、このようにして得られたビード2
の分析面2aの平坦度,平滑度を測定部14にて全数測
定する(工程H)。この工程Hにより得られた測定結果
に基づき、目標とする分析精度,分析対象元素などによ
り予め定めた許容値(例えば平坦度50μm以下、平滑
度5μm以下)を満たすか否かにより良否を判定する
(工程I)。この判定は、自動判定でも人間による判定
でもよい。研磨部15にて前記工程Iで不良品と判定さ
れたビード2の分析面2aを研磨する(工程J)。これ
により、分析面2aの平坦度が50μm以下のビード2
が量産可能となる。その後、ビード2は蛍光X線分析に
供される。なお、全てのビード2を研磨した後、確認の
意味で平坦度,平滑度の測定を行ってもよい。
【0024】このようにしてビード2を得る本実施例の
製造方法の効果を図3,図4,表1をも参照して説明す
る。
【0025】図3はジルコニウム(Zr)のX線強度と
平坦度との関係を示すグラフである。同図は平坦度によ
りX線強度が大きく変化していることを示している。同
図に示すように、本実施例によれば、平坦度が従来最大
0.8mmあったものが、本実施例では全て50μm以
下となるため、ジルコニウム(Zr)のX線強度が従来
46.7乃至47.7kpsとばらついていたものが、
本実施例では46.10乃至46.13kpsとばらつ
きが小さくなり、高精度の分析が可能となった。
【0026】また、表1は研磨前後によるX線強度のC
V値の比較を示すものである。なお、CV値は、100
α/Xを示す。(α:標準偏差,X:平均値)A/B比
はBa/(Ti+Zr)のモル比を示し、nはサンプル
数(10個)を示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1から明らかなように、CV値は研磨前
はBaO,TiO2 ,ZrO2 がそれぞれ0.05,
0.20,0.82あったものが、研磨後(平坦度50
μm以下)はそれぞれ0.02,0.08,0.14と
小さくなっていることから、ZrO2 と同様にBaO,
TiO2 においてもX線強度のばらつきが小さくなり、
高精度の分析が可能となった。
【0029】なお、図4は元素毎の相対強度と相対距離
との関係を示すグラフである。相対強度は、ある基準位
置における各元素のX線強度を基準としたものである。
相対距離は、基準位置からX線管球に近づく方向をマイ
ナス、X線管球から遠ざかる方向をプラスで示す。
【0030】同図から明らかなように、基準位置からの
距離が変化すると各元素のX線強度も変化する。また、
元素毎にX線強度の変化率は異なる。更に同じ元素でも
分析装置が異なると変化の仕方も異なってくる。それは
使用する分析装置の光学条件、特にブラック角と光学系
による。従って分析対象元素により、目標とする平坦度
を設定することにより、分析対象元素に応じた分析精度
の向上が図れる。
【0031】なお、本発明は、上記実施例に限定され
ず、種々に変形実施できる。
【0032】
【発明の効果】以上詳述した請求項1記載の発明によれ
ば、分析面の平滑度及び平坦度が前述のの範囲となる
ようにその分析面を研磨しているので、分析精度の向上
が図れ、しかも量産性に優れる蛍光X線分析用ガラスビ
ード製造方法を提供することができる。
【0033】また、請求項2記載の発明によれば、分析
対象元素に応じて平滑度及び平坦度の値を定めること
により、分析対象元素に応じた分析精度の向上が図れ
る。
【0034】また、請求項3記載の発明によれば、分析
面の平滑度及び平坦度の測定によりその良否判定が可能
になり、不良と判定されたガラスビードの分析面の平滑
度及び平坦度が前述の値の範囲となるように分析面を研
磨できるので、分析精度の向上が図れ、しかも量産性に
優れるガラスビード製造装置を提供することができる。
【0035】また、請求項4記載の発明によれば、請求
項2記載と同様に、分析対象元素に応じた分析精度の向
上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラスビード製造方法の一実施例を示
す工程図である。
【図2】本発明に係るガラスビード製造装置の概略構成
図である。
【図3】ジルコニウム(Zr)のX線強度と平坦度との
関係を示すグラフである。
【図4】元素毎の相対強度と相対距離との関係を示すグ
ラフである。
【図5】容器の断面図及び従来の問題点を示す図であ
る。
【図6】ガラスビードの断面図及び従来の問題点を示す
図である。
【符号の説明】
1 容器 1a 底部内面 2 ガラスビード 2′ 粉末 2a 分析面 10 ガラスビード製造装置 14 測定部 15 研磨部
フロントページの続き (72)発明者 柚原 由太郎 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭50−56996(JP,A) 特開 昭57−197444(JP,A) 特開 平3−28736(JP,A) 特公 昭49−41586(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 23/00 - 23/227 G01N 1/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底部内面が平滑な有底容器内にガラスビ
    ードの組成粉末を投入した後、前記容器に投入した粉末
    の溶解,冷却工程を経て、前記底部内面に接する面を分
    析面とするガラスビードを得る蛍光X線分析用ガラスビ
    ード製造方法において、前記分析面の平滑度が5μm以
    下、平坦度が50μm以下の値となるようにその分析面
    を研磨することを特徴とする蛍光X線分析用ガラスビー
    ド製造方法。
  2. 【請求項2】 前記分析面の平滑度及び平坦度の
    は、分析対象元素により異なることを特徴とする請求項
    1記載の蛍光X線分析用ガラスビード製造方法。
  3. 【請求項3】 底部内面が平滑な有底容器内にガラスビ
    ードの組成粉末を投入した後、前記容器に投入した粉末
    の溶解,冷却工程を経て、前記底部内面に接する面を分
    析面とするガラスビードを得るガラスビード製造装置に
    おいて、前記分析面の平滑度及び平坦度を測定する測定
    部と、前記分析面の平滑度が5μm以下、平坦度が50
    μm以下の値となるように分析面を研磨する研磨部とを
    有することを特徴とするガラスビード製造装置。
  4. 【請求項4】 前記分析面の平滑度及び平坦度の
    は、分析対象元素により異なることを特徴とする請求項
    3記載のガラスビード製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3384010B2 (ja) 1992-12-28 2003-03-10 ティーディーケイ株式会社 蛍光x線分析用標準試料の作成方法

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