JP3312066B2 - ダイヤフラム用エピクロルヒドリン組成物 - Google Patents

ダイヤフラム用エピクロルヒドリン組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は自動車排気ガス系に使用さ
れる圧力応動装置のダイヤフラム用組成物、さらに詳細
には従来に比較して安価で、かつ同様な耐久性、耐熱
性、耐油性、耐ガソリン性を有するダイヤフラムに関す
るものである。
【0002】
【従来技術および問題点】自動車の排気ガス系に使用さ
れる圧力応動装置のダイヤフラムにおいては、低温から
高温(−30℃〜150℃以上)にさらされる環境下
で、耐久性、耐油性、耐ガソリン性があることが要求さ
れる。このような特性を有するダイヤフラム用のゴムと
しては、従来フロロシリコンゴムが多く使用されてい
る。フロロシリコンゴムは、上述のような過激な環境下
で、良好な耐久性、耐油性、耐ガソリン性を有するとい
う利点がある半面、極めて高価であり、上述のような圧
力応動装置のコスト高を招来するという欠点があった。
【0003】耐油性、耐ガソリン性、さらには耐寒性、
耐屈曲性の良好なゴムとしては、エピクロルヒドリンゴ
ムがあり、フロロシリコンゴムの約1/15の価格で安
価であるという利点もあるが、高温、特に150℃を越
える温度になると、主鎖にエーテル結合を有しているこ
とから急激に軟化劣化を生じるという欠点があり、15
0℃以上の使用条件下では、(安全係数を大きく見る)
自動車の部品としては実際上使用できないのが現状であ
った。
【0004】本発明は上述の欠点を除去するためなされ
たものであり、150℃以上の高温においても、軟化劣
化しにくいダイヤフラムを製造可能なダイヤフラム用エ
ピクロルヒドリン組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によるダイヤフラム用エピクロルヒドリン組
成物は、エピクロルヒドリンゴムとアクリル系ゴムを
6:4〜9:1混合し、さらに上記混合物100重量部
に対し白色充填剤を20〜80添加したことを特徴とす
るものである。
【0006】本発明によるダイヤフラム用エピクロルヒ
ドリン組成物によれば、高温において軟化劣化するエピ
クロルヒドリンゴムと硬化劣化するアクリル系ゴムおよ
び白色充填剤を所定量混合し、共架橋することによっ
て、高温における軟化劣化を防止し、耐久寿命の大きな
自動車排気ガス系に使用されるダイヤフラムを提供でき
る。
【0007】本発明をさらに詳しく説明する。
【0008】本発明によれば、ダイヤフラム用の組成物
の主成分としてエピクロルヒドリンゴムを使用してい
る。エピクロルヒドリンゴムは、前述のように耐油性、
耐ガソリン性、耐寒性、耐屈曲性に優れ、ダイヤフラム
の主成分として有力な特性を有するからである。
【0009】すなわち本発明者の研究によると、エピク
ロルヒドリンの軟化劣化の原因は高温によるエーテル結
合の分断ばかりでなく、ダイヤフラムが組み込まれる圧
力応動装置の材料によることも原因であることが見いだ
された。一般に、前述のようなダイヤフラムが組み込ま
れる装置は亜鉛クロメート鍍金が施されており、この鍍
金中の亜鉛がエピクロルヒドリンゴムの塩素と反応して
軟化劣化を促進する。特に、高温においてこの反応は著
しく、したがって前述の亜鉛クロメート鍍金と直接接触
していない部分は軟化劣化していないのにかかわらず、
亜鉛クロメート鍍金と直接接触している部分は軟化劣化
を生じ、気密性を失うことになり、耐久性を損なう原因
の一つになっていた。
【0010】上述のようなエピクロルヒドリンゴムと混
合されるアクリル系ゴムは、耐熱性があり、またエピク
ロルヒドリンゴムと同様な粘度を有しているとともに、
硬化劣化するという特徴がある。このため、エピクロル
ヒドリンゴムが軟化しても、アクリル系ゴムの硬化で組
成物としては軟化を防止し、ダイヤフラム形状を保持す
ることが可能になり、耐久寿命が向上する。
【0011】上述のようなアクリル系ゴムとしては、た
とえばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロ
ピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート、メトキシメチルアクリレート、メ
トキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレー
ト、ブトキシエチルアクリレート、メチルチオエチルア
クリレート、ヘキシルチオエチルアクリレート、シアノ
エチルアクリレート、シアノブチルアクリレート、シア
ノオクチルアクリレートなどを例としてあげることがで
きる。
【0012】上述のエピクロルヒドリンゴムとアクリル
系ゴムの混合比は6:4〜9:1である。エピクロルヒ
ドリンゴムの混合比が6未満であると、耐油性を損な
い、一方9以上であると、高温耐久性が十分に改善され
ない。
【0013】上述の混合物に対し、本発明においては白
色充填剤を添加している。この白色充填剤は耐熱性を向
上させるために添加され、その添加量は前記混合物10
0重量部に対し、20〜80重量部である。20重量部
未満であると、耐熱性の改善効果が小さく、一方80重
量部を越えると、圧縮永久歪性、耐屈曲性などゴムの特
性が損なわれる恐れがある。
【0014】上述の白色充填物としては、微粒子けい
酸、炭酸カルシウムなどの一種以上を例として挙げるこ
とができる。
【0015】上述のようなダイヤフラム組成物を成形
し、加硫してダイヤフラムを製造するものであるが、架
橋剤としてはポリオール系架橋剤が好ましく使用され
る。このような架橋剤の例としては、6−メチルキノキ
サリン、トリカーボネートなどを挙げることができる。
【0016】
【実施例】エピクロルヒドリンゴムとアクリル系ゴム
(活性塩基系)の混合比を変化させて、架橋剤として6
−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネートを
使用、シリカを前記混合物100重量部に対して、40
重量部添加した試験片を作成し、150℃における耐熱
性と耐油性を測定した。結果を表1に示す。比較例とし
てエピクロルヒドリンゴム100重量部のもの、さらに
白色充填剤を40重量部添加したもの、エピクロルヒド
リンゴムとアクリルゴムを7:3および5:5のものを
示す。
【0017】
【0018】表1に示す各配合物をオープンロールで充
分混練しシート化したものを金型へ入れ170℃15分
間加圧成型し、得られた各加硫物の物性試験はJISK
6301により行なった。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるダイ
ヤフラム用組成物においては、高温における耐久性が著
しく向上するという利点がある。すなわち、耐油性が良
好で、かつ耐久性のある安価なダイヤフラムを提供でき
るという利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 71/03 C08K 3/00 - 3/40 C08L 33/06 - 33/12 F16J 3/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エピクロルヒドリンゴムとアクリル系ゴ
    ムを6:4〜9:1混合し、さらに上記混合物100重
    量部に対し白色充填剤を20〜80重量部添加したこと
    を特徴とするダイヤフラム用エピクロルヒドリン組成
    物。
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