JP3310619B2 - 渦巻形ガスケット - Google Patents

渦巻形ガスケット

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JP3310619B2 JP17395198A JP17395198A JP3310619B2 JP 3310619 B2 JP3310619 B2 JP 3310619B2 JP 17395198 A JP17395198 A JP 17395198A JP 17395198 A JP17395198 A JP 17395198A JP 3310619 B2 JP3310619 B2 JP 3310619B2
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克豊 糸井
秀史 柴田
一郎 窪
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温高圧の機器や
配管の継手部に使われ、水、油、蒸気、ガス等の流体を
シールする目的で、テープ状の金属製波形薄板(以下フ
ープ材と略記する)と石綿や膨張黒鉛等のテープ状の充
填材(以下フィラー材と略記する)を互いに重ね合わせ
た状態で複数回渦巻状に巻回してなる渦巻形ガスケット
に係り、特に高温の酸化性雰囲気で使用する場合に有用
な渦巻形ガスケットの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】渦巻形ガスケットは、事前に断面が略V
字形に成形されているテープ状の金属製のフープ材と石
綿テープ等のフィラー材をはさみ、互いに重ね合わせて
渦巻状に巻回して構成してなる構造を有し、この構造を
基本形と称している。そして、それ以外に締付圧力によ
るガスケット本体の内側への変形の防止やセンタリング
を目的として、金属製補強リンクをガスケット本体の内
側や外側あるいは両方に設けた内輪付、外輪付、内外輪
付などと称される種々のタイプが知られており、一般に
高温高圧用ガスケットとして広く使われている。
【0003】フィラー材の種類としては、従来は石綿ペ
ーパーを帯状にスリットした石綿テープが一般的であっ
たが、石綿繊維は天然鉱物であり、資源の枯渇が心配さ
れることや、石綿繊維が原因と推測されている健康障害
が社会問題となって世界的に石綿の使用が制限される傾
向となってきたため、現在は石綿以外の無機繊維を主材
料としたノンアスベストペーパーをスリットしたもの
(以下NAテープと略記する)が使われるようになって
いる。また、酸・アルカリ等の耐食性を要求される用途
には未焼成のPTFEテープが使われ、極低温条件や特
に高いシール性を要求される用途には、柔軟性と弾力性
を兼ね備えた膨張黒鉛テープが使われている。
【0004】この渦巻形ガスケットは、略V字形の金属
製フープ材とクッション性を持つフィラー材を交互に重
ね合わせて巻回する構造をしているため弾力性に富み、
熱による膨張収縮にも対応できるためシール性に優れ、
理想的なガスケットの一つと考えられている。特に、フ
ィラー材に膨張黒鉛テープを用いたものはフランジとの
馴染みが良く接面からの漏れを少なくできるため、ガス
シール性の優れたガスケットとして知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな膨張黒鉛テープをフィラー材として用いた渦巻形ガ
スケットは非酸化性雰囲気では800℃程度まで使用で
きるが、酸化性雰囲気では膨張黒鉛が酸化されるため5
00℃以上では使用することができない。このため、リ
ン酸またはリン酸塩で処理して耐酸化性を高めた膨張黒
鉛のフィラー材を使用する方法が提案されているが、耐
熱性を50〜100℃以上に上げることはできない。
【0006】また、従来よりフィラー材として膨張黒鉛
テープを渦巻形ガスケットの中央部分に、石綿テープや
NAテープを内周部分や外周部分に配置して、膨張黒鉛
テープの酸化を防止する方法も良く知られているが、6
00℃以上の高温の酸化性雰囲気中では石綿テープやN
Aテープ中の有機バインダーが消失して締付面圧が低下
することにより膨張黒鉛が酸化され、長期間にわたり完
全にガスをシールすることはできない。
【0007】本発明は、以上の点を鑑みてなされたもの
で、膨張黒鉛テープの酸化消失を防止して高温の酸化性
雰囲気下でもガスシール性が良好となる渦巻形ガスケッ
トを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明は、断面を略V字形としたテープ状
の金属製フープ材とフィラー材を重ね合わせて渦巻形に
巻回して構成する渦巻形ガスケットにおいて、前記フィ
ラー材のうち内周部分と外周部分が補強材で補強された
有機物量が5%以下のマイカテープからなり、中央部分
が膨張黒鉛テープからなることを要旨とする。
【0009】請求項2の発明は、請求項1の発明の渦巻
形ガスケットにおいて、前記フィラー材のなかの膨張黒
鉛テープの体積含有率が50%から80%であることを
要旨とする。
【0010】請求項3の発明は、請求項1または請求項
2の発明の渦巻形ガスケットにおいて、前記フィラー材
のなかのマイカテープのはみ出し量が膨張黒鉛テープに
対して0.1mm〜0.4mm、フープ材に対して0.
4mm〜0.8mmであることを要旨とする。
【0011】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
かの発明の渦巻形ガスケットにおいて、補強材で補強さ
れた有機物量が5%以下のマイカテープが、マイカ箔を
集成したマイカペーパーに無機質繊維から構成されるク
ロスを接着したものであることを要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態としては、例
えば図1〜図3に示すように、金属製フープ材2とフィ
ラー材3とを重ね合わせて渦巻状に巻回して構成する渦
巻形ガスケット1において、フィラー材3のうち内周部
分3aと外周部分3cのフィラー材3がマイカ箔を集成
したマイカペーパー7に無機質繊維から構成される無機
繊維クロス8を接着して補強した有機物量4%のマイカ
テープ6からなり、中央部分3bは膨張黒鉛テープ9か
らなっており、さらにフィラー材3における膨張黒鉛テ
ープ9の体積含有率が50%から80%の範囲内で、フ
ィラー材3のなかのマイカテープ6のフープ材からのは
み出し量h1が0.6mmであり、膨張黒鉛テープ9か
らのはみ出し量h2が0.3mmとなっている。
【0013】前記構成によれば、フィラー材3として中
央部分3bにシール性の良い膨張黒鉛テープ9を用い、
この膨張黒鉛の高温における酸化を抑制するために、内
周部分3aと外周部分3cに有機物量の少ない無機クロ
スで補強されたマイカ箔を使用しているので、高温の酸
化性雰囲気においても、内周部分3aと外周部分3cの
有機物の消失による締付面圧の低下があまりないため、
内周部分3aと外周部分3cからの酸素の透過を著しく
減少させ、膨張黒鉛の酸化を防止することよって高いシ
ール性が維持される。
【0014】この場合、膨張黒鉛テープ9の体積含有率
が50%よりも小さいと膨張黒鉛テープ9の中央部分3
bが小さくなり膨張黒鉛の優れたガスシール性を発揮で
きず、また体積含有率が80%より大きいと内周部分3
aと外周部分3cのマイカテープ6の層が薄くなり透過
してくる酸素の量が多くなり、膨張黒鉛テープ9の酸化
を十分に防止することができないので、高温の酸化性雰
囲気下でのシール性が低下すること、また、マイカテー
プ6の有機物量が5%を越えると、高温で有機物量の減
量による締付面圧の低下が起こり、シール性が低下する
こと、さらにマイカテープ6は膨張黒鉛より硬いため、
はみ出し量がフープ材2に対して0.8mmより大きい
ときや膨張黒鉛テープ9に対して0.4mmより大きい
ときは、フランジ接面への馴染みが良くなく、逆にはみ
出し量がフープ材2に対して0.4mmより小さいとき
や膨張黒鉛テープ9に対して0.1mmより小さいとき
は、内周部分3aと外周部分3cに加わる面圧が中央部
分3bの面圧より小さくなりシール性が低下すること
が、種々の実験により判明している。
【0015】本発明者等は、上記実験によって得られた
知見に基づき、高温の酸化性雰囲気下でもシール性を良
好にするフィラー材3全体における膨張黒鉛テープ9の
体積含有率およびマイカテープの有機物量ならびにフィ
ラー材3のマイカテープ6のフープ材2からのはみ出し
量や膨張黒鉛テープ9からのはみ出し量の範囲を明らか
にし、本発明を完成したものである。なお、本発明の膨
張黒鉛テープには、通常品に加えて耐熱性の高いリン酸
またはリン酸塩含有膨張黒鉛テープが含まれることは言
うまでもない。
【0016】
【実施例】次に本発明の実施例により更に詳しく説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】実施例 実施例は、JIS30K、80Aサイズの内外輪付渦巻
形ガスケットで、図1に平面図を、図2に横断面図を示
す。厚さ0.2mm、幅5.4mmのSUS316製テ
ープ状薄板のフープ材2を略V字状に絞り加工した後、
SUS316製内輪4の外周部にスポット溶接し、フー
プ材2だけを4周巻いた後、フィラー材として厚さ0.
2mm、幅6.6mmのマイカテープ6をはさみ互いに
重ね合わせて4周巻回して内周部分3aを形成し、その
後厚さ0.38mm、幅6.2mmの膨張黒鉛テープ9
に換えて同様に9周巻回して中央部分3bを形成し、そ
の後再度マイカテープ6に換えて同様に4周巻回して外
周部分3cを形成し、最後にフープ材2のみを4周空巻
し、巻始めと同様に点溶接し、SUS316製外輪5を
装着して構成している。ここで、前記マイカテープ6
は、図3に示すように、(株)日本マイカ製作所製のマ
イカ箔を集成したマイカペーパー7にガラス繊維から構
成されるクロス8を接着して補強した有機物量4%のも
のであり、膨張黒鉛テープ9は耐熱性の良いCAR社製
のリン酸塩含有膨張黒鉛テープGTKを用いている。こ
のとき、フィラー材3全体における膨張黒鉛テープ9の
体積含有率は約66%、内周部分3aと外周部分3cの
マイカテープ6のフープ材2からのはみ出し量h1は
0.6mm、膨張黒鉛テープからのはみ出し量h2は
0.3mmとなっている。
【0018】比較例 比較例は、実施例のフィラー材としてマイカテープ6の
代わりに、厚さ0.4mm、幅6.6mmの従来から用
いている有機物量4%の無機質フィラーを使用して内周
部分3aの巻数を4巻に、外周部分3cの巻数も4巻に
し、中央部分3bの膨張黒鉛テープ9の巻数を5巻に変
更したものである。このとき、フィラー材3全体におけ
る膨張黒鉛テープ9の体積含有率は約36%となってい
る。
【0019】実施例、比較例の加熱後のシール性の結果
を下記表1に示す。ただし、シール性は実際のJIS3
0K、80A、RFフランジに面圧800kgf/cm2では
さみ600℃で、3時間加熱後にN2ガス30.0kgf/
cm2Gを負荷し、10分間の漏洩を水上置換法で捕集し
たガスの量で表示した。表1から、実施例の漏洩量は比
較例に比べ、加熱後のシール性に優れていることが判
る。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
による渦巻形ガスケットは、膨張黒鉛テープの酸化消失
を防止して高温の酸化性雰囲気下で良好なガスシール性
を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す渦巻形ガスケットの平面
図である。
【図2】図1のA−A線の断面図である。
【図3】本発明のフィラー材のマイカ箔を集成したマイ
カペーパーにガラス繊維から構成されるクロスを接着し
て補強したマイカテープの拡大断面図である。
【符号の説明】
1 渦巻形ガスケット 2 フープ材 3 フィラー材 3a フィラー材の内周部分 3b フィラー材の中央部分 3c フィラー材の外周部分 4 内輪 5 外輪 6 マイカテープ 7 マイカペーパー 8 クロス 9 膨張黒鉛テープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−224571(JP,A) 特開 平4−341661(JP,A) 実開 平7−20464(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16J 15/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面を略V字形としたテープ状の金属製
    フープ材とフィラー材を重ね合わせて渦巻形に巻回して
    構成する渦巻形ガスケットにおいて、前記フィラー材の
    うち内周部分と外周部分が補強材で補強された有機物量
    が5%以下のマイカテープからなり、中央部分が膨張黒
    鉛テープからなることを特徴とする渦巻形ガスケット。
  2. 【請求項2】 前記渦巻形ガスケットにおいて、前記フ
    ィラー材のなかの膨張黒鉛テープの体積含有率が50%
    から80%であることを特徴とする請求項1に記載の渦
    巻形ガスケット。
  3. 【請求項3】 前記渦巻形ガスケットにおいて、前記フ
    ィラー材のなかのマイカテープのはみ出し量が膨張黒鉛
    テープに対して0.1mm〜0.4mm、フープ材に対
    して0.4mm〜0.8mmであることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の渦巻形ガスケット。
  4. 【請求項4】 前記渦巻形ガスケットにおいて、補強材
    で補強された有機物量が5%以下のマイカテープが、マ
    イカ箔を集成したマイカペーパーに無機質繊維から構成
    されるクロスを接着したものであることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の渦巻形ガスケット。
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