JP3310545B2 - スペクトル拡散復調器及びこれを用いたスペクトル拡散通信装置 - Google Patents

スペクトル拡散復調器及びこれを用いたスペクトル拡散通信装置

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JP3310545B2 JP15825796A JP15825796A JP3310545B2 JP 3310545 B2 JP3310545 B2 JP 3310545B2 JP 15825796 A JP15825796 A JP 15825796A JP 15825796 A JP15825796 A JP 15825796A JP 3310545 B2 JP3310545 B2 JP 3310545B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、QPSK変調など
の複数位相の位相変調の後スペクトル拡散符号を利用し
てスペクトル拡散されたスペクトル拡散信号を復調する
復調器及びこれを利用したスペクトル拡散通信装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】スペクトル拡散(SS)通信は信号の秘
匿性が高くかつ他の信号源からの干渉に強い通信方式で
ある。スペクトル拡散通信方式として、直接拡散(D
S)方式、周波数ホッピング(FH)方式及びチャーブ
信号を用いた方式等いくつかの方式が知られており、例
えば直接拡散方式においては、送信機に搭載される符号
変調器(拡散変調器)により送信信号が変調され、受信
機に搭載される符号復調器(逆拡散復調器)において受
信信号が符号復調(逆拡散復調)される。
【0003】ここで、送受信に利用される符号は疑似雑
音(PN)符号と呼ばれ、この符号により伝送データ・
レート以上の速度で符号変調を行うことにより送信信号
はその周波数スペクトル分布が拡散する。従って、スペ
クトル拡散変調を施されて送信信号を他者が受信したと
しても、この変調の際に用いたPN符号とこの符号変調
速度を知らない限り復調することができない。このた
め、信号の秘匿性が向上する。また、他の信号源から帯
域内もしくは近接した帯域に非希望波が入力されても、
変調に際して用いた既知のPN符号及びこの符号速度か
ら送信機より発せられた希望波を分離することができ、
非希望波による干渉を受け難い。
【0004】スペクトル拡散通信方式の特質のうち信号
の秘匿性は、特に、情報の秘匿の重要な軍事関連通信機
器において重視されている。さらに、この秘匿性に加え
て、干渉に強いという特質は、各種民生機器において重
視されている。第1に、近年では無線機器の高周波化が
進行しており、マルチパス干渉による受信信号品質の劣
化が大きな問題となっている。この問題は、干渉に対し
て強いスペクトル拡散通信方式により緩和ないし解決す
ることができる。第2に、周波数資源を有効利用するた
めに他の無線システムとの無線周波数共有化を実現しよ
うとする場合、他無線システムからの非希望波から希望
波を分離受波できるスペクトル拡散通信方式が有効であ
る。
【0005】また、通信装置が民生用としても広く普及
するに従い、通信装置においても、限られた装置資源を
有効に利用することが求められている。即ち、より簡易
な回路で実現でき、加えて消費電力の小さな通信装置が
求められている。
【0006】スペクトル拡散通信方式を実施するために
は、送信機に符号変調器(スペクトル拡散変調器)を、
それぞれ搭載する必要がある。また、このスペクトル拡
散変調器における変調速度は送信すべき信号(データ)
の伝送レートに比べ高くする必要がある。即ち送信信号
の周波数スペクトルが効果的に拡散するためである。さ
らに、受信機のスペクトル拡散復調器による復調速度
は、送信機における変調速度同様、高速でなければなら
ない。これは、送信機においてデータ速度と比較して高
速にスペクトル拡散された信号を復調するためには、そ
のスペクトル拡散速度もしくはそれ以上の速度において
信号処理しなければ、拡散信号から本来必要なデータを
分離できないためである。このように、スペクトル拡散
復調においては、高速処理が必要とされるため、これに
関連する部品については、データ変復調に関連する部品
以上の配慮が、設計者等に対して求められる。
【0007】さらに、スペクトル拡散復調器において
は、送信機において使用した符号との同期を捕捉する必
要がある。同期を捕捉する方法としては、例えば、同期
するまで復調を繰り返す方法や、同期捕捉及びスペクト
ル拡散復調を併行して実施する方法がある。しかし、こ
れらの方法においては、同期捕捉に時間を必要とすると
いう問題点や、受信機の構成が複雑となるという問題点
がある。
【0008】この種の問題点を発生させないスペクトル
拡散復調器としては、SAWマッチドフィルタ(SAW
タップ付き遅延線)もしくはSAWコンボルバを用いる
方法がある。即ち、スペクトル拡散変調器において使用
した符号と同一の符号を持つ符号化電極(タップ)より
構成されるSAWマッチドフィルタに受信されたスペク
トル拡散信号を入力し、この信号と既知符号の相関をと
ることにより相関値のピークとなった時にデータを復調
することができる。また、SAWコンボルバを用いる方
法は、スペクトル拡散変調器において使用した符号と同
一の符号を時間反転してSAWコンボルバに参照信号と
して入力し、受信されたスペクトル拡散信号との畳み込
み(コンボルーション)を求めることにより、参照符号
が時間反転されているため、結果として参照信号との相
関が求まり、この相関ピークにおいてデータを復調する
ことができる。
【0009】スペクトル拡散復調器の構成の一例として
SAWマッチドフィルタを用いた方法に関し以下、より
詳しく説明する。一般にSAWフィルタは、圧電基板の
表面に被着形成された少なくとも2種類の電極によって
構成される。そのうち入力電極は、電気信号の印加に応
じて圧電基板の表面に弾性表面波(SAW)を励振する
(電気音響変換)。また、出力電極は、入力電極により
生成されたSAWを受波して電気信号に変換する(音響
電気変換)。また、入力電極から出力電極へとSAWが
伝搬するためには、入力電極と出力電極の間隔xによっ
て定まる伝搬時間T=x/v(v:SAWの伝搬速度)
が必要である(SAW伝搬遅延)。
【0010】ここに、入力電極による電気音響変換の伝
達関数をSIN(ω)、出力電極による音響電気変換の伝
達関数をSOUT (ω)と表すと、SAW伝搬遅延がe
[−jωT] と表される([]内は、べき乗を示す)こ
とから、SAWフィルタの伝達関数S(ω)は、
【数1】 と表すことができる。ただし、ωは各周波数、jは虚数
単位である。
【0011】SAWマッチドフィルタとは、この式
(1)におけるSIN(ω)・SOUT (ω)により入力信
号の周波数特性H(ω)の複素共役H*(ω)を実現
し、また伝搬遅延TによりH*(ω)が負の時間応答を
含むことに対処したフィルタである。即ち、あるスペク
トル拡散変調信号の式スペクトルをH(ω)とした場
合、この信号をスペクトル拡散復調するマッチドフィル
タの周波数特性は周波数スペクトルH(ω)の複素共役
H*(ω)にする必要があるが、負の時間応答を含む周
波数特性H*(ω)は実現することができない。これを
避けるため、SAWマッチドフィルタにおいては、この
負の時間応答に比べて十分大きな遅延時間Tを与えるべ
く、伝搬遅延を示す項e[−jωT]がSAW伝搬遅延
によって実現されている。即ち、SAWマッチドフィル
タは、SAW遅延線を応用したフィルタである。
【0012】従って、あるPN符号によりスペクトル拡
散変調された信号(スペクトル拡散変調信号)をSAW
マッチドフィルタを用いて復調しようとする場合、SA
Wマッチドフィルタの出力信号の周波数特性R(ω)
は、
【数2】 と表される。
【0013】例えば、スペクトル拡散された入力信号の
周波数スペクトルの振幅特性、即ち、H(ω)がsin
c関数、即ちsin(x)/xの形をしている場合、マ
ッチドフィルタの出力信号の周波数振幅特性は|sin
(x)/x|2 の形となり、これを逆フーリエ変換した
マッチドフィルタの出力信号の時間応答τ(t)は、
【数3】 と表される。ここで、F-1は逆フーリエ変換を、Aは定
数である。また、1/τは、xを、
【数4】 と表すことにより、1/τがスペクトル拡散された周波
数帯域幅を示す指標である。ω0 は中心周波数を表す。
【0014】ここで、sinc関数の形に周波数スペク
トルを拡散するのは、スペクトル拡散通信方式の基本的
手法で、マッチドフィルタを通すことにより、スペクト
ル拡散信号は時間幅τのパルス状の波形に圧縮される。
sinc関数が周波数軸上で無限に広がるため、実際の
通信には適当な窓関数をかける等の帯域制限が行われる
が、基本的に拡散された周波数帯域幅に反比例した時間
幅に、スペクトル拡散信号が圧縮されることにかわりな
い。一方、スペクトル拡散信号と同時に入力されたCW
信号、白色雑音等、非希望波は、マッチドフィルタに対
応する符号と相関がないため、圧縮されない。従って、
圧縮された信号パルス点において、データ復調すること
によりスペクトル拡散信号の復調をすることができる。
【0015】以上説明した様に、マッチドフィルタを用
いることにより容易にスペクトル拡散通信方式のスペク
トル拡散復調を行うことができ、近年におけるスペクト
ル拡散通信方式の民生機器利用に関するより簡易な回路
とする要求に合致する。以上示したのはSAWを用いた
マッチドフィルタに関するものであったが、時間反転し
た信号を参照信号として相関をとるSAWコンボルバの
場合も同様である。
【0016】次に、データ復調のための復調器について
図2に基づいて説明する。このデータ復調器では、受信
信号は、相関器1に入力される。相関器1は、SAWマ
ッチドフィルタもしくはSAWコンボルバで構成され、
予め決定されている拡散符号との相関出力を得る。得ら
れた相関出力は、2つに分岐され、一方は1ビット遅延
回路2を介しミキサ3に入力され、他方ミキサ3に直接
入力される。従って、相関器1の相関出力は、1ビット
前の相関出力とをミキサ3でミキシングされ、これより
位相情報が遅延検波によって取り出される。このような
データとして1ビット前の位相に対する位相変化に情報
を乗せる方式は、差動位相変調(DPSK)と呼ばれて
いる。
【0017】この差動位相変調では、信号そのものを参
照信号として用いるのでキャリア再生の必要がなく、ま
た1ビット前のデータとの差動により復調するため、絶
対位相の検出の必要がない。このため、簡易な構成でデ
ータ再生ができるという長所を持っている。加えて、1
ビット遅延回路は、SAWマッチドフィルタ、SAWコ
ンボルバと同一材料である圧電基板上に構成するSAW
遅延線により実現でき、これにより全体構成が簡素化で
きるという効果も得られる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、SAWマッチ
ドフィルタ、SAWコンボルバ等の相関器1の出力イン
ピーダンスおよびSAW遅延線の入出力インピーダンス
は、それ自体が信号伝送ラインの特性インピーダンス、
例えば50Ωと整合していない。このため、挿入損失が
大きく整合回路を用いてインピーダンス変換する必要が
あった。そして、この整合回路はインダクタまたはキャ
パシタを利用するため信号の位相に変化を与えやすい。
【0019】さらに、整合回路は、1ビット遅延回路お
よび相関器の出力に接続されるため、素子のばらつきに
伴って検出位相の誤差が生じ、これが直接データ再生特
性を劣化させる原因となっていた。
【0020】また、SAWマッチドフィルタもしくはS
AWコンボルバ及びSAW遅延線には浮遊容量、ボンデ
ィングワイヤーのインダクタ等の付加的な要素が加算さ
れ、素子ばらつきに加えて誤差の原因となり、位相誤差
の原因となる問題があった。特に、差動4値位相変調
(DQPSK)等データが多値化するに従い、位相につ
いての許容できる誤差は小さくなるため、このような位
相誤差は無視できないものになる。
【0021】このように、マッチドフィルタもしくはコ
ンボルバを用いることにより容易にスペクトル拡散通信
方式のスペクトル拡散復調を行うことができ、近年にお
けるスペクトル拡散通信方式の民生機器利用に関する簡
易な回路とする要求に合致する。しかし、一般的に用い
られるDQPSK等、多値差動位相変調のデータ変調に
対する遅延検波の際、SAWマッチドフィルタもしくは
SAWコンボルバ及びSAW遅延線等に必要とするイン
ピーダンス整合の素子のばらつきや、整合回路構成部品
の素子のばらつきによる位相誤差を無視できないという
問題があった。
【0022】本発明は、上記問題点を解決することを課
題としてなされたものであり、位相誤差の発生しにくい
スペクトル拡散復調器を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、データが複数
位相で位相変調され、かつ所定のスペクトル拡散符号に
よりスペクトル拡散されたスペクトル拡散信号を復調す
る復調器であって、弾性表面波を用い、受信信号と複数
の位相変調に対応する複数の位相のスペクトル拡散符号
との相関をそれぞれ検出する相関器を有し、得られた複
数の相関出力に基づいて、位相変調されたデータを復調
し、データを再生することを特徴とする。
【0024】また、本発明は、データが互いに90゜ず
つ位相の異なる4位相で位相変調され、かつ所定のスペ
クトル拡散符号によりスペクトル拡散されたスペクトル
拡散信号を復調する復調器であって、弾性表面波を用
い、受信信号と4位相変調に対応する4位相のスペクト
ル拡散符号との相関をそれぞれ検出する相関器と、得ら
れた4つの相関出力について、それぞれ検波する検波器
と、この検波器の4つの出力の互いに180゜位相が異
なる対角成分同士の差信号を求める減算器と、この減算
器により得られる2つの差信号の和及び差を求める加算
器及び減算器と、得られた差信号の和及び差にそれぞれ
現れる相関ピークの信号レベルを指標としてデータを判
定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【0025】また、本発明に係るスペクトル拡散通信装
置は、上述のようなスペクトル拡散復調器を使用するこ
とを特徴とする。
【0026】ここで、まず変調方式として差動化2値位
相変調(DBPSK)を用い、この変調を受けたスペク
トル拡散信号の受信信号について、ミキサーを用いずに
データ復調を行う手法について説明する。
【0027】DBPSKでデータ位相変調された信号を
さらに、データ1ビット当り符号長13のBarker
符号でスペクトル拡散する場合について示す。ここで、
Barker符号は系列長に短い符号でありながら自己
相関特性が良好で、拡散率の低い(短い符号長で拡散す
る)場合のスペクトル拡散符号に適する。ミキサーを用
いない本方法は、データ“0”もしくは“1”に対応し
た差動化データ変調に従い2ビット長の時間での相関を
とることでデータ“0”もしくは“1”の判定を行う。
符号として用いる符号長13のBarker系列をa
(n);n=1,2,…,13と表したとき、データを
符号間の差動化として、 データ“0”: a(n+13)=a(n) ;n=1,2,…,13 データ“1”: a(n+13)=−a(n) ;n=1,2,…,13 と表す。そこで、次の系列b"0" (n)およびb"1"
(n)に対する相関を同時に調べ、相関出力の大きい方
をデータとして採用し、SS復調およびデータ再生を同
時に行う。
【0028】 データ“0”:b"0" (n)=a(n) ;n=1,2,…,13 =a(n−13) ;n=14,15,…,26 データ“1”:b"1" (n)=a(n) ;n=1,2,…,13 =−a(n−13);n=14,15,…,26 ここで、入力信号の符号列をs(n)としたとき、 s(n)= a(n) ;n=1,2,…,13 = a(n−13)or −a(n−13) ;n=14,15,…,26 = a(n−26)or −a(n−26) ;n=27,28,…,39 = a(n−39)or −a(n−39) ;n=40,41,…,52 = ・・・ ; ・・・ と表わすならば、データ判定点n=1,14,27,…
…,13m+1(m整数)において、b"0" もしくは
b"1" の相関器の出力は26となり、逆側は必ず0とな
る。また、n=1,14,27,…,13m+1(m整
数)において0,1,2となる。
【0029】ここで、d(n)を、 d(n)=b"1" (n)−b"0" (n) (5) として定義して求めることにより、 d(n)= ±26 ;n=1,14,,13 m+1 = 0,±1or±2 ;n=1,14,,13 m+1 となり、d(n)よりデータ再生が可能である。即ち、
n=1,14,…,13m+1(m整数)において、d
(n)が、0,±1または±2から、急に±26となる
ことから、データ判定時刻の検出は容易であり、±26
の時データ“1”、−26の時“0”と判定すればよ
い。
【0030】しかし、同様な手法で差動4値位相変調
(DQPSK)でデータ変調された場合を考えると、デ
ータ2ビット1組として、4値“00”,“01”,
“11”および“10”を、 データ“00”:p(n+13)=e[j0 π/2] p(n);n=1,2,…13 データ“01”:p(n+13)=e[j1 π/2] p(n);n=1,2,…13 データ“11”:p(n+13)=e[j2 π/2] p(n);n=1,2,…13 データ“10”:p(n+13)=e[j3 π/2] p(n);n=1,2,…13 と表す。そこで、次の系列q"00"(n)、q"01"
(n)、q"11"(n)、およびQ"10"(n)についての
相関を同時に調べる。
【0031】 データ“00”:q"00"(n)=p(n) ;n=1,2,…,13 =e[j0 π/2] p(n−13);n=14,15,…,26 データ“01”:q"01"(n)=p(n) ;n=1,2,…,13 =e[j1 π/2] p(n−13);n=14,15,…,26 データ“11”:q"11"(n)=p(n) ;n=1,2,…,13 =e[j2 π/2] p(n−13);n=14,15,…,26 データ“10”:q"10"(n)=p(n) ;n=1,2,…,13 =e[j3 π/2] p(n−13);n=14,15,…,26 ここで、入力信号の符号列をs(n)としたとき、 s(n)=p(n) ;n=1,2,…,13 = ej(l1) π/2 p(n−13) ;n=14,15,…,26 = ej(l2) π/2 p(n−26) ;n=27,28,…,39 = … ; … = ej(lm) π/2 p(n−13*m);n=13m+1,13m+2,… , 13m+13 とし、lmは2ビット分に対応し、lm=0,1,2,
3(m整数)と表すならば、データ判定点n=1,1
4,…,13(m−1)+1において、q"00"、q"0
1"、q"11"もしくはq"10"の相関器のいずれかの出力は
26となり、逆相の相関器の出力は零となる。
【0032】また、データ判定点以外、即ちn=1,1
4,…,13(m−1)+1において相関出力は絶対値
が2以下となるため容易にデータ判定点を検出でき、有
効に思える。しかし、この差動データと位相が直交する
相関器の相関出力は26/√2・e[ ±j π/4] となる
ため、雑音が大きく低S/Nの時、データと一致する相
関出力と、これと直交する位相との相関出力のレベル差
は減少し、場合によって反転する。この時、データ誤り
を引き起こすという問題点がある。そこで、一致する相
関出力と、これと直交する相関出力を容易に分離する方
法を示す。
【0033】即ち、4つの相関出力をそれぞれ検波し、 d1(n)=|b"11"(n)|−|b"00"(n)| (6) d2(n)=|b"10"(n)|−|b"01"(n)| (7) を求め、更に、 e1(n)=d1(n)+d2(n) (8) e2(n)=d1(n)−d2(n) (9) を求めると、e1 (n)およびe2 (n)はデータ判定
点において、±52、また、判定点以外でこの絶対値が
4を越えない。そこで、 データ“00”:e1 (n)=−52 :e2 (n)=−52 (10) データ“01”:e1 (n)=−52 :e2 (n)=+52 (11) データ“11”:e1 (n)=+52 :e2 (n)=+52 (12) データ“10”:e1 (n)=+52 :e2 (n)=−52 (13) なる関係を用いて、データ判定することが可能となる。
【0034】以上説明した様に、4つの相関出力をそれ
ぞれ検波した後、処理を行うため浮遊容量、整合回路等
による位相誤差が生じても、相関出力各々の検波出力を
利用するため、相互間の位相誤差の問題を生じない。ま
た、データ判定点以外において出力レベルの絶対値は4
を越えず小さく、データ判定点においては±52とデー
タ判定点以外と比較して絶対値が大きく、しかも、デー
タに対応した2値のみを取り、中間レベルの出力を生じ
ない。以上より、雑音が大きく低S/N環境においての
受信時にデータ誤りを生じにくい特性を持つ。
【0035】
【発明の実施の形態】図1に本発明に関する一例を示
す。受信信号は、相関器10に入力される。この相関器
10は、SAWマッチドフィルタ、SAWコンボルバ等
よりなる相関器で、90゜ずつ異なる4つの位相の予め
定められた参照符号に対し、それぞれ相関をとり、4つ
の相関出力b"00",b"01",b"11",b"10"を得る。こ
の4つの相関出力は、4つの差動位相"00","01","1
1","10"に対応する。4つの相関出力は、4つの検波器
12a,12b,12c,12dに入力され、ここで、
それぞれ検波されて、絶対値についての信号(検波出
力)|b"00"(n)|、|b"01"(n)|、|b"11"
(n)|、|b"10"(n)|になる。
【0036】検波出力の互いに180゜位相が異なる対
角成分同士が、それぞれ減算器14a,14bに入力さ
れ、2つの差信号d1(n),d2(n)が得られる
(上記(6)式、(7)式参照)。そして、得られた差
信号d1(n),d2(n)は、それぞれ加算器16、
減算器18に入力され、ここで差信号についての和及び
差であるデータ判定信号e1(n)及び差e2(n)が
得られる(上記(8)式、 (9)式参照)。
【0037】このデータ判定信号e1(n)およびe2
(n)は、クロック再生回路20に供給され、クロック
再生回路20は、供給される2つのデータ判定信号の変
化状態からクロックを再生し、これをデータ判定回路2
2に供給する。データ判定回路22は、クロック再生回
路20で再生されたクロックに同期して、入力されるデ
ータ判定信号e1(n),e2(n)をサンプリングし
てデータ再生を行う。すなわち、データ判定信号e1
(n),e2(n)の値から、上述の式(10)〜式
(13)に基づいて、データが"00","01","11","10"
が再生され、これが2ビットの信号として出力される。
【0038】ここで、データ判定の変数であるe1
(n)、e2(n)は、d1(n)、d2(n)より求
めず、b"00"(n)、b"01"(n)、b"11"(n)、お
よびb"10"(n)より直接求めてもよい。また、図にお
いてクロック再生はデータ判定信号より行っているが、
検波後のどの段階の信号を用いてクロック再生してもか
まわない。
【0039】以上の説明は符号長13のBarker符
号によりスペクトル拡散される例を示したが、その他の
Barker符号、疑似ランダム(PN)符号、Gol
d符号等によるスペクトル拡散信号の場合においても同
様の結果が得られる。
【0040】また、本実施形態では、データ変調がDQ
PSKの場合について示したが、変調方式が、1つ前の
データの位相に対してπ/4シフトしているπ/4シフ
トQPSKに関しても、信号に対応する相関器のq"00"
(n)、q"01"(n)、q"11"(n)、およびq"10"
(n)をπ/4シフト信号に対応して データ“00”:q´"00"(n) =p(n) ;n=1,2,…,13 =e[j0 π/2+jπ/4] p(n−13) ;n=14,15,…,26 データ“01”:q´"01"(n) =p(n) ;n=1,2,…,13 =e[j1 π/2+jπ/4] p(n−13);n=14,15,…,26 データ“11”:q´"11"(n) =p(n) ;n=1,2,…,13 =e[j2 π/2+jπ/4] p(n−13);n=14,15,…,26 データ“10”:q´"10"(n) =p(n) ;n=1,2,…,13 =e[j3 π/2+jπ/4] p(n−13);n=14,15,…,26 として、図1と同様の処理を行えば同様の結果が得られ
る。
【0041】ここで、上記相関器は4出力必要であるが
SAWマッチドフィルタ等を用いるならば、1枚の圧電
基板上に同時に形成でき比較的コンパクトにでき、民生
用途に要求される小型軽量性に適合する。また、この1
つの圧電基板上に形成することにより、4つの相関出力
間のばらつきを緩和する長所も生じる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、4つの相関出力を
それぞれ検波した後、処理を行うため浮遊容量、整合回
路等による位相誤差が生じても、相関出力各々の検波出
力を利用するため、相互間の位相誤差の問題を生じな
い。また、データ判定点以外において出力レベルの絶対
値は4を越えず小さく、データ判定点においては±52
とデータ判定点以外と比較して絶対値が大きく、しか
も、データに対応した2値のみを取り、中間レベルの出
力を生じない。以上より、本発明に係るスペクトル拡散
復調器によれば、雑音の存在下、特に低S/N環境にお
いての受信時にデータ誤りを生じにくい特性を持つこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】 従来例の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 相関器、12a,12b,12c,12d 検波
器、14a,14b減算器、16 加算器、18 減算
器、20 クロック再生回路、22 データ判定回路。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−316074(JP,A) 特開 平7−221670(JP,A) 特開 平7−7456(JP,A) 特開 平9−214399(JP,A) 竹内嘉彦(外3名),SAW素子を用 いた無線LAN用SS復調器,電子情報 通信学会技術研究報告,1994年6月23 日,Vol.94 No.112,p.7− 12,SST94−19 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04J 13/00 - 13/06 H04B 1/69 - 1/713

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 データが互いに90゜ずつ位相の異なる
    4位相で位相変調され、かつ所定のスペクトル拡散符号
    によりスペクトル拡散されたスペクトル拡散信号を復調
    する復調器であって、 弾性表面波を用い、受信信号と4位相変調に対応する4
    位相のスペクトル拡散符号との相関をそれぞれ検出する
    相関器と、 得られた4つの相関出力について、それぞれ検波する検
    波器と、 この検波器の4つの出力の互いに180゜位相が異なる
    対角成分同士の差信号を求める減算器と、 この減算器により得られる2つの差信号の和及び差を求
    める加算器及び減算器と、 得られた差信号の和及び差にそれぞれ現れる相関ピーク
    の信号レベルを指標としてデータを判定する判定手段
    と、 を有することを特徴とするスペクトル拡散復調器。
  2. 【請求項2】 請求項に記載のスペクトル拡散復調器
    を使用することを特徴とするスペクトル拡散通信装置。
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竹内嘉彦(外3名),SAW素子を用いた無線LAN用SS復調器,電子情報通信学会技術研究報告,1994年6月23日,Vol.94 No.112,p.7−12,SST94−19

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