JP3309914B2 - 養毛料 - Google Patents

養毛料

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博美 南野
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、育毛効果及び養毛効
果、脱毛予防、ふけ防止等の効果に優れた養毛料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】脱毛症は血行の不全、毛母細胞活性の低
下や性ホルモンのアンバランスなど様々な要因が複雑に
絡みあって生じていると考えられているが、発生機作が
未だ充分に解明されていないのが現状である。従来よ
り、各種の薬剤を配合した養毛料が脱毛の予防や治療に
用いられてきているが、脱毛を抑制して発毛、養毛を促
すに充分有効な薬剤は未だ見出されていない。
【0003】本発明の養毛料の原料に用いる附子は、古
来中国において神農本草経に記載され、漢方医学上種々
の漢方処方中に汎用される重要な生薬として知られるも
ので、キンポウゲ科(Ranunculaceae)の
トリカブト属植物(Aconitum specie
s)の塊根から調製される。特開平3−271213号
に、この基原植物であるトリカブトの根、茎又は葉の抽
出物を含有することを特徴とした発毛、育毛剤が提案さ
れているが、トリカブトの抽出物単独使用であり、発
毛、育毛効果は不充分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記事情
に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、ピリドキシン、塩酸ピ
リドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、ジパルミチン
酸ピリドキシン、トリパルミチン酸ピリドキシンよりな
る群から選択される少なくとも一種と附子の抽出物とを
配合することによって、安全性が高く、マウス毛成長促
進、ヒト頭髪毛成長促進に優れた効果を示し、更に、ふ
け防止効果にも著効を呈することを見出して本発明を完
成するに至った。即ち、本発明の目的は、育毛、養毛、
脱毛予防、ふけ防止等の効果に優れた養毛料を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ピリドキシ
ン、塩酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、ジ
パルミチン酸ピリドキシン、トリパルミチン酸ピリドキ
シンよりなる群から選択される少なくとも一種と附子の
抽出物とを配合してなる養毛料である。
【0006】本発明の養毛料に使用する原料生薬の附子
は、キンポウゲ科(Ranunculaceae)のト
リカブト属植物(Aconitum species)
の塊根から調製されたものであればよく、その基原及び
産地を限定するものではない。また、一般に、トリカブ
ト属植物には猛毒性アコニチン系アルカロイドを含有し
ており、その使用に際しては注意を要するものであるた
め、より好ましくは加熱処理等の減毒調製がなされた加
工附子と称するものを用いるのがよい。
【0007】附子の基原植物としては、例えば、中国四
州省産の栽培種カラトリカブト(Aconitum c
armichaeli Debx)、中国各地の野性種
(Aconitum kusnezoffii Rei
chb.)など、朝鮮産のミツバトリカブト(Acon
itum triphyllum Nakai)、キバ
ナトリカブト(Aconitum coreanum
Rap.)、日本産のオクトリカブト(Aconitu
m japonicum Thunb.)、ハナトリカ
ブト(Aconitum chinense Pax
t.)などが挙げられる。特に中国四州省産のカラトリ
カブトが、一定の栽培法で、品質の安定性および供給の
面で好ましい。
【0008】また減毒加工法としては、特許公告昭37
−18498号に提案されている、塊根をオートクレー
ブ中で100〜130℃、圧力1.0〜1.5kg/c
m220〜40分間加圧、加熱処理して調製する方法
が、簡便で、有効かつ安全な生薬を安定に生産できるこ
とから特に好ましい方法である。この方法で調製された
例として、日本薬局方外規格品の商品名「加工ブシ末」
が挙げられる。また主に中国で行われている方法とし
て、水洗した塊根を苦汁液に数日間浸漬して乾燥する
か、あるいは、更に蒸す、煮沸などの処理をくり返した
後乾燥して調製する方法または塊根を水洗し縦割りして
鮮時に灰中に埋没させ、加熱、加圧等を施し乾燥して調
製する方法などがある。この方法で調製した例としては
中国四州省産の附子瓣(日本では炮附子と称する)とし
て市販されているものが一定の品質で充分減毒されてお
り好ましい。
【0009】本発明の附子の抽出物は、附子を溶剤で抽
出した場合に附子から溶剤に移行し、た成分を言い、こ
の抽出物は溶剤を除去した後の乾燥物の状態で使用する
こともでき、また溶剤に溶解した状態で使用することも
できる。後者の場合には抽出溶剤は本発明の養毛料中で
基剤の一部を構成する。
【0010】溶剤としては水、アルコール類、例えばメ
タノール、エタノール、ブタノールエーテル類、例えば
ジエチルエーテル、ジオキサン、ケトン類、例えばアセ
トン、脂肪属炭化水素類、例えばペンタン、ヘキサン、
シクロヘキサン、エステル類、例えば酢酸エチル等を使
用することができる。抽出物を溶剤除去して乾燥物とし
て使用する場合には、上記の任意の溶剤を単独でまたは
混合して使用することができる。しかしながら抽出物を
溶剤に溶解した状態で使用する場合には人体に有害な作
用を有しない水、エタノール、またはこれらの混合物を
用いるのが好ましい。
【0011】抽出に際して、附子はそのまま使用するこ
ともでき、また破砕または粉砕して使用し、溶剤との接
触を改良することもできる。附子と溶剤との比率は特に
限定されないが、抽出効率及び便利さの観点から附子1
00g当たり100〜5000mlの溶剤を使用するの
が好ましい。抽出温度は室温〜常圧下での溶剤の沸点の
範囲とするのが便利であり、抽出時間は抽出温度、攪拌
の有無等により異なるが、30分〜2週間の範囲とする
のが好ましい。
【0012】一方、本発明の養毛料に用いるピリドキシ
ン、塩酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、ジ
パルミチン酸ピリドキシン、トリパルミチン酸ピリドキ
シンは、ビタミンB6 (ピリドキシン)及びその誘導体
としていずれも公知の物質である。皮膚科学的に見てビ
タミンB6 の欠乏は、脂漏性皮膚炎、湿疹などの各種皮
膚疾患を起こすことが知られ、ビタミンB6 の抗皮膚炎
因子としての予防効果が利用され、ピリドキシン及びそ
の誘導体を各種の皮膚障害に対して、内服もしくは局所
投与による治療に利用されてきたものである。
【0013】本発明者は、養毛料中に配合する上記構成
成分に関して鋭意研究した結果、本発明のピリドキシ
ン、塩酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、ジ
パルミチン酸ピリドキシン、トリパルミチン酸ピリドキ
シンよりなる群から選択される少なくとも一種と附子の
抽出物とを組み合わせて配合した養毛料は、その相乗効
果によって、優れた育毛効果、養毛効果、脱毛予防、ふ
け防止効果などの効果を有することを見出した。
【0014】本発明の附子の抽出物とピリドキシン、塩
酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、ジパルミ
チン酸ピリドキシン、トリパルミチン酸ピリドキシン等
の配合割合は、当該養毛料の剤型などにより適宜選択さ
れるものであるが、養毛料の総量を基準として、附子の
抽出物は、0.0001〜20.0wt%(乾燥物換
算)、ピリドキシン等は、0.01〜5.0wt%であ
ればよく、各々の配合量の下限未満では、本発明の目的
とする効果に充分でなく、一方、上限を超えてもその増
加分に見合った効果の向上は望めないものである。
【0015】本発明の養毛料は、常法に従って、ヘアー
トニック、ヘアーローション、ヘアークリーム、シャン
プー、リンス、ヘアーフォーム、ヘアージェル等の剤型
にすることが可能である。
【0016】本発明の養毛料には、色素、香料、殺菌
剤、防腐剤、角質溶解剤、抗炎症剤、抗アンドロゲン
剤、養毛剤、抗酸化剤、清涼剤、他の生薬抽出物やビタ
ミン類等を本発明の目的を達成する範囲内で適宜配合す
ることができる。
【0017】
【実施例】以下、実施例および比較例に基づいて本発明
を詳説する。なお、実施例に記載のマウス毛成長促進効
果試験法、ヒト頭髪毛成長促進効果試験法および実用試
験法を下記に示す。
【0018】(1)マウス毛成長促進効果試験 C3Hマウス(雄・7週齢)の背部中央の体毛をバリカ
ン及びシェーバー等で毛刈し、試料を毛刈り部位に1日
1回、一匹当り0.2ml塗布した。一試料に対して動
物は一群10匹使用した。実験開始後15日目にマウス
背部の写真撮影を行い、毛刈り面積及び発毛面積を算出
し、発毛率(%)を求め10例の平均値により、毛成長
促進効果を判定した。
【0019】(2)ヒト頭髪毛成長促進効果試験法 男性型脱毛症患者である被試験者10名の頭部の耳の上
5cmの位置の頭髪を左右2カ所において直径1cmの
円型状に剃毛した被験部位に、実施例または比較例の試
料を左側に毎日朝夕2回、約3ml塗布し、無処置の右
側と比較した。効果の判定は、試験開始後28日目に、
左右の被験部位の毛髪各々20本ずつを剃毛し、左側
(実施例または比較例を塗布)の毛20本の長さの平均
値(B)を右側(無処置)の毛20本の長さの平均値
(A)で除した値を求めて評価した。判定結果は、被試
験者10名の(B)/(A)の平均値で示した。
【0020】(3)実用試験法 男性型脱毛症患者である被試験者20名の頭部に毎日朝
夕2回、連続6カ月間試料を塗布した後の効果を評価し
た。試験結果は、育毛効果、脱毛予防効果、ふけ防止効
果の各項目に対して、「生毛が剛毛化したあるいは生毛
が増加した」、「脱毛が少なくなった」、「ふけが少な
くなった」と回答した人数で示した。
【0021】製造例1(附子の抽出物の調製) (1)中国四州省産附子(川烏頭、または干附子として
市販のもの)の乾燥塊根の破砕物をオートクレーブ中で
100〜130℃、1〜1.5kg/cm2 に調製し、
40分間加圧、加熱処理する。加工処理した附子100
gを1500mlの70v/v%エタノール(以降、v
/v%を%に略記する)に、常温(20〜25℃)にて
16時間浸し、上澄液をろ取して、45℃、減圧下にて
3時間濃縮し、溶媒を溜去して、褐色の抽出物を11.
7g得た。
【0022】(2)製造例1(1)と同様に加工処理し
た中国四州省産附子100gを1500mlの40%エ
タノールに、常温(20〜25℃)にて16時間浸し、
上澄液をろ取して45℃、減圧下にて4時間濃縮し、溶
媒を溜去して、褐色の抽出液を13.4g得た。
【0023】(3)中国四州省産の炮附子(附子瓣とし
て市販のもの)を50gを500mlの70%エタノー
ルに、常温(20〜25℃)にて16時間浸し、上澄液
をろ取し、45℃で減圧下にて2時間濃縮し、溶媒を溜
去した後、褐色の抽出物5.3gを得た。
【0024】(4)日本薬局方外規格品加工ブシ末50
gを500mlの40%エタノールに、常温(20〜2
5℃)にて10時間浸し、上澄液をろ取し、45℃、減
圧下にて3時間濃縮し、溶媒を溜去した後、褐色の抽出
物6.1gを得た。
【0025】実施例1〜10、比較例1〜9(ヘアート
ニック) 下記に記載の成分組成において、ピリドキシン、塩酸ピ
リドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、ジパルミチン
酸ピリドキシン、トリパルミチン酸ピリドキシン等と、
製造例1で調製した附子の抽出物とを配合して各々のヘ
アートニックを調製し、前記の諸試験を実施した。
【0026】 (1)組成 成 分 配合量(wt%) ─────────────────────────────────── エタノール 60.0 附子の抽出物、ピリドキシン等 表1、表2記載 プロピレングリコール 1.0 香料 0.1 精製水 総量を100.0とする残量 ───────────────────────────────────
【0027】(2)調製法 附子の抽出物、ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシ
ン、ジパルミチン酸ピリドキシン、トリパルミチン酸ピ
リドキシン及び香料をエタノール中に、塩酸ピリドキシ
ン、プロピレングリコールを精製水にそれぞれ溶解し、
各溶液を攪拌しながら均一に混合して各々のヘアートニ
ックを調製した。
【0028】(3)特性 各ヘアートニックの諸試験を実施した結果は、表1、表
2に示す如く、本発明の附子の抽出物単独配合である比
較例1〜4やピリドキシン、塩酸ピリドキシン、ジカプ
リル酸ピリドキシン、ジパルミチン酸ピリドキシン、ト
リパルミチン酸ピリドキシン等を単独配合である比較例
5〜9は毛成長促進効果が低く、また養毛、ふけ防止効
果が認められなかった。これに対して本発明の附子の抽
出物とピリドキシン等とを同時に配合した実施例1〜1
0の本発明の養毛料は、マウスおよびヒトにおいて高い
毛成長促進効果を示し、実用試験の結果も良好な結果を
示した。尚、実施例1〜10はヒト皮膚での諸試験にお
いて皮膚刺激は生じなかった。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】以上記載の如く、本発明が、顕著な毛成
長促進効果を示し、育毛効果、脱毛予防、およびふけ防
止効果に優れる養毛料を提供することは明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−297316(JP,A) 特開 平2−9809(JP,A) 特開 平3−271213(JP,A) 特表 平4−506654(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/06 A61P 17/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピリドキシン、塩酸ピリドキシン、ジカ
    プリル酸ピリドキシン、ジパルミチン酸ピリドキシン、
    トリパルミチン酸ピリドキシンよりなる群から選択され
    る少なくとも一種と附子の抽出物とを配合してなる養毛
    料。
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WO2008075466A1 (ja) * 2006-12-20 2008-06-26 Mmt Co., Ltd. 発毛促進用飲食物、医薬部外品、医薬組成物ならびに発毛促進方法
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