JP3524282B2 - 毛成長促進用養毛料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、優れた毛成長促進
用養毛料に関する。 【０００２】 【従来の技術】脱毛症は血行の不全、毛母細胞活性の低
下や性ホルモンのアンバランスなど様々な要因が複雑に
絡み合って生じていると考えられているが、発生機作が
未だ充分に解明されていないのが現状である。従来よ
り、各種の薬剤を配合した養毛料が脱毛の予防や治療に
用いられてきているが、脱毛を抑制して養毛を促すに充
分有効な薬剤は未だ見出されていない。 【０００３】一方、トリカブト・キンポウゲ科（Ｒａｎ
ｕｎｃｕｌａｃｅａｅ）のトリカブト属（Ａｃｏｎｉｔ
ｕｍ ｓｐｅｃｉｅｓ）は古来中国において神農本草経
に記載され、漢方医学上種々の漢方処方中に汎用される
重要な生薬である。特開平３−２７１２１３号公報に
は、トリカブトの根、茎又は葉の抽出物を含有すること
を特徴とした発毛、育毛剤が、また特開平５−２５５０
９９号公報には、トリカブトの根から得られる非アコニ
チン型アルカロイドを含有することを特徴とした発毛、
育毛剤が提案されている。しかし、これらの発毛、育毛
効果を詳細に検討すると必ずしも十分でないことが判明
した。なお、トリカブトの根、茎又は葉の抽出物と薬剤
との組合せからなる養毛料も検討されている（特開平５
−２５５０４７号公報）。この発明ではトリカブトの
根、茎又は葉の抽出物に起因する効果は必ずしも十分で
はないことが以下に述べる本願発明との比較から容易に
わかる。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記事情
に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、トリカブトの根、茎又
は葉を酢酸エチル又はｎ−ヘキサンで処理して得られた
抽出物を配合するることによって、毛成長促進に優れた
効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。 【０００５】 【課題を解決するための手段】本発明は、トリカブトの
根、茎又は葉を酢酸エチル又はｎ−ヘキサンで処理して
得られた抽出物を配合することを特徴とする毛成長促進
用養毛料。 【０００６】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳述
する。本発明の毛成長促進用養毛料に使用する原料生薬
のトリカブトは、キンポウゲ科（Ｒａｎｕｎｃｕｌａｃ
ｅａｅ）のトリカブト属（Ａｃｏｎｉｔｕｍ ｓｐｅｃ
ｉｅｓ）のものであり、産地は限定されない。一般に、
トリカブト属植物には猛毒性アコニチン系アルカロイド
を含有しており、その使用に際しては注意を要するもの
であるため、好ましくは加熱処理等の減毒化がなされた
ものを用いるのがよい。 【０００７】トリカブトの基原植物としては、例えば、
中国四州省産の栽培種カラトリカブト（Ａｃｏｎｉｔｕ
ｍ ｃａｒｍｉｃｈａｅｌｉ Ｄｅｂｘ）、中国各地の
野生種（Ａｃｏｎｉｔｕｍ ｋｕｓｎｅｚｏｆｆｉｉ
Ｒｅｉｃｈｂ．）など、朝鮮産のミツバトリカブト（Ａ
ｃｏｎｉｔｕｍ ｔｒｉｐｈｙｌｌｕｍ Ｎａｋａ
ｉ）、キバナトリカブト（Ａｃｏｎｉｔｕｍ ｃｏｒｅ
ａｎｕｍ Ｒａｐ．）、日本産のオクトリカブト（Ａｃ
ｏｎｉｔｕｍ ｊａｐｏｎｉｃｕｍ Ｔｈｕｎｂ．）、
ハナトリカブト（Ａｃｏｎｉｔｕｍ ｃｈｉｎｅｎｓｅ
Ｐａｘｔ．）等が挙げられる。特に中国四州省産のカ
ラトリカブトが、一定の栽培方法で、品質の安定性及び
供給の面で好ましい。 【０００８】また減毒加工法としては、塊根をオートク
レーブ中で１００〜１３０℃、圧力１．０〜１．５ｋｇ
／ｃｍ² で２０〜４０分間加圧、加熱処理して調製する
方法が、簡便で、有効かつ安全な生薬を安定に生産でき
ることから特に好ましい（特公昭３７−１８４９８号公
報）。この方法で調製された例として、日本薬局方外規
格品の「加工ブシ末」が挙げられる。また主に中国で行
われている方法としては、水洗した塊根を苦汁液に数日
間浸漬して乾燥するか、あるいは、更に蒸す、煮沸など
の処理を繰り返した後に乾燥して調製する方法、または
塊根を水洗し、縦割りして鮮時に灰中に埋没させ、加
熱、加圧等を施し乾燥して調製する方法などがある。こ
の方法で調製した例としては中国四州省産のトリカブト
として市販されているものが一定の品質で充分減毒され
ており、好ましい。 【０００９】本発明のトリカブトの抽出物は、酢酸エチ
ル又はｎ−ヘキサンの溶媒で抽出した場合にトリカブト
から酢酸エチル又はｎ−ヘキサンに移行した成分を言
い、この抽出物は酢酸エチル又はｎ−ヘキサンを除去し
た後の乾燥物の状態で使用することもでき、さらに酢酸
エチル又はｎ−ヘキサンまたはその他の溶媒に溶解した
状態で使用することもできる。後者の場合には酢酸エチ
ル又はｎ−ヘキサンは本発明の毛成長促進用養毛料中基
剤の一部を構成する。【００１０】 抽出に際してトリカブトはそのまま使用す
ることもでき、また破砕または粉砕して使用し、溶媒と
の接触を改良することもできる。トリカブトと溶媒との
比率は特に限定されないが、抽出効率及び便利さとの観
点からトリカブト１００ｇ当たり１００〜５０００ｍｌ
の溶媒を使用するのが好ましい。抽出温度は室温、常圧
下での溶媒の沸点の範囲とするのが便利であり、抽出時
間は抽出温度、攪拌の有無により異なるが、３０分〜２
週間の範囲とするのが好ましい。【００１１】 本発明の毛成長促進用養毛料は常法に従っ
て、ヘアートニック、ヘアーローション、ヘアークリー
ム、シャンプー、リンス、ヘアーフォーム、ヘアージェ
ル等の剤型にすることが可能である。これら毛成長促進
用養毛料に含有させる本発明の抽出物は、乾燥残分に換
算して、０．０００１〜１０重量％、好ましくは０．０
００５〜５重量％であればよい。【００１２】 本発明の毛成長促進用養毛料には、色素、
香料、殺菌剤、防腐剤、角質溶解剤、抗炎症剤、抗アン
ドロゲン剤、養毛剤、抗酸化剤、清涼剤、他の生薬抽出
物やビタミン類等を本発明の目的を達成する範囲内で適
宜配合することができる。【００１３】 【実施例】以下、製造例、実施例及び比較例に基づいて
本発明を詳説する。なお、実施例に記載のマウス毛成長
促進効果試験法、ヒト頭髪毛成長促進効果試験法及び実
用試験法を次に示す。【００１４】 （１）マウス毛成長促進効果試験法 Ｃ３Ｈマウス（雄、８週齢）の背部中央の体毛をバリカ
ン及びシェーバーで毛刈りし、試料を毛刈り部位に１日
２回、一匹当たり０．２ｍｌ塗布した。一試料に対して
動物は一群１０匹使用した。実験開始後１５日目にマウ
ス背部の写真撮影を行い、毛刈り面積及び発毛面積を算
出し、発毛率（％）を求め１０例の平均により、毛成長
促進効果を判定した。【００１５】 （２）ヒト頭髪毛成長促進効果試験法 男性型脱毛症患者である被試験者１０名の頭部の耳の上
５ｃｍの位置の頭髪を左右２カ所において直径１ｃｍの
円形状に剃毛した被試験部位に、実施例または比較例の
試料を左側に毎朝夕２回、約３ｍｌ塗布し、無処置の右
側と比較した。効果の判定は、試験開始後２８日目に、
左右の試験部位の毛髪各々２０本ずつを剃毛し、左側
（実施例または比較例のを塗布）の毛２０本の長さの平
均値（Ｂ）を右側（無処置）の毛２０本の長さの平均値
（Ａ）で除した値を求めて評価した。判定結果は、被試
験者１０名の（Ｂ）／（Ａ）の平均値で示した。【００１６】 （３）実用試験法 男性型脱毛症患者である被試験者２０名の頭部に毎朝夕
２回、連続６か月間試料を塗布した後の効果を評価し
た。試験結果は、育毛効果、脱毛予防効果の各項目に対
して、「生毛が剛毛化したあるいは生毛が増加した」、
「脱毛が少なくなった」と回答した人数で示した。【００１７】 製造例１ 中国四州省産カラトリカブトの乾燥塊根の破砕物をオー
トクレーブ中で１００〜１３０℃、１〜１．５ｋｇ／ｃ
ｍ² に調製し、４０分間加圧、加熱処理する。加工処理
したカラトリカブト１００ｇを１５００ｍｌの酢酸エチ
ルに、６５〜７５℃にて３時間浸し、上澄液をろ取し
て、７０℃、減圧下にて６時間濃縮し、溶媒溜去後、抽
出物を０．４１ｇ得た。【００１８】 製造例２ 中国四州省産カラトリカブトの乾燥塊根の破砕物をオー
トクレーブ中で１００〜１３０℃、１〜１．５ｋｇ／ｃ
ｍ² 、４０分間加圧・加熱処理する。加工処理したトリ
カブト１００ｇを１５００ｍｌのｎ−ヘキサンに６５〜
７５℃にて３時間浸し、上澄液をろ取して、７０℃、減
圧下にて６時間濃縮し、溶媒溜去後、抽出物を０．２８
ｇ得た。【００１９】 製造例３ 中国四州省産カラトリカブトの乾燥塊根の破砕物をオー
トクレーブ中で１００〜１３０℃、１〜１．５ｋｇ／ｃ
ｍ² 、４０分間加圧・加熱処理する。加工処理したカラ
トリカブト１００ｇを１５００ｍｌのエタノールに６５
〜７５℃にて３時間浸し、上澄液をろ取して、７０℃、
減圧下にて６時間濃縮し、溶媒溜去後、抽出物を５．４
６ｇ得た。【００２０】 製造例４ 中国四州省産カラトリカブトの乾燥塊根の破砕物をオー
トクレーブ中で１００〜１３０℃、１〜１．５ｋｇ／ｃ
ｍ² 、４０分間加圧・加熱処理する。加工処理したカラ
トリカブト１００ｇを１５００ｍｌの７０ｖ／ｖ％エタ
ノールに、６５〜７５℃にて３時間浸し、上澄液をろ取
して、７０℃、減圧下にて６時間濃縮し、溶媒溜去後、
抽出物を１０．０１ｇ得た。【００２１】 実施例１，２、比較例１、２（毛成長促進
用ヘアートニック） 下記に記載の成分組成において、製造例１〜５で調製し
たカラトリカブトの抽出物を配合して各々の毛成長促進
用ヘアートニックを調製し、前記の試験を実施した。【００２２】 （１）組成 成分 配合量（ｗｔ％） エタノール ６０．０ トリカブトの抽出物 ０．５ プロピレングリコール １．０ 香料 ０．１ 精製水 総量を１００．０とする
残量【００２３】 （２）調製法 カラトリカブトの抽出物、香料をエタノール中に、プロ
ピレングリコールを精製水にそれぞれ溶解し、各溶液を
攪拌しながら均一に混合して各々の毛成長促進用ヘアー
トニックを調製した。【００２４】 （３）特性 各毛成長促進用ヘアートニックの諸試験を実施した結果
を表１、表２に示す。【００２５】 【表１】 【００２６】 【表２】 【００２７】これらの結果は、本発明の抽出物を配合し
た実施例１，２の毛成長促進用ヘアートニックが、トリ
カブトのエタノール、７０％エタノール抽出物を配合し
た比較例１、２の毛成長促進用ヘアートニックよりも毛
成長促進効果の点で非常にすぐれていることを示す。【００２８】 【発明の効果】以上記載の如く、本発明が顕著な毛成長
促進効果を示し、優れる毛成長促進用養毛料を提供する
ことは明らかである。

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 トリカブトの根、茎又は葉を酢酸エチル
   又はｎ−ヘキサンで処理して得られた抽出物を配合する
   ことを特徴とする毛成長促進用養毛料。