JP3309761B2 - 3レベルインバータ装置 - Google Patents

3レベルインバータ装置

Info

Publication number
JP3309761B2
JP3309761B2 JP10002197A JP10002197A JP3309761B2 JP 3309761 B2 JP3309761 B2 JP 3309761B2 JP 10002197 A JP10002197 A JP 10002197A JP 10002197 A JP10002197 A JP 10002197A JP 3309761 B2 JP3309761 B2 JP 3309761B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
neutral point
compensation voltage
voltage
output voltage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP10002197A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10295090A (ja
Inventor
高志 伊君
俊昭 奥山
潤一 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP10002197A priority Critical patent/JP3309761B2/ja
Publication of JPH10295090A publication Critical patent/JPH10295090A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3309761B2 publication Critical patent/JP3309761B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Ac Motors In General (AREA)
  • Inverter Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3レベルインバー
タ装置に係り、特に変調波信号の振幅を過大にすること
なく、直流中性点電圧の変動を低減するのに最適な3レ
ベルインバータ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、産業・交通・公共等の分野での動
力源として電動機の可変速駆動が広く適用され、その電
源として電圧形インバータ装置が一般的に適用されてい
る。特に中性点クランプ型の3レベルインバータ装置
は、変換器に用いるスイッチング素子に対して出力電圧
を高圧化できること、またスイッチング素子のスイッチ
ング周波数が低くとも出力電圧の歪が小さいことなどか
ら、大容量の用途に適している。
【0003】3レベルインバータ装置としては、特開平
1−47277号公報に記載されているような3レベルインバ
ータ装置が一般に知られている。この3レベルインバー
タ装置では、零とプラス側で変化する三角波と零とマイ
ナス側で変化する三角波である2つの搬送波信号と、出
力電圧指令信号である変調波信号とを比較している。そ
して、その大小関係より、スイッチング素子をオンまた
はオフするためのゲート信号を得、得られたゲート信号
によって3レベルインバータを制御している。しかし、
前記従来技術によれば、インバータの直流中性点に出力
周波数の3倍周波数の電流が流れることが知られてい
る。インバータの直流電源としては、インバータと同一
の構成を持つ3レベルコンバータまたは2レベルコンバ
ータの直流出力を2つのコンデンサで分圧したものな
ど、直流中性点の電圧が固定されないものを用いる場合
が多い。そのために、直流中性点に電流が流れると、直
流中性点電圧に変動が発生し、スイッチング素子に過大
な電圧が印加されるという問題や、出力電圧が歪むため
電動機の出力トルクに脈動が発生するという問題が発生
する。
【0004】特に誘導電動機を駆動する場合には、誘導
電動機の発生トルクが小さい軽負荷時から、発生トルク
を増加していくのとともに、直流中性点電圧の変動は大
きくなっていき、スイッチング素子に印加される電圧や
出力電圧歪みも大きくなるという特性がある。
【0005】そこで平成7年電気学会産業応用部門全国
大会講演論文集[III]187〜190頁にあるよう
に、パルス幅変調の変調波信号に補償信号を加算して直
流電圧中性点に流れる電流を零にする3レベルインバー
タ装置が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した平成7年電気
学会産業応用部門全国大会講演論文集[III]187〜
190頁に記載された3レベルインバータ装置は、直流
中性点の電流を完全に零にすることができるため、中性
点電圧変動の抑制には非常に有効である。しかし、出力
電圧と出力電流の位相差が大きいときに、補償信号が非
常に大きな値となり、変調波信号の振幅が補償信号を加
えない場合の最大約1.8 倍と過大となってしまう。そ
のため、パルス幅変調の飽和を防止するために出力電圧
が小さく制限されてしまうという問題があった。
【0007】本発明の目的は、変調波信号の振幅を過大
にすることなく、直流中性点電圧の変動を低減できる3
レベルインバータ装置を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、高トルク領域におけ
る中性点電圧の変動を抑制できる3レベルインバータ装
置を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、簡単な構成によっ
て、変調波信号の振幅を過大にすることなく、直流中性
点電圧の変動を低減できる3レベルインバータ装置を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する
発明の特徴は、中性点を備えた直流電源の陽極と陰極
に、互いに直列に接続された4つのスイッチング素子が
並列に3組接続されている3レベルインバータと、三相
の出力電圧指令値を用いて補償電圧を演算する補償電圧
演算手段と、零とプラス側で変化する三角波である正搬
送波信号及び零とマイナス側で変化する三角波である負
搬送波信号のそれぞれと、前記出力電圧指令値に前記補
償電圧を加算して得られる変調波信号との大小関係に対
応して、前記スイッチング素子をオンまたはオフするた
めのゲート信号を各々の前記スイッチング素子に対して
出力するパルス幅変調手段とを備えたことにある。出力
電圧指令値を用いて補償電圧を求めることにより、補償
電圧は非常に小さな値となり、出力電圧指令値と補償電
圧とを加算して求められる変調波信号の振幅は、過大に
なることなく、且つ中性点電圧の変動を低減できる。従
って、インバータの出力電圧を制限する必要がなく、ま
たスイッチング素子に過大な電圧が印加されるという問
題や、出力電圧が歪むために電動機の出力トルクに脈動
発生する問題を防止できる
【0011】他の目的を達成する本発明の特徴は、中性
点を備えた直流電源の陽極と陰極に、互いに直列に接続
された4つのスイッチング素子が並列に3組接続されて
いる3レベルインバータと、三相のトルク電流指令値と
三相の出力電圧指令値を用いて補償電圧を演算する補償
電圧演算手段と、零とプラス側で変化する三角波である
正搬送波信号及び零とマイナス側で変化する三角波であ
る負搬送波信号のそれぞれと、前記出力電圧指令値に前
記補償電圧を加算して得られる変調波信号との大小関係
に対応して、前記スイッチング素子をオンまたはオフす
るためのゲート信号を各々の前記スイッチング素子に対
して出力するパルス幅変調手段とを備えたことにある。
【0012】トルク電流指令値及び出力電圧指令値に基
づいて補償電圧を演算するため、補償電圧は非常に小さ
な値となり、出力電圧指令値と補償電圧とを加算して求
められる変調波信号の振幅は、過大になることなく、且
つ中性点電圧の変動を低減できる。また、トルク電流に
起因する中性点電流を完全に零にすることができるた
め、高トルク領域においても中性点電圧の変動を完全に
抑制できる。
【0013】他の目的を達成する本発明の特徴は、前記
出力電圧指令値をVu*,Vv*,Vw*とし、前記出力
電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の中で瞬時値の絶対値
が最大であるものをVm*とした場合、前記補償電圧で
あるΔV′は、
【0014】
【数3】
【0015】と求められることにある。
【0016】三相の出力電圧指令値だけから補償電圧を
求めるため、非常に簡単な構成で、変調波信号の振幅が
過大になることなく、中性点電圧の変動を低減できる。
従って、構成の複雑化に伴うコストアップを避けること
ができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
例を詳細に述べる。
【0018】(実施例1)本発明の好適な一実施例であ
る3レベルインバータ装置を図1、及び図2を用いて説
明する。インバータ1は直流電源11の電圧を平滑コン
デンサ12及び13で分圧した中点を直流中性点とする
中性点クランプ型の3レベルインバータである。このイ
ンバータ1は、直流電力を交流電力に変換して電動機2
に供給し、電動機2を駆動する。図1に示すように、イ
ンバータ1は、直流電源11,直流電源11の電圧を分
圧する平滑コンデンサ12,13、平滑コンデンサ1
2,13と並列に接続され、かつそれぞれは直列に接続
されている4つのスイッチング素子S1W〜S4Wから
なっている。また、各スイッチング素子S1W〜S4Wに
はそれぞれ並列にダイオードが接続されており、更にこ
の4つのスイッチング素子と4つのダイオードの組合せ
が、この他に2組並列に接続されている。
【0019】一方、インバータ1を制御する制御装置の
構成は、励磁電流指令信号Id*、及びトルク電流指令
信号Iq* を出力する電流指令発生器3,両電流指令信
号の座標変換を行う座標変換器31,三相の出力電圧指
令信号Vu*,Vv*,Vw*を出力する電流制御器4,
信号Iq* の座標変換を行う座標変換器61,補償電圧
信号ΔVを演算する補償電圧演算器6、及びスイッチン
グ素子S1U〜S4Wのゲート信号G1U〜G4Wを出
力するパルス幅変調器5などとなっている。この制御装
置は、インバータの出力電流が電流指令発生器3から出
力される信号Id*、及び信号Iq*に適合するようにイ
ンバータを制御する。
【0020】電流指令発生器3は、電動機2を駆動する
ための信号Id*,信号Iq*、及び基準位相信号θを出
力する。座標変換器31は信号Id*,信号Iq*、及び
信号θを用いて(数4)に従い、三相の出力電流指令信
号Iu*,Iv*,Iw* を演算して出力する。
【0021】
【数4】
【0022】出力電流検出器41,42,43はインバ
ータ1から出力される各相の出力電流信号Iu,Iv,
Iwを検出する。電流制御器4は、信号Iu* と信号I
uとの偏差,信号Iv*と信号Ivとの偏差、及び信号
Iw*と信号Iwとの偏差より、信号Vu*,Vv*,V
w*を演算して出力する。座標変換器61は信号Iq*、
及び信号θを用いて、(数5)に従い、信号Iq*を三相
に座標変換した信号Iqu,Iqv,Iqwを演算して出力す
る。
【0023】
【数5】
【0024】補償電圧演算器6は信号Vu*,Vv*,V
w*と信号Iqu,Iqv,Iqw より信号ΔVを演算して出
力する。ここで演算される信号ΔVは、信号Vu*,V
v*,Vw*に加算されて変調波信号Eu*,Ev*,Ew
*として用いられたときに、中性点電流を抑制できるよ
うな値とする必要がある。そのような信号ΔVの演算方
法について、以下詳細に述べる。尚、本来インバータの
電流はパルス幅変調によるリプルを含むものであるが、
以下においてはPWM周期における平均値で表わすこと
とする。
【0025】図1におけるインバータ1の直流中性点に
流れる中性点電流の平均値Izは(数6)で表わせる。
【0026】
【数6】
【0027】ここで、Eは搬送波信号の振幅であり、搬
送波信号Ec1は0〜+Eの値をとり、搬送波信号Ec2は
−E〜0の値をとる信号である。
【0028】前述したように信号Eu*,Ev*,Ew*
は信号Vu*,Vv*,Vw*に補償電圧演算器6の出力
である信号ΔVを加算したものとするので、(数6)は
(数7)で表わせる。
【0029】
【数7】
【0030】中性点電圧の変動を抑制するためには、
(数7)に示す中性点電流Izの値を零とする信号ΔV
を求めればよい。しかし、出力電圧と出力電流の位相差
が90度に近い場合には、上記中性点電流Izを零にす
るための信号ΔVは非常に大きな値となるため、信号E
u*,Ev*,Ew*の振幅が大きくなってしまう。
【0031】そこで、本実施例では出力電圧とほぼ同位
相のトルク電流成分に起因する中性点電流のみ抑制を行
うように信号ΔVを求め、出力電圧に対して約90度位
相が遅れている励磁電流成分については中性点電流抑制
を行わないこととする。従って、(数7)の信号Iu,
Iv,Iwには、信号Iqu,Iqv,Iqw を代入し、そ
の場合の中性点電流Izqを零とする信号ΔVを求める。
すなわち、(数8)となる信号ΔVを求めればよい。
【0032】
【数8】
【0033】上記(数8)を信号ΔVについて解くため
には、各相の信号Eu*,Ev*,Ew*の極性が問題と
なり、場合分けを行う必要がある。そこで、信号Vu
*,Vv*,Vw*の中で瞬時値が最大値となる信号をVm
ax*,最小値となる信号をVmin*,残る一つの信号をVm
id*とし、Vmax*,Vmid*,Vmin*の各々の相に対応す
る信号Iqu,Iqv,IqwをIqmax,Iqmid,Iqminとす
ると、(数9)に示すように2通りの解が得られる。
【0034】
【数9】
【0035】このようして信号ΔVは演算され、演算さ
れた信号ΔVは加算器において信号Vu*,Vv*,Vw
*と加算され、その加算結果が信号Eu*,Ev*,Ew*
となる。
【0036】パルス幅変調器5は求められた信号Eu
*,Ev*,Ew* を入力し、インバータ1のスイッチン
グ素子S1U〜S4Wのゲート信号G1U〜G4Wを出
力する。
【0037】図2はパルス幅変調器5の詳細構造を示
す。パルス幅変調器5は2つの搬送波信号Ec1,Ec2を
出力する搬送波信号発生器51,搬送波信号Ec1を入力
する比較器52U,52V,52W,搬送波信号Ec2を
入力する比較器53U,53V,53Wを備える。信号
Ec1,Ec2は同位相で直流レベルが異なる三角波であ
り、搬送波信号Ec1は零からプラス側で変化する三角
波、搬送波信号Ec2は零からマイナス側で変化する三角
波である。
【0038】比較器52UはU相の変調波信号Eu* と
プラス側の搬送波信号Ec1とを比較し、スイッチング素
子S1Uのゲート信号G1Uを出力する。この信号G1
Uは、信号Eu* の方が信号Ec1よりも大きければON
信号、さもなくばOFF信号となる。比較器53Uは信
号Eu* とマイナス側の搬送波信号Ec2とを比較し、ス
イッチング素子S2Uのゲート信号G2Uを出力する。
この信号G2Uは、信号Eu* の方が信号Ec2よりも大
きければON信号、さもなくばOFF信号となる。信号
G1U及びG2UはNOT回路により反転され、各々ス
イッチング素子S3U,S4Uのゲート信号G3U,G
4Uとして出力される。表1および表2に信号Eu*と
信号Ec1,Ec2の大小関係に対する信号G1U〜G4U
を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】V相およびW相についても同様にして信号
Ev*,Ew*と信号Ec1,Ec2とを比較し、ゲート信号
G1V〜G4Wを出力する。
【0042】このようにして求められた信号G1U〜G
4Wにより各スイッチング素子をオンまたはオフするこ
とにより、インバータ1から交流電力が出力され、その
交流電力により電動機2は駆動される。
【0043】次に、図3に示す本実施例の動作波形を用
いて、本実施例により得られる効果を具体的に説明す
る。図3(a)は信号Vu*,Vv*,Vw*、図3(b)
は信号Iqu,Iqv,Iqwをそれぞれ示しており、両者は
ほぼ同位相の三相交流信号である。図3(c)は信号Δ
Vを示している。信号ΔVは、信号Vu*,Vv*,Vw
*に対して3倍の周波数の信号となる。図3(d)は信
号Vu*に信号ΔVを加えた信号Eu* 、及び信号Ec
1,Ec2を示している。信号Eu*は図に示すように、中
央がへこんだ波形となり、その最大振幅値は信号Vu*
の最大振幅値とほぼ等しくなる。変調波信号Ev*,E
w*も同様の形状となる。
【0044】図3(e)は信号Iu,Iv,Iwを示し
ている。図3(d)及び(e)に示す信号から、前記
(数6)の関係により図3(f)に示す中性点電流Iz
が得られ、さらに平滑コンデンサ12,13の積分動作
により図3(g)に示す中性点電圧Vzが得られる。図
3(f)と(g)において、太線で示したものは信号V
u*,Vv*,Vw*に信号ΔVを加算した信号を信号E
u*,Ev*,Ew*とした場合で、細線で示したものは
信号Vu*,Vv*,Vw* をそのまま信号Eu*,Ev
*,Ew*とした場合である。図3(f)及び(g)に示
されるように、補償を加えることにより中性点電流Iz
が小さくなり、その結果、中性点電圧Vzの変動も小さ
くなることが分かる。
【0045】このように本実施例を用いることにより、
変調波信号の振幅を過大にすることなく、中性点電圧変
動を低減することができるため、スイッチング素子に過
大な電圧が印加されるという問題や、出力電圧が歪むた
め電動機の出力トルクに脈動が発生するという問題を防
止することができる。
【0046】本実施例では励磁電流に起因する中性点電
流に関しては、その抑制を一切行っていないが、トルク
電流に起因する中性点電流に比べて、励磁電流に起因す
る中性点電流はさほど問題にはならない。なぜならば、
電動機駆動装置では、一般に励磁電流Idをほぼ一定に
し、トルク電流Iqを電動機の負荷に応じて変化させて
制御しているからである。この場合、トルク電流の最大
値は励磁電流の数倍になることが多く、電動機無負荷の
場合に比べ、トルク電流が大きくなるにしたがって中性
点電流も大きくなる。すなわち、中性点電流が問題にな
るほど大きくなるのは、トルク電流が大きくなったとき
であり、そのトルク電流に起因する中性点電流について
のみ抑制を行えば、インバータにあたえる中性点電圧変
動の影響は十分に抑えることができる。
【0047】(実施例2)本発明の他の実施例である3
レベルインバータ装置を図4、及び図5に示す。本実施
例の構成について、主に図1の実施例の構成と異なる箇
所を以下に説明する。
【0048】本実施例が図1の実施例と異なるのは、出
力電圧指令信号Vu*,Vv*,Vw*に加える補償電圧信
号の演算方法であり、その演算方法とは、補償電圧信号
を信号Vu*,Vv*,Vw* だけから演算するものであ
る。従って、本実施例では図に示すように、補償電圧演
算器6′は信号Vu*,Vv*,Vw* のみを入力し、補
償電圧信号ΔV′を出力する。なお、(実施例1)にあ
った座標変換器61は必要としないため、本実施例では
備えていない。
【0049】次に補償電圧演算器6′における信号Δ
V′の演算方法について、詳細に述べる。本実施例は、
信号Vu*,Vv*,Vw* と同相の有効電流に起因する
中性点電流が零になるように、信号Vu*,Vv*,Vw
* を補償するものである。出力電流において信号Vu
*,Vv*,Vw*に同相の有効電流成分信号Iru,Ir
v,Irwを(数10)のように表わす。
【0050】
【数10】
【0051】ここでKは任意の数である。
【0052】この(数10)より信号Iru,Irv,Irw
に起因する中性点電流を零にする信号ΔV′を求める
と、(数11)の解となる。
【0053】
【数11】 (|Vu*+ΔV′|・Iru+|Vv*+ΔV′|・Irv+|Vw*+ΔV′|・Irw) =0 ∴(|Vu*+ΔV′|・Vu*+|Vv*+ΔV′|・Vv*+|Vw* +ΔV′|・Vw*)=0 …(数11) (数11)を解くと、信号Iru,Irv,Irwに起因する
中性点電流を零にする信号ΔV′は、信号Vu*,Vv
*,Vw*の中で絶対値が最大である信号をVm*とする
とき、(数12)で与えられる。
【0054】
【数12】
【0055】この(数12)により得られた信号ΔV′
を信号Vu*,Vv*,Vw* に加算し、その加算結果で
ある変調波信号Eu*,Ev*,Ew* を用いてパルス幅
変調することで、図1と同様に、変調波信号の振幅を過
大にすることなく、中性点電圧変動を低減することがで
きる。
【0056】次に、図5に示す本実施例の動作波形を用
いて、本実施例により得られる効果について具体的に説
明する。図5(a)は信号Vu*,Vv*,Vw*、図5
(b)は信号ΔV′を示しており、信号ΔV′は信号V
u*,Vv*,Vw* に対して3倍の周波数の信号とな
る。図5(c)は信号Vu* に信号ΔV′を加えた信号
Eu*と搬送波信号Ec1,Ec2を示している。図に示す
ように信号Eu*は中央が対象にへこんだ波形となり、
その最大振幅値は信号Vu*の最大振幅値の約0.9倍と
小さくなる。信号Ev*,Ew*も同様の形状となる。
【0057】図5(d)は出力電流信号Iu,Iv,I
wを示しており、この信号Iu,Iv,Iwと図5
(c)に示す変調波信号から、前記(数6)の関係によ
り図5(e)に示される中性点電流Izが得られる。さ
らに平滑コンデンサの積分動作により図5(f)に示す
中性点電圧Vzが得られる。図5(e)と(f)におい
て、太線で示したものは信号Vu*,Vv*,Vw* に信
号ΔV′を加算した信号を信号Eu*,Ev*,Ew*と
する場合で、細線で示したものは信号Vu*,Vv*,V
w*をそのまま信号Eu*,Ev*,Ew*とした場合であ
る。図5(e)及び図5(f)に示されるように、補償
を加えることにより中性点電流Izが小さくなり、その
結果、中性点電圧Vzの変動も小さくなっていることが
分かる。
【0058】このように本実施例を用いることにより、
変調波信号の振幅を過大にすることなく、中性点電圧変
動を低減することができるため、スイッチング素子に過
大な電圧が印加されるという問題や、出力電圧が歪むた
めに電動機の出力トルクに脈動が発生するという問題を
防止することができる。また本実施例は、図1の実施例
と比べ、インバータ制御装置の構成が簡単である上に、
変調波信号の振幅も小さいという特長がある。その一方
で、本実施例は、図1の実施例と比べ、中性点電圧変動
の抑制効果は若干劣る。
【0059】次に、図6、及び図7を用いて各実施例の
効果を詳細に説明する。図6は本発明による中性点電圧
変動低減の効果を、トルク電流と中性点電圧変動量との
関係により示す。また図7は、トルク電流と変調波信号
の振幅との関係を示す。図中、(a)は中性点電圧変動
抑制を行わないもの、(b)は図1の実施例、(c)は
図4の実施例、(d)は平成7年電気学会産業応用部門
全国大会講演論文集[III]187〜190頁にある中
性点電流を零化する方法の結果である。
【0060】図6及び図7より、本発明の両実施例と
も、(a)の補償無しのものに比べ中性点電圧の変動量
が低減され、その値はトルク電流Ip=0の無負荷時の
値に近く、ほぼ一定となる。また、変調波信号の振幅は
(a)の補償無しのものに比べ、同等かそれ以下になっ
ており、変調波信号の振幅を過大にすることなく、中性
点電圧の変動を低減できている。
【0061】一方、(d)の中性点電圧零化補償は、中
性点電圧変動がほぼ零になり、(a),(b)、及び
(c)に対して効果が大きいが、変調波信号の振幅は
(a),(b)、及び(c)に比べて、大きくなり、イ
ンバータの出力電圧を制限しなければならない恐れがあ
る。
【0062】これに比べ、本発明によれば、両実施例と
も、(a)の補償無しのものに比べて、中性点電圧の変
動量が低減され、変調波信号の振幅は(a)の補償無し
のものに比べ、同等かそれ以下になっているため、イン
バータの出力電圧を制限することなしに、中性点電圧の
変動を抑制することができる。
【0063】なお本明細書では、説明をわかりやすくす
るために、構成及び動作を電気回路とアナログ信号を用
いて説明しているが、マイクロプロセッサ等を用いてデ
ィジタル回路で構成し、ソフトウエアで動作させても本
発明の効果は同様である。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、補償電圧は非常に小さ
な値となり、出力電圧指令値と補償電圧とを加算して求
められる変調波信号の振幅は、過大になることなく、且
つ中性点電圧の変動を低減できる。従って、インバータ
の出力電圧を制限する必要がなく、またスイッチング素
子に過大な電圧が印加されるという問題や、出力電圧が
歪むために電動機の出力トルクに脈動が発生するという
問題を防止できる。
【0065】本発明によれば、補償電圧は非常に小さな
値となり、出力電圧指令値と補償電圧とを加算して求め
られる変調波信号の振幅は、過大になることなく、且つ
中性点電圧の変動を低減できる。また、トルク電流に起
因する中性点電流を完全に零にできるため、高トルク領
域においても中性点電圧の変動を完全に抑制できる。
【0066】本発明によれば、非常に簡単な構成で、変
調波信号の振幅が過大になることなく、中性点電圧の変
動を低減できる。従って、構成の複雑化に伴うコストア
ップを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である3レベルインバ
ータ装置の構成図である。
【図2】図1の実施例のパルス幅変調器の構成図であ
る。
【図3】図1の実施例の動作波形図である。
【図4】本発明の他の実施例である3レベルインバータ
装置の構成図である。
【図5】図4の実施例の動作波形図である。
【図6】トルク電流に対する中性点電圧変動量を示す図
である。
【図7】トルク電流に対する変調波信号の振幅を示す図
である。
【符号の説明】
1…インバータ、2…電動機、3…電流指令発生器、4
…電流制御器、5…パルス幅変調器、6,6′…補償電
圧演算器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 潤一 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株式会社 日立製作所 大みか工場内 (56)参考文献 特開 平8−317663(JP,A) 特開 平5−15165(JP,A) 特開 平1−47277(JP,A) 特開 平8−331857(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/5387 H02P 7/63

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中性点を備えた直流電源の陽極と陰極に、
    互いに直列に接続された4つのスイッチング素子が並列
    に3組接続されている3レベルインバータと、三相の出
    力電圧指令値を用いて補償電圧を演算する補償電圧演算
    手段と、零とプラス側で変化する三角波である正搬送波
    信号及び零とマイナス側で変化する三角波である負搬送
    波信号のそれぞれと、前記出力電圧指令値に前記補償電
    圧を加算して得られる変調波信号との大小関係に対応し
    て、前記スイッチング素子をオンまたはオフするための
    ゲート信号を各々の前記スイッチング素子に対して出力
    するパルス幅変調手段とを備え 前記補償電圧演算手段が、有効電流成分に起因する中性
    点電流を抑制する補償電圧を算出する ことを特徴とする
    3レベルインバータ装置。
  2. 【請求項2】中性点を備えた直流電源の陽極と陰極に、
    互いに直列に接続された4つのスイッチング素子が並列
    に3組接続されている3レベルインバータと、三相のト
    ルク電流指令値と三相の出力電圧指令値を用いて補償電
    圧を演算する補償電圧演算手段と、零とプラス側で変化
    する三角波である正搬送波信号及び零とマイナス側で変
    化する三角波である負搬送波信号のそれぞれと、前記出
    力電圧指令値に前記補償電圧を加算して得られる変調波
    信号との大小関係に対応して、前記スイッチング素子を
    オンまたはオフするためのゲート信号を各々の前記スイ
    ッチング素子に対して出力するパルス幅変調手段とを備
    前記補償電圧演算手段が、トルク電流成分に起因する中
    性点電流を抑制する補償電圧を算出する ことを特徴とす
    る3レベルインバータ装置。
  3. 【請求項3】前記出力電圧指令値をVu*,Vv*,Vw
    *、前記トルク電流指令値をIqu,Iqv,Iqwとし、前
    記出力電圧指令値Vu*,Vv*,Vw* の中で瞬時値が
    最大となるものをVmax*,最小となるものをVmin*,残
    る一つをVmid*とし、前記Vmax*,Vmin*,Vmid*の各
    々の相に対応する前記トルク電流指令値Iqu,Iqv,I
    qwをIqmax,Iqmin,Iqmidとした場合、 前記補償電圧であるΔVは、 【数1】 と求められることを特徴とする請求項2記載の3レベル
    インバータ装置。
  4. 【請求項4】前記出力電圧指令値をVu*,Vv*,Vw
    *とし、前記出力電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の中で
    瞬時値の絶対値が最大であるものをVm*とした場合、 前記補償電圧であるΔV′は、 【数2】 と求められることを特徴とする請求項1記載の3レベル
    インバータ装置。
JP10002197A 1997-04-17 1997-04-17 3レベルインバータ装置 Expired - Lifetime JP3309761B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10002197A JP3309761B2 (ja) 1997-04-17 1997-04-17 3レベルインバータ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10002197A JP3309761B2 (ja) 1997-04-17 1997-04-17 3レベルインバータ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10295090A JPH10295090A (ja) 1998-11-04
JP3309761B2 true JP3309761B2 (ja) 2002-07-29

Family

ID=14262904

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10002197A Expired - Lifetime JP3309761B2 (ja) 1997-04-17 1997-04-17 3レベルインバータ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3309761B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5622437B2 (ja) * 2010-05-10 2014-11-12 株式会社東芝 中性点クランプ式電力変換装置
JP6225418B2 (ja) * 2012-04-19 2017-11-08 株式会社明電舎 3レベルインバータの制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10295090A (ja) 1998-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5361196A (en) Power converter for converting DC voltage into AC phase voltage having three levels of positive, zero and negative voltage
US8223517B2 (en) Power converting apparatus with main converter and sub-converter
JP6240704B2 (ja) 三相インバータのオフセット電圧生成装置及び三相インバータ制御装置
US6984960B2 (en) Methods and apparatus for current control of a three-phase voltage source inverter in the overmodulation region
US9780692B2 (en) Control device of neutral-point-clamped power converter apparatus, and control method of neutral-point-clamped power converter apparatus
JP3102499B2 (ja) 中性点クランプ式電力変換器の制御装置
KR102009512B1 (ko) 3상 인버터의 옵셋 전압 생성 장치 및 방법
EP3522358B1 (en) Inverter control device
JP2003169480A (ja) 中性点クランプ式電力変換器の制御装置
EP3853985A1 (en) Multi-level inverter
WO2020100225A1 (ja) 電力変換装置
CN114665788A (zh) 用于产生三相电压的方法和装置
JP3796881B2 (ja) 3レベルインバータの制御方法とその装置
JPH02261063A (ja) インバータ装置と交流電動機駆動システム
JP3309761B2 (ja) 3レベルインバータ装置
JP2012130228A (ja) 3相v結線コンバータの制御装置
JP2010220332A (ja) 電力変換装置
JP3222489B2 (ja) 3相3線式の中性点クランプ式インバータの制御方法
Bhanuchandar et al. Modulated model predictive current control technique for three phase five level switched capacitor based ANPC grid connected inverter with front end-multilevel boost converter
JPH10164856A (ja) 3レベルインバータ・3レベルコンバータの制御装置
JPH0779570A (ja) 電力変換装置
JP7323499B2 (ja) 3レベル電力変換器の制御装置
JP2003180079A (ja) 中性点クランプ式電力変換装置
JPH0974767A (ja) Npcインバータのpwm制御装置
JP2024083703A (ja) 3レベルインバータの中性点電位制御装置および中性点電位制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080524

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080524

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090524

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100524

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110524

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110524

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120524

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120524

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130524

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130524

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term