JP3309358B2 - 複合体被覆部を有するロール及び円周方向空間層を用いて同ロールを製造する方法 - Google Patents

複合体被覆部を有するロール及び円周方向空間層を用いて同ロールを製造する方法

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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、一般的には、工業的用途に用いられる被覆
ロールに関し、より具体的には、比較的硬質の被覆部を
有するロールに関する。
発明の背景 被覆ロールは、高い動的負荷や高温に曝される過酷な
環境下で工業的に用いられる。例えば、典型的な製紙機
械において、多数のロールが、紙になる湿紙シートを搬
送するためのみにではなく、湿紙自身を処理して仕上紙
にするためにも使用されている。これらのロールは、特
殊な配置に維持されている表面に対して正確にバランス
させられているべき、一つのシステムにおける精密な要
素である。
特に高い動的負荷の下で用いられるロールの一種とし
て、カレンダーロールがある。光沢処理は、紙の滑らか
さ、光沢、印刷性、および厚さの精度を改良するために
行われる。製紙機械の光沢処理部において、ロールは、
湿紙を機械内で搬送するためと言うよりむしろ、紙の製
造や処理に貢献している。
カレンダーロールは、その機能を適切に果たすため
に、極めて硬質の表面を有するのが通常である。例え
ば、通常、カレンダーロールは、ショアーD硬度が84な
いし95で、弾性率が1,000ないし10,000MPaの値を持つ熱
硬化性樹脂によって被覆されている。カレンダーロール
の被覆部にはエポキシ樹脂が最も一般的に使用されてい
る。これはエポキシ樹脂が極めて硬質の表面部を形成す
るからである。カレンダーロールの表面部を形成するの
に適した特性を有するエポキシ樹脂は比較的高い温度
(100ないし150℃の範囲内)で硬化される。
耐熱性の熱硬化性樹脂配合組成物(thermoset resin
systems)の硬化温度が増すと、得られる被覆部の耐熱
性が概して向上することが広く知られている。さらに、
現在の製紙機械においては、更に耐熱性の高いロール、
特にカレンダーロールが必要とされている。したがっ
て、そのようなロールのために、150ないし200℃で硬化
されるような被覆部を製造することが望ましい。
しかし、そのような高温で硬化すると被覆部内に大き
な残留応力が生じ、そのために被覆部に亀裂が発生して
使用できなくなるという傾向があった。このようなロー
ル被覆部に関する物理化学的な考察が、1993年10月20な
いし22日にグルノーブル・アトリア世界貿易センター・
ユーロポル(Grenoble Atria World Trade Center Euro
pole)における第46回「Atip」年次大会で公表された
“The Role of Composite Roll Covers In Soft And Su
per Calendering"(軟質つや出及び超つや出しにおける
複合体ロール被覆部の役割)と題するJ.A.Pasonenの文
献に見ることができ、その教示内容は引用によりここに
本明細書の一部とされる。実際に、ロール被覆部の製造
に対する一つの重要な挑戦は、製造中に発生する高い残
留応力に耐えるロール被覆部を開発することである。残
留応力に起因する問題は、コンパウンドが硬いほど顕著
であり、結果として、しばしば亀裂、層分離、および、
端部の持ち上がり(edge lifting)を生じる。加えて、
残留応力は、しばしば早期の局部的な欠陥、或は、使用
寿命の短縮化をもたらす。この傾向は特に、高性能の硬
質ポリマーから成るロール被覆部に該当する問題であ
り、この種のロール被覆部に対する基本的な手法は、製
造時の残留応力のレベルを製品の性能として受容できる
程度まで許容することであった。したがって、製品内の
残留応力を減らすようなロール被覆部の製造方法を開発
する必要がある。
残留応力に対する配慮は、特にロール被覆部の製造時
に重要である。特に、加熱工程と硬化工程はこのような
応力が増大するための最も重要な要素である場合が多い
ので、これらの工程には注意深い配慮が必要である。残
留応力はポリマーをベースとした被覆部において、被覆
部材料とコア材料との間での熱収縮特性の不一致、並び
に、化学的収縮の結果として、最も頻繁に生じる。ポリ
マーの熱膨張係数のオーダーは通常、典型的なコア材料
である鋼を一桁以上、上回っている。
被覆部を設けたロールを処理することによって発生す
る応力を軽減するための一つの提案として、被覆部を、
完成した一つの製品として製造しておいて、十分に硬化
されたその被覆部をコア構造体に接合する方法がある。
この方法は、被覆部材(topstock)を型の回りに被せ、
次に脱型して、その被覆部材を被覆部材の硬化温度以下
でコア構造体に接合するか、或いは、被覆部材を別に注
型し、これを金属コアにその注型温度以下の低温で接合
することによって達成される。これらの工程では、被覆
部を冷却することによって被覆部とコアとの間で生じる
熱応力を減少させるべきである。
被覆部材をコアに接合するための接着材は入手可能で
あるものの、不幸にして、ロールが工業用途に用いられ
る際に充分な接着強度を発揮しない接着剤もある。一般
に、高温での使用に適した接着材は硬化温度も高い。し
たがって、被覆部材を別に製造することによって折角回
避された応力が、コアを高温の接着条件に曝すことによ
って再び生じる可能性がある。
加えて、最初に被覆部材を別体の円筒状構造のものと
して製作し、次にこれを、被覆部材を処理するのに必要
な温度より低い処理温度でロールのコアにはめ込めば、
製造コストは高くなるだろう。これらの注型方法では、
被覆部とロールのコアとの間に空間が得られなければな
らず、多数の工程と内側のマンドレルの使用とが必要に
なる。仮に被覆部材が遠心成形法によって別に製造され
たとしても、外側金型用として新たな費用と工程とが必
要になる。
他の解決策として、金属製のコアに可能な限り近い熱
収縮特性を持った被覆部材を開発することが挙げられ
る。膨張係数を金属コアに合わせた特別仕様の複合体構
造を開発することは可能かも知れないが、この方法は費
用が嵩み、工業上の適用分野によっては期待される熱機
械的特性が発揮されないかも知れない。したがって、現
行の製造材料において残留応力を低下させる方法が必要
とされている。
発明の要約 以上の状況に鑑み、本発明の目的は、被覆部を備えた
ロールの製造時に生ずる化学的および熱的収縮によって
引き起される問題を減少させることにある。
本発明によれば、硬質のロール被覆部の化学的および
熱的収縮によって生じる問題は、使い捨ての内型の周り
に少なくとも一層の圧縮性中間層を介在させた上で被覆
部を別体として注型することによって減少する。この被
覆部は処理中に被覆部を支持できるだけの充分な剛性を
持ち、容易に取り外され、処理後は廃棄される。前記型
の周りに施される中間層は、処理中に被覆部が収縮する
際に生ずる応力を、自身が変形することによって吸収す
るのに充分な圧縮性を有する。
本発明によれば、化学的および熱的収縮によって生じ
る問題は、使い捨ての内側の外表面に圧縮性中間層を施
すステップと、前記圧縮性中間層の外表面にポリマーか
ら成る被覆部材料を施すステップと、該被覆部材料を円
筒状の被覆部となるように高温で硬化させるステップと
を有する方法によって更に減少する。次に、前記被覆部
はキュアリング中、すなわち硬化中に収縮を許され、使
い捨ての内型は廃却される。円筒状の被覆部をロールコ
ア体を包囲するように配置して円周方向空間層を備えた
中間ロールを形成し、該中間ロールの両端を密封して前
記空間層を充填材で充たすと、ロールが完成する。
本発明の別の実施形態では、使い捨ての型が、取り付
けられたベース層を備えた金属性のロールコアで置き換
えられている。ワックスまたは他の再溶融可能な材料か
らなる中間層がロールベースの外表面に施される。次
に、前記中間層及びロールベースの周りに被覆部を注型
するか、或いは、被せる。その際、前記中間層を溶融さ
せて除去し、得られる空間を接着剤層で充たす。
図面の簡単な説明 図1は、多層の被覆部を備えた従来のロールの断面図
であり、被覆部内の熱応力及び残留応力が金属製のロー
ルコアに向いている様子を模式的に示す。
図2は、使い捨ての内型の上に設けられた圧縮性中間
層を備えた、本発明による被覆ロールの断面図であり、
被覆部内の熱応力及び残留応力が圧縮性中間層によって
どのように吸収されるかを模式的に示す。
図3は、使い捨ての内型を除去(脱型)し、得られた
複合体被覆部に金属製のコアベースを貫通させて、円周
方向空間層が形成された後の本発明の被覆ロールの断面
図である。
図4は、ポリマー製のロールコアの外周に設けられた
再溶融可能な圧縮性中間層を備えた本発明の被覆ロール
の断面図であり、被覆部内の熱応力及び残留応力がどの
ように圧縮性中間層によって吸収されるかを模式的に示
す。
図5は、第1の円周方向空間層と、使い捨ての内側を
包囲する圧縮性層とを備えた本発明の被覆ロールの長手
方向断面図である。
図6は、図5における線6−6に沿った断面図であ
る。
図7は、本発明による、金属製のロールコア体と、ロ
ールの製造を補助するために用いられる延長組立体の分
解斜視図である。
図8は、本発明における、金属製のロールコア体の表
面と同一面をなすように嵌合された延長組立体の斜視図
である。
好適な実施形態の説明 ここで、本発明の実施形態が示された添付図面を参照
しつつ、本発明について更に詳細に解説する。しかし、
本発明は種々異なった形態で実施することができ、以下
に記された実施形態に限定されるものではなく、むし
ろ、以下に記されたこれらの実施形態は、その開示によ
って、本発明の範囲が当業者に充分に伝えられるように
提供されるものである。
最初に、複合体のロール被覆部を備えたロールについ
て、および、被覆部を備えた該ロールの製造プロセスに
ついて最も広範な全般的な面から解説し、引き続き、よ
り詳細な解説に移る。概して言えば、管のような円筒状
構造を形成するための別のステップとして、複合体のロ
ール被覆部を注型し、或いは、被せる方法を介して、高
性能の被覆ロールが残留応力の小さな状態で製造され
る。
第1の処理段階では、使い捨ての内型すなわちマンド
レルの外周に、圧縮性中間層を施す。この圧縮性中間層
と内型との組立体とを外型で包囲して、該中間層と該外
型との間に第1の円周方向空間層を形成する。この第1
の円周方向空間層をポリマー材料で充填する。
前記圧縮性中間層の目的は、前記空間層を処理する際
に生じる熱応力と化学的な体積変化とを吸収させること
にある。第1の円周方向空間層に対する処理硬化が終わ
ったら、内型を取去り廃却する。さらに、得られた円筒
状の管状構造に対して事後硬化を施せば、完成した複合
体被覆部が形成される。
第2の処理段階では、得られた複合体被覆部を、用意
されている金属製のロールコアによって貫通されるよう
に設置する。このステップでは、前記被覆部と前記コア
との間に介在する第2の円周方向空間層が形成される。
最終の処理段階では、第2の円周方向空間を、好ましく
は熱硬化性の樹脂で充填し、これを被覆部のよりも低い
温度で硬化させる。
ここで図を参照すれば、図1は従来の被覆ロール1を
示す。図1において文字Pで表された矢印は、被覆部2
内の残留応力と熱衝撃とが金属製のロールコア体3に向
かう様子を示している。図1では矢印で示されていない
が、ロール1内では残留応力と熱収縮とが、軸芯方向と
半径方向など、他の向きにも発生する。最終的にこれら
の内部応力は、ロール1の早期亀裂の発生を招く可能性
がある。
図2は、ポリマー被覆部層12と、使い捨ての内型16を
包囲する圧縮性中間層14とを有する複合体ロール被覆部
10を示す(外型は図示されていない)。図2においてP
で表される矢印は、層12の処理中に被覆部層12が、図示
された方向に収縮するのを、圧縮性中間層14が許す様子
を示している。図2では矢印で示されていないが、圧縮
製中間層14はロール10内での軸芯方向、半径方向、およ
び、他の方向での収縮と衝撃吸収とを許す。
図3は、本実施形態の第2処理段階で、内型16の廃却
と、得られた複合体被覆部10の事後硬化との後で、ベー
ス層22を設けた状態で用意された金属製のロールコア18
を複合体被覆部10で円周状に包囲した結果、コア18と被
覆部10との間に第2の円周方向空間層20が形成されてい
る様子を示す。この製造の最終段階では、前記第2の円
周方向空間層20を、好ましくは、熱硬化性の樹脂を形成
する配合組成物で充填し、これを被覆部層12のよりも低
い温度で硬化させる。
図4は、本発明の別実施形態を示し、ここでは、使い
捨ての内型16は採用されず、ベース層22を施されている
金属製のロールコア18が内型(「使い捨て不可能な内
型」)として代わりに用いられる。ワックスまたは他の
再溶融可能な材料24からなる中間層が、このロールベー
ス18上に設けられる。次に、圧縮性中間層24、ロールベ
ース18、および、ベース層22の外周側に被覆部12が注型
されるか、或いは、被せられる。残留応力の吸収と事後
硬化との後、中間層24が溶融によって取り去られて、被
覆部12が取外され、ロールベース18の表面が準備処理さ
れる(清掃され、接着材が施される)。この後、被覆部
12がロールベース18にかぶせ戻され、得られた空間層が
接着材層で充填されて、堅いロールが形成される。
ロールの設計上の要求に応じて、一層を超える圧縮性
層を用いても良いことは、当業者には明白であろう。ま
た、種々の圧縮性材料を中間層として用いて良いことも
当業者には既に明白であろう。圧縮性層は、他にも適当
な材料があるが、シリコーン含泡体テープで形成するこ
とが好ましい。一つの好適なシリコーン含泡体テープ
が、SI−Schaum vierkantという商品名で、ドイツ国、
Ennepetal、D−58240、Postfach 11 15在のBIW Iso
lierstoffe GmbHから販売されている。通常この材料は
断面150mm×4mmの帯状で購入でき、ショアーG硬度は8
ないし15の範囲内である(許容誤差10%)。
詳細については後述するが、被覆部12とコア18との間
の空間を充填するための典型的な充填材は、被覆部を形
成するのに用いられた樹脂配合組成物と同様の樹脂配合
組成物であるが、被覆部よりも低温で硬化するものであ
る。
図2と図3の実施形態に沿って、図5と図6を参照に
しながらロールを製造する場合、使い捨ての内型18のサ
イズを、作製したいロール被覆部12の所要長さに適合さ
せる。使い捨ての内型16は板紙で形成するのが好ましい
が、他の適切な使い捨ての材料を使うこともできる。内
型16の両端の内側に木製のリング22aが(栓をするよう
に)嵌め込まれる(図5には左側の木製リング22aだけ
が示されている)。内型16を支持するためには、木栓或
いは適当な耐熱性材料で作らされた栓など、本技術分野
で知られている他の構造を用いることも可能である。
24aとして想像線で示される溝を、型16の長手方向に
沿って、各端部からの約10cmの距離を残して加工する
(溝24aは型内に貫通しない)。該溝の各端部において
貫通孔26を型の内部にまで穿孔する。ケーブル28を溝に
収納して型16の内部にも沿うように通し、連続したルー
プを形成する。
内型16に圧縮性の材料を巻き付けて層14を形成する。
重なりが形成されるように、この被覆操作は2重に行う
のが好ましい。圧縮性の層に好適な材料はシリコーン含
泡体材料である。シリコーン含泡体テープは、処理後に
内型16にこびりつく傾向がないので、剥離特性が高く好
適である。処理中には、シリコーン含泡体テープは、内
型16と被覆部層12との間の圧縮性中間層14として働く。
内型16とシリコーンの圧縮性層14との外側に金属製の
外型30を被せて、第1の円周方向空間層20aを形成す
る。第1の円周方向空間層20aの両端を端部シール32と
コーキング材とでシールする。端部シール32は木材で形
成するのが好ましいが、処理温度に耐える適当なシール
材であれば使用できる。端部シール32は、中間層14と外
型30との間の空間に適合するように円環形であるのが好
ましい。金属性の外型30は、一端に薄いリング状の延長
部を有する。このリング状の延長部には、型組立体を鉛
直に支持するためのアイフックが取り付けられている。
当業者に知られているように、ロールを鉛直に支持する
ための付属物は、耳状の延長部を穿孔するなど、種々の
方法で完成される。
金属性の外型の少なくとも一端を穿孔してねじを切
り、そこに入口ポート及びバルブ(図示されていない)
を少なくとも一つ設ける。このバルブ及び入口ポートを
通じて第1の円周方向空間層20aの中に適切な樹脂材料
を送り込む。
注型の間、樹脂材料がゲル化する間は型組立体は鉛直
または鉛直に近い姿勢に保持される。樹脂材料の初期温
度は40ないし45℃の範囲である。硬化工程において残留
応力は圧縮性層14吸収され、ロールに亀裂ができる傾向
を減少させる。次に、ロールを脱型する工程に移るが、
該工程には、ケーブル28を引っ張ることによって内型16
を破壊して内型を除去する工程が含まれている。得られ
た複合体被覆部10を炉内で更に硬化させるが、この時に
は支持構造は不要である。
複合体被覆部の事後硬化の後では、複合体被覆部の内
側の円筒状空間部を、グリッドブラストのような適当な
ブラスト手段で処理する。こうしてできた複合体被覆部
10は、適当なロールコア体に取り付けられる準備の完了
した、管状の円筒状構造を有する。
当業者に知られているように、金属製のロールコアに
は、ポリマー或いは補強されたポリマーの層がベース層
として施られる。ベース層を設けて用意されたロールに
は、複合体被覆部に合うように、延長筒組立体と端部シ
ールとが取り付けられる。第2の円周方向空間層の充填
を容易にするために、図7は、用意されたロールコア体
の各端部にどのように延長キャップ組立体20bが配置さ
れるかを示す。延長キャップ組立体は、ほぼ円形の板21
bと円筒状部位22bとから成る。板21bは木製で、円筒状
部位はロールコア体23bのと同一の材料で形成されてい
るのが好ましい。しかし、他の適当な延長キャップ組立
体が、全て木材又は同等の材料によって形成されても良
く、また、ボルト止め天板付きの環状リング、またはリ
ングと一体化された段付板を含む他のキャップ形状、及
びその同等品のような、他の構成を有していても良い。
図8は、各層が設けられる前に金属製のロールコア体
23bの一端に配置された延長キャップ組立体20bの一部破
断斜視図であり、円筒状部位22bの外周が金属製のロー
ルコア体23bの外周と整合している状態を示す。
複合体被覆部をロールコア体にかぶせ、端部シールを
底端部に、カラーを上端に配置する。次に、組み立てら
れたロールを鉛直注型ステーションに配置する。ジャー
ナル延長体(journal extension)を用いてロールをこ
のステーションに固定する。第2の円周方向空間層に充
填材をポンプで送り込む。前回と同様に、室温で充填材
をゲル化させる。次に、組立体の全体を炉内で60ないし
80℃で事後硬化させる。第2の円周方向空間層20に、被
覆部層12よりも低温で硬化するポリマーを充填すること
によって、完成するロールに強度を与え、ロール被覆部
10に亀裂が生じる傾向を抑えることは、本発明の重要な
特徴の一つである。
本発明によるロールは、硬化によって二つの異なるポ
リマーを生じる二種類の配合組成物を用いることができ
る。被覆部を形成するポリマーは、熱硬化性樹脂である
ことが好ましいが、当業界で通常に用いられているどの
ようなポリマーであっても良い。最も一般的には被覆部
には、ダウ・ケミカル社(Dow chemical Co.)からDE
R331の商品名で市販されているディスフェノールAのジ
グリシジルエーテルをベースとしたエポキシ樹脂のよう
な、エポキシ樹脂が用いられる。これはスイス在のLonz
a Agから市販されているジエチレントルエンジアミン
(商標名DETDA 80)などと言った芳香族アミンと共
に、130ないし150℃の温度範囲で硬化可能である。代わ
りに、被覆部は、米国のAllied Signal Inc.から市販さ
れているシアネートエステル変性ノボラック樹脂配合組
成物(a Cyanate Ester modified Novolac Resin syste
m)から形成することもできる。
第2の円周方向空間層は、最外層(被覆部)に使用さ
れるポリマー原料系よりも低温で硬化される熱硬化性原
料系で充填されるのが好ましい。第2の円周方向空間層
は、樹脂で充填されることができる。第2の円周方向空
間層のための充填材料は熱硬化性樹脂であるのが好まし
い。被覆部と同様に、好適なエポキシ樹脂は、ダウ・ケ
ミカル社からのDER331の商品名で市販されているディス
フェノールAのジグリシジルエーテルをベースにしたも
のであるが、米国のTexaco Chemical Co.から市販され
ているJeffamine T−403(商標名)のような適当な脂
肪族アミンと共に70ないし90℃の温度範囲で硬化され
る。
例示された実施形態では、被覆部および円周方向空間
層自身における望ましい値よりも高い残留応力の発生が
防止されるような条件下で、円周方向空間層は、熱硬化
性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーによって充填され
る。耐熱性が高く要求される基材原料系(base system
s)としては、ガラス転移温度(glass transition temp
erature)が、必要なレベルに調整された特別仕様の熱
硬化性樹脂系を使っても良い。
複合体ロール被覆部、および、円周方向空隙層を用い
て被覆ロールを作製する方法について、以下に記したDu
ren注型法(Duren casting procedure)の具体例によっ
て解説する。
1.内型には板紙を用いる。その両端に、付加的な構造的
支持を与えるために木製のリングを設ける。両端からの
約10cmを除いて、型の長さに沿って2本のスロットを機
械加工によって設ける。量スロットの各端部に貫通孔を
穿孔する。金属製のケーブルを該スロット内に収納し、
前記貫通項を通して内型内に引き込む。このケーブルは
注型の後に型を破壊するために用いられる。
2.用意した型をシリコーン含泡体材料で2重に覆う。こ
の含泡体は注型の間、圧縮性の表面を提供し、型(matr
ix)に対する接着性がない。
3.用意した紙型に金属製の外型を被せ、用意した端部に
シールに、コーキング材を用いて嵌める。
4.金属製の型にタップを通してねじ穴を設け、入口ポー
トとバルブとを取り付ける。
5.充填材を60メッシュの振動篩(ふるい)から篩分け
て、混合槽に予め計量してある樹脂に加える。材料を混
合して再び篩にかける。振動装置によって篩分けの時間
が著しく短縮された。樹脂を加熱してガス抜きする。予
め計量された硬化成分を加えて10分間混合する。次に該
材料を加圧して用意された型に充填する。通常は、1回
分の材料で3本の管体が注型される。注型の間と、発熱
を伴うゲル化の間とには型組立体を鉛直に保持する。初
期温度は40ないし45℃である。1回分の量は最大で2000
kgまでである。
6.管体を脱型して、炉内で事後硬化する。事後硬化の工
程では特別な支持構造物は不要である。
7.次にグリッドブラストによって管体の内面(ID)を処
理する。該管体に、中間槽を充填するためのポートを受
け入れるためのねじ孔をあける。
8.標準的な、ポリウレタン(PU)をベースとする層をコ
アの外周に設ける。コアには、管体と合うように延長筒
と端部シールとを取り付ける。
9.用意したコアの一端に延長アームを取り付ける。この
アームは、管体が被せられる際にロールを支持するため
に用いられる。
10.注型管が被せられ、底部側端部に端部シールが、上
端にカラーがあるように配置される。
11.組み立てられたロールを鉛直なPU注型ステーション
に配置する。ジャーナル延長体を用いて、ロールを該ス
テーションに固定する。中間層用の樹脂材料を単に混合
して、2本のバルブ付きポートに接続されたラインを通
じて圧送する。材料は室温でゲル化する。全体の組立体
を60ないし80℃で事後硬化させる。
以上、本明細書においては、本発明を、その具体的な
実施形態に基づいて説明してきたが、添付した請求項に
よって明らかにされる本発明の精神と範囲とから逸脱す
ることなく種々の修正や変更が可能であることは自明の
ことである。したがって、図面と明細書との内容は、単
なる例示にすぎず、本発明をなんら限定するものではな
い、と考えられるべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−41796(JP,A) 特開 昭50−10765(JP,A) 特開 平1−246464(JP,A) 特表 平11−503087(JP,A) 米国特許3184828(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21G 1/00 - 1/02 F16C 13/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒状のコアの外表面に圧縮性材料を施す
    ことによって、圧縮性スリーブを形成するステップと、 前記圧縮性スリーブの外表面にポリマー材料を施してポ
    リマー材料スリーブを形成することによって、圧縮性ス
    リーブ及びポリマー材料スリーブからなる複合体被覆部
    を前記コアの外表面に形成するステップと、 前記ポリマー材料スリーブを加熱することによって、前
    記ポリマー材料スリーブを硬化させるステップと、 前記複合体被覆部を前記コアから取り外すステップと、 この円筒状に形成された複合体被覆部の中空部内にロー
    ルコアを配置することによって、これらのロールコアと
    複合体被覆部との間に円周方向空間を形成するステップ
    と、 前記円周方向空間内に付着性樹脂を充填することによっ
    て、前記ロールコアと複合体被覆部とを接着させるステ
    ップと を含んでなる、製紙機械用ロールを製造する方法。
  2. 【請求項2】前記コアが板紙であることを特徴とする請
    求項1に記載の製紙機械用ロールを製造する方法。
  3. 【請求項3】前記圧縮性材料がシリコン含泡体であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の製紙機械用ロールを製
    造する方法。
  4. 【請求項4】前記ポリマー材料がエポキシ樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の製紙機械用ロールを製
    造する方法。
  5. 【請求項5】ロールベースの外表面に再溶融可能な材料
    からなる圧縮性中間層を形成するステップと、 前記中間層の外表面にポリマー被覆部層を形成するステ
    ップと、 前記ポリマー被覆部層を加熱して熱硬化させるステップ
    と、 この加熱により、前記中間層を溶融させて除去するステ
    ップと、 前記ポリマー被覆部層を前記ロールベースから取り外す
    ステップと、 前記ポリマー被覆部層の中空部内に前記ロールベースを
    配置することによって、これらのロールベースとポリマ
    ー被覆部層との間に円周方向空間を形成するステップ
    と、 前記円周方向空間内に接着材を充填するステップと を含んでなる、製紙機械用ロールを製造する方法。
  6. 【請求項6】前記再溶融可能な材料がワックスであるこ
    とを特徴とする請求項5に記載の製紙機械用ロールを製
    造する方法。
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