JP2001500577A - 複合体被覆部を有するロール及び円周方向空間層を用いて同ロールを製造する方法 - Google Patents

複合体被覆部を有するロール及び円周方向空間層を用いて同ロールを製造する方法

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Abstract

(57)【要約】 硬質のロール被覆部の化学的および熱的収縮によって生じる問題が、ロールコア体と被覆部の間に一層以上の圧縮性中間層を介在させることによって低減させられた。この圧縮性の層は、ロールに被覆部を施すに充分な剛性と、処理中の被覆部の収縮に際して生じる歪みを自身の変形によって吸収するのに充分な圧縮性とを有する。一つの実施形態では、圧縮性の層を被覆部とは別に使い捨ての内型に注型して複合体ロール被覆部を形成する。該複合体ロール被覆部はロールコア体に被せられ、その結果生じる円周方向空間には熱硬化性樹脂が充填される。

Description

【発明の詳細な説明】 複合体被覆部を有するロール及び円周方向空間層を用いて同ロールを 製造する方法 発明の分野 本発明は、一般的には、工業的用途に用いられる被覆ロールに関し、より具体 的には、比較的硬質の被覆部を有するロールに関する。 発明の背景 被覆ロールは、高い動的負荷や高温に曝される過酷な環境下で工業的に用いら れる。例えば、典型的な製紙機械において、多数のロールが、紙になる湿紙シー トを搬送するためのみにではなく、湿紙自身を処理して仕上紙にするためにも使 用されている。これらのロールは、特殊な配置に維持されている表面に対して正 確にバランスさせられているべき、一つのシステムにおける精密な要素である。 特に高い動的負荷の下で用いられるロールの一種として、カレンダーロールが ある。光沢処理は、紙の滑らかさ、光沢、印刷性、および厚さの精度を改良する ために行われる。製紙機械の光沢処理部において、ロールは、湿紙を機械内で搬 送するためと言うよりむしろ、紙の製造や処理に貢献している。 カレンダーロールは、その機能を適切に果たすために、極めて硬質の表面を有 するのが通常である。例えば、通常、カレンダーロールは、ショアーD硬度が8 4ないし95で、弾性率が1,000ないし10,000MPaの値を持つ熱硬 化性樹脂によって被覆されている。カレンダーロールの被覆部にはエポキシ樹脂 が最も一般的に使用されている。これはエポキシ樹脂が極めて硬質の表面部を形 成するからである。カレンダーロールの表面部を形成するのに適した特性を有す るエポキシ樹脂は比較的高い温度(100ないし150℃の範囲内)で硬化され る。 耐熱性の熱硬化性樹脂配合組成物(thermoset resin systems)の硬化温度が 増すと、得られる被覆部の耐熱性が概して向上することが広く知られている。さ らに、現在の製紙機械においては、更に耐熱性の高いロール、特にカレンダーロ ールが必要とされている。したがって、そのようなロールのために、150ない し200℃で硬化されるような被覆部を製造することが望ましい。 しかし、そのような高温で硬化すると被覆部内に大きな残留応力が生じ、その ために被覆部に亀裂が発生して使用できなくなるという傾向があった。このよう なロール被覆部に関する物理化学的な考察が、1993年10月20ないし22 日にグルノーブル・アトリア世界貿易センター・ユーロポル(Grenoble Atria W orld Trade Center Europole)における第46回「Atip」年次大会で公表された ”The Role of Composite Roll Covers In Soft And Super Calendering”(軟 質つや出及び超つや出しにおける複合体ロール被覆部の役割)と題するJ.A.Pa asonenの文献に見ることができ、その教示内容は引用によりここに本明細書の一 部とされる。実際に、ロール被覆部の製造に対する一つの重要な挑戦は、製造中 に発生する高い残留応力に耐えるロール被覆部を開発することである。残留応力 に起因する問題は、コンパウンドが硬いほど顕著であり、結果として、しばしば 亀裂、層分離、および、端部の持ち上がり(edge lifting)を生じる。加えて、 残留応力は、しばしば早期の局部的な欠陥、或は、使用寿命の短縮化をもたらす 。この傾向は特に、高性能の硬質ポリマーから成るロール被覆部に該当する問題 であり、この種のロール被覆部に対する基本的な手法は、製造時の残留応力のレ ベルを製品の性能として受容できる程度まで許容することであった。したがって 、製品内の残留応力を減らすようなロール被覆部の製造方法を開発する必要があ る。 残留応力に対する配慮は、特にロール被覆部の製造時に重要である。特に、加 熱工程と硬化工程はこのような応力が増大するための最も重要な要素である場合 が多いので、これらの工程には注意深い配慮が必要である。残留応力はポリマー をベースとした被覆部において、被覆部材料とコア材料との間での熱収縮特性の 不一致、並びに、化学的収縮の結果として、最も頻繁に生じる。ポリマーの熱膨 張係数のオーダーは通常、典型的なコア材料である鋼を一桁以上、上回っている 。 被覆部を設けたロールを処理することによって発生する応力を軽減するための 一つの提案として、被覆部を、完成した一つの製品として製造しておいて、十分 に硬化されたその被覆部をコア構造体に接合する方法がある。この方法は、被覆 部材(topstock)を型の回りに被せ、次に脱型して、その被覆部材を被 覆部材の硬化温度以下でコア構造体に接合するか、或いは、被覆部材を別に注型 し、これを金属コアにその注型温度以下の低温で接合することによって達成され る。これらの工程では、被覆部を冷却することによって被覆部とコアとの間で生 じる熱応力を減少させるべきである。 被覆部材をコアに接合するための接着材は入手可能であるものの、不幸にして 、ロールが工業用途に用いられる際に充分な接着強度を発揮しない接着剤もある 。一般に、高温での使用に適した接着材は硬化温度も高い。したがって、被覆部 材を別に製造することによって折角回避された応力が、コアを高温の接着条件に 曝すことによって再び生じる可能性がある。 加えて、最初に被覆部材を別体の円筒状構造のものとして製作し、次にこれを 、被覆部材を処理するのに必要な温度より低い処理温度でロールのコアにはめ込 めば、製造コストは高くなるだろう。これらの注型方法では、被覆部とロールの コアとの間に空間が得られなければならず、多数の工程と内側のマンドレルの使 用とが必要になる。仮に被覆部材が遠心成形法によって別に製造されたとしても 、外側金型用として新たな費用と工程とが必要になる。 他の解決策として、金属製のコアに可能な限り近い熱収縮特性を持った被覆部 材を開発することが挙げられる。膨張係数を金属コアに合わせた特別仕様の複合 体構造を開発することは可能かも知れないが、この方法は費用が嵩み、工業上の 適用分野によっては期待される熱機械的特性が発揮されないかも知れない。した がって、現行の製造材料における残留応力を低下させる方法が必要とされている 。 発明の要約 以上の状況に鑑み、本発明の目的は、被覆部を備えたロールの製造時に生ずる 化学的および熱的収縮によって引き起される問題を減少させることにある。 本発明によれば、硬質のロール被覆部の化学的および熱的収縮によって生じる 問題は、使い捨ての内型の周りに少なくとも一層の圧縮性中間層を介在させた上 で被覆部を別体として注型することによって減少する。この被覆部は処理中に被 覆部を支持できるだけの充分な剛性を持ち、容易に取り外され、処理後は廃棄さ れる。前記型の周りに施される中間層は、処理中に被覆部が収縮する際に生ずる 応力を、自身が変形することによって吸収するのに充分な圧縮性を有する。 本発明によれば、化学的および熱的収縮によって生じる問題は、使い捨ての内 型の外表面に圧縮性中間層を施すステップと、前記圧縮性中間層の外表面にポリ マーから成る被覆部材料を施すステップと、該被覆部材料を円筒状の被覆部とな るように高温で硬化させるステップとを有する方法によって更に減少する。次に 、前記被覆部はキュアリング中、すなわち硬化中に収縮を許され、使い捨ての内 型は廃却される。円筒状の被覆部をロールコア体を包囲するように配置して円周 方向空間層を備えた中間ロールを形成し、該中間ロールの両端を密封して前記空 間層を充填材で充たすと、ロールが完成する。 本発明の別の実施形態では、使い捨ての型が、取り付けられたベース層を備え た金属性のロールコアで置き換えられている。ワックスまたは他の再溶融可能な 材料からなる中間層がロールベースの外表面に施される。次に、前記中間層及び ロールベースの周りに被覆部を注型するか、或いは、被せる。その後、前記中間 層を溶融させて除去し、得られる空間を接着材層で充たす。 図面の簡単な説明 図1は、多層の被覆部を備えた従来のロールの断面図であり、被覆部内の熱応 力及び残留応力が金属製のロールコアに向いている様子を模式的に示す。 図2は、使い捨ての内型の上に設けられた圧縮性中間層を備えた、本発明によ る被覆ロールの断面図であり、被覆部内の熱応力及び残留応力が圧縮性中間層に よってどのように吸収されるかを模式的に示す。 図3は、使い捨ての内型を除去(脱型)し、得られた複合体被覆部に金属製の コアベースを貫通させて、円周方向空間層が形成された後の本発明の被覆ロール の断面図である。 図4は、ポリマー製のロールコアの外周に設けられた再溶融可能な圧縮性中間 層を備えた本発明の被覆ロールの断面図であり、被覆部内の熱応力及び残留応力 がどのように圧縮性中間層によって吸収されるかを模式的に示す。 図5は、第1の円周方向空間層と、使い捨ての内型を包囲する圧縮性層とを備 えた本発明の被覆ロールの長手方向断面図である。 図6は、図5における線6−6に沿った断面図である。 図7は、本発明による、金属製のロールコア体と、ロールの製造を補助するた めに用いられる延長組立体の分解斜視図である。 図8は、本発明における、金属製のロールコア体の表面と同一面をなすように 嵌合された延長組立体の斜視図である。 好適な実施形態の説明 ここで、本発明の実施形態が示された添付図面を参照しつつ、本発明について 更に詳細に解説する。しかし、本発明は種々異なった形態で実施することができ 、以下に記された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、以下に記された これらの実施形態は、その開示によって、本発明の範囲が当業者に充分に伝えら れるように提供されるものである。 最初に、複合体のロール被覆部を備えたロールについて、および、被覆部を備 えた該ロールの製造プロセスについて最も広範な全般的な面から解説し、引き続 き、より詳細な解説に移る。概して言えば、管のような円筒状構造を形成するた めの別のステップとして、複合体のロール被覆部を注型し、或いは、被せる方法 を介して、高性能の被覆ロールが残留応力の小さな状態で製造される。 第1の処理段階では、使い捨ての内型すなわちマンドレルの外周に、圧縮性中 間層を施す。この圧縮性中間層と内型との組立体とを外型で包囲して、該中間層 と該外型との間に第1の円周方向空間層を形成する。この第1の円周方向空間層 をポリマー材料で充填する。 前記圧縮性中間層の目的は、前記空間層を処理する際に生じる熱応力と化学的 な体積変化とを吸収させることにある。第1の円周方向空間層に対する初期硬化 が終わったら、内型を取去り廃却する。さらに、得られた円筒状の管状構造に対 して事後硬化を施せば、完成した複合体被覆部が形成される。 第2の処理段階では、得られた複合体被覆部を、用意されている金属製のロー ルコアによって貫通されるように設置する。このステップでは、前記被覆部と前 記コアとの間に介在する第2の円周方向空間層が形成される。最終の処理段階で は、第2の円周方向空間を、好ましくは熱硬化性の樹脂で充填し、これを被覆部 のよりも低い温度で硬化させる。 ここで図を参照すれば、図1は従来の被覆ロール1を示す。図1において文字 Pで表された矢印は、被覆部2内の残留応力と熱衝撃とが金属製のロールコア体 3に向かう様子を示している。図1では矢印で示されていないが、ロール1内で は残留応力と熱収縮とが、軸芯方向と半径方向など、他の向きにも発生する。最 終的にこれらの内部応力は、ロール1の早期亀裂の発生を招く可能性がある。 図2は、ポリマー被覆部層12と、使い捨ての内型16を包囲する圧縮性中間 層14とを有する複合体ロール被覆部10を示す(外型は図示されていない)。 図2においてPで表される矢印は、層12の処理中に被覆部層12が、図示され た方向に収縮するのを、圧縮性中間層14が許す様子を示している。図2では矢 印で示されていないが、圧縮性中間層14はロール10内での軸芯方向、半径方 向、および、他の方向での収縮と衝撃吸収とを許す。 図3は、本実施形態の第2処理段階で、内型16の廃却と、得られた複合体被 覆部10の事後硬化との後で、ベース層22を設けた状態で用意された金属製の ロールコア18を複合体被覆部10で円周状に包囲した結果、コア18と被覆部 10との間に第2の円周方向空間層20が形成されている様子を示す。この製造 の最終段階では、前記第2の円周方向空間層20を、好ましくは、熱硬化性の樹 脂を形成する配合組成物で充填し、これを被覆部層12のよりも低い温度で硬化 させる。 図4は、本発明の別実施形態を示し、ここでは、使い捨ての内型16は採用さ れず、ベース層22を施されている金属製のロールコア18が内型(「使い捨て 不可能な内型」)として代わりに用いられる。ワックスまたは他の再溶融可能な 材料24からなる中間層が、このロールベース18上に設けられる。次に、圧縮 性中間層24、ロールベース18、および、ベース層22の外周側に被覆部12 が注型されるか、或いは、被せられる。残留応力の吸収と事後硬化との後、中間 層24が溶融によって取り去られて、被覆部12が取外され、ロールベース18 の表面が準備処理される(清掃され、接着材が施される)。この後、被覆部12 がロールベース18にかぶせ戻され、得られた空間層が接着材層で充填されて、 堅いロールが形成される。 ロールの設計上の要求に応じて、一層を超える圧縮性層を用いても良いことは 、当業者には明白であろう。また、種々の圧縮性材料を中間層として用いて良い ことも当業者には既に明白であろう。圧縮性層は、他にも適当な材料があるが、 シリコーン含泡体テープで形成することが好ましい。一つの好適なシリコーン含 泡体テープが、SI−Schaum vierkantという商品名で、ドイツ 国、 Ennepetal、D−58240、Postfach 11 15在のBI W Isolierstoffe GmbHから販売されている。通常この材料 は断面150mm×4mmの帯状で購入でき、ショアーG硬度は8ないし15の 範囲内である(許容誤差10%)。 詳細については後述するが、被覆部12とコア18との間の空間を充填するた めの典型的な充填材は、被覆部を形成するのに用いられた樹脂配合組成物と同様 の樹脂配合組成物であるが、被覆部よりも低温で硬化するものである。 図2と図3の実施形態に沿って、図5と図6を参考にしながらロールを製造す る場合、使い捨ての内型16のサイズを、作製したいロール被覆部12の所要長 さに適合させる。使い捨ての内型16は板紙で形成するのが好ましいが、他の適 切な使い捨ての材料を使うこともできる。内型16の両端の内側に木製のリング 22aが(栓をするように)嵌め込まれる(図5には左側の木製リング22aだ けが示されている)。内型16を支持するためには、木栓或いは適当な耐熱性材 料で作らされた栓など、本技術分野で知られている他の構造を用いることも可能 である。 24aとして想像線で示される溝を、型16の長手方向に沿って、各端部から の約10cmの距離を残して加工する(溝24aは型内に貫通しない)。該溝の 各端部において貫通孔26を型の内部にまで穿孔する。ケーブル28を溝に収納 して型16の内部にも沿うように通し、連続したループを形成する。 内型16に圧縮性の材料を巻き付けて層14を形成する。重なりが形成される ように、この被覆操作は2重に行うのが好ましい。圧縮性の層に好適な材料はシ リコーン含泡体材料である。シリコーン含泡体テープは、処理後に内型16にこ びりつく傾向がないので、剥離特性が高く好適である。処理中には、シリコーン 含泡体テープは、内型16と被覆部層12との間の圧縮性中間層14として働く 。 内型16とシリコーンの圧縮性層14との外側に金属製の外型30を被せて、 第1の円周方向空間層20aを形成する。第1の円周方向空間層20aの両端を 端部シール32とコーキング材とでシールする。端部シール32は木材で形成す るのが好ましいが、処理温度に耐える適当なシール材であれば使用できる。端部 シール32は、中間層14と外型30との間の空間に適合するように円環形であ るのが好ましい。金属製の外型30は、一端に薄いリング状の延長部を有する。 このリング状の延長部には、型組立体を鉛直に支持するためのアイフックが取り 付けられている。当業者に知られているように、ロールを鉛直に支持するための 付属物は、耳状の延長部に穿孔するなど、種々の方法で完成される。 金属製の外型の少なくとも一端を穿孔してねじを切り、そこに入口ポート及び バルブ(図示されていない)を少なくとも一つ設ける。このバルブ及び入口ポー トを通じて第1の円周方向空間層20aの中に適切な樹脂材料を送り込む。 注型の間、樹脂材料がゲル化する間は型組立体は鉛直または鉛直に近い姿勢に 保持される。樹脂材料の初期温度は40ないし45℃の範囲である。硬化工程に おいて残留応力は圧縮性層14吸収され、ロールに亀裂ができる傾向を減少させ る。次に、ロールを脱型する工程に移るが、該工程には、ケーブル28を引っ張 ることによって内型16を破壊して内型を除去する工程が含まれている。得られ た複合体被覆部10を炉内で更に硬化させるが、この時には支持構造は不要であ る。 複合体被覆部の事後硬化の後では、複合体被覆部の内側の円筒状空間部を、グ リットブラストのような適当なブラスト手段で処理する。こうしてできた複合体 被覆部10は、適当なロールコア体に取り付けられる準備の完了した、管状の円 筒状構造を有する。 当業者に知られているように、金属製のロールコアには、ポリマー或いは補強 されたポリマーの層がベース層として施される。ベース層を設けて用意されたロ ールには、複合体被覆部に合うように、延長筒組立体と端部シールとが取り付け られる。第2の円周方向空間層の充填を容易にするために、図7は、用意された ロールコア体の各端部にどのように延長キャップ組立体20bが配置されるかを 示す。延長キャップ組立体は、ほぼ円形の板21bと円筒状部位22bとから成 る。板21bは木製で、円筒状部位はロールコア体23bのと同一の材料で形成 されているのが好ましい。しかし、他の適当な延長キャップ組立体が、全て木材 又は同等の材料によって形成されても良く、また、ボルト止め天板付きの環状リ ング、またはリングと一体化された段付板を含む他のキャップ形状、及びその同 等品のような、他の構成を有していても良い。 図8は、各層が設けられる前に金属製のロールコア体23bの一端に配置され た延長キャップ組立体20bの一部破断斜視図であり、円筒状部位22bの外周 が金属製のロールコア体23bの外周と整合している状態を示す。 複合体被覆部をロールコア体にかぶせ、端部シールを底端部に、カラーを上端 に配置する。次に、組み立てられたロールを鉛直注型ステーションに配置する。 ジャーナル延長体(journal extension)を用いてロールをこのステーションに 固定する。第2の円周方向空間層に充填材をポンプで送り込む。前回と同様に、 室温で充填材をゲル化させる。次に、組立体の全体を炉内で60ないし80℃で 事後硬化させる。第2の円周方向空間層20に、被覆部層12よりも低温で硬化 するポリマーを充填することによって、完成するロールに強度を与え、ロール被 覆部10に亀裂が生じる傾向を抑えることは、本発明の重要な特徴の一つである 。 本発明によるロールは、硬化によって二つの異なるポリマーを生じる二種類の 配合組成物を用いることができる。被覆部を形成するポリマーは、熱硬化性樹脂 であることが好ましいが、当業界で通常に用いられているどのようなポリマーで あっても良い。最も一般的には被覆部には、ダウ・ケミカル社(Dow che mical Co.)からDER331の商品名で市販されているディスフェノ ールAのジグリシジルエーテルをベースとしたエポキシ樹脂のような、エポキシ 樹脂が用いられる。これはスイス在のLonza Agから市販されているジエ チレントルエンジアミン(商標名DETDA 80)などと言った芳香族アミン と共に、130ないし150℃の温度範囲で硬化可能である。代わりに、被覆部 は、米国のAllied Signal Inc.から市販されているシアネートエステル変性ノボ ラック樹脂配合組成物(a Cyanate Ester modified Novolac Resin system)か ら形成することもできる。 第2の円周方向空間層は、最外層(被覆部)に使用されるポリマー原料系より も低温で硬化される熱硬化性原料系で充填されるのが好ましい。第2の円周方向 空間層は、樹脂で充填されることができる。第2の円周方向空間層のための充填 材料は熱硬化性樹脂であるのが好ましい。被覆部と同様に、好適なエポキシ樹脂 は、ダウ・ケミカル社からのDER331の商品名で市販されているディスフェ ノールAのジグリシジルエーテルをベースにしたものであるが、米国のTexaco C hemical Co.から市販されているJeffamine T−403(商標名)の ような適当な脂肪族アミンと共に70ないし90℃の温度範囲で硬化される。 例示された実施形態では、被覆部および円周方向空間層自身における望ましい 値よりも高い残留応力の発生が防止されるような条件下で、円周方向空間層は、 熱硬化性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーによって充填される。耐熱性が高く要 求される基材原料系(base systems)としては、ガラス転移温度(glass transi tion temperature)が、必要なレベルに調整された特別仕様の熱硬化性樹脂系を 使っても良い。 複合体ロール被覆部、および、円周方向空隙層を用いて被覆ロールを作製する 方法について、以下に記したDuren注型法(Duren casting procedure)の 具体例によって解説する。 1.内型には板紙を用いる。その両端に、付加的な構造的支持を与えるために 木製のリングを設ける。両端からの約10cmを除いて、型の長さに沿って2本 のスロットを機械加工によって設ける。両スロットの各端部に貫通孔を穿孔する 。金属製のケーブルを該スロット内に収納し、前記貫通孔を通して内型内に引き 込む。このケーブルは注型の後に型を破壊するために用いられる。 2.用意した型をシリコーン含泡体材料で2重に覆う。この含泡体は注型の間 、圧縮性の表面を提供し、型(matrix)に対する接着性がない。 3.用意した紙型に金属製の外型を被せ、用意した端部シールに、コーキング 材を用いて嵌める。 4.金属製の型にタップを通してねじ穴を設け、入口ポートとバルブとを取り 付ける。 5.充填材を60メッシュの振動篩(ふるい)から篩分けて、混合槽に予め計 量してある樹脂に加える。材料を混合して再び篩にかける。振動装置によって篩 分けの時間が著しく短縮された。樹脂を加熱してガス抜きする。予め計量された 硬化成分を加えて10分間混合する。次に該材料を加圧して用意された型に充填 する。通常は、1回分の材料で3本の管体が注型される。注型の間と、発熱を伴 うゲル化の間とには型組立体を鉛直に保持する。初期温度は40ないし45℃で ある。1回分の量は最大で2000kgまでである。 6.管体を脱型して、炉内で事後硬化する。事後硬化の工程では特別な支持構 造物は不要である。 7.次にグリットブラストによって管体の内面(ID)を処理する。該管体に 、中間層を充填するためのポートを受け入れるためのねじ孔をあける。 8.標準的な、ポリウレタン(PU)をベースとする層をコアの外周に設ける 。コアには、管体と合うように延長筒と端部シールとを取り付ける。 9.用意したコアの一端に延長アームを取り付ける。このアームは、管体が被 せられる際にロールを支持するために用いられる。 10.注型管が被せられ、底部側端部に端部シールが、上端にカラーがあるよ うに配置される。 11.組み立てられたロールを鉛直なPU注型ステーションに配置する。ジャ ーナル延長体を用いて、ロールを該ステーションに固定する。中間層用の樹脂材 料を単に混合して、2本のバルブ付きポートに接続されたラインを通じて圧送す る。材料は室温でゲル化する。全体の組立体を60ないし80℃で事後硬化させ る。 以上、本明細書においては、本発明を、その具体的な実施形態に基づいて説明 してきたが、添付した請求項によって明らかにされる本発明の精神と範囲とから 逸脱することなく種々の修正や変更が可能であることは自明のことである。した がって、図面と明細書との内容は、単なる例示にすぎず、本発明をなんら限定す るものではない、と考えられるべきである。
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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 製紙機械用ロールの製造に用いる被覆ロール構造であって、 ほぼ円筒状の外表面を備えたコアと、 前記コアの前記外表面を包囲して圧縮性材料から成るスリーブと、 前記スリーブを包囲してポリマー材料から成るスリーブと を有する被覆ロール構造。 2. 前記圧縮性材料が無機材料を含有する、請求項1に記載の被覆ロール構 造。 3. 前記ポリマー材料がエポキシ樹脂である、請求項1に記載の被覆ロール 構造。 4. 前記圧縮性材料がシリコーン含泡体である、請求項1に記載の被覆ロー ル構造。 5. 前記コアが板紙から成る、請求項1に記載の被覆ロール構造。 6. 円筒状の外表面を有するコアの該外表面に圧縮性材料を施すことによっ て、圧縮性スリーブを形成するステップと、 前記スリーブの外表面にポリマー材料を施すことによって、ポリマー材料スリ ーブを形成して被覆ロール構造を形成するステップと、 前記ポリマー材料を加熱することによって、前記ポリマー材料を硬化させる加 熱ステップと を有する、製紙機械用ロール構造を形成する方法。 7. 予め形成された型内に前記ポリマー材料スリーブが納められている間に 前記加熱ステップが実施される、請求項6に記載の方法。 8. 前記圧縮性材料がシリコーン含泡体である、請求項6に記載の方法。 9. 前記ポリマー材料がエポキシ樹脂である、請求項6に記載の方法。 10. 前記ポリマー材料スリーブを、前記コア及び前記圧縮性スリーブから 取り外すステップを更に有する、請求項6に記載の方法。 11. 前記ポリマー材料スリーブを、第2の円筒状コアを覆うように、該第 2の円筒状コアに固着するステップを更に有する、請求項10に記載の方法。
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