JP3307925B2 - 薬剤組成物及びその製法 - Google Patents

薬剤組成物及びその製法

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JP3307925B2 JP32058790A JP32058790A JP3307925B2 JP 3307925 B2 JP3307925 B2 JP 3307925B2 JP 32058790 A JP32058790 A JP 32058790A JP 32058790 A JP32058790 A JP 32058790A JP 3307925 B2 JP3307925 B2 JP 3307925B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、少なくとも1種の単糖類または多糖類から
誘導された結晶性糖アルコールの結晶マトリックス内に
少なくとも1種の薬剤的に活性な化合物の粒子を均一に
分散させてなる薬剤組成物に関し、ならびにそのような
均一分散薬剤組成物の製法に関する。
(従来の技術及びその問題点) 多くの活性薬剤化合物は、その投与量が過多であった
り過少であったりすると、効果がなかったり、場合によ
っては有害なこともあるので、非常に限定された投与量
範囲でのみ有効に使用されるものである。従って、その
ような化合物は、適正な投与量の活性化合物が容易に製
造できまた投与できるような一様な方式で処方、配合さ
れることが必要である。
微細粉末の形の活性化合物の処方に関して独特な問題
が存在する。そのような微粉末状の活性化合物は、湿式
造粒法で賦形剤とブレンドされるのが一般的であり、そ
の方法においては各成分は湿潤ペーストの形で使用され
る。ペーストは薬剤活性粉末と混合され、次いで乾燥、
粉砕及び打錠される。しかし、そのような湿造粒法は、
労働集約的であり、特殊装置を必要とし、そして汚染を
非常に受け易いので、薬剤工業においては好まれていな
い。さらには、低嵩密度を有し、そして湿式造粒におい
て均一分散させるのが困難である性向を有する、フェニ
ルプロパノールアミン等のような薬剤活性物質の処方、
配合のために、これらの湿式法を採用するのは特に困難
である。
活性薬剤物質を粉末状賦形剤と乾式混合し、それから
直接に錠剤を成形することは、より経済的であろうが、
配合される粒子の量が少ないこと、及び粒子の粒径が微
細であることによって、均一な混合が極めて困難とな
る。特に、活性物質粒子が賦形剤から造粒中に分離する
というような原因のために、ブレンド及び/または打錠
工程の結果として、製品が均一性検定要件に合格しない
というようなことも生じうる。
かかる分離の問題を可及的に少なくするために、製薬
業者は、活性物質を油脂類にゼラチンやその他の成膜剤
を加えたものの中にカプセル化することにより、あるい
は活性物質を賦形剤と共に予め顆粒化することにより、
活性物質の粒子寸法を増大させてから、配合及び打錠す
ることを試みてきている。しかし、カプセル化も予備顆
粒化も分離(偏分離)を効果的に防止できないことがあ
り、その理由は多くの場合に、分離がそのようなカプセ
ル化物や予備顆粒化物の粉砕または破砕の際に起こりう
るからである。さらには、これら処理は、必要な配合処
方工程数を増加させ、経費の増加をもたらす。
従って、薬剤活性物質の均一な濃度を有し、かつ汚染
を受けるおそれなく容易に低経費で製造されうる薬剤組
成物を達成することは望ましいことである。
かくして本発明の一目的は、粒状の活性物質を均一分
散させた薬剤組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、粒状の活性物質を均一に分散さ
せた薬剤組成物の経済的製造方法を提供することにあ
る。
上記の本発明の目的、及びその他の目的は以下の記載
からさらに明らかとなろう。
(発明の構成) 本発明はその一態様において、少なくとも1種の単糖
類または多糖類から誘導された結晶性糖アルコールの結
晶マトリックス内に少なくとも1種の薬剤活性化合物の
粒子を均一に分散させてなる薬剤組成物に関する。
本発明は、もう一つの態様において、 (A) 少なくとも1種の単糖類または多糖類から誘導
された糖アルコールを溶融し; (B) その溶融糖アルコール中に少なくとも1種の薬
剤的に活性な物質の粒子を分散させて均質な混合物とな
し; (C) その均質な溶融混合物を攪拌しつつ、粘稠物が
生じるまで冷却し; そして、 (D) その粘稠物を、糖アルコールが充分に結晶化さ
れる点まで徐々に冷却する; ことからなる、薬剤活性物質を均一に分散させた薬剤組
成物の製法に関する。
(発明の作用、効果) 本発明の薬剤組成物は、単糖類または多糖類から誘導
され、その結晶マトリックス内に少なくとも1種の粒状
の薬剤活性化合物を均一に分散させた、少なくとも1種
の結晶性糖アルコールから構成される。
本発明の実施に用いられる糖アルコールと当業者に周
知であり、そして典型的には、ペントース及びヘキソー
ス単位から誘導された高分子量ポリマーである炭水化物
から誘導された単及び/または多糖類の接触(触媒作
用)水素化により製造される。そのような糖類物質の実
例は、デキストロース及びマルトースのような庶糖;セ
ルロース;デンプン;及び木糖等である。このような糖
類物質は、一般には、酵素または鉱酸を用いて水性条件
下で加水分解されて、マンノース、ジオース及びトリオ
ース等を生成させ、これらは次いで触媒の作用下に水素
で還元される(この方法は周知である)。これにより生
成されたこれら糖アルコールの水性溶液は、典型的に
は、次いでイオン交換樹脂、活性炭等で処理されて清澄
液となる。
本発明の実施に使用されうる糖アルコールの例として
は、アンニトール、ソルビトール、マルチトール、セロ
ビトール、ラクチトール、キシリトール、あるいは水素
化デンプン加水分解物として知られるポリオール混合物
がある。好ましい糖アルコールは、ソルビトール及び、
ソルビトールとマンニトールとの混合物である。これら
のアルコールの混合物が使用される場合、好ましくは、
約5〜15重量%のマンニトールと約85〜95重量%のソル
ビトールが存在する。
本発明で使用される糖アルコールは、一般に、約3重
量%以下の水分含量であるように乾燥した状態のもので
ある。好ましくは、その水分含量は約1重量%以下、さ
らに好ましくは約0.5重量%以下である。糖アルコール
出発原料は、連続式薄膜蒸発器またはバッチ式真空加熱
器のような慣用手段によって所望の水分含量まで乾燥さ
れうる。
この明細書において、「薬剤的に活性な化合物」なる
用語またはその同義語は、医療、飲食及び/または栄養
目的のために摂取され、そして粒状である有機または無
機の経口摂取可能な化合物を意味する。本発明の実施に
よって有利に配合されうる薬剤的に活性な化合物の例
は、アスピリン、シメチジン、イブプロフェン、アテノ
ルオール、アスパルタミン、サッカリン、アセタミノフ
ェン、フェニルプロパノールアミン塩酸塩等の有機化合
物、ならびにアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩及び
酸化物、鉄、銅及び亜鉛の無機補充剤等の無機化合物が
ある。
本発明の実施において使用される薬剤活性化合物は、
粒状である。すなわち周囲温度において微細な固体であ
る。そのような物質(材料)の最大直径は、そのような
物質が溶融糖アルコール中に溶解しうるか否か、溶融糖
アルコールの温度において液状であるか否か、あるい
は、そのような物質が溶融糖アルコール中において不溶
性固体のままであるか否かによって左右される。前二者
の場合には、最大粒子寸法は臨界的ではない、なんとな
れば大きな出発粒子でも容易かつ均一に分散されるから
である。しかしながら、後者の場合には、薬剤活性化合
物の粒子寸法は約500ミクロンを越えないのが好まし
く、さらに好ましくは約300ミクロンを越えない。
使用される薬剤活性粒子の種類及び粒子寸法に応じ
て、本発明の方法によって糖アルコール賦形剤中に約30
重量%までまたはそれ以上の薬剤活性化合物を均一に配
合することが可能である。本発明の薬剤組成物は、 (A) 少なくとも1種の単糖類または多糖類から誘導
された糖アルコールを溶融し; (B) その溶融糖アルコール中に少なくとも1種の薬
剤的に活性な物質の粒子を分散させて均質な混合物とな
し; (C) その均質な溶融混合物を攪拌しつつ、粘稠物が
生じるまで冷却し; そして、 (D) その粘稠物を、糖アルコールが充分に結晶化さ
れる点まで徐々に冷却する; ことにより製造される。
工程(A)において、当業者であれば、通常の実験に
よって適当な操作温度を容易に決定しうる。典型的な操
作温度範囲は下記の例の糖アルコールについて下記の通
りである: ソルビトール 約86〜約130℃ マンニトール 約86〜約120℃ キシリトール 約140〜約190℃ マルチトール 約100〜約150℃ ラクチトール 約100〜約200℃ セロビトール 約100〜約175℃ 水素化デンプン加水分解物 約150〜約200℃ しかし、いずれかの特定な薬剤化合物の失活温度を考
慮に入れて、採用糖アルコールの選定、ならびに所与の
糖アルコールについての適切な操作温度範囲内にある特
定温度の選定を行なうべきである。
本発明方法の工程(B)において、薬剤活性粒子は、
均質混合物が形成されるような条件下で、溶融糖アルコ
ール中に分散される。もしこの工程において、選定操作
条件下で個々ばらばらの粒子の形のままで残る薬剤活性
粒子の分散がなされるのであれば、いくつかの方法のう
ちの任意のものを使用できる。例えば溶融多価アルコー
ルを、その溶融多価アルコール(糖アルコール)中に渦
巻きを生じさせるような高剪断混合装置を備えた加熱釜
に入れておく。粒状の活性成分を徐々にその渦巻へ加
え、溶融アルコール中に完全にわたってその活性成分が
均一に分散されるまで攪拌を続ける。別の方法では、あ
る場合には、微粉砕された糖アルコールの一部分を、ボ
ールミルまたはV−ブレンダー中で粒状活性物質と乾式
混合して、均一な乾燥ブレンドを作り、次いでこれを残
部の溶融糖アルコールに添加するのが好ましいことがあ
る。
溶融糖アルコール中に可溶であるか、操作温度におい
て液体である、薬剤活性化合物については、任意の慣用
添加方法を使用しうる。しかし、活性化合物の完全な溶
解または溶融ならびに完全な分散が溶融糖アルコール中
で生じるまで、溶融アルコールの昇温における攪拌を継
続することを確保するように注意すべきである。
薬剤活性化合物が溶融アルコール中に均一に分散され
ること(この分散完結点はいづれの特定の活性化合物/
溶融アルコールの組合せについても通常の検定法によっ
て容易に決定しうる)、温度を、攪拌を継続しつつ低減
させる。かかる攪拌下での冷却は晶析の開始をもたら
す。攪拌は、配合物が粘稠物となるまで継続されるべき
である。ここに「粘稠物」とは、半固体のドウ(パン生
地)状外観を有し、押出可能であり、そして液状及び流
動的ではない、組成物を意味する。典型的には、この時
点で、糖アルコールは一般に重量で少なくとも約40%結
晶性である。しかし、活性物質の添加量が多い場合に
は、糖アルコールのわずか20重量%のような少量が結晶
化したときに、粘稠物が生じることもある。所望なら
ば、例えば示差走査熱分析法により、所与の糖アルコー
ル/薬剤活性化合物の混合物についての所要の結晶化率
が認められるまで、分散物を時々モニター(監視)する
こともできる(そのような結晶化率は適当な粘稠物が形
成されるまで種々の時点で試験を行ない、次いで、例え
ば示差走査熱分析法でそのような粘稠物の結晶度を測定
することにより容易に決定できる)。
粘稠物は、攪拌装置から取り出して、粒状薬剤活性組
成物が均一に分散された固体結晶性物が得られるまで、
さらに冷却させる。混合物を攪拌下に完全に結晶化させ
ることもできるが、そのような固体物質が反応器を閉塞
したり、攪拌装置を破損してしまうようなことさえある
ので、このような結晶化操作は一般に好ましくない。
充分に結晶化された固体分散物は、慣用粉砕装置を用
いて、破砕して、ペレットに成形しうるか、または追加
の賦形剤とブレンドし、チューインガム、錠剤等に処方
しうる粉末となす。
大規模生産は、好ましくは、糖アルコール(好ましく
はソルビトール、またはソルビトールとマンニトールと
のブレンド)を約80℃〜約100℃の間の温度に加熱し
て、加熱タンク内で攪拌することからなる方法工程を用
いて実施できる。薬剤活性化合物を添加した後、連続的
な攪拌下に、反応混合物をかみ合い形連続式二軸混合機
へ計量導入する。この形式のミキサーは、R.H.ペリー及
びC.H.チルトン編「ケミカル・エンジニヤーズ・ハンド
ブック」第5版(1973年)第19〜21頁に記載されてい
る。このような混合機の特徴は、それらが、狭い翼−壁
間隔及び翼−翼間隔で、同一速度で同方向に回転する二
本の平行軸上に装着されたかみ合いニーダー翼を備えて
いることである。
好ましい連続式混合機は、ペンシルベニア州ヨークの
Teledyne Readco社製の高剪断「Readco Continuous Pro
cessor」(商標)である。米国特許第3419250号及び第3
618902号(譲受人:Teledyne社)明細書に記載された混
合機は、改変せずに使用できるが、本発明方法において
形成される糖アルコール溶融塊(マグマ)は、その混合
機に押出のためのノズルまたはプレートを備えるとより
一層容易に取り扱うことができる。加工される材料に低
軸速度で高剪断力を作用させるその他の高剪断連続式二
軸スクリュウ混合機を使用することもできる。そのよう
な混合機の例としては、ミシガン州サジナウのベイカー
・パーキンス社製の「Baker,Perkins Multi−Purpose
(M−P)Mixer」(商標)、及びドイツ、スチュット
ガルトのヴルナー(Werner)−フライデルエル(Pfleid
erer)社製の「ZSK」二軸スクリュウコンパウンディン
グ押出機等がある。上記ベイカー・パーキンス混合機は
米国特許第3195868号及び第3198491号明細書に記載され
ている。別の翼形状も使用することができ、このタイプ
の混合機は米国特許第3423074号(譲受人:ベイカー・
パーキンス社)及び第3490750号(譲受人:テレダイン
社)明細書に記載されている。これらの混合機は、所要
の生産量に応じて種々の直径及び馬力(入力)のものが
入手できる。
好ましくは、供給及び/または排出スクリューを備
え、5インチ(12.7cm)、15インチ(38.1cm)または24
インチ(61.0cm)のニーダー翼直径をもつ「Readco Con
tinuous Processor」を用いる。さらには、排出ノズル
は、好ましくは、加熱手段を備え、排出溶融塊(マグ
マ)の部分的固化円筒リボン状物の表面が早すぎる結晶
化を起こさずかくして円滑な排出ができるようにする。
従って、本発明の薬剤混合物の一製法においては、添加
された薬剤活性化合物溶融糖アルコールマグマからなる
原料を、軸手段及びその軸手段上に装着された複数のニ
ーダー翼を有する長い混合域へ連続的に供給する。その
ニーダー翼の形状は、それらの翼と隣接壁との間に限定
されたクリアランス(間隙)を与えるようなものであ
る。溶融アルコールマグマが混合域を通過しているとき
に、溶融アルコールと薬剤活性化合物との粘稠物が得ら
れるまで、その溶融アルコールマグマの冷却及び混練を
平行して実施する。そして、そのブレンドを混合域から
押出オリフィスを介して連続的に排出し、そしてそのブ
レンドをさらに周囲温度にまで冷却して、粒子を内包す
る結晶性糖アルコールを形成する。
結晶化を実施するときに、溶融糖アルコールは、比較
的乾燥した雰囲気中で攪拌された原料タンク中に保持し
て、水分の吸収を防止して、その水分含量が約1重量%
を超えないようにするのが好ましい。かかる注意事項は
溶融アルコール混合物の温度が100℃を超えるにつれて
余り重要な因子でなくなってくる。この点で、薬剤活性
物質の粒子を攪拌下に(例えば高剪断混合条件下)に添
加する。そのような添加活性物質粒子は結晶性ポリオー
ルの一部と、または溶融ポリオールと混合されてから添
加され、あるいは溶融ポリオール中に溶融及び/または
分散されるが、これは、ポリオールの溶融温度ならびに
薬剤活性物質の特定な物理的性質によって変動する。混
合装置の運転において、供給速度及びその他の運転操作
パラメータは、冷却されつつある混合物マグマが混合機
内を通過するにつれて、供給オリフィスから排出オリフ
ィスにかけての移動中に増加した結晶濃度を有する溶融
物が生じるように調節される。回転スクリュウは、結晶
及び分散粒状活性物質を含んでいる溶融物マグマを、装
置の中心から外側縁の方へ移動させ、そのときに追加の
結晶が析出しそして追加の溶融アルコール及び粒状物質
と再び混合されて、結晶化用種子として機能する。温度
プロフィル(長手方向の温度分布)が、溶融物供給温度
から排出温度にまで低下するにつれて、溶融物の粘度が
結晶の生成により増加する。回転スクリュウの作用によ
って、分散された成分を含む結晶しつつある溶融物マグ
マを排出オリフィスを介して押出物の形で押し出し、か
くして、溶融物マグマは長い押出物となる。このような
押出物は、通常は、所望の長さに切断されて、結晶化が
完結するまで冷却または放冷される。
排出される押出物の温度が高すぎると溶融物がその形
状を失うことになるから、その温度は高すぎないように
注意すべきである。そのような材料は取扱いが困難であ
るばかりでなく、得られる製品が、結晶と無定形糖アル
コールの望ましくない混合物となり、活性物質が不均一
に分散するようになることがある。この問題は、通過時
間またはジャケット冷却温度、及び供給温度、回転速
度、背圧等のその他の変動因子を低減させることにより
解消できる。理想的な運転操作条件下で、押出物結晶性
ペースト状物は、結晶性製品の固形外殻を発生させる。
この外殻は、内側に溶融物を接していて内側でより(外
側よりも)わずかに湿っている。高温の押出物は放置さ
れると、押出物の断面寸法(一般には約5mm〜約20mmの
断面範囲である)及び添加成分の影響にもよるが典型的
には約6時間ないし約96時間の時間にわたり、完全に結
晶化される。20mmより大きな断面寸法を有する押出成形
物については、より長い時間が必要とされることもあ
る。
実施例 以下の実施例は、本発明を例示する意図のものであ
り、本願発明の範囲を限定する意図のものではない。実
施例において、特に指示しない限り、材料等の量はある
いはそれらの比率は重量基準である。
実施例1 60ガロン(約273)容量のスチーム加熱、攪拌機付
きタンクに70%ソルビトール水溶液200部を入れた。攪
拌下に、タンクを25mmHgまで減圧し、そしてコンデンサ
ーに水が捕集されなくなるまで、120℃へ徐々に加熱し
た。その溶融物は0.3重量%未満の水を含んでいた。粉
末状のフェニルプロパノールアミン塩酸塩14部を攪拌下
108℃の溶融ソルビトールに徐々に添加した。25分間攪
拌後、溶融混合物の温度を140℃まで昇げ、その混合タ
ンクから容量形ポンプを介して、研究室用寸法の「Read
co」(商標)混合機へ計量した。この混合機は、直径2
インチ(5.08cm)の反射回転混合翼及び18インチ(45.7
cm)のバレル長を有するものであった。14〜17℃の冷却
水のジャケットを備えたその混合機に、200rpmの翼回転
速度での毎秒32ポンド(11.94kg)から126rpmの翼回転
速度での毎時51ポンド(19.02kg)までの範囲の速度で
上記混合物を供給した。混合機から排出される材料を0.
5インチ(1.27cm)オリフィスを介して、冷却された移
動ステアレス鋼ベルト上へ長いひも状に押出し、それを
1〜3インチ(2.54〜7.63cm)の範囲の長さに切断し
た。移動冷却ベルトから出て来る製品を貯蔵皿に入れて
乾燥雰囲気中で24時間にわたり室温で冷却し、次いで密
封容器に入れた。
5分、10分、15分及び20分の操作後に採取した試料
を、ワーリングブレンダーを用いて粉砕して粉末とし
た。この粉砕組成物をステンレス鋼スクリーンのセット
を通過させて、40メッシュ(米国ふるい系列)スクリー
ンを通過し100メッシュスクリーン上に保持される画分
(−40/+100カット分)を捕集した。各試料の粉末を、
各錠が10mgのフェニルプロパノールアミンHCl塩の計算
含量を有するようなタブレットとしたが、その際に、ま
ず0.5部のステアリン酸マグネシウムとV−ブレンダー
中で混合し、次いで5/8インチ(1.59cm)平坦面レベル
縁付きパンチを用いて「Key D 16」(商標)打錠プレス
で打錠した。3個のタブレットを各試料から無作為に抽
出し、クロマトグラフィ(HPLC)によってそれらのPPA
含量を分析した。この分析試験の結果を表1に示す。
上記のデータは、本発明の方法を採用することにより
達成されたフェニルプロパノールアミンHCl塩の均一分
散を示している。
実施例2 ソルビトールと粉末染料との共晶析 A.加熱プレート上で198〜205゜F(92〜96℃)に保持さ
れ0.5%未満の水分含量の溶融ソルビトール6000gに対し
て、「イエロー5」染料(ワーナー・ジェンキンソン)
1.2gを徐々に添加した。溶融ソルビトール中に浸けたプ
ロペラー攪拌機が溶融ソルビトール中に一個の渦巻きを
生じさせ、これが溶融ソルビトールへの粉末染料の均一
添加を促進助長した。染料は迅速に湿潤され、極めて均
一な色が溶融ソルビトールに付けられた。
染色された溶融ソルビトールを「Readco Sigma Blade
58」(商標)混合機に移した。この混合機には、溶融
ソルビトールを過冷却から守るために160゜F(71℃)の
水を循環させたジャケットが備えられた。混合機を始動
させて、30rpmの回転翼で溶融ソルビトールを攪拌し、
そのような冷却及び攪拌の効果として結晶化が開始する
ようにした。混合機の運転は、その結晶化しつつある染
色ソルビトールが「ドウ(パン生地)」状の粘稠物に変
化するまで続けた。この時点でそれを混合機から取り出
し、一晩周囲条件下〔72゜F(22℃)及び48%相対湿
度〕で充分に結晶化させた。
結晶化黄色ソルビトールは、12時間後に観察したとこ
ろ均一な着色であった。結晶化染色ポリオールを実験室
用造粒機を用いて粉砕し、−40/+120メッシュ粒度画分
とした。
この−40/+120メッシュ画分の染色(「イエロー
5」)ソルビトール3970gに対して、30gのステアリン酸
マグネシウムを加え、この染色ソルビトール/ステアリ
ン酸マグネシウム混合物を、V−ブレンダー中で3分間
混合し、取り出し、1/4インチ(0.635cm)平坦面ベベル
付き端部(FFBE)パンチを用いて、3.0トンの圧力で「S
tokes B−2」(商標)タブレットプレス機により打錠
した。タブレットを0分、5分、10分及び15分の間隔で
捕集したところ、それらの色は均一であると認められ
た。顆粒自体、プレス機の供給枠またはタブレット自体
における分離(色別れ)は認められなかった。もしその
ような色別れがあれば、まだらが認められよう。
B.3000gの溶融ソルビトールに対して0.6gの「イエロー
5」染料ならびに30gのシメチジンを添加した。染料及
びシメチジンの両者を、攪拌機によって作られた渦巻き
のところで溶融ソルビトールに添加した。攪拌は190゜F
(88℃)で10分間実施して、染料及び薬剤活性物質を全
体にわたって配合した。
上記実施例2Aに記載されているように、溶融物を結晶
化させ、−40/+120メッシュ画分に粉砕した。この粉砕
ソルビトール/シメチジン粉末992.5gに対して、ステア
リン酸マグネシウム7.5gを添加し、この混合物をV−ブ
レンダー中で3分間ブレンドし、「Stokes」プレス機で
3トンの圧力、1/4インチ(0.635cm)FFBEパンチを用い
て打錠し、プレス機で二つのステーションを用いて0.5g
のタブレットを作った。
運転経過0分、5分及び10分後に無作為に採取した試
料からタブレットを作った。それらのタブレットは色が
極めて均一であることが認められた。顆粒、供給枠また
はタブレットのいずれにおいても色別れは認められなか
った。
実施例3 フェニルプロパノールアミン塩酸塩/ソルビトール ジャケット付きステンレス鋼反応器を100℃に加熱
し、これに0.2%水分含量の溶融ソルビトールシロップ4
6.2部を加えた。その溶融ソルビトールに高剪断ミキサ
ーを入れて、充分な攪拌を与えて、渦巻きを生じさせる
と共に、ジャケットの温度制御をして、攪拌及び冷い周
囲空気の侵入による溶融物の「冷却」を相殺するように
した。早期すぎる結晶化を防ぐために110±10℃で安定
化させた溶融ソルビトールの温度で、フェニルプロパノ
ールアミン塩酸塩(PPH)(mp190〜194℃)と結晶性ソ
ルビトール(ガンマ多形体)粉末との1:1のブレンド7.6
部を渦巻きへ徐々に添加した。(そのブレンドは、PPH
が溶融ソルビトールに添加されるときに「浮遊」する傾
向があるので、ソルビトールへのPPHの分散速度を増大
するために予め乾式混合しあったものであった)。90rp
mで回転する攪拌機で110℃の温度でフェニルプロパノー
ルアミンの分散の安定化がなされたときに、さらに46.2
部の110℃の溶融ソルビトールを添加した。
一旦完全に分散されると、フェニルプロパノールアミ
ン塩酸塩の均一分散粒子を含む溶融ソルビトールメルト
を二重「シグマ」翼を備えたジャケット付き攪拌機に入
れ、ジャケットにスチーム/水混合物を流通させて90℃
まで徐々に冷却し、溶融物マグマが粘稠物にまで結晶化
するまで一定攪拌を維持した。この時点で、その粘稠物
を皿に移して、90℃のオーブン中に4時間、それが完全
に結晶化されるまで、維持した。この完全結晶化物の小
塊をワーリング・ブレンダー中で粉砕し、ステンレス鋼
スクリーンのセットでスクリーニングして、40メッシュ
(米国ふるい系列)を通過し、100メッシュスクリーン
上に保持される画分(−40/+100画分)を捕集した。得
られた粉末を分析したところ、3.8%のフェニルプロパ
ノールアミン塩酸塩を含んでいることが認められた。
実施例4 弗化ナトリウム/ソルビトール ステンレス鋼混合機中で110℃の温度に予め加熱して
あった95部の溶融ソルビトールに対して、5部の弗化ナ
トリウムを添加した。弗化ナトリウムは、溶融糖アルコ
ールに対して、高速、高剪断攪拌下に徐々に添加し、そ
の後さらに10分間混合した。この5%の弗化ナトリウム
を含む溶融物を、約75℃に加熱されたジャケット付き
「シグマ」翼混合機に移した。そのジャケットには熱水
が流通していた。溶融物を、30rpmで、それが部分的に
結晶化するまで約30分間混合機中で攪拌した。この部分
固化粘稠物を混合機から取り出し、皿の中に置いて100
℃の温度に24時間保持しつつ完全に結晶化させた。この
材料の試料を、実験室用ワーリングブレンダーで粉砕し
て、ふるい分けして−40/+100画分を捕集した。5%の
弗化ナトリウムを含む粉砕、ふるい分け材料をV−ブレ
ンダー中で3分間0.75%のステアリン酸マグネシウムと
混合し、このものを「Strokes B−2」ロータリープレ
ス機に供給した。このプレス機の5kgのストロング・コ
ップ硬度をもつ0.2gの重さの3/16インチ(0.48cm)凸面
タブレットを作るようにセットしてあった。パンチ表面
またはダイ側壁に対する粘付着は認められなかった。タ
ブレットは、白色、輝光、光沢表面及び平滑、優雅な地
肌を有した。
実施例5 シメチジン/ソルビトール 474部の無水ソルビトールを攪拌機付きで105℃に加熱
されたステンレス鋼反応器中で溶融した。この溶融ソル
ビトールを100rpmで攪拌して、渦巻きを生じさせ、25部
のシメチジン(mp141〜143℃)をその渦巻きに対して徐
々に加えて小塊化するのを防いだ。添加完了後、溶融物
をさらに10分間攪拌してから、熱水で90℃に加熱した
「シグマ」翼混合機へ移し、18rpmで攪拌した。1分間
の混合の後、1%の結晶性ソルビトール種子微細片(32
5メッシュ以下)を攪拌溶融物の表面上に徐々に添加し
て、溶融物中の結晶種子の均一な分散を達成して混合機
中での迅速な結晶化を開始するようにした。結晶化して
いる溶融化物が混合機中でドウ状の稠度となったとき
に、それを取り出して、皿の上に置き、押し拡げ、50℃
のオーブン中に10時間、それが完全に結晶化するまで置
いた。この結晶性材料を冷却し、その凝集体を実験室用
ワーリング・ブレンダーで粉砕し(中度の速度;5分
間)、次いでふるい分けして−40/+100メッシュ画分を
捕集した。
この材料のタブレットは、ふるい分け材料198gとステ
アリン酸マグネシウム2gとを3分間回転ジャー中で混合
し、「Strokes B−2」プレス機を用いて、0.3gの重量
及び5kgのストロング・コップ硬度を有し、5%のシン
チジンを含む均一タブレットを作った。これらのタブレ
ットは平滑な地肌を有し、口でかんだときに口中に刺激
を与えなかった。これと対照的に、シソチジンとソルビ
トール粉末とを乾式ブレンドし、これをタブレット化し
たものは非常ににがく、そして刺激的な後味を残した。
ダイス中やパンチ上での粘付着やピッキングの問題は
「Stokes」プレス機において生じなかった。
実施例6 イブプロフェン/ソルビトール 攪拌下に950部のソルビトールをステンレス鋼混合機
中で110℃に加熱し、次いで高速攪拌下に75℃まで徐々
に冷却し、この温度に維持した。50部のイブプロフェン
(mp75〜77℃)を渦巻きに極めてゆっくりと添加して、
均一に分散させた。10分間の混合の後、5%のイブプロ
フェンを含有する溶融物を「シグマ」翼混合機に移し、
温度を74℃に保持しつつ、攪拌を30r.p.mの速度で、混
合物が部分的に結晶化するまで20分間継続した。この部
分固化物を混合機から取り出し、皿の上に置いて50℃で
12時間維持しつつ十分に結晶化させた。この材料を冷却
し、粉砕し、ふるい分けして−40/+100の粒度分布の画
分を得た。
この微粉砕材料の99部をV−ブレンダー中で3分間ス
テアリン酸マグネシウム1部と混合し、この混合物を
「Strokes B−2」ロータリープレス機で打錠して、7kg
の「ストロング・コップ」硬度を有する重さ0.7gのバイ
セクト(二部分)タブレットを作った。これらのタブレ
ットは、口でかむときに平滑、優雅な口当りを示し、認
識できる粗粒を示さなかった。
10%のイブプロフェンを含むタブレットを、90部の溶
融ソルビトール/マンニトールと10部の活性物質とを75
℃で混合することにより同様な操作で作った。打錠プレ
ス機に粘付着やピッキングの問題は生じなかった。タブ
レットは平滑であり、口でかむことができたが、5%の
イブプロフェンを含むものよりはにが味が強かった。タ
ブレットは、純粋イブプロフェン粉末と結晶性ソルビト
ール粉末とを打錠することにより得られたタブレットよ
りも風味及び品質において著しく良好であった。
実施例7 フェニルプロパノールアミン塩酸塩(PPH) 50部のPPHを450部の溶融ソルビトールに直接に添加
し、実施例1に記載の方法により処理加工した。結晶化
製品を粉砕し、−20/+100メッシュスクリーンセットを
用いてふるい分けした。この材料の平均分析値は10重量
%活性成分(PPH)であった。
10±0.5%、5%及び2.5%の活性成分と「Crystallin
e Sorbitol 1162」(商標;ICIアメリカス社)とをブレ
ンドすることにより、タブレット製造用の処方物を作っ
た。5%活性成分タブレットと2.5%活性成分タブレッ
トは、純粋結晶性ソルビトールを10%活性成分の粉末に
所要の割合で稀釈混合することにより作り、また100部
当り0.5部のステアリン酸マグネシウムをV−ブレンダ
ー中で混合添加した。
上記3種の活性成分濃度のものを「key DC16」打錠プ
レス機で5/8インチ(1.59cm)平坦面ベベル縁付きパン
チを用いて打錠し3トンの圧力で1gの重量のタブレット
を作った。これらのタブレットは、ラミネーションまた
はギャッピングなしで製造し、平滑な地肌を有してい
た。タブレットは16〜18kgの硬度(ストロング・コッ
プ)及び0.2g未満の脆砕性を有した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−48908(JP,A) 特開 昭56−92758(JP,A) Journal of Pharma ceutical Sciences, 53(2),188−192, (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 47/26 A61K 9/68 CA(STN)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1種の単糖類または多糖類から
    誘導された結晶性糖アルコールの結晶マトリックス内に
    少なくとも1種の薬剤的に活性な化合物の粒子を均一に
    分散させてなる薬剤組成物。
  2. 【請求項2】糖アルコールがソルビトール、マンニトー
    ル、共晶析ソルビトール/マンニトール、キシリトー
    ル、マルチトール、ラクチトール、セロビトール及び水
    素化デンプン加水分解物からなる群より選択される請求
    項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】糖アルコールがソルビトールである請求項
    1記載の組成物。
  4. 【請求項4】糖アルコールが共晶析ソルビトール/マン
    ニトールである請求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】ソルビトールがそれを基準として約5〜約
    15重量%のマンニトールを含む請求項4記載の組成物。
  6. 【請求項6】薬剤的に活性な化合物が、アルカリ金属及
    びアルカリ土類金属の酸化物及び塩;鉄、マンガン、銅
    及び亜鉛の無機質補強剤;アスパルタミン;サッカリ
    ン;フェニルプロパノールアミンHCl塩;イブプロフェ
    ン;シメチジン;アテノロール;アセタミノフェン;及
    びアスピリン;からなる群より選択される請求項1記載
    の組成物。
  7. 【請求項7】錠剤の形態である請求項1記載の組成物。
  8. 【請求項8】チュウインガムの形態である請求項1記載
    の組成物。
  9. 【請求項9】(A) 少なくとも1種の単糖類または多
    糖類から誘導された糖アルコールを溶融し; (B) その溶融糖アルコール中に少なくとも1種の薬
    剤的に活性な物質の粒子を分散させて均質な混合物とな
    し; (C) その均質な溶融混合物を攪拌しつつ、粘稠物が
    生じるまで冷却し; そして、 (D) その粘稠物を、糖アルコールが充分に結晶化さ
    れる点まで徐々に冷却する; ことからなる、薬剤活性物質を均一に分散させた薬剤組
    成物の製法。
  10. 【請求項10】薬剤活性物質が溶融アルコール中で個々
    ばらばらの粒子としてとどまる請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】工程(B)において、薬剤活性物質を粉
    末状糖アルコールとのプレブレンドの形で添加する請求
    項10記載の方法。
  12. 【請求項12】薬剤活性物質を溶融アルコールに溶解さ
    せる請求項9記載の方法。
  13. 【請求項13】薬剤活性物質が溶融アルコール中で溶融
    する請求項9記載の方法。
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