JP3306973B2 - ポリスルホン多孔質膜の製造法 - Google Patents

ポリスルホン多孔質膜の製造法

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JP3306973B2
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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリスルホン多孔質膜
の製造法に関する。更に詳しくは、水透過性にすぐれた
分離膜として有効に用いられるポリスルホン多孔質膜の
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリスルホンを、ジメチルホルムアミ
ド、N-メチルピロリドン等を始めとする各種の良溶媒に
溶解させて得られる均一溶液をガラス板などの基質上に
流延した後、水性凝固浴中に浸漬することによって得ら
れるポリスルホン多孔質膜は、ポリスルホンが疎水性の
ため、一般に水透過性が悪いという欠点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
スルホンをジメチルスルホキシドに溶解させた溶液を基
質上に流延した後、水性凝固浴中に浸漬して得られるポ
リスルホン多孔質膜であって、水透過性にすぐれたもの
を製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
ポリスルホンを9〜35重量%の濃度で50℃以上の温度で加
熱溶解させたジメチルスルホキシド溶液を、50℃以上の
加熱環境下で、50℃以上に加熱された基質上に流延した
後、水性凝固浴中に浸漬し、ポリスルホン多孔質膜を製
造することによって達成される。
【0005】ジメチルスルホキシドに溶解させるポリス
ルホンの濃度は、製膜が可能な9重量%から撹拌混合が可
能な35重量%の範囲内に限定され、一般には約10〜28重
量%の範囲の濃度で用いられる。この溶解は、50℃以上
の温度に加熱することにより行われる。
【0006】このような濃度のポリスルホンジメチルス
ルホキシド溶液は、50℃以上の加熱環境下で、50℃以上
に加熱された基質上に流延される。基質としては、ガラ
ス板、金属板、この溶媒に不活性なプラスチックシート
などが用いられ、これらの基質は流延前に50℃以上に加
熱されていなければならない。また、基質の温度を50℃
以上に保つ上からも、周囲の雰囲気、一般には大気も50
℃以上の加熱環境下とされなければならない。
【0007】 この基質の加熱温度範囲は、ポリスルホ
ン溶液が均一な一相を形成し得る限界温度から、ポリス
ルホン溶液が変質しない温度(150℃より低い温度)
の範囲であるが、この温度範囲はポリスルホン溶液の濃
度によっても変化する。即ち、一般に室温下で流延が行
われた同一の分画分子量を有するポリスルホン多孔質膜
と比較して、水透過性の上昇がみられたか否かを詳細に
検討すると、ポリスルホン濃度が高い程基質温度を低く
設定することができ、濃度30重量%以上では50℃以
上であり、濃度29〜24重量%では60℃以上であ
り、濃度23〜17重量%では70℃以上であり、濃度
16〜13重量%では80℃以上であり、濃度9〜12
重量%では90℃以上で水透過性の向上がみられた。
【0008】このような加熱条件下での流延を行った
後、直ちに用いられた基質の加熱温度以下の温度に設定
された水性凝固浴、一般には水凝固浴への浸漬が行わ
れ、ポリスルホン多孔質膜を形成させる。
【0009】
【発明の効果】ポリスルホンのジメチルスルホキシド溶
液を加熱条件下で流延し、凝固させることにより、得ら
れるポリスルホン多孔質膜の水透過性を格段と向上させ
ることができる。従って、本発明に係るポリスルホン多
孔質膜は、精密ロ過膜、限外ロ過膜などの分離膜として
有効に用いることができる。
【0010】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0011】実施例1 ポリスルホンをジメチルスルホキシド中に加え、100℃
で加熱溶解させて、濃度16重量%の均一なポリスルホン
溶液を調製した。このポリスルホン溶液を、80℃の加熱
大気中で、80℃に加熱されたガラス板上に流延し、その
後直ちに23℃の水凝固浴中に浸漬して、ポリスルホン多
孔質膜(膜厚100μm)を得た。
【0012】このポリスルホン多孔質膜について、印加
圧1kg/cm2で純水ならびにポリエチレングリコール水溶
液による透過試験を行い、純水透過流束および分画分子
量を測定すると、それぞれ0.62(ml/分・cm2)および5500
0という値が得られた。
【0013】比較例1 ポリスルホンをジメチルホルムアミド中に加え、80℃で
加熱溶解させた後徐冷して、濃度17.5重量%の均一なポ
リスルホン溶液を調製した。このポリスルホン溶液を、
25℃の大気中で、25℃のガラス基板上に流延し、その後
直ちに25℃の水凝固浴中に浸漬して、ポリスルホン多孔
質膜(膜厚70μm)を得た。
【0014】このポリスルホン多孔質膜の純水透過流束
は0.049(ml/分・cm2)で、分画分子量は55000であった。
【0015】実施例2 実施例1において、ポリスルホンのジメチルスルホキシ
ド溶液の濃度を20重量%に変更した。得られたポリスル
ホン多孔質膜(膜厚105μm)の純水透過流束は0.33(ml/分
・cm2)で、分画分子量は20000であった。
【0016】比較例2 比較例1において、ポリスルホンのジメチルホルムアミ
ド溶液の濃度を19重量%に変更した。得られたポリスル
ホン多孔質膜(膜厚80μm)の純水透過流束は0.021(ml/分
・cm2)で、分画分子量は20000であった。
【0017】上記実施例1-比較例1および実施例2-比
較例2の対比結果から、分画分子量がそれぞれ同じポリ
スルホン多孔質膜ではあっても、実施例1では約13倍、
また実施例2では約16倍の水透過性の向上が認められ
た。
【0018】実施例3 実施例1において、水凝固浴として温度50℃のものを用
いると、純水透過流束が1.2(ml/分・cm2)、ポリエチレ
ングリコールの分画分子量が80000のポリスルホン多孔
質膜が得られた。
【0019】この純水透過流束は、ポリスルホンのジメ
チルホルムアミド溶液から得られた、ポリエチレングリ
コールの分画分子量が80000のポリスルホン多孔質膜の
純水透過流束0.15(ml/分・cm2)に対して、8倍の水透過
性を示している。
【0020】実施例4 実施例1において、水凝固浴として温度5℃のものを用
いると、純水透過流束が1.7(ml/分・cm2)、ポリエチレ
ングリコールの分画分子量が90000のポリスルホン多孔
質膜が得られた。
【0021】この純水透過流束は、ポリスルホンのジメ
チルホルムアミド溶液から得られた、ポリエチレングリ
コールの分画分子量が90000のポリスルホン多孔質膜の
純水透過流束0.25(ml/分・cm2)に対して、7倍の水透過
性を示している。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリスルホンを9〜35重量%の濃度で50℃
    以上の温度で加熱溶解させたジメチルスルホキシド溶液
    を、50℃以上の加熱環境下で、50℃以上に加熱された基
    質上に流延した後、水性凝固浴中に浸漬することを特徴
    とするポリスルホン多孔質膜の製造法。
  2. 【請求項2】 浸漬が、用いられた基質の加熱温度以下
    の温度に設定された水性凝固浴中で行われることを特徴
    とする請求項1記載のポリスルホン多孔質膜の製造法。
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