JP3306588B2 - 緩衝式防護柵、その構築方法及びそれのためのクッション材 - Google Patents

緩衝式防護柵、その構築方法及びそれのためのクッション材

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JP3306588B2
JP3306588B2 JP21767599A JP21767599A JP3306588B2 JP 3306588 B2 JP3306588 B2 JP 3306588B2 JP 21767599 A JP21767599 A JP 21767599A JP 21767599 A JP21767599 A JP 21767599A JP 3306588 B2 JP3306588 B2 JP 3306588B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の走行方向に
沿って路面に連続して設置される防護柵に関し、より詳
しくは、車両衝突時の衝撃力を吸収して緩和するクッシ
ョン材が、上下に二分した躯体間と下部躯体の下部に設
けられてなる緩衝式防護柵、その構築方法及びそれのた
めのクッション材に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、道路の路側や中央分離帯には防護
柵を敷設し、車両が路側を越えて道路外に逸脱したり、
中央分離帯を越えて対向車線に突入することを防止して
いる。従来、上記目的で敷設される剛性防護柵(主に、
コンクリート製)は、端面形状において、下部両側を下
方漸開状の緩やかな傾斜面に形成し、該緩やかな傾斜面
に連設せる上部両側を急傾斜面になすとともに、その長
さを長尺化してなる所謂ニュージャージー型(NJ型)
やフロリダ型(F型)といったものがあり、かかる剛性
防護柵は、地盤面に設けられた基礎コンクリートと一体
化して敷設されている。このような従来の防護柵にあっ
ては、剛性の壁体が地盤面から一体的に起立することと
なるから、該防護柵に車両が衝突した際には衝撃力が衝
突点に集中荷重として作用する。従って、衝撃力が非常
に大きくなり、車両の破損が著しく、又、人命も危ぶま
れるとともに、車両やコンクリートの破片が車道上に飛
散し、他の車両の交通を阻害して二次事故を引き起こす
という問題点を有していた。
【0003】そこで、このような不都合を解消するもの
として、実公平5−10013号公報には、コンクリー
ト壁高欄を地表部に設置される下部コンクリート壁体
と、該下部コンクリート壁体の頂部に重ねられる上部コ
ンクリート壁体とに分離し、両壁体との間に均一の厚み
を呈するクッション材がその対向面の全面にわたって設
けられるとともに、対向面の中央部に下部及び上部コン
クリート壁体を連結する金属部材が設けられてなるもの
が提案されている。又、特開平10−110413号公
報には、底面側の長手方向(車両走行方向)にわたって
半円状の凹部を設けて、その両側部を脚部となす棚本体
と、該棚本体が設置される路面側には、上面の長手方向
にわたって前記凹部と係合する半円状の凸部が形成され
た支持部が表されてなる。そして、棚本体の設置にあた
っては、前記凹部と凸部を互いに係合させるとともに、
棚本体の両脚部と支持部間に形成される隙間に緩衝材を
長手方向にわたって設ける緩衝式コンクリート防護柵が
提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記前
者のコンクリート壁高欄にあっては、下部コンクリート
壁体と上部コンクリート壁体との間に均一厚みをなすク
ッション材が対向面の全面にわたって施されてなるが、
該クッション材が車両衝突時の衝撃を受けて傾倒する上
部コンクリート壁体を効果的に受承する部位は、コンク
リート壁体の幅方向の端部付近のみであって、その余幅
方向の中央部付近に位置するクッション材が有効に作用
しない。また、幅方向の中央部で両壁体を連結する構造
から、上部コンクリート壁体の傾倒時には、その端部側
程対向面間の離隔距離が大きくなるにも拘らず、前記の
如き均一厚みに形成されたクッション材では、端部にお
ける変形度合いが不足して車両衝突による衝撃力を吸収
仕切れず、上部コンクリート壁体が傾倒しすぎて下部コ
ンクリート壁体と当接し、延いては転倒するという恐れ
があった。次いで、上記後者の防護柵にあっては、柵本
体の凹部と支持部の凸部とが面接触した状態で凹凸係合
されているため、車両衝突時の衝撃力が小さい場合に柵
本体の重量及び面接触状態での摩擦抵抗が大きくなって
柵本体が回動しない時があり、この時には従来の剛性防
護柵と同様に衝突による衝撃力が緩和されない。一方、
衝撃力により柵本体が回動してその脚部が支持部の上面
に達した時点(公報図2参照)から更に衝撃力が作用し
て棚本体が回動しようとすると、該回動を阻止できずに
柵本体が転倒する危険性がある。而して、前記転倒を阻
止すべく柵本体の両脚部をアンカーボルトにより保持す
る方法が提案されているが、両脚部を保持すると、前記
凹部と凸部の摩擦抵抗が大きいことと相まって柵本体の
動作が鈍くなり、その結果、車両衝突時の衝撃力緩和能
力に劣るという問題点を有していた。
【0005】本発明は、上記の如き従来の問題点に鑑み
てなされたもので、クッション材を具備する剛性の防護
柵にあって、クッション材の形態及び配置を適正化する
ことで、車両衝突時の衝撃力の緩和能力に優れて衝突車
両の損傷及びドライバーの負傷を軽微に止どめるととも
に、衝突車両退避後の原状復帰能力に富む安全性が高い
緩衝式防護柵とその構築方法を提供することを課題とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明の請求項1記載の緩衝式防護柵1
は、車両走行側に位置する上部躯体2及び下部躯体3の
側壁を対車壁面17となし車両の走行方向に沿って路面
に設置される防護柵が、前記上、下部躯体2、3の界面
2a、3a間に介在する中間クッション材4と、下部躯
体3の下部に設けられる下部クッション材21とからな
ることを特徴とするものである。上記構成からなる緩衝
式防護柵1を基礎コンクリート11上に多数個設置し、
且つ車両の走行方向に沿って連設した道路にあっては、
車両のタイヤ等が誤って前記下部躯体3の対車壁面17
に接触すると、その衝撃力により下部躯体3が車両接触
側と反対側に傾倒し、その下部に設けた下部クッション
材21が基礎コンクリート11間にあって圧縮されるこ
とで弾性変形を起こして縮む。又、衝突の度合いが激し
く、その車両が緩衝式防護柵1の上位に至って上部躯体
2の対車壁面17に衝突すると、その衝撃を受けた上部
躯体2が車両衝突側と反対側に傾倒し、上、下部躯体
2、3の界面2a、3a間に介在された中間クッション
材4が圧縮されることで弾性変形を起こして縮む。従っ
て、かかる緩衝式防護柵1にあっては、上、下部躯体
2、3間に介在せる中間クッション材4並びに下部躯体
3の下部に設けられる下部クッション材21の弾性変形
作用によって車両衝突時の衝撃力が二重に吸収、緩和さ
れて衝突車両の損傷やドライバーの負傷を未然に防止す
るとともに、衝撃力が退避した後には、前記圧縮変形せ
る中間クッション材4及び下部クッション材21の弾性
反発力により、傾倒せる上、下部躯体2、3を車両衝突
側へ押し戻し、原状に起立せしめて交通の安全を確保す
ることができる。
【0007】本発明の緩衝式防護柵1は、請求項2記載
の如く、請求項1記載の緩衝式防護柵1における界面2
a、3a間及び/又は底部20と基礎コンクリート11
間に支持部30が設けられてなることを特徴とするもの
である。かかる構成からなる緩衝式防護柵1にあって
は、上部躯体2又は防護柵全体の自重が支持部30によ
り支持されてなるため、常時においては中間クッション
材4又は下部クッション材21への載荷が少なくなって
弾性体からなる中間クッション材4又は下部クッション
材21の疲労、劣化が未然に防止されるとともに、車両
衝突時においては支持部30と界面2a、3a、底部2
0若しくは基礎コンクリート11との当接部を支点とし
た回動可能な構造によって、上部躯体2又は下部躯体3
を側壁方向へより動き易くすることができる。
【0008】本発明の緩衝式防護柵1は、請求項3記載
の如く、請求項1又は2記載の緩衝式防護柵1における
中間クッション材4及び/又は下部クッション材21を
側壁方向の側部に向けて漸開させてなることを特徴とす
るものである。かかる構成からなる緩衝式防護柵1にあ
っては、衝撃力を受けて傾倒する上部躯体2又は下部躯
体3によって大きな圧縮力が作用する中間クッション材
4又は下部クッション材21の端部4c、21cの肉厚
が中央部付近より分厚く形成されてなるから、大なる衝
撃力に対してもその端部4c、21cが挫滅することな
く縮んで衝撃力を吸収、緩和するとともに、その反発力
も大きくなって短時間のうちに上部躯体2又は下部躯体
3を原状に復帰させることができる。
【0009】本発明の緩衝式防護柵1は、請求項4記載
の如く、請求項1乃至3の何れかに記載の緩衝式防護柵
1における界面2a、3aの少なくとも一方及び/又は
下部躯体3の底部20が凸状の屈曲面又は曲線面に形成
され、これに添うべく中間クッション材4の上下面の少
なくとも一方及び/又は下部クッション材21の上面が
凹状の屈曲面又は曲線面に形成されてなることを特徴と
するものである。かかる構成からなる緩衝式防護柵1に
あっては、界面2a、3aの凸状を呈する面形状によっ
て上部躯体2が、又、底部20の凸状を呈する面形状に
よって下部躯体3が側壁方向へ揺れ動き易くなるととも
に、中間クッション材4及び下部クッション材21の側
壁方向、即ち、対車壁面17側から作用する衝撃力によ
り上部躯体2又は下部躯体3が傾倒して大なる圧縮力が
作用する端部4c、21c側程、その厚みが分厚く形成
されてなるから、対車壁面17に作用する大なる衝撃力
に対しても中間クッション材4及び下部クッション材2
1が挫滅することなく縮んで衝撃力を効率的に吸収、緩
和し、又、その反発力も大きくなってより短時間のうち
に上部躯体2又は下部躯体3を原状に復帰させることが
できる。
【0010】本発明の緩衝式防護柵1は、請求項5記載
の如く、請求項1乃至4の何れかに記載の緩衝式防護柵
1における下部クッション材21が端面視略L型に形成
され、底部20の両側に設けられてなることを特徴とす
るものである。又、本発明の緩衝式防護柵1は、請求項
6記載の如く、請求項1乃至4の何れかに記載の緩衝式
防護柵1における下部クッション材21の端面形状が略
凹型又は略L型であることを特徴とするものである。か
かる構成からなる緩衝式防護柵1にあっては、略L型又
は略凹型をなす下部クッション材21の立上部21aが
傾倒による圧縮力を大きく受ける下部躯体3の底部20
の端部にあり、且つその立上部21aが下部躯体3の側
壁部3dと路盤を構成する路材rとの間に位置するた
め、車両衝突時に下部躯体3が傾倒する際の側壁部3d
と路材rとの接触を回避してその傾倒及び原状復帰をス
ムーズに行わせることができる。尚、略L型でその両側
に設けられる下部クッション材21は、底部20の側壁
方向中央部の部位が割愛されるため、底部20の中央部
における基礎コンクリート11との接触が回避されると
ともに、使用材料が軽減して安価な防護柵となすことが
できる。
【0011】本発明の緩衝式防護柵1は、請求項7記載
の如く、請求項1乃至6の何れかに記載の緩衝式防護柵
1における対車壁面17の一方が直面18に形成され、
端面視略L字状に形成されてなることを特徴とするもの
である。かかる構成からなる緩衝式防護柵1によれば、
対車壁面17側を車道となし、且つ他方直面18側を歩
道や自転車道等となすことが可能で、道路の路側におけ
る交通の安全をも確保することができる。
【0012】本発明の緩衝式防護柵1は、請求項8記載
の如く、請求項7記載における緩衝式防護柵1を離隔し
て並列させ、且つその直面18を対向させることで形成
される直面18間の空所16内に土壌22を充填してな
ることを特徴とするものである。かかる構成からなる緩
衝式防護柵1によれば、前記中間クッション材4及び下
部クッション材21による衝撃力の吸収、緩和作用に加
えて、上、下部躯体2、3の背面にあって充填土壌22
が衝撃力を受承して吸収するから、衝突車両に対する耐
力が更に向上するとともに、土壌22面に植樹を施すと
グリーンベルトを有する防護柵が形成され、その緑がド
ライバーの目の疲れを和らげる作用をも奏する。
【0013】本発明の緩衝式防護柵1は、請求項9記載
の如く、請求項7又は8記載の緩衝式防護柵1における
直面18に保水材23及び/又は断熱材24を設けてな
ることを特徴とするものである。かかる構成からなる緩
衝式防護柵1によれば、直面18側に充填された土壌2
2が保水材23によって適度な含水状態に保たれ、又、
日光や排気ガスを浴びて高温化した上、下部躯体2、3
からの伝導熱が断熱材24によって遮断され、その乾燥
が防止されるために、充填土壌22を植生繁茂に好適な
状態に常時維持することが可能となる。
【0014】本発明の緩衝式防護柵1は、請求項10記
載の如く、請求項1乃至9の何れかに記載の緩衝式防護
柵1における中間クッション材4及び/又は下部クッシ
ョン材21の略中央部が断続してなることを特徴とする
ものである。かかる構成からなる緩衝式防護柵1によれ
ば、中間クッション材4及び/又は下部クッション材2
1の略中央部を断続させることで、その平面形状が夫々
略梯子状を呈するから、中間クッション材4にあっては
上、下部躯体2、3の界面2a、3a間における略中央
部に空所16を形成し、中間クッション材4と界面2
a、3a相互間の接触面積及び抵抗を少なくして上部躯
体2を、又、下部クッション材21にあっては基礎コン
クリート11と下部躯体3の底部20間における略中央
部に空所16を形成し、下部クッション材21と底部2
0間の接触面積及び抵抗を少なくすることで下部躯体3
をより傾倒し易くするものである。
【0015】本発明の緩衝式防護柵1は、請求項11記
載の如く、請求項1乃至10の何れかに記載の緩衝式防
護柵1における中間クッション材4及び/又は下部クッ
ション材21が車両走行方向に断続してなることを特徴
とするものである。かかる構成からなる緩衝式防護柵1
にあっては、断続せる中間クッション材4により上、下
部躯体2、3の界面2a、3a間に空所16が形成さ
れ、防護柵によって区画された車線間が断続的に連通す
るから、走行車両が発する騒音や排気ガスが前記空所1
6内を透過し、滞留せずに消音、拡散することで道路環
境が保全され、又、断続せる下部クッション材21によ
り下部躯体3の底部20と基礎コンクリート11との間
にも空所16が形成され、防護柵によって区画された道
路面Rが断続的に連続するから、道路敷における表面水
の集排水に好適であるとともに、中間クッション材4及
び下部クッション材21の使用量が減少して一連の防護
柵を安価に構成することができる。
【0016】本発明の緩衝式防護柵1は、請求項12記
載の如く、請求項1乃至11の何れかに記載の緩衝式防
護柵1には、上、下部躯体2、3を連結する連結部材7
a及び/又は底部20の少なくとも一部と基礎コンクリ
ート11を連結する連結部材7b、或いは下部躯体3を
通し上部躯体2と基礎コンクリート11を連結する連結
部材7cが設けられてなることを特徴とするものであ
る。かかる構成からなる緩衝式防護柵1にあっては、連
結部材7a、7b、又は7cの弾性及び靱性力により、
中間クッション材4及び下部クッション材21による衝
撃力の吸収、緩和並びに上、下部躯体2、3の原状復帰
作用を助勢し、且つ極度な衝撃力に対しても連結部材7
a、7b、又は7cの強靱な締結力により上部躯体2、
下部躯体3及び基礎コンクリート11が夫々一体化して
上部躯体2若しくは下部躯体3の移動や転倒を阻止する
ことができる。
【0017】本発明の緩衝式防護柵1は、請求項13記
載の如く、請求項1乃至12の何れかに記載の緩衝式防
護柵1における中間クッション材4が、上、下部躯体
2、3のそれぞれの界面2a、3aに、又、下部クッシ
ョン材21が下部躯体3の側壁部3d及び/又は底部2
0に固着されてなることを特徴とするものである。かか
る構成からなる緩衝式防護柵1にあっては、上部躯体2
の傾倒により車両衝突時の衝撃力を吸収した片側の中間
クッション材4が界面2a、3a間において圧縮による
弾性変形を起こして縮んでいる時、これとは反対側の中
間クッション材4が前記界面2a、3aに固着されてい
ることにより、該界面間で伸び変形を起こすと同時に上
部躯体2を下部躯体3側へ引き戻す引張り作用を奏す
る。又、下部クッション材21の下面と基礎コンクリー
ト11の上面とを固着して設置すると、下部躯体3の傾
倒により車両衝突時の衝撃力を吸収した片側の下部クッ
ション材21が側壁部3d及び/又は底部20と基礎コ
ンクリート11の界面間にあって圧縮による弾性変形を
起こして縮んでいる時、これとは反対側の下部クッショ
ン材21が前記界面に固着されていることにより、該界
面間で伸び変形を起こすと同時に下部躯体3を基礎コン
クリート11側へ引き戻す引張り作用を奏する。従っ
て、衝撃力が退避した後には前記中間クッション材4及
び下部クッション材21の引張り作用と圧縮による反発
作用とが左右交互に繰り返される。即ち、その下部と中
間部において二重の緩衝体が形成されることとなり、
上、下部躯体2、3の過度な傾倒を防止するとともに、
バネ的効果を奏して短時間のうちに防護柵全体を原状に
復帰させることができる。
【0018】本発明の緩衝式防護柵1は、請求項14記
載の如く、請求項7乃至9の何れかに記載の緩衝式防護
柵1における直面18の下部又は底部20の全幅を直面
18側に向けて直線状又は屈曲線状又は曲線状の上向面
20aに形成するとともに、下部クッション材21の一
側の上面が前記上向面20aに添うべく、直面18側に
漸開してなることを特徴とするものである。かかる構成
からなる緩衝式防護柵1にあっては、下部クッション材
21の直面18側、即ち、対車壁面17側から作用する
衝撃力により下部躯体3が傾倒して大なる圧縮力が作用
する部位側程、その厚みが分厚く形成されているから、
対車壁面17側からの大なる衝撃力に対しても下部クッ
ション材21が挫滅することなく縮んで衝撃力を吸収、
緩和し、又、その反発力も大きくなってより短時間のう
ちに防護柵を原状に復帰させることができる。
【0019】本発明の請求項15記載の緩衝式防護柵の
構築方法は、車両走行側に位置する上部躯体2及び下部
躯体3の側壁を対車壁面17となし、車両の走行方向に
沿って路面に設置される防護柵にあって、前記上、下部
躯体2、3の界面2a、3a間に中間クッション材4を
介在させ、且つ下部躯体3の下部に下部クッション材2
1を設けて基礎コンクリート11と連結することを特徴
とするものである。かかる構築方法によれば、緩衝式防
護柵1は中間クッション材4を具備するとともに、下部
クッション材21を介して基礎コンクリート11と一体
的に連結されてなるため、車両衝突時の衝撃力を上部躯
体2又は下部躯体3が傾倒することで、界面2a、3a
間又は下部躯体3と基礎コンクリート11との間におい
て弾性変形して縮む中間クッション材4又は下部クッシ
ョン材21によって吸収、緩和し、且つ衝撃力が退避し
た後には、前記圧縮せる中間クッション材4又は下部ク
ッション材21の弾性反発力によって上、下部躯体2、
3を原状の起立状態に復帰させることが可能となる。よ
って、衝突車両の損傷やドライバーの負傷、並びに二次
事故が未然に防止される一連の緩衝式防護柵を車両走行
方向に沿って構築することができる。
【0020】本発明の請求項16記載の緩衝式防護柵用
のクッション材は、防護柵を構成する上、下部躯体2、
3の界面2a、3a間に介在される中間クッション材4
並びに下部躯体3の底部20と基礎コンクリート11間
に介在される下部クッション材21であって、該中間ク
ッション材4及び下部クッション材21が多孔質に形成
されてなることを特徴とするものである。かかる中間ク
ッション材4及び下部クッション材21によれば、それ
自体の硬度が低くなることで弾性変形を起こす度合いが
大きくなって衝撃力の緩衝能力が向上する上に、透水、
断熱、吸音、浄化等の機能が付加されてなり、該中間ク
ッション材4及び下部クッション材21を有する緩衝式
防護柵1の多様化が図れることとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施形態につい
て、図面を参酌しつつ説明する。1は、図1(イ)乃至
(ハ)に示す如く、本発明の第一実施形態に係る緩衝式
防護柵であり、以下、該緩衝式防護柵1の長さ方向(同
図(イ)、(ロ)における左右方向)を道路方向、又、
両側面間にわたる方向(同図(ハ)における左右方向)
を側壁方向という。前記緩衝式防護柵1は、剛性体(主
に、コンクリート製)からなる上部躯体2及び下部躯体
3と、該上、下部躯体2、3間に介在する中間クッショ
ン材4および下部躯体3の下部に設けられる下部クッシ
ョン材21とから構成され、上、下部躯体2、3の側壁
方向に位置する側面を対車壁面17となして車両の走行
方向(道路方向)に沿い、且つ、その両端における接続
壁8相互間にも端面用のクッション材4”を介在して道
路面Rに帯状に敷設されてなる。ここで、上部躯体2の
対車壁面17は、上方で少許漸縮する急傾斜面に形成さ
れるとともに、その底部をなす界面2aが凸状の屈曲面
に形成され、又、下部躯体3の対車壁面17は、下方漸
開状の緩やかな傾斜面に形成され、且つその上面をなす
界面3aが平坦面に、底部20が凸状の屈曲面に形成さ
れてなる。又、前記中間クッション材4及び下部クッシ
ョン材21は、夫々弾性体からなるとともに、図3
(イ)乃至(ニ)に示す如く、全体が帯状で前記界面2
a又は底部20の突設せる屈曲面に添うべく、その上面
を凹状の屈曲面に形成することで夫々端部4c、21c
側に向けて漸開状に形成されてなる。そして、上記中間
クッション材4が上、下部躯体2、3の界面2a、3a
に、又、下部クッション材21が下部躯体3の底部20
に夫々固着されることで、四者が一体的に連結されてな
る。而して、上記中間クッション材4及び下部クッショ
ン材21としては、例えばゴム製品や廃タイヤ、再生タ
イヤの生産工程で発生する廃加硫ゴムを原料とするゴム
チップと末端イソシアネート基を有するポリウレタンプ
レポリマーのバインダーとを配合して得られる再生ゴム
配合物、その他合成樹脂製品等の弾性変形するものが挙
げられる。
【0022】又、前記実施形態に係る緩衝式防護柵1の
敷設状態は、下部躯体3の底部20に固着せる下部クッ
ション材21の下面を基礎コンクリート11の上面に固
着することで緩衝式防護柵1と基礎コンクリート11と
が一体的に連結され、且つ基礎コンクリート11の上端
に道路面Rが位置してなる。
【0023】次に、当該緩衝式防護柵1に車両が衝突
し、衝撃力Fが上、下部躯体2、3の対車壁面17に作
用するときの動作を図2(イ)乃至(ホ)に基づいて説
明する。図1(ハ)の状態から車両のタイヤ等が接触す
ることで衝撃力Fを左側の対車壁面17に受けた下部躯
体3は(衝突位置が低い場合)、図2(イ)及び(ニ)
に示す如き右側へ傾倒した状態となり、基礎コンクリー
ト11と底部20との間にある下部クッション材21の
右側部が圧縮による弾性変形を起こして縮み、該弾性変
形に伴い反発力Paを生じせしめて下部躯体3を左側へ
押し返そうとする。この時下部クッション材21の上下
面が底部20及び基礎コンクリート11に固着されるこ
とで、これとは反対側、即ち、下部クッション材21の
左側部には伸び変形に伴う引張力Ptが作用して下部躯
体3を基礎コンクリート11側へ引き戻そうとする。
又、衝撃力Fの作用位置が高い場合は、図2(ロ)及び
(ホ)に示すとおり、上部躯体2が右側へ傾倒した状態
となり、界面2a、3a間における中間クッション材4
の右側部が圧縮による弾性変形を起こして縮み、該弾性
変形に伴い反発力Paを生じせしめて上部躯体2を左側
へ押し返そうとする。この時、中間クッション材4が夫
々の界面2a、3aに固着されることで、これとは反対
側、即ち、中間クッション材4の左側部には伸び変形に
伴う引張力Ptが作用して上部躯体2を下部躯体3側へ
引き戻そうとする。この状態から更に衝撃力Fが作用す
ると、下部躯体3も図2(ハ)及び(ニ)に示す如き右
側へ傾倒した状態となり、下部クッション材21にも弾
性変形が生じて反発力Pa及び引張力Ptが作用する
(前述のとおり)。従って、衝突直後には中間クッショ
ン材4及び下部クッション材21の右側部が圧縮変形
し、衝撃力Fを吸収して緩和するとともに、その左側部
が伸び変形して上、下部躯体2、3の過度な傾倒を防止
する。即ち、防護柵の下部と中間部において二重の緩衝
体が形成されることとなり、且つ衝撃力Fが退避した後
には、前記圧縮変形に伴う反発力Pa並びに伸び変形に
伴う引張力Ptによって上、下部躯体2、3が左側に押
し又は引っ張り戻される(図2各図と対称図形:図示せ
ず)という反発及び引っ張り運動を中間クッション材4
及び下部クッション材21の両側部が繰り返すことによ
って、上、下部躯体2、3を短時間のうちに衝突前の状
態に復帰させる。当該上、下部躯体2、3にあっては、
その界面2a及び底部20が凸状の屈曲面に形成される
ことで、衝撃力Fに対し側壁方向へ揺れ動き易く、又、
該屈曲面に添って設けられる凹状で両側が漸開状の中間
クッション材4及び下部クッション材21にあっては、
端部4c、21c側程その厚みが分厚くなるので、圧縮
及び引っ張りによる弾性変形量も大きくなって、前記衝
撃力の吸収、緩和並びに上、下部躯体2、3の原状復帰
が効率的に行われる。尚、図1(イ)及び(ロ)におい
て接続壁8相互間に設けた端面用のクッション材4”
は、衝撃力を受けた緩衝式防護柵1と隣接せる緩衝式防
護柵1に伝達しようとする衝撃力を吸収して減衰させる
から、一連の防護柵としての安全性を向上させることが
できる。
【0024】図(イ)乃至(ニ)は、第一実施形態に
係る緩衝式防護柵の他実施形態を示し、該緩衝式防護柵
1は、上部躯体2の対車壁面17の上端面には側壁方向
へ突出する略半円形の膨出部13が各々設けられ、界面
2aが平坦な水平面に形成されるとともに、下部躯体3
の界面3aが凸状の屈曲面に、又、底部20が凸状の曲
線面に形成され、且つ上、下部躯体2、3の対車壁面1
7における各屈折部が弧状に連設されて全体に丸みを帯
びた外観を呈する。又、中間クッション材4は、上記界
面2a、3a間にあって、前記界面3aの屈曲面に添う
べく、その下面が凹状の屈曲面をなすことで端部4c側
が漸開状に形成されてなり、且つ下部クッション材21
、その上面を前記底部20の曲線面に添う曲線面とな
し、その両端部に立上部21aを設けた略凹型に形成さ
れて下部躯体3の底部20全幅を覆い、且つ両側壁部3
dを挟み込んで一体的に固着されてなる。更に、基礎コ
ンクリート11上には、上記下部クッション材21の
面が固着されることで、上、下部躯体2、3、中間クッ
ション材4、下部クッション材21及び基礎コンクリー
ト11の五者が一体的に連結されてなる。
【0025】上記緩衝式防護柵1にあっては、下部躯体
3の対車壁面17に衝撃力を受けた際、下部躯体3の底
部20とこれに添う下部クッション材21の上面が曲線
面に形成されて左右に揺れ動き易く、又、両側壁部3d
と路材r間にも下部クッション材21の立上部21aが
位置することで、側壁部3dと路材rとの接触が回避さ
れて、下部躯体3の傾倒並びに反発復帰がよりスムーズ
に行われるという特徴を有する。
【0026】また、下部クッション材21を底部20、
側壁部3d及び基礎コンクリート11の上面、即ち、夫
々の界面に固着してなるため、図(ニ)に示すよう
に、衝撃力を受けた下部躯体3が左側に傾倒して左側の
下部クッション材21が圧縮による弾性変形を起こして
縮み、反発力Paを生じせしめている時、これとは反対
側、即ち、右側の下部クッション材21は、夫々の界面
に固着されることで伸びると同時に引張力Ptが作用し
て下部躯体3を基礎コンクリート11側へ引き戻そうと
するから、下部躯体3の過度な傾倒が防止され、且つ衝
撃力が退避した後には、この反発及び引張り運動が前記
曲線状をなす界面の形状に助勢されて左右交互に、且つ
スムーズに繰り返されることによって、より短時間のう
ちに下部躯体3を原状に復帰させることができる。更
に、図(イ)及び(ロ)の左部に示すように、接続壁
8に凹溝27を縦設して端面用のクッション材4”と凹
凸嵌合させると、衝撃力を受けた緩衝式防護柵1と隣接
せる緩衝式防護柵1に伝達しようとする衝撃力を吸収し
て減衰させると同時に上、下部躯体2、3相互間の一体
性を増すことができるから、一連の分離帯としての安全
性を更に向上させることができる。
【0027】又、図(ホ)に示すように、下部クッシ
ョン材21の下面を凹陥せる曲線面に形成することも可
能で、この場合は、上下対称の曲線面状で、且つ中央よ
り両端部21c側へ漸開する下部クッション材21上
あって下部躯体3が側壁方向へ揺れ動き易くなり、衝撃
力の吸収、緩和並びに下部躯体3の原状復帰能力が更に
高くなるものである。
【0028】尚、上記図に示す緩衝式防護柵1の対車
壁面17は、下部の緩やかな傾斜面と上部の急傾斜面、
更に、上端部の膨出部13とからなり、且つ夫々が弧状
に連設されてなるため、衝突車両のタイヤが緩やかな傾
斜面に乗り上げても衝撃が少なく、又、急傾斜面によっ
てそれ以上の乗り上げを阻止し、緩やかな傾斜面に沿っ
てタイヤが滑らかに下方へ移動しつつ減速することで車
両を原走行路へ復帰させることができる。しかも、膨出
部13は衝突車両がバウンド等を起こした際、その乗り
越しを阻止するという作用効果を奏し、更に、該膨出部
13は緩衝式防護柵1の敷設時に吊具の係止部としても
活用できるという利点もある。
【0029】図は、緩衝式防護柵の他実施形態を示
し、該緩衝式防護柵1は、前記実施形態と同様に略凹型
の下部クッション材21をその底部20及び側壁部3d
に設けた下部躯体3の側壁方向における一方の壁面が直
面18に形成されるとともに、その上位に中間クッショ
ン材4を介して上部躯体2が連結されることで対車壁面
17が他方片側に形成されて、端面形状が略L字状を呈
するものである。更に詳しくは、側壁方向における一方
(左側)の壁面が上、下部躯体2、3共、下方へ向けて
少許漸開する直面18に形成されるとともに、他方(右
側)の壁面は、上部躯体2が上方で漸縮する急傾斜面と
なし、又、下部躯体3が下方漸開状の緩傾斜面に形成さ
れることで各々が対車壁面17を構成する。そして、
上、下部躯体2、3間に介在する中間クッション材4が
直面18側で漸開すべく、界面2a、3aが直面18側
で屈折せる屈曲面に形成されてなる。かかる緩衝式防護
柵1は、道路の路側に設置され、直面18側を歩道や自
転車道等となして対車壁面17側を走行する車両の路外
逸脱を防止するものである。
【0030】図(イ)乃至(ヘ)は、緩衝式防護柵1
の他実施形態を示し、当該実施形態にかかる下部クッシ
ョン材21は、その端面形状が道路面R側の端部21c
立上部21aを有して略L型に形成されるとともに、
側壁方向の両面を対車壁面17となす下部躯体3、若し
くは対車壁面17が片側に設けられ他方側を直面18と
して端面視略L字状の防護柵を構成する下部躯体3の各
底部20の両側に設けられ、且つ同図(ホ)を除くもの
には、底部20と基礎コンクリート11上面間に空所1
6を形成してなるものである。更に詳しくは、同図
(イ)の左半部に示す下部クッション材21は、底部2
0、側壁部3d及び直線状の上向面20aにより形成さ
れる屈曲面を覆う略L型に、又、同図右半部に示す下部
クッション材21は、側壁部3d及び全体が凸状で曲線
状の上向面20aをなす底部20により形成される曲線
面を覆う略L型に形成され、且つ上向面20aをなす底
部20の最突出部は、基礎コンクリート11面に一部接
触する支持部30となるとともに、左右両側における道
路面Rが立上部21a上面よりも低い位置に設定され、
端部21c面の上位が外部に露出してなる。次に、同図
(ロ)以降に示す緩衝式防護柵1には、その下部に隆起
せる支持部30が設けられてなるものであり、より詳し
くは、同図(ロ)に示すものは、下部クッション材21
直交せる底部20と側壁部3dを覆うL型で、平坦な
底部20の略中央部が断面略円弧状に膨出せる基礎コン
クリート11の支持部30と当接してなるものである。
又、同図(ハ)に示すものは、底部20の略中央部に、
該底部20から一体的に突設し、且つ基礎コンクリート
11の上面と当接する断面略台形状の支持部30が設け
られてなるものである。又、同図(ニ)に示すものは、
基礎コンクリート11上面を断面略円弧状に膨出させて
形成した支持部30から立設せる連結部材7bとしての
アンカーボルトが、下部躯体3の胴部に貫設した通孔
5′の下面に設けた通孔5に挿通されナットで螺締され
ることで、平坦な底部20の略中央部と支持部30の上
面とが当接してなるものである。ここで、底部20の両
側に位置する下部クッション材21の立上部21a上
は、側壁部3dの上端から道路面R側へ下る円弧面に形
成されてなる。又、同図(ホ)に示すものは、底部20
の略中央部に断面略台形状の支持部30を突設し、該支
持部30を挟持する如く略L型の下部クッション材21
底部20と基礎コンクリート11間を充足するととも
に、支持部30の下面と基礎コンクリート11の上面と
を当接させ、且つ支持部30に植設せる連結部材7bが
基礎コンクリート11上面の盲孔6内で固着材12によ
って連結されてなる。ここで、下部クッション材21
、支持部30の両側において底部20と基礎コンクリ
ート11間を充足してなるが、かかる下部クッション材
21の態様は一例で、支持部30の何れか片側又は両側
に空所16を形成することも可能である。尚、同図
(ロ)において底部20と当接する支持部30は、基礎
コンクリート11上面から一体的に膨出成形されてなる
が、かかる構成に代えて同図の基礎コンクリート11中
に破線で示す如く、支持部30は別途埋設して形成する
ことも可能であり、更に、上記各実施形態に示す底部2
0又は基礎コンクリート11から一体的に突設する支持
部30に代えて、同図(ヘ)に示す如く、平坦な底部2
0及び基礎コンクリート11上面間に任意形状の筒状体
等からなる支持部30を別途介在させる構成を採用する
こともできる。又、各支持部30の道路方向への態様
は、図(イ)及び(ロ)に示す如く、所望位置に任意
に設けられるもので、その長さや数並びに連結部材7b
の設置数等は限定されるものではない(図(ロ)及び
(ニ)に示す支持部30及び連結部材7bも同様)。か
かる構成からなる緩衝式防護柵1にあっては、緩衝式防
護柵1全体の自重が支持部30により支持されてなるた
め、常時においては下部クッション材21への載荷重が
減少して下部クッション材21の疲労、劣化が予防さ
れ、又、車両衝突時には支持部30と底部20又は基礎
コンクリート11の当接部を支点とした回動可能な構造
によって、下部躯体3が左右方向へ動き易くなるという
作用効果を奏するものである。而して、底部20と基礎
コンクリート11の間に空所16が形成されてなるもの
は、下部躯体3の傾倒に際する抵抗が減じられること
で、より左右方向へ揺れ動き易くなるのである。更に、
当該下部クッション材21にあっては、下部躯体3の傾
倒により大なる圧縮又は引張力が発生する底部20の両
側において、前記各実施形態に係る下部クッション材
1と同様に衝撃力を吸収、緩和するとともに、下部躯体
3を原状復帰させることが可能な上に、該下部クッショ
ン材21を具備した緩衝式防護柵1にあっては、底部2
0の側壁方向中央部の緩衝体が割愛されるため、使用材
料が軽減して安価な構成となすことができる。
【0031】図(イ)乃至(ハ)は、緩衝式防護柵1
の他実施形態を示し、その下部躯体3の平坦な底部20
は、略山形を呈して基礎コンクリート11の上面から突
設する支持部30の頂部と略点接触し、下部躯体3が下
部クッション材21を介して回動可能な構造となるが、
かかる支持部30の道路方向への態様は、必要箇所で必
要長さに形成されるものであり、残余の部分、即ち、底
部20と支持部30が当接しない部分には下部クッショ
ン材21が位置し、それ自体を端部21c間にわたり連
結するもので、要は、当該緩衝式防護柵1における下部
クッション材21の平面形状が同図(ハ)に示す如き略
梯子状を呈するものとなる。
【0032】更に、下部クッション材21の態様が異な
る他実施形態について説明すると、図(イ)及び
(ロ)に示す如く、前記図のものと同様に、下部クッ
ション材21の一端に立上部21aを設けて端面視L型
に形成してなるが、かかる下部クション材21は、下部
躯体3の片側の側壁部3dと底部20全面を被覆して緩
衝式防護柵1を構成するものであり、該緩衝式防護柵1
は、道路の曲線区間等にあって防護柵を介し左右の道路
面Rの高さが相違する箇所への設置に好適である。又、
(ハ)に示す如く、下部クッション材21の両端に
立上部21aを設けて端面視凹型に形成するとともに、
下面に傾斜を付すことでその一側が側壁方向に向けて漸
開状に形成されてなるものである。かかる下部クッショ
ン材21は、下部躯体3が衝撃力を受けて傾倒する側を
漸開状となし、且つ下部躯体3の両側壁部3dと底部2
0全面を被覆して緩衝式防護柵1を構成するもので、該
緩衝式防護柵1は、衝撃力が一方向から作用する路側等
への設置に好適となる。
【0033】次に、図1(イ)乃至(ホ)において中
間クッション材4の態様が異なる他実施形態について説
明すると、同図(イ)に示すものは、上、下部躯体2、
3の界面2a、3a間が平行で、その中央部に凹部2
b、3bが形成され、且つ該上、下部躯体2、3を連結
すべく、上下面の中央部に凸部4dを設けることで略十
字状をなす中間クッション材4が前記凹部2b、3bと
凹凸嵌合されてなる。又、同図(ロ)に示すものは、
上、下部躯体2、3の界面2a、3aが夫々凸状の曲線
面に形成され、該界面2a、3aの中央部に凹部2b、
3bが設けられるとともに、該上、下部躯体2、3間に
介在する中間クッション材4は、その上下面が前記凸状
の曲線面をなす界面2a、3aに添い、且つその上下面
の中央部に設けた凸部4dが前記凹部2b、3bに凹凸
嵌合した状態で設けられてなる。ここで、中間クッショ
ン材4の上下面に突設せる凸部4d内には、その上下方
向にわたり鋼棒からなる補強材25が設けられて凸部
d自体を増強するとともに、補強材25の弾性及び靱性
力によって衝撃力の吸収、緩和及び上部躯体2の原状復
帰作用を助勢するものであるが、かかる補強材25を装
填することは必須の条件ではない。又、同図(ハ)に示
すものは、界面2a、3aが夫々凸状の屈曲面状で、界
面2aには凹部2bが形成されるとともに、該界面2
a、3a間及び凹部2bを充足する中間クッション材
上下共凹状の屈曲面状で、その端部4cが対車壁面1
7又は直面18より突設する突出面に形成され、且つ上
面に凸部4dを設けた略凸型に形成されてなり、更に、
同図(ニ)に示すものは、界面3aが凸状の曲線面状
に、又、界面2aが平坦面の中央に凸部2cを設けて形
成されるとともに、該界面2a、3a間を充足する中間
クッション材4は、下面が凹状の曲線面状で上面が平坦
面に凹部4eを設けた偏平な略凹型に形成されてなり、
又、同図(ホ)に示すものは、界面2aが凸状の屈曲面
状で、界面3aが平坦面の中央に凸部3cを設けて形成
されるとともに、該界面2a、3a間を充足する中間ク
ッション材4は、その端部4cが対車壁面17又は直面
18より窪む凹陥面に形成され、且つ上面が凹状の屈曲
面状で、下面が平坦面の中央に凹部4eを設けた形状を
呈してなるものである。かかる緩衝式防護柵1にあって
は、上、下部躯体2、3間に介在して衝撃力を吸収、緩
和し、又、上部躯体2を原状に復帰せしめる中間クッシ
ョン材4と界面2a、3aとが、その少なくとも一面で
凹凸嵌合し、相互の一体性が確保されてなるため、衝撃
力に対しても中間クッション材4が界面2a又は3aか
ら離脱することを未然に防止することができる。尚、上
記実施形態における端部4cの突出面或いは凹陥面は、
夫々側壁方向の両側に設けられてなるが、かかる突出又
は凹陥の態様はこれに限定されず片側にのみ設けてもよ
く、又、突出面と凹陥面とを左右に併存させてもよいも
のである。
【0034】更に、図1(イ)乃至(ハ)に示す中間
クッション材4は、その端部4c側において相接する界
面2a、3aの端部に形成された係止部2d、3eに係
合するものであり、更に詳しくは、同図(イ)の右側に
示すものは、中間クッション材4の端部4c面における
上下隅部が、凸状の曲線面となす界面2a、3aの端部
を水平面として隆起させることで形成される係止部2
d、3eに夫々係合され、且つ該端部4c面が対車壁面
17又は直面18よりも少許凹陥してなる。又、同
(イ)の左側に示すものは、中間クッション材4の上下
隅部を欠設することで形成された切欠部4fが、凸状の
曲線面となす界面2a、3aの端部を該曲線面と同調に
隆起させることで形成される係止部2d、3eに夫々係
合されてなるものである。次に、同図(ロ)の左側に示
すものは、中間クッション材4の下面及び界面3aの係
合態様が上記(イ)の左側に示すものと同様に形成さ
れ、中間クッション材4の上面及び界面2aが夫々水平
面に形成されてなり、又、同(ロ)の右側に示すもの
は、中間クッション材4の上隅部を欠設することで形成
された切欠部4fが、水平面となす界面2aの端部を水
平面として隆起させることで形成される係止部2dに係
合され、且つ中間クッション材4の下面界面3aを屈
曲面に形成してなる。更に、同図(ハ)の左側に示すも
のは、中間クッション材4の上下隅部を欠設することで
形成された切欠部4fが、水平面となす界面2aの端部
及び凸状の斜面となす界面3aの端部を該斜面と同調に
且つ平行面に隆起させることで形成される係止部2d、
3eに夫々係合されてなり、又、同(ハ)の右側に示す
ものは、中間クッション材4の上面界面2aが夫々水
平面に形成され、中間クッション材4の下隅部を欠設す
ることで形成された切欠部4fが、凸状の斜面となす界
面3aの端部を水平面として隆起させることで形成され
る係止部3eに係合されてなるものである。尚、上記
(ハ)における界面2aは、界面3aから略山形を呈し
て突設する支持部30の頂部と略点接触することで、該
所を支点として回動可能な構造となるが、係る支持部3
0の道路方向への態様は、必要箇所で必要長さに形成さ
れるものであり、残余の部分、即ち界面2aと支持部3
0が当接しない部分には中間クッション材4が位置し、
それ自体を側壁方向にわたり連続させてなる(同図
(ニ)に例示)。かかる緩衝式防護柵1における中間ク
ッション材4は、相接する界面2a、3aの端部におい
て係合処置が施されてなるため、上、下部躯体2、3と
の一体性が確保されてその離脱が防止されるものであ
る。
【0035】次に、図1(イ)乃至(ニ)において上
部躯体2の態様が異なる他実施形態を説明すると、かか
る緩衝式防護柵1における下部躯体3の界面3a上に
は、それ自体がゴムや廃加硫ゴムチップをバインダーに
より結合した再生ゴム配合物、ウレタン、ナイロン、更
にその他の弾力性を有する合成樹脂等を素材とすること
で全体が弾力性を有するとともに、その側壁方向の対車
壁面17若しくは直面18を少許上方で漸縮する急傾斜
面となした上部躯体2がクッション材31として直接的
に表されてなるものであり、より詳しくは、同図(イ)
に示すものは、クッション材31としての上部躯体2の
界面2aが下部躯体3の界面3aに固着されてなる。そ
して、かかる緩衝式防護柵1の対車壁面17に衝撃力F
が右側から作用すると、全体がクッション材31をなす
上部躯体2は、同図(ロ)に示すように、下部躯体3と
の付根部から上位全体が弾性変形を起こして左側へ弓状
に湾曲することで衝撃力Fを効果的に吸収、緩和する。
この時、クッション材31としての上部躯体2にあって
は、側壁方向の中央から車両衝突側(右側)の断面に伸
び変形が生じ、又、これとは反対側(左側)の半分の断
面に圧縮変形が生じて、かかる伸び変形を引き戻そうと
する引張力Pt及び圧縮変形を押し戻そうとする反発力
Paがその内部に発生するため、それ以上の過度な傾倒
を阻止するとともに、衝撃力Fが退避した後には全体が
側壁方向へ揺れ動くバネ的作用を奏して上部躯体2を素
早く原状復帰させることが可能となる。更に、上記上部
躯体2は、全体にクッション性を有してなるから、従来
の剛性壁体に比較して衝撃力の吸収、緩和能力が極めて
高く、衝突車両や搭乗者に対する衝撃力の影響が軽微に
なるという利点がある。
【0036】又、図1(ハ)に示すものは、その下部
躯体3の界面3aが凸状の屈曲面に形成され、該界面3
a上に固着されるクッション材31としての上部躯体2
が複合構造をなすものであり、更に詳しくは、クッショ
ン材31の界面2aは、前記界面3aの屈曲面に添うべ
く凹状の屈曲面に形成されてなるが、その直上を界面2
aと上下対称状の断面略鼓形に区分し、かかる部位を軟
質弾性体31dにより形成するとともに、該部位より上
位を硬質弾性体31eによって一体的に構成してなるも
のである。そして、かかる緩衝式防護柵1の対車壁面1
7に衝撃力Fが右側から作用すると、同図(ニ)に示す
ように、上部躯体2の付根部における部位が断面略鼓形
で軟質弾性体31dからなることで、該軟質弾性体31
dが大きく圧縮(左側)又は伸び(右側)変形を起こす
とともに、上位の硬質弾性体31eも全体が弾性変形を
起こして左側へ弓状に湾曲する。即ち、全体がクッショ
ン材31としての前記図1(イ)における上部躯体2
の付根部に更に柔軟性が付加されるため、大きな衝撃力
Fを吸収、緩和する能力、上部躯体2を早期に原状復帰
させる能力、及び衝突車両の損傷や搭乗者の負傷を回避
する能力が特に優れた緩衝式防護柵1となすことができ
る。
【0037】又、図1(イ)に示すものは、下部躯体
3の界面3aに凹部3bが形成され、クッション材31
をなす上部躯体2の界面2aには凸部2cが形成される
とともに、該凹部3bと凸部2cとが凹凸嵌合して両者
が固着されてなるために、上、下部躯体2、3の一体性
が向上して衝撃力に対する上部躯体2の転倒や離脱を防
止する。同図(ロ)及び(ハ)は、上記(イ)の変形例
を示し、(ロ)に示すものは、クッション材31をなす
上部躯体2の対車壁面17若しくは直面18の上端部に
半円形の膨出部13が側壁方向に夫々突設されるととも
に、クッション材31の内部略中央部に鋼棒からなる補
強材25を縦設し、且つ該縦設せる補強材25に道路方
向へわたる補強材25が複数本添設されることで、補強
材25全体がメッシュ状に配されるため、該補強材25
がクッション材31全体や界面2aより突出し、界面3
aの凹部3bと嵌合する凸部2cの強度を向上せしめる
とともに、鋼棒の特性たる弾性及び靱性力により衝撃力
の吸収、緩和並びに上部躯体2の原状復帰作用を助勢す
る。又、同図(ハ)に示すものは、上、下部躯体2、3
の界面2a、3aにおける凹凸嵌合が複数の凹部2b、
3bと凸部2c、3cによって行われているため、その
一体性が更に向上する。
【0038】図1(イ)及び(ロ)は、クッション材
31としての上部躯体2と下部躯体3の界面間に連結部
材を具備する他の緩衝式防護柵1を示し、同図(イ)に
示すものは、下部躯体3の界面3aと、該界面3aから
一体的に立設せる連結部材7aにクッション材31とし
ての上部躯体2が夫々固着されてなるため、上、下部躯
体2、3間の連結が更に強固となる。又、同図(ロ)に
示すものは、下部躯体3の界面3aに一体的に植設され
た連結部材7aにクッション材31としての上部躯体2
が別途締結されてなるものであり、より詳しくは、パネ
ル状をなす2枚の上部躯体2が、界面3aの略中央部に
立設せる連結部材7aとしての鋼製等からなる板体を側
壁方向の両側から挟み込むとともに、連通せる複数の通
孔5にボルト10′を挿通しナット15により締結され
ることで、上、下部躯体2、3が一体化されてなる。
【0039】更に、図1(ハ)乃至(ホ)に示す他の
緩衝式防護柵1は、クッション材31としての上部躯体
2が下部躯体3自体に直接的に締結されてなるものであ
り、同図(ハ)に示すものは、界面2a、3aを上下方
向に跨ぐ如く、対車壁面17又は直面18に添着せる連
結部材7aとしてのプレートが、対車壁面17又は直面
18に埋設されたナット15にボルト10′をもって締
結されてなる。ここで、界面2a、3a間は、凹部2b
及び凸部3cの凹凸嵌合によってその一体性が向上せし
められているが、界面2a、3aに凹、凸部を設けるこ
とは必須の条件ではない。又、同図(ニ)に示すもの
は、界面2a、3aが夫々曲線面に形成され、該曲線面
に設けた凹部3bと凸部2cとが凹凸嵌合されるととも
に、該凹凸嵌合部を側壁方向へ貫く通孔5に連結部材7
aとしてのボルトを挿通してナット15により締結する
ことで上、下部躯体2、3が一体化されてなる。更に、
同図(ホ)に示すものは、界面2a、3aが夫々屈曲面
に形成され、該界面3aの中央部に埋設されたナット1
5に、上部躯体2の上部より穿設した盲孔6の下端部に
設けた通孔5から連結部材7aとしてのボルトを挿通し
螺合することで上、下部躯体2、3が連結されてなる。
而して、上記図1(ロ)乃至(ホ)における各緩衝式
防護柵1にあっては、その締結を解除すればクッション
材31としての上部躯体2が下部躯体3上で分離可能で
あるために、現地における組み立て作業が容易に行えて
省力化が図れるとともに、上部躯体2に不測の事態が生
じて交換を要する場合にも、その取替えが簡便に行える
という利点がある。
【0040】図1に示す緩衝式防護柵1は、端面視略
L字状に形成された緩衝式防護柵の他実施形態を示し、
端面形状を略L字状に形成した緩衝式防護柵1が2個用
いられ、且つ相互を離隔して並列させるとともに、その
直面18を対向させて基礎コンクリート11と連結する
ことで形成される空所16内に土壌22を充填してなる
ものである。そして、該土壌22上位に植樹を施してグ
リーンベルトを具備する中央分離帯を構成するものであ
る。更に詳しくは、左右両側における緩衝式防護柵1の
外観は、側壁方向における一方(外側)の壁面が上、下
部躯体2、3共、下方へ向けて少許漸開する直面18に
形成されるとともに、他方(内側)の壁面は、上部躯体
2が上方で漸縮する急傾斜面の上端部に略半円形の膨出
部13を突出し、又、下部躯体3が下方漸開状の緩傾斜
面に形成されることで、各々が対車壁面17を構成して
なる。ここで、上、下部躯体2、3間に介在する中間ク
ッション材4は、直面18側へ向けて漸開状(同図の左
側は、界面2aの直面18側が直線状の上向面に形成さ
れ、これに添って中間クッション材4の上面が漸開す
る、又、同図の右側は、界面3a全体が直面18側へ下
る曲線面に形成され、これに添って中間クッション材
下面が漸開する)に形成されてなる。又、下部躯体3
の下部には、端面視略L型の下部クッション材21が
その底部20及び側壁部3dを被覆して設けられるとと
もに、下部躯体3の対車壁面17の下位に設けたアンカ
ーボルト埋設孔9内に、基礎コンクリート11から立設
せる連結部材7bとしてのアンカーボルト10を装填
し、モルタル等からなる固着剤12を充填することで基
礎コンクリート11と連結されてなる。更に、同図右側
における上、下部躯体2、3の直面18には、保水材2
3及び/又は断熱材24が添着されるとともに、上、下
部躯体2、3は、界面2a、3aに固着された中間クッ
ション材4によって連結されてなるが、同図左側におけ
るものは、界面3aの略中央部に埋設されたナット15
と、上部躯体2の頂部より穿設した盲孔6の下端に設け
た通孔5から連結部材7aとしてのボルトを挿通し締結
することで上、下部躯体2、3が連結され、かつ前記盲
孔6の頂部開口がキャップ14によって閉塞されてな
る。
【0041】かかる緩衝式防護柵1にあっては、上部躯
体2の対車壁面17の上端部における膨出部13によっ
て、車両の排気ガスを車道側に波返し、樹木への直撃を
避けることができるとともに、充填土壌22が直接地盤
と連続し、且つ保水材23を設けた場合は、土壌22が
適度な含水状態に保たれ、又、断熱材24を設けた場合
は、日光や排気ガスを浴びて高温化した上、下部躯体
2、3からの伝導熱が遮断され、その乾燥が防止される
ために、樹木が枯死することなく常に繁茂し、その緑に
よってドライバーの目の疲れを和らげることができる。
更に、前記中間クッション材4及び下部クッション材
1の作用効果(衝撃力を吸収、緩和し、上、下部躯体
2、3を原状復帰せる)に加えて、充填土壌22も上、
下部躯体2、3に作用する衝撃力を受承して吸収、緩和
するとともに、上、下部躯体2、3を衝突側へ押し戻す
という作用効果を奏するため、二重、三重の緩衝及び原
状復帰能力を発揮することとなる。更に、保水材23の
設置にあっては、図1の右側に示す如く、直面18側
における中間クッション材4及び下部クッション材21
端部4c、21cと保水材23とを当接させ、且つ中
間クッション材4及び下部クッション材21が透水性を
有するべく多孔質に形成されれば、上部躯体2の対車壁
面17を流下する雨水や道路面Rの地表水等を道路側の
端部4c又は立上部21aで吸水するとともに、その透
水機能をもって直面18側で当接する保水材23へ水分
を補給できるという作用を奏する。ここで、同図に示す
如く、中間クッション材4の下面、界面3a及び下部ク
ッション材21の下面を直面18側へ向けて下向面に形
成すると、保水材23への水流れ勾配が得られてより効
率的な給水が行えるものである。又、図1の左側に示
す緩衝式防護柵1には保水材18を設けていないが、か
かる緩衝式防護柵1における中間クッション材4及び下
部クッション材21を多孔質に形成して透水機能を具備
させることも可能で、この場合は、上部躯体2の対車壁
面17を流下する雨水や道路面Rの地表水等が直接的に
充填土壌22へ供給され、或いは充填土壌22内の余剰
水が中間クッション材4によって対車壁面17側へ排出
されることとなる。
【0042】図1は、端面視略L字状でその背後に土
壌22を有する緩衝式防護柵の他実施形態を示し、かか
る緩衝式防護柵1における上、下部躯体2、3は、均一
厚みのクッション材4を介して連結部材7aとしての鋼
棒をもって連結されてなる。更に詳しくは、連結部材7
aは予め下部躯体3の界面3aに一体的に植設されてな
り、上部躯体2の頂部から穿設した通孔5内に前記連結
部材7aを挿通し、且つ固着材12を充填してなるもの
である。而して、下部躯体3の直面18側の下位を円弧
状の上向面20aに形成して、その上位の直面18に保
水材23及び/又は断熱材24を添着するとともに、該
上向面20a、底部20及び側壁部3dに添うべく、そ
の上面が一部曲線に形成された凹状の下部クッション材
21を介在せしめ、且つ基礎コンクリート11に植設せ
る連結部材7bとしてのアンカーボルト10に下部躯体
3がナット15によって締結されてなるものであり、本
図においては他の構造物26間とに空所16を形成し、
且つ土壌22を充填して植樹を施すことで路側にグリー
ンベルトを構築するものである。
【0043】図1は、前記端面形状が略L字状に形成
されてなる緩衝式防護柵の変形実施形態を示し、かかる
緩衝式防護柵1は、側壁方向の一方の壁面が直面18に
形成され、該直面18側の底部20が直線状の上向面2
0aに形成されるとともに、前記直面18に保水材23
及び/又は断熱材24が添着された下部躯体3上に、弾
性体からなる上部躯体2がクッション材31として固着
されてなる。ここで、前記上、下部躯体2、3は、その
界面2a、3aに設けた凸部2cと凹部3bとが凹凸嵌
合することによって連結されるとともに、下部躯体3は
その一側の上面が前記上向面20aに添うべく外方に向
けて漸開せる下部クッション材21を介して基礎コンク
リート11の連結部材7bにナット15によって締結さ
れてなる。又、直面18側に充填される土壌22の上面
は、上部躯体2の上端部より凹陥した位置に設定されて
なる。かかる緩衝式防護柵1にあっては、上向面20a
の存在により底部20の水平距離が短くなって下部躯体
3が直面18側へ傾倒し易くなるとともに、対車壁面1
7に作用する衝撃力によって大なる圧縮力が生じる直面
18側程、下部クッション材21が分厚く形成され、そ
の弾性変形も大きくなるために、大なる衝撃力に対し優
れた吸収、緩和能力を発揮することとなる(前図1
載の下部躯体3及び下部クッション材21も同様)。
又、弾性体からなるクッション材31としての上部躯体
2を多孔質に形成することで、それ自体が断熱効果を奏
して充填土壌22及び植物が被熱することを予防すると
ともに、換気及び浄化作用を奏して直面18側で凹陥せ
る土壌22面に排気ガス等が滞留することを防止し、植
生に対する大気環境を保全することができ、且つ吸音効
果をも奏して騒音を減衰、消音させることもできる。
尚、本図においてはその左端部を破断線にて省略記載し
てなるが、前図1記載の如く、緩衝式防護柵1を左右
対称状に使用して中央分離帯を構成してもよく、又、図
記載の如く、その左端部に壁体等の他の構造物を設
けて路側にグリーンベルトを構成すること可能である。
【0044】図1(イ)及び(ロ)は、緩衝式防護柵
1の他実施形態を示し、その端面形状は略L字状で下部
躯体3の直面18の下部には、直線状の上向面20aが
形成されてなるとともに、中間クッション材4は水平な
界面3a及び凸状をなす屈曲面状の界面2a間に充足さ
れて両端部4c側で漸開状に形成され、且つ下部クッシ
ョン材21は、下部躯体3の側壁部3dと上向面20a
の末端部に夫々立上部21aを有する凹型に形成されて
なる。而して、基礎コンクリート11上に前記下部クッ
ション材21を介在せしめ、基礎コンクリート11から
立設せる連結部材7bとしてのアンカーボルト10をア
ンカーボルト埋設孔9に装填後、固着材12を充填し基
礎コンクリート11と下部躯体3とを連結することで緩
衝式防護柵1が構築されるが、相隣る緩衝式防護柵1の
接続壁8相互間にも端面用のクッション材4”が設けら
れてなる。又、相接する上部躯体2の上端面に各々凹溝
27を横設し、該凹溝27間にわたって連結部材7aを
挿入するとともに、固着材12を充填することで、相隣
る緩衝式防護柵1相互の一体性を確保している。この緩
衝式防護柵1は、上記の如き上向面20aを有する底部
20の形状により、凹型を呈する下部クッション材21
の間に空所16が形成されるため、対車壁面17に作
用する衝撃力に対し下部躯体3が直面18側へ傾倒する
能力がより優れて大なる衝撃力を効率的に吸収、緩和す
ることができる。
【0045】図19は、緩衝式防護柵1の他実施形態を
示し、その上、下部躯体2、3は、側壁方向における一
方の壁面が下方で少許漸開する直面18に夫々形成さ
れ、対車壁面17が他方片側に夫々形成されるととも
に、下部躯体3の対車壁面17の下部を道路面R方向へ
延設することで平坦部17aが形成され、しかも、底部
20の全幅が前記直面18側へ向けて曲線状の上向面2
0aに形成されることで端面視が略L字状を呈する。
又、中間クッション材4は、直面18側で夫々漸開せる
曲線面状で、凹部2b、3bを有する界面2a、3a間
に充足され、且つその凸部4dが前記凹部2b、3bと
嵌合してなるとともに、下部クッション材21は、平坦
部17aの先端にある側壁部3dを被覆する立上部21
aと底部20、即ち、上向面20aに添うべく直面18
側に漸開する曲線面とにより、その上面が凹陥状に形成
されてなる。而して、基礎コンクリート11上に前記下
部クッション材21を介するとともに、下部躯体3の平
坦部17aに穿設したアンカーボルト埋設孔9内に基礎
コンクリート11から立設せる連結部材7bとしてのア
ンカーボルト10を装填し、且つ固着材12を充填する
ことで下部躯体3と基礎コンクリート11とが連結され
て緩衝式防護柵1が構築されてなる。この緩衝式防護柵
1は、上、下部躯体2、3の対車壁面17が全体に丸み
を帯びた形状であるため、該対車壁面17に衝突した車
両の移行がスムーズに行われる点(前図に記した緩衝
式防護柵1と同様)、又、衝突力Fの作用により下部躯
体3が回動しようとする際の支点からアンカーボルト1
0までの水平距離Bが長いことで転倒に対する抵抗力が
大きい点、更に、底部20と下部クッション材21の
面が曲線状に形成されて下部躯体3が傾倒し易いと同時
に、直面18の下部に位置する下部クッション材21が
端部21c側へ漸次分厚くなり大なる衝撃力に対しても
十分に弾性変形して縮み、又、反発することで衝撃力の
緩和並びに原状復帰能力に優れている点から、直面18
側(道路外)が低い地形(崖、水際等)等、危険箇所へ
の設置に適している。
【0046】図2は緩衝式防護柵の他実施形態を示
し、該緩衝式防護柵1は、その側壁方向両面が対車壁面
17に形成され、凸状の屈曲面をなす上部躯体2の界面
2aの中央部に埋設されたナット15と、下部躯体3の
胴部に貫設した通孔5′の上面に設けた通孔5から連結
部材7aとしてのボルトを挿通し締結することで、界面
2a、3a間に中間クッション材4を介して上、下部躯
体2、3が連結されるとともに、底部20の両側に該底
部20と側壁部3dを覆う断面L型の下部クッション材
21が設けられてなる。そして、基礎コンクリート11
上面と底部20間に空所16を設け、且つ側壁部3dと
路材r間に下部クッション材21の立上部21aを位置
させて、路面Rに設置されてなる。かかる緩衝式防護柵
1にあっては、胴部の通孔5′により下部躯体3の自重
が軽減するのに加えて、底部20と基礎コンクリート1
1間において道路方向へ連続せる空所16が形成される
ため、底部20と基礎コンクリート11との接触が回避
されて下部躯体3が側壁方向へ傾倒し易くなるという作
用効果を奏する。
【0047】図2(イ)の左区分部、(ロ)及び
(ハ)は、緩衝式防護柵の他実施形態を示し、該緩衝式
防護柵1は、1個の上部躯体2を2個の下部躯体3上に
跨がって位置させ、凸状の曲線面をなす下部躯体3の界
面3aの中央部に埋設されたナット15と、上部躯体2
の頂部より穿設した盲孔6の下端に設けた通孔5から連
結部材7aとしてのボルトを挿通し締結することで上、
下部躯体2、3が連結されるとともに、前記下部躯体3
は、その底部20が凸状の屈曲面に形成され、且つ基礎
コンクリート11から立設せる連結部材7bとしてのア
ンカーボルト10をその界面3aより穿設した通孔5に
装填後、該通孔5内に固着材12を充填することで基礎
コンクリート11と一体的に連結されてなる。又、上部
躯体2の両対車壁面17の上端部には、側壁方向へ突出
してクッション材4’’’が帯状に固着されるととも
に、前記盲孔6の頂部開口がキャップ14によって閉塞
されてなる。ここで、上、下部躯体2、3の界面2a、
3aに介在する中間クッション材4は、下面が前記界面
3aの曲線面に添うべく凹状の曲線面に、又、下部躯体
3と基礎コンクリート11間に介在する下部クッション
21は、上面が前記底部20の屈曲面に添うべく凹状
の屈曲面に形成されるとともに、図2(イ)及び
(ロ)に示す如く、その略中央部に空所16を断続的に
設けることで、平面形状が略梯子状を呈し、且つその長
さを複数個の上、下部躯体2、3に対応すべく、長尺に
形成してなる。かかる緩衝式防護柵1にあっては、下部
躯体3の底部20と下部クッション材21の上面とが屈
曲面状に、又、下部躯体3の界面3aと中間クッション
4の下面とが曲線面状にて当接することに加えて、下
部クッション材21及び中間クッション材4の中央部が
断続することで、基礎コンクリート11上面と底部20
間並びに界面2a、3a間に各々空所16が形成される
ため、底部20と下部クッション材21並びに界面2
a、3aと中間クッション材4との接触面積及び抵抗が
減少して上、下部躯体2、3が側壁方向に更に傾倒し易
くなるとともに、下部クッション材21並びに中間クッ
ション材4を製作する上での原材料が軽減できるという
有益性をも奏する。更に、上記緩衝式防護柵1は、相接
する接続壁8間にも端面用のクッション材4”が設けら
れ、且つ1個の上部躯体2が2個の下部躯体3間に跨が
って連結されているために、道路方向での一体性が更に
向上し、衝突車両に対して上、下部躯体2、3相互が側
壁方向へ傾倒するのに加えて平面視弓形に湾曲変形する
ことで衝撃力を吸収、緩和するとともに、上部躯体2の
上端部のクッション材4’’’も衝撃力の吸収、緩和に
寄与するから、一連の防護柵としての安全性が特に優れ
た構造となる。又、上、下部躯体2、3がボルト、ナッ
トにより締結されること、並びに中間クッション材4及
び下部クッション材21が長尺化されて下部躯体3又は
基礎コンクリート11上に連続して布設できることか
ら、現地組立が容易で迅速施工性を確保することができ
るとともに、万一車両衝突により上部躯体2が破損して
も、該破損した上部躯体2の取替えが簡単に行えるとい
う利点もある。又、図2の右区分部、(ニ)及び
(ホ)に示す如く、前記下部躯体3における界面3aの
一部、即ち、界面3aの側壁方向略中央部に、界面2a
と相接する支持部30としての断面略半円形をなす凸部
3cが道路方向へ向け所望長さ(当該実施形態にあって
は、前記中間クッション材4の空所16内に治まる長さ
に設定されてなる)に突設される構成を採用することも
できる。かかる緩衝式防護柵1によれば、前記支持部3
0としての凸部3cの上端に上部躯体2の界面2aが当
接してなるため、常時においては上部躯体2の自重が支
持部30としての凸部3cにより支持され、中間クッシ
ョン材4への載荷重が減少して中間クッション材4の
労、劣化を予防するとともに、車両衝突時には界面2a
と支持部30としての凸部3cとの略点接触状態によ
り、該所を支点として上部躯体2が回動可能な構造とな
って、左右方向へ揺れ動き易くなるという作用効果を奏
する。尚、同図(ヘ)に示す如く、前記凸部3cに代え
て上部躯体2の界面2aから凸部2cを支持部30とし
て突設した場合にあっても奏する作用効果は上述のとお
りであるとともに、下部躯体3における底部20の略中
央部を円弧状に膨出させて支持部30となすと、下部ク
ッション材21の疲労、劣化予防並びに下部躯体3の傾
倒性向上に寄与することとなるが、前記各支持部30の
道路方向への態様は、必要箇所で必要長さに設けること
ができ、且つ同図(ト)に示す如き、任意形状の筒状体
等を界面2a、3a間に別途介在させて支持部30とな
すことも可能である。尚、上記下部クッション材21及
び中間クッション材4は、その略中央部が方形の空所1
6によって道路方向に断続してなるが、かかる空所16
の平面形状は方形に限定されるものではなく、又、その
大きさや位置等も任意に設計可能であるとともに、連結
部材7a、7bの挿通用の通孔を設けることも必須の条
件ではなく、又、中間クッション材4又は下部クッショ
ン材21の何れか一方の略中央部が断続してなる構成と
することもできる。更に、その略中央部が断続してなる
構成は、前述又は後述せる各緩衝式防護柵1にも同様に
実施可能である。
【0048】図2(イ)、(ロ)及び図2(イ)、
(ロ)は、緩衝式防護柵の他実施形態を示し、該緩衝式
防護柵1は、上、下部躯体2、3の界面2a、3a間に
介在される中間クッション材4が道路方向(車両走行方
向)に断続して設けられ、界面2a、3a間に空所16
が形成されてなるものである。ここで、中間クッション
4は、夫々凸状の曲線面を呈する界面2a、3a間に
あって、該曲線面に添うべくその上下面が凹状の曲線面
をなすことで端部4c側が漸開状に形成され、又、下部
クッション材21は、その両側が弧状面に形成されてな
る底部20の形状に添うべく、その上面両側が弧状面を
なす断面略凹型に形成されてなる。又、下部クッション
21は、基礎コンクリート11の上面及び底部20に
夫々固着され、且つ上、下部躯体2、3は、中間クッシ
ョン材4を介して連結部材7aとしての鋼棒をもって連
結されてなる。更に、図2(イ)に示すものは、中間
クッション材4が道路方向に隣接せる2個の上、下部躯
体2、3間にわたり、且つ断続して設けられることで、
緩衝式防護柵1の道路方向中央部において空所16が形
成され、又、同図(ロ)に示すものは、一の緩衝式防護
柵1の界面2a、3a間においてその道路方向中央部及
び両端部に空所16を設けるべく、2個の中間クッショ
ン材4が断続して下駄歯状に設けられてなるものであ
る。
【0049】図2(イ)乃至(ハ)は、クッション材
が道路方向(車両走行方向)に断続してなる緩衝式防護
柵の他実施形態を示し、該緩衝式防護柵1は、その端面
形状が略L字状をなすとともに、界面2a、3a間並び
に底部20と基礎コンクリート11間に介在せる中間ク
ッション材4及び下部クッション材21が夫々断続する
ことで界面2a、3a間並びに底部20と基礎コンクリ
ート11間に空所16が各々形成されてなるものであ
る。ここで、中間クッション材4は、その両端部4c側
が漸開状に形成されて界面2a、3aに固着され、又、
下部クッション材21は、端面視略L字状でその端部
1c(直面18)側が漸開状に形成されて底部20と基
礎コンクリート11間に位置し、下部躯体3が基礎コン
クリート11から立設せる連結部材7bとしてのアンカ
ーボルト10にナット15で締結されることで緩衝式防
護柵1が構築されてなる。更に、一の緩衝式防護柵1に
おいて、その道路方向中央部及び両端部の界面2a、3
a間並びに底部20と基礎コンクリート11間に空所1
6を設けるべく、中間クッション材4及び下部クッショ
ン材21が2個づつ下駄歯状に設けられてなるものであ
る。
【0050】而して、図2乃至図2に示す緩衝式防
護柵1にあっては、上、下部躯体2、3の界面2a、3
a間に側壁方向へ連通する空所16が断続的に形成さ
れ、防護柵によって区画された車線間が断続的に連通す
るために、走行車両から発生する騒音や排気ガスが前記
空所16を透過し、滞留することなく消音、拡散して道
路環境の悪化を抑制する。又、下部躯体3の下部に側壁
方向へ連通する空所16が形成されるため、防護柵によ
って区画された道路面Rが側壁方向へ連続することで、
道路敷における表面水の集排水に好適な構造となる。更
に、中間クッション材4及び下部クッション材21の使
用量が減少して、一連の防護柵を安価に構成することが
できるという有益性をも奏する。尚、図2乃至図2
における中間クッション材4及び下部クッション材21
設置位置や道路方向への長さは一例で、これに限定さ
れるものではなく本発明の意図する範囲内で自由に変更
可能であるとともに、中間クッション材4と下部クッシ
ョン材21の組み合わせも自由で、要は、両クッション
材の少なくとも一以上が道路方向に断続していればよい
ものである。
【0051】図2(イ)乃至(ホ)において連結部材
の態様が異なる他実施形態について説明すると、同図
(イ)に示すものは、緩衝式防護柵1の側壁方向両面が
対車壁面17に形成されてなるが、下部躯体3の上位に
は全体がクッション材31としての上部躯体2が位置
し、又、底部20の両側には断面L型の下部クッション
21が設けられるとともに、界面2a、3aの中央部
から上部躯体2の頂部及び下部躯体3の底部20を一部
突出させた支持部30にわたる小径の通孔5が夫々貫設
され、且つ基礎コンクリート11から立設せる連結部材
7cとしてのアンカーボルトが長尺化され、前記小径の
通孔5内に位置して上、下部躯体2、3を貫通するとと
もに、上部躯体2の上面でナット15により締結するこ
とで、基礎コンクリート11上面と底部20間に空所1
6が形成されてなる。又、同図(ロ)に示すものは、緩
衝式防護柵1の側壁方向両面が対車壁面17に形成さ
れ、凸状の曲線面をなす界面2a、3a間に中間クッシ
ョン材4が介在されるとともに、前記界面2a、3aの
中央部から上部躯体2の頂部及び下部躯体3の底部20
にわたる通孔5が夫々貫設され、且つ断面略凹型の下部
クッション材21が両側壁部3d及び両側を曲線面とな
す底部20を被覆して設けられてなる。そして、基礎コ
ンクリート11から立設せる連結部材7cとしての鋼棒
或いは鋼板が下部躯体3を通過し、上部躯体2の下位に
至るべく長尺化され、且つ前記上下に連通する通孔5内
に装填されるとともに、該通孔5内に固着材12が充填
されることで一体化が図られてなる。又、同図(ハ)に
示すものは、緩衝式防護柵1の側壁方向両面が対車壁面
17に形成され、下部躯体3の界面3aが凸状の屈曲面
に、又、底部20全体が曲線状の上向面20aに形成さ
れるとともに、該界面3a及び底部20より突設して連
結部材7cとしてのアンカーボルトが下部躯体3を串刺
しする如く一体的に縦設され、且つ上部躯体2の頂部よ
り穿設した盲孔6の下端に設けた通孔5に、前記連結部
材7cの上突出部を挿通しナット15により締結するこ
とで、界面2a、3a間に中間クッション材4を介して
上、下部躯体2、3が連結される。更に、底部20の両
側には断面略L型の下部クッション材21が夫々設けら
れる。そして、基礎コンクリート11の上面に穿設した
盲孔6内に固着材12を充填し、前記連結部材7cの下
突出部を挿入後、固着材12が硬化することで、基礎コ
ンクリート11と底部20間に空所16が形成されると
ともに、該緩衝式防護柵1が基礎コンクリート11に連
結される。ここで、上記(ハ)の下部躯体3において、
凸状をなす曲線面状の底部20の最突出部は、基礎コン
クリート11の上面中央と一部当接する支持部30とな
るものである。更に、同図(ニ)に示すものは、対車壁
面17が片側に設けられ、他方側を直面18として緩衝
式防護柵1が端面視略L字状を呈し、凸状の曲線面をな
す界面2a、3a間に中間クッション材4が介在され、
又、両側壁部3d及び底部20を夫々被覆する断面凹型
の下部クッション材21が設けられるとともに、上記
(イ)と同様に基礎コンクリート11から立設し、全体
を貫く連結部材7cによって各々が連結されてなる。
又、同図(ホ)に示すものは、緩衝式防護柵1の側壁方
向両面が対車壁面17に形成され、平坦な界面2a、3
a間並びに底部20と基礎コンクリート11間の略中央
部に夫々断面円形の支持部30が別途介在され、且つ該
支持部30の両側には板状の中間クッション材4若しく
は断面L型でその立上部21aの上面が弧状面をなす下
部クッション材21が位置するとともに、基礎コンクリ
ート11から立設せる連結部材7cとしての鋼棒或いは
鋼板が、前記支持部30を夫々貫きしかも底部20及び
界面2aから穿設されその上位において上部躯体2の頂
部及び界面3aから穿設した盲孔6と連通する各通孔5
に挿通されて上部躯体2へ至る。そして、前記盲孔6内
に固着材12が充填されることで、相互の一体性が確保
されてなるとともに、上部躯体2の盲孔6の上部には、
着色材、反射材、蓄光材、蛍光材等を具備する表示具が
植設されてなる。上記、実施形態に係る緩衝式防護柵1
にあっては、上、下部躯体2、3、中間クッション材
4、下部クッション材21及び基礎コンクリート11が
一の連結部材7cにより連結されて、全体を一体性に富
む構造となすことができる。尚、上記図2(イ)及び
(ハ)に示す底部20から一体的に形成された支持部3
0は基礎コンクリート11上面と、又、同図(ホ)に示
す各支持部30は界面2a、3a、底部20及び基礎コ
ンクリート11と当接し、該所を支点とする回動可能な
構造によって上部躯体2又は下部躯体3が側壁方向へ傾
倒し易くなるが、かかる支持部30の態様はこれに限定
されず、前図(ロ)、(ニ)及び(ヘ)記載の如く、
基礎コンクリート11を隆起させて支持部30を形成し
てもよく、又、平坦な底部20と基礎コンクリート11
上面間に筒状体等からなる支持部30を別途介在させて
形成してもよい(図2(ロ)及び(ニ)にも同様に実
施可能)。
【0052】又、前記各実施形態において外部に露出す
る中間クッション材4の端部4c面又は下部クッション
21の立上部21a上面又は同端部21c面の少なく
とも一部に、必要に応じて着色材、反射材、蓄光材及び
蛍光材からなる群から選ばれた少なくとも一を標示する
ことができるものであり、該群から選ばれた材を有する
クッション材によれば、その材を有する部位が視線誘導
効果を奏して交通の円滑化を図れるとともに、緩衝式防
護柵1自体を危険位置としてドライバーに明示し、特に
夜間における衝突を回避することができる。尚、上記群
から選ばれた材を各クッション材の素材中に元から混入
させてもよく、又、その色調も自由で、更に、後塗装、
後接着する等、その標示手段は自由である。
【0053】上記各実施形態において、緩衝式防護柵1
を連結部材7a、7b、7cによって一体的に連結する
構成となした場合は、かかる連結部材7a、7b、7c
も弾力性を有するために、衝撃力の吸収、緩和並びに
上、下部躯体2、3の原状復帰作用を助勢し、且つ衝撃
力が極度に大きい場合は、連結部材7a又は7b又は7
cが上部躯体2又は下部躯体3とともに折れ曲がること
により、その衝撃を吸収するという作用効果を奏するこ
ととなる。特に、長尺化された連結部材7cによれば、
その弾性及び靱性力も長さに比例して増大し、衝撃力の
吸収、緩和能力並びに上、下部躯体2、3の原状復帰能
力も一層高まり、緩衝式防護柵1全体を安全な構造とな
すことができる。
【0054】上記各実施形態における緩衝式防護柵1の
基本的な断面形状は一例であり、具体的な形状はこれら
に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内で
設計変更可能である。又、連結部材7a、7b、7c又
は補強材25としての鋼棒又はアンカーボルトは、機械
的性質たる弾性及び靱性力において優位性を有し、その
使用に好適であるが、該連結部材7a、7b、7c又は
補強材25には鋼板、ワイヤー、ロープ等を使用するこ
ともできるもので、その具体的な材質や連結方法は問わ
ない、更に、該連結部材7a、7b、7c及び補強材2
5の数や位置等も限定されない。
【0055】更に、上記各実施形態における中間クッシ
ョン材4及び下部クッション材21の道路方向への長さ
は、緩衝式防護柵1の長さによって制約されるものでは
なく、本発明の意図する範囲内で任意に変更可能であ
る。又、その端面形状も一例であり、側壁方向に向けて
漸開するもの、均一厚みのもの、略凹型又は略L型のも
の、上下面の少なくとも一方が凹状の屈曲面又は曲線面
のもの、その略中央部が断続してなるもの、或いは、そ
の上面及び/又は下面に凸部4d及び/又は凹部4eを
設けたもの等に夫々置換して種々な緩衝式防護柵1を構
成することが可能である。
【0056】又、上記各実施形態において、基礎コンク
リート11の態様が、その上面を曲線面や傾斜面に形成
してなるもの、支持部30や連結部材7b、7c、盲孔
6等を有してなるもの、或いはこれらが混在してなるも
の等、複雑化してその現場施工が煩雑になる恐れのある
ものは、これに代えて予め上記要件を具備させて製品化
した基礎用ブロック11′(図(ニ)にその一例を示
す)を使用することもでき、この場合は、基礎用ブロッ
ク11′上位の緩衝式防護柵1を含めて迅速施工性を確
保することができるものである。
【0057】
【発明の効果】本発明に係る緩衝式防護柵は、車両走行
側に位置する上部躯体及び下部躯体の側壁を対車壁面と
なし車両の走行方向に沿って路面に設置される防護柵
が、前記上、下部躯体の界面間に介在する中間クッショ
ン材と、下部躯体の下部に設けられる下部クッション材
とからなるために、車両のタイヤ等が誤って前記下部躯
体の対車壁面に接触すると、その衝撃力により下部躯体
が車両接触側と反対側に傾倒し、その下部に設けた下部
クッション材が基礎コンクリート間にあって圧縮される
ことで弾性変形を起こして縮み、又、衝突の度合いが激
しく、その車両が緩衝式防護柵の上位に至って上部躯体
の対車壁面に衝突すると、該上部躯体が車両衝突側と反
対側に傾倒し、上、下部躯体の界面間に介在された中間
クッション材が圧縮されることで弾性変形を起こして縮
む。従って、上、下部躯体間に介在せる中間クッション
材、並びに下部躯体の下部に設けられる下部クッション
材の弾性変形作用によって車両衝突時の衝撃力が二重に
吸収、緩和されて衝突車両の損傷やドライバーの負傷を
未然に防止するとともに、衝撃力が退避した後には、前
記圧縮変形せる中間クッション材及び下部クッション材
の弾性反発力により、傾倒せる上、下部躯体を車両衝突
側へ押し戻し、原状に起立せしめて交通の安全を確保す
る。
【0058】又、本発明に係る緩衝式防護柵は、その界
面間及び/又は底部と基礎コンクリート間に支持部が設
けられてなるために、上部躯体又は防護柵全体の自重が
支持部により支持され、常時においては中間クッション
材又は下部クッション材への載荷が減じられて弾性体か
らなる中間クッション材又は下部クッション材の疲労、
劣化が予防され、且つ車両衝突時においては支持部と界
面、底部若しくは基礎コンクリートとの当接部を支点と
した回動可能な構造によって、上部躯体又は下部躯体を
側壁方向へより動き易くする。
【0059】又、本発明に係る緩衝式防護柵は、中間ク
ッション材及び/又は下部クッション材を側壁方向の側
部に向けて漸開させてなるために、衝撃力を受けて傾倒
する上部躯体又は下部躯体によって大きな圧縮力が作用
する中間クッション材又は下部クッション材の端部の肉
厚が中央部付近より分厚く形成されてなり、大なる衝撃
力に対してもその端部が挫滅することなく縮んで衝撃力
を吸収、緩和するとともに、反発力も大きくなって短時
間のうちに上部躯体又は下部躯体を原状に復帰させる。
【0060】又、本発明に係る緩衝式防護柵は、上、下
部躯体の界面の少なくとも一方及び/又は下部躯体の底
部が凸状の屈曲面又は曲線面に形成され、これに添うべ
く中間クッション材の上下面の少なくとも一方及び/又
は下部クッション材の上面が凹状の屈曲面又は曲線面に
形成されてなるために、上、下部躯体の界面が呈する凸
状の面形状によって上部躯体が、又、底部が呈する凸状
の面形状によって下部躯体が側壁方向へ揺れ動き易くな
るとともに、中間クッション材及び下部クッション材の
側壁方向、即ち、対車壁面側から作用する衝撃力により
上部躯体又は下部躯体が傾倒して大なる圧縮力が作用す
る端部側程、その厚みが分厚く形成されてなり、対車壁
面に作用する大なる衝撃力に対しても中間クッション材
及び下部クッション材が挫滅することなく縮んで衝撃力
を効率的に吸収、緩和し、又、その反発力も大きくなっ
てより短時間のうちに上部躯体又は下部躯体を原状に復
帰させる。
【0061】又、本発明に係る緩衝式防護柵は、下部ク
ッション材が端面視略L型に形成されて底部の両側に設
けられ、或いは端面形状が略凹型又は略L型で底部に全
面的に設けられてなるために、略L型又は略凹型をなす
下部クッション材の立上部が傾倒による圧縮力を大きく
受ける下部躯体の底部の端部にあり、且つその立上部が
下部躯体の側壁部と路盤を構成する路材との間に位置し
てなり、車両衝突時に下部躯体が傾倒する際の側壁部と
路材との接触を回避して、その傾倒及び原状復帰をスム
ーズに行わせることができ、又、略L型でその両側に設
けられる下部クッション材は、底部の側壁方向中央部の
部位が割愛されて、底部の中央部と基礎コンクリートと
の接触が回避されるとともに、使用材料が軽減して安価
な防護柵となす。
【0062】又、本発明に係る緩衝式防護柵は、対車壁
面の一方が直面に形成され、端面視略L字状に形成され
てなるために、前記対車壁面側を車道となし、又、他方
直面側を歩道や自転車道等となすことが可能となり、道
路の路側における交通の安全をも確保する。
【0063】又、本発明に係る緩衝式防護柵は、端面視
略L字状の緩衝式防護柵を2個離隔して並列させ、且つ
その直面を対向させることで形成される直面間の空所内
に土壌を充填してなるために、前記中間クッション材及
び下部クッション材による衝撃力の吸収、緩和作用に加
えて、上、下部躯体の背面にあって充填土壌が衝撃力を
受承して吸収することで、衝突車両に対する耐力が更に
向上するとともに、土壌面に植樹を施すとグリーンベル
トを有する防護柵が形成されて、その緑がドライバーの
目の疲れを和らげる。
【0064】又、本発明に係る緩衝式防護柵は、前記直
面に保水材及び/又は断熱材を設けてなるために、直面
側に充填された土壌が保水材によって適度な含水状態に
保たれ、又、断熱材によって日光や排気ガスを浴びて高
温化した上、下部躯体からの伝導熱が遮断され、その乾
燥を防止するので、充填土壌が植生繁茂に好適な状態に
常時維持される。
【0065】又、本発明に係る緩衝式防護柵は、中間ク
ッション材及び/又は下部クッション材の略中央部が断
続してなるために、中間クッション材及び/又は下部ク
ッション材の平面形状が夫々略梯子状を呈してなり、中
間クッション材にあっては上、下部躯体の界面間におけ
る略中央部に空所を形成し、中間クッション材と界面相
互間の接触面積及び抵抗を少なくして上部躯体を、又、
下部クッション材にあっては基礎コンクリートと下部躯
体の底部間における略中央部に空所を形成し、下部クッ
ション材と底部間の接触面積及び抵抗を少なくすること
で下部躯体をより傾倒し易くする。
【0066】又、本発明に係る緩衝式防護柵は、中間ク
ッション材及び/又は下部クッション材が車両走行方向
に断続してなるために、中間クッション材により上、下
部躯体の界面間に空所が形成され、防護柵によって区画
された車線間が断続的に連通するので、走行車両が発す
る騒音や排気ガスが前記空所内を透過し、滞留せずに消
音、拡散することで道路環境が保全され、又、下部クッ
ション材により下部躯体の底部と基礎コンクリートとの
間にも空所が形成され、防護柵によって区画された道路
面が断続的に連続するので、道路敷における表面水の集
排水に好適であるとともに、中間クッション材及び下部
クッション材の使用量が減少して一連の防護柵を安価に
構成できる。
【0067】又、本発明に係る緩衝式防護柵は、上、下
部躯体を連結する連結部材及び/又は底部の少なくとも
一部と基礎コンクリートを連結する連結部材、或いは下
部躯体を通し上部躯体と基礎コンクリートを連結する連
結部材が設けられてなるために、各連結部材の弾性及び
靱性力により、中間クッション材及び下部クッション材
による衝撃力の吸収、緩和並びに上、下部躯体の原状復
帰作用を助勢し、且つ極度な衝撃力に対しても連結部材
の強靱な締結力により上部躯体、下部躯体及び基礎コン
クリートが夫々一体化して、上部躯体若しくは下部躯体
の移動や転倒を阻止する。
【0068】又、本発明に係る緩衝式防護柵は、中間ク
ッション材が上、下部躯体のそれぞれの界面に、又、下
部クッション材が下部躯体の側壁部及び/又は底部に固
着されてなるために、上部躯体の傾倒により車両衝突時
の衝撃力を吸収した片側の中間クッション材が界面間に
おいて圧縮による弾性変形を起こして縮んでいる時、こ
れとは反対側の中間クッション材が該界面間で伸び変形
を起こすと同時に上部躯体を下部躯体側へ引き戻す引張
り作用を奏する。而して、下部クッション材の下面と基
礎コンクリートの上面とを固着して設置すると、下部躯
体の傾倒により車両衝突時の衝撃力を吸収した片側の下
部クッション材が側壁部及び/又は底部と基礎コンクリ
ートの界面間にあって圧縮による弾性変形を起こして縮
んでいる時、これとは反対側の下部クッション材が該界
面間で伸び変形を起こすと同時に下部躯体を基礎コンク
リート側へ引き戻す引張り作用を奏する。従って、衝撃
力が退避した後には前記中間クッション材及び下部クッ
ション材の引張り作用と圧縮による反発作用とが左右交
互に繰り返される。即ち、その下部と中間部において二
重の緩衝体が形成されることとなり、上、下部躯体の過
度な傾倒を防止するとともに、バネ的効果を奏して短時
間のうちに防護柵全体を原状に復帰させる。
【0069】又、本発明に係る緩衝式防護柵は、前記直
面の下部又は底部の全幅を直面側に向けて直線状又は屈
曲線状又は曲線状の上向面に形成するとともに、下部ク
ッション材の一側の上面が前記上向面に添うべく、直面
側に漸開してなるために、下部クッション材の直面側、
即ち、対車壁面側から作用する衝撃力により下部躯体が
傾倒して大なる圧縮力が作用する部位側程、その厚みが
分厚く形成されてなり、対車壁面側からの大なる衝撃力
に対しても下部クッション材が挫滅することなく縮んで
衝撃力を吸収、緩和し、又、その反発力も大きくなって
より短時間のうちに防護柵を原状に復帰させる。
【0070】又、本発明に係る緩衝式防護柵の構築方法
は、車両走行側に位置する上部躯体及び下部躯体の側壁
を対車壁面となし、車両の走行方向に沿って路面に設置
される防護柵にあって、前記上、下部躯体の界面間に中
間クッション材を介在させ、且つ下部躯体の下部に下部
クッション材を設けて基礎コンクリートと連結するため
に、車両衝突時の衝撃力を上部躯体及び/又は下部躯体
が傾倒することで、その界面間又は下部躯体と基礎コン
クリートとの間において弾性変形して縮む中間クッショ
ン材又は下部クッション材によって吸収、緩和し、且つ
衝撃力退避後には、前記圧縮せる中間クッション材又は
下部クッション材の弾性反発力によって上、下部躯体を
原状の起立状態に復帰させることが可能となり、衝突車
両の損傷やドライバーの負傷、並びに二次事故が未然に
防止される一連の緩衝式防護柵を車両走行方向に沿って
構築する。
【0071】又、本発明に係る緩衝式防護柵用のクッシ
ョン材は、防護柵を構成する上、下部躯体の界面間に介
在される中間クッション材及び下部躯体の底部と基礎コ
ンクリート間に介在される下部クッション材が多孔質に
形成されてなるために、それ自体の硬度が低くなること
で外力に対して弾性変形を起こす度合いが大きくなり、
衝撃力の緩衝能力が向上するとともに、透水、断熱、吸
音、浄化等の機能が更に付加されることで、該中間クッ
ション材及び下部クッション材を用いた緩衝式防護柵の
多様化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態を示す緩衝式防護柵であ
って、(イ)は敷設状態を示す一部正面図、(ロ)は同
平面図、(ハ)は(イ)におけるA−A断面図。
【図2】(イ)乃至(ホ)は図1における緩衝式防護柵
の衝突状態を示す敷設断面図。
【図3】本発明に係る緩衝式防護柵に使用するクッショ
ン材を示し、(イ)は中間クッション材の平面図、
(ロ)は(イ)におけるB−B断面図、(ハ)は下部ク
ッション材の平面図、(ニ)は(ハ)におけるC−C断
面図。
【図4】本発明の他実施形態を示す緩衝式防護柵であっ
て、(イ)は敷設状態を示す一部正面図、(ロ)は同平
面図、(ハ)は(イ)におけるD−D断面図、(ニ)は
衝突状態を示す一部拡大断面図、(ホ)は他の下部クッ
ション材を用いた敷設断面図。
【図5】本発明の他実施形態を示す緩衝式防護柵の敷設
断面図。
【図6】(イ)乃至(ヘ)は、本発明の他実施形態を示
す緩衝式防護柵の一部敷設断面図。
【図7】(イ)は図(ハ)及び(ホ)におけるL−L
断面図、(ロ)は同(ヘ)におけるM−M断面図。
【図8】本発明の他実施形態を示す緩衝式防護柵であっ
て、(イ)は一部敷設断面図、(ロ)は(イ)における
N−N断面図、(ハ)は(ロ)おにけるO−O断面図、
(ニ)は基礎用ブロックの一例で、その敷設断面図。
【図9】(イ)乃至(ハ)は本発明の他実施形態に係る
緩衝式防護柵の敷設断面図。
【図10】(イ)乃至(ホ)は、本発明の他実施形態に
係る緩衝式防護柵の上、下部躯体の連結状態を示す一部
断面図。
【図11】(イ)乃至(ハ)は、本発明の他実施形態に
係る緩衝式防護柵の上、下部躯体の連結状態を示す一部
断面図、(ニ)は(ハ)におけるP−P断面図。
【図12】(イ)乃至(ニ)は、本発明の他実施形態に
係る緩衝式防護柵の一部断面図。
【図13】(イ)乃至(ハ)は、本発明の他実施形態に
係る緩衝式防護柵の一部断面図。
【図14】(イ)乃至(ホ)は、本発明の他実施形態に
係る緩衝式防護柵の一部断面図。
【図15】本発明の他実施形態を示す緩衝式防護柵の敷
設断面図。
【図16】本発明の他実施形態を示す緩衝式防護柵の敷
設断面図。
【図17】本発明の他実施形態を示す緩衝式防護柵の敷
設断面図。
【図18】本発明の他実施形態に係る緩衝式防護柵を示
し、(イ)は敷設状態を示す一部平面図、(ロ)は
(イ)におけるE−E断面図。
【図19】本発明の他実施形態を示す緩衝式防護柵の敷
設断面図。
【図20】本発明の他実施形態を示す緩衝式防護柵の敷
設断面図。
【図21】本発明の他実施形態に係る緩衝式防護柵を示
し、(イ)は敷設状態を示す一部正面図、(ロ)は
(イ)におけるF−F断面図、(ハ)は同G−G断面
図、(ニ)は同Q−Q断面図、(ホ)は(ニ)における
R−R断面図、(ヘ)及び(ト)は他の上部躯体、下部
躯体、基礎コンクリートの連結部を示す一部断面図。
【図22】クッション材の一部平面図を示し、(イ)は
中間クッション材、(ロ)は下部クッション材。
【図23】(イ)及び(ロ)は本発明の他実施形態に係
る緩衝式防護柵の敷設状態を示す一部正面図。
【図24】(イ)は図2(イ)及び(ロ)におけるH
−H断面図、(ロ)は同I−I断面図。
【図25】本発明の他実施形態に係る緩衝式防護柵を示
し、(イ)は敷設状態を示す一部正面図、(ロ)は
(イ)におけるJ−J断面図、(ハ)は同K−K断面
図。
【図26】(イ)乃至(ホ)は本発明の他実施形態に係
る緩衝式防護柵の敷設断面図。
【符号の説明】
1…緩衝式防護柵、2…上部躯体、2a…界面、2b…
凹部、2c…凸部、2d…係止部、3…下部躯体、3a
…界面、3b…凹部、3c…凸部、3d…側壁部、3e
…係止部、4…中間クッション材、4c,21c…
部、4d…凸部、4e…凹部、4f…切欠部、4”…端
面用のクッション材、5,5′…通孔、6…盲孔、7
a,7b,7c…連結部材、8…接続壁、9…アンカー
ボルト埋設孔、10…アンカーボルト、11…基礎コン
クリート、11′…基礎用ブロック、12…固着材、1
3…膨出部、14…キャップ、15…ナット、16…空
所、17…対車壁面、17a…平坦部、18…直面、2
0…底部、20a…上向面、21…下部クッション材、
21a…立上部、22…土壌、23…保水材、24…断
熱材、25…補強材、30…支持部、31…クッション
材(上部躯体全体)、31d…軟質弾性体、31e…硬
質弾性

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両走行側に位置する上部躯体(2)及
    び下部躯体(3)の側壁を対車壁面(17)となし車両
    の走行方向に沿って路面に設置される防護柵が、前記
    上、下部躯体(2)、(3)の界面(2a)、(3a)
    間に介在する中間クッション材(4)と、下部躯体
    (3)の下部に設けられる下部クッション材(21)と
    からなることを特徴とする緩衝式防護柵。
  2. 【請求項2】 前記界面(2a)、(3a)間及び/又
    は底部(20)と基礎コンクリート(11)間に支持部
    (30)が設けられてなる請求項1記載の緩衝式防護
    柵。
  3. 【請求項3】 前記中間クッション材(4)及び/又は
    下部クッション材(21)を側壁方向の側部に向けて漸
    開させてなる請求項1又は2記載の緩衝式防護柵。
  4. 【請求項4】 前記界面(2a)、(3a)の少なくと
    も一方及び/又は下部躯体(3)の底部(20)が凸状
    の屈曲面又は曲線面に形成され、これに添うべく中間ク
    ッション材(4)の上下面の少なくとも一方及び/又は
    下部クッション材(21)の上面が凹状の屈曲面又は曲
    線面に形成されてなる請求項1乃至3の何れかに記載の
    緩衝式防護柵。
  5. 【請求項5】 前記下部クッション材(21)が端面視
    略L型に形成され、底部(20)の両側に設けられてな
    る請求項1乃至4の何れかに記載の緩衝式防護柵。
  6. 【請求項6】 前記下部クッション材(21)の端面形
    状が略凹型又は略L型である請求項1乃至4の何れかに
    記載の緩衝式防護柵。
  7. 【請求項7】 前記対車壁面(17)の一方が直面(1
    8)に形成され、端面視略L字状に形成されてなる請求
    項1乃至6の何れかに記載の緩衝式防護柵。
  8. 【請求項8】 前記防護柵を離隔して並列させ、且つそ
    の直面(18)を対向させることで形成される直面(1
    8)間の空所(16)内に土壌(22)を充填してなる
    請求項7記載の緩衝式防護柵。
  9. 【請求項9】 前記直面(18)に保水材(23)及び
    /又は断熱材(24)を設けてなる請求項7又は8記載
    の緩衝式防護柵。
  10. 【請求項10】 前記中間クッション材(4)及び/又
    は下部クッション材(21)の略中央部が断続してなる
    請求項1乃至9の何れかに記載の緩衝式防護柵。
  11. 【請求項11】 前記中間クッション材(4)及び/又
    は下部クッション材(21)が車両走行方向に断続して
    なる請求項1乃至10の何れかに記載の緩衝式防護柵。
  12. 【請求項12】 前記上、下部躯体(2)、(3)を連
    結する連結部材(7a)及び/又は底部(20)の少な
    くとも一部と基礎コンクリート(11)を連結する連結
    部材(7b)、或いは下部躯体(3)を通し上部躯体
    (2)と基礎コンクリート(11)を連結する連結部材
    (7c)が設けられてなる請求項1乃至11の何れかに
    記載の緩衝式防護柵。
  13. 【請求項13】 前記中間クッション材(4)が上、下
    部躯体(2)、(3)のそれぞれの界面(2a)、(3
    a)に、又、下部クッション材(21)が下部躯体
    (3)の側壁部(3d)及び/又は底部(20)に固着
    されてなる請求項1乃至12の何れかに記載の緩衝式防
    護柵。
  14. 【請求項14】 前記直面(18)の下部又は底部(2
    0)の全幅を直面(18)側に向けて直線状又は屈曲線
    状又は曲線状の上向面(20a)に形成するとともに、
    下部クッション材(21)の一側の上面が前記上向面
    (20a)に添うべく、直面(18)側に漸開してなる
    請求項7乃至9の何れかに記載の緩衝式防護柵。
  15. 【請求項15】 車両走行側に位置する上部躯体(2)
    及び下部躯体(3)の側壁を対車壁面(17)となし、
    車両の走行方向に沿って路面に設置される防護柵にあっ
    て、前記上、下部躯体(2)、(3)の界面(2a)、
    (3a)間に中間クッション材(4)を介在させ、且つ
    下部躯体(3)の下部に下部クッション材(21)を設
    けて基礎コンクリート(11)と連結することを特徴と
    する緩衝式防護柵の構築方法。
  16. 【請求項16】 防護柵を構成する上、下部躯体
    (2)、(3)の界面(2a)、(3a)間に介在され
    る中間クッション材(4)並びに下部躯体(3)の底部
    (20)と基礎コンクリート(11)間に介在される下
    部クッション材(21)であって、該中間クッション材
    (4)及び下部クッション材(21)が多孔質に形成さ
    れてなることを特徴とする緩衝式防護柵用のクッション
    材。
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