JP3306073B2 - 増加した結合親和性、配列特異性および溶解性を有するペプチド核酸 - Google Patents

増加した結合親和性、配列特異性および溶解性を有するペプチド核酸

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids

Description

【発明の詳細な説明】 関連出願のクロスリファレンス 本出願は、1996年7月24日にそれぞれ出願された米国
特許出願第08/685,484号、第08/686,116号、第08/686,1
14号および第08/686,113号の一部継続出願であり、これ
らはそれぞれ、1993年11月22日出願の米国特許出願第08
/108,591号の一部継続出願であり、これは、1991年5月
24日出願のデンマーク特許出願第986/91号、1991年5月
24日出願のデンマーク特許出願第987/91号および1992年
4月15日出願のデンマーク特許出願第510/92号の一部継
続出願である。本出願は、1997年5月29日出願の米国仮
出願(番号未付与)の一部継続出願であり且つその利益
を享受する。上述の出願それぞれの開示はそのまま本明
細書中に援用される。
発明の分野 本発明は、天然に存在する核塩基または天然に存在し
ない核塩基がポリアミド主鎖に対して共有結合している
ペプチド核酸(PNA)の配列特異性、結合親和性および
溶解性を増加させる方法に関する。本発明のPNAは、増
加した溶解性、核酸に対する結合親和性および配列特異
性、更には他の有益な性質をもたらす少なくとも1個の
C1−C8アルキルアミン側鎖を含む。いくつかの態様にお
いて、本発明は、ヒスチジン含有ペプチド核酸およびこ
のような化合物を製造する場合に用いられる合成中間体
に関する。
発明の背景 遺伝子の機能は、その情報のメッセンジャーRNA(mRN
A)への転写によって始まる。リポソーム複合体と相互
作用することによって、mRNAはタンパク質の合成を支配
する。このタンパク質合成過程は、翻訳として知られて
いる。翻訳は、種々の補因子、ビルディングブロック、
アミノ酸およびトランスファーRNA(tRNA)の存在を必
要とし、これらはいずれも正常細胞中に存在している。
最も慣用的な薬物は、1種類またはそれ以上の標的と
された内因性タンパク質、例えば、酵素と相互作用し且
つそれらを調節することによって作用する。しかしなが
ら、典型的に、このような薬物は、標的のタンパク質に
特異的ではなく、他のタンパク質とも相互作用する。し
たがって、比較的大用量の薬物の使用は、特定のタンパ
ク質の作用を効果的に調節する必要がある。タンパク質
活性の調節を、mRNAとの相互作用またはその失活によっ
て行うことができるならば、必要な薬物の量およびその
薬物の副作用を劇的に減少させることができるであろ
う。必要な薬物の量およびその副作用の更なる減少は、
このような相互作用が部位特異的であるならば得られる
であろう。機能性遺伝子はmRNAを連続的に生じるので、
遺伝子転写をそのままの状態で停止できるならば、それ
はなお一層好都合であろう。オリゴヌクレオチドおよび
それらの類似体は、診断薬、治療薬および研究用試薬と
して開発され且つ用いられてきた。オリゴヌクレオチド
に対する修飾の一例は、非同位体標識、例えば、フルオ
レセイン、ビオチン、ジゴキシゲニン、アルカリ性ホス
ファターゼまたは他のリポーター分子で標識することで
ある。他の修飾は、リボースリン酸主鎖に対して、ヌク
レアーゼに対する耐性を増加させるように行われてき
た。これら修飾には、メチルホスホネート、ホスホロチ
オエートおよびホスホロジチオエート、および2′−O
−メチルリボース糖残基などの結合の使用が含まれる。
他のオリゴヌクレオチド修飾には、取込みおよび細胞内
分布を調節させるものが含まれる。ホスホロチオエート
オリゴヌクレオチドは、現在、様々な疾患状態の治療用
のヒト臨床試験においてアンチセンス剤として用いられ
ている。診断および治療の使用における若干の改良は、
これらオリゴヌクレオチド修飾で実現されてきたが、改
良されたオリゴヌクレオチド類似体がなお要求されてい
る。
当該技術分野において、天然に存在するリボ核酸また
はデオキシリボ核酸以外の主鎖に対して結合した核塩基
を有する核酸類似体がいくつか知られている。これら核
酸類似体は、相補的核塩基配列を有する核酸に対して結
合する能力を有する。これらの中でも、例えば、WO92/2
0702号で記載されたようなペプチド核酸(PNA)は、治
療用および診断用試薬として有用であることが示されて
きた。これは、相補的核塩基配列に対するそれらの親和
性が、対応する野生型核酸より概して高いためであると
考えられる。
PNAは、オリゴヌクレオチドに似ているが、組成が異
なる化合物である。PNAの場合、オリゴヌクレオチドの
デオキシリボース主鎖は、ペプチド主鎖で置換えられて
いる。そのペプチド主鎖のそれぞれのサブユニットは、
天然に存在するまたは天然に存在しない核塩基に対しし
て結合している。一つのこのようなペプチド主鎖は、ア
ミド結合によって結合したN−(2−アミノエチル)グ
リシンの反復単位から構築されている。
PNAは、DNAおよびRNA両方に対して結合し且つPNA/DNA
またはPNA/RNA二重らせんを形成する。得られたPNA/DNA
またはPNA/RNA二重らせんは、それらのより高い融解温
度(Tm)によって示されるように、対応するDNA/DNAま
たはDNA/RNA二重らせんより堅固に結合している。このP
NA/DNA(RNA)二重らせんの高熱安定性は、PNA主鎖の中
性に起因するとされてきたが、これは、DNA/DNAまたはR
NA/RNA二重らせん中に存在する電荷反発をなくさせる。
PNA/DNA(RNA)二重らせんののもう一つの利点は、Tm
塩濃度とほとんど無関係であるということである。
ホモピリミジンPNAは、相補的DNAまたはRNAを結合し
て、高熱安定性の三重らせん(PNA)2/DNA(RNA)を形
成することが示された(Egholmら,Science,1991,254,14
97;Egholmら,J.Am.Chem.Soc.,1992,114,1895;Egholmら,
J.Am.Chem.Soc.,1992,114,9677)。
増加した親和性に加えて、PNAは、DNA結合に対する増
加した特異性を有する。例えば、PNA/DNA二重らせん誤
対合は、DNA/DNA二重らせんに相対して8〜20℃のTm
降下を示す。このTmの減少は、対応するDNA/DNA二重ら
せん誤対合では見られない(Egholmら,Nature 1993,36
5,566)。
DNAまたはRNA鎖に対するPNA鎖の結合は、2種類の配
向の内の一方で存在しうる。その配向は、5′〜3′配
向のDNAまたはRNA鎖が相補的PNA鎖に対して結合して、
そのPNAのカルボキシル末端がそのDNAまたはRNAの5′
末端に向けられ且つPNAのアミノ末端がDNAまたはRNAの
3′末端に向けられるようにある場合、逆平行であると
いわれる。平行配向の場合、PNAのカルボキシル末端お
よびアミノ末端は、DNAまたはRNAの5′〜3′方向に関
してちょうど逆である。
PNAは、一本鎖NDAおよび二本鎖DNA両方に対して結合
する。上記のように、二本鎖DNAに対して結合する場
合、PNAの二本の鎖はDNAに対して結合できることが観察
された。PNA/DNA二重らせんは逆平行な立体配置で安定
であるので、(PNA)2/DNAには平行な配向が好ましいと
従来考えられていた。
二本鎖DNAに対する二本の一本鎖ピリミジンPNAの結合
は、三重らせん形成性オリゴヌクレオチドで見られるよ
うな慣用的な三重らせん形成よりもむしろ、鎖置換によ
って起こることが判った。PNA鎖が二本鎖DNAに侵入する
と、そのDNAの一方の鎖は置換され且つ(PNA)2/DNA複
合体部分とは別にループを形成する。DNAのもう一方の
鎖は、(PNA)2/DNA三重らせん構造内に固定される。一
本鎖であるループ部分(代わりにDループとも称され
る)は、一本鎖DNAを切断しうる酵素による切断を受け
やすい。
オリゴヌクレオチドと比較されるPNAのもう一つの利
点は、PNAのポリアミド主鎖が酵素による分解に対して
耐性であることである。
これらの性質は、いくつかの用途においてPNAを有用
にさせる。PNAは、オリゴヌクレオチドより強い結合お
よび大きい特異性を有するので、それらは、クローニン
グ、ブロッティング法においてプローブとして、および
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)などの用
途において用いられる。ホモピリミジンPNAは、ホモプ
リン標的中の鎖置換に用いられる。Dループと重なるま
たは隣接した制限部位は、制限酵素によって切断されな
い。更に、局所三重らせんは遺伝子転写を阻害する。し
たがって、DNAフラグメント中の特定の制限部位に対す
るPNAの結合の場合、それら部位での切断は阻害される
ことがありうる。クローニングおよびサブクローニング
法において、これは好都合でありうる。標識されたPNA
は、DNA分子を直接的に地図で示すのにも用いられる。
これを行う場合、蛍光標識を有するPNA分子を、鎖侵入
を用いて二重らせんDNA中の相補的配列に対してハイブ
リッド形成させる。
PNAは、更に、PCRに基づく検定(PCRクランピング(c
lamping))において点突然変異を検出するのに用いら
れてきた。PCRクランピングは、研究中のDNAのセグメン
ト中でのPCRに基づく検定、例えば、通常の野生型対立
遺伝子と突然変異対立遺伝子との間の区別において点突
然変異を検出するのにPNAを用いる。野生型配列に対し
て相補的なPNAオリゴマーを合成する。そのPCR反応混合
物は、このPNAおよび二つのDNAプライマーを含有し、そ
れら二つの内の一方は、突然変異体配列に対して相補的
である。野生型PNAオリゴマーおよびDNAプライマーは、
標的に対するハイブリッド形成に関して拮抗する。DNA
プライマーのハイブリッド形成および引続きの増幅は、
その標的が突然変異対立遺伝子である場合にしか起こら
ないあろう。この方法を用いると、突然変異体の存在お
よび正確な識別点を確認することができる。
多数の研究は、診断薬、研究用試薬および可能性のあ
る治療薬として用いるための相補的DNAおよびRNA鎖に対
して結合するオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオ
チド類似体の出願に関している。多数の出願に関して、
それらオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド類
似体は、細胞膜を越えて輸送されるべきであるしまたは
それらの活性を発現する細胞によって取込まれるべきで
ある。PCT/EP/01219号は、相補的DNAおよびRNAに対し
て、対応するDNAより堅固に結合する新規PNAを記載して
いる。これらPNAに対して、それらの活性を調節する、
それらの膜透過性を変更するまたはそれらの細胞内取込
み特性を増加させるであろう基を付加することは望まし
い。PNAの細胞内取込み特性量を増加させる一つの方法
は、親油性基を結合することである。1993年9月3日出
願の米国特許出願第117,363号は、数種類のアルキルア
ミノ官能基およびオリゴヌクレオチドに対するこのよう
な側基の結合におけるそれらの使用を記載している。
1992年9月11日出願の米国特許出願第07/943,516号お
よびその該当する公開PCT出願WO94/06815号は、他の新
規なアミン含有化合物および、特に、細胞内取込みを増
加させる、親油性を増加させる、より大きい細胞内保持
を引き起こすおよび化合物の細胞内分布を増加させるた
めの、オリゴヌクレオチド中へのそれらの包含を記載し
ている。
1993年9月3日出願の米国特許出願第08/116,801号
は、チオアルキル官能基を含むように誘導体化され、そ
れによって側基を結合するヌクレオシドおよびオリゴヌ
クレオシドを記載している。
ペプチド核酸は、プリンまたはピリミジン核塩基を含
有しうる。しかしながら、高プリン核塩基含量を有する
従来のPNAは、生理学的pHにおいて減少した溶解性を示
す。本発明のPNAは、この問題を克服している。
最近の進歩にもかかわらず、核酸に対する結合を増加
させるまたは調節する、ハイブリッド形成した複合体を
安定化させるおよび水への溶解性を増加させる安定な化
合物がなお必要とされている。
発明の概要 本発明は、相補的DNAまたはRNAに関するペプチド核酸
(PNA)の可溶性、配列特異性および結合親和性を、PNA
中へのC1−C8アルキルアミン側鎖の包含によって増加さ
せる方法を提供する。
本発明のペプチド核酸(PNA)は、概して、ポリアミ
ド主鎖に対して結合したリガンドを含む。典型的なリガ
ンドには、適当なリンカーによってポリアミド主鎖に対
して結合した4種類の主要な天然に存在するDNA核塩基
(すなわち、チミン、シトシン、アデニンおよびグアニ
ン)、他の天然に存在する核塩基(例えば、イノシン、
ウラシル、5−メチルシトシン、チオウラシルまたは2,
6−ジアミノプリン)または人工塩基(例えば、ブロモ
チミン、アザアデニンまたはアザグアニン)が含まれ
る。
一つの態様において、本発明は、ペプチド核酸のDNA
またはRNA配列特異性を増加させる方法であって、式
(I) (式中、Lは、それぞれ独立して、天然に存在する核塩
基および天然に存在しない核塩基から成る群より選択さ
れ; R7'は、それぞれ独立して、水素またはC1−C8アルキ
ルアミンであり、但し、少なくとも一つのR7'はC1−C8
アルキルアミンであるという条件付きであり; Rhは、OH、NH2またはNHLysNH2であり; Riは、H、COCH3またはt−ブトキシカルボニルであ
り;そして nは、1〜30の整数である) を有する前記ペプチド核酸中へC1−C8アルキルアミン側
鎖を包含させることによる上記方法を提供する。
好ましくは、少なくとも一つのR7'は、C3−C6アルキ
ルアミンである。更に好ましくは、少なくとも一つの
R7'は、C4−C5アルキルアミンである。なお一層好まし
くは、少なくとも一つのR7'はブチルアミンである。ま
た更に好ましくは、R7'の実質的に全部がブチルアミン
である。
好ましくは、置換基R7'が結合している炭素原子は、
立体化学的に強化されている。以下、「立体化学的に強
化される」とは、一つの立体異性体が、他の立体異性体
より多く、有益な作用を与えるような充分な量で存在す
ることを意味する。好ましくは、一つの立体異性体は、
50%を越えるまで存在する。更に好ましくは、一つの立
体異性体は、80%を越えるまで存在する。一層好ましく
は、一つの立体異性体は、90%を越えるまで存在する。
また更に好ましくは、一つの立体異性体は、95%を越え
るまで存在する。なお一層好ましくは、一つの立体異性
体は、99%を越えるまで存在する。またなお一層好まし
くは、一つの立体異性体は、実質的な量で存在する。好
ましくは、立体化学的強化は、R立体配置による。
好ましくは、ペプチド核酸はアミノ酸から誘導され
る。更に好ましくは、ペプチド核酸はD−リシンから誘
導される。
本発明は、更に、式(I)を有するペプチド核酸中へ
C1−C8アルキルアミン側鎖を包含させることによってそ
のペプチド核酸のDNAまたはRNA結合親和性を増加させる
方法を提供する。
本発明は、更に、式(I)を有するペプチド核酸中へ
C1−C8アルキルアミン側鎖を包含させることによってそ
のペプチド核酸の溶解性を増加させる方法を提供する。
本発明のPNAは、標準的なペプチド合成法の適応によ
り、溶液中でかまたは固相上で合成される。
若干の好ましい実施態様において、本発明のモノマー
サブユニットは、当該技術分野において知られている標
準的な保護基によって保護されたアミノ酸またはそれら
の活性誘導体である。本発明による好ましいモノマーサ
ブユニットは、式(II) (式中、Lは、天然に存在する核塩基若しくは天然に存
在しない核塩基、またはその保護された誘導体であり; R7'は、水素またはC1−C8アルキルアミンであり; Eは、COOHまたはその活性化された若しくは保護され
た誘導体であり;そして Zは、NH2またはNHPgであり、ここにおいて、Pgはア
ミノ保護基である) を有するアミノ酸化合物である。
好ましくは、R7'はC3−C6アルキルアミンである。更
に好ましくは、R7'はC4−C5アルキルアミンである。ま
た更に好ましくは、R7'はブチルアミンである。
置換基R7'が結合している炭素原子(星印で示されて
いる)は、立体化学的に強化されている。好ましくは、
その立体化学的強化は、R立体配置による。
好ましくは、本発明の化合物(II)は、アミノ酸から
誘導される。更に好ましくは、本発明の化合物(II)
は、D−リシンから誘導される。
本発明の一つの態様は、式(III) [式中、R8は、Hまたはアミン保護基であり; R9は、H、1〜約12個の炭素原子を有するアルキル、
または2〜約12個の炭素原子を有するアルケニルであ
り; R4およびR5の一方はHであり、そしてR4およびR5のも
う一方は、式(IV) (式中、R10はアミン保護基である) を有する残基であり; L'は、水素、ヒドロキシ、(C1−C4)アルカノイル、
天然に存在する核塩基、天然に存在しない核塩基、芳香
族残基、DNAインターカレーター、核塩基結合性基、お
よび複素環式残基、リポーターリガンドから成る群より
選択され、ここにおいて、アミノ基は、場合によりアミ
ノ保護基で保護され; Aは、式(II a)〜(II d) (式中、Xは、O、S、Se、NR3、CH2またはC(CH3
であり; Yは、単結合、O、SまたはNR4であり、但し、R4
上記の通りであり; rおよびsはそれぞれ、0または1〜5の整数であ
り; R1およびR2はそれぞれ独立して、水素、(C1−C4)ア
ルキルであって、ヒドロキシ−またはアルコキシ−また
はアルキルチオで置換されていてよいもの、ヒドロキ
シ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノおよびハロゲン
から成る群より選択され;そして R3は、水素、(C1−C4)アルキル、ヒドロキシ−また
はアルコキシ−またはアルキルチオで置換された(C1
C4)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ
およびアミノから成る群より選択される) を有する基である] を有する化合物を提供する。
本発明は、更に、本発明のペプチド核酸および少なく
とも1種類の薬学的に有効な担体、結合剤、増粘剤、希
釈剤、緩衝剤、保存剤または界面活性剤を含む医薬組成
物を提供する。
他の態様において、ペプチド核酸主鎖中に1個または
それ以上の2,6−ジアミノプリン核塩基を包含させるこ
とによってそのペプチド核酸のDNAまたはRNA配列特異性
を増加させる方法に関する方法を提供する。
図面の簡単な説明 図1(a)および1(b)は、DNA認識用の天然に存
在するおよび天然に存在しない核塩基の例を与える。
図2は、Acr1リガンドおよびPNAであるAcr1−(Tae
g)10−Lys−NH2を示す。
図3は、直鎖状非保護PNAアミドの製造を図示する固
相PNA合成の一般的なスキームを与える。
図4は、保護されたPNAシントン(synthons)の合成
の手順を与える。
図5は、共通アミノ酸に該当する側鎖を有するチミン
モノマーシントンの合成の手順を与える。
図6は、チミンモノマーシントンのアミノエチル−β
−アラニン類似体の合成の手順を与える。
図7(a)、7(b)および7(c)は、リシンを含
有するPNAモノマーの合成を示す図である。
図8は、インビトロ翻訳検定においてHCVタンパク質
翻訳の阻害を示すグラフである。
図9は、式(III)を有する化合物の典型的な合成ス
キームである。
発明の詳細な説明 DNAまたはRNAの特異的配列認識には、研究で用いるた
めの生物学的プローブおよび新規試薬の開発がますます
重要である(Uhlmann,E.,Peyman,A.,Chem.Rev.,1990,9
0,544,およびHelene,C.,Toulme.J.J.,Biochim.Biophys.
Acta.,1990,1049,99)。核塩基または核塩基類似体が
(2−アミノエチル)−グリシン主鎖に対してメチレン
カルボニルリンカーによって結合しているDNAのアキラ
ル類似体であるペプチド核酸(PNA)は、それらを生物
学的プローブとしておよび他の用途に用いるのに充分に
適応させる性質を有する。PNAは、相補的DNAに対する強
い結合親和性および特異性、DNA制限酵素切断の配列特
異的阻害および翻訳の部位特異的インビトロ阻害を示し
た(Egholm,M.ら,Chem.Soc.,Chem.Commun.,1993,800;Eg
holm,M.ら,Nature,1993,365,566;Nielsen,M.ら,Nucl.Ac
ids Res.,1993,21,197;およびHanvey,J.C.ら,Science,1
992,258,1481)。PNAの修飾には、伸長主鎖(Hyrup,B.
ら,Chem.Soc.,Chem.Commun.,1993,518)、主鎖と核塩基
との間の伸長リンカー、アミド結合の逆転(Lagriffou
l,P.H.ら,Biomed.Chem.Lett.,1994,4,1081)およびアラ
ニンに基づくキラル主鎖の使用(Dueholm.K.L.ら,BioMe
d.Chem.Lett.,1994,4,1077)が含まれる。
式(I)を有する本発明のPNAにおいて、核塩基L
は、天然において見出される位置、すなわち、アデニン
またはグアニンについて9位およびチミンまたはシトシ
ンについて1位で結合した天然に存在する核塩基、天然
に存在しない核塩基(核塩基類似体)または核塩基結合
性残基である。核塩基Lは、2,6−ジアミノプリン核塩
基などの天然に存在する核塩基でもありうる。若干の典
型的な核塩基および代表的な合成核塩基を図1(a)お
よび1(b)で示す。
式(II)を有する本発明によるモノマーサブユニット
において、Lは、1個またはそれ以上の保護基で保護さ
れていてよい天然に存在する核塩基または天然に存在し
ない核塩基である。典型的な保護基には、t−ブトキシ
カルボニル(BOC)、フルオレニルメチルオキシカルボ
ニル(FMOC)または2−ニトロベンジル(2Nb)が含ま
れる。したがって、このような保護基は、酸、塩基、水
素化分解かまたは光分解に対して不安定でありうる。
好ましくは、R7'は独立して、水素またはC1−C8アル
キルアミンである。
好ましくは、モノマーサブユニット中のEは、COOHま
たはその活性誘導体である。活性化は、例えば、酸無水
物または活性エステル誘導体を用いて達成されうる。
ポリアミド主鎖を形成するアミノ酸は、同じであって
よいしまたは異なっていてよい。本発明者は、2−アミ
ノエチルグリシンに基づくものが、本発明において特に
有用であることを見出した。
本発明のPNAは、ヌクレアーゼ活性若しくはアルキル
化活性を有するリガンドまたはリポーターリガンドなど
の低分子量エフェクターリガンド(例えば、蛍光、スピ
ン標識、放射性、タンパク質認識リガンド、例えば、ビ
オチンまたはハプテン)に対して結合されていてよい。
PNAは、ペプチドまたはタンパク質に対しても結合され
ていてよく、この場合、ペプチドはシグナリング活性を
有する。典型的なタンパク質には、酵素、転写因子およ
び抗体が含まれる。本発明のPNAは、水溶性ポリマー、
水不溶性ポリマー、オリゴヌクレオチドまたは炭水化物
に対しても結合されていてよい。認可される場合、PNA
オリゴマーは、固体支持体に結合した残基(例えば、ペ
プチド類、リポーター、インターカレーターまたは他の
種類のリガンド含有基)上で合成することができる。
式(II)を有する本発明によるモノマーサブユニット
において、Lは、1個またはそれ以上の保護基で保護さ
れていてよい天然に存在する核塩基または天然に存在し
ない核塩基である。
一般式(II)を有する本発明による化合物において、
Lは、1個またはそれ以上の保護基で保護されていてよ
い2,6−ジアミノプリン核塩基である。典型的な保護基
には、t−ブトキシカルボニル(BOC)、フルオレニル
メチルオキシカルボニル(FMOC)または2−ニトロベン
ジル(2Nb)が含まれる。したがって、このような保護
基は、酸、塩基、水素化分解かまたは光分解に対して不
安定でありうる。
好ましくは、R7'は独立して、水素またはC1−C8アル
キルアミンである。
好ましくは、モノマーサブユニット中のEは、COOHま
たはその活性誘導体である。活性化は、例えば、酸無水
物または活性エステル誘導体を用いて達成されうる。
ポリアミド主鎖を形成するアミノ酸は、同じであって
よいしまたは異なっていてよい。本発明者は、2−アミ
ノエチルグリシンに基づくものが、本発明において特に
有用であることを見出した。
本発明のPNAは、遺伝子調節(例えば、遺伝子を標的
とした薬物)、診断薬、バイオテクノロジーおよび他の
研究目的に用いることができる。PNAは、RNAおよび一本
鎖DNA(ssDNA)を標的として両方のアンチセンス型遺伝
子調節残基を生じさせるのに、およびハイブリダイゼー
ションプローブとして、例えば、核酸の識別および精製
にも用いることができる。更に、PNAは、それらが二本
鎖DNA(dsDNA)と一緒に三重らせんを形成するように修
飾することができる。dsDNAに対して配列特異的に結合
する化合物は、遺伝子を標的とした薬物として用いられ
る。これら化合物は、癌、後天性免疫不全症候群(AID
S)並びに他のウイルス感染および遺伝疾患などの疾患
を治療するのに極めて有用な薬物である。更に、これら
化合物は、研究、診断薬において、および特定の核酸の
検出および単離に用いることができる。
遺伝子を標的とした薬物は、標的遺伝子の調節領域
(プロモーター)に対して相補的な核塩基配列(好まし
くは、10〜20単位を含有する)で設計される。したがっ
て、投与すると、遺伝子を標的とした薬物はプロモータ
ーに対して結合し、そしてRNAポリメラーゼをそのプロ
モーターに近づかせない。その結果、mRNAは生産されな
いし、したがって遺伝子産物(タンパク質)も生産され
ない。標的がウイルスの生体遺伝子内にあるならば、生
存可能なウイルス粒子は生産されないであろう。或い
は、標的部分はプロモーターから下流であり、RNAポリ
メラーゼをこの地点で終結させ、したがって、非機能性
である切断されたmRNA/タンパク質を形成しうると考え
られる。
塩基相補的ハイブリダイゼーションによるssDNAの配
列特異的認識は、同様に、特定の遺伝子およびウイルス
を標的とするのに利用することができる。この場合、そ
の標的配列は、標的に対する薬物の結合がリボソームの
作用を妨げ、そして結果としてmRNAのタンパク質への翻
訳を妨げるように、mRNA中に含まれる。本発明のPNA
は、相補的ssDNAに対して、他の現在利用可能なオリゴ
ヌクレオチド類似体より高い親和性を有する。更に、本
発明のPNAは、正味電荷を有する必要はないが、水溶性
を増加させる置換基を有することができ、これが細胞内
取込みを促進する。更に、本発明のPNAは、非生体アミ
ノ酸のアミドを含有し、これらが、それらを生体安定性
で且つ酵素分解に対して耐性にさせる。
C1−C8アルキルアミン側鎖を含む本発明のPNAは、増
加した結合親和性を示す。これは、本発明の前記化合物
と相補的DNA鎖との間に形成された複合体の増加した熱
安定性によって実証される。本発明のPNAは、更に、相
補的核酸に対して結合する場合に増加した溶解性および
配列特異性を示す。
一つの態様において、本発明は、ヒスチジン含有残基
を有するPNAに関する。好ましい化合物は、式(III) [式中、R8は、Hまたはアミン保護基であり; R9は、H、1〜約12個の炭素原子を有するアルキル、
または2〜約12個の炭素原子を有するアルケニル、好ま
しくは、アリル基であり; R4およびR5の一方はHであり、そしてR4およびR5のも
う一方は、式(IV) (式中、R10はアミン保護基である) を有する残基であり; L'は、水素、ヒドロキシ、(C1−C4)アルカノイル、
天然に存在する核塩基、天然に存在しない核塩基、芳香
族残基、DNAインターカレーター、核塩基結合性基、お
よび複素環式残基、リポーターリガンドから成る群より
選択され、ここにおいて、アミノ基は、場合によりアミ
ノ保護基で保護され; Aは、式(II a)〜(II d) (式中、Xは、O、S、Se、NR3、CH2またはC(CH3
であり; Yは、単結合、O、SまたはNR4であり、但し、R4
上記の通りであり; rおよびsはそれぞれ、0または1〜5の整数であ
り; R1およびR2はそれぞれ独立して、水素、(C1−C4)ア
ルキルであって、ヒドロキシ−またはアルコキシ−また
はアルキルチオで置換されていてよいもの、ヒドロキ
シ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノおよびハロゲン
から成る群より選択され;そして R3は、水素、(C1−C4)アルキル、ヒドロキシ−また
はアルコキシ−またはアルキルチオで置換された(C1
C4)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ
およびアミノから成る群より選択される) を有する基である] を有するものである。
いずれの特定の理論にも拘束されたくはないが、この
ような化合物は、増加した取込み特性を有すると考えら
れる。当該技術分野において、主鎖への陽電荷の導入
は、細胞内取込みを増加させうることが知られている。
ヒスチジン残基は、生理学的pHで部分陽電荷が可能であ
る。
本発明によるアルキル基には、メチル、エチル、プロ
ピル、ペンチル、イソプロピル、2−ブチル、イソブチ
ル、2−メチルブチルおよびイソペンチル残基などの1
〜約12個の炭素原子、好ましくは、1〜約7個の炭素原
子を有する直鎖、分岐状鎖および環状の炭水化物が含ま
れるが、これらに制限されるわけではない。
本発明によるアリール基は、例えば、ベンジル基、イ
ミダゾリル基、ナフチル基、フェニル基、ピリジル基、
ピリミジニル基およびキシリル基およびそれらの置換誘
導体、特に、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基およ
びニトロ基で置換されたものを含めた芳香族基である。
好ましいアリール基は、6〜約14個の炭素原子を有す
る。
本明細書中で用いられるアミノ酸という用語は、当該
技術分野において知られている天然に存在するおよび合
成のアミノ酸全てを包含する意味である。概して、アミ
ノ酸は、構造H2N−CH(Rc)−C(O)OH(式中、Rc
アミノ酸側鎖である)を有する。典型的な天然に存在す
る側鎖を表1で示す。
好ましい側鎖には、第一または第二アミンを有するも
のなどの極性を示すものが含まれる。更に好ましいリス
トには、HO−CH2−、HO−C6H5−CH2−、HO2C−CH(N
H2)−CH2−S−S−CH2−、HO−CH2−CH2−、HCO2−CH
2−CH2−、H2N−C(NH)−NH−CH2−CH2−CH2−、H2N
−C(O)−NH−CH2−CH2−CH2−、H2N−CH2−CH2−CH
2−CH2−およびp−HO−m−HO−C6H4−CH2−が含まれ
る。
本発明によるヌクレオチド塩基には、DNAおよびRNA中
に天然に存在するものを含めた複素環式塩基、および修
飾塩基が含まれる。修飾塩基は、プリン環またはピリミ
ジン環が変更されているものである。天然に存在する塩
基には、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサン
チン、ウラシル、シトシンおよびチミンが含まれる。典
型的な修飾塩基には、6−メチルアミノプリン、7−メ
チルグアニンおよび5−メチルシトシンが含まれる。
式(VI)を有する化合物は、式(V)を有する化合物
中にアミノ酸保護基(Pr)を包含させることによって製
造できる。
これは、R9がメチルである化合物について図9で示さ
れる。
保護基は、化合物中に存在するアミン基、カルボキシ
ル基またはヒドロキシル基などの官能基を、その化合物
が晒される化学反応条件に対して不活性にさせるよう
に、このような官能基に対して選択的に付加され且つ除
去されうる化学官能基としてそれ自体知られている。例
えば、GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organi
c Synthesis,第2版,John Wiley & Sons,ニューヨー
ク,1991年を参照されたい。典型的なカルボキシル保護
基には、低級(すなわち、C1−C7)アルキルエステルお
よびベンジルエステルが含まれる。好ましいカルボキシ
ル保護基は、中程度の強酸に対して安定であるが、強酸
性条件で除去されうるものである。
式(VI)を有する化合物は、好ましくは、式(V)を
有するアミノ酸に対して直接的にアミン保護基を付加す
ることによって製造される。この点で適した保護基に
は、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、ベンジルオ
キシカルボニル(CBz)基およびクロロベンジルオキシ
カルボニル基が含まれる。若干の好ましいアミン保護基
には、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)基、t−ブ
チルオキシメチル基、フルオレニルメトキシカルボニル
(Fmoc)基、2,4−ジニトロフェニル基およびイソニコ
チニルオキシカルボニル(i−Noc)基が含まれる。ア
ミノ酸に対する直接結合に好ましいアミン保護基は、酸
性条件に対して安定であるが、塩基性条件下で除去され
うるものである。式(V)を有する化合物は、当業者に
知られている方法により、該当するアミノ酸のアルキル
化によって容易に得ることができる。例えば、R2がメチ
ルである化合物は、(トリメチルシリル)ジアゾメタン
などの既知のメチル化剤を用いるメチル化によって製造
できる。他の方法には、ジアゾメタンでのアルキル化ま
たはカルボキシル基のナトリウム塩の製造に続くヨウ化
メチルでの処理が含まれる。
本発明のPNAは、研究用試薬としておよび診断用手段
として有用である。PNAは、充分に相補的な標的と単一
塩基誤対合の標的とを区別する実験で用いられてきた
(Orum,H.ら,Nucleic Acids Research,1993,21,5332−5
336)。その方法は、PNAの性質、例えば、相補的核酸配
列に対して結合された場合の、対応するデオキシリボオ
リゴヌクレオチドより高い熱安定性、より大きい特異
性、およびPNAはDNAポリメラーゼによってプライマーと
して認識されないことを利用している。PNA/DNA複合体
は、そのPNAがPCRプライマー部位を標的とする場合、PC
R産物の形成を効果的に阻止することができる。この方
法は、同一検定中の2種類の標的配列がたった一つの塩
基対だけで異なる場合、標的配列を遮断するのに有効で
ある。正常なPNAより大きい特異性を有する本発明の化
合物は、この種類の診断用検定において用いるのに充分
に適している。
次の実施例は、本発明を単に例示するものであり、い
かなる意味においても発明の範囲を制限すると解釈され
るべきではない。これら実施例およびそれらの同等物
は、本開示および請求の範囲に照らして当業者に一層明
らかになるであろう。本書で引用されたまたは記載され
た特許、特許出願および公開それぞれの開示は、本明細
書中にそのまま援用される。
本発明によるPNAの合成は、下記で詳細に論評され
る。
PNAオリゴマーの合成 反応中の分子を固体マトリックス上に固定する原理
は、固相合成またはメリフィールド合成として知られて
いる(Marrifield,J.Am.Chem.Soc.,1963,85,2149および
Science,1986,232,341を参照されたい)。アミノ酸のペ
プチドへの段階方式またはフラグメント方式の固相組立
ての確立された方法は、通常、架橋したスチレン−ジビ
ニルベンゼンコポリマーのビーズ形マトリックスを用い
る。架橋コポリマーは、ジビニルベンゼンの混合物を加
えるスチレンモノマーのパール重合によって形成され
る。通常、1〜2%架橋を用いる。このようなマトリッ
クスは、本発明の固相PNA合成において用いることがで
きる(図3)。
固相の初期機能化のための50種類を越える方法が、伝
統的固相ペプチド合成法に関連して記載されている(Ba
ranyおよびMerrifield,“The Peptides"2巻、Academic
Press,ニューヨーク,1979年,1−284頁中、およびStewar
tおよびYoung,“Solid Phase Peptide Synthesis",第2
版,Pierce Chemical Company,イリノイ,1984年を参照さ
れたい)。クロロメチル官能基(メリフィールド樹脂;
クロロメチルメチルエーテル/SnCl4反応による)、アミ
ノメチル官能基(N−ヒドロキシメチルフタルイミド反
応による;Mitchellら,Tetrahedron Lett.,1976,3795)
およびベンズヒドリルアミノ官能基(Piettaら,J.Chem.
Soc.,1970,650)の導入反応は、最も広く用いられる。
その性状とは無関係に、固相上の官能基の導入目的は、
コポリマー固体支持体と、その固体支持体に対して結合
される第一アミノ酸のC末端との間に固定結合を形成す
ることである。理解されるように、固定結合は、固体支
持体とアミノ酸N末端との間にも形成されうる。固相中
に存在する官能基の「濃度」は、概して、ミリモル/グ
ラム(mmol/g)で表わされる。最初に導入された他の反
応性官能基には、4−メチルベンズヒドリルアミノ基お
よび4−メトキシベンズヒドリルアミノ基が含まれる。
これら確立された方法はいずれも、原則として、本発明
の場合の範囲内で有用である。
PNA合成に好ましい方法は、初期官能基としてアミノ
メチルを用いる。アミノメチルは、ほぼ定量的量でカル
ボン酸基と一緒にアミド結合を形成するので、「スペー
サー」または「ハンドル」基として特に好都合である。
極めて多数の適切なスペーサー−またはハンドル形成性
二官能性試薬が記載されている(Baranyら,Int.J.Pepti
de Protein Res.,1987,30,705を参照されたい)。典型
的な二官能性試薬には、4−(ブロモメチル)フェニル
酢酸などの4−(ハロアルキル)アリール−低級アルカ
ン酸;BOC−アミノアシル−4−(オキシメチル)フェニ
ル酢酸などのBOC−アミノアシル−4−(オキシメチ
ル)アリール−低級アルカン酸;N−BOC−p−グルタロ
イルベンズヒドリルアミンなどのN−BOC−p−アシル
ベンズヒドリルアミン;N−BOC−4'−メチル−p−グル
タロイルベンズヒドリルアミンなどのN−BOC−4'−低
級アルキル−p−アシルベンズヒドリルアミン;N−BOC
−4'−メトキシ−p−グルタロイルベンズヒドリルアミ
ンなどのN−BOC−4'−低級アルコキシ−p−アシルベ
ンズヒドリルアミン;および4−ヒドロキシメチルフェ
ノキシ酢酸が含まれる。本発明の場合の範囲内で特に適
切なスペーサー基の一つの種類は、フェニルアセトアミ
ドメチル(PAM)ハンドル(MitchellおよびMerrifield,
J.Org.Chem.,1976,41,2015)であり、これは、4−フェ
ニルアセトアミドメチル基の電子吸引作用に由来し、BO
C−アミノ脱保護試薬トリフルオロ酢酸(TFA)に対して
ベンジルエステル結合より約10倍安定である。
いくつかの官能基(例えば、ベンズヒドリルアミノ、
4−メチルベンズヒドリルアミノおよび4−メトキシベ
ンズヒドリルアミノ)は、合成されたPNA鎖を固体支持
体から切断する目的で、PNA鎖のC末端がアミドとして
放出されるように包含されることができ、スペーサー基
の導入を必要とない。このような官能基はいずれも、本
発明の場合に用いることができる。
スペーサーまたはハンドル基の導入に関する別の計画
は、いわゆる「予備形成ハンドル(preformed handl
e)」計画(Tamら,Synthesis,1979,955−957を参照され
たい)であり、これは、第一アミノ酸の結合を完全に制
御し、そしてペプチドまたはPNA合成に無関係の望まし
くない官能基の存在によって複雑になる可能性をなく
す。この計画では、上記と同じ種類のスペーサーまたは
ハンドル基を、固体支持体に対して結合されることが望
まれる第一アミノ酸と反応させ、そのアミノ酸は、N保
護されているし、そして場合により、所望のPNA鎖の成
長に関して適切でない他の側鎖において保護されてい
る。したがって、スペーサーまたはハンドル基が望まれ
る場合、固体支持体に対して結合されるべき第一アミノ
酸は、最初に導入された官能基(例えば、アミノメチル
基)に対して結合されたスペーサー基の遊離反応性末端
に対して結合させることができるか、またはスペーサー
形成性試薬と反応させることができる。次に、スペース
形成性試薬を最初に導入された官能基と反応させる。他
の有用な固定スキームには、「多重分離可能な(multid
etachable)」樹脂(Tamら,Tetrahedron Lett.,1979,49
35およびJ.Am.Chem.Soc.,1980,102,611;Tam,J.Org.Che
m.,1985,50,5291を参照されたい)が含まれ、これは、
2種類以上の放出様式を与え、それによって合成設計を
一層柔軟にさせる。
典型的なN保護基は、t−ブチルオキシカルボニル
(BOC)(Carpino,J.Am.Chem.Soc.,1957,79,4427;McKa
y,ら,J.Am.Chem.Soc.,1957,79,4686;Andersonら,J.Am.C
hem.Soc.,1957,79,6180)および9−フルオレニルメチ
ルオキシカルボニル(FMOC)(Carpinoら,J.Am.Chem.So
c.,1970,92,5748およびJ.Org.Chem.,1972,37,3404)、A
doc(Hassら,J.Am.Chem.Soc.,1966,88,1988)、Bpoc(S
ieber,Helv.Chem.Acta.,1968,51,614)、Mcb(Bradyら,
J.Org.Chem.,1977,42,143)、Bic(Kempら,Tetrahedro
n,1975,4624)、o−ニトロフェニルスルフェニル(Np
s)(Zervasら,J.Am.Chem.Soc.,1963,85,3660)および
ジチアスクシノイル(Dts)(Baranyら,J.Am.Chem.So
c.,1977,99,7363)、更には、当業者に知られている他
の基である。これらアミノ保護基、特に、広く用いられ
たウレタン官能基に基づくものは、大部分のαアミノ酸
の結合の際に、ラセミ化(容易に形成されたオキサゾリ
ノン(アズラクトン)中間体の互変異性体化によって媒
介される)を妨げる(Goodmanら,J.Am.Chem.Soc.,1964,
86,2918)。
このようなアミノ保護基に加えて、PNA分子を組立て
る場合、非ウレタン型のアミノ保護基も利用できる。例
えば、上述のアミノ保護基(またはこれらの基のいずれ
かから誘導されたもの)は、本発明の場合の範囲内で有
用であるのみならず、実際上、下記の必要条件を充分に
満たすいずれかのアミノ保護基でもある:(1)緩酸に
対して安定(カルボキシル基によってほとんど攻撃され
ない);(2)緩塩基または求核基に対して安定(問題
のアミノ基によってほとんど攻撃されない);(3)ア
シル化に対して耐性(活性アミノ酸によってほとんど攻
撃されない);(4)重大な副反応を全く伴なうことな
く実質的に除去されうる;および(5)もしあれば、結
合で新しく入ってきたアミノ酸の光学的結合性を保存す
る。
側鎖保護基は、繰返しのアミノ脱保護サイクルの条件
に耐えなければならないので、その側鎖保護基の選択
は、概して、アミノ保護基の選択に依存する。これは、
PNA分子を化学的に組立てる計画全体が、例えば、アミ
ノ保護基と側鎖保護基の異なった酸安定性に頼ろうと
(上述の「BOC−ベンジル」アプローチの場合のよう
に)、直交のすなわち化学選択的な保護スキームを用い
ようと(上述の「FMOC−t−Bu」アプローチの場合のよ
うに)真実である。
第一アミノ酸を結合した後、固相合成の次の段階は、
所望のPNA鎖の体系的合成である。この合成は、繰返し
の脱保護/結合サイクルを行う。最後に結合されたアミ
ノ酸上のBOCまたはFMOCなどの一時的保護基は、N末端
アミン官能基を遊離させるために、適当な処理によっ
て、例えば、BOCの場合にはトリフルオロ酢酸を用いる
ような酸加水分解によって、またはFMOCの場合にはピペ
リジンを用いるような塩基処理によって、定量的に除去
される。
次に、次に望まれるN保護アミノ酸を、最後に結合さ
れたアミノ酸のN末端に対して結合する。最後に結合さ
れたアミノ酸のN末端とアミノ酸のC末端とのこの結合
は、いくつかの方法で行うことができる。例えば、それ
は、2,4,5−トリクロロフェニルエステル(Plessら,Hel
v.Chim.Acta,1963,46,1609)、フタルイミドエステル
(Nefkensら,J.Am.Chem.Soc.,1961,83,1263)、ペンタ
クロロフェニルエステル(Kupryszewski,Rocz.Chem.,19
61,35,595)、ペンタフルオロフェニルエステル(Kovac
sら,J.Am.Chem.Soc.,1963,85,183)、o−ニトロフェニ
ルエステル(Bodanzsky,Nature,1955,175,685)、イミ
ダゾールエステル(Liら,J.Am.Chem.Soc.,1970,92,760
8)および3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ
キナゾリン(Dhbt−OH)エステル(Konigら,Chem.Ber.,
1973,103,2024および2034)などの活性エステル誘導体
の初期形成、または対称無水物(Wielandら,Angew.Che
m.,Int.Ed.Engl.,1971,10,336)などの無水物の初期形
成を含めたいくつかの方法のいずれかによって活性化さ
れたカルボキシル基を含む形で、新しく入ってきたアミ
ノ酸を与えることによって行うことができる。或いは、
新しく入っていきたアミノ酸のカルボキシル基は、例え
ば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(Sheehanら,J.A
m.Chem.Soc.,1955,77,1067)またはその誘導体などの縮
合試薬の助けを借りて、最後に結合されたアミノ酸のN
末端と直接的に反応させることができる。第二アミノ基
を含有するPNA分子を組立てる場合、「カストロ試薬(C
astro's reagent)」であるN−オキシトリスジメチル
アミノホスホニウム六フッ化リン酸ベンゾトリアゾリル
(BOP)(Rivailleら,Tetrahedron,1980,36,3413を参照
されたい)が推奨される。最後に、最近報告されたアミ
ノ酸フッ化物と同様の活性PNA分子(Carpino,J.Am.Che
m.Soc.,1990,112,9651)は、PNA合成においても用いら
れる可能性を顕著に保持する。
保護基を含めた所望のPNA鎖の組立ての後、次の工程
は、通常、PNA鎖のアミノ酸残基の脱保護および合成さ
れたPNAの固体支持体からの切断であろう。これらの過
程がほぼ同時に起こることによって、所望の形の遊離PN
A分子を与えることができる。或いは、二つの別々に合
成されたPNA鎖の縮合が行われる場合、その合成の初め
に適当なスペーサー基を選択することにより、所望のPN
A鎖をそれぞれの固体支持体(ペプチド鎖は両方とも、
それらの側鎖保護基をなお包含している)から切断する
ことが可能であり、そして最後に、例えば、二つの側鎖
保護ペプチド鎖を結合してより長いPNA鎖を形成した後
に側鎖保護基が除去される。
上述の「BOC−ベンジル」保護スキームにおいて、側
鎖の最後の脱保護および固体支持体からのPNA分子の放
出は、無水HF(Sakakibaraら,Bull.Chem.Soc.Jpn.,196
5,38,4921)などの強酸、トリス(トリフルオロ酢酸)
ホウ素(Plessら,Helv.Chim.Acta,1973,46,1609)、並
びにトリフルオロメタンスルホン酸およびメタンスルホ
ン酸などのスルホン酸(Yajimaら,J.Chem.Soc.,Chem.Co
mm.,1974,107)の使用によって行われることが最も多
い。強酸(例えば、無水HF)脱保護法は、PNA鎖中の感
受性残基のアルキル化およびアシル化をもたらすことが
ある極めて反応性のカルボカチオンを生じることがあ
る。このような副反応は、アニソール、フェノール、ジ
メチルスルフィドおよびメルカプトエタノールなどのス
カベンジャーの存在によって部分的にしか避けられな
い。したがって、有害なカルボカチオンの前駆物質を除
去して不活性スルホニウム塩を形成するいわゆる「低
(low)」法である。スルフィドに助けられた酸加水分
解SN2脱保護法(Tamら,J.Am.Chem.Soc.,1983,105,6442
およびJ.Am.Chem.Soc.,1986,108,5242)は、しばしば、
ペプチドおよびPNA合成で用いられる。脱保護および/
またはPNA−固体支持体結合の最終切断のための他の方
法には、塩基で触媒されたアルコーリシス(Bartonら,
J.Am.Chem.Soc.,1973,95,4501)、アンモノリシス、ヒ
ドラジン分解(Bodanszkyら,Chem.Ind.,1964,1423)、
水素化分解(Jones,Tetrahedron Lett.1977 2853および
Schlatterら,Tetrahedron Lett.1977 2861)および光分
解(RichおよびGurwara,J.Am.Chem.Soc.,1975,97,157
5)が含まれうる。
最後に、慣用的なペプチド化学合成とは対照的に、ア
ミノエチルグリシル主鎖単位に基づくものなどのアキラ
ルPNAの段階的鎖構築は、N末端かまたはC末端から開
始することができる。当業者は、C末端で開始する合成
は、典型的に、保護されたアミン基および遊離すなわち
活性酸基を用い、そしてN末端で開始する合成は、典型
的に、保護された酸基および遊離すなわち活性アミン基
を用いるということを理解するであろう。
固相ペプチド合成の合成サイクルにおいて大部分の作
業が同じであるという認識に基づいて(固相PNA合成の
場合も同様)、最近、多数のペプチドの製造を促進する
ために新規マトリックスPEPSが導入された(Bergら,J.A
m.Chem.Soc.,1989,111,8024および国際特許出願WO90/02
749号)。このマトリックスは、垂下した側長基ポリス
チレン(PS)グラフト(106ダルトン程度の分子量)を
有するポリエチレン(PE)フィルムから成る。そのフィ
ルムの処理容量は、ビーズ形マトリックスの処理容量と
同じぐらい高いが、PEPSは、同時多重合成に適応した柔
軟性を更に有する。したがって、固相ペプチド合成の新
規立体配置において、PEPSフィルムは、一つ一つの区画
としてそれぞれが役立つ不連続の標識されたシートの形
で作られる。合成サイクルの全ての同一工程中に、それ
らシートは、慣用法による単一ペプチド合成の速度に近
い速度で多数のペプチドを同時製造できるように一つの
反応容器中に一緒に保持される。特定の化学に適合した
リンカーまたはスペーサー基を含むPEPSフィルム支持体
は、多数のPNA分子の合成において特に有効であると考
えられる。PNAの合成は、4種類の「偽ヌクレオチド」
単位それぞれに一つの4個の異なった反応区画だけが通
常必要とされるので、概念としては単純である。PEPSフ
ィルム支持体は、同様の且つほぼ同時の様式で行われた
多数のPNA合成において首尾よく調べられた。PEPSから
得られた生成物の収量および品質は、伝統的なポリスチ
レンビーズ支持体を用いることによって得られたものに
匹敵する。更に、PEPSポリマーの他の幾何学的形、例え
ば、不織フェルト、編ネット、スティックおよびマイク
ロウェルプレートを用いる実験は、合成効率の限界を全
く示さなかった。
多数のペプチドの同時合成のための他の二つの方法
は、多数の異なったPNA分子の製造にも適合する。これ
らの方法の第一(Geysenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,19
84,81,3998)は、アクリル酸をグラフトしたポリエチレ
ンロッドおよび96マイクロタイターウェルを用いて、成
長するペプチド鎖を固定し且つ区画に分けられた合成を
行う。この方法は有効であるが、マイクログラム規模で
しか適応できない。第二の方法(Houghten,Proc.Natl.A
cad.Sci.USA,1985,82,5131)は、伝統的に用いられるポ
リマービーズを含有する「ティーバッグ」を用いる。本
発明の場合の多数のペプチドまたはPNA合成の他の方法
には、異なった密度を有する2種類の異なった支持体の
同時使用(Tregear,“Chemistry and Biology of Pepti
des",J.Meienhofer監修,Ann Arbor Sci.Publ.,アン・ア
ーバー,1972年,175−178頁中)、マニホールドによる混
合用反応容器(Gorman,Anal.Biochem.,1984,136,39
7)、多段カラム固相合成(Krchnakら,Int.J.Peptide P
rotein Res.,1989,33,209、およびHolmおよびMeldal,
“Proceedings of the 20th European Peptide Symposi
um",G.JungおよびE.Bayer監修,Walter de Gruyter & C
o.,ベルリン,1989年,208−210頁中)およびセルロース
紙の使用(Eichlerら,Collect.Czech.Chem.Commun.,198
9,54,1746)が含まれる。
慣用的な架橋スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー
マトリックスおよびPEPS支持体は、固相PNA合成の場合
に好ましい。他の典型的な固体支持体には、(1)N,N'
−ビスアクリロイルエチレンジアミンで架橋されたジメ
チルアクリルアミドのコポリマーを基剤とした粒子、
(2)多孔質ガラスビーズおよびシリカゲルなどのシリ
カ含有粒子を基剤とした固体支持体、(3)2種類の主
成分、すなわち、樹脂および、用いられる反応条件に対
しても実質的に不活性である別の材料を含有する複合材
料(Scottら,J.Chrom.Sci.,1971,9,577;KentおよびMerr
ifield,Israel J.Chem.,1978,17,243;およびvan Rietsc
hoten,“Peptides 1974",Y.Wolman,監修,Wiley and Son
s,ニューヨーク,1975年,113−116頁中を参照されたい)
および(4)綿シート(LeblおよびEichler,Peptide Re
s.,1989,2,232)およびヒドロキシプロピルアクリレー
ト被覆ポリプロピレン膜(Danielsら,Tetrahedron Let
t.,1989,4345)などのPEPS以外の隣接した固体支持体が
含まれる。
手動操作されるにせよ自動操作されるにせよ、本発明
の場合の固相PNA合成は、通常、バッチ方式で行われ
る。しかしながら、大部分の合成は、連続フロー様式で
充分同様に行うことができ、その場合、支持体はカラム
中に充填されている(Bayerら,Tetrahedron Lett.,197
0,4503;およびScottら,J.Chromatogr.Sci.,1971,9,57
7)。連続フロー固相合成に関して、硬質ポリ(ジメチ
ルアクリルアミド)−キーゼルガー(Kieselguhr)支持
体(Athertonら,J.Chem.Soc.Chem.Commun.,1981,1151)
は、特に有用であると考えられる。もう一つの有用な立
体配置は、標準的なコポリ(スチレン−1%ジビニルベ
ンゼン)支持体用に仕上げられたものである(Krchnak
ら,Tetrahedron Lett.,1987,4469)。
固相法は本発明において好ましいが、他の方法論また
はそれらの組合せを用いてもよい。典型的な方法論に
は、(1)段階的組立てによるかまたはセグメント/フ
ラグメント縮合による、ペプチド合成の古典的溶液相法
(Bodanszky,“Principles of Peptide Synthesis",Spr
inger−Verlag,ベルリン−ニューヨーク,1984年)、
(2)直鎖状ポリスチレン(Shemyakinら,Tetrahedron
Lett.,1965,2323)およびポリエチレングリコール(PE
G)(MutterおよびBayer,Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,19
74,13,88)などの可溶性ポリマー支持体を利用する「液
相」計画、(3)多数の分子量(「多分散性」)ペプチ
ドまたはPNA分子の混合物を生じるランダム重合(Odia
n,“Principles of Polymerization",McGraw−Hill,ニ
ューヨーク,1970年)および(4)時々、「逆メリフィ
ールド法」または「ポリマー試薬合成」と称される、ポ
リマーで支持されたアミノ酸活性エステルの使用に基づ
く技法(Fridkinら,J.Am.Chem.Soc.,1965,87,4646)が
含まれる。更に、PNA分子は、新規の特異性を有する
(例えば、タンパク質工学などの人工的手段によって得
られた)プロテアーゼまたはそれらの誘導体などの酵素
によって酵素的に組立てられうると考えられる。更に、
多数のPNAフラグメントを縮合して極めて大型のPNA分子
にするための「PNAリガーゼ」の開発を考えることがで
きる。更に、抗体は、ほとんど全ての目的の分子に対し
て生じさせることができるので、Tramontanoら,Scienc
e,1986,234,1566およびPollackら,Science,1986,234,15
70によって同時に発見され、最近開発された触媒抗体
(アブザイム)は、PNA分子を組立てるための可能な候
補としても考えられるはずである。例えば、アシル基転
移反応を触媒するアブザイムの生産はかなり成功してい
る(Shokatら,Nature,1989,338,269およびそれの参考文
献を参照されたい)。最後に、Hahnら(Science,1990,2
48,1544)によってごく最近開発された完全に人工的な
酵素は、PNA合成用に開発されうる。特定の結合反応を
媒介することができる一般的に応用可能な酵素、リガー
ゼおよび触媒抗体の設計は、PNA分子が、しばしば、4
種類の異なったアミノ酸(4種類の天然核塩基それぞれ
に一つ)だけから成るので、「通常の」ペプチド合成よ
りもPNA合成のために容易に行われるはずである。
おそらく、治療および予防の標的には、単純ヘルペス
ウイルス(HSV)、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、ヒト免
疫不全ウイルス(HIV)、カンジダアルビカンス(candi
da albicans)、インフルエンザウイルス、サイトメガ
ロウイルス(CMV)、細胞間接着分子(ICAM)、5−リ
ポキシゲナーゼ(5−LO)、ホスホリパーゼA2(PL
A2)、プロテインキナーゼC(PKC)およびras癌遺伝子
が含まれる。このような標的となりうる処置には、眼、
口唇、陰部および全身性単純ヘルペスI型およびII型感
染;性器いぼ;子宮頸癌;尋常性ゆうぜい;カポージ肉
腫;エイズ;皮膚および全身性真菌感染;フルー;肺
炎;免疫抑制患者の網膜炎および肺炎;単核細胞症;
眼、皮膚および全身性炎症;心臓血管病;癌;喘息;乾
癬;心臓血管虚脱;心筋梗塞;胃腸病;腎臓病;慢性関
節リウマチ;変形性関節症;急性膵炎;敗血症性ショッ
ク;およびクローン病が含まれる。
概して、治療的または予防的処置のために、このよう
な治療を必要とすると考えられる患者は、本発明の化合
物を、一般的には薬学的に許容しうる担体中において、
具体的な疾患の性状、その重症度および患者の全身状態
に応じて変化する量および期間で投与される。本発明の
ペプチド核酸は、医薬組成物で製剤化することができ、
これには、担体、粘稠化剤、希釈剤、緩衝剤、保存剤、
界面活性剤等が含まれるうる。医薬組成物は、ペプチド
核酸の他に、抗微生物剤、抗炎症剤、麻酔薬等のような
1種類またはそれ以上の活性成分も含んでいてよい。
医薬組成物は、局所処置が望ましいかまたは全身性処
置が望ましいかによっておよび治療される部位によって
多数の方法で投与することができる。投与は、局所(点
眼、膣内、肛門内、鼻腔内、経皮を含む)、経口または
非経口であってよく、例えば、静脈内滴注、皮下、腹腔
内若しくは筋肉内注射または膜内若しくは脳室内投与に
よってよい。
局所投与用製剤には、経皮パッチ、軟膏剤、ローショ
ン剤、クリーム剤、ゲル剤、滴剤、坐剤、噴霧剤、液剤
および散剤が含まれうる。慣用的な医薬用担体、水性、
粉末若しくは油状の基剤、粘稠化剤等は必要でありうる
しまたは望ましいことがありうる。コーティングコンド
ーム、グローブ等も有用でありうる。
経口投与用組成物には、散剤若しくは顆粒剤、水若し
くは非水性基剤中の懸濁剤若しくは液剤、カプセル剤、
サシェ剤(sachets)または錠剤が含まれる。粘稠化
剤、着香剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤も
加えられうる。
膜内または脳室内投与用組成物には、緩衝剤、希釈剤
および他の適当な添加剤も含有しうる滅菌水性液剤が含
まれうる。
非経口投与用製剤には、緩衝剤、希釈剤および他の適
当な添加剤も含有しうる滅菌水性液剤が含まれうる。
投薬は、治療される状態の重症度および応答性に依る
が、通常は、数日〜数ヵ月まで持続する治療過程でまた
は治癒が得られるまで若しくは疾患状態の軽減が得られ
るまで、1日1回またはそれ以上の投薬であろう。当業
者は、最適用量、投薬法および反復率を容易に決定する
ことができる。
本発明は、更に、固相生化学(“Solid Phase Bioche
mistry−Analytical and Synthetic Aspects",W.H.Scou
ten,監修,John Wiley & Sons,ニューヨーク,1983年を
参照されたい)、特に、固相バイオシステム、特に、バ
イオアッセイまたは相補的核酸の診断用検出/定量若し
くはアフィニティー精製の固相法(“Affinity Chromat
ography−A Practical Approach",P.D.G.Dean,W.S.John
sonおよびF.A.Middle,監修,IRL Press Ltd.,オックスフ
ォード,1986年;“Nucleic Acid Hybridization−A Pra
ctical Approach",B.D.HarnesおよびS.J.Higgins,IRL P
ress Ltd.,オックスフォード,1987年を参照されたい)
におけるPNA分子の好都合な使用に関する。このような
バイオアッセイまたは精製技術を実施する現行法は、ほ
ぼ独占的に、セルロース、一定の多孔度を有するもの
(Mizutaniら,J.Chromatogr.,1986,356,202)を含めた
ガラスビーズ、「セファデックス」、「セファロー
ス」、アガロース、ポリアクリルアミド、多孔質粒状ア
ルミナ、ヒドロキシアルキルメタクリレートゲル、ジオ
ール結合シリカ、多孔質セラミックス、またはナイロン
などのビーズ形固体支持体、およびニトロセルロースの
フィルターディスクなどの連続材料に対して、物理的に
吸着したかまたはほぼ永久的な共有固定結合によって結
合した「通常の」または僅かに修飾されたオリゴヌクレ
オチドを用いる。
上述の方法は全て、本発明の場合の範囲内で応用でき
る。しかしながら、共有結合法は、可能な場合、物理的
吸着法より好ましく、これは、後者のアプローチが、ハ
イブリダイゼーションまたはアフィニティー処理の際に
洗い流される(脱着される)固定された分子を若干生じ
ることがあるからである。この問題の難しさは、当然な
がら、吸着された種と「遊離」種との間の平衡が確立さ
れる速度に大きく依存するであろう。若干の場合、許容
しうる精度および/または再現性を有する定量検定を実
施することは事実上不可能でありうる。体液、水性試薬
または洗浄用基剤を用いる支持体の処理の際の吸着され
た種の減少量は、概して、比較的低分子量の種で最も顕
著であると予想されるであろう。
オリゴヌクレオチドとは対照的に、PNA分子は、それ
らが強い求核性および/または求電子性中心を有するの
で、固体支持体上に結合することが一層容易である。更
に、固体支持体上へのオリゴヌクレオチドの直接的組立
ては、固定化分子の極めて低い処理量を強いられる(Be
aucageおよびCaruthers,Tetrahedron Lett.,1981,22,18
59;およびCaruthers,Science,1985,232,281)。更に、
それは、高い表面/処理容量を有する固体支持体に適し
た別の亜リン酸トリエステル法(LetsingerおよびMahad
evan,J.Am.Chem.Soc.,1976,98,3655)を用いるので、比
較的短いオリゴヌクレオチドしか得ることができない。
しかしながら、慣用的な固相ペプチド合成の場合と同
様、後者支持体は、固定化PNA分子を組立てるのに優れ
た材料である。それは、合成されたPNA鎖から、固体支
持体に対してその鎖を保持した固定結合を切断すること
なく側鎖保護基を除去することを可能にする。それらは
また、固体支持体上に多量に負荷することができるの
で、固相法の能力を更に増加させることができる。更
に、固相生化学におけるPNAの使用に関するいくつかの
種類の実験は、最近報告された「光に支配され、立体的
に指示可能な平行化学合成」技術(Fodorら,Science,19
91,251,767)の使用によって行われ、容易にされ、また
は大きく促進されうるが、その技術は、固相化学および
写真平板法を組合せて、極めて異なるが同定可能な永久
的に固定された数千もの化合物(ペプチドなど)をほぼ
同時に生産する。
モノマーサブユニットの合成 モノマーサブユニットは、好ましくは、図4で概略を
示された一般的なスキームによって合成される。これ
は、実施例20〜22で記載の保護/脱保護手順による(BO
C−アミノエチル)グリシンのメチルエステルかまたは
エチルエステルの製造を行う。チミンモノマーの合成は
実施例23〜24で記載され、そして保護されたシトシンモ
ノマーの合成は実施例25で記載されている。
保護されたアデニンモノマーの合成は、ブロモ酢酸エ
チルを用いるアデニンのアルキル化(実施例26)および
X線結晶学による置換の位置(すなわち、9位)の確認
を行う。次に、N6−アミノ基を、テトラフルオロホウ酸
N−エチルベンジルオキシカルボニルイミダゾール試薬
の使用によってベンジルオキシカルボニル基で保護する
(実施例27)。その生成物エステルの簡単な加水分解
(実施例28)は、N6−ベンジルオキシカルボニル−9−
カルボキシメチルアデニンを与え、これを標準法で用い
た(実施例29〜30)。アデニンモノマーは、2種類の異
なったPNAオリゴマーに組立てられた(実施例52、53、5
6および57)。
保護されたG−モノマーの合成には、出発物質2−ア
ミノ−6−クロロプリンをブロモ酢酸でアルキル化し
(実施例31)、そして次に、その塩素原子をベンジルオ
キシ基で置換した(実施例32)。得られた酸を、(BOC
−アミノエチル)グリシンメチルエステル(実施例22か
ら)に対してPyBropTM剤を用いて結合させ、そして得ら
れたエステルを加水分解した(実施例33)。O6−ベンジ
ル基は、PNAオリゴマーの合成における最終のHF切断工
程で除去された。切断は、ジイソプロピルカルボジイミ
ドを縮合剤として用いるPNAオリゴマー中への包含の際
に、最終PNAオリゴマーの質量スペクトルによって示さ
れた(実施例51および56)。
本発明の更に別の目的、利点および新規特徴は、発明
を制限するためのものではない次の実施例の検討によっ
て当業者に明らかになるであろう。
一般注釈 次の略語を実験例において用いる。DMF,N,N−ジメチ
ルホルムアミド;Tyr,チロシン;Lys,リシン;DCC,N,N−ジ
シクロヘキシルカルボジイミド;DCU,N,N−ジシクロヘキ
シル尿素;THF,テトラヒドロフラン;aeg,N−アセチル
(2'−アミノエチル)グリシン;Pfp,ペンタフルオロフ
ェニル;BOC,t−ブトキシカルボニル;Z,ベンジルオキシ
カルボニル;NMR,核磁気共鳴;s,一重線;d,二重線;dd,二
重線の重複;t,三重線;q,四重線;m,多重線;b,幅広;δ,
化学シフト;ppm,100万分率(化学シフト)。
NMRスペクトルは、内部標準としてテトラメチルシラ
ンを用いて、JEOL FX 90QスペクトロメーターかまたはB
ruker 250MHzで記録された。質量分析法は、VG FAB源お
よびプローブを備えたMassLab VG 12−250四重極型装置
で行われた。融点は、Buchi融点装置で記録されたが、
補正されていない。N,N−ジメチルホルムアミドは、4
Åモレキュラーシーブ上で乾燥させ、蒸留し、そして4
Åモレキュラーシーブ上で貯蔵した。ピリジン(HPLC等
級)は、4Åモレキュラーシーブ上で乾燥させ且つ貯蔵
した。用いられた他の溶媒は、入手しうる最高品質であ
るかまたは使用前に蒸留された。ジオキサンは、使用前
に塩基性アルミナを通過させた。BOC−無水物、4−ニ
トロフェノール、ブロモ酢酸メチル、塩化ベンジルオキ
シカルボニル、ペンタフルオロフェノールはいずれも、
Aldrich Chemical Companyから入手した。チミン、シト
シン、アデニンはいずれも、Sigmaから入手した。
薄層クロマトグラフィー(tlc)は、次の溶媒系を用
いて行われた。(1)クロロホルム:トリエチルアミ
ン:メタノール,7:1:2;(2)塩化メチレン:メタノー
ル,9:1;(3)クロロホルム:メタノール:酢酸 85:1
0:5。スポットは、UV(254nm)でおよび/または120℃
で5分間加熱後にニンヒドリン溶液(1−ブタノール10
00mLおよび酢酸30mL中にニンヒドリン3g)を噴霧し、そ
して噴霧後に再度加熱することで可視化された。
実施例1 t−ブチル−4−ニトロフェニルカーボネートの合成。
炭酸ナトリウム(29.14g,0.275モル)および4−ニト
ロフェノール(12.75g,91.6ミリモル)を、ジオキサン
(250mL)と一緒に混合した。BOC−無水物(2g,91.6ミ
リモル)を、ジオキサン(50mL)と一緒にその混合物に
入れた。その混合物を1時間還流し、0℃まで冷却し、
濾過し、そして3分の1の容量まで濃縮した後、水(35
0mL)中に0℃で注加した。0.5時間撹拌した後、その生
成物を濾過によって集め、水で洗浄した後、真空中にお
いてシカペント(sicapent)上で乾燥させた。収量21.3
g(97%)。M.p.73.0〜74.5℃(文献値78.5〜79.5
℃)。
C11H13NO5の分析 実測値(計算値)C:55.20(55.23)
H:5.61(5.48)N:5.82(5.85)。
実施例2 (N'−BOC−2'−アミノエチル)グリシン(2)の合
成。
標題化合物を、Heimerら(Int.J.Pept.,1984,23,203
−211)による方法の変法によって製造した。N−(2
−アミノエチル)グリシン(1,3g,25.4ミリモル)を水
(50mL)中に溶解させ、ジオキサン(50mL)を加え、そ
してそのpHを2N水酸化ナトリウムで11.2に調整した。t
−ブチル−4−ニトロフェニルカーボネート(7.29g,3
0.5ミリモル)をジオキサン(40mL)中に溶解させ、そ
して2時間にわたって滴加し、その時間中、そのpHは2N
水酸化ナトリウムで11.2で維持された。そのpHを定期的
に更に3時間11.2に調整した後、その溶液を一晩放置し
た。その溶液を0℃まで冷却し、そしてそのpHを0.5M塩
酸で注意深く3.5に調整した。その水溶液をクロロホル
ム(3×200mL)で洗浄し、そのpHを2N水酸化ナトリウ
ムで9.5に調整し、そしてその溶液を真空中(14mmHg)
で蒸発乾固させた。残留物をDMF(25+2×10mL)で抽
出し、そしてその抽出物を濾過して過剰の塩を除去し
た。これは、標題化合物の溶液を約60%収率でおよびtl
c(系1およびニンヒドリンで可視化された、Rf=0.3)
による95%を越える純度で生じる。その溶液を、更に精
製することなく次のBOC−aeg誘導体の製造で用いた。
実施例3 N1−カルボキシメチルチミン(4)の合成。
この手順は、文献の合成法とは異なるが、より簡単で
あり、より高い収率を与え、そして生成物中に未反応チ
ミンを残さない。チミン(3,40g,0.317モル)および炭
酸カリウム(87.7g,0.634ミリモル)のDMF(900mL)中
懸濁液に対して、ブロモ酢酸メチル(30mL,0.317ミリモ
ル)を加えた。その混合物を窒素下において一晩中激し
く撹拌した。その混合物を濾過し、そして真空中で蒸発
乾固させた。その固体残留物を水(300mL)および4N塩
酸(12mL)で処理し、0℃で15分間撹拌し、濾過し、そ
して水(2×75mL)で洗浄した。沈澱を水(120mL)お
よび2N水酸化ナトリウム(60mL)で処理し、そして10分
間還流させた。その混合物を0℃まで冷却し、濾過し、
そして4N塩酸(70mL)の添加によって標題化合物を沈澱
させた。真空中においてシカペント上で乾燥後の収量は
37.1g(64%)であった。1 H−NMR:(90MHz;DMSO−d6):11.33ppm(s,1H,NH);7.4
9(d,J=0.92Hz,1H,ArH);4.38(s,2H,CH2);1.76(d,J
=0.92Hz,T−CH3)。
実施例4 N1−カルボキシメチルチミンペンタフルオロフェニルエ
ステル(5)の合成。
N1−カルボキシメチルチミン(4,10g,54.3ミリモル)
およびペンタフルオロフェノール(10g,54.3ミリモル)
を、DMF(100mL)中に溶解させ、そして氷水中で5℃ま
で冷却した。DCC(13.45g,65.2ミリモル)を加えた。そ
の温度が5℃未満に低下したら、氷浴を除去し、そして
その混合物を周囲温度で3時間撹拌した。沈澱したDCU
を濾過によって除去し且つDMF(2×10mL)で2回洗浄
した。合わせた濾液をエーテル(1400mL)中に注加し、
そして0℃まで冷却した。石油エーテル(1400mL)を加
え、そしてその混合物を一晩放置した。標題化合物を濾
過によって単離し且つ石油エーテルで充分に洗浄した。
収量:14.8g(78%)。その生成物は次の反応を行うのに
充分に純粋であったが、分析用試料は2−プロパノール
からの再結晶によって得た。M.p.200.5〜206℃ C13H7F5N2O4の分析。実測値(計算値)C:44.79(44.5
9);H:2.14(2.01)N:8.13(8.00)。
FAB−MS:443(M+1+グリセロール),351(M+
1)。1 H−NMR:(90MHz;DMSO−d6):11.52ppm(s,1H,NH);7.6
4(s,1H,ArH);4.99(s,2H,CH2);1.76(s,3H,CH3)。
実施例5 1−(BOC−aeg)チミン(6)の合成。
実施例2の生成物のDMF溶液に対して、トリエチルア
ミン(7.08mL,50.8ミリモル)に続いてN1−カルボキシ
メチルチミンペンタフルオロフェニルエステル(5,4.45
g,12.7ミリモル)を加えた。得られた溶液を1時間撹拌
した。その溶液を0℃まで冷却し、そして陽イオン交換
材料(“Dowex 50W X−8",40g)で20分間処理した。そ
の陽イオン交換材料を濾過によって除去し、ジクロロメ
タン(2×15mL)で洗浄し、そしてジクロロメタン(15
0mL)を加えた。得られた溶液を飽和塩化ナトリウムで
洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして最初は
ウォーターアスピレーターにより、次に油ポンプによる
真空中で蒸発乾固させた。その残留物を水(50mL)と一
緒に振とうし、そして蒸発乾固させた。この手順を再度
繰返した。次に、残留物をメタノール(75mL)中に溶解
させ、そしてエーテル(600mL)および石油エーテル(1
400mL)中に注加した。一晩中撹拌した後、白色固体を
濾過によって単離し且つ石油エーテルで洗浄した。真空
中のシカペント上での乾燥は、標題化合物3.50g(71.7
%)を与えた。M.p.142〜147℃。
C16H24N4O7の分析。実測値(計算値)C:49.59(50.00)
H:6.34(6.29)N:14.58(14.58)。1 H−NMR:(250MHz,DMSO−d6):第二アミド結合の回り
の制限された回転のために、いくつかのシグナルが2:1
の比率で二重になった(リストでは、大きい方がmj.お
よび小さい方がmi.で示される):12.73ppm(b,1H,CO
2H);11.27ppm(s,mj.,イミド);11.25ppm(s,mi.,イミ
ド);7.30ppm(s,mj.,ArH);7.26ppm(s,mi.,ArH);6.9
2ppm(unres.t,mj.,BOC−NH);6.73ppm(unres.t;mi.,B
OC−NH);4.64ppm(s,mj.,T−CH2−CO−);4.47ppm(s,
mi.,T−CH2−CO−);4.19ppm(s,mi.,CONRCH2CO2H);3.
97ppm(s,mj.,CONRCH2CO2H);3.41−2.89ppm(unres.m,
−CH2CH2−および水);1.75ppm(s,3H,T−CH3);1.38pp
m(s,9H,t−Bu)。13 C−NMR:170.68ppm(CO);170.34(CO);167.47(C
O);167.08(CO);164.29(CO);150.9(C5'');141.92
(C6'');108.04(C2');77.95および77.68(Thy−CH2C
O);48.96,47.45および46.70(−CH2CH2−およびNCH2CO
2H);37.98(Thy−CH3);28.07(t−Bu)。
FAB−MS:407(M+Na+);385(M+H+)。
実施例6 1−(BOC−aeg)チミンペンタフルオロフェニルエステ
ル(7,BOC−Taeg.OPfp)の合成。
1−(BOC−aeg)チミン(6)(2g,5.20ミリモル)
をDMF(5mL)中に溶解させ、そして塩化メチレン(15m
L)を加えた。ペンタフルオロフェノール(1.05g,5.72
ミリモル)を加え、そしてその溶液を氷浴中で0℃まで
冷却した。次に、DDCを加え(1.29g,6.24ミリモル)、
そして2分後に氷浴を除去した。周囲温度で3時間の撹
拌後、沈澱したDCUを濾過によって除去し且つ塩化メチ
レンで洗浄した。合わせた濾液を水性炭酸水素ナトリウ
ムで2回および飽和塩化ナトリウムで1回洗浄し、硫酸
マグネシウム上で乾燥させ、そして真空中で蒸発乾固さ
せた。その固体残留物をジオキサン(150mL)中に溶解
させ、そして水(200mL)中に0℃で注加した。標題化
合物を濾過によって単離し、水で洗浄し、そして真空中
においてシカペント上で乾燥させた。収量:2.20g(77
%)。分析用試料は、2−プロパノールからの再結晶に
よって得た。M.p.174〜175.5℃。
C22H23N4O7F5の分析。実測値(計算値)C:48.22(48.0
1):H;4.64(4.21);N:9.67(10.18)。1 H−NMR:(250MHz,CDCl3):第二アミド結合の回りの制
限された回転のために、いくつかのシグナルが6:1の比
率で二重になった(リストでは、大きい方がmj.および
小さい方がmi.で示される):7.01ppm(s,mi.,ArH);6.9
9ppm(s,mj.,ArH);5.27ppm(unres.t,BOC−NH);4.67p
pm(s,mj.,T−CH2−CO−);4.60ppm(s,mi.,T−CH2−CO
−);4.45ppm(s,mj.,CONRCH2CO2Pfp);4.42ppm(s,m
i.,CONRCH2CO2Pfp);3.64ppm(t,2H,BOC−NHCH2CH
2−);3.87ppm(“q",2H,BOC−NHCH2CH2−);1.44ppm
(s,9H,t−Bu)。
FAB−MS:551(10;M+1);495(10;M+1−tBu);451
(80;−BOC)。
実施例7 N4−ベンジルオキシカルボニルシトシン(9)の合成。
約1時間にわたって、塩化ベンジルオキシカルボニル
(52mL,0.36モル)を、シトシン(8,20g,0.18モル)の
乾燥ピリジン(1000mL)中懸濁液に対してオーブン乾燥
装置中の窒素下において0℃で滴加した。次に、その溶
液を一晩中撹拌した後、ピリジン懸濁液を真空中で蒸発
乾固させた。水(200mL)および4N塩酸を加えて、pHを
約1に達しさせた。得られた白色沈澱を濾去し、水で洗
浄し、そして吸気によって部分乾燥させた。湿った沈澱
を無水エタノール(500mL)と一緒に10分間還流し、0
℃まで冷却し、濾過し、エーテルで充分に洗浄し、そし
て真空乾燥させた。収量24.7g(54%)。M.p.>250℃。
C12H11N3O3の分析。実測値(計算値)C:58.59(58.7
7);H:4.55(4.52);N:17.17(17.13)。
NMRスペクトルは、溶解した生成物を得ることができ
なかったので記録されなかった。
実施例8 N4−ベンジルオキシカルボニル−N1−カルボキシメチル
シトシン(10)の合成。
機械的撹拌および窒素入口を備えた三口丸底フラスコ
中に、ブロム酢酸メチル(7.82mL,82.6ミリモル)、お
よびN4−ベンジルオキシカルボニルシトシン(9,21g,8
2.6ミリモル)および炭酸カリウム(11.4g,82.6ミリモ
ル)の乾燥DMF(900mL)中懸濁液を入れた。その混合物
を一晩中激しく撹拌し、濾過し、そして真空中で蒸発乾
固させた。水(300mL)および4N塩酸(10mL)を加え、
その混合物を0℃で15分間撹拌し、濾過し、そして水
(2×75mL)で洗浄した。単離された沈澱を水(120m
L)、2N水酸化ナトリウム(60mL)で処理し、30分間撹
拌し、濾過し、0℃まで冷却し、そして4N塩酸(35mL)
を加えた。標題化合物を濾過によって単離し、水で充分
に洗浄し、メタノール(1000mL)から再結晶させ、そし
てエーテルで充分に洗浄した。これは、純粋な標題化合
物7.70g(31%)を与えた。再結晶からの母液を200mLの
容量まで減少させ、そして0℃まで冷却した。これは、
更に2.30gの材料を与え、これは、tlcによって純粋であ
ったが帯赤色であった。M.p.266〜274℃。
C14H13N3O5の分析。実測値(計算値)C:55.41(55.4
5);H:4.23(4.32);N:14.04(13.86)。1 H−NMR(90MHz;DMSO−d6):8.02ppm(d,J=7.32Hz,1H,
H−6);7.39(s,5H,Ph);7.01(d,J=7.32Hz,1H,H−
5);5.19(s,2H,PhCH2−);4.52(s,2H)。
実施例9 N4−ベンジルオキシカルボニル−N1−カルボキシメチル
シトシンペンタフルオロフェニルエステル(11)の合
成。
N4−ベンジルオキシカルボニル−N1−カルボキシメチ
ルシトシン(10,4g,13.2ミリモル)およびペンタフルオ
ロフェノール(2.67g,14.5ミリモル)をDMF(70mL)と
一緒に混合し、氷浴で0℃まで冷却し、そしてDCC(3.2
7g,15.8ミリモル)を加えた。氷浴を3分後に除去し、
そしてその混合物を室温で3時間撹拌した。沈澱したDC
Uを濾過によって除去し、DMFで洗浄し、そして濾液を真
空中(0.2mmHg)で蒸発乾固させた。その固体残留物を
塩化メチレン(250mL)で処理し、15分間激しく撹拌
し、濾過し、希炭酸水素ナトリウムで2回および飽和塩
化ナトリウムで1回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥
させ、そして真空中で蒸発乾固させた。その固体残留物
を2−プロパノール(150mL)から再結晶させ、そして
その結晶をエーテルで充分に洗浄した。収量3.40g(55
%)。M.p.241〜245℃。
C20H12N3F5O5の分析。実測値(計算値)C:51.56(51.1
8);H:2.77(2.58);N:9.24(8.95)。1 H−NMR(90MHz;CDCl3):7.66ppm(d,J=7.63Hz,1H,H−
6);7.37(s,5H,Ph);7.31(d,J=7.63Hz,1H,H−5);
5.21(s,2H,PhCH2−);4.97(s,2H,NCH2−)。
FAB−MS:470(M+1) 実施例10 N4−ベンジルオキシカルボニル−1−BOC−aeg−シトシ
ン(12)の合成。
上記のように製造された(N−BOC−2−アミノエチ
ル)グリシン(2)のDMF中溶液に対して、トリエチル
アミン(7mL,50.8ミリモル)およびN4−ベンジルオキシ
カルボニル−N1−カルボキシメチルシトシンペンタフル
オロフェニルエステル(11,2.7g,5.75ミリモル)を加え
た。その溶液を室温で1時間撹拌した後、塩化メチレン
(150mL)、飽和塩化ナトリウム(250mL)およびpH約1
までの4N塩酸を加えた。有機層を分離し且つ飽和塩化ナ
トリウムで2回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥さ
せ、そして最初はウォーターアスピレーターを用い、次
に油ポンプを用いる真空中において蒸発乾固させた。そ
の油状物を水(25mL)で処理し、そして真空中で再度蒸
発乾固させた。次に、この手順を繰返した。次に、油状
残留物(2.8g)を塩化メチレン(100mL)中に溶解さ
せ、石油エーテル(250mL)を加え、そしてその混合物
を一晩中撹拌した。標題化合物を濾過によって単離し且
つ石油エーテルで洗浄した。tlc(系1)は、実質的な
量のペンタフルオロフェノールを示したが、それを取出
すことは試みなかった。収量:1.72g(59%)。
M.p.156℃(分解)。1 H−NMR(250MHz,CDCl3):第二アミド結合の回りの制
限された回転のために、いくつかのシグナルが2:1の比
率で二重になった(リストでは、大きい方がmj.および
小さい方がmi.で示される):7.88ppm(dd,1H,H−6);
7.39(m,5H,Ph);7.00(dd,1H,H−5);6.92(b,1H,BOC
−NH);6.74(b,1H,ZNH)−?;5.19(s,2H,Ph−CH3);4.
81ppm(s,mj.,Cyt−CH2−CO−);4.62ppm(s,mi.,Cyt−
CH2−CO−);4.23(s,mi.,CONRCH2CO2H);3.98ppm(s,m
j.,CONRCH2CO2H);3.42−3.02(unres,m,−CH2CH2−お
よび水);1.37(s,9H,t−Bu)。
FAB−MS:504(M+1);448(MH1−tBu)。
実施例11 N4−ベンジルオキシカルボニル−1−BOC−aeg−シトシ
ンペンタフルオロフェニルエステル(13)の合成。
N4−ベンジルオキシカルボニル−1−BOC−aeg−シト
シン(12,1.5g,2.98ミリモル)およびペンタフルオロフ
ェノール(548mg,2.98ミリモル)を、DMF(10mL)中に
溶解させた。塩化メチレン(10mL)を加え、その反応混
合物を氷浴中で0℃まで冷却し、そしてDCC(676mL,3.2
8ミリモル)を加えた。氷浴を3分後に除去し、そして
その混合物を周囲温度で3時間撹拌した。沈澱を濾過に
よって単離し且つ塩化メチレンで1回洗浄した。その沈
澱を沸騰ジオキサン(150mL)中に溶解させ、そしてそ
の溶液を15℃まで冷却し、それによってDCUが沈澱し
た。沈澱したDCUを濾過によって除去し、そして得られ
た濾液を水(250mL)中に0℃で注加した。標題化合物
を濾過によって単離し、水で洗浄し、そして真空中にお
いてシカペント上で乾燥させた。収量1.30g(65%)。
C29H28N5O8F5の分析。実測値(計算値)C:52.63(52.0
2);H:4.41(4.22);N:10.55(10.46)。1 H−NMR(250MHz;DMSO−d6):おそらくはエステルの加
水分解のために、本質的に上の酸の。スペクトルを示し
た。
FAB−MS:670(M+1);614(M+1−tBu)。
実施例12 4−クロロカルボキシ−9−クロロアクリジンの合成。
4−カルボキシアクリドン(6.25g,26.1ミリモル)、
塩化チオニル(25mL)および4滴のDMFを、固体材料が
全て溶解するまで窒素流下において穏やかに加熱した。
次に、その溶液を40分間還流させた。その溶液を冷却
し、過剰の塩化チオニルルを真空中で除去した。塩化チ
オニルの最後の痕跡は、乾燥ベンゼン(Na−Pb上で乾燥
させた)との2回の共蒸発によって除去した。残りの黄
色粉末を次の反応で直接的に用いた。
実施例13 4−(5−メトキシカルボニルペンチルアミドカルボニ
ル)−9−クロロアクリジンの合成。
6−アミノヘキサン酸メチル塩酸塩(4.7g,25.9ミリ
モル)を、塩化メチレン(90mL)中に溶解させ、0℃ま
で冷却し、トリエチルアミン(15mL)を加えた後、得ら
れた溶液を実施例12からの酸塩化物に対して速やかに加
えた。その酸塩化物が入っている丸底フラスコを氷浴中
で0℃まで冷却した。その混合物を0℃で30分間および
室温で3時間激しく撹拌した。得られた混合物を濾過し
て残った固体を取出し、これを塩化メチレン(20mL)で
洗浄した。次に、帯赤褐色塩化メチレン濾液を、飽和炭
酸水素ナトリウムで2回、飽和塩化ナトリウムで1回洗
浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして真空中で
蒸発乾固させた。得られた油状残留物に対して、乾燥ベ
ンゼン(35mL)およびリグロイン(60〜80℃,Na−Pb上
で乾燥された)を加えた。その混合物を加熱して還流さ
せた。活性炭およびセライトを加え、そしてその混合物
を3分間還流させた。濾過後、電磁撹拌しながら冷却す
ることで標題化合物が晶出した。それを濾過によって単
離し且つ石油エーテルで洗浄した。その生成物を固形水
酸化カリウム上で貯蔵した。収量5g(50%)。
実施例14 4−(5−メトキシカルボニルペンチル)アミドカルボ
ニル−9−[6'−(4''−ニトロベンズアミド)−ヘキ
シルアミノ]−アミノアクリジンの合成。
4−(5−メトキシカルボニルペンチルアミドカルボ
ニル)−9−クロロアクリジン(1.3g,3.38ミリモル)
およびフェノール(5g)を、窒素流下において80℃まで
30分間加熱した後、6−(4'−ニトロベンズアミド)−
1−ヘキシルアミン(897mg,3.38ミリモル)を加えた。
次に、その温度を120℃まで2時間上昇させた。その反
応混合物を冷却し、そして塩化メチレン(80mL)を加え
た。得られた溶液を2N水酸化ナトリウム(60mLずつ)で
3回および水で1回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥
させ、そして真空中で蒸発乾固させた。得られた赤色油
状物(1.8g)を塩化メチレン(40mL)中に溶解させ、そ
して0℃まで冷却した。エーテル(120mL)を加え、そ
して得られた溶液を一晩中撹拌した。これは、固体材料
および油状物の混合物を生じた。その固体を濾過によっ
て単離した。固体および油状物を塩化メチレン(80mL)
中に再溶解させ、そして冷エーテル(150mL)に対して
滴加した。20分間の撹拌後、標題化合物を濾過によって
橙色結晶として単離した。その生成物をエーテルで洗浄
し、そして水酸化カリウム上で真空乾燥させた。収量1.
6g(77%)。M.p.145〜147℃。
実施例15 4−(5−カルボキシペンチル)アミドカルボニル−9
−[6'−(4''−ニトロベンズアミド)−ヘキシルアミ
ノ]−アミノアクリジンの合成。
4−(5−メトキシカルボニルペンチル)アミドカル
ボニル−9−[6'−(4''−ニトロベンズアミド)−ヘ
キシルアミノ]アミノアクリジン(503mg,0.82ミリモ
ル)をDMF(30mL)中に溶解させ、そして2N水酸化ナト
リウム(30mL)を加えた。15分間撹拌した後、2N塩酸
(35mL)および水(50mL)を0℃で加えた。30分間撹拌
した後、その溶液を傾瀉して油状物質を残し、これを沸
騰メタノール(150mL)中に溶解させ、濾過し、そして
3分の1容量まで濃縮した。そのメタノール溶液に対し
て、エーテル(125mL)および5〜6滴のエタノール中H
Clを加えた。その溶液を0℃で1時間撹拌した後に傾瀉
した。油状物質をメタノール(25mL)中に再溶解させ、
そしてエーテル(150mL)で沈澱させた。標題化合物
は、一晩中撹拌した後に黄色結晶として単離された。収
量:417mg(80%)。M.p.173℃(分解)。
実施例16 (a) 4−(5−ペンタフルオロフェニルオキシカル
ボニルペンチル)−アミドカルボニル−9−[6'−
(4''−ニトロベンズアミド)−ヘキシルアミノ]−ア
ミノアクリジン(Acr1OPfp)の合成。
実施例15からの酸(300mg,0.48ミリモル)を、DMF(2
mL)中に溶解させ、そして塩化メチレン(8mL)を加え
た。ペンタクフルオロフェノール(97mg,0.53ミリモ
ル)を、その塩化メチレン溶液2×2mLと一緒にして加
えた。得られた溶液を0℃まで冷却した後、引続きDCC
(124mg,0.6ミリモル)を加えた。氷浴を5分後に除去
し、そしてその混合物を一晩中撹拌した。沈澱したDCU
を遠心分離によって除去し、そしてその遠心分離物を、
最初はウォーターアスピレーターにより、次に油ポンプ
による真空中で蒸発乾固させた。その残留物を塩化メチ
レン(20mL)中に溶解させ、濾過し、そして真空中で蒸
発乾固させた。その残留物を塩化メチレンおよび石油エ
ーテル(150mL)中に再度溶解させた。エーテル中5M H
Clの1mlアリコートを加えた。その溶媒を0℃で30分間
の撹拌後に傾瀉することによって除去した。残留する油
状物質を塩化メチレン(100mL)中に溶解させた。石油
エーテル(150mL)を加え、そしてその混合物を一晩中
撹拌した。黄色の沈澱した結晶性物質を濾過によって単
離し且つ多量の石油エーテルで洗浄した。収量(乾燥
後):300mg(78%)。M.p.97.5℃(分解)。試料は全
て、納得のいく元素分析、1H−および13C−NMR、および
質量スペクトルを示した。
(b) PNA合成の実験手順(図3)。
材料:BOC−Lys(CIZ)、ベンズヒドリルアミン−コポ
リ(スチレン−1%ジビニルベンゼン)樹脂(BHA樹
脂)およびp−メチルベンズヒドリルアミン−コポリ
(スチレン−1%ジビニルベンゼン)樹脂(MBHA樹脂)
は、Peninsula Laboratoriesから購入した。他の試薬お
よび溶媒は次の通りであった。Halocarbon Products製
の生物等級トリフルオロ酢酸;Aldrich製のジイソプロピ
ルエチルアミン(99%;それ以上蒸留されなかった)お
よびN−アセチルイミダゾール(98%);H2Oは2回蒸留
された;Union Carbide製の無水HF;Merck製の合成等級N,
N−ジメチルホルムアミドおよび分析用等級塩化メチレ
ン(それ以上蒸留されなかった);Lab−Scan製のHPLC等
級アセトニトリル;Fluka製のpurum等級アニソール、N,
N'−ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびPuriss.等
級2,2,2−トリフルオロエタノール。
一般法および備考 他に述べられた場合を除いて、次が適用される。PNA
化合物は、「一時的」N保護のためのTFA活性なt−ブ
チルオキシカルボニル(BOC)基(Merrifield,J.Am.Che
m.Soc.,1964,86,304)、および「永久的」側鎖保護のた
めの酸により安定なベンジルオキシカルボニル(Z)基
および2−クロロベンジルオキシカルボニル(CIZ)基
を利用する慣用的なペプチド化学を用いる段階的固相ア
プローチ(Merrifield,J.Am.Chem.Soc.,1963,85,2149)
によって合成された。C末端アミドを得るために、PNA
は、HF活性なBHAまたはMBHA樹脂上で組立てられた(MBH
A樹脂は、最終HF切断に対し、非置換BHA樹脂に相対して
増加した感受性を有する(Matsuedaら,Peptides,1981,
2,45))。反応は全て(HF反応を除く)、粗ガラスフリ
ットを備えた手動操作される標準固相反応容器中で行わ
れた(Merrifieldら,Biochemistry,1982,21,5020)。
「通常の」アミノ酸を含有するペプチドに関する、Sari
nら(Anal.Biochem.,1981,117,147)によって最初に開
発された定量的ニンヒドリン反応(Kaiser試験)は、全
ての残基について「通常」用いられる有効な吸光係数ε
=15000M-1cm-1を用いて個々の結合の完全さを確認し、
更には、成長するペプチド鎖の数を測定するのに首尾よ
く適用された(表I〜IIIを参照されたい)。残基数n
を結合する際の理論上の置換Sn-1(合成サイクル中に、
完全な脱保護および結合の両方を仮定し、更には、鎖終
結もPNA鎖の減少もないと仮定する)は、次の式から計
算される。
Sn=Sn-1×(1+(Sn-1×ΔMW×10-3ミリモル/モル))-1 式中、ΔMWは、分子量の増量([ΔMW]=g/モル)で
あり、そしてSn-1は、前の残基n−1の結合の際の理論
上の置換([S]=ミリモル/g)である。個々の結合度
に対する推定値(%)は、測定された置換に相対して計
算され(Sが決定されなかった場合を除いて)、そして
前のサイクルの後に残った遊離アミノ基の数の補正を含
む。HF反応は、Toho Kasei(大阪,日本)製のDiaflon
HF装置で行われた。Vydac C18(5μm,0.46×25cmおよ
び5μm,1×25cm)逆相カラムを、SP8000装置での分析
用および半分離用HPLCにそれぞれ用いた。緩衝液Aは、
445μl/リットルのトリフルオロ酢酸を含有する水中5
容量%アセトニトリルであり且つ緩衝液Bは、390μL/
リットルのトリフルオロ酢酸を含有する水中60容量%ア
セトニトリルであった。直線勾配は、30分間で0〜100
%の緩衝液Bであり、流量は1.2mL/分(分析用)および
5mL/分(半分離用)であった。溶離液は、215nm(分析
用)および230nm(半分量)で監視された。PNAの分子量
は、252Cfプラズマ脱離飛行時間質量分析法によって最
も豊富な同位体の平均から決定された。
実施例17 Acr1−[Taeg]15−NH2および更に短い誘導体の固相合
成。
(a) BOC−[Taeg]15−BHA樹脂の段階的組立て。
合成は、約33%DMF/CH2Cl2中で3.2当量のBOC−Taeg−
OPfpを用いる単結合(「合成プロトコール1」)を用い
て、予め膨潤し且つ中和されたBHA樹脂(定量的ニンヒ
ドリン反応によって0.57ミリモルNH2/gを含有すると確
認された)100mg上で開始された。個々の結合反応は、
手動操作される6mL標準固相反応容器中で少なくとも12
時間振とうすることによって行われ、そして未反応のア
ミノ基は、選択された合成段階でアセチル化によって遮
断された。鎖伸長の進行は、定量的ニンヒドリン反応に
よっていくつかの段階で監視された(表Iを参照された
い)。保護されたBOC−[Taeg]−BHA、BOC−[Tae
g]10−BHAおよびBOC−[Taeg]15−BHA樹脂の部分は、
それぞれ、5残基、10残基および15残基を組立てた後に
取出された。
(b) Acr1−[Taeg]15−BHA樹脂の合成。
残留するBOC−[Taeg]15−BHA樹脂(推定乾燥重量は
約30mgであり、約0.002ミリモル成長鎖)の脱保護後、
H−[Taeg]15−BHA樹脂を、3mL固相反応容器中におい
て、1mLの約66%DMF/CH2Cl2中で約50当量(80mg,0.11ミ
リモル)のAcr1−OPfp(すなわち、ペンタフルオロフェ
ニルエステルの0.11M溶液)と反応させた。定性的ニン
ヒドリン反応によって判定したところ、アクリジン残基
の結合は、定量反応に近似していた。
(c) H−[Taeg]−NH2の切断、精製および識
別。
保護されたBOC−[Taeg]−BHA樹脂の一部分を、塩
化メチレン中50%トリフルオロ酢酸で処理して、HF切断
の前にN末端BOC基(潜在的に有害なt−ブチルカチオ
ンの前駆物質である)を除去した。中和および洗浄
(「合成プロトコール1」の工程2〜4と同様に行われ
た)並びに真空中で2時間乾燥後、得られた67.1mg(乾
燥重量)のH−[Taeg]−BHA樹脂を、5mLのHF:アニ
ソール(9:1,v/v)を用いて0℃で60分間撹拌して切断
した。HFの除去後、残留物を乾燥ジエチルエーテル(4
×15mL,各15分間)と一緒に撹拌してアニソールを除去
し、ガラス濾過器によって重力濾過し、そして乾燥させ
た。次に、PNAを10%酢酸水溶液60mL(4×15mL,各15分
間撹拌する)中に抽出した。この溶液のアリコールを分
析用逆相HPLCによって分析して、粗製PNAの純度を決定
した。13分での主要ピークは、全吸光度の約93%を占め
た。残った溶液を凍結させ且つ凍結乾燥させて、約22.9
mgの粗製材料を与えた。最後に、粗生成物19mgを、1mL
のH2O中にそれぞれ3.8mgを含有する5回のバッチから精
製した。主要ピークは、半分離用逆相カラムの使用によ
って集められた。アセトニトリルをspeed vacで除去
し、そして残留する溶液を凍結させ(ドライアイス)、
そして続いて凍結乾燥させて、>99%純度のH−[Tae
g]−NH2を13.1mg与えた。そのPNA分子は水中に容易
に溶解し、しかも質量スペクトル測定に基づく補正分子
量を有した。(M+H)に関して、計算されたm/z値
は1349.3であり、そして測定されたm/z値は1347.8であ
った。
(d) H−[Taeg]10−NH2の切断、精製および識
別。
保護されたBOC−[Taeg]10−BHA樹脂の一部分を、項
目(c)で記載のように処理して、乾燥H−[Taeg]10
−BHA樹脂18.9mgのHF切断で、粗製材料11mgを生じた。1
5.5分での主要ピークは、全吸光度の約53%を占めた。
粗生成物約1mgを繰返し精製して(以下に記載の理由の
ために)、少なくとも80%であるがおそらくは>99%純
度のH−[Taeg]10−NH2を約0.1mg与えた。標的ピーク
後に溶離し且つ全吸光度の約20%を占めたかなり広範囲
のテイルは、反復精製で除去することができなかった
(僅かに減少しただけであった)。正しい分子量のH−
[Taeg]10−NH2の存在を確認するだけの質量スペクト
ルによって判定したところ、そのテイル現象は、多かれ
少なかれ、標的分子の充分に規定された凝集/立体配座
状態による。したがって、粗生成物は、上述の53%を越
える標的分子を含有すると考えられる。H−[Taeg]10
−NH2は、水中に容易に溶解した。(M+H)に関し
て、計算されたm/z値は2679.6であり、そして測定され
たm/z値は2681.5であった。
(e) H−[Taeg]15−NH2の切断、精製および識
別。
保護されたBOC−[Taeg]15−BHA樹脂の一部分を、項
目(c)で記載のように処理して、乾燥H−[Taeg]15
−BHA樹脂13.9mgのHF切断で、粗製材料3.2mgを生じた。
22.6分での主要ピークは、全吸光度の約60%を占める広
範なふくらみ部分に位置した(図12a)。集められた
「ふくらみ」の質量スペクトル分析は、他の分子の存在
をほとんど示さなかったので、再度(前の項目を参照さ
れたい)、このふくらみは、標的分子H−[Taeg]15
NH2の凝集/立体配座状態による。粗生成物は全て、そ
の「ふくらみ」を集めて精製されて、約2.8mgの物質を
与えた。(M+Na)に関して、計算されたm/z値は403
3.9であり、そして測定されたm/z値は4032.9であった。
(f) Acr1−[Taeg]15−NH2の切断、精製および識
別。
保護されたAcr1−[Taeg]15−BHA樹脂の一部分を、
項目(b)で記載のように処理して、乾燥Acr1−[Tae
g]15−BHA樹脂29.7mgのHF切断で、粗製材料14.3mgを生
じた。まとめると、23.7分での主要ピークおよび29.2分
での「二量体」(下記を参照されたい)は、全吸光度の
約40%を占めた(図12b)。粗生成物を繰返し精製し
て、27.4分、29.2分で溶離し、そして最後に極めて広範
なふくらみとして100%緩衝液Bで溶離した自己凝集分
子を「混入した」おそらく>99%純度のAcr1−[Taeg]
15−NH2約1mgを与えた(図12c)。この説明は、それら
ピークが酢酸水溶液中で(何時間か)の放置で成長し、
そして最後に定量的に析出するという知見と一致する。
(M+H)に関して、計算されたm/z値は4593.6であ
り、そして測定されたm/z値は4588.7であった。
(g)合成プロトコール1。
(1)TFA/CH2Cl2(1:1,v/v)でのBOC脱保護,3mL,3×
1分間および1×30分間;(2)CH2Cl2での洗浄,3mL,6
×1分間;(3)DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)での中和,3m
L,3×2分間;(4)CH2Cl2での洗浄,3mL,6×1分間お
よび1分間排水;(5)PNA樹脂の2〜5mg試料を取出し
且つ定量的ニンヒドリン分析用に充分に乾燥させて、置
換を確認することができる;(6)1mLのCH2Cl2中に溶
解させた3.2当量(0.18ミリモル,100mg)BocTaeg−OPfp
の添加に続く0.5mLのDMF(ペンタフルオロフェニルエス
テルの最終濃度約0.12M)の添加;結合反応は、室温で
振とうして合計12〜24時間進行させた;(7)DMFでの
洗浄,3mL,1×2分間;(8)CH2Cl2での洗浄,3mL,4×1
分間;(9)DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)での中和,3mL,2
×2分間;(10)CH2Cl2での洗浄,3mL,6×1分間;(1
1)保護されたPNA樹脂の2〜5mg試料を迅速定性ニンヒ
ドリン試験用に取出し、そして更に2〜5mgを定量的ニ
ンヒドリン分析用に充分に乾燥させて、結合度を測定す
る(7回、10回および15回のサイクル後に、未反応アミ
ノ基を、塩化メチレン中でN−アセチルイミダゾールを
用いるアセチル化によって遮断した)。
実施例18 Acr1−[Taeg]15−Lys−NH2およびより短い誘導体の固
相合成 (a) BOC−[Taeg]15−Lys(ClZ)−BHA樹脂の逐次
組立 予備膨潤・中和した(preswollen and neutralized)
100mgのBHA樹脂(0.57ミリモルNH2/g)へのBOC−Lys(C
lZ)の定量的な負荷(純粋CH2Cl2中における標準的なDC
Cインサイチオカップリング)によって合成を開始し
た。保護されたPNA鎖をさらに伸長するには、約33%のD
MF/CH2Cl2中にて3.2当量のBOC−Taeg−OPfpを用いて、
サイクル1〜5とサイクル10〜15に対して単一カップリ
ング(“合成プロトコル2")を使用した。サイクル5〜
10は、約33%のDMF/CH2Cl2中にて遊離酸BOC−Taeg−OH
のさらなるDDC(すなわちインサイチオ)カップリング
を使用した。カップリング反応はいずれも、手操作によ
る6mlの標準固相反応容器中にて少なくとも12時間振盪
することによって行った。実施例17の場合と同じ合成段
階にてアセチル化することによって、未反応のアミノ基
をブロックした。それぞれ5PNA残基と10PNA残基を組み
立てた(assembling)後に、保護されたBOC−[Taeg]
−Lys(ClZ)−BHA樹脂とBOC−[Taeg]10−Lys(Cl
Z)−BHA樹脂の部分を取り除いた。BOC−[Taeg]10−L
ys(ClZ)−BHA樹脂からの粗製切断生成物(セクション
(e)を参照)の分析HPLCによるクロマトグラムからわ
かるように、PNA残基5〜10のさらなる“遊離酸”カッ
プリングは、実施例17における単一カップリングによる
残基に比較して、合成収率の大幅な改良をもたらさなか
った。
(b) Acr1−[Taeg]10−Lys(ClZ)−BHA樹脂の合
成 BOC−[Taeg]10−Lys(ClZ)−BHA樹脂の一部と脱保
護(推定乾燥重量は約90mg、〜0.01ミリモルの生長鎖)
した後、3mlの固相反応容器を使用して、1mlの約66%DM
F/CH2Cl2中でH−[Taeg]15−BHA樹脂と約20当量(141
mg,0.19ミリモル)のAcr1−OPfpとを反応させた。定性
的なニンヒドリン反応からわかるように、アクリジン部
分のカップリングはほぼ定量的であった。
(c) Acr1−[Taeg]15−Lys(ClZ)−BHA樹脂の合
成 BOC−[Taeg]15−Lys(ClZ)−BHA樹脂残部を脱保護
(推定乾燥重量は約70mg、0.005ミリモルの生長鎖)し
た後、3mlの固相反応容器を使用して、1mlの約66%DMF/
CH2Cl2中でH−[Taeg]15−Lys(ClZ)−BHA樹脂と約2
5当量(91mg,0.12ミリモル)のAcr1−OPfpとを反応させ
た。定性的なニンヒドリン反応からわかるように、アク
リジン部分のカップリングはほぼ定量的であった。
(d) H−[Taeg]−Lys−NH2の切断、精製、およ
び同定 保護されたBOC−[Taeg]−Lys(ClZ)−BHA樹脂の
一部を実施例17(c)に記載の手順に従って処理し、19
mgの乾燥H−[Taeg]−Lys(ClZ)−BHA樹脂をHF切
断して8.9mgの粗製物を得た。12.2分におけるメインピ
ーク(10%水性酢酸溶液の代わりに水溶液で注入した場
合は14.2分にて溶離する)が全吸光度の約90%を占め
た。約2.2mgの粗製物を精製して約1.5mgの99%純度のH
−[Taeg]−Lys−NH2を得た。
(e) H−[Taeg]10−Lys−NH2の切断、精製、およ
び同定 保護されたBOC−[Taeg]10−Lys(ClZ)−BHA樹脂の
一部を実施例17(c)に記載の手順に従って処理し、7m
gの乾燥H−[Taeg]10−Lys(ClZ)−BHA樹脂をHF切断
して1.7mgの粗製物を得た。15.1分におけるメインピー
ク(10%水性酢酸溶液の代わりに水溶液で注入した場合
は17分にて溶離する)が全吸光度の約50%を占めた。約
1.2mgの粗製物を精製して約0.2mgの95%より高い純度の
H−[Taeg]10−Lys−NH2を得た(図4)。(M+H)
に関しては、理論m/z値は2807.8であり、実測m/z値は
2808.2であった。
(f) Acr1−[Taeg]10−Lys−NH2の切断、精製、お
よび同定 保護されたAcr1−[Taeg]10−Lys(ClZ)−BHA樹脂
(99.1mg,乾燥重量)を実施例17(c)に記載の手順に
したがって切断して42.2mgの粗製物を得た。25.3分にお
けるメインピーク(10%水性酢酸溶液の代わりに水溶液
で注入した場合は23.5分にて溶離する)が全吸光度の約
45%を占めた。8.87mgの粗製物を精製して約5.3gの97%
より高い純度のAcr1−[Taeg]10−Lys−NH2を得た。
(M+H)に関しては、理論m/z値は2850.8であり、
実測m/z値は2849.8であった。
(g) Acr1−[Taeg]15−Lys−NH2の切断と精製 保護されたAcr1−[Taeg]15−Lys(ClZ)−BHA樹脂
の78.7mg部分(乾燥重量)を実施例18に記載の手順にし
たがって切断して34.8mgの粗製物を得た。23.5分におけ
るメインピーク(10%水性酢酸溶液の代わりに水溶液で
注入した場合とほぼ同じ溶離時間)と28.2分における
“ダイマー”が全吸光度の約35%を占めた。約4.5mgの
粗製物を精製して、約1.6mgのおそらく95%より高い純
度のAcr1−[Taeg]15−Lys−NH2を得た。この化合物
は、“ダイマー”ピーク(水性酢酸溶液中に静置してお
くと大きくなる)をなくすことができなかった。
(h) 合成プロトコル2 (1)TFA/CH2Cl2(1:1,v/v)によるBOC−脱保護、3m
l、3×1分および1×30分;(2)CH2Cl2による洗
浄、3ml、6×1分;(3)DIEA/CH2Cl2(1:9,v/v)に
よる中和、3ml、3×2分;(4)CH2Cl2による洗浄、3
ml、6×1分、および1分間排出(drain);(5)PNA
−樹脂の2〜5mgサンプルを取り出し、定性的なニンヒ
ドリン分析のために充分に乾燥することができる;
(6)サイクル1〜5とサイクル10〜15に対し、3.2当
量(0.18ミリモル,100mg)のBOC−Taeg−OPfpを1mlのCH
2Cl2中に溶解して得られた溶液を加えることによって、
次いで0.5mlのDMFを加えることによって(ペンタフルオ
ロフェニルエステルの最終濃度は〜0.12M)カップリン
グ反応を行う。トータルで12〜24時間振盪して、カップ
リング反応を進行させる。サイクル5〜10は、1.5mlのD
MF/CH2Cl2(1:2,v/v)中において0.12MのBOC−Taeg−OH
のさらなる0.12M DCCカップリングを使用する;(7)D
MFによる洗浄、3ml、1×2分;(8)CH2Cl2による洗
浄、3ml、4×1分;(9)DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)に
よる中和、3ml、2×2分;(10)CH2Cl2による洗浄、3
ml、6×1分;(11)保護されたPNA−樹脂の2〜5mgサ
ンプルを定性的なニンヒドリン試験用に取り出し(サイ
クル7、10、および15の後)、塩化メチレン中における
N−アセチルイミダゾールによるアセチル化によって未
反応のアミノ基をブロックする。
実施例19 H−[Taeg]10−Lys−NH2の改良された固相合成 前記の実施例において使用されたBHA樹脂の負荷の半
分を使用して、保護されたPNAをMBHA樹脂上に組み立て
た。さらに、1つのサイクルを除いた全てのサイクルの
後に、カップリングしていないアミノ基をアセチル化し
た。以下に合成を詳細に説明する。
(a) 0.3ミリモル/gの初期置換を伴うBOC−Lys(Cl
Z)−NH−CH(p−CH3−C6H4)−C6H4樹脂の合成 BOC−Lys(ClZ)−MBHA樹脂の望ましい置換は0.25〜
0.30ミリモル/gであった。この値を得るために、60mlの
CH2Cl2中にて単一のインサイチオカップリング(1.5ミ
リモルのDCC)を使用して、5gの中和・予備膨潤させたM
BHA樹脂(定量的なニンヒドリン反応によって0.64ミリ
モルのNH2/gを含有していることがわかった)に1.5ミリ
モルのBOC−Lys(ClZ)をカップリングさせた。手操作
による225mlの標準固相反応容器中にて3時間振盪する
ことによって反応を行った。次いで、無水酢酸/ピリジ
ン/CH2Cl2(1:1:2,v/v)の混合物で18時間アセチル化す
ることによって、未反応のアミノ基をブロックした。中
和された樹脂に対する定量的なニンヒドリン反応によ
り、わずか0.00093ミリモル/gの遊離アミン(すなわ
ち、最初のアミノ基の0.15%)だけが残存していること
がわかった(表Iを参照)。脱保護とニンヒドリン分析
によって置換の程度を評価し、中和されたH−Lys(Cl
Z)−MBHA樹脂に対しては0.32ミリモル/gであることが
見いだされた。この値は、0.30ミリモルのBOC−Lys(Cl
Z)/g樹脂の定量的カップリングに対する0.28ミリモル/
gという最大値に匹敵する(表IIを参照)。
(b) BOC−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBHA樹脂の逐
次組立 セクション(a)において合成したH−Lys(ClZ)−
MBHA樹脂の全バッチを直接使用し、純粋CH2Cl2中にて2.
5当量のBOC−Taeg−OPfpを使用した単一カップリングに
よって(“合成プロトコル3")BOC−[Taeg]3−Lys
(ClZ)−MBHA樹脂を組み立てた。合成の全体にわたっ
て定量的なニンヒドリン反応を適用した(表IIを参
照)。
(c) BOC−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBHA樹脂の逐
次組立 約4.5gの湿潤状態のBOC−[Taeg]−Lys(ClZ)−M
BHA樹脂(約0.36ミリモルの生長鎖、セクション(b)
において合成したトータル約19gの湿潤樹脂から採取)
を55mlの固相ペプチド合成(SPPS)反応容器中に入れ
た。約30%のDMF/CH2Cl2中における2.5当量のBOC−Taeg
−OPfpを使用する単一カップリング(“合成プロトコル
4")によって、BOC−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBHA樹
脂を組み立てた。定量的なニンヒドリン反応によって、
合成の進行を全ての段階においてモニターした(表IIを
参照)。
(d) BOC−[Taeg]10−Lys(ClZ)−MBHA樹脂の逐
次組立 約1gの湿潤状態のBOC−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBH
A樹脂(約0.09ミリモルの生長鎖、セクション(C)に
おいて合成したトータル約4gの湿潤樹脂から採取)を20
mlのSPPS反応容器中に入れた。約30%のDMF/CH2Cl2中に
て2.5当量のBOC−Taeg−OPfpを使用する、前記セクショ
ンにおいて使用した単一カップリングプロトコルによっ
て、BOC−[Taeg]10−Lys(ClZ)−MBHA樹脂を組み立
てた。反応体積は3mlであった(激しい振盪)。定量的
なニンヒドリン反応によって合成をモニターした(表II
を参照)。
(e) Ac−[Taeg]10−Lys(ClZ)−MBHA樹脂の合成 BOC−[Taeg]10−Lys(ClZ)−MBHA樹脂の一部を脱
保護した後(推定乾燥重量は約45mgである)、樹脂を、
3mlの固相反応容器中にて2時間、2mlの無水酢酸/ピリ
ジン/CH2Cl2混合物で定量的にアセチル化した。
(f) H−[Taeg]10−Lys−NH2の切断、精製、およ
び同定 保護されたBOC−[Taeg]10−Lys(ClZ)−MBHA樹脂
の一部を実施例17(c)に記載の手順にしたがって処理
し、76mgの乾燥H−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBHA樹脂
をHF切断して約24mgの粗製物を得た。15.2分におけるメ
インピーク(欠失ペプチドや種々の副生物などの不純物
を含む)が全吸光度の約78%を占めた。メインピークは
さらに、“メインピーク+欠失ピーク”の吸光度の約88
%を占め、これは、表IIにおける個々のカップリング収
率を総和することによって得られる90.1%という全体の
推定カップリング収率と良く一致している。セミ分取用
逆相カラム(semi−preparative reverse−phase colum
n)(ドライアイス/2−プロパノールで冷却したビーカ
ー中にメインピークを捕集する)を使用することによっ
て、2つのバッチから粗製物の7.2mg部分を精製した。
それぞれが1mlのH2O中に3.6mgを含有した。溶液を直接
凍結乾燥して(高速減圧であらかじめアセトニトリルを
除去することなく)、4.2mgの82%純度のH−[Taeg]
10−Lys−NH2を得た。
(g) Ac−[Taeg]10−Lys−NH2の切断、精製、およ
び同定 保護されたAc−[Taeg]10−Lys(ClZ)−BHA樹脂の4
00.0mg部分(乾燥重量)を実施例17(c)に記載の手順
にしたがって切断して(TFA処理は除いて)、11.9mgの
粗製物を得た。15.8分におけるメインピークが全吸光度
の約75%を占めた。粗製物の4.8mg部分を精製して、約
3.5mgの95%より高い純度のAc−[Taeg]10−Lys−NH2
を得た。(M+H)に関しては、理論m/z値=2849.8
であり、実測m/z値=2848.8であった。
(h) 合成プロトコル3 (1)TFA/CH2Cl2(1:1,v/v)によるBOC−脱保護、10
0ml、3×1分および1×30分;(2)CH2Cl2による洗
浄、100ml、6×1分;(3)DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)
による中和、100ml、3×2分;(4)CH2Cl2による洗
浄、100ml、6×1分、および1分間排出;(5)PNA−
樹脂の2〜5mgサンプルを取り出し、置換量を測定する
ための定量的なニンヒドリン分析のために充分に乾燥す
る;(6)2.5当量(3.75ミリモル,2.064g)のBOC−Tae
g−OPfpを35mlのCH2Cl2中に溶解して得られる溶液(ペ
ンタフルオロフェニルエステルの最終濃度は約0.1M)を
加える;振盪しながらトータルで20〜24時間、カップリ
ング反応を進行させる;(7)DMFによる洗浄、100ml、
1×2分(BOC−Taeg−OHの沈殿物を除去するため);
(8)CH2Cl2による洗浄、100ml、4×1分;(9)DIE
A/CH2Cl2(1:19,v/v)による中和、100ml、2×2分;
(10)CH2Cl2による洗浄、100ml、6×1分;(11)保
護されたPNA−樹脂の2〜5mgサンプルを迅速な定性的ニ
ンヒドリン試験用に取り出し、そしてカップリングの程
度を測定するための定量的なニンヒドリン分析用に、さ
らに2〜5mgを充分に乾燥する;(12)100mlの無水酢酸
/ピリジン/CH2Cl2(1:1:2,v/v/v)混合物で2時間アセ
チル化することによる未反応アミノ基のブロッキング;
(13)CH2Cl2による洗浄、100ml、6×1分;(14)定
性的ニンヒドリン分析および定量的ニンヒドリン分析の
ために、保護されたPNA−樹脂の2×2〜5mgサンプルを
取り出し、DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)で中和し、そしてC
H2Cl2で洗浄する。
(i) 合成プロトコル4 (1) TFA/CH2Cl2(1:1,v/v)による脱BOC−保護、
25ml、3×1分および1×30分;(2)CH2Cl2による洗
浄、25ml、6×1分;(3)DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)
による中和、25ml、3×2分;(4)CH2Cl2による洗
浄、25ml、6×1分、および1分間排出;(5)PNA−
樹脂の2〜5mgサンプルを取り出し、置換量を測定する
ための定量的なニンヒドリン分析のために充分に乾燥す
る;(6)2.5当量(0.92ミリモル,0.506g)のBOC−Tae
g−OPfpを6mlのCH2Cl2中に溶解して得られる溶液を加
え、次いで3mlのDMFを加える(ペンタフルオロフェニル
エステルの最終濃度は約0.1M);振盪しながらトータル
で20〜24時間、カップリング反応を進行させる;(7)
DMFによる洗浄、25ml、1×2分;(8)CH2Cl2による
洗浄、25ml、4×1分;(9)DIEA/CH2Cl2(1:19,v/
v)による中和、25ml、2×2分;(10)CH2Cl2による
洗浄、25ml、6×1分;(11)保護されたPNA−樹脂の
2〜5mgサンプルを迅速な定性的ニンヒドリン試験用に
取り出し、そしてカップリングの程度を測定するための
定量的なニンヒドリン分析用に、さらに2〜5mgを充分
に乾燥する;(12)25mlの無水酢酸/ピリジン/CH2Cl2
(1:1:2,v/v/v)混合物で2時間アセチル化する(第1
のサイクル後は除く)ことによる未反応アミノ基のブロ
ッキング;(13)CH2Cl2による洗浄、25ml、6×1分;
(14)定性的ニンヒドリン分析および定量的ニンヒドリ
ン分析のために、保護されたPNA−樹脂の2×2〜5mgサ
ンプルを取り出し、DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)で中和
し、そしてCH2Cl2で洗浄する。
実施例20 N−ベンジルオキシカルボニル−N'−(BOC−アミノエ
チル)グリシンの合成 アミノエチルグリシン(52.86g,0.447モル)を水(90
0ml)中に溶解し、ジオキサン(900ml)を加えた。2N N
aOHでpHを11.2に調節した。tert−ブチル−p−ニトロ
フェニルカーボネート(128.4g,0.537モル)をジオキサ
ン(720ml)中に溶解して得た溶液を、pHを11.2に保持
しながら2時間で滴下した。pHを少なくともさらに3時
間にわたって11.2に保持し、攪拌しながら一晩放置し
た。黄色溶液を0℃に冷却し、2N HClでpHを3.5に調節
した。本混合物をクロロホルム(4×100ml)で洗浄
し、0℃にて2N NaOHで水相のpHを9.5に調節した。2N N
aOHでpHを9.5に保持しながら、塩化ベンジルオキシカル
ボニル(73.5ml,0.515モル)を30分で加えた。次の4時
間にわたってpHを頻繁に調節し、本溶液を攪拌しながら
一晩放置した。翌日、溶液をエーテル(3×600ml)で
洗浄し、0℃にて2N HClで溶液のpHを1.5に調節した。
酢酸エチル(5×1000ml)で抽出することによって表記
化合物を単離した。酢酸エチル溶液を硫酸マグネシウム
で乾燥し、減圧にて溶媒を蒸発除去した。これにより得
られた138gの生成物をエーテル(300ml)中に溶解し、
石油エーテル(1800ml)を加えることによって沈澱させ
た。収量124.7g(79%)。融点64.5〜85℃。C17H24N2O6
に対する元素分析:実測値(計算値)C:58.40(57.9
4);H:7.02(6.86);N:7.94(7.95)。1H−NMR(250MH
z,CDCl3)7.33&7.32(5H,Ph);5.15&5.12(2H,PhC
H2);4.03&4.01(2H,NCH2CO2H);3.46(b,2H,BOC−NHC
H2CH2);3.28(b,2H,BOC−NHCH2CH2);1.43&1.40(9H,
t−Bu)。HPLC(260nm)20.71分(80.2%)および21.57
分(19.8%)。UV−スペクトル(200nm〜300nm)は全く
同じであり、このことはマイナーピークがBis−Z−AEG
からなることを示している。
実施例21 N'−BOC−アミノエチルグリシンエチルエステルの合成 N−ベンジルオキシカルボニル−N'−(BOC−アミノ
エチル)グリシン(60g,0.170モル)とN,N−ジメチル−
4−アミノピリジン(6g)を無水アルコール(500ml)
中に溶解し、0℃に冷却してからDCC(42.2g,0.204モ
ル)を加えた。5分後に氷浴を取り除き、攪拌をさらに
2時間続けた。沈澱したDCU(32.5g,dried)を濾過によ
って除去し、エーテル(3×100ml)で洗浄した。濾液
を合わせて、希薄硫酸水素カリウム水溶液(2×400m
l)、希薄炭酸水素ナトリウム水溶液(2×400ml)、お
よび塩化ナトリウム飽和水溶液(1×400ml)で順次洗
浄した。有機相を濾過し、硫酸マグネシウムで乾燥し、
減圧にて溶媒を蒸発除去して、幾らかのDCUを含有する6
6.1gの油状物を得た。
この油状物を無水エタノール(600ml)中に溶解し、
炭素担持10%パラジウム(6.6g)を加えた。本溶液を大
気圧にて水素化し、このときリザーバーには2Nの水酸化
ナトリウムを充填した。4時間後、理論量の4.2リット
ルのうち3.3リットルが消費された。セライトを通して
反応混合物を濾過し、減圧にて溶媒を蒸発除去して39.5
g(94%)の油状物を得た。この油状物の13g部分をシリ
カゲル(SiO2,600g)クロマトグラフィーによって精製
した。塩化メチレン中20%石油エーテル300mlで溶離し
た後、塩化メチレン中5%メタノール1700mlで表記化合
物を溶離した。かなり高純度のフラクションから減圧に
て溶媒を除去したところ、収量は8.49gであった。これ
とは別に、10gの粗製物をクーゲルロール蒸留(Kugel R
ohr distillation)によって精製した。1H−NMR(250MH
z,CD3OD);4.77(b,s,NH);4.18(q,2H,MeCH2−);3.38
(s,2H,NCH2CO2Et);3.16(t,2H,BOC−NHCH2CH2);2.68
(t,2H,BOC−NHCH2CH2);1.43(s,9H,t−Bu);および
1.26(t,3H,CH3)。13C−NMR 171.4(COEt);156.6(C
O);78.3((CH33C);59.9(CH2);49.0(CH2);48.1
(CH2);39.0(CH2);26.9(CH2);および12.6(C
H3)。
実施例22 N'−BOC−アミノエチルグリシンメチルエステルの合成 エタノールの代わりにメタノールを使用して上記の手
順を施した。最終生成物をカラム精製によって精製し
た。
実施例23 1−(BOC−aeg)チミンエチルエステルの合成 N'−BOC−アミノエチルグリシンエチルエステル(13.
5g,54.8ミリモル)、DhbtOH(9.84g,60.3ミリモル)、
および1−カルボキシメチルチミン(11.1g,60.3ミリモ
ル)をDMF(210ml)中に溶解した。塩化メチレン(210m
l)を加えた。本溶液をエタノール/氷浴にて0℃に冷
却し、DCC(13.6g,65.8ミリモル)を加えた。1時間後
に氷浴を取り除き、周囲温度にて攪拌をさらに2時間続
けた。沈澱したDCUを濾過によって除去し、塩化メチレ
ン(2×75ml)で2回洗浄した。濾液わ合わせてさらな
る塩化メチレン(650ml)を加えた。本溶液を、希薄炭
酸水素ナトリウム水溶液(3×500ml)、希薄硫酸水素
カリウム水溶液(2×400ml)、および塩化ナトリウム
飽和水溶液(1×500ml)で順次洗浄した。沈殿物を濾
過によって有機相から除去した。有機相を硫酸マグネシ
ウムで乾燥し、減圧にて溶媒を蒸発除去した。油状残留
物を塩化メチレン(150ml)中に溶解し、濾過し、0℃
にて石油エーテル(350ml)を加えることによって表記
化合物を沈澱させた。塩化メチレン/石油エーテルの手
順を1回繰り返した。これによって16g(71%)の物質
が得られ、HPLCによれば純度が99%より高かった。
実施例24 1−(BOC−aeg)チミンの合成 上記の物質をTHF(194ml)中に溶解し(0.2Mの溶液と
なる)、1Mの水酸化リチウム水溶液(116ml)を加え
た。本混合物を周囲温度で45分攪拌し、濾過して残留DC
Uを除去した。溶液に水(40ml)を加え、これを塩化メ
チレン(300ml)で洗浄した。さらなる水(30ml)を加
え、このアルカリ性溶液を塩化メチレン(150ml)でも
う一回洗浄した。この水溶液を0℃に冷却し、1N HCl
(約110ml)を滴下することによってpHを2に調節し
た。表記化合物を酢酸エチル(9×200ml)で抽出し、
抽出液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧にて
溶媒を蒸発除去した。残留物をメタノールに溶解して、
メタノールを蒸発除去し、一晩乾燥すると無色のガラス
状固体が得られた。収量9.57g(64%)。HPLC>98% RT
=14.8分。C16H24N4O7・0.25H2Oに対する元素分析:実
測値(計算値)C:42.29(49.42);H:6.52(6.35);N:1
4.11(14.41)。第二級アミドのまわりの回転が制約さ
れるため、シグナルの幾つかが2:1の比にて二重になっ
た(メジャーシグナルに対してはmj.でマイナーシグナ
ルに対してはmi.で示されている)。1H−NMR(250MHz,D
MSO−d6)δ:12.75(bs,1H,CO2H);11.28(s,1H,mj,イ
ミド NH);11.26(s,1H,mi,イミド NH);7.30(s,1H,
mj,T H−6);7.26(s,1H,mi,T H−6);6.92(bt,1H,m
j,BOC−NH);6.73(bt,1H,mi,BOC−NH);4.64(s,2H,m
j,CH2CON);4.46(s,2H,mj,CH2CON);4.19(s,2H,mi,CH
2CO2H);3.97(s,2H,mj,CH2CO2H);3.63−3.01(分解さ
れないm,水を含む,CH2CH2);1.75(s,3H,CH3);および
1.38(s,9H,t−Bu)。
実施例25 N4−ベンジルオキシカルボニル−1−(BOC−aeg)シト
シンの合成 N'−BOC−アミノエチルグリシンエチルエステル(5g,
20.3ミリモル)、DhbtOH(3.64g,22.3ミリモル)、およ
びN4−ベンジルオキシカルボニル−1−カルボキシメチ
ルシトシン(6.77g,22.3ミリモル)をDMF(100ml)中に
懸濁させた。塩化メチレン(100ml)を加えた。溶液を
0℃に冷却し、DCC(5.03g,24.4ミリモル)を加えた。
2時間後に氷浴を取り除き、周囲温度にて攪拌をさらに
1時間続けた。反応混合物から溶媒を減圧にて蒸発除去
した。残留物をエーテル(100ml)中に懸濁させ、30分
激しく攪拌した。固体物質を濾過によって単離し、エー
テル洗浄手順を2回繰り返した。本物質を希薄炭酸水素
ナトリウム水溶液(約4%溶液,100ml)と混合して15分
激しく攪拌し、濾過し、そして水で洗浄した。この手順
を1回繰り返し、乾燥後に17gの黄色固体物質を得た。
この固体物質をジオキサン(200ml)と共に還流し、高
温である間に濾過した。冷却した後、水(200ml)を加
えた。沈澱した物質を濾過によって単離し、水で洗浄
し、そして乾燥した。HPLC(260nmにて観察)によれ
ば、本物質の純度は、DCUを除いて99%以上であった。
次いでこのエステルをTHF(100ml)中に懸濁させ、0℃
に冷却し、そして1NのLiOH(61ml)を加えた。15分攪拌
した後、混合物を濾過し、濾液を塩化メチレン(2×15
0ml)で洗浄した。このアルカリ性溶液を0℃に冷却
し、1N HClでpHを2.0に調節した。表記化合物を濾過に
よって単離し、水で1回洗浄し、乾燥後に11.3gの白色
粉末を得た。本物質を塩化メチレン(300ml)中に懸濁
させ、石油エーテル(300ml)を加えた。濾過と洗浄を
行い、乾燥後に7.1g(69%)の生成物を得た。HPLCによ
れば、純度99%、RT=19.5分であり、12.6分における少
量の不純物(約1%)は、おそらくZ−脱保護されたモ
ノマーである。C23H29N5O8に対する元素分析:実測値
(計算値)C:54.160(54.87);H:5.76(5.81);N:13.65
(13.91)。1H−NMR(250MHz,DMSO−d6)10.78(bs,1H,
CO2H);7.88(2つの重なったダブレット,1H,Cyt H−
5);7.41−7.32(m,5H,Ph);7.01(2つの重なったダ
ブレット,1H,Cyt H−6);6.94&6.78(分解されないト
リプレット,1H,BOC−NH);5.19(s,2H,PhCH2);4.81&
4.62(s,2H,CH2CON);4.17&3.98(s,2H,CH2CO2H);3.4
2−3.03(m,水を含む,CH2CH2);及び1.38&1.37(s,9
H,t−Bu)。13C−NMR 150.88;128.52;128.18;127.96;9
3.90;66.53;49.58;及び28.22。IR:cm-1(強度)表示の
振動数3423(26.4),3035(53.2),2978(41.4),1736
(17.3),1658(3.8),1563(23.0),1501(6.8),お
よび1456(26.4)。
実施例26 9−カルボキシメチルアデニンエチルエステルの合成 アデニン(10g,74ミリモル)と炭酸カリウム(10.29
g,74ミリモル)をDMF中に懸濁させ、ブロモ酢酸エチル
(8.24ml,74ミリモル)を加えた。懸濁液を室温にて窒
素雰囲気で2.5時間攪拌してから濾過した。固体残留物
をDMF(10ml)で3回洗浄した。濾液を合わせて減圧に
て溶媒を蒸発除去した。黄橙色固体物質に水(200ml)
を加え、4N HClでpHを6に調節した。0℃で10分攪拌し
た後、固体を濾別し、水で洗浄し、96%エタノール(15
0ml)から再結晶した。表記化合物を濾過によって単離
し、エーテルで充分に洗浄した。収量:3.4g(20%)。
融点:215.5−220℃。C9H11N5O2に対する元素分析:実測
値(計算値)C:48.86(48.65);H:5.01(4.91);N:31.6
6(31.42)。1H−NMR(250MHz,DMSO−d6)7.25(bs,2H,
NH2);5.06(s,2H,NCH2);4.17(q,2H,J=7.11Hz,OC
H2);および1.21(t,3H,J=7.13Hz,NCH2)。13C−NMR
152.70,141.30,61.41,43.97,および14.07。FAB−MS.222
(MH+)。IR:cm-1(強度)表示の振動数3855(54.3),
3274(10.4),3246(14.0),3117(5.3),2989(22.
3),2940(33.9),2876(43,4),2753(49.0),2346(5
6.1),2106(57.1),1899(55.7),1762(14.2),1742
(14.2),1742(1.0),1671(1.8),1644(10.9),1606
(0.6),1582(7.1),1522(43.8),1477(7.2),1445
(35.8),および1422(8.6)。結晶(96%エタノール
から再結晶により得た)に対するX線結晶学法によって
アルキル化の位置を明らかにした。
これとは別に、9−カルボキシメチルアデニンエチル
エステルは以下のような手順によって合成することもで
きる。窒素入口、機械的攪拌機、および滴下漏斗を取り
付けた2リットルの三つ口フラスコにてアデニン(50g,
0.37モル)をDMF(1100ml)中に懸濁させ、これにヘキ
サン洗浄した水素化ナトリウム−鉱油分散液16.4g(0.4
07モル)を加えた。本混合物を2時間激しく攪拌した
後、ブロモ酢酸エチル(75ml,0.67モル)を3時間で滴
下した。本混合物をさらに1時間攪拌し、TLCによりア
デニンの転化が完了したことを確認した。1mmHgにて混
合物から溶媒を蒸発除去し、油状残留物に水(500ml)
を加えて表記化合物を結晶化させた。この固体を96%エ
タノール(600ml)から再結晶した。収量(乾燥後):5
3.7g(65.6%)。HPLC(215nm)純度>99.5%。
実施例27 N6−ベンジルオキシカルボニル−9−カルボキシメチル
アデニンエチルエステルの合成 9−カルボキシメチルアデニンエチルエステル(3.4
g,15.4ミリモル)を穏やかな加熱によって乾燥DMF(50m
l)中に溶解し、20℃に冷却し、この溶液を、N−エチ
ル−ベンジルオキシカルボニルイミダゾールテトラフル
オロボレート(62ミリモル)の塩化メチレン(50ml)溶
液に氷浴にて15分で加えた。幾らかの沈殿物が認められ
た。氷浴を取り除き、溶液を一晩攪拌した。反応混合物
を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(100ml)で処理し
た。10分攪拌した後、相を分離し、有機相を1容の水、
希薄硫酸水素カリウム(2回)、および塩化ナトリウム
飽和水溶液で順次洗浄した。溶液を硫酸マグネシウムで
乾燥し、減圧にて溶媒を蒸発除去して11gの油状物を得
た。この油状物を塩化メチレン(25ml)中に溶解し、0
℃に冷却し、石油エーテル(50ml)で沈澱させた。この
手順をもう一回繰り返して、3.45g(63%)の表記化合
物を得た。融点132−35℃。C17H17N5O4に対する元素分
析:実測値(計算値)C:56.95(57.46);H:4.71(4.8
2);N:19.35(19.71)。1H−NMR(250MHz,CDCl3):8.77
(s,1H,H−2またはH−8);7.99(s,1H,H−2または
H−8);7.45−7.26(m,5H,Ph);5.31(s,2H,N−C
H2);4.96(s,2H,Ph−CH2);4.27(q,2H,J=7.15Hz,CH2
CH3);および1.30(t,3H,J=7.15Hz,CH2CH3)。13C−N
MR:153.09;143.11;128.66;67.84;62.51;44.24;および1
4.09。FAB−MS:356(MH+)および312(MH+−CO2)。I
R:cm-1(強度)表示の振動数3423(52.1);3182(52.
8);3115(52.1);3031(47.9);2981(38.6);1747
(1.1);1617(4.8);15.87(8.4);1552(25.2);1511
(45.2);1492(37.9);1465(14.0);および1413(3
7.3)。
実施例28 N6−ベンジルオキシカルボニル−9−カルボキシメチル
アデニンの合成 N6−ベンジルオキシカルボニル−9−カルボキシメチ
ルアデニンエチルエステル(3.2g,9.01ミリモル)をメ
タノール(50ml)と混合し、0℃に冷却した。水酸化ナ
トリウム水溶液(2N,50ml)を加え、これによって物質
を速やかに溶解させた。0℃にて30分後に、アルカリ性
溶液を塩化メチレン(2×50ml)で洗浄した。0℃にて
4N HClを加えて水溶液のpHを1に調節し、これによって
表記化合物を沈澱させた。濾過、水による洗浄、および
乾燥後の収量は3.08g(104%)であった。この生成物は
塩を含有しており、元素分析の結果によりそのことが示
された。C15H13N5O4に対する元素分析:実測値(計算
値)C:46.32(55.05);H:4.24(4.00);N:18.10(21.4
0)およびC/N:2.57(2.56)。1H−NMR(250MHz,DMSO−d
6):8.70(s,2H,H−2およびH−8);7.50−7.35(m,5
H,Ph);5.27(s,2H,N−CH2);および5.15(s,2H,Ph−C
H2)。13C−NMR 168.77,152.54,151.36,148.75,145.13,
128.51,128.17,127.98,66.76,および44.67。IR(KBr)3
484(18.3);3109(15.9);3087(15.0);2966(17.
1);2927(19.9);2383(53.8);1960(62.7);1739
(2.5);1688(5.2);1655(0.9);1594(11.7);1560
(12.3);1530(26.3);1499(30.5);1475(10.4);14
55(14.0);1429(24.5);および1411(23.6)。FAB−
MS:328(MH+)および284(MH+−CO2)。HPLC(215nm,
260nm)in system 1:15.19分,少量の不純物 全て2%
未満。
実施例29 N6−ベンジルオキシカルボニル−1−(BOC−aeg)アデ
ニンエチルエステルの合成 N'−BOC−アミノエチルグリシンエチルエステル(2g,
8.12ミリモル)、DhbtOH(1.46g,8.93ミリモル)、およ
びN6−ベンジルオキシカルボニル−9−カルボキシメチ
ルアデニン(2.92g,8.93ミリモル)をDMF(15ml)中に
溶解した。塩化メチレン(15ml)を加えた。この溶液を
エタノール/氷浴中で0℃に冷却した。DCC(2.01g,9.7
4ミリモル)を加えた。2.5時間後に氷浴を取り除き、周
囲温度にて攪拌をさらに1.5時間続けた。沈澱したDCUを
濾過によって除去し、DMF(15ml)で1回洗浄し、塩化
メチレン(2×15ml)で2回洗浄した。濾液を合わせ
て、これにさらに塩化メチレン(100ml)を加えた。本
溶液を、希薄炭酸水素ナトリウム水溶液(2×100m
l)、希薄硫酸水素カリウム水溶液(2×100ml)、およ
び塩化ナトリウム飽和水溶液(1×100ml)で順次洗浄
した。有機相から減圧にて溶媒を蒸発除去して3.28g(7
3%)の黄色油状物を得た。この粗製物のHPLCによれ
ば、純度はわずか66%であって、幾つかの不純物を含有
(メインピークより極性の高いものと低いもの)してい
ることがわかった。この油状物を無水エタノール(50m
l)中に溶解し、活性炭を加えた。5分攪拌した後に、
溶液を濾過した。濾液を水(30ml)と混合し、一晩攪拌
した。翌日、白色沈殿物を濾過によって採取し、水で洗
浄し、そして乾燥して1.16g(26%)の生成物を得た。
本生成物の純度は、HPLCによれば98%以上であった。母
液に水を加えることによりさらに0.53gの生成物が得ら
れ、純度は約95%であった。C26H33N7O7・H2Oに対する
元素分析:実測値(計算値)C:55.01(54.44);H:6.85
(6.15);N:16.47(17.09)。1H−NMR(250MHz,CDC
l3):8.74(s,1H,Ade H−2);8.18(b,s,1H,ZNH);8.1
0&8.04(s,1H,H−8);7.46−7.34(m,5H,Ph);5.63
(分解されないt,1H,BOC−NH);5.30(s,2H,PhCH2);5.
16& 5.00(s,2H,CH2CON);4.29&4.06(s,2H,CH2CO
2H);4.20(q,2H,OCH2CH3);3.67−3.29(m,4H,CH2C
H2);1.42(s,9H,t−Bu);および1.27(t,3H,OCH2C
H3)。スペクトルは微量のエタノールとDCUの存在を示
した。
実施例30 N6−ベンジルオキシカルボニル−1−(BOC−aeg)アデ
ニンの合成 N6−ベンジルオキシカルボニル−1−(BOC−aeg)ア
デニンエチルエステル(1.48g,2.66ミリモル)をTHF(1
3ml)中に懸濁させ、0℃に冷却した。水酸化リチウム
(8ml,1N)を加えた。15分攪拌した後、反応混合物を濾
過し、さらに水(25ml)を加え、本溶液を塩化メチレン
(2×25ml)で洗浄した。1N HClで水溶液のpHを2に調
節した。沈殿物を濾過によって単離し、水で洗浄し、そ
して乾燥して0.82g(58%)の生成物を得た。この生成
物をさらに、塩化メチレン/石油エーテルで2回沈澱さ
せた。収量(乾燥後):0.77g(55%)。融点119℃(分
解)。C24H29N7O7・H2Oに対する元素分析:実測値(計
算値)C:53.32(52.84);H:5.71(5.73);N:17.68(17.
97)。FAB−MS 528.5(MH+)。1H−NMR(250MHz,DMSO
−d6):12.75(very b,1H,CO2H);10.65(b,s,1H,ZN
H);8.59(d,1H,J=2.14Hz,Ade H−2);8.31(s,1H,Ad
e H−8);7.49−7.31(m,5H,Ph);7.03&6.75(分解さ
れないt,1H,BOC−NH);5.33&5.16(s,2H,CH2CON);5.2
2(s,2H,PhCH2);4.34−3.99(s,2H,CH2CO2H);3.54−
3.03(m's,水を含む,CH2CH2);および1.39&1.37(s,9
H,t−Bu)。13C−NMR:170.4;166.6;152.3;151.5;149.5;
145.2;128.5;128.0;127.9;66.32;47.63;47.03;43.87;お
よび28.24 実施例31 2−アミノ−6−クロロ−9−カルボキシメチルプリン
の合成 2−アミノ−6−クロロプリン(5.02g,29.6ミリモ
ル)と炭酸カリウム(12.91g,93.5ミリモル)をDMF(50
ml)中に懸濁させて得られた懸濁液に、ブロモ酢酸(4.
7g,22.8ミリモル)を加えた。本混合物を、窒素雰囲気
下で20時間激しく攪拌した。水(150ml)を加え、セラ
イトを通して溶液を濾過して黄色透明溶液を得た。4N塩
酸を加えて、溶液をpH3に酸性化した。沈殿物を濾過
し、シカペント(sicapent)上で減圧にて乾燥した。収
量:3.02g(44%)。1H−NMR(DMSO−d6)δ:4.88ppm
(s,2H);6.95(s,2H);8.10(s,1H)。
実施例32 2−アミノ−6−ベンジルオキシ−9−カルボキシメチ
ルプリンの合成 ナトリウム(2g,87ミリモル)をベンジルアルコール
(20ml)中に溶解し、130℃で2時間加熱した。0℃に
冷却後、2−アミノ−6−クロロ−9−カルボキシメチ
ルプリン(4.05g,18ミリモル)をDMF(85ml)中に溶解
して得た溶液を徐々に加え、生成した懸濁液を20℃で一
晩攪拌した。水酸化ナトリウム水溶液(1N,100ml)を加
え、この透明溶液を酢酸エチル(3×100ml)で洗浄し
た。4N塩酸を加えて、水相をpH3に酸性化した。沈殿物
を酢酸エチル(200ml)に溶解させ、水相を酢酸エチル
(2×100ml)で抽出した。有機相を合わせて塩化ナト
リウム飽和水溶液(2×75ml)で洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで乾燥し、そして減圧にて溶媒を蒸発除去した。
残留物をエタノール(300ml)から再結晶した。収量
(減圧にてシカペント上での乾燥後):2.76g(52%)。
融点159−65℃。元素分析:(実測値;計算値)C(56.
18;55.97),H(4.38;4.32),N(23.4;23.10)。1H−NMR
(250MHz,DMSO−d6)δ:4.82(s,2H);5.51(s,2H);6.
45(s,2H);7.45(m,5H);7.82(s,1H)。
実施例33 N−([2−アミノ−6−ベンジルオキシ−プリン−9
−イル]−アセチル)−N−(2−BOC−アミノエチ
ル)グリシン[BOC−Gaeg−OHモノマー]の合成 2−アミノ−6−ベンジルオキシ−9−カルボキシメ
チル−プリン(0.5g,1.67ミリモル)、メチル−N−
(2−[tert−ブトキシカルボニルアミノ]エチル)−
グリシネート(0.65g,2.8ミリモル)、ジイソプロピル
エチルアミン(0.54g,4.19ミリモル)、及びブロモ−ト
リス−ピロリジノ−ホスホニウム−ヘキサフルオロ−ホ
スフェート(PyBroPR)(0.798g,1.71ミリモル)をDMF
(2ml)中に混合して4時間攪拌した。氷冷した炭酸水
素ナトリウム水溶液(1N,40ml)中にこの透明溶液を注
ぎ込み、酢酸エチル(3×40ml)で抽出した。有機相
を、硫酸水素カリウム水溶液(1N,2×40ml)、炭酸水素
ナトリウム水溶液(1N,1×40ml)、および塩化ナトリウ
ム飽和水溶液(60ml)で順次洗浄した。無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、溶媒を減圧にて蒸発除去した後、固体残
留物を酢酸エチル/ヘキサン(2:1;20ml)から再結晶し
てメチルエステルを63%の収率で得た(MS−FAB 514
(M+1))。高濃度の水酸化ナトリウム水溶液(1m
l)を含有したエタノール/水(1:2;30ml)中にエステ
ルを溶解することによって加水分解を行った。2時間攪
拌した後、溶液を濾過し、4N塩酸を加えることによって
溶液をpH3に酸性化した。濾過により表記化合物が得ら
れた。収量:370mg(加水分解に対して72%)。HPLCによ
る純度は99%より高かった。第二級アミドのまわりの回
転が制約されるため、シグナルの幾つかが2:1の比にて
二重になった(メジャーシグナルに対してはmjで、マイ
ナーシグナルに対してはmiで表に示されている)。1H−
NMR(250MHz,DMSO−d6)δ:1.4(s,9H);3.2(m,2H);
3.6(m,2H);4.1(s,mj,CONRCH2COOH);4.4(s,mi,CONR
CH2COOH);5.0(s,mi,Gua−CH2CO);5.2(s,mj,Gua−CH
2CO);5.6(s,2H);6.5(s,2H);6.9(m,mi,BOC−NH);
7.1(m,mj,BOC−NH);7.5(m,3H);7.8(s,1H);12.8
(s,1H)。13C−NMR 170.95;170.52;167.29;166.85;16
0.03;159.78;155.84;154.87;140.63;136.76;128.49;12
8.10;113.04;78.19;77.86;66.95;49.22;47.70;46.94;4
5.96;43.62;43.31;および28.25 実施例34 3−BOC−アミノ−1,2−プロパンジオールの合成 3−アミノ−1,2−プロパンジオール(1当量,40g,0.
44モル)を水(1000ml)中に溶解し、0℃に冷却した。
ジ−tert−ブチルジカーボネート(1.2当量,115g,0.526
モル)を一度に加えた。反応混合物を、水浴にて攪拌し
ながら室温に加温した。水酸化ナトリウム(1当量,17.
56g,0.44モル)を水(120ml)中に溶解して得た水溶液
でpHを10.5に保持した。水酸化ナトリウム水溶液の添加
完了後、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物
に酢酸エチル(750ml)を加え、0℃に冷却した。激し
く攪拌しながら、4N硫酸でpHを2.5に調節した。相を分
離し、水相をさらに酢酸エチル(6×350ml)で洗浄し
た。減圧にて溶媒を蒸発除去することによって、有機相
の体積を900mlに減少させた。次いで有機相を、硫酸水
素カリウムの飽和水溶液(1×1000ml;体積の2倍に希
釈)で、そして塩化ナトリウム飽和水溶液(1×500m
l)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、
減圧下で溶媒を蒸発除去して50.12g(60%)の表記化合
物を得た。本生成物は、塩化メチレン溶液からの溶媒の
蒸発除去とそれに続く凍結によって固化させることがで
きた。1H−NMR(CDCl3/TMS)δ:1.43(s,9H,Me3C);3.2
5(m,2H,CH2);3.57(m,2H,CH2);3.73(m,1H,CH)。13
C−NMR(CDCl3/TMS)ppm:28.2(Me3C),42.6(CH2),6
3.5,71.1(CH2OH,CHOH),79.5(Me3C),157.0(C=
O)。
実施例35 2−(BOC−アミノ)エチル−L−アラニンメチルエス
テルの合成 3−BOC−アミノ−1,2−プロパンジオール(1当量,2
0.76g,0.109モル)を水(150ml)中に懸濁させた。過ヨ
ウ素酸カリウム(1当量,24.97g,0.109モル)を加え、
反応混合物を窒素雰囲気下にて室温で2時間攪拌した。
反応混合物を濾過し、水相をクロロホルム(6×250m
l)で抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、
溶媒を蒸発除去して、殆ど定量的な収量のBOC−アミノ
アセトアルデヒドを無色油状物として得た。これらをさ
らに精製することなく、次の手順において使用した。
窒素雰囲気下で激しく攪拌しつつ0℃に冷却したMeOH
(250ml)に炭素担持パラジウム(10%,0.8g)を加え
た。無水酢酸ナトリウム(2当量,4.49g,54.7ミリモ
ル)とL−アラニンメチルエステル塩酸塩(1当量,3.8
2g,27.4ミリモル)を加えた。BOC−アミノアセトアルデ
ヒド(4.79g,30.1ミリモル,1.1当量)をMeOH(150ml)
中に溶解して得た溶液を反応混合物に加えた。水素の取
り込みがなくなるまで、反応混合物を大気圧にて室温で
水素化した。反応混合物をセライトを通して濾過し、セ
ライトをさらなるMeOHで洗浄した。MeOHを減圧にて除去
した。残留物を水(150ml)中に懸濁し、激しく攪拌し
ながら0.5N NaOHを滴下することによってpHを8に調節
した。水相を塩化メチレン(4×250ml)で抽出した。
有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、セライトを通して
濾過し、減圧下にて溶媒を蒸発除去して6.36g(94%)
の表記化合物を透明淡黄色の油状物として得た。MS(FA
B−MS):m/z(%)=247(100,M+1,191(90),147(1
8)。1H−NMR(250MHz,CDCl3)δ:1.18(d,J=7.0Hz,3
H,Me),1.36(s,9H,Me3C),1.89(b,1H,NH),2.51(m,1
H,CH2),2.66(m,1H,CH2),3.10(m,2H,CH2),3.27(q,
J=7.0Hz,1H,CH),3.64(s,3H,OMe),5.06(b,1H,カル
バメートNH)。13C−NMR(ppm):18.8(Me),28.2(Me3
C),40.1,47.0(CH2),51.6(OMe),56.0(CH),158.8
(カルバメートC=O),175.8(エステル C=O)。
実施例36 N−(BOC−アミノエチル)−N−(1−チミニルアセ
チル)−L−アラニンメチルエステルの合成 BOC−アミノエチル−(L)−アラニンメチルエステ
ル(1.23g,5ミリモル)をDMF(10ml)中に溶解して得た
溶液に、Dhbt−OH(0.9g,5.52ミリモル)と1−チミニ
ル酢酸(1.01g,5.48ミリモル)を加えた。1−チミニル
酢酸が溶解したら、ジクロロメタン(10ml)を加え、本
溶液を氷浴にて冷却した。反応混合物の温度が0℃に達
した後、DCC(1.24g,6.01ミリモル)を加えた。添加後
5分以内にDCUの沈澱が認められた。さらに5分後に氷
浴を取り除いた。2時間後、TLC分析により、反応が完
了していることがわかった。混合物を濾過し、沈殿物を
ジクロロメタン(100ml)で洗浄した。こうして得られ
た溶液を、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(150ml)で
2回、そして硫酸水素カリウム飽和水溶液(100ml)で
2回抽出した。最後に塩化ナトリウム飽和水溶液(150m
l)で抽出した後、溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、
溶媒を蒸発除去して白色泡状物を得た。この泡状物を、
ジクロロメタンを溶離液としたメタノール勾配にて、シ
リカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製
した。これにより高純度の化合物が得られた(HPLCによ
れば>99%)(1.08g,52.4%)。FAB−MS:413(M+
1)および431(M+1+水)。1H−NMR(CDCl3)δ:4.
52(s,2H,CH'2);3.73(s,3H,OMe);3.2−3.6(m,4H,エ
チルCH'2s);1.90(s,3H,Me in T);1.49(d,3H,Me in
Ala,J=7.3Hz);1.44(s,9H,BOC)。
実施例37 N−(BOC−アミノエチル)−N−(1−チミニルアセ
チル)−L−アラニンの合成 表記化合物のメチルエステル、実施例36(2.07g,5.02
ミリモル)をメタノール(100ml)中に溶解し、氷浴に
て冷却した。2M水酸化ナトリウム(100ml)を加えた。1
0分攪拌した後、4M塩酸で混合物のpHを3に調節した。
溶液を酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。有機抽出
液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発
除去した後、得られた泡状物を酢酸エチル(400ml)中
に溶解し、そして固体物質を溶解させるために5mlのメ
タノールを加えた。沈澱が起こるようになるまで石油エ
ーテルを加えた。混合物を−20℃で一晩静置した後、沈
殿物を濾過により採取した。これにより1.01g(50.5
%)の高純度化合物(HPLCによれば>99%)が得られ
た。本化合物を2−プロパノールから再結晶した。FAB
−MS:399(M+1)。1H−NMR(DMSO−d6)δ:11.35
(s,1H,COO);7.42(s,1H,H'6);4.69(s,2H,CH'2);1.
83(s,3H,Me in T);1.50−1.40(m,12H,Me in Ala+BO
C)。
実施例38 (a) N−(BOC−アミノエチル)−N−(1−チミ
ニルアセチル)−D−アラニンメチルエステルの合成 BOC−アミノエチルアラニンメチルエステル(2.48g,1
0.1ミリモル)をDMF(20ml)中に溶解して得た溶液に、
Dhbt(1.8g,11ミリモル)とチミニル酢酸(2.14g,11.6
ミリモル)を加えた。1−チミニル酢酸が溶解した後、
塩化メチレン(20ml)を加え、溶液を氷浴にて冷却し
た。反応混合物の温度が0℃に達したときに、DCC(2.8
8g,14ミリモル)を加えた。添加後5分以内に、DCUの沈
澱が認められた。35分後に氷浴を取り除いた。3.5時間
後に反応混合物を濾過し、沈殿物を塩化メチレン(200m
l)で洗浄した。こうして得られた溶液を、5%炭酸水
素ナトリウム水溶液(200ml)で2回、および硫酸水素
カリウム飽和水溶液(100ml)で2回抽出した。最後に
塩化ナトリウム飽和水溶液(250ml)で抽出した後、溶
液を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発除去して油
状物を得た。この油状物を、ジクロロメタンを溶離液と
したメタノール勾配にて、ショートカラムのシリカゲル
クロマトグラフィーによって精製した。これにより、石
油エーテルでの沈澱後に、96%純度(HPLCによる)の化
合物(1.05g,25.3%)が得られた。FAB−MS:413(M+
1)。1H−NMR(CDCl3)δ:5.64(t,1H,BOC−NM,J=5.8
9Hz);4.56(d,2H,CH'2);4.35(q,1H,CH in Ala,J=7.
25Hz);3.74(s,3H,OMe);3.64−3.27(m,4H,エチルH'
s);1.90(s,3H,Me in T);1.52−1.44(t,12H,BOC+Me
in Ala)。
(b) N−(BOC−アミノエチル)−N−(1−チミ
ニルアセチル)−D−アラニンの合成 表記化合物のメチルエステル(1.57g,3.81ミリモル)
をメタノール(100ml)中に溶解し、氷浴にて冷却し
た。水酸化ナトリウム(2M,100ml)を加えた。10分攪拌
後、4M塩酸で混合物のpHを3に調節した。本溶液を酢酸
エチル(3×100ml)で抽出した。有機抽出液を合わせ
て硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発除去した
後、油状物を酢酸エチル(200ml)中に溶解した。沈澱
が起こるようになるまで石油エーテル(トータル600m
l)を加えた。−20℃で一晩静置した後、沈殿物を濾過
により採取した。これによって1.02g(67.3%)の表記
化合物が得られ、HPLCによれば94%の純度であった。FA
B−MS:399(M+1)。1H−NMR δ:11.34(s,1H,COO
H);7.42(s,1H,H'6);4.69(s,2H,CH'2);4.40(q,1H,
CH in Ala,J=7.20Hz);1.83(s,3H,Me in T);1.52−
1.40(m,12H,BOC+Me in Ala)。
実施例39 N−(N'−BOC−3'−アミノプロピル)−N−[(1−
チミニル)−アセチル]グリシンメチル エステルの合
成 N−(N'−BOC−3'−アミノプロピル)グリシンメチ
ルエステル(2.84g,0.0115モル)をDMF(35ml)中に溶
解し、DhbtOH(2.07g,0.0127モル)と1−チミニル酢酸
(2.34g,0.0127モル)を加えた。塩化メチレン(35ml)
を加え、混合物を氷浴にて0℃に冷却した。DCC(2.85
g,0.0138モル)を加えた後、混合物を0℃で2時間、お
よび室温で1時間攪拌した。沈澱したDCUを濾過によっ
て取り除き、塩化メチレン(25ml)で洗浄し、そしてさ
らなる量の塩化メチレン(150ml)を濾液に加えた。有
機相を炭酸水素ナトリウム(1容の飽和水溶液を1容の
水で希釈したもの、6×250ml)、硫酸カリウム(1容
の飽和水溶液を4容の水で希釈したもの、3×250m
l)、および塩化ナトリウム飽和水溶液(1×250ml)で
抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧にて溶媒を蒸
発除去した。固体残留物を塩化メチレン(35ml)中に懸
濁し、1時間攪拌した。沈澱したDCUを濾過により除去
し、塩化メチレン(25ml)で洗浄した。濾液から減圧に
て溶媒を蒸発除去し、残留物をシリカゲルによるカラム
クロマトグラフィーによって精製した〔メタノールと塩
化メチレンとの混合物で溶離(塩化メチレン中3〜7%
のメタノール勾配)〕。これにより表記化合物を白色固
体(3.05g,64%)として得た。融点76−79℃(分解)。
C18H28N4O7に対する元素分析:実測値(計算値)C:52.0
3(52.42);H:6.90(6.84);N:13.21(13.58)。本化合
物は、満足できる1H−NMRスペクトルと13C−NMRスペク
トルを示した。
実施例40 N−(N'−BOC−3'−アミノプロピル)−N−[(1−
チミニル)−アセチル]グリシンの合成 N−(N'−BOC−3'−アミノプロピル)−N−[(1
−チミニル)アセチルグリシンメチルエステル(3.02g,
0.00732モル)をメタノール(25ml)中に溶解し、2N水
酸化ナトリウム(25ml)を加えて1.5時間攪拌した。減
圧にてメタノールを蒸発除去し、0℃にて4M塩酸を加え
てpHを2に調節した。生成物を濾過により白色結晶とし
て単離し、水(3×10ml)で洗浄し、減圧にてシカペン
ト上で乾燥した。収量:2.19g(75%)。C17H26N4O7・H2
Oに対する元素分析:実測値(計算値)C:49.95(49.0
3);H:6.47(6.29);N:13.43(13.45)。本化合物は、
満足できる1H−NMRスペクトルと13C−NMRスペクトルを
示した。
実施例41 3−(1−チミニル)プロパン酸メチルエステルの合成 チミン(14g,0.11モル)をメタノール中に懸濁した。
アクリル酸メチル(39.6ml,0.44モル)ならびに触媒量
の水酸化ナトリウムを加えた。暗くした状態で溶液を45
時間還流し、減圧にて溶媒を蒸発除去し、加熱しながら
残留物をメタノール(8ml)中に溶解した。氷浴にて冷
却した後、エーテル(20ml)を加えることによって生成
物を沈澱させ、濾過により単離し、エーテル(3×15m
l)で洗浄し、そして減圧にてシカペント上で乾燥し
た。収量:11.23g(48%)。融点112−119℃。C9H12N2O4
に対する元素分析:実測値(計算値)C:51.14(50.9
4);H:5.78(5.70);N:11.52(13.20)。本化合物は、
満足できる1H−NMRスペクトルと13C−NMRスペクトルを
示した。
実施例42 3−(1−チミニル)プロパン酸の合成 3−(1−チミニル)プロパン酸メチルエステル(1
g,0.0047モル)を2M水酸化ナトリウム(15ml)中に懸濁
し、10分還流した。濃塩酸でpHを0.3に調節した。本溶
液を酢酸エチル(10×25ml)で抽出した。有機相を塩化
ナトリウム飽和水溶液で抽出し、硫酸マグネシウムで乾
燥し、減圧にて溶媒を蒸発除去して表記化合物を白色固
体として得た(0.66g,71%)。融点118−121℃。C8H10N
2O4に対する元素分析:実測値(計算値)C:48.38(48.4
9);H:5.09(5.09);N:13.93(14.14)。本化合物は、
満足できる1H−NMRスペクトルと13C−NMRスペクトルを
示した。
実施例43 N−(N'−BOC−アミノエチル)−N−[(1−チミニ
ル)−プロパノイル]グリシンエチルエステルの合成 N−(N'−BOC−アミノエチル)グリシンエチルエス
テル(1g,0.0041モル)をDMF(12ml)中に溶解した。Dh
btOH(0.73g,0.0045モル)と3−(1−チミニル)プロ
パン酸(0.89g,0.0045モル)を加えた。塩化メチレン
(12ml)を加え、本混合物を氷浴にて0℃に冷却した。
DCC(1.01g,0.0049モル)を加えた後、混合物を0℃で
2時間、次いで室温で1時間攪拌した。沈澱したDCUを
濾過により除去し、塩化メチレン(25ml)で洗浄し、そ
してさらに塩化メチレン(50ml)を濾液に加えた。有機
相を、炭酸水素ナトリウム水溶液(1容の飽和水溶液を
1容の水で希釈したもの、6×100ml)、硫酸カリウム
水溶液(1容の飽和水溶液を4容の水で希釈したもの、
3×100ml)、および塩化ナトリウム飽和水溶液(1×1
00ml)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして減
圧にて溶媒を蒸発除去した。固体残留物を塩化メチレン
(15ml)中に懸濁し、1時間攪拌した。沈澱したDCUを
濾過により除去し、塩化メチレンで洗浄した。濾液から
減圧にて溶媒を蒸発除去し、残留物をシリカゲルによる
カラムクロマトグラフィーによって精製した〔メタノー
ルと塩化メチレンとの混合物で溶離(塩化メチレン中3
〜7%のメタノール勾配)〕。これにより表記化合物を
白色固体(1.02g,59%)として得た。C19H30N4O7に対す
る元素分析:実測値(計算値)C:53.15(53.51);H:6.9
0(7.09);N:12.76(13.13)。本化合物は、満足できる
1H−NMRスペクトルと13C−NMRスペクトルを示した。
実施例44 N−(N'−BOC−アミノエチル)−N−[(1−チミニ
ル)−プロパノイル]グリシンの合成 N−(N'−BOC−アミノエチル)−N−[(1−チミ
ニル)プロパノイル]グリシンエチルエステル(0.83g,
0.00195モル)をメタノール(25ml)中に溶解した。水
酸化ナトリウム(2M,25ml)を加えた。本溶液を1時間
攪拌した。メタノールを減圧にて蒸発除去し、0℃にて
4M塩酸でpHを2に調節した。生成物を濾過により単離
し、エーテル(3×15ml)で洗浄し、減圧にてシカペン
ト上で乾燥した。収量:0.769g(99%)。融点213℃(分
解)。
実施例45 モノ−BOC−エチレンジアミン(2)の合成 エチレンジアミン(27.9ml,0.418モル)をDMF(50m
l)中に溶解して得た溶液に、tert−ブチル−4−ニト
ロフェニルカーボネート(1,10g,0.0418モル)をDMF(5
0ml)中に溶解して得た溶液を30分で滴下し、一晩攪拌
した。本混合物から減圧にて溶媒を蒸発除去し、得られ
た油状物を水(250ml)中に溶解した。0℃に冷却した
後、4M塩酸でpHを3.5に調節した。本溶液を濾過し、ク
ロロホルム(3×250ml)で抽出した。2M水酸化ナトリ
ウムでpHを12に調節し(0℃にて)、本溶液を塩化メチ
レン(3×300ml)で抽出した。塩化ナトリウム飽和水
溶液(250ml)で処理した後、塩化メチレン溶液を硫酸
マグネシウムで乾燥した。濾過した後、減圧にて溶媒を
蒸発除去して、4.22g(63%)の生成物を油状物として
得た。1H−NMR(90MHz,CDCl3)δ:1.44(s,9H);2.87
(t,2H);3.1(q,2H);5.62(sb)。
実施例46 (N−BOC−アミノエチル)−β−アラニンメチルエス
テル・HClの合成 モノ−BOC−エチレンジアミン(2)(16.28g,0.102
モル)をアセトニトリル(400ml)中に溶解し、アクリ
ル酸メチル(91.5ml,1.02モル)をアセトニトリル(200
ml)中に溶解して得た溶液を加えた。この溶液を、アク
リル酸メチルの重合を防止すべく窒素雰囲気下にて暗く
した状態で一晩還流した。減圧にて溶媒を蒸発除去した
後、水とエーテルとの混合物(200ml+200ml)を加え、
本溶液を濾過し、そして激しく攪拌した。水相をもう一
回エーテルで抽出し、凍結乾燥して黄色固体を得た。こ
れを酢酸エチルから再結晶して13.09g(46%)の表記化
合物を得た。融点138−140℃。C11H23N2O4Clに対する元
素分析:実測値(計算値)C:46.49(46.72);H:8.38
(5.20);N:9.83(9.91);Cl:12.45(12.54)。1H−NMR
(90MHz,DMSO−d6)δ:1.39(s,9H);2.9(m,8H);3.64
(s,3H)。
実施例47 N−[(1−チミニル)アセチル]−N'−BOC−アミノ
エチル−β−アラニンメチルエステルの合成 (N−BOC−アミノエチル)−β−アラニルメチルエ
ステル・HCl(3)(2g,0.0071モル)と1−チミニル酢
酸ペンタフルオロフェニルエステル(5)(2.828g,0.0
0812モル)をDMF(50ml)中に溶解した。トリエチルア
ミン(1.12ml,0.00812モル)を加え、本混合物を一晩攪
拌した。塩化メチレン(200ml)を加えた後、有機相を
炭酸水素ナトリウム水溶液(3×250ml)、硫酸水素カ
リウムの半飽和水溶液(half−saturated solution)
(3×250ml)、および塩化ナトリウム飽和水溶液(250
ml)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、
減圧下にて溶媒を蒸発除去して2.9g(99%)の油状物を
得た。1H−NMR(250MHz,CDCl3,第二級アミドのまわりの
回転が制約されるため、シグナルの幾つかが二重になっ
た)δ:1.43(s,9H);1.88(s,3H);2.63(t,1H);2.74
(t,1H);3.25−3.55(4xt,8H);3.65(2xt,2H);3.66
(s,1.5);3.72(s,1.5);4.61(s,1H);4.72(s,2H);
5.59(s,0.5H);5.96(s,0.5H);7.11(s,1H);10.33
(s,1H)。
実施例48 N−[(1−チミニル)アセチル]−N'−BOC−アミノ
エチル−β−アラニンの合成 N−[(1−チミニル)アセチル]−N'−BOC−アミ
ノエチル−β−アラニンメチルエステル(3g,0.0073モ
ル)を2M水酸化ナトリウム(30ml)中に溶解し、0℃に
て4M塩酸でpHを2に調節し、そして本溶液を2時間攪拌
した。沈殿物を濾過により単離し、冷水で3回洗浄し、
減圧にてシカペント上で乾燥した。収量:2.23g(77
%)。融点170−176℃。C17H26N4O7・H2Oに対する元素
分析:実測値(計算値)C:49.49(49.03);H:6.31(6.7
8);N:13.84(13.45)。1H−NMR(90MHz,DMSO−d6)δ:
1.38(s,9H);1.76(s,3H);2.44および3.29(m,8H);
4.55(s,2H);7.3(s,1H);11.23(s,1H)。FAB−MS:39
9(M+1)。
実施例49 N−[(1−(N4−Z)−シトシニル)アセチル]−N'
−BOC−アミノエチル−β−アラニンメチルエステルの
合成 (N−BOC−アミノエチル)−β−アラニンメチルエ
ステル・HCl(3)(2g,0.0071モル)と1−(N−4−
Z)−シトシニル酢酸ペンタフルオロフェニルエステル
(5)(3.319g,0.0071モル)をDMF(50ml)中に溶解し
た。トリエチルアミン(0.99ml,0.0071モル)を加え、
本混合物を一晩攪拌した。塩化メチレン(200ml)を加
えた後、有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液(3×250m
l)、硫酸水素カリウムの半飽和水溶液(3×250ml)、
および塩化ナトリウム飽和水溶液(250ml)で抽出し、
硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、減圧にて溶媒を
蒸発除去して3.36gの固体を得た。これをメタノールか
ら再結晶した。収量:2.42g(64%)。融点158−161℃。
C25H33N5O8に対する元素分析:実測値(計算値)C:55.1
9(56.49);H:6.19(6.26);N:12.86(13.18)。1H−NM
R(250MHz,CDCl3,第二級アミドのまわりの回転が制約さ
れるため、シグナルの幾つかが二重になった)δ:1.43
(s,9H);2.57(t,1H);3.60−3.23(m's,6H);3.60
(s,5H);3.66(s,1.5H);4.80(s,1H);4.88(s,1H);
5.20(s,2H);7.80−7.25(m's,7H)。FAB−MS:532(M
+1)。
実施例50 N−[(1−(N4−Z)−シトシニル)アセチル]−N'
−BOC−アミノエチル−β−アラニンの合成 N−[(1−(N−4−Z)−シトシニル)アセチ
ル]−N'−BOC−アミノエチル−β−アラニンメチルエ
ステル(0.612g,0.0012モル)を2M水酸化ナトリウム
(8.5ml)中に溶解し、2時間攪拌した。0℃にて4M塩
酸を加えてpHを2に調節し、溶液を2時間攪拌した。沈
殿物を濾過により単離し、冷水で3回洗浄し、そして減
圧にてシカペント上で乾燥した。収量:0.326g(54
%)。この白色固体を2−プロパノールから再結晶し、
石油エーテルで洗浄した。融点163℃。C24H31N5O8に対
する元素分析:実測値(計算値)C:49.49(49.03);H:
6.31(6.78);N:13.84(13.45)。1H−NMR(250MHz,CDC
l3,第二級アミドのまわりの回転が制約されるため、シ
グナルの幾つかが二重になった)δ:1.40(s,9H);2.57
(t,1H);2.65(t,1H);3.60−3.32(m's,6H);4.85
(s,1H);4.98(s,1H);5.21(s,2H);5.71(s,1H,b
r);7.99−7.25(m's,7H)。FAB−MS:518(M+1)。
実施例51 H−[Taeg]−[Gaeg]−[Taeg]−Lys−NH2の固
相合成 保護されたPNAを、約0.15ミリモル/gの置換量(定量
的なニンヒドリン反応によって測定)でBOC−Lys(Cl
Z)変性MBHA樹脂上に組み立てた。BOC−Gaeg−OHモノマ
ーを導入する前に、カップリングしていないアミノ基だ
けをキャッピングした。
H−[Taeg]−[Gaeg]−[Taeg]−Lys−NH2の逐
次組立(合成プロトコル) 予備膨潤(DCM中にて一晩)および中和した102mg(乾
燥重量)のBOC−Lys(ClZ)−MBHA樹脂に対して合成を
開始した。実施した工程は以下のとおりであった: (1)TEA/DCM(ジクロロメタン)(1:1,v/v)によるBO
C−脱保護、1×2分および1×0.5時間、3ml;(2)DC
Mによる洗浄、4×20秒、3ml;DMFによる洗浄、2×20
秒、3ml;DCMによる洗浄、2×20秒、3ml、および30秒間
排出;(3) DIEA/DCM(1:19 v/v)による中和、2×
3分、3ml;(4)DCMによる洗浄、4×20秒、3ml、およ
び1分間排出;(5)4当量のジイソプロピルカルボジ
イミド(0.06ミリモル,9.7μl)および4当量のBOC−T
aeg−OH(0.06ミリモル,24mg)もしくはBOC−Gaeg−OH
(0.06ミリモル,30mg)を0.6mlの1:1(v/v)DCM/DMF中
に溶解して得た溶液(モノマーの最終濃度は0.1M)を加
え、室温で振盪しながらカップリング反応を0.5時間進
行させる;(6)20秒間排出;(7)DMFによる洗浄、
2×20秒および1×2分、3ml;DCMによる洗浄、4×20
秒、3ml;(8)DIEA/DCM(1:19 v/v)による中和、2×
3分、3ml;(9)DCMによる洗浄、4×20秒、3ml、及び
1分間排出;(10)定性的なカイザー試験(Kaiser tes
t);(11)Ac2O/ピリジン/DCM(1:1:2,v/v)を使用し
たアセチル化による未反応アミノ基のブロッキング、1
×0.5時間、3ml;ならびに(12)DCMによる洗浄、4×20
秒、2×2分、2×20秒、3ml。所望の配列が得られる
まで、工程1〜12を繰り返した。定性的カイザー試験が
陰性であり(ストロー黄色、ビーズの着色は起こらなか
った)、このことはカップリングの収率がほぼ100%で
あることを示している。PNAオリゴマーを切断し、通常
の手順にしたがって精製した。FAB−MS:2832.11[M
+1](計算値2832.15)。
実施例52 H−Taeg−Aaeg−[Taeg]−Lys−NH2の固相合成 (a)BOC−Taeg−A(Z)aeg−[Taeg]−Lys(Cl
Z)−MBHA樹脂の逐次組立 約0.3gの湿潤BOC−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBHA樹
脂を3mlのSPPS反応容器中に入れた。2.5mlの50%DMF/CH
2Cl2中にて0.19MのBOC−A(Z)aeg−OHと0.15MのDCC
とを使用するA(Z)aeg残基のインサイチオDCCカップ
リング(単一)と、純粋CH2Cl2中にて0.15MのBOC−Taeg
−OPfpを使用する単一カップリングとによって、BOC−T
aeg−A(Z)aeg−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBHA樹脂
を組み立てた(“合成プロトコル5")。定量的なニンヒ
ドリン反応によって合成をモニターし、A(Z)aegが
約50%組み込まれ、そしてTaegが約96%組み込まれたこ
とがわかった。
(b)H−Taeg−Aaeg−[Taeg]−Lys−NH2の切断、
精製、および同定 保護されたBOC−Taeg−A(Z)aeg−[Taeg]−Ly
s(ClZ)−BHA樹脂を実施例17(c)に記載の手順に従
って処理し、53.1mgの乾燥H−Taeg−A(Z)aeg−[T
aeg]−Lys(ClZ)−BHA樹脂をHF切断して約15.6mgの
粗製物を得た。14.4分におけるメインピークが全吸光度
の50%未満を占めた。0.5mgの粗製物を精製して約0.1mg
のH−Taeg−Aaeg−[Taeg]−Lys−NH2を得た。(MH
+)に関しては、計算によるm/z値は2816.16であり、
実測によるm/z値は2816.28であった。
(c)合成プロトコル5 (1)TFA/CH2Cl2(1:1,v/v)によるBOC−脱保護、2.
5ml、3×1分および1×30分;(2)CH2Cl2による洗
浄、2.5ml、6×1分;(3)DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)
による中和、2.5ml、3×2分;(4)CH2Cl2による洗
浄、2.5ml、6×1分、および1分間排出;(5)PNA−
樹脂の2〜5mgサンプルを採り、置換量を測定するため
の定量的なニンヒドリン分析用に充分に乾燥した;
(6)0.47ミリモル(0.25g)BOC−A(Z)aeg−OHを
1.25mlのDMF中に溶解して得た溶液を加え、次いで0.47
ミリモル(0.1g)のDCCを1.25mlのCH2Cl2中に溶解して
得た溶液、又は0.36ミリモル(0.2g)のBOC−Taeg−OPf
pを2.5mlのCH2Cl2中に溶解して得た溶液を加え、振盪し
ながらカップリング反応をトータル20〜24時間進行させ
た;(7)DMFによる洗浄、2.5ml、1×2分;(8)CH
2Cl2による洗浄、2.5ml、4×1分;(9)DIEA/CH2Cl2
(1:19,v/v)による中和、2.5ml、2×2分;(10)CH2
Cl2による洗浄、2.5ml、6×1分;(11)保護されたPN
A−樹脂の2〜5mgサンプルを採り、カップリングの程度
を測定するための定量的なニンヒドリン分析用に充分に
乾燥した;(12)無水酢酸/ピリジン/CH2Cl2(1:1:2,v
/v/v)の25ml混合物で2時間(最後のサイクル後は除
く)アセチル化することによる未反応アミノ基のブロッ
キング;(13)CH2Cl2による洗浄、2.5ml、6×1分;
(14)保護されたPNA−樹脂の2×2〜5mgサンプルを採
り、DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)で中和し、ニンヒドリン
分析のためにCH2Cl2で洗浄した。
実施例53 H−[Taeg]−Aaeg−[Taeg]−Lys−NH2の固相合
成 (a)BOC−[Taeg]−A(Z)aeg−[Taeg]−Ly
s(ClZ)−MBHA樹脂の逐次組立 約0.5gの湿潤BOC−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBHA樹
脂を5mlのSPPS反応容器中に入れた。2mlの純粋CH2Cl2
にて0.15M〜0.2Mの保護されたPNAモノマー(遊離酸)と
当量のDCCとを使用する、A(Z)aeg残基とTaeg残基の
インサイチオDCCカップリングによって、BOC−[Taeg]
2−A(Z)aeg−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBHA樹脂
を組み立てた(“合成プロトコル6")。定量的なニンヒ
ドリン反応によって合成をモニターし、3回のカップリ
ング後にA(Z)aegがトータルで約82%組み込まれ
(1回目のカップリングは約50%の組み込みをもたらし
た;50%DMF/CH2Cl2中における4回目のHOBt−媒介によ
るカップリングは、トータルのカップリング生成をあま
り増大させなかった)、そしてTaeg残基が定量的に組み
込まれた(単一カップリング)ことがわかった。
(b)H−[Taeg]−Aaeg−[Taeg]−Lys−NH2
切断、精製、および同定 保護されたBOC−[Taeg]−A(Z)aeg−[Taeg]
−Lys(ClZ)−BHA樹脂を実施例17(c)に記載の手
順に従って処理し、102.5mgの乾燥H−[Taeg]−A
(Z)aeg−[Taeg]−Lys(ClZ)−BHA樹脂をHF切断
して約16.2mgの粗製物を得た。粗製物の少量部分を精製
した。(MH+)に関しては、計算によるm/z値は2050.
85であり、実測によるm/z値は2050.90であった。
(c)合成プロトコル6 (1)TFA/CH2Cl2(1:1,v/v)によるBOC−脱保護、2m
l、3×1分および1×30分;(2)CH2Cl2による洗
浄、2ml、6×1分;(3)DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)に
よる中和、2ml、3×2分;(4)CH2Cl2による洗浄、2
ml、6×1分、および1分間排出;(5)PNA−樹脂の
2〜5mgサンプルを採り、置換量を測定するための定量
的なニンヒドリン分析用に充分に乾燥した;(6)0.44
ミリモル(0.23g)BOC−A(Z)aeg−OHを1.5mlのCH2C
l2中に溶解して得た溶液を加え、次いで0.44ミリモル
(0.09g)のDCCを0.5mlのCH2Cl2中に溶解して得た溶
液、または0.33ミリモル(0.13g)のBOC−Taego−oHを
1.5mlのCH2Cl2中に溶解して得た溶液を加え、次いで0.3
3ミリモル(0.07g)のDCCを0.5mlのCH2Cl2中に溶解して
得た溶液を加える;振盪しながらカップリング反応をト
ータル20〜24時間進行させた;(7)DMFによる洗浄、2
ml、1×2分;(8)CH2Cl2による洗浄、2ml、4×1
分;(9)DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)による中和、2ml、
2×2分;(10)CH2Cl2による洗浄、2ml、6×1分;
(11)保護されたPNA−樹脂の2〜5mgサンプルを採り、
カップリングの程度を測定するための定量的なニンヒド
リン分析用に充分に乾燥した;(12)無水酢酸/ピリジ
ン/CH2Cl2(1:1:2,v/v/v)の25ml混合物で2時間(最後
のサイクル後は除く)アセチル化することによる未反応
アミノ基のブロッキング;(13)CH2Cl2による洗浄、2m
l、6×1分;および(14)保護されたPNA−樹脂の2×
2〜5mgサンプルを採り、DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)で中
和し、ニンヒドリン分析のためにCH2Cl2で洗浄した。
実施例54 ハイブリッド形成実験 実施例51に記載の手順にしたがってPNAオリゴマーH
−T4C2TCT−LysNH2を合成した。この配列とのハイブリ
ッド形成実験は、配向という問題を解決しなければなら
ない。というのは配列が完全に非対称だからである。こ
のような実験はさらに、TmのpH依存性という問題を解決
しなければならない。
PNAオリゴマーH−T4C2TCTC−LysNH2とのハイブリッ
ド形成実験を以下のように行った。
これらの結果は、完全にミックスされた配列は明確な
融解曲線を生じるということを示している。実際、PNA
オリゴマーは両方の配向(列1と4を比較)で結合する
ことができるが、N−末端/5'−配向が優先する。Tま
たはCとは反対の単一のミスマッチを導入すると、Tm
は、pH7.2にて16℃以上低下し、pH5.0では27℃以上も低
下した。このことは、全てのPNA C/T配列に対する一般
的な特徴であるはずの高度の配列選択性が存在すること
を示している。
上記のことからわかるように、Tmに関しては極めて強
いpH−依存性があり、このことからハイブリッドの形成
に対してはフーグスティーン型塩基対が重要であること
がわかる。したがって、化学量論量が2:1であることが
見いだされたのは驚くほどのことではない。
配列に対称性が欠如していること、およびミスマッチ
が存在するときにTmが大幅に低下することから、ワトソ
ン−クリックストランドとフーグスティーンストランド
が、相補的DNAに結合しているときは平行であるという
ことがわかる。このことは、両方の配向、すなわち5'/N
−末端と3'/N−末端に対しても当てはまる。
実施例55 PNAオリゴマーのTm H−T5GT4−LysNH2を使用したハイブリッド形成実験
の結果は以下のとおりであった。
列1、3、6と、列2、4、5、7との比較からわか
るように、このモードにおいては、Gは、DNAストラン
ドにおけるC/AとG/Tとを識別することができる。すなわ
ち配列の識別が観察される。列3における複合体はさら
に、UV−ミキシング曲線によりPNA2:DNA1の複合体であ
ることが決定された。
実施例56 4種の天然に産する核塩基を含有したPNA15−マーの合
成:H−[Taeg]−[Aaeg]−[Gaeg]−[Taeg]−[Ta
eg]−[Aaeg]−[Taeg]−[Caeg]−[Taeg]−[Ca
eg]−[Taeg]−[Aaeg]−[Taeg]−[Caeg]−[Ta
eg]−Lys−NH2の合成 保護されたPNAを、約0.145ミリモル/gの置換量でBOC
−Lys(ClZ)変性MBHA樹脂上に組み立てた。BOC−Gaeg
−OHモノマーを組み込む前に、未反応アミノ基だけをキ
ャッピングした。
DCM中で一晩予備膨潤しておいた中和した100mg(乾燥
重量)のBOC−Lys(ClA)−MBHA樹脂に対して合成を開
始した。モノマーの組み込みは、BOC−Aaeg−OHモノマ
ーの組み込みに対する工程5以外は、実施例28のプロト
コルに従って行った。ここでの合成に対する工程5で
は、4当量のジイソプロピルカルボジイミド(0.06mM,
9.7μl)と4当量のBOC−Aaeg−OH(0.06ミリモル,32m
g)を0.6mlのDCM/DMF(1:1,v/v)中に溶解して得た溶液
(モノマーの最終濃度は0.1M)を加えた。カップリング
反応を1×15分および1×60分(再カップリング)進行
させた。
定性的なカイザー試験は全て陰性であった(ストロー
黄色、ビーズの着色は起こらなかった)。PNAオリゴマ
ーを切断し、標準的な手順によって精製した。FAB−MS
平均質量:実測値(計算値)(M+H)4145.1(414
6.1)。
実施例57 H−[Taeg]−Aaeg−Taeg−Caeg−Aaeg−Taeg−Caeg
−Taeg−Caeg−Lys−NH2の固相合成 (a) BOC−[Taeg]−A(Z)aeg−Taeg−C
(Z)aeg−A(Z)aeg−Taeg−C(Z)aeg−Taeg−
C(Z)aeg−Lys(ClZ)−MBHA樹脂の逐次組立 約1gの湿潤状態のBOC−Lys(ClZ)−MBHA(0.28ミリ
モル Lys/g)樹脂を5mlのSPPS反応容器中に入れた。2m
lの50%DMF/CH2Cl2中にて0.16MのBOC−C[Z]−OH、B
OC−Taeg−OH、またはBOC−A(Z)aeg−OHと0.16MのD
CCとを使用する最初の5つの残基のインサイチオDCCカ
ップリングによって、および最後の5つの残基の類似の
インサイチオDICカップリングによって、BOC−[Taeg]
−A(Z)aeg−Taeg−C(Z)aeg−A(Z)aeg−T
aeg−C(Z)aeg−Taeg−C(Z)aeg−Lys(ClZ)−M
BHA樹脂を組み立てた。振盪しながらトータルで20〜24
時間、各カップリング反応を進行させた。ニンヒドリン
反応によって合成をモニターし、最初のA(Z)aeg残
基(2回カップリングしなければならなかった)を除く
全ての残基が殆ど定量的に組み込まれていることがわか
った。トータルのカップリング収率は約96%であった
(最初のカップリングは約89%の効率)。
(b) H−[Taeg]−Aaeg−Taeg−Caeg−Aaeg−Ta
eg−Caeg−Taeg−Caeg−Lys−NH2の切断、精製、および
同定 保護されたBOC−[Taeg]−A(Z)aeg−Taeg−C
(Z)aeg−A(Z)aeg−Taeg−C(Z)aeg−Taeg−
C(Z)aeg−Lys(ClZ)−MBHA樹脂を実施例17(c)
に記載の手順に従って処理し、166.1mgの乾燥B0C−[Ta
eg]−A(Z)aeg−Taeg−C(Z)aeg−A(Z)ae
g−Taeg−C(Z)aeg−Taeg−C(Z)aeg−Lys(Cl
Z)−MBHA樹脂をHF切断して53.4mgの粗製物を得た。こ
の粗製物(53.4mg)を精製して、18.3mgのH−[Taeg]
−Aaeg−Taeg−Caeg−Aaeg−Taeg−Caeg−Taeg−Caeg
−Lys−NH2を得た。(M+H)に関しては、計算によ
るm/z値は2780.17であり、実測によるm/z値は2780.07で
あった。
実施例58 H−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBHA樹脂の固相合成 DCM中で一晩予備膨潤しておいた500mg(乾燥重量)の
MBHA樹脂に対しPNAオリゴマーを組み立てた。最初に樹
脂を約0.15ミリモル/gのBOC−Lys(ClZ)で置換した
(定量的なニンヒドリン反応により測定)。オリゴマー
の逐次合成は、各カップリングに対し2mlの50%DMF/CH2
Cl2中にて0.077g(0.2ミリモル)のBOC−Taeg−OHと31.
3μl(0.2ミリモル)のジイソプロピルカルボジイミド
とを使用する実施例28に記載の合成プロトコルにしたが
って行った。各工程における脱保護の前に、カップリン
グしていないアミノ基のキャッピングを行った。定性的
なカイザー試験は全て陰性であり、このことはカップリ
ング収率がほぼ100%であることを示している。
実施例59 還元アミノ化によるスケールアップのための主鎖部分の
合成 (a)BOC−アミノアセトアルデヒドの合成 3−アミノ−1,2−プロパンジオール(80g,0.88モ
ル)を水(1500ml)中に溶解し、溶液を4℃に冷却し、
次いでBOC−無水物(230g,1.05モル)を一度に加えた。
本溶液を水浴にて室温にまで穏やかに加温した。水酸化
ナトリウム水溶液を滴下することによってpHを10.5に保
持した。反応全体にわたってトータル70.2gのNaOHを480
mlの水中に溶解し得た溶液を加えた。一晩攪拌した後、
酢酸エチル(1000ml)を加え、反応混合物を0℃に冷却
し、4M塩酸を加えることによってpHを2.5に調節した。
酢酸エチル層を取り出し、酸性水溶液をさらに酢酸エチ
ル(8×500ml)で抽出した。合わせた酢酸エチル溶液
を、ロータリーエバポレーターを使用して1500mlの体積
にした。こうして得られた溶液を、硫酸水素カリウム半
飽和水溶液(1500ml)で洗浄し、次いで塩化ナトリウム
飽和水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、減
圧にて溶媒を蒸発除去した。収量無:145.3g(86%)。
3−BOC−アミノ−1,2−プロパンジオール(144.7g,
0.757モル)を水(750m)中に懸濁し、過ヨウ素酸カリ
ウム(191.5g,0.833モル)を加えた。本混合物を窒素雰
囲気下で2.5時間攪拌し、沈澱したヨウ素酸カリウムを
濾過によって除去し、水(100ml)で1回洗浄した。水
相をクロロホルム(6×400ml)で抽出した。クロロホ
ルム抽出物を乾燥し、減圧にて溶媒を蒸発除去した。収
量:油状物として102g(93%)。BOC−アミノアセトア
ルデヒドを2つの部分に分けて、84℃、0.3mmHgにてク
ーゲルロール蒸留によって精製した。収量:無色油状物
して79g(77%)。
(b)(N'−BOC−アミノエチル)グリシンメチルエス
テルの合成 BOC−アミノアセトアルデヒド(10g,68.9ミリモル)
をメタノール(150ml)中に溶解して得た溶液に、炭素
担持パラジウム(10%,2.00g)を0℃にて加えた。酢酸
ナトリウム(11.3g,138ミリモル)のメタノール(150m
l)溶液、およびグリシンメチルエステル塩酸塩(8.65
g,68.9ミリモル)のメタノール(75ml)溶液を加えた。
本混合物を大気圧で2.5時間水素化し、セライトを通し
て濾過し、減圧にて溶媒を蒸発除去した。残留物を再び
水(150ml)中に溶解し、0.5N NaOHでpHを8に調節し
た。この水溶液を塩化メチレン(5×150ml)で抽出し
た。抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧に
て溶媒を蒸発除去した。これにより14.1g(88%)の
(N'−BOC−アミノエチル)グリシンメチルエステルが
得られた。この粗製物を、120℃、0.5mmHgにてクーゲル
ロール蒸留により精製して11.3g(70%)の無色油状物
を得た。TLC分析(塩化メチレン中10%メタノール)に
よれば、本生成物は、実施例26において得られた生成物
より高い純度を有していた。
これとは別に、水素(触媒としてのPd(C)と共に)
の代わりにシアノホウ水素化ナトリウムを還元剤として
使用することもできるが、収率(42%)は低かった。
(c)(N'−BOC−アミノエチル)グリシンエチルエス
テルの合成 グリシンメチルエステル塩酸塩の代わりにグリシンエ
チルエステル塩酸塩を使用し、上記手順にしたがって表
記化合物を合成した。使用した溶媒はエタノールであっ
た。収率は78%。
実施例60 H−Tyr−[Taeg]10−Lys−NH2の固相合成 (a)BOC−Tyr(BrZ)−[Taeg]10−Lys(ClZ)−MBH
A樹脂の逐次組立 約0.2gの湿潤状態のBOC−[Taeg]10−Lys(ClZ)−M
BHA樹脂を5mlのSPPS反応容器中に入れた。0.32MのBOC−
CTyr(BrZ)−OHと0.32MのDCCを3mlの純粋CH2Cl2中にて
一晩使用する標準的なインサイチオDCCカップリングに
よって、BOC−Tyr(BrZ)−[Taeg]10−Lys(ClZ)−M
BHA樹脂を組み立てた。ニンヒドリン反応により、BOC−
Tyr(BrZ)が約97%組み込まれたことがわかった。
(b)H−Tyr−[Taeg]10−Lys−NH2の切断、精製、
および同定 保護されたBOC−Tyr(BrZ)−[Taeg]10−Lys(Cl
Z)−MBHA樹脂を実施例17(c)に記載の手順に従って
処理し、約20.7mgの乾燥H−Tyr(BrZ)−[Taeg]10
Lys(ClZ)−MBHA樹脂をHF切断して約5.5mgの粗製物を
得た。この粗製物を精製して2.5mgのH−Tyr−[Taeg]
10−Lys−NH2を得た。
実施例61 ダンシル−[Taeg]10−Lys−NH2の固相合成 (a)ダンシル−[Taeg]10−Lys(ClZ)−MBHA樹脂の
逐次組立 約0.3gの湿潤状態のBOC−[Taeg]10−Lys(ClZ)−M
BHA樹脂を5mlのSPPS反応容器中に入れた。0.5Mのダンシ
ル−Clを2mlのピリジン中で一晩カップリングすること
によってダンシル−[Taeg]10−Lys(ClZ)−MBHA樹脂
を組み立てた。ニンヒドリン反応により、ダンシル基が
約95%組み込まれたことがわかった。
(b)ダンシル−[Taeg]10−Lys−NH2の切断、精製、
および同定 保護されたダンシル−[Taeg]10−Lys(ClZ)−MBHA
樹脂を実施例17(c)に記載の手順に従って処理し、約
71.3mgの乾燥ダンシル−[Taeg]10−Lys(ClZ)−MBHA
樹脂をHF切断して約12mgの粗製物を得た。この粗製物を
精製して5.4mgのダンシル−[Taeg]10−Lys−NH2を得
た。
実施例62 H−[Taeg]−Caeg−[Taeg]−NH2の固相合成 (a)BOC−[Taeg]−C(Z)aeg−[Taeg]−MB
HA樹脂の逐次組立 約0.2gの上記MBHA樹脂を5mlのSPPS反応容器中に入れ
た。2.5mlの50%DMF/CH2Cl2中において0.13MのBOC−C
[Z]aeg−OHと0.13MのDCCとを使用してC(Z)aeg残
基を単一インサイチオDCCカップリングすることによっ
て、そして2.5mlのCH2Cl2中において0.13MのBOC−Taeg
−OPfpでTaeg残基をカップリングすることによって、BO
C−[Taeg]−C(Z)aeg−[Taeg]−MBHA樹脂を
組み立てた。一晩振盪しながら、各カップリング反応を
進行させた。ニンヒドリン反応によって合成をモニター
し、全ての残基がほぼ定量的に組み込まれていることが
わかった。
(b)H−[Taeg]−Caeg−[Taeg]−NH2の切
断、精製、および同定 保護されたBOC−[Taeg]−C(Z)aeg−[Taeg]
−MBHA樹脂を実施例17(c)に記載の手順に従って処
理し、約123mgの乾燥H−[Taeg]−C(Z)aeg−
[Taeg]−MBHA樹脂をHF切断して約44.4mgの粗製物を
得た。この粗製物(11.1mg)を精製して3.6mgのH−[T
aeg]−Caeg−[Taeg]−NH2を得た。
実施例63 H−[Taeg]−Caeg−[Taeg]−Caeg−[Taeg]
−Lys−NH2の固相合成 (a)BOC−[Taeg]−C(Z)aeg−[Taeg]−C
(Z)aeg−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBHA樹脂の逐次
組立 BOC−[Taeg]−C(Z)aeg−[Taeg]−Lys(C
lZ)−MBHA樹脂の先の合成からの、約0.3gの湿潤状態の
H−[Taeg]−C(Z)aeg−[Taeg]−Lys(Cl
Z)−MBHA樹脂を5mlのSPPS反応容器中に入れた。隣の残
基を5回カップリングした後、87%というBOC−C
(Z)aegのトータル組み込み率が得られた。それぞ
れ、2mlのTFE/CH2Cl2(1:2,v/v)中、2mlのTFE/CH2Cl2
(1:2,v/v)中、2mlのTFE/CH2Cl2(1:2,v/v)中〔2滴
のジオキサンと2滴のDIEAを含む(この条件は、数パー
セントのカップリング収率をもたらすにすぎない)、2m
lのTFE/CH2Cl2(1:2,v/v)と0.5gのフェノール中、およ
び1mlのCH2Cl2と0.4gのフェノール中にて0.18MのBOC−
C(Z)aeg−OPfpを使用してカップリングを5回繰り
返した。最後の2つのTaeg残基は、25%フェノール/CH2
Cl2中にて0.25MのBOC−Taeg−OPfpを使用してダブルカ
ップリングすることによって、ほぼ定量的に組み込ん
だ。カップリングは全て一晩進行させた。
(b)H−[Taeg]−Caeg−[Taeg]−Caeg−[Ta
eg]−Lys−NH2の切断、精製、及び同定 保護されたBOC−[Taeg]−C(Z)aeg−[Taeg]
−C(Z)aeg−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBHA樹脂
を実施例17(c)に記載の手順に従って処理し、80.7mg
の乾燥H−[Taeg]−C(Z)aeg−[Taeg]−C
(Z)aeg−[Taeg]−Lys(ClZ)−MBHA樹脂をHF切
断して約7mgの粗製物を得た。この粗製物を精製して1.2
mgのH−[Taeg]−Caeg−[Taeg]−Caeg−[Tae
g]−Lys−NH2(純度>99.9%)を得た。
実施例64 PNA合成のための代替保護基法 (a) 試験化合物の合成 2−アミノ−6−O−ベンジルプリン:2.5g(0.109モ
ル)のナトリウムを100mlのベンジルアルコール中に溶
解して得た溶液に、10.75g(0.063モル)の2−アミノ
−6−クロロプリンを加えた。本混合物を120℃で12時
間攪拌した。本混合物を室温に冷却し、酢酸で中和し、
0.2Nの水酸化ナトリウム(10×50ml)で抽出した。水酸
化ナトリウム相を合わせて100mlのジエチルエーテルで
洗浄し、酢酸で中和し、これによって沈澱を開始させ
た。本溶液を0℃に冷却し、黄色沈殿物を濾過により捕
集した。エタノールから再結晶して、14.2g(92%)の
目的化合物である高純度白色結晶を得た。1H−NMR(250
MHz,DMSO−d6)δ:7.92(8H);7.60−7.40(ベンジル芳
香族);6.36(2−NH2);5.57(ベンジルCH2) (2−アミノ−6−O−ベンジルプリニル)メチルエタ
ノエート:5g(0.0207モル)の2−アミノ−6−O−ベ
ンジルプリン、30mlのDMF、および2.9g(0.021モル)の
炭酸カリウムの混合物を室温で攪拌した。ブロモ酢酸メ
チル(3.2g,1.9ml,0.0209モル)を滴下した。4時間後
に溶液を濾過し、減圧(4mmHg,40℃)にて溶媒を蒸発除
去した。残留物を酢酸エチルから2回再結晶して、3.7g
(57%)の目的化合物を得た。1H−NMR(250MHz,DMSO−
d6)δ:7.93(8H);7.4−7.6(ベンジル芳香族);6.61
(2−NH2);5.03(ベンジルCH2);5.59(CH2);3.78
(OCH3) (2−N−p−トルエンスルホンアミド−6−O−ベン
ジルプリニル)メチルエタノエート; 0.5g(1.6ミリモル)の(2−アミノ−6−O−ベン
ジルプリニル)メチルエタノエートを25mlの塩化メチレ
ン中に溶解して得た溶液に、0.53g(1.62ミリモル)の
p−トルエンスルホン酸無水物と0.22g(1.62ミリモ
ル)の炭酸カリウムを加えた。本混合物を室温で攪拌し
た。本混合物を濾過し、減圧(15mmHg,40℃)にて溶媒
を除去した。油状残留物にジエチルエーテルを加えた。
得られた溶液を一晩攪拌した。目的化合物(0.415mg,55
%)が沈澱し、これを濾過により捕集した。1H−NMR(2
50MHz,DMSO−d6)δ:8.97(8H);7.2−7.8(芳香族);
5.01(ベンジルCH2);4.24(CH2);3.78(OCH3);2.43
(CH3) (b) TFAとHFにおけるトシル保護した塩基残基の安
定性 生成物を、標準的な脱保護条件(TFA−脱保護)およ
びHFによる最終的な切断条件にて処理した。次いで生成
物を、2ml/分の流量にて下記の時間勾配にしたがって、
4μ RCM8×10Nova充填カラムと溶媒A(水中0.1%TF
A)と溶媒B(アセトニトリル中0.1%TFA)を使用するH
PLC分析にて処理した。
時間 %A %B 0 100 0 5 100 0 35 0 100 37 0 100 39 100 0 以下のような保持時間が観察された:(a)化合物1:
30.77分;(b)化合物2:24.22分;および(c)化合物
3:11.75分。TFAとHFのいずれにおいてもO6−ベンジル基
が除去されたこと、しかるに標準的な切断条件下におい
ては、TFAではトシル基の切断がなかったが、HFでは定
量的に除去されたことが分析によりわかった。
実施例65 5−ブロモウラシル−N1−メチルアセテートの合成 5−ブロモウラシル(5g,26.2ミリモル)と炭酸カリ
ウム(7.23g,52.3ミリモル)をDMF(75ml)中に懸濁さ
せた。ブロモ酢酸メチル(2.48ml,26.1ミリモル)を5
分で加えた。この懸濁液を室温で2時間攪拌した後、濾
過した。固体残留物をDMFで2回洗浄し、濾液を合わせ
て減圧にて溶媒を蒸発除去した。得られた残留物は、表
記化合物、DMF、および幾らかの未知不純物を含有する
油状物であった。加水分解の前に表記化合物を精製する
必要はなかった。1H−NMR(250MHz,DMSO−d6)δ:8.55
(不純物);8.27(CBr=CHN);8.02(不純物);4.76
(不純物);4.70(不純物);4.62(NCH2COOCH3);3.78
(COOCH3);2.96(DMF);2.80(DMF)。13C−NMR(250M
Hz,DMSO−d6)ppm:168.8(COOCH3);172.5(CH=CBrCO
N);161.6(DMF);151.9(NCON);145.0(CO−CBr=CH
N);95.6(COCBr=CHN);52.6(不純物);52.5(OC
H3);49.7(不純物);48.8(NCH2COOMe);43.0(不純
物);36.0(DMF)。UV(メタノール;nmmax);226;278。
IR(KBr;cm-1_;3158s(_NH);1743vs(_C=O,COOMe);1
701vs(_C=O,CONH);1438vs(δCH,CH3O);1223vs(_C
−O,COOMe);864m(δCH,Br=C−H)。FAB−MS m/z
(帰属):265/263(M+H)。
実施例66 (5−ブロモウラシル)酢酸の合成 実施例65からの粗製油状物に水(30ml)を加え、水酸
化ナトリウム(2M,60ml)を加えることによって混合物
を溶解させた。0℃で10分間攪拌した後、塩酸(4M,45m
l)を加えて溶液のpHを2に調節し、これによって表記
化合物を沈澱させた。50分後、濾過により固体残留物を
単離し、冷水で1回洗浄し、シカペント上で減圧にて乾
燥した。収量:2.46g(38%)。融点250〜251℃。C6H5Br
N2O4に対する元素分析:実測値(計算値)C:28.78(28.
94);H:2.00(2.02);Br:32.18(32.09);N:11.29(11.
25)。1H−NMR(DMSO−d6,250MHz)δ:12.55(1H,s,COO
H);11.97(1H,NH);8.30(1H,s,C=C−H);4.49(2
H,s,NCH2COOH)。13C−NMR(DMSO−d6,250MHz)ppm:16
9.4(COOH);159.8(NHCOCBr=CH);150.04(NCON);14
5.8(COCBr=CHN);94.6(COCBr=CHN);48.8(NCH2COO
H)。UV(メタノール;nmmax);226;278。IR(KBr;c
m-1);3187s(_NH);1708vs(_C=O,COOH);1687vs;165
4vs(_C=O,CONH);1192s(_C−O,COOH);842m(δCH,B
r−C=C−H)。FAB−MS m/z(帰属,相対強度);251
/249(M+H,5)。
実施例67 N−(BOC−アミノエチル)−N−(5−ブロモウラシ
ル)メチレン−カルボニルグリシンエチルエステルの合
成 BOC−アミノエチルグリシンエチルエステル(1.8g,7.
30ミリモル)をDMF(10ml)中に溶解した。Dhbt−OH
(1.31g,8.03ミリモル)を加え、これによって沈殿物を
形成させた。沈殿物が溶解するまでDMF(2×10ml)を
加えた。実施例66の生成物(2g,8.03ミリモル)を沈澱
を起こさないように徐々に加えた。塩化メチレン(30m
l)を加え、混合物を0℃に冷却し、そして濾過した。
沈殿物(DCU)を塩化メチレンで2回洗浄した。濾液を
合わせ、これに塩化メチレン(100ml)を加えた。本混
合物を、3×100mlのNaHCO3半飽和水溶液(H2O:NaHCO3
飽和水溶液,1:1,v/v)で、次いで2×100mlのKHSO4希薄
水溶液(H2O:KHSO4飽和水溶液,4:1,v/v)で、そして最
後にNaCl飽和水溶液(1×100ml)で洗浄した。有機相
を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧(約15mmHg
で、次いで約1mmHgで)にて溶媒を蒸発除去した。残留
物を塩化メチレン(35ml)中に懸濁し、室温で45分攪拌
し、そしてDCUを濾別した。0℃にて濾液に石油エーテ
ル(2容)を滴下し、これによって油状物を沈澱させ
た。液体をデカントし、残留油状物を塩化メチレン(20
〜50ml)中に溶解した。石油エーテル(2容)を加える
ことによって沈澱を起こさせた。不純物が除去されるま
で、この手順を5回繰り返した。10%MeOH/CH2Cl2を使
用したTLC分析により、不純物は展開溶媒であることが
わかった。得られた油状物を塩化メチレン(25ml)中に
溶解し、減圧にて溶媒を蒸発除去し、表記化合物を固化
させた。収量:2.03g(58%)。融点87〜90℃。C17H25Br
N4O7に対する元素分析:実測値(計算値)C:42.33(42.
78);H:5.15(5.28);Br:17.20(16.74);N:11.69(11.
74)。1H−NMR(DMSO−d6,250MHz)δ:1.93&11.92(1
H,s,C=ONHC=O);8.09&8.07(1H,s,C=C−H);7.0
0&6.80(1H,t,BOC−NH);4.80&4.62(2H,s,NCH2CO
N);4.35&4.24(2H,s,NCH2COOEt);4.27−4.15(2H,m,
COOCH2CH3O);3.47−3.43(2H,m,BOC−NHCH2CH2N);3.2
8−3.25&3.12−3.09(2H,m,BOC−NHCH2CH2N);1.46&
1.45(9H,s,t−Bu);1.26&1.32(3H,t,J=7.1,COOCH2C
H3)。13C−NMR(DMSO−d6,250MHz)ppm:169.3&169.0
(t−BuOC=O);167.4&167.1(COOEt);159.8(C=
C−CON);155.9(NCH2CON);150.4(NCON);145.9(CO
CBr−CHN);94.5(COCBr=CHN);78.2(Me3C);61.3&6
0.7(COCH2CH3);49.1&48.0(NCH2COOH);48.0&47.0
(NCH2CON);38.6(BOC−NHCH2CH2N);38.2(BOC−NHCH
2CH2N);26.3(C(CH3);14.1(COCH2CH3)。UV
(メタノール;nmmax);226;280。IR(KBr;cm-1);3200m
s,ブロード(_NH);168vs,vブロード(_C=O,COOH,CON
H);1250s(_C−O,COOEt);1170s(_C−O,COOt−Bu);8
59m(δCH,Br−C=C−H)。FAB−MS m/z(帰属、相
対強度);479/477(M+H,5);423/421(M+2H−t−B
u,8);379/377(M+2H−BOC,100);233/231(M−主
鎖,20)。
実施例68 N−(BOC−アミノエチル)−N−(5−ブロモウラシ
ル−N1−メチレン−カルボニル)グリシンの合成 実施例67の生成物(1.96g,4.11ミリモル)を加熱する
ことによってメタノール(30ml)中に溶解し、それから
0℃に冷却した。水酸化ナトリウム(2M,30ml)を加
え、混合物を30分攪拌した。HCl(1M,70ml)を加えてpH
を2に調節した。水相を酢酸エチル(3×65ml+7×40
ml)で抽出した。酢酸エチル抽出物を合わせてNaCl飽和
水溶液(500ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウ
ムで乾燥し、濾過し、そして減圧にて溶媒を蒸発除去し
た。収量:1.77g(96%)。融点92〜97℃。C15H21BrN4O7
に対する元素分析:実測値(計算値)C:40.79(40.1
0);H:5.15(4.71);Br:14.64(17.70);N:11.35(12.4
7)。1H−NMR(DMSO−d6,250MHz,J in Hz)δ:12.83(1
H,s,COOH);11.93&11.91(1H,s,C=ONHC=O);8.10&
8.07(1H,s,C=C−H);7.00&6.81(1H,t,BOC−NH);
4.79&4.61(2H,s,NCH2CON);4.37&4.25(2H,s,NCH2CO
OH);3.46−3.39(2H,m,BOC−NHCH2CH2N);3.26−3.23
&3.12−3.09(2H,m,BOC−NHCH2CH2N);1.46(9H,s,t−
Bu)。13C−NMR(DMSO−d6,250MHz)ppm:170.4(t−Bu
OC=O);166.9(COOH);159.7(C=C−CON);155.8
(NCH2CON);150.4(NCON);145.9(COCBr=CHN);94.4
(COCBr=CHN);78.1(Me3C);49.1&48.0(NCH2COO
H);47.7&47.8(NCH2CON);38.6(BOC−NHC2CH2N);3
8.1(BOC−NHCH2CH2N);28.2(C(CH3)。UV(メ
タノール;nmmax);226;278。IR(KBr;cm-1);3194ms,ブ
ロード(_NH);168vs,vブロード(_C=OCOOH,CONH);12
50s(_C−O,COOH);1170s(_C−O,COOt−Bu);863m(δ
CH,Br−C=C−H)。FAB−MS m/z(帰属,相対強
度):449/451(M+H,70);349/351(M+2H−BOC,10
0);231/233(M−主鎖,20)。
実施例69 ウラシル−N1−メチルアセテートの合成 ウラシル(10g,89.2ミリモル)と炭酸カリウム(24.7
g,178ミリモル)をDMF(250ml)中に懸濁した。ブロモ
酢酸メチル(8.45ml,89.2ミリモル)を5分で加えた。
この懸濁液を、窒素雰囲気下にて室温で一晩攪拌し、濾
過した。薄層クロマトグラフィー(塩化エチレン中10%
メタノール)によれば、ウラシルの転化は完全ではなか
った。固体残留物をDMFで2回洗浄し、合わせた濾液か
ら減圧にて溶媒を蒸発除去した。沈殿物を水(60ml)中
に懸濁し、HCl(2.5ml,4M)を加えた(pH2)。懸濁液を
0℃で30分攪拌してから濾過した。沈澱した表記化合物
を水で洗浄し、シカペント上で減圧にて乾燥した。収
量:9.91g(60%)。融点182〜183℃。C6H8N2O4に対する
元素分析:実測値(計算値)C:45.38(45.66);H:4.29
(4.38);N:15.00(15.21)。1H−NMR(DMSO−d6,250MH
z,J in Hz)δ:1.47(1H,s,NH);7.68(1H,d,J
H−C=C−H=7.9,CH=CHN);5.69(1H,d,J
H−C=C−H=7.9,CH=CHN);4.59(2H,s,NCH2COOM
e);3.76(3H,s,COOCH3)。13C−NMR(DMSO−d6,250MH
z)ppm:168.8(COOME);164.0(C=C−CON);151.1
(NCON);146.1(COCH=CHN);101.3(COCH=CHN);52.
5(COOCH3);48.7(NCH2COOMe)。UV(メタノール;nm
max);226;261。IR(KBr;cm-1);3164(_NH);1748vs
(_C=O,COOMe);1733vs(_C=O,CONH);1450vs(δCH,
CH3O);1243vs(_C−O,COOMe);701m(δCH,H−C=C
−H)。FAB−MS m/z(帰属);185(M+H)。
実施例70 ウラシル酢酸の合成 実施例69の生成物(8.76g,47.5ミリモル)に水(90m
l)を加え、次いで水酸化ナトリウム(2M,40ml)を加え
た。メチルエステルが全て反応するまで混合物を40分加
熱した。0℃で15分攪拌した後、塩酸(4M,25ml)を加
えた(pH2)。表記化合物が沈澱し、2〜3時間後に混
合物を濾過した。沈殿物を母液で1回および冷水で2回
洗浄し、シカペント上で減圧にて乾燥した。収量:6.66g
(82%)。融点288〜289℃。C6H6N2O4に対する元素分
析:実測値(計算値)C:42.10(42.36):H:3.43(3.5
5);N:16.25(16.47)。1H−NMR(DMSO−d6,250MHz,J i
n Hz)δ:13.19(1H,s,COOH);11.41(1H,s,NH);7.69
(1H,d,JH−C=C−H=7.8,JH−C=C−H=2.0,C
OCH=CHN);4.49(2H,s,NCH2COOH)。13C−NMR(DMSO−
d6,250MHz)ppm:169.9(COOH);163.9(CH=CHCON);15
1.1(NCON);146.1(COCH=CHN);100.9(COCH=CHN);
48.7(NCH2COOH)。UV(メタノール;nmmax);246;263。
IR(KBr;cm-1);3122s(_NH);1703vs(_C=O,COOH);1
698vs,1692vs(_C=O,CONH);1205s(_C−O,COOH);676
(δCH,H−C=C−H)。FAB−MS m/z(帰属);171
(M+H)。
実施例71 N−(BOC−アミノエチル)−N−(ウラシル−N1−メ
チレン−カルボニル)グリシンエチルエステルの合成 (BOC−アミノエチル)グリシンエチルエステル(2g,
8.12ミリモル)をDMF(10ml)中に溶解した。Dhbt−OH
(1.46g,8.93ミリモル)を加え、沈殿物を形成させた。
全て溶解するまでDMF(2×10ml)を加えた。沈澱が起
こらないよう、実施例70の生成物(1.52g,8.93ミリモ
ル)を沈澱が起こらないよう徐々に加えた。塩化メチレ
ン(30ml)を加え、混合物を0℃に冷却した後、DCC
(2.01g,9.74ミリモル)を加えた。混合物を0℃で1時
間、および室温で2時間攪拌してから濾過した。沈澱し
たDCUを塩化メチレンで2回洗浄した。合わせた濾液に
塩化メチレン(100ml)を加え、溶液を、3×100mlのNa
HCO3半飽和水溶液(H2O:NaHCO3飽和水溶液,1:1,v/v)
で、次いで2×100mlのKHSO4希薄水溶液(H2O:KHSO4
和水溶液,4:1,v/v)で、そして最後にNaCl飽和水溶液
(1×100ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム
で乾燥し、濾過し、減圧(約15mmHgで、次いで約1mmHg
で)にて溶媒を蒸発除去した。残留物を塩化メチレン
(32ml)中に懸濁し、室温で35分および℃で30分攪拌し
てから濾過した。沈殿物(DCU)を塩化メチレンで洗浄
した。合わせた濾液に0℃にて石油エーテル(2容)を
滴下し、これによって油状物の分離を起こさせた。液体
をデカントし、残留油状物を塩化メチレン(20ml)中に
溶解し、再び石油エーテル(2容)を加えることによっ
て沈澱を起こさせた。不純物が除去されるまで、この手
順を5回繰り返した。10%MeOH/CH2Cl2を使用したTLC分
析により、不純物は展開溶媒であることがわかった。得
られた油状物を塩化メチレン(20ml)中に溶解し、減圧
にて溶媒を蒸発除去し、表記化合物を固化させた。収
量:1.71g(53%)。融点68.5〜75.7℃。C17H26N4O7に対
する元素分析:実測値(計算値)C:50.61(51.25);H:
6.48(6.58);N:13.33(14.06)。1H−NMR(DMSO−d6,2
50MHz,J in Hz)δ:11.36(1H,s,C=ONHC=O);7.51&
7.47(1H,d,JH−C=C−H+6.1;COCH=X−H);7.0
0&6.80(1H,t,BOC−NH);5.83&5.66(1H,d,J
H−C=C−H=5.7,COCH=CH);4.78&4.60(2H,s,NC
H2CON);4.37&4.12(2H,s,NCH2COOEt);4.30−4.15(2
H,m,COOCH2CH3);3.49−3.46(2H,m,BOC−NHCH2CH2N);
3.27,3.23&3.11−3.09(2H,m,BOC−NHCH2CH2N);1.46
(9H,s,t−Bu);1.39−1.23(3H,m,COOCH2CH3)。13C−
NMR(DMSO−d6,250MHz)ppm:169.4&169.0(t−BuOC=
O);167.6&167.3(COOEt);163.8(CH=CHCON);155.
8(NCH2CON);151.0(NCON);146.3(COCH=CHN);100.
8(COCH=CHN);78.1(Me3C):61.2&60.6(COOCH2C
H3);49.1(NCH2COOEt);47.8&47.0(NCH2CON);38.6
(BOC−NHCH2CH2N);38.1&37.7(BOC−NHCH2N);28.2
(C(CH3);14.1(CO−OCH2CH3)。UV(メタノー
ル;nmmax);226;264。IR(KBr;cm-1);3053m(_NH);16
85vs,vブロード(_C=O,COOH,CONH);1253s(_C−O,COO
Et);1172s(_C−O,COOt−Bu);718w(δCH,C−C−C
−H)。FAB−MS m/z(帰属、相対強度);399(M+H,3
5);343(M+2H−t−Bu,100);299(M+2H−BOC,10
0);153(M−主鎖,30)。
実施例72 N−(BOC−アミノエチル)−N−(ウラシルメチレン
−カルボニル)グリシンの合成 実施例71の生成物(1.56g,3.91ミリモル)をメタノー
ル(20ml)中に溶解し、0℃に冷却した。水酸化ナトリ
ウム(2M,20ml)を加え、混合物を0℃で75分攪拌し
た。塩酸(1M,46ml)を加えた(pH2)。水相を酢酸エチ
ル(3×50ml+7×30ml)で抽出した。酢酸エチル抽出
物を合わせてNaCl飽和水溶液(360ml)で洗浄した。有
機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧にて溶
媒を蒸発除去した。残留物をメタノール中に溶解し、減
圧にて溶媒を蒸発除去した。収量:0.55g(38%)。融点
164〜170℃。C15H22N4O7に対する元素分析:実測値(計
算値)C:46.68(48.65);H:6.03(5.99);N:14.61(15.
13)。1H−NMR(DMSO−d6,250MHz,J in Hz)δ:12.83
(1H,s,COOH);11.36(1H,s,C=ONHC=O);7.52−7.45
(1H,m,COCH=CHN);7.00&6.82(1H,t,BOC−NH);5.67
−5.62(1H,m,COCH=CHN);4.76&4.58(2H,s,NCH2CO
N);4.26&4.05(2H,s,NCH2COOH);3.46−3.39(2H,m,B
OCNHCH2CH2N);3.25−3.23&3.15−3.09(2H,m,BOCNHCH
2CH2N);1.46(9H,s,t−Bu)。13C−NMR(DMSO−d6,250
MHz)ppm:170.5(t−BuOC=O);167.2(COOH);163.9
(C=C−CON);155.8(NCH2CON);151.5(NCON);14
6.4(COCH=CHN);100.8(COCH=CHN);78.1(Me3C);4
9.1&47.8(NCH2COOH);47.6&46.9(NCH2CON);38.6
(BOC−NHCH2CH2N);38.1&37.6(BOC−NHCH2CH2N);2
8.2(C(CH3)。UV(メタノール;nmmax);226;26
4。IR(KBr;cm-1);3190(_NH);1685vs,Vブロード(_C
=O,COOH,CONH);1253s(_C−O,COOH);1171s(_C−O,C
OOt−Bu);682w(δCH,H−C=C−H)。FAB−MS m/z
(帰属、相対強度);371(M+H,25);271(M+H−BO
C,100)。
実施例73 H−U10−Lys−NH2の合成 表記化合物の合成を、下記のプロトコルに従って行っ
た:(1)TFA/CH2Cl2(1:1,v/v)によるBOC−脱保護、
3×1分および1×30分;(2)CH2Cl2による洗浄、6
×1分;(3)DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)による中和、
3×2分;(4) CH2Cl2による洗浄、6×1分および
1分間排出輩出;(5)合成の幾つかの段階において、
PNA−樹脂の2〜5mgサンプルを取り出し、置換量を測定
するためのニンヒドリン分析用に充分に乾燥した;
(6)BOC−保護されたPNAモノマー(遊離酸)をDMF中
に加え、次いでDCCをCH2Cl2中に加えた;振盪しながら
カップリング反応をトータル24時間進行させた;(7)
DMFによる洗浄、1×2分;(8)CH2Cl2による洗浄、
4×1分;(9)DIEA/CH2Cl2(1:19,v/v)、2×2
分;(10)CH2Cl2による洗浄、6×1分;(11)時々、
保護されたPNA−樹脂の2〜5mgサンプルを取り出し、カ
ップリング程度を測定するためのニンヒドリン分析用に
充分に乾燥した;(12)合成の幾つかの段階において、
無水酢酸/ピリジン/CH2Cl2(1:1:2,v/v/v)の混合物を
使用するアセチル化によって未反応アミノ基をブロック
し、次いでCH2Cl2で洗浄した、6×1分、および時々ニ
ンヒドリン分析。
この合成は、約100mgのLys(ClZ)−MHBA樹脂に関し
て開始した。粗製物(12mg)は、ハイブリッド形成実験
に対して充分な純度を有していた。5'−(dA)10とH−
U10との間のハイブリッドのTmは67.5℃であった。
実施例74 エチル−N6−(ベンジルオキシカルボニル)−2,6−ジ
アミノプリン−9−イル−アセテート(14,図7a)の合
成 2,6−ジアミノプリン(3g,19.46ミリモル)を乾燥DMF
(90ml)中に懸濁させて得た懸濁液に、NaH(オイル中6
0%,0.87g,21.75ミリモル)を加えた。1時間後に、ブ
ロモ酢酸エチル(4.23g,25.34ミリモル)を加えた。反
応混合物は30分で均一となり、さらに90分攪拌した。減
圧にてDMFを除去して黄褐色粉末を得た。この黄褐色粉
末を1,4−ジオキサン(200ml)と共に10分還流した後、
セライトを通して濾過した。溶液を濃縮して淡黄色粉末
を得た。この淡黄色粉末(5.52g)を1,4−ジオキサンと
混合し、これに新たに合成したN−ベンジルオキシカル
ボニル−N'−メチルイミダゾリウムトリフレート(10.7
g,29.2ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で16時間
攪拌し、赤色の溶液を得た。減圧にてジオキサンを除去
し、粗製物をMeOH:ジエチルエーテルから再結晶して4.5
6g(63%)の表記化合物をクリーム色の固体として得
た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:10.12(bs,1H);7.43(m,5
H);6.40(bs,2H);5.17(s,2H);4.94(s,2H);4.18
(q,J=7.2,3H);1.21(t,J=7.2,3H)。13C−NMR(DMS
O−d6)ppm:167.81;159.85;154.09;152.07;149.77;140.
62;136.42;128.22;127.74;127.61;166.71;65.87;61.21;
43.51;13.91。
実施例75 N6−(ベンジルオキシカルボニル)−2,6−ジアミノプ
リン−9−イル−酢酸(15,図7a)の合成 エチル−N6−(ベンジルオキシカルボニル)−2,6−
ジアミノプリン−9−イル−アセテート(14,3g,8.1ミ
リモル)をNaOH水溶液(2N,30ml)中に溶解した。1時
間後、2M HClで溶液のpHを2.5に酸性化した。沈殿物を
濾過し、水で洗浄し、そして乾燥して2.82g(98%)の
表記化合物を白色固体として得た。
IR(KBr):3300,3095,1750,1630,1590,1410。1H−NMR
(DMSO−d6)δ:10.11(s,1H);7.91(s,1H);7.45−7.
33(m,5H);6.40(s,2H);5.17(s,2H);4.83(s,2
H)。
実施例76 BOC−アミノアセトアルデヒド(16,図7b)の合成 表記化合物を文献に記載の手順にしたがって合成した
(Dueholmらによる“Organic Preparations and Proced
ures Intl.,1993,25,457")。
実施例77 リシン−(2−クロロベンジルオキシ)アリルエステル
(17,図7b)の合成 表記化合物を文献に記載の手順にしたがって合成した
(WaldmannとHorstによる“Liebigs Ann.Chem,1983,171
2")。
実施例78 N−(BOC−アミノエチル)−リシン−(2−クロロベ
ンジルオキシ)アリルエステル(18,図7b)の合成 p−トルエンスルホン酸で保護したリシン(11ミリモ
ル)をCH2Cl2(100ml)中に溶解し、NaHCO3飽和水溶液
(100ml)で洗浄した。水層をCH2Cl2で逆抽出し、CH2Cl
2層を合わせてNa2SO4で乾燥し、そして濃縮して遊離の
リシンを油状物として得た。この油状物をメタノール
(50ml)中に溶解し、0℃に冷却した。こうして得られ
た溶液にシアノホウ水素化ナトリウム(5.9ミリモル)
を加え、次いで酢酸(0.75ml)を加えた。5分後に、BO
C−アミノアセトアルデヒド(13.3ミリモル)を加え、
反応混合物をさらに1時間攪拌した。減圧にてメタノー
ルを除去し、得られた油状物を酢酸エチル(40ml)中に
溶解し、NaHCO3飽和水溶液とブラインで洗浄し、Na2SO4
で乾燥し、そして濃縮して無色透明の油状物を得た。こ
の油状物を乾燥エーテル(80ml)中に溶解し、−20℃に
冷却し、そしてエーテル中にモル当量のHClを徐々に加
えた。生成した白色固体を濾過により捕集し、自然乾燥
した。乾燥エーテルからの自然乾燥により、分析的に高
純度の白色固体の表記化合物が得られた。
実施例79 N−(BOC−アミノエチル)−N−[N6−(ベンジルオ
キシカルボニル)−2,6−ジアミノプリン−9−イル−
アセチル]−リシン−(2−クロロベンジルオキシ)ア
リルエステル(19,図7b)の合成 N6−(ベンジルオキシカルボニル)−2,6−ジアミノ
プリン−9−イル−酢酸(15,3.6g,10.5ミリモル)をDM
F(150ml)中に溶解して得た溶液に、N,N−ジイソプロ
ピルエチルアミン(2.75ml,21ミリモル)とN−(BOC−
アミノエチル)−リシン−(2−クロロベンジルオキ
シ)アリルエステル塩酸塩(7.31g,15.8ミリモル)を加
えた。反応混合物を窒素雰囲気下で20分攪拌し、ブロモ
−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホ
スフェート(PyBrop,5.4g,11.6ミリモル)を加えた。反
応混合物を、窒素雰囲気下にて室温で一晩攪拌した。反
応混合物を濃縮し、酢酸エチル中に溶解した。酢酸エチ
ル溶液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、分離
し、そして濃縮した。得られた粗製物を、酢酸エチル:
ヘキサン:メタノール(6:3:1,v/v/v)を溶離液として
使用するシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ
ーによって精製した。適切なフラクションの濃縮と乾燥
により、3.1g(37%)の表記化合物が得られた。
実施例80 N−(BOC−アミノエチル)−N−[N6−(ベンジルオ
キシカルボニル)−2,6−ジアミノプリン−9−イル−
アセチル]−リシン−(2−クロロベンジルオキシ)
(20,図7c)の合成 N−(BOC−アミノエチル)−N−[N6−(ベンジル
オキシカルボニル)−2,6−ジアミノプリン−9−イル
−アセチル]−リシン−(2−クロロベンジルオキシ)
アリルエステル塩酸塩(19,3.1g,3.93ミリモル)をTHF
(100ml)中に溶解して得た溶液に、モルホリン(3.5m
l,39.3ミリモル)とテトラキス(トリフェニルホスフィ
ン)−パラジウム(0)(0.45g,0.393ミリモル)を加
えた。反応混合物を、窒素雰囲気下にて室温で2.5時間
攪拌した。得られた混合物を濃縮し、酢酸エチル中に溶
解した。酢酸エチル溶液を、硫酸水素カリウム半飽和水
溶液で洗浄し、分離し、そして濃縮した。得られた粗製
物を、クロロホルム:メタノール(9:1,v/v/v)を溶離
液として使用するシリカゲルフラッシュクロマトグラフ
ィーによって精製した。適切なフラクションの濃縮と乾
燥により、1.25g(42%)の表記化合物が得られた。
実施例81 PNA合成と特性決定に対する標準的なプロトコル 機器:PerSeptive Biosystems 8909 Expedite 合成スケール:2μモル 試剤: 洗浄液A(Wash A):NMP中20%DMSO 洗浄液B:NMP中20%DMSOの中に2Mコリジン デブロック(Deblock):5%m−クレゾール、95%TFA 中和剤:NMP中20%DMSOの中に1M DIEA キャップ(Cap):0.5M無水酢酸、NMP中20%DMSOの中
に1.5Mコリジン アクチベーター:DMF中0.2M HATU モノマー:2Mコリジン中0.22M(DMF中50%ピリジン) 合成:固体支持体(BOC−BHA−PEG−樹脂)を708μlの
洗浄液Aで洗浄する。デブロック(177μl)を6.3分で
カラムに3回通す。樹脂を1416μlの洗浄液Aで洗浄す
る。遊離のアミンを1063μlの中和剤で中和する。樹脂
を1062μlの洗浄液Bで洗浄する。モノマーとアクチベ
ーター(それぞれ141μl)を、14分でカラムに徐々に
加える。樹脂を、708μlの洗浄液Bと708μlの洗浄液
Aで洗浄する。708μlのキャップ溶液を5分で徐々に
加えて、未反応のアミンをキャップする。樹脂を2124μ
lの洗浄液Aで洗浄する。所望するPNA配列の合成が完
了するまで、このサイクルを繰り返す。
切断:PNA−樹脂を5mlのMeOHで洗浄し、減圧にて乾燥す
る。乾燥した樹脂を1.5mlのデュラポアー・ウルトラフ
リー・フィルター・ユニット(Durapore ultrafree fil
ter unit)中に入れた。チオアニソール(25μl)、25
μlのm−クレゾール、100μlのTFA、および100μl
のTFMSAを樹脂に加え、約30分渦流混合し、そして2時
間静置する。次いで反応混合物を10Kにて5分遠心分離
し、樹脂を含んだ内管を取り出す。約1.5mlのエーテル
をTFA溶液に加えて、生成物を沈澱させる。TFA溶液を渦
流混合し、次いで10Kにて2分遠心分離する。減圧にて
エーテルを除去する。エーテルによる沈澱生成と遠心分
離をさらに2回繰り返す。乾燥ペレットをヒートブロッ
ク(55℃)中にて15〜30分加熱して過剰のエーテルを除
去し、200μlのH2O中に再び溶解した。1.5mlのデュラ
ポアー・ウルトラフリー・フィルター・ユニット中にて
100mgのダウエックスアセテート樹脂(Dowex Acetate R
esin)に溶媒を加え、渦流混合し、30分静置し、そして
10Kにて2分遠心分離した。
特性決定:1mlのH2O中における1μlのサンプルの吸光
度を260nmにて測定する。1%の酢酸を含むH2O中に50%
のイソプロパノールを混合した溶液(100μl)を4μ
lのサンプルに加える。このサンプルを電子スプレー質
量分析法(electronspray mass spectrometry)によっ
て特性決定する。
共通の略語 NMP:N−メチルピロリドン TFA:トリフルオロ酢酸 DIEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−
1,1,3,3−テトラメチルウラニウムヘキサフルオロホス
フェート TFMSA:トリフルオロメタンスルホン酸 実施例82 アミノエチルリシン主鎖に結合した2,6−ジアミノプリ
ンを含有するPNAオリゴマー 実施例80の表記化合物、実施例24〜34のアミノエチル
グリシンPNAモノマー、及び実施例81に記載のPNA合成に
対する標準的なプロトコルを使用して、下記のPNAオリ
ゴマーを合成した。
SEQ ID NO:1 TTT−CGC−GDkC−CCDk SEQ ID NO:2 GCDk−DkDkC−GC C,G,およびTはそれぞれ、アミノエチルグリシンPNA
主鎖に結合した核塩基のシトシン、グアニン、およびチ
ミンである。Dkは、前記の実施例に示されているアミノ
エチル−リシン主鎖に結合した2,6−ジアミノプリンで
ある。アミノエチル−リシン主鎖は、α−位置にブチル
アミン置換基(すなわちリシン側鎖)を有するアミノエ
チル−グリシン主鎖である。
実施例83 リシン−含有主鎖に結合した少なくとも1つのA,G,C,ま
たはTを有するPNAオリゴマーの合成 実施例81に記載の手順、実施例24〜34のアミノエチル
グリシンPNAモノマー、および実施例74〜80のモノマー
を使用して、下記のPNAオリゴマーを合成した(Tkはア
ミノエチル−リシン主鎖に結合したチミンであり;Gkは
アミノエチル−リシン主鎖に結合したグアニンであり;C
kはアミノエチル−リシン主鎖に結合したシトシンであ
る)。
SEQ ID NO:3 CGC−TkTkG−GCA−GTkC−TkC SEQ ID NO:4 CgkC−TkTkGK−GkCA−GkTkC−TkC SEQ ID NO:5 CkGkCk−TkTkG−GkCkA−GkTkCk−TkCk SEQ ID NO:6 TkTkTk−AGG−ATkTk−CGTk−GCTk−C SEQ ID NO:7 TkCG−TkGC−TkCA−TkGG SEQ ID NO:8 GCG−TkTkTk−GC SEQ ID NO:9 CGC−TkGC−AGA−TkGC−GGTk−Tk SEQ ID NO:10 CCG−CCG−GCTk−CAG−TkCTk−Tk SEQ ID NO:11 CATk−CGTk−GGC−GGTk−TkAG−G SEQ ID NO:12 TkCG−GGTk−GAG−TkGG−TkAG SEQ ID NO:13 CAC−TkCA−GTkG−CAA−CTkC−Tk SEQ ID NO:14 CCTk−CCA−CTkC−CCG−CCTk−C SEQ ID NO:15 CkATk−CkGTk−GGCk−GGTk−TkAG−G SEQ ID NO:16 CAC−TkCA−GTkG−CAA−CTkC−Tk SEQ ID NO:17 CCTk−CCA−CTkC−CCG−CCTk−C SEQ ID NO:18 CAGk−CCA−TkGG−TTkC−CCC−CkCA−
AC SEQ ID NO:19 Fla−GTkG−AGG−GTkC−TkCTk−CTC SEQ ID NO:20 Cy5−GTkG−AGG−GTkC−TkCTk−CTC SEQ ID NO:21 Fla−CAA−ATkG−GTkTk−CTkC−GAA SEQ ID NO:22 Cy5−CAA−ATkG−GTkTk−CTkC−GAA SEQ ID NO:23 Fla−ACC−TGkA−GkGGk−AGkC−CAG SEQ ID NO:24 Cy5−ACC−TGkA−GkGGk−AGkC−CAG SEQ ID NO:25 Fla−TkTkG−GCC−ACG−TkCC−TkGA SEQ ID NO:26 Cy5−TkTkG−GCC−ACG−TkCC−TkGA SEQ ID NO:27 Fla−TGkC−CCG−GkGkA−AAA−CGkT SEQ ID NO:28 Cy5−TGkC−CCG−GkGkA−AAA−CGkT SEQ ID NO:29 Fla−CCTk−CGTk−GCA−CGTk−TkCTk SEQ ID NO:30 Cy5−CCTk−CGTk−GCA−CGTk−TkCTk SEQ ID NO:31 Fla−TkGG−ATkG−TkCG−ACC−TkCTk 実施例84 メチルα−ホルミルスクシネートの合成 ここで使用する手順は、報告されている方法(Fissek
isらによる“Biochemistry,1970,9,3136")の変法であ
る。ナトリウムメトキシド(40.5g,0.75モル)を乾燥エ
ーテル(500ml)中に懸濁し、窒素雰囲気下にて0℃で
攪拌した。コハク酸ジメチル(65.4ml,0.5モル)とギ酸
メチル(123ml,2モル)との混合物を30分で滴下した。
反応混合物を0℃で2時間、次いで室温で一晩攪拌し
た。反応混合物から溶媒を蒸発除去して粘稠な褐色残留
物を得た。これを石油エーテルで1回洗浄し、次いで3M
塩酸(160ml)中に溶解した。濃塩酸で溶液を弱酸性に
し、ジクロロメタン(4×250ml)で抽出した。有機相
を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧にて
溶媒を蒸発除去した。得られた残留物をクーゲルロール
装置にて60℃、0.6ミリバールで蒸留して、表記化合物
とコハク酸ジメチルを80:20のモル比(NMRにより決定)
で含んだ52.3gの混合物が得られた。ジエチルエーテル
で連続的に抽出することによってコハク酸ジメチルを取
り除いた。これとは別に、上記混合物は次の工程に対し
て直接使用することもできる。
1H−NMR(DMSO−d6,TMS)δ:3.2(s,2H,CH2);3.59
(s,3H,OMe);3.61(s,3H,OMe);7.73(s,1H,CHOH);1
0.86(br s,1H,CHOH)。13C−NMR(DMSO−d6,TMS)ppm:
28.9(CH2);51.0(OMe);51.6(OMe);102.1(C=CHO
H);156.6(CHOH);168.3(COO);171.7(COO) 実施例85 プソイドイソシトシン−5−イル酢酸の合成 ここで使用する手順は、報告されている方法(Beran
らによる“Collect.Czech.Commun.,1983,48,292")の変
法である。ナトリウムメトキシド(41.9g,0.78モル)を
乾燥メタノール(200ml)中に溶解し、グアニジン塩酸
塩(49.4g,0.52モル)を加えた。混合物を窒素雰囲気下
にて室温で10分攪拌した。メチルα−ホルミルスクシネ
ート(30g,0.17モル)を乾燥メタノール(100ml)中に
溶解して得た溶液を混合物に加えた。反応混合物を窒素
雰囲気下で3時間還流し、次いで室温で一晩攪拌した。
反応混合物を濾過し、残留物をメタノールで1回洗浄し
た。濾液と洗浄液を合わせて減圧にて溶媒を蒸発除去し
た。得られた残留物を水(80ml)中に溶解し、濃塩酸を
加えて溶液のpHを4.2にした。0℃で攪拌した後、混合
物を濾過し、沈殿物を水で1回洗浄し、次いで凍結乾燥
して28.29g(97%)の表記化合物を白色固体として得
た。
C6H7N3O3・1/2H2Oに対する元素分析:計算値:C,40.4
5;H,4.53;N,23.59 実測値:C,40.13;H,4.22;N,23.26。
生成物の溶解性が低いことから、さらにナトリウム塩と
して特徴付けられた。表記化合物(0.42g,2.5ミリモ
ル)と炭酸水素ナトリウムを沸騰水(35ml)中に溶解し
た。溶液を冷却し、溶媒を蒸発除去した。残留物を水
(6ml)中に溶解し、エタノール(4ml)とイソプロパノ
ール(8ml)を加えた。濾過によりナトリウム塩を捕集
し、無水のエタノールと石油エーテルで洗浄し、そして
乾燥して0.31g(65%)の生成物を白色結晶として得
た。
1H−NMR(D2O,TMS)δ:3.10(s,2H,CH2COO);7.40
(s,1H,H6)。13C−NMR(DMSO−d6,TMS)ppm:34.8(CHC
OO);112.0(C−5);145.6−146.5(m,C−2);155.1
(C−6);169.4(C−4);179.3(COOH)。MS(FA
B)m/z(%):192(100,M+H)。
実施例86 メチル プソイドイソシトシン−5−イル アセテート
の合成 窒素雰囲気下、−40℃にて攪拌したメタノール(210m
L)への塩化チオニル(3.6mL,50mmol)を加えた。プソ
イドイソシトシン−5−イル酢酸(7g,41mmol)を加
え、反応混合物は60℃で1時間、室温で一夜攪拌した。
反応混合物を蒸発乾固させ、残渣を飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液(80mL)に溶解すると泡だった沈殿物が生じ
た。4M塩酸を加え(溶液pH6.5)、懸濁液は1時間攪拌
した。濾過して沈殿を集め、水で洗浄し、水から再結晶
して凍結乾燥すると、4.66g(62%)のメチル プソイ
ドイソシトシン−5−イル アセテートが白色結晶とし
て得られた。
1H NMR(DMSO−d6,TMS)δ:3.28(s,2H,CH2COO),3.
64(s,3H,COOMe),6.87(br s,2H,NH2),7.54(s,1H,H
−6)。13C NMR(DMSO−d6,TMS)ppm:32.0(CH2CO
O),51.5(COOMe),108.4(C−5),153.3(C−2),
156.4(C−6),164.0(C−4),171.8(CH2COO)。M
S(FAB+)m/z(%):184(100,M+H)。元素分析;C7H
9N3O3 3/2H20として計算値:C,40.00;H,5.75;N,19.99、
実測値:C,40.18;H,5.46;N,20.30。
実施例87 メチル N2−(ベンジルオキシカルボニル)プソイドイ
ソシトシン−5−イルアセテートの合成 メチル プソイドイソシトシン−5−イル アセテー
ト(9.5g,52mmol)を乾燥DMF(95mL)に溶解し、溶液は
窒素雰囲気下、0℃で攪拌した。N−ベンジルオキシカ
ルボニル−N'−メチルイミダゾリウム トリフレート
(37.99g,104mmol)を徐々に加えた。反応混合物は0℃
で30分、その後室温で一夜攪拌した。ジクロロメタン
(800mL)を加え、得られた混合物は半飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液(2x400mL)、半飽和硫酸水素カリウム
水溶液(2x400mL)および食塩水(1x400mL)で洗浄し
た。有機相を乾燥し(MgSO4)、濾過して減圧下で蒸発
させた。残渣をメタノールから再結晶すると13.32g(81
%)の表題化合物が白色結晶として得られた。
1H NMR(DMSO−d6,TMS)δ:3.43(s,2H,CH2COO),3.
67(s,3H,COOMe),5.30(s,2H,PhCH2),7.43−7.52(m,
5H,PhCH2),7.77(s,1H,H−6)。13C NMR(DMSO−d6,
TMS)ppm:31.9(CH2COO),51.6(COOMe),67.0(PhC
H2),128.1−128.5(m,PhCH2),135.7(PhCH2),150.7
(Z−CO),170.8(COO)。MS(FAB+)m/z(%):318
(3.5,M+H)。元素分析;C15H15N3O5として計算値:C,5
6.78;H,4.76;N,13.24、実測値:C,56.68;H,4.79;N,13.2
8。
実施例88 N2−(ベンジルオキシカルボニル)プソイドイソシトシ
ン−5−イル酢酸の合成 メチル N2−(ベンジルオキシカルボニル)プソイド
イソシトシン−5−イル アセテート(5.2g,16mmol)
をTHF(52ml)に懸濁し、0℃に冷却した。1M水酸化リ
チウム(49mL,49mmol)を加え、反応混合物は0℃で25
分間攪拌した。追加の1M水酸化リチウム(20mL,20mmo
l)を加え、混合物は0℃で90分間攪拌した。1M塩酸でp
H2の酸性とすると生成物が沈殿し、濾過して集め、水で
1度洗浄して乾燥した。収量は4.12g(83%)であり、
白色結晶物として得られた。
1H NMR(DMSO−d6,TMS)δ:3.33(s,2H,CH2COO),5.
29(s,2H,PhCH2),7.43−7.52(m,5H,PhCH2),7.74(s,
1H,H−6),11.82(br s,3H,交換可能プロトン)。MS
(FAB+)m/z(%):304(12,M+H)。元素分析;C14H
13N3O5として計算値:C,55.45;H,4.32;N,13.86、実測値:
C,55.55;H,4.46;N,13.84。
実施例89 アミノエチル リジン主鎖へ結合されたプソイドイソシ
トシンの製造 N2−(ベンジルオキシカルボニル)プソイドイソシト
シン−5−イル酢酸は実施例79の方法に従ってN−(BO
C−アミノエチル)−リジン−(2−クロロベンジルオ
キシ)アリルエステル(18)に結合された。得られたモ
ノマー化合物を実施例80の方法に従って処理するとオリ
ゴマー合成にすぐ使用できる脱保護化合物が得られる。
実施例90 アミノエチル−リジン主鎖へ結合されたプソイドイソシ
トシンを有するPNAオリゴマーの製造 アミノエチル−リジンプソイドイソシトシン モノマ
ーは実施例81の方法を用いてPNA内へ取り込まれた。
実施例91 アミノエチル−リジン主鎖へ結合されたアデニン、グア
ニン、シトシンおよびチミンを有するPNAモノマーの製
造 a)グアニンモノマーの製造:N6−ベンジル−9−カル
ボキシメチレン−グアニン(2.63g,8.78mmol)をDIEA
(2.6mL,20mmol)、DMF(30mL),ジクロロメタン(70m
L)およびN−(BOC−アミノエチル)−リジン−(2−
クロロベンジルオキシ)アリルエステル(18,3.7g,8.04
mmol)へ加えた。反応混合物は窒素雰囲気下で20分間攪
拌した。PyBrop(4g,8.58mmol)を加え、反応混合物は
さらに16時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、残渣はク
ロロホルム/ヘキサン/メタノール(12:7:1,v/v/v)を
用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー
で精製すると4g(60%)の表題化合物をアリルエステル
として得た。
アリルエステル(4g,5.37mmol)をTHF(100mL)、テ
トラキス パラジウム(0)(0.18,0.15mmol)および
モルホリン(6.1mL,70mmol)へ加えた。反応混合物は窒
素雰囲気下、2.5時間攪拌して濃縮した。残渣はクロロ
ホルム/ヘキサン/メタノール(11:8:1,v/v/v)を用い
るシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精
製すると2.67g(60%)の表題化合物を得た。
b)アデニンモノマーの製造:上記実施例91(a)でグ
アニンモノマーのために使用された方法に従い、N6−ベ
ンジル−9−カルボキシメチレン−アデニンを用いてア
デニンモノマーが合成された。
c)シトシンモノマーの製造:N−(BOC−アミノメチ
ル)−リジン−(2−クロロベンジルオキシ)アリルエ
ステル(18,8.21g,17.7mmol)へトリエチルアミン(10m
L,98mmol)およびジクロロメタン(200mL)を加えた。
溶液は窒素雰囲気下、氷浴で約0℃に冷却した。冷却し
た溶液に塩化クロロアセチル(2.2mL,27.6mmol)を10分
以上かけて加え、反応混合物は室温で16時間攪拌した。
反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチル/ヘキサン(1:
1,v/v)を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマト
グラフィーで精製すると6.54g(68%)のN−アセチル
化リジン主鎖を得た。
シトシンはピリジン中、0℃にてベンジルクロロホル
メートで処理することによりN−4位が保護されて、N4
−ベンジル−シトシンが生ずる。
N4−ベンジル−シトシン(1.31g,5.34mmol)へDMF(2
00mL)および60%NaH鉱油溶液(0.22g,5.4mmol)を加
え、得られた混合物は窒素雰囲気下で30分攪拌した。得
られた混合物にN−アセチル化リジン主鎖(2.9g,5.34m
mol)のDMF(25mL)溶液を加え、混合物は16時間攪拌し
た。反応混合物を濃縮し、残渣はジクロロメタン(250m
L)に溶解した。ジクロロメタン相は水(200mL)で洗浄
して濃縮した。得られた残渣をジクロロメタン/ヘキサ
ン/メタノール(8:2:1)を用いるシリカゲルフラッシ
ュカラムクロマトグラフィーで精製すると2.4g(85%)
のアリルエステルとしてアミノエチル−リジン主鎖に結
合されたシトシンが得られた。
アリルエステルは上記実施例91(a)で使用した方法
に従い、パラジウムを用いた脱保護により活性モノマー
へ変換されて、1.05g(46%)の表題化合物が得られ
る。
実施例84−89も参照されたい。
(d)チミンモノマーの製造:チミンモノマーは上記91
(c)の方法に従って製造された。
実施例92 PNA二重鎖の熱安定性 二重鎖形成PNAは実施例83に記載したように合成され
た。配列H−GTxA−GATx−CAC−Tx−R(配列ID番号:3
2、式中、Txはアミノ酸側鎖を有するチミンモノマーを
表している)を有するPNAは、配列5'−AGT−GAT−CTA−
C−3'(配列ID番号:33)を有する相補的DNAおよび配列
H−AGT−GAT−CTA−C−LysNH2(配列ID番号:34)を有
する相補的PNAとハイブリダイズさせ、10mMリン酸、100
mM NaClおよび1mM EDTA中、pH7で二重鎖の熱安定性(T
m)が決定された。結果は下記の表に示されている。
結果は、主鎖中のグリシンはハイブリダイゼーション
能力の中程度の損失で他のアミノ酸で置換できることを
示している。D−リジン対L−リジンおよびD−セリン
対L−セリンを比較すると、D−アミノ酸はPNAの主鎖
においてより良く適応していることが明らかである。さ
らに、PNA主鎖中の陰性に荷電した側鎖(例えば、グル
タミン酸およびアスパラギン酸)の導入は、減少したTm
で示されているようにハイブリダイゼーション能力を減
少させ、一方、陽性に荷電した側鎖(例えばリジン)は
より高いTmにより示されているようにハイブリダイゼー
ション能を増加させる。また、PNAは平行DNAよりも逆平
行DNAによりよく結合する。
実施例93 一つが不適正であるPNA:DNA二重鎖の熱安定性 主鎖中にアミノ酸側鎖を含んでいるPNAの配列特異性
が、相補的DNA鎖中の単一塩基対不適正(TPNA−GDNA
の影響を決定することにより研究された。配列H−GTxA
−GATx−CAC−Tx−R(配列ID番号:32)を有するPNAが
この研究に使用された。一つの不適正を有する相補的DN
Aは配列5'−AGT−GGT−CTA−C−3'(配列ID番号:35)
を有しており、不適正塩基は下線が引かれている。結果
は下記の表に示されている。
結果は、主鎖中にアミノ酸側鎖を含んでいるPNAは、
主鎖中にグリシンを有するPNAよりも良好に塩基不適正
を識別するので、相補的DNAに対して高められた配列特
異性を示すことを示している。
実施例94 HCVを標的とするPNAのインビトロ評価 細胞培養におけるHCV複製はいまだ達成されていな
い。従って、試験化合物の抗HCV活性を評価するために
インビトロ翻訳アッセイが標準アッセイとして使用され
ている。そのような標準インビトロ翻訳アッセイの一つ
が、ウサギ網状赤血球アッセイでのHCVタンパク質の合
成を阻害する能力について本発明のPNAを評価するため
に使用された。
HCV mRNAの所望の部分の完全長cDNAを含むプラスミ
ドが調製された。T7プロモーターは5'−キャップ部位に
すぐ隣接してプラスミド内へ導入された。類似の戦略は
制御を維持するために使用されており、端を切り取った
細胞間接着分子タイプIをコードしている配列を含んで
いるcDNAプラスミドが修飾された。ICAM−1 AUGに関
して塩基554の欠失の結果、フレームシフトが起こり、
塩基679に停止コドンが発生した。生じた読み枠はより
低分子量の端が切断されたICAM−1ポリペプチドをコー
ドしている。
インビトロ翻訳のためのキャップされていない転写体
は、Megascript転写キット(Ambion,Inc)を使用し、使
用説明書に従ってプラスミドのT7転写により調製され
た。プラスミドは基準mRNAと配列がほとんど同一の転写
体を発生させるために、cDNA挿入物の3'−非翻訳配列の
すぐ下流のリンカー領域中の部位での制限エンドヌクレ
アーゼ消化によりプラスミドプラスミドを直線化した。
転写に続いて、遊離ヌクレオチドはG−50 Quickspin
カラム(Boehringer−Mannheim)を用いて除去し、存在
する転写体の量は光学密度により定量した。
インビトロ翻訳反応液は15μLの総容量中に、300ng
のHCV転写体(最終濃度10nM)、7μLのウサギ網状赤
血球溶解物(RRL,Promega)、8.8μCiの[35S]−メチ
オニン(1175Ci/mmol,Amersham)、13μMのメチオニン
を欠くIVTアミノ酸混合物(Promega)、8単位のPNasin
(Promega)およびPNAを含んでいた。同様の対照反応液
はHCV転写体の代わりに100ng(30nM)の端を切り取った
ICAM−1転写体を含んでいた。標的および対照RNAは65
℃に5分間加熱し、37℃にて15分間インキュベートして
溶解物成分と混合された。翻訳混合物は37℃にて60分間
インキュベートし、2xLaemmliゲル充填緩衝液の添加に
より反応を停止させた。煮沸後、タンパク質を前もって
型をとってある14%アクリルアミドゲル(Novex,San D
iego)で分画し、10%プロパノール、5%酢酸、3%グ
リセロール中で固定し、乾燥してPhosphorImagerで分析
した。
PNAはHCVタンパク質のインビトロ翻訳を効果的に阻止
した。インビトロ翻訳アッセイで評価されたPNAは下記
の表に示されている(DkおよびTkは各々アミノエチル−
リジン主鎖に結合されている2,6−ジアミノプリンおよ
びチミンである)。
インビトロ翻訳アッセイの結果は図8に示されてい
る。約29nMのEC50を有する13642(リジン側鎖を有する
二つの2,6−ジアミノプリン核塩基を含んでいる12−mer
PNA)は、約57nMのEC50を有する265−12(リジン側鎖
を欠いている)よりもHCVタンパク質のインビトロ翻訳
の阻害において有効であることが観察された。さらに、
30nM程度の低濃度において、11908および13639を比較す
ると、リジン側鎖を有するPNA(すなわち13639)は1190
8(リジン側鎖を含んでいない)よりもHCVタンパク質の
インビトロ翻訳の阻害において有効であることは明らか
である。このことは、PNAにおける側鎖の存在がHCVタン
パク質のインビトロ翻訳を阻害する能力を促進すること
を明らかに示している。
実施例95 高められた溶解性を有するPNA PNAはプリン並びにピリミジン核塩基を含んでいるで
あろう。しかしながら、PNAのプリン核塩基含量が増加
するにつれてPNAの不溶性が増加し、高プリン含量のPNA
は不溶性となる。驚くべきことに、リジンの側鎖を含ん
でいるPNAは、リジン側鎖を欠くPNAと比較した場合に高
められた溶解性を示すという、予期されなかった特性を
示した。
配列TGC−GGG−TGA−GTG−GTA−G(配列ID番号:39)
のPNAが合成され、その溶解性がリジン側鎖を含んでい
る対応するPNA、すなわち、TkGC−GGG−TkGA−GTkG−GT
kA−G(配列ID番号:40)(式中、Tkはリジン側鎖を有
するチミンである)の溶解性と比較された。リジン側鎖
を含んでいるPNAは生理学的に有用な溶液およびN−メ
チルピロリドン、DMFおよびジクロロメタンを含む試薬
溶媒に可溶であるが、一方、リジン側鎖を欠くPNAは不
溶性であるという予期しない結果が得られた。これらの
結果はPNAへのリジン側鎖の導入は、それらのさらなる
使用を容易にするであろう改良された溶解性を有するPN
Aを提供することを示している。
実施例96−101において、括弧内のすべての数字は図
9を参照されたい。
実施例96 Nα−Fmoc−π−ベンジルオキシメチル−L−ヒスチジ
ン メチルエステル(32) Nα−Fmoc−π−ベンジルオキシメチル−L−ヒスチ
ジン(Sigma Chemical Company,9.0gm,18.1mmol)のD
MF(150mL)溶液に(トリメチルシリル)ジアゾメタン
(20mL,40mmol/2.0M/THF)を加えた。混合物は窒素雰囲
気下で約12時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去すると表
題化合物(32)を油状物として得た。油状物はさらに精
製することなくそのまま次の工程で使用された。
実施例97 π−ベンジルオキシメチル−L−ヒスチジン メチルエ
ステル(33) Nα−Fmoc−π−ベンジルオキシメチル−L−ヒスチ
ジン メチルエステル(32)(実施例96で得られた量)
のジクロロメタン(100mL)溶液にピペリジン(2.0mL,2
0mmol)を加えた。混合物は窒素雰囲気下で3時間攪拌
した。減圧下で混合物を濃縮した。残渣をメタノール
(50mL)で希釈し、HClでpHを7.0に調整した。濾過する
と表題化合物(33)が油状物として得られた。油状物は
さらに精製することなくそのまま次の工程で使用され
た。
実施例98 π−ベンジルオキシメチル−L−ヒスチジン メチルエ
ステル(34) π−ベンジルオキシメチル−L−ヒスチジン メチル
エステル(33)のメタノール(200mL)溶液に水素化シ
アノホウ素ナトリウム(5.65gm,90mmol)を加えた。酢
酸を用いて混合物のpHを5から6の間に調整した。Boc
−アミノアセトアルデヒド(5.54gm,35.0mmol)のメタ
ノール(15mL)溶液を加え、混合物は窒素雰囲気下で1
時間攪拌した。追加のBoc−アミノアセトアルデヒド(1
4.4gm,91.3mmol)のメタノール(50mL)溶液を加え、さ
らに12時間攪拌した。混合物は減圧下で濃縮した。残渣
は酢酸エチル(500mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム
水溶液(2x200mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシ
ウムで乾燥し、濾過後、減圧下で濃縮すると残渣が得ら
れた。油状物を酢酸エチル/メタノール/ヘキサン(5:
1:5)を溶出液として用いるシリカゲルフラッシュカラ
ムクロマトグラフィーによりさらに精製すると5.33g(6
8%)の表題化合物が油状物として得られた。
1H NMR(CDCl3)δ 1.43(s,9H),1.718(6x,1H,N
H),2.55(m,2H),2.71(m,2H),2.99(m,2H),3.11
(m,2H),3.53(t,1H),3.68(s,3H),4.42(s,2H),4.
80(bs,1H,NH),5.33(s,2H),6.88(s,1H),7.31(m,5
H)および7.48(s,1H)。MS−FABネガティブモード、
(計算値);実測値:(432.5);431.1。
実施例99 Nα−(N−Boc−2−アミノメチル)π−ベンジルオ
キシメチル−L−ヒスチジン メチルエステル(35) π−ベンジルオキシメチル−L−ヒスチジン メチル
エステル(34)(5.33gm,12.3mmol)のDMF(100mL)お
よびジクロロメタン(50mL)溶液にN,N−ジイソプロピ
ルエチルアミン(3.5mL,25mmol)およびチミン−1−イ
ル−酢酸(1.75gm,9.5mmol)を加えた。室温で20分間攪
拌後、PyBrop(8.85gm,19mmol)を加え、混合物はさら
に12時間窒素雰囲気下で攪拌した。減圧下で溶媒を除去
し、残渣をヘキサン/メタノール/酢酸エチル(4:1:
5)を溶出液として用いるシリカゲルフラッシュカラム
クロマトグラフィーにより精製すると1.5g(20%)の表
題化合物が得られた。
プロトンNMRは構造と一致した。
実施例100 Nα−(N−Boc−2−アミノメチル)π−ベンジルオ
キシメチル−L−ヒスチジン(36) Nα−(N−Boc−2−アミノメチル)π−ベンジル
オキシメチル−L−ヒスチジン メチルエステル化合物
(35)(1.5gm,2.5mmol)のメタノール(100mL)溶液に
水酸化ナトリウム(0.8gm,20mmol)を加えた。混合物は
12時間放置し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エ
チル/メタノール(4:1)を溶出液として用いるシリカ
ゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製す
ると1.1g(75%)の表題化合物が得られた。
プロトンNMRは構造と一致した。MS−FABネガティブモ
ード、(計算値);実測値:(584.6);582.6。
実施例101 Nα−(N−Boc−2−アミノメチル)π−ベンジルオ
キシメチル−D−ヒスチジン(D−36) 実施例1−5に例示した方法に従い、Nα−Fmoc−π
−ベンジルオキシメチル−D−ヒスチジン(Sigma Che
mical Company,9.0gm,18.1mmol)から出発するとD異
性体が合成された。
プロトンNMRは構造と一致した。MS−FABネガティブモ
ード、(計算値);実測値:(584.6);582.1。
実施例102 2,6−ジアミノプリン含有PNAおよびDNA間の二重鎖の高
められた安定性 四つのPNAデカマー(H−GTAGATCACT−LysNH2、H−G
TAGDTCACT−LysNH2、H−GTDGDTCDCT−LysNH2およびH
−AGTGATCTAC−LysNH2;Dは2,6−ジアミノプリンであ
る)が上記の方法に従って合成された。PNAデカマーは
相補的DNAとハイブリダイズされ、PNA:DNA二重鎖の熱融
解プロフィールが測定され、対照DNA:DNA二重鎖およびD
NAがPNA中のD残基に対する単一のT→C不適正を含むP
NA:DNA二重鎖と比較された。結果は下記の表に示されて
いる。
2,6−ジアミノプリンの存在はPNAにおいてTmを4−5
℃上昇させ、一方、DNA:DNA二重鎖では3−4℃だけ上
昇させた。この相違は前者の二重鎖中の積み重ねの増加
を反映しているのであろう。PNA:PNAおよびDNA:DNA非修
飾ホモ二重鎖と、三つのD:T塩基対を有する二重鎖を比
較した場合にもこの傾向が観察され、各々12℃および1
0.5℃のTmの増加が生じた。DNA−1およびDNA−2に対
するPNA−3の結合を比較すると、一つのみの2,6−ジア
ミノプリン核塩基を含んでいるPNA:DNA二重鎖内へ一つ
のD:C不適正が導入された場合はTmの23.5℃の低下が観
察され、一方、2,6−ジアミノプリン核塩基を含んでい
ないPNA−2の場合は18℃のみのTmの低下が観察され
る。二重鎖の融解温度(Tm)の点からの特異性の増加
は、追加のD:T塩基対が導入された場合には観察されな
かった。この発見は、一つ以上の2,6−ジアミノプリン
核塩基を含んでいる二重鎖の高められた安定性を反映し
ており、より安定な二重鎖は二重鎖中の不適正−誘導構
造変化によりよく適応できることを示している。
実施例103 DNAへの2,6−ジアミノプリン含有PNAの結合 六つの2,6−ジアミノプリン核塩基を含んでいるPNAデ
カマーを相補的DNAとハイブリダイズさせた。この二重
鎖の熱安定性が決定され、DNAおよび2,6−ジアミノプリ
ン核塩基を欠くPNAデカマー間に形成された二重鎖の熱
安定性と比較された。Tmの結果は下記の表に示されてい
る。
PNA内への2,6−ジアミノプリン核塩基の取り込みはDN
Aおよび2,6−ジアミノプリン核塩基含有PNA間の熱安定
性(Tmで表されている)を、DNAおよび2,6−ジアミノプ
リン核塩基を欠くPNA間の二重鎖の熱安定性(Tm=71
℃)と比較して85℃に上昇させた。
当業者は本発明の好適な態様に対して多くの変更およ
び変形をなせること、およびそのような変更および変更
が本発明の精神から離れることなくなせることを理解す
るであろう。従って、付随する請求の範囲がすべてのそ
のような均等な変化を本発明の精神および範囲内にある
ように包摂していることが意図されている。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C12N 15/09 C12N 15/00 A (31)優先権主張番号 08/686,114 (32)優先日 平成8年7月24日(1996.7.24) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/686,113 (32)優先日 平成8年7月24日(1996.7.24) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/051,002 (32)優先日 平成9年5月29日(1997.5.29) (33)優先権主張国 米国(US) 前置審査 (73)特許権者 501291433 バルク,ロルフ・ホー デンマーク王国デーコー−2960 ルンゲ ステド・キュースト,ストランドヴェー ンゲト 6 (72)発明者 ブヒャルト,オレ デンマーク王国デーコー―3500 ヴェー ルロセ,ソンデルガルドスヴェイ 73 (72)発明者 ニールセン,ペーター・エー デンマーク王国デーコー―2980 コッケ ダル,イェルテヴァンゲト 509 (72)発明者 アイホルム,ミヒャエル アメリカ合衆国マサチューセッツ州 02173,レキシントン,レキシントン・ リッジ・ドライブ 1231 (72)発明者 バルク,ロルフ・ホー デンマーク王国デーコー―2960 ルンゲ ステド・キュースト,ストランドヴェー ンゲト 6 (56)参考文献 特表 平6−506945(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/44

Claims (26)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式: 【化1】 (式中、Lは、それぞれ独立して、天然に存在する核塩
    基または天然に存在しない核塩基であり; R7′は、それぞれ独立して、水素またはC1〜C8アミノア
    ルキルであり、但し、少なくとも一つのR7′はC1〜C8
    ミノアルキルであるという条件付きであり; Rhは、OH、NH2またはNHLysNH2であり; Riは、H、COOH3またはt−ブトキシカルボニルであ
    り;そして nは、1〜30の整数である) を有するペプチド核酸。
  2. 【請求項2】前記Lの少なくとも一つが、2,6−ジアミ
    ノプリン核塩基である、請求項1に記載のペプチド核
    酸。
  3. 【請求項3】少なくとも一つのR7′がC1〜C8アミノアル
    キルである、請求項1または請求項2に記載のペプチド
    核酸。
  4. 【請求項4】少なくとも一つのR7′がC3〜C6アミノアル
    キルである、請求項3に記載のペプチド核酸。
  5. 【請求項5】少なくとも一つのR7′がC4〜C5アミノアル
    キルである、請求項3に記載のペプチド核酸。
  6. 【請求項6】少なくとも一つのR7′がアミノブチルであ
    る、請求項3に記載のペプチド核酸。
  7. 【請求項7】基R7′の実質的に全部がアミノブチルであ
    る、請求項6に記載のペプチド核酸。
  8. 【請求項8】基R7′の全部がアミノブチルである、請求
    項6に記載のペプチド核酸。
  9. 【請求項9】少なくとも一つの置換基R7′が結合してい
    る炭素原子が、一方の立体異性体が他方の立体異性体よ
    り多く存在する立体異性を生じさせている、請求項1ま
    たは請求項2に記載のペプチド核酸。
  10. 【請求項10】他方より多く存在する立体異性体がR立
    体配置の異性体である、請求項9に記載のペプチド核
    酸。
  11. 【請求項11】基R7′の実質的に全部がアミノブチルで
    ある、請求項10に記載のペプチド核酸。
  12. 【請求項12】前記ペプチド核酸がアミノ酸から誘導さ
    れている、請求項1または請求項2に記載のペプチド核
    酸。
  13. 【請求項13】前記ペプチド核酸がD−リシンから誘導
    されている、請求項12に記載のペプチド核酸。
  14. 【請求項14】式: 【化2】 (式中、Lは、天然に存在する核塩基および天然に存在
    しない核塩基から成る群より選択され; R7′は、C1〜C8アミノアルキルであり; Eは、COOHまたはその活性化された若しくは保護された
    誘導体であり;そして Zは、NH2またはNHPgであり、ここにおいて、Pgはアミ
    ノ保護基である) を有する化合物。
  15. 【請求項15】前記Lの少なくとも一つが、2,6−ジア
    ミノプリン核塩基である、請求項14に記載の化合物。
  16. 【請求項16】前記R7′がC3〜C6アミノアルキルであ
    る、請求項14または請求項15に記載の化合物。
  17. 【請求項17】前記R7′がC4〜C5アミノアルキルであ
    る、請求項16に記載の化合物。
  18. 【請求項18】前記R7′がアミノブチルである、請求項
    17に記載の化合物。
  19. 【請求項19】前記Pgがt−ブトキシカルボニルであ
    る、請求項14または請求項15に記載の化合物
  20. 【請求項20】前記R7′基が結合している炭素原子が、
    一方の立体異性体が他方の立体異性体より多く存在する
    立体異性を生じさせている、請求項14または請求項15に
    記載の化合物。
  21. 【請求項21】他方より多く存在する立体異性体がR立
    体配置の異性体である、請求項20に記載の化合物。
  22. 【請求項22】前記R7′がアミノブチルである、請求項
    19に記載の化合物。
  23. 【請求項23】前記化合物がアミノ酸から誘導されてい
    る、請求項14または請求項15に記載の化合物。
  24. 【請求項24】前記化合物がD−リシンから誘導されて
    いる、請求項23に記載の化合物。
  25. 【請求項25】請求項1または請求項2に記載のペプチ
    ド核酸および少なくとも1種類の薬学的に許容しうる担
    体、結合剤、粘稠化剤、希釈剤、緩衝剤、保存剤または
    界面活性剤を含む医薬組成物。
  26. 【請求項26】該ペプチド核酸中へC1〜C8アミノアルキ
    ル側鎖を包含させることにより、ペプチド核酸のDNAま
    たはRNA配列特異性を増加させる方法であって、該アミ
    ノアルキル側鎖を有する該ペプチド核酸が、請求項1〜
    24までのそれぞれに記載のペプチド核酸である方法。
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