JP3305048B2 - 接着剤処理されたポリアミド繊維集合体 - Google Patents

接着剤処理されたポリアミド繊維集合体

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JP3305048B2
JP3305048B2 JP17767193A JP17767193A JP3305048B2 JP 3305048 B2 JP3305048 B2 JP 3305048B2 JP 17767193 A JP17767193 A JP 17767193A JP 17767193 A JP17767193 A JP 17767193A JP 3305048 B2 JP3305048 B2 JP 3305048B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレゾルシン/ホルマリン
/ラテッツス(RFLと略)で処理されたポリヘキサメ
チレンアジパミド繊維集合体であって、繊維成分の重量
分率が95%以上、その処理された繊維の見かけの繊度
当たりの強度が8.5g/d以上であって、かつ該繊維
集合体が特定の要素で規定される粘弾性特徴を有する高
強力、高耐疲労性ゴム補強用のコード材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド繊維は高強度で、タスネスも
高く、耐疲労性、耐衝撃性に優れているため、各種産業
用途、例えばタイヤコード、ベルト等のゴム補強用コー
ド、およびコンピューターリボン、シートベルト、縫
糸、魚網、各種カバーシート等に用いられている。最近
では、タイヤ内での強力が更に、高く、かつ疲労特性の
より改善されたポリアミド繊維材料の出現が望まれてい
る。多くの場合、原糸特性を改善する方向で種々の提案
がなされている。特許や学術論文で判断すると、1)ポ
リマーの重合度を上げる、2)高温でゾーン(非接触
型)延伸する、3)紡糸速度を落として後で、多段延伸
する、4)非水系油剤を用いる、5)吐出冷却固化した
糸条に140℃位で積極的にスチーミングし、結晶化を
促進されるなどがある。
【0003】具体例を挙げると、耐疲労性が改善された
ポリアミド繊維に関しては、特開昭58−174623
号公報、特開昭61−34216号公報に、力学的損失
(tanδ)のピーク温度が90℃以下であって、その
ピーク値が0.10以上0.14以下となる耐疲労性が
改善されたナイロン66繊維が開示されている。また、
特開平4−153311号公報には、固体NMR法によ
って測定される非晶相の割合が50%以上、非晶相と中
間相成分比が2以上、及び結晶相の縦緩和時間が50秒
以上となる高耐疲労性高強力ポリヘキサメチレンアジパ
ミド繊維が開示されているが、いずれも原糸特性を規定
したものである。
【0004】しかしながら、周知のようにゴム補強用繊
維材料は、必ず、RFL処理が施され、かつその処理は
高温、高張力下で行われるため、RFLと一体となった
繊維集合体の微細構造変化、マクロな集合密度変化が著
しくて、場合に依っては、繊維高分子の重合度変化を伴
うこともあり、原糸特性の改善がかならずしも、最終特
性など、例えば、加硫後強力保持率、耐疲労特性の改善
につながらないのが通例である。
【0005】従って、最終製品の特性を知る上に重要な
ことは、より最終段階に近い、即ちゴム補強用コード材
料にあっては、接着処理された繊維集合体の特性に視点
を当てる必要がある。従来この観点からの直接的記載は
見当らない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】タイヤコードなどのゴ
ム補強用に適した、つまり、マトリックスのゴム中で高
強力で、しかも耐疲労性の良い接着処理されたポリアミ
ド繊維集合体を提供するのが本発明の目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために、原糸特性と接着処理条件の組み合わ
せによる処理繊維集合体の構造変化や、その処理繊維集
合体として高強力、高耐疲労性を発現する基本構造に検
討を加え、本発明を完成するに至った。
【0008】本発明のレゾルシン/ホルマリン/ラテッ
ツス(RFLと略)で処理されたポリヘキサメチレンア
ジパミド繊維集合体は、繊維部分の重量分率が95%以
上で、繊度当たりの見かけの強度が8.5g/d以上、
かつその処理された繊維の粘弾性的性質が以下を満足す
ることを特徴とする。 Tmax≦125℃ ・・・(1) αah≧0.850 ・・・(2) Δ(αa)1/2≦78℃・・・(3) Δ(β)1/2≦73℃ ・・・(4)βh/αah≦0.7 ・・・(5)
【0009】〔但し、力学的損失正接(tanδ)−温
度(T)曲線における主分散(αa)のピークを与える
温度をTmaxとし、αa分散のピーク高さ(tanδ
値)をαahとし、及びβ、γの2種の副分散帯での最
大のピーク高さをβh、γhとする。〕
【0010】かかる構造要件を満たした接着処理された
ポリヘキサメチレンアジパミド繊維集合体は、ゴム中に
配され加硫した後での強度保持率は95%以上、また通
常タイヤコード用の疲労試験として広く利用されるグッ
ドイヤーチューブ疲労試験で1000分を越えるチュー
ブ破壊時間を示す。
【0011】かかる構造要件を満足しない場合は、上述
の強度保持率は急激に低下する。更に、処理された繊維
集合体の見かけ繊度当たりの強度が8.5g/d以上で
あれば、繊維のエンズ数を減少させることが可能であ
り、繊維補強されたゴム資材全体の重量減もはかり得
る。
【0012】(1) RFL処理された繊維集合体の粘弾
性的性質のうち、従来、最も耐疲労性を左右すると考え
られている、Tmaxは125℃を越えると、無定型部
分の熱運動性が低下し、耐疲労性を阻害する。Tmax
は125℃以下が望ましく、Tmaxの好ましい範囲は
122℃以下である。
【0013】(2) また、その温度でのtanδmax
値、つまりαahも0.085以下になると、熱運動可
能な分子鎖分率の低下により、急激な耐疲労性悪化につ
ながる。αahは0.085以上が望ましく、αahの
好ましい範囲は0.88である。
【0014】(3) また、αa分散ピークの半値幅Δ
(αa)1/2 が78℃を越えると、熱運動性の低い領域
の分子鎖の相対的量が増えるために、耐疲労性を阻害す
る。半値幅Δ(αa)1/2 は78℃以下が望ましく、半
値幅Δ(αa)1/2 の好ましい範囲は76℃以下であ
る。
【0015】本発明者らは、更に、通常、ゴム用繊維補
強材料は最終製品の運転、または走行中では常に発熱系
にあるため、摂氏0℃以下でのβ分散を与える無定型分
子鎖側鎖の凝集部は、常温では常に運動している状態で
あるため、ゴム補強用繊維集合体の耐疲労性には影響は
ないと考えられていたが、β分散についても耐疲労性を
左右する事実を発見した。
【0016】(4) また、β分散の半値幅Δ(β)
1/2は73℃を越えると、耐疲労性は低下する。 (5) β分散ピークが大きいと耐疲労性が低下し、β
h/αahが0.7を越えると、疲労性は低下する。
【0017】これらの科学的根拠は現在のところ不明で
あるが、β分散はエチレン鎖のコンフォーメーションに
も関与している凝集構造とも考えられるので、この部分
の分子鎖でより凝集構造が大きい部分は、潜在的な結晶
化促進性を示す可能性があるためと考えられる。
【0018】ここで、本発明に規定する構造因子の測定
法および定義を示す。また、図1には、tanδ−温度
(T)曲線のモデル図を示す: tanδ−温度(T)曲線の測定法:オリエンテッ
ク社製DDV−01FPレオバイブロンを使用し、糸長
2cm、初期荷重0.170g/dの条件下、35HZ
で接着処理された単糸(見かけ繊度:6d)1本につい
て測定した値で、次に示す構造因子は単糸10本につい
て測定した値の平均値である。
【0019】 構造因子の定義:(各分散の位置は図
1にαa、αb、β、γと記載してある。) Tmax:図1のαa分散で最大のtanδ値を与える
温度(通常、数個のピークを与える場合もある)であ
る。 αah:αa分散帯で最大のtanδ値である。 Δ(αa)1/2 :αahの絶対値の1/2に相当する位
置で、温度軸に平行線を引き、この直線とαa分散帯を
示すtanδ−T曲線との2交点間の温度差である。
【0020】Δ(β)1/2 :βhの絶対値の1/2に相
当する位置で、温度軸に平行線を引き、この直線とβ分
散帯を示すtanδ−T曲線との2交点間の温度差であ
る。 βh:β分散帯で最大のtanδ値である。 γh:γ分散帯で最大のtanδ値である。
【0021】かかる本発明のRFL処理されたポリヘキ
サメチレンアジパミド繊維集合体に用いる繊維原料は、
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの縮合反応によっ
て得られるが、通常用いられる添加剤例えば、リン酸、
次亜リン酸ソーダ等の無機リン化合物;フェニルホスホ
ン酸、トリフェニルフォスファイト等の有機リン化合
物;リン−窒素系錯塩、リン−窒素系化合物等の重合触
媒;酢酸銅、臭化銅、ヨウ化銅、2−メルカプトベンズ
イミダゾール銅錯塩等の銅化合物;
【0022】2−メルカプトベンズイミダゾール、テト
ラキス−〔メチレン−3−(3,5ジt−ブチル−4−
ヒドロキシルフェニル)−プロピオネート〕−メタン等
の熱安定剤;乳酸マンガン、次亜リン酸マンガン等の光
安定剤;二酸化チタン、カオリン等の艶消剤;環状フェ
ノール類、エチレンビスステアリルアミド、同部分のメ
チロール化物、ステアリン酸カルシウムなどの滑剤、可
塑剤、結晶化阻害剤を含ませることができる。
【0023】本発明の接着処理された繊維集合体を得る
ために、いわゆる原糸に要求される構造要件の1つは、
先に定義したαahが接着処理されたポリアミド繊維集
合体より大きいことである。これは、接着処理に際する
物理的、化学的外力に対し、構造的に追従できる余地の
あることを示している。
【0024】これは一見当然のことのようで有るが、原
糸が構造的追従性に欠ける場合、接着処理における緊張
操作で、αahは不変か、構造破壊を伴って増加する場
合もある。原糸段階でも、過度の延伸操作で強度は高く
できても、急激に構造破壊を生起する点があるので、ポ
リマースペックに応じた強度設計が必要である。延伸倍
率を関数として構造破壊を開始する延伸点は、バイブロ
ン測定やX線小角散乱測定から決定でき、構造破壊を起
こす延伸倍率の90%以内の延伸倍率で紡糸されること
が望ましい。構造破壊を既に起こしている原糸は、次の
接着工程でいかなる方法をとっても、耐疲労性は補償さ
れない。延伸倍率がその90%以内であれば、通常のR
FL接着処理条件で耐疲労性を高度に維持できる条件設
定が比較的容易に達成される。
【0025】構造破壊を起こす延伸倍率は、延伸倍率の
異なる、すなわち繊維強度の異なる延伸糸を20℃、6
5%の一定温調下に24時間以上放置した後、上記ta
nδ−T測定条件で測定した時のβhと延伸倍率、もし
くは繊維強度との関係より容易に決定できる。図2にβ
hと延伸倍率の関係、及び構造破壊を開始する延伸点を
示す。なお、構造破壊開始点は延伸倍率、繊維強度のい
ずれでも表現できる。
【0026】一方、原糸の重合度は限定的でなく、数平
均重合度で100以上あれば十分である。むしろ、好ま
しいのは、原糸の末端基のバランス上、原糸が水に濡れ
た場合に酸性を示す度合いが少ないことである。つま
り、原糸中の塩基濃度を相対的に高くするのが好まし
い。
【0027】それを達成する方法としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等の塩基性無機化合物;ピリジ
ン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン
−7等の塩基性有機化合物;および酢酸ナトリウム、ア
ジピン酸ナトリウム等の有機金属塩を重合過程で直接ポ
リマーに添加する方法、または繊維形成後仕上げ剤等に
溶解して添加することにより達成される。
【0028】また、ポリヘキサメチレンアジパミド等の
ジアミン、ジカルボン酸の縮合物からなるポリアミド繊
維の場合は、ジアミン成分をジカルボン酸成分対比で多
く添加することもでも達成される。この際、一般的にヘ
キサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンの蒸気圧は低
いためアミド化反応で飛散するため、この飛散した脂肪
族ジアミンを一端回収し、リサイクルすることで効率的
な生産が可能となる。また、後述するようにRFL処理
が基本的にアルカリ処理であるので、この工程で適性物
質を添加し、酸性末端基の多い原糸でも適宜調整でき
る。
【0029】このような原糸繊維集合体は撚糸した後、
スダレ織り工程、RFL/アルカリ系懸濁液への緊張浸
漬工程、予備乾燥、高温緊張キュアリング工程、リラッ
クス工程を通り、基本的には、ある温度で湿潤条件下に
緊張/リラックスされる。図3に接着処理工程の概略を
示す:
【0030】図3において、aは撚糸(スダレ織物)、
bは浸漬浴、cはスクイーズロール、dはワイパー、e
は蒸気乾燥ゾーン(ZlA)、fは予備乾燥ゾーン(Z
lB)、g1〜g4はテンションローラ、hはキュアー
リングゾーン(Z2)、iはキュアーリングゾーン(Z
3)、jは空気冷却ゾーン(Z4)を示す。
【0031】この間、繊維集合体は、基本的には以下の
ような構造変化を起こす: 単糸間が接着剤で固定されることに基づく繊維集合
体のマクロなフレキシビリティーの低下、 水分またはアルカリの繊維単糸内部への浸透に基づ
く原糸の無定型領域の凝集構造の変化、 繊維単糸表層部へのラテックスの浸透に基づく、表
層、中層部の構造格差、
【0032】 緊張下での処理に依る無定型部の分子
鎖配向の増大、 高温処理後期におけるリラックス処理による配向緩
和、 ポリアミドのような重縮合反応系では、高温処理時
の重合度増加または低下、 高温処理による熱酸化に基づく劣化など。
【0033】このうち、、の微細構造などの変化は
ゴム補強材料などのように、常に、発熱下で、圧縮、伸
張変形を繰り返し受ける場合には、疲労性において明ら
かにマイナス要因である。
【0034】の微細構造などの変化は単なる水分また
はアルカリの浸透による無定型部の分子鎖の再配列化を
促進し、無定型部の分子鎖の凝集構造をより緻密にする
か、逆に、結晶部/無定型界面を乱すことに起因して、
より粗な凝集構造にするかは、処理条件に依って変化す
る。後者の場合は、続くストレッチ工程で、凝集構造の
不均一性を助長するため、疲労性においてマイナス効果
をもたらすと推定される。
【0035】の微細構造などの変化はの微細構造な
どの変化とも相関するが、一般的には、疲労性において
マイナス面をもつが、結果として、構成繊維集合体のα
a分散ピークを与える温度が125℃以下なら、かえっ
て好ましいと考えられる。の微細構造などの変化にお
いて、高重合度化の場合は酸性末端基の絶対数の低下の
点では望ましいが、一定発熱条件下では相対的に分子の
流動性は低下し、繰り返し変形下で、相対的に分子配向
を促進し、疲労性の点でマイナスの効果を生じる可能性
が有り得る。
【0036】の微細構造などの変化はプラス効果を発
現し得る要素である。つまり、接着処理されたポリアミ
ド繊維集合体の基本構造は処理条件で決定されるもので
あり、上記の〜の微細構造などの変化におけるマイ
ナス面を避け、かつプラス面を増大する条件設定で、強
度保持率、耐疲労性向上を図り得る。単に、原糸段階で
最高の構造、物性を示すものを提供するだけでは意味が
ないといっても過言ではない。
【0037】本発明の構成要件の1つである、接着処理
された繊維構造体中の繊維成分の重量分率が95wt%
以上、逆説的に、接着剤分率が5wt%以下であること
は、上記およびの変化の欠点を除去するための必要
要件である。これは、TFL成分の濃度を低下させ、予
め原糸集合体への油剤付与率を高めて、緊張浸漬処理す
るか、或いは浸漬処理後緊張するなどの簡単な方法で実
現可能である。
【0038】の微細構造などの変化において、分子の
絶対配向性増加は避けられないが、過度の分子配向はス
トレッチ、処理温度を調整すれば、例えば、原糸のもつ
αahの90%以上の保持率で本発明の範囲内に収めら
れる。ストレッチ条件、処理温度条件はの微細構造な
どの変化を規制するが、特に処理温度が高いと重合度は
増大する傾向を示す。他方、処理温度が高いと、繊維と
ゴムの接着強力が一般的に高くなるので、、の微細
構造などの変化に対して不利になる。
【0039】この観点からは、キュアーリングゾーンZ
2、Z3の温度は210℃〜240℃が適当である。R
FL処理された繊維集合体に要求される構造パラメータ
ーは接着処理の関数と考えても、互いに独立では有り得
ないが、各構造パラメーターに特に影響を与える処理条
件について述べる。
【0040】処理コードのαa分散帯のTmaxをTm
ax≦125℃にするためには、テンションローラg1
での張力は1.5g/d以下、テンションローラg2で
の張力は2.0g/d以下、張力比g3/g2は0.5
〜0.9であり、全体のストレッチは7%以下であるこ
とが望ましい。αah≧0.0850を達成するのは、
基本的には、原糸のαahをできるだけ保持することを
意味しているので、全ストレッチを低めにする方が良
い。
【0041】Δ(αa)1/2 ≦78℃を実現するために
は、原糸製造段階でポリマー中の塩基濃度を高く設定さ
れたものに対しては、接着剤浸漬工程での浴温度に対し
て特に制限はないが、ポリマー中の塩基濃度が酸濃度よ
り低い場合、接着剤浸漬工程での浴温度は40℃以上で
ある。さらに、テンションローラg1での張力が1.5
g/d以下で、且つテンションローラg2での張力が
1.5g/d以下であることが好ましい。
【0042】Δ(β)1/2 ≦73℃、βh/αah≦
0.7の条件の達成は、キュアーリングゾーンZ2、Z
3でキュアーリングする際に、繊維内部に存在する水分
の影響が大きく、水分が少ない程要求値範囲をクリアー
する傾向にある。その意味で、予備乾燥をしっかりする
こと、接着剤浴通過時の張力を増加させること、原糸撚
糸に多めの油剤をつける等の方法がある。
【0043】なお、ここでいう張力とは生コード1デニ
ール当たりの荷重である。一方、の酸化劣化は、特
に、接着処理前後での強力保持性には余り影響を受けな
い傾向にあるが、系内にラジカル活性点が存在すると、
次の圧縮伸張運動時、可動性ラジカルが強度低下の出発
点となる可能性がある。これは、本質的にはラジカルス
キャベェンジャーをポリマーに添加するか、接着剤処理
時に該成分を添加し、処理することにより防止可能であ
る。また、ゴム中に配置された繊維凝集体といえども、
極めて僅かでも水分は存在するので、酸性を示す成分
は、原糸構造のところで説明したように、耐疲労性の点
では少ないに越したことはない。
【0044】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳細に説明す
るが、これに限定されるものではない。 (実施例1−6及び比較例1−7) 酸塩基滴定法により定量されるポリアミド1kg当たり
の塩基濃度と酸塩基滴定法により定量されるポリアミド
1kg当たりの酸濃度の差が、下記表1〜2に示す値に
なるように、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の成
分比をコントロールし、常法の重合方法にて90%蟻酸
相対粘度(以降VRと称す)80のポリヘキサメチレン
アジパミドポリマーを得た。
【0045】ここでいう90%蟻酸相対粘度とは、90
%蟻酸にポリマー濃度8.4重量%となるように溶解せ
しめた溶液の25℃における相対粘度である。次に、本
実施例で使用したポリヘキサメチレンアジパミドポリマ
ーの酸・塩基濃度の測定法を示す。
【0046】(塩基濃度の定量法)ポリマー6gを少数
点下3桁まで正確に秤量し、これを90%フェノール水
溶液50ccに溶解する。完全溶解後0.05N−塩酸
水溶液でpH3まで滴定する。この時の0.05N−塩
酸水溶液滴下量を記録し、以下の計算式にてポリマー1
kg当たりの塩基濃度を算出する。
【0047】
【数1】 A:滴定に要した0.05N−塩酸水溶液量(ml) F:0.05N−塩酸水溶液のファクター B:ポリマー重量(g)
【0048】(酸濃度の定量法)ポリマー4gを少数点
下3桁まで正確に秤量し、これを170℃のベンジルア
ルコール50ccに溶解する。完全溶解後、ベンジルア
ルコール1リットル、フェノールフタレイン5g、酢酸
銅0.5g、二酸化チタン12gから調整された指示薬
を0.3ml添加する。その後0.1N−NaOHエチ
レングリコール溶液を滴下し、液色が紅色を呈した時点
を終点とする。この時の0.1N−NaOHエチレング
リコール溶液滴下量を記録し、以下の計算式にてポリマ
ー1kg当たりの酸濃度を算出する。
【0049】
【数2】 A:滴定に要した0.1N−NaOHエチレングリコー
ル溶液(ml) F:0.1N−NaOHエチレングリコール溶液のファ
クター B:ポリマー重量(g)
【0050】(コード材料の製造) 上記ポリマーを特開昭59−199812号公報に開示
されているような従来の方法で紡糸、延伸し、ポリヘキ
サメチレンアジパミド繊維を得た。次に原糸1本ずつに
撚数39回/10cmの下撚を施し、次いで下撚2本ず
つに撚数39回/10cmの上撚を施し生コードを作っ
た。この生コードを接着処理工程に沿ってレゾルシン−
ホルムアルデヒド−ラテックス液の処理を施した。この
時の処理条件、得られた処理コードの物性、及びtan
δ−Tの解析結果を表1〜2に示す。
【0051】なお、ここで言う処理コード物性とは、島
津製作所S−100Cを用い、25cmの処理コードに
対して降下速度30cm/分で測定した値である。この
処理コードを155℃×40分の加硫条件で加硫し、グ
ッドイヤーチューブ疲労試験に沿って耐疲労性試験を行
った。
【0052】<グッドイヤーチューブ疲労試験>ここで
いうグッドイヤーチューブ疲労試験は以下の如くであ
る。 JISL−10173.2.2.1Aに準ずる方法 チューブ形状: 内径 12.5mm 外径 25mm 長さ 231mm 曲げ角度 :90度 内 圧 :3.5kgf/cm2 回転数 :850rpm 表1〜2にグッドイヤー法チューブ疲労試験結果を示
す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】tanδ−Tの解析におけるαa分散のT
max≦125℃、Δ(αa)1/2≦78℃、αah
≧0.0850、Δ(β)1/2≦73℃、βh/αa
h≦0.7であり、且つ繊維強度がtanδ−Tの解析
で求めた構造破壊が開始する強度の90%以下のものは
耐疲労性が大きく改善されている。
【0056】
【発明の効果】本発明のレゾルシン/ホルマリン/ラテ
ックス処理されたポリヘキサメチレンアジパミド繊維集
合体は、耐疲労性が大きく改善されているので、タイヤ
コード、ベルト等のゴム補強用コード等の産業用資材に
用いたとき、耐久性の優れた製品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】処理されたポリアミド繊維集合体のtanδ−
温度(T)曲線のモデル図を示す。
【図2】処理されたポリアミド繊維集合体において、β
hと延伸倍率の関係、及び構造破壊を開始する延伸点を
示す。
【図3】接着処理工程の概略を示すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
a 撚糸(スダレ織物) b 浸漬浴 c スクイーズロール d ワイパー e 蒸気乾燥ゾーン(ZlA) f 予備乾燥ゾーン(ZlB) g1〜g4 各テンションローラ h キュアーリングゾーン(Z2) i キュアーリングゾーン(Z3) j 空気冷却ゾーン(Z4)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レゾルシン/ホルマリン/ラテッツスで
    処理されたポリヘキサメチレンアジパミド繊維集合体に
    おいて、繊維の重量分率が95%以上で、その処理され
    た繊維の見かけの繊度当たりの強度が8.5g/d以上
    であり、かつ、粘弾性的性質が以下を満足することを特
    徴とする、ゴム補強用のコード材料。 αa分散のTmax≦125℃ ・・・(1) Δ(αa)1/2≦78℃ ・・・(2) αah≧0.850 ・・・(3) Δ(β)1/2≦73℃ ・・・(4)βh/αah≦0.7 ・・・(5) 〔たゞし、力学的損失正接(tanδ)−温度(T)曲
    線における主分散(αa)ピークを与える温度をTma
    xとし、αa分散のピーク高さ(tanδmax値)を
    αahとし、及びβ、γの2種類の副分散帯での最大の
    ピーク高さをβh、γhとする。また、本文記載の定義
    に従った各ピークの半値幅をそれぞれΔ(α
    a)1/2、Δ(β)1/2、Δ(γ)1/2とす
    る。〕
  2. 【請求項2】 請求項1記載の処理されたポリヘキサメ
    チレンアジパミド繊維集合体を形成する、ポリヘキサメ
    チレンアジパミド繊維の原糸集合体がその紡糸製造段階
    で、延伸倍率を関数として急激に構造破壊を生起する延
    伸点での倍率の90%以内で延伸製造されていることを
    特徴とする、請求項1記載の処理された繊維集合体。
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