JP3305048B2 - 接着剤処理されたポリアミド繊維集合体 - Google Patents

接着剤処理されたポリアミド繊維集合体

Info

Publication number
JP3305048B2
JP3305048B2 JP17767193A JP17767193A JP3305048B2 JP 3305048 B2 JP3305048 B2 JP 3305048B2 JP 17767193 A JP17767193 A JP 17767193A JP 17767193 A JP17767193 A JP 17767193A JP 3305048 B2 JP3305048 B2 JP 3305048B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
dispersion
treated
αah
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP17767193A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0711011A (ja
Inventor
正博 友清
邦彦 岡島
康博 四釜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP17767193A priority Critical patent/JP3305048B2/ja
Publication of JPH0711011A publication Critical patent/JPH0711011A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3305048B2 publication Critical patent/JP3305048B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Tyre Moulding (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレゾルシン/ホルマリン
/ラテッツス(RFLと略)で処理されたポリヘキサメ
チレンアジパミド繊維集合体であって、繊維成分の重量
分率が95%以上、その処理された繊維の見かけの繊度
当たりの強度が8.5g/d以上であって、かつ該繊維
集合体が特定の要素で規定される粘弾性特徴を有する高
強力、高耐疲労性ゴム補強用のコード材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド繊維は高強度で、タスネスも
高く、耐疲労性、耐衝撃性に優れているため、各種産業
用途、例えばタイヤコード、ベルト等のゴム補強用コー
ド、およびコンピューターリボン、シートベルト、縫
糸、魚網、各種カバーシート等に用いられている。最近
では、タイヤ内での強力が更に、高く、かつ疲労特性の
より改善されたポリアミド繊維材料の出現が望まれてい
る。多くの場合、原糸特性を改善する方向で種々の提案
がなされている。特許や学術論文で判断すると、1)ポ
リマーの重合度を上げる、2)高温でゾーン(非接触
型)延伸する、3)紡糸速度を落として後で、多段延伸
する、4)非水系油剤を用いる、5)吐出冷却固化した
糸条に140℃位で積極的にスチーミングし、結晶化を
促進されるなどがある。
【0003】具体例を挙げると、耐疲労性が改善された
ポリアミド繊維に関しては、特開昭58−174623
号公報、特開昭61−34216号公報に、力学的損失
(tanδ)のピーク温度が90℃以下であって、その
ピーク値が0.10以上0.14以下となる耐疲労性が
改善されたナイロン66繊維が開示されている。また、
特開平4−153311号公報には、固体NMR法によ
って測定される非晶相の割合が50%以上、非晶相と中
間相成分比が2以上、及び結晶相の縦緩和時間が50秒
以上となる高耐疲労性高強力ポリヘキサメチレンアジパ
ミド繊維が開示されているが、いずれも原糸特性を規定
したものである。
【0004】しかしながら、周知のようにゴム補強用繊
維材料は、必ず、RFL処理が施され、かつその処理は
高温、高張力下で行われるため、RFLと一体となった
繊維集合体の微細構造変化、マクロな集合密度変化が著
しくて、場合に依っては、繊維高分子の重合度変化を伴
うこともあり、原糸特性の改善がかならずしも、最終特
性など、例えば、加硫後強力保持率、耐疲労特性の改善
につながらないのが通例である。
【0005】従って、最終製品の特性を知る上に重要な
ことは、より最終段階に近い、即ちゴム補強用コード材
料にあっては、接着処理された繊維集合体の特性に視点
を当てる必要がある。従来この観点からの直接的記載は
見当らない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】タイヤコードなどのゴ
ム補強用に適した、つまり、マトリックスのゴム中で高
強力で、しかも耐疲労性の良い接着処理されたポリアミ
ド繊維集合体を提供するのが本発明の目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために、原糸特性と接着処理条件の組み合わ
せによる処理繊維集合体の構造変化や、その処理繊維集
合体として高強力、高耐疲労性を発現する基本構造に検
討を加え、本発明を完成するに至った。
【0008】本発明のレゾルシン/ホルマリン/ラテッ
ツス(RFLと略)で処理されたポリヘキサメチレンア
ジパミド繊維集合体は、繊維部分の重量分率が95%以
上で、繊度当たりの見かけの強度が8.5g/d以上、
かつその処理された繊維の粘弾性的性質が以下を満足す
ることを特徴とする。 Tmax≦125℃ ・・・(1) αah≧0.850 ・・・(2) Δ(αa)1/2≦78℃・・・(3) Δ(β)1/2≦73℃ ・・・(4)βh/αah≦0.7 ・・・(5)
【0009】〔但し、力学的損失正接(tanδ)−温
度(T)曲線における主分散(αa)のピークを与える
温度をTmaxとし、αa分散のピーク高さ(tanδ
値)をαahとし、及びβ、γの2種の副分散帯での最
大のピーク高さをβh、γhとする。〕
【0010】かかる構造要件を満たした接着処理された
ポリヘキサメチレンアジパミド繊維集合体は、ゴム中に
配され加硫した後での強度保持率は95%以上、また通
常タイヤコード用の疲労試験として広く利用されるグッ
ドイヤーチューブ疲労試験で1000分を越えるチュー
ブ破壊時間を示す。
【0011】かかる構造要件を満足しない場合は、上述
の強度保持率は急激に低下する。更に、処理された繊維
集合体の見かけ繊度当たりの強度が8.5g/d以上で
あれば、繊維のエンズ数を減少させることが可能であ
り、繊維補強されたゴム資材全体の重量減もはかり得
る。
【0012】(1) RFL処理された繊維集合体の粘弾
性的性質のうち、従来、最も耐疲労性を左右すると考え
られている、Tmaxは125℃を越えると、無定型部
分の熱運動性が低下し、耐疲労性を阻害する。Tmax
は125℃以下が望ましく、Tmaxの好ましい範囲は
122℃以下である。
【0013】(2) また、その温度でのtanδmax
値、つまりαahも0.085以下になると、熱運動可
能な分子鎖分率の低下により、急激な耐疲労性悪化につ
ながる。αahは0.085以上が望ましく、αahの
好ましい範囲は0.88である。
【0014】(3) また、αa分散ピークの半値幅Δ
(αa)1/2 が78℃を越えると、熱運動性の低い領域
の分子鎖の相対的量が増えるために、耐疲労性を阻害す
る。半値幅Δ(αa)1/2 は78℃以下が望ましく、半
値幅Δ(αa)1/2 の好ましい範囲は76℃以下であ
る。
【0015】本発明者らは、更に、通常、ゴム用繊維補
強材料は最終製品の運転、または走行中では常に発熱系
にあるため、摂氏0℃以下でのβ分散を与える無定型分
子鎖側鎖の凝集部は、常温では常に運動している状態で
あるため、ゴム補強用繊維集合体の耐疲労性には影響は
ないと考えられていたが、β分散についても耐疲労性を
左右する事実を発見した。
【0016】(4) また、β分散の半値幅Δ(β)
1/2は73℃を越えると、耐疲労性は低下する。 (5) β分散ピークが大きいと耐疲労性が低下し、β
h/αahが0.7を越えると、疲労性は低下する。
【0017】これらの科学的根拠は現在のところ不明で
あるが、β分散はエチレン鎖のコンフォーメーションに
も関与している凝集構造とも考えられるので、この部分
の分子鎖でより凝集構造が大きい部分は、潜在的な結晶
化促進性を示す可能性があるためと考えられる。
【0018】ここで、本発明に規定する構造因子の測定
法および定義を示す。また、図1には、tanδ−温度
(T)曲線のモデル図を示す: tanδ−温度(T)曲線の測定法:オリエンテッ
ク社製DDV−01FPレオバイブロンを使用し、糸長
2cm、初期荷重0.170g/dの条件下、35HZ
で接着処理された単糸(見かけ繊度:6d)1本につい
て測定した値で、次に示す構造因子は単糸10本につい
て測定した値の平均値である。
【0019】 構造因子の定義:(各分散の位置は図
1にαa、αb、β、γと記載してある。) Tmax:図1のαa分散で最大のtanδ値を与える
温度(通常、数個のピークを与える場合もある)であ
る。 αah:αa分散帯で最大のtanδ値である。 Δ(αa)1/2 :αahの絶対値の1/2に相当する位
置で、温度軸に平行線を引き、この直線とαa分散帯を
示すtanδ−T曲線との2交点間の温度差である。
【0020】Δ(β)1/2 :βhの絶対値の1/2に相
当する位置で、温度軸に平行線を引き、この直線とβ分
散帯を示すtanδ−T曲線との2交点間の温度差であ
る。 βh:β分散帯で最大のtanδ値である。 γh:γ分散帯で最大のtanδ値である。
【0021】かかる本発明のRFL処理されたポリヘキ
サメチレンアジパミド繊維集合体に用いる繊維原料は、
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの縮合反応によっ
て得られるが、通常用いられる添加剤例えば、リン酸、
次亜リン酸ソーダ等の無機リン化合物;フェニルホスホ
ン酸、トリフェニルフォスファイト等の有機リン化合
物;リン−窒素系錯塩、リン−窒素系化合物等の重合触
媒;酢酸銅、臭化銅、ヨウ化銅、2−メルカプトベンズ
イミダゾール銅錯塩等の銅化合物;
【0022】2−メルカプトベンズイミダゾール、テト
ラキス−〔メチレン−3−(3,5ジt−ブチル−4−
ヒドロキシルフェニル)−プロピオネート〕−メタン等
の熱安定剤;乳酸マンガン、次亜リン酸マンガン等の光
安定剤;二酸化チタン、カオリン等の艶消剤;環状フェ
ノール類、エチレンビスステアリルアミド、同部分のメ
チロール化物、ステアリン酸カルシウムなどの滑剤、可
塑剤、結晶化阻害剤を含ませることができる。
【0023】本発明の接着処理された繊維集合体を得る
ために、いわゆる原糸に要求される構造要件の1つは、
先に定義したαahが接着処理されたポリアミド繊維集
合体より大きいことである。これは、接着処理に際する
物理的、化学的外力に対し、構造的に追従できる余地の
あることを示している。
【0024】これは一見当然のことのようで有るが、原
糸が構造的追従性に欠ける場合、接着処理における緊張
操作で、αahは不変か、構造破壊を伴って増加する場
合もある。原糸段階でも、過度の延伸操作で強度は高く
できても、急激に構造破壊を生起する点があるので、ポ
リマースペックに応じた強度設計が必要である。延伸倍
率を関数として構造破壊を開始する延伸点は、バイブロ
ン測定やX線小角散乱測定から決定でき、構造破壊を起
こす延伸倍率の90%以内の延伸倍率で紡糸されること
が望ましい。構造破壊を既に起こしている原糸は、次の
接着工程でいかなる方法をとっても、耐疲労性は補償さ
れない。延伸倍率がその90%以内であれば、通常のR
FL接着処理条件で耐疲労性を高度に維持できる条件設
定が比較的容易に達成される。
【0025】構造破壊を起こす延伸倍率は、延伸倍率の
異なる、すなわち繊維強度の異なる延伸糸を20℃、6
5%の一定温調下に24時間以上放置した後、上記ta
nδ−T測定条件で測定した時のβhと延伸倍率、もし
くは繊維強度との関係より容易に決定できる。図2にβ
hと延伸倍率の関係、及び構造破壊を開始する延伸点を
示す。なお、構造破壊開始点は延伸倍率、繊維強度のい
ずれでも表現できる。
【0026】一方、原糸の重合度は限定的でなく、数平
均重合度で100以上あれば十分である。むしろ、好ま
しいのは、原糸の末端基のバランス上、原糸が水に濡れ
た場合に酸性を示す度合いが少ないことである。つま
り、原糸中の塩基濃度を相対的に高くするのが好まし
い。
【0027】それを達成する方法としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等の塩基性無機化合物;ピリジ
ン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン
−7等の塩基性有機化合物;および酢酸ナトリウム、ア
ジピン酸ナトリウム等の有機金属塩を重合過程で直接ポ
リマーに添加する方法、または繊維形成後仕上げ剤等に
溶解して添加することにより達成される。
【0028】また、ポリヘキサメチレンアジパミド等の
ジアミン、ジカルボン酸の縮合物からなるポリアミド繊
維の場合は、ジアミン成分をジカルボン酸成分対比で多
く添加することもでも達成される。この際、一般的にヘ
キサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンの蒸気圧は低
いためアミド化反応で飛散するため、この飛散した脂肪
族ジアミンを一端回収し、リサイクルすることで効率的
な生産が可能となる。また、後述するようにRFL処理
が基本的にアルカリ処理であるので、この工程で適性物
質を添加し、酸性末端基の多い原糸でも適宜調整でき
る。
【0029】このような原糸繊維集合体は撚糸した後、
スダレ織り工程、RFL/アルカリ系懸濁液への緊張浸
漬工程、予備乾燥、高温緊張キュアリング工程、リラッ
クス工程を通り、基本的には、ある温度で湿潤条件下に
緊張/リラックスされる。図3に接着処理工程の概略を
示す:
【0030】図3において、aは撚糸(スダレ織物)、
bは浸漬浴、cはスクイーズロール、dはワイパー、e
は蒸気乾燥ゾーン(ZlA)、fは予備乾燥ゾーン(Z
lB)、g1〜g4はテンションローラ、hはキュアー
リングゾーン(Z2)、iはキュアーリングゾーン(Z
3)、jは空気冷却ゾーン(Z4)を示す。
【0031】この間、繊維集合体は、基本的には以下の
ような構造変化を起こす: 単糸間が接着剤で固定されることに基づく繊維集合
体のマクロなフレキシビリティーの低下、 水分またはアルカリの繊維単糸内部への浸透に基づ
く原糸の無定型領域の凝集構造の変化、 繊維単糸表層部へのラテックスの浸透に基づく、表
層、中層部の構造格差、
【0032】 緊張下での処理に依る無定型部の分子
鎖配向の増大、 高温処理後期におけるリラックス処理による配向緩
和、 ポリアミドのような重縮合反応系では、高温処理時
の重合度増加または低下、 高温処理による熱酸化に基づく劣化など。
【0033】このうち、、の微細構造などの変化は
ゴム補強材料などのように、常に、発熱下で、圧縮、伸
張変形を繰り返し受ける場合には、疲労性において明ら
かにマイナス要因である。
【0034】の微細構造などの変化は単なる水分また
はアルカリの浸透による無定型部の分子鎖の再配列化を
促進し、無定型部の分子鎖の凝集構造をより緻密にする
か、逆に、結晶部/無定型界面を乱すことに起因して、
より粗な凝集構造にするかは、処理条件に依って変化す
る。後者の場合は、続くストレッチ工程で、凝集構造の
不均一性を助長するため、疲労性においてマイナス効果
をもたらすと推定される。
【0035】の微細構造などの変化はの微細構造な
どの変化とも相関するが、一般的には、疲労性において
マイナス面をもつが、結果として、構成繊維集合体のα
a分散ピークを与える温度が125℃以下なら、かえっ
て好ましいと考えられる。の微細構造などの変化にお
いて、高重合度化の場合は酸性末端基の絶対数の低下の
点では望ましいが、一定発熱条件下では相対的に分子の
流動性は低下し、繰り返し変形下で、相対的に分子配向
を促進し、疲労性の点でマイナスの効果を生じる可能性
が有り得る。
【0036】の微細構造などの変化はプラス効果を発
現し得る要素である。つまり、接着処理されたポリアミ
ド繊維集合体の基本構造は処理条件で決定されるもので
あり、上記の〜の微細構造などの変化におけるマイ
ナス面を避け、かつプラス面を増大する条件設定で、強
度保持率、耐疲労性向上を図り得る。単に、原糸段階で
最高の構造、物性を示すものを提供するだけでは意味が
ないといっても過言ではない。
【0037】本発明の構成要件の1つである、接着処理
された繊維構造体中の繊維成分の重量分率が95wt%
以上、逆説的に、接着剤分率が5wt%以下であること
は、上記およびの変化の欠点を除去するための必要
要件である。これは、TFL成分の濃度を低下させ、予
め原糸集合体への油剤付与率を高めて、緊張浸漬処理す
るか、或いは浸漬処理後緊張するなどの簡単な方法で実
現可能である。
【0038】の微細構造などの変化において、分子の
絶対配向性増加は避けられないが、過度の分子配向はス
トレッチ、処理温度を調整すれば、例えば、原糸のもつ
αahの90%以上の保持率で本発明の範囲内に収めら
れる。ストレッチ条件、処理温度条件はの微細構造な
どの変化を規制するが、特に処理温度が高いと重合度は
増大する傾向を示す。他方、処理温度が高いと、繊維と
ゴムの接着強力が一般的に高くなるので、、の微細
構造などの変化に対して不利になる。
【0039】この観点からは、キュアーリングゾーンZ
2、Z3の温度は210℃〜240℃が適当である。R
FL処理された繊維集合体に要求される構造パラメータ
ーは接着処理の関数と考えても、互いに独立では有り得
ないが、各構造パラメーターに特に影響を与える処理条
件について述べる。
【0040】処理コードのαa分散帯のTmaxをTm
ax≦125℃にするためには、テンションローラg1
での張力は1.5g/d以下、テンションローラg2で
の張力は2.0g/d以下、張力比g3/g2は0.5
〜0.9であり、全体のストレッチは7%以下であるこ
とが望ましい。αah≧0.0850を達成するのは、
基本的には、原糸のαahをできるだけ保持することを
意味しているので、全ストレッチを低めにする方が良
い。
【0041】Δ(αa)1/2 ≦78℃を実現するために
は、原糸製造段階でポリマー中の塩基濃度を高く設定さ
れたものに対しては、接着剤浸漬工程での浴温度に対し
て特に制限はないが、ポリマー中の塩基濃度が酸濃度よ
り低い場合、接着剤浸漬工程での浴温度は40℃以上で
ある。さらに、テンションローラg1での張力が1.5
g/d以下で、且つテンションローラg2での張力が
1.5g/d以下であることが好ましい。
【0042】Δ(β)1/2 ≦73℃、βh/αah≦
0.7の条件の達成は、キュアーリングゾーンZ2、Z
3でキュアーリングする際に、繊維内部に存在する水分
の影響が大きく、水分が少ない程要求値範囲をクリアー
する傾向にある。その意味で、予備乾燥をしっかりする
こと、接着剤浴通過時の張力を増加させること、原糸撚
糸に多めの油剤をつける等の方法がある。
【0043】なお、ここでいう張力とは生コード1デニ
ール当たりの荷重である。一方、の酸化劣化は、特
に、接着処理前後での強力保持性には余り影響を受けな
い傾向にあるが、系内にラジカル活性点が存在すると、
次の圧縮伸張運動時、可動性ラジカルが強度低下の出発
点となる可能性がある。これは、本質的にはラジカルス
キャベェンジャーをポリマーに添加するか、接着剤処理
時に該成分を添加し、処理することにより防止可能であ
る。また、ゴム中に配置された繊維凝集体といえども、
極めて僅かでも水分は存在するので、酸性を示す成分
は、原糸構造のところで説明したように、耐疲労性の点
では少ないに越したことはない。
【0044】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳細に説明す
るが、これに限定されるものではない。 (実施例1−6及び比較例1−7) 酸塩基滴定法により定量されるポリアミド1kg当たり
の塩基濃度と酸塩基滴定法により定量されるポリアミド
1kg当たりの酸濃度の差が、下記表1〜2に示す値に
なるように、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の成
分比をコントロールし、常法の重合方法にて90%蟻酸
相対粘度(以降VRと称す)80のポリヘキサメチレン
アジパミドポリマーを得た。
【0045】ここでいう90%蟻酸相対粘度とは、90
%蟻酸にポリマー濃度8.4重量%となるように溶解せ
しめた溶液の25℃における相対粘度である。次に、本
実施例で使用したポリヘキサメチレンアジパミドポリマ
ーの酸・塩基濃度の測定法を示す。
【0046】(塩基濃度の定量法)ポリマー6gを少数
点下3桁まで正確に秤量し、これを90%フェノール水
溶液50ccに溶解する。完全溶解後0.05N−塩酸
水溶液でpH3まで滴定する。この時の0.05N−塩
酸水溶液滴下量を記録し、以下の計算式にてポリマー1
kg当たりの塩基濃度を算出する。
【0047】
【数1】 A:滴定に要した0.05N−塩酸水溶液量(ml) F:0.05N−塩酸水溶液のファクター B:ポリマー重量(g)
【0048】(酸濃度の定量法)ポリマー4gを少数点
下3桁まで正確に秤量し、これを170℃のベンジルア
ルコール50ccに溶解する。完全溶解後、ベンジルア
ルコール1リットル、フェノールフタレイン5g、酢酸
銅0.5g、二酸化チタン12gから調整された指示薬
を0.3ml添加する。その後0.1N−NaOHエチ
レングリコール溶液を滴下し、液色が紅色を呈した時点
を終点とする。この時の0.1N−NaOHエチレング
リコール溶液滴下量を記録し、以下の計算式にてポリマ
ー1kg当たりの酸濃度を算出する。
【0049】
【数2】 A:滴定に要した0.1N−NaOHエチレングリコー
ル溶液(ml) F:0.1N−NaOHエチレングリコール溶液のファ
クター B:ポリマー重量(g)
【0050】(コード材料の製造) 上記ポリマーを特開昭59−199812号公報に開示
されているような従来の方法で紡糸、延伸し、ポリヘキ
サメチレンアジパミド繊維を得た。次に原糸1本ずつに
撚数39回/10cmの下撚を施し、次いで下撚2本ず
つに撚数39回/10cmの上撚を施し生コードを作っ
た。この生コードを接着処理工程に沿ってレゾルシン−
ホルムアルデヒド−ラテックス液の処理を施した。この
時の処理条件、得られた処理コードの物性、及びtan
δ−Tの解析結果を表1〜2に示す。
【0051】なお、ここで言う処理コード物性とは、島
津製作所S−100Cを用い、25cmの処理コードに
対して降下速度30cm/分で測定した値である。この
処理コードを155℃×40分の加硫条件で加硫し、グ
ッドイヤーチューブ疲労試験に沿って耐疲労性試験を行
った。
【0052】<グッドイヤーチューブ疲労試験>ここで
いうグッドイヤーチューブ疲労試験は以下の如くであ
る。 JISL−10173.2.2.1Aに準ずる方法 チューブ形状: 内径 12.5mm 外径 25mm 長さ 231mm 曲げ角度 :90度 内 圧 :3.5kgf/cm2 回転数 :850rpm 表1〜2にグッドイヤー法チューブ疲労試験結果を示
す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】tanδ−Tの解析におけるαa分散のT
max≦125℃、Δ(αa)1/2≦78℃、αah
≧0.0850、Δ(β)1/2≦73℃、βh/αa
h≦0.7であり、且つ繊維強度がtanδ−Tの解析
で求めた構造破壊が開始する強度の90%以下のものは
耐疲労性が大きく改善されている。
【0056】
【発明の効果】本発明のレゾルシン/ホルマリン/ラテ
ックス処理されたポリヘキサメチレンアジパミド繊維集
合体は、耐疲労性が大きく改善されているので、タイヤ
コード、ベルト等のゴム補強用コード等の産業用資材に
用いたとき、耐久性の優れた製品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】処理されたポリアミド繊維集合体のtanδ−
温度(T)曲線のモデル図を示す。
【図2】処理されたポリアミド繊維集合体において、β
hと延伸倍率の関係、及び構造破壊を開始する延伸点を
示す。
【図3】接着処理工程の概略を示すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
a 撚糸(スダレ織物) b 浸漬浴 c スクイーズロール d ワイパー e 蒸気乾燥ゾーン(ZlA) f 予備乾燥ゾーン(ZlB) g1〜g4 各テンションローラ h キュアーリングゾーン(Z2) i キュアーリングゾーン(Z3) j 空気冷却ゾーン(Z4)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レゾルシン/ホルマリン/ラテッツスで
    処理されたポリヘキサメチレンアジパミド繊維集合体に
    おいて、繊維の重量分率が95%以上で、その処理され
    た繊維の見かけの繊度当たりの強度が8.5g/d以上
    であり、かつ、粘弾性的性質が以下を満足することを特
    徴とする、ゴム補強用のコード材料。 αa分散のTmax≦125℃ ・・・(1) Δ(αa)1/2≦78℃ ・・・(2) αah≧0.850 ・・・(3) Δ(β)1/2≦73℃ ・・・(4)βh/αah≦0.7 ・・・(5) 〔たゞし、力学的損失正接(tanδ)−温度(T)曲
    線における主分散(αa)ピークを与える温度をTma
    xとし、αa分散のピーク高さ(tanδmax値)を
    αahとし、及びβ、γの2種類の副分散帯での最大の
    ピーク高さをβh、γhとする。また、本文記載の定義
    に従った各ピークの半値幅をそれぞれΔ(α
    a)1/2、Δ(β)1/2、Δ(γ)1/2とす
    る。〕
  2. 【請求項2】 請求項1記載の処理されたポリヘキサメ
    チレンアジパミド繊維集合体を形成する、ポリヘキサメ
    チレンアジパミド繊維の原糸集合体がその紡糸製造段階
    で、延伸倍率を関数として急激に構造破壊を生起する延
    伸点での倍率の90%以内で延伸製造されていることを
    特徴とする、請求項1記載の処理された繊維集合体。
JP17767193A 1993-06-25 1993-06-25 接着剤処理されたポリアミド繊維集合体 Expired - Lifetime JP3305048B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17767193A JP3305048B2 (ja) 1993-06-25 1993-06-25 接着剤処理されたポリアミド繊維集合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17767193A JP3305048B2 (ja) 1993-06-25 1993-06-25 接着剤処理されたポリアミド繊維集合体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0711011A JPH0711011A (ja) 1995-01-13
JP3305048B2 true JP3305048B2 (ja) 2002-07-22

Family

ID=16035077

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17767193A Expired - Lifetime JP3305048B2 (ja) 1993-06-25 1993-06-25 接着剤処理されたポリアミド繊維集合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3305048B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0711011A (ja) 1995-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6340375B2 (ja) ポリアミドマルチフィラメント繊維、及び該繊維を含むタイヤコード
KR101203350B1 (ko) 아라미드 타이어 코드 및 그 제조방법
JP5656628B2 (ja) ポリエチレンテレフタレート延伸糸、ポリエチレンテレフタレートタイヤコード、これらの製造方法、およびこれを含むタイヤ
WO2018038050A1 (ja) 空気入りタイヤ及びその製造方法
WO2013048086A2 (en) Method for manufacturing poly(ethyleneterephthalate) drawn fiber, poly(ethyleneterephthalate) drawn fiber and tire-cord
JP3305048B2 (ja) 接着剤処理されたポリアミド繊維集合体
JP5087949B2 (ja) ポリアミド繊維
KR101376219B1 (ko) 아라미드 멀티필라멘트의 제조방법
JP3379142B2 (ja) ナイロン66ゴム補強用コード
KR101838492B1 (ko) 나일론 6.6 또는 나일론 6 사 및 아라미드 사를 이용한 고강력 타이어코드 및 이를 적용한 래디얼 공기입 타이어
KR101235055B1 (ko) 아라미드 타이어 코오드 및 그의 제조방법
JP2887328B2 (ja) 高タフネスポリアミド繊維
JPS60185833A (ja) ゴム補強用ポリエステル繊維デイツプコ−ド
KR20210105514A (ko) 나일론 사 및 아라미드 사를 이용한 하이브리드 타이어 코드
KR20100006195A (ko) 아라미드 타이어 코오드 및 그의 제조방법
KR101878781B1 (ko) 나일론 6.6 또는 나일론 6 사 및 아라미드 사를 이용한 내피로도가 우수한 타이어코드 및 이를 적용한 래디얼 공기입 타이어
KR101312798B1 (ko) 타이어 코드지 및 그 제조방법
KR0160463B1 (ko) 고무제품 보강재용 폴리아미드사 및 그의 제조방법
JP4253049B2 (ja) 耐熱性ポリアミド繊維及びその製造方法
JP3281115B2 (ja) ポリヘキサメチレンアジパミド繊維及びその製造法
KR101277156B1 (ko) 아라미드 타이어 코오드
JPS5988942A (ja) ポリアミドタイヤコ−ド及びその製法
KR101310139B1 (ko) 아라미드 멀티필라멘트의 제조방법
KR101878779B1 (ko) 내피로도가 우수한 하이브리드 딥코드 및 이를 적용한 래디얼 공기입 타이어
JP5302739B2 (ja) 高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊維

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20020423

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080510

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090510

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090510

Year of fee payment: 7

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090510

Year of fee payment: 7

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090510

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100510

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100510

Year of fee payment: 8

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100510

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110510

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110510

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120510

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120510

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130510

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130510

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140510

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term