JP3304403B2 - 水中高速二相噴流による金属材料の表面改質法 - Google Patents

水中高速二相噴流による金属材料の表面改質法

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JP3304403B2 JP20396592A JP20396592A JP3304403B2 JP 3304403 B2 JP3304403 B2 JP 3304403B2 JP 20396592 A JP20396592 A JP 20396592A JP 20396592 A JP20396592 A JP 20396592A JP 3304403 B2 JP3304403 B2 JP 3304403B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属材料の表面改質技
術に係わり、水中において、音速以下の水−気体二相噴
流を金属材料の表面に噴射することによつて、水圧力と
気泡の崩壊圧力の相乗作用により、引つ張り応力が残留
する金属材料表面を、圧縮応力が生じるように改質処理
しようとする気液二相噴射法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】応力腐食割れ発生の要因となる溶接部等
の残留応力は、鋼球を気流の勢いで吹き付けるシヨツト
ブラスト、砂粒やガーネツト粒子等を用いるサンドブラ
スト、氷粒を用いるクライオブラスト等によるピーニン
グ処理を行い、残留応力を引つ張り方向(亀裂を拡大さ
せる方向)から圧縮方向へと改善する。このようなピー
ニング技術は、残留応力改善対策として各種機械構造物
あるいは部品加工時に広く用いられている。
【0003】しかし、このようなブラスト操作のできな
い環境でありながら、是が非でもピーニングしなければ
ならない構造物も多い。例えば、水を張つた特殊な熱交
換器や反応槽、あるいは海洋構造物の溶接部等は、いず
れも水中にあり、水を除去しての作業は物理的あるいは
経済的に不可能に近い。
【0004】また、ブラスト粒子を水中から回収するこ
とは大変な難作業になる。氷粒を用いれば回収は不要で
あるが、施工コストが掛かりすぎて経済的なメリツトが
余りない。
【0005】高速ウオータージエツトの利用は、ユニー
クな加工、採鉱あるいは洗浄技術として知られるが、こ
れを応力改善に利用する試みがウエスチングハウス社に
より行われた(特開昭62−63614号参照)。水噴
流によるピーニングは、水冷効果もあつて局所的な温度
上昇を防げるというメリツトもある。
【0006】しかし、これは水噴流の軸動圧力を有効に
利用できる大気中の作業であり、この技術を水中水噴流
としてそのまま展開できる保証はない。図12に示すよ
うに、水中では、噴流軸動圧力の減衰がかなり速い。こ
れは、周囲水の抵抗と同じ液相であるがため、拡散が速
いことに起因する。水中で気相中水噴流なみの軸動力を
得るためには、超高圧発生装置が必要になり、コスト的
にも大変不利な技術になつてしまう。
【0007】一方、水中水噴流には、噴流と周囲水との
剪断作用によりキヤビテーシヨンが発生する。キヤビテ
ーシヨンを上手くコントロールし、発生した気泡を有効
に利用できれば、気相中噴流なみのピーニング効果を、
低い噴射圧力で達成できる可能性がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図9は、水中ウオータ
ージエツト用ノズルにおける先行技術の例である〔文
献;幾世橋、日本機械学会誌、第90巻、第829号
(昭62−12)P.1487〕。このノズルでは図1
2に示した問題点すなわち水中における圧力減衰を解決
するために、水噴流904の周りを空気噴流905で覆
い、気相被覆水噴流を形成することに特徴を持たせてい
る。
【0009】しかし、空気噴流905の作用で水噴流9
04が分裂(微粒化)する可能性があり、噴流の下流側
が噴霧となつて分散し、圧力が低下してしまうことも考
えられる。
【0010】なお、図において、901はノズル、90
2は水、903は空気、906は初期領域、907は遷
移領域、908は主要領域、909は分裂した水滴、9
10は雰囲気水、911は気泡である。
【0011】図10に示す特開昭60−168854号
公報のノズルは、水中における各種作業のために開発さ
れたノズルであり、キヤビテーシヨンの利用が謳われて
いる。
【0012】なお、図において、1001はノズル本
体、1002はオリフイス部、1003は円錐開口部、
1004は円錐空洞部、1005は配管部材、1006
は高圧噴出装置、1007は噴射加工対象物である。
【0013】図11に示す特開昭61−8184号公報
は、水中水噴流に発生するキヤビテーシヨンの作用によ
つて、汚染付着物を除去しようという発明である。
【0014】なお、図において、1101は水槽、11
02は被洗浄部品、1103はノズル、1103aはノ
ズル先端、1104は水、1105は管路である。
【0015】これらの例は、キヤビテーシヨンを活発に
発生させようとしてもノズルの構造上からの限界があ
る。例えば、水中における単純な軸対称噴流は、その外
周における剪断作用によつて、渦状のキヤビテーシヨン
が発生する。この渦状キヤビテーシヨンは、噴流の外周
のみで発達するため、固体面に衝突した際に発生する衝
撃圧力は、環状で中空なもの(ホローコーンタイプ)と
なる。
【0016】そのため、局所的な場所をピーニングした
り、あるいは大面積の部分をピーニングする場合に適切
なものとは言いがたい。キヤビテーシヨンの促進のため
には、ノズル内で強い乱れを人為的につくり出したり、
キヤビテーシヨンが起きやすい水中水噴流の構造制御が
必要になる。
【0017】本発明は、引つ張り応力が残留する金属材
料表面を、圧縮応力が生じるように改質処理することが
できる水中高速二相噴流による金属材料の表面改質法を
提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明は、二相噴流ノズル本体の内側に高圧気流噴流ノ
ズル本体を配置し、前記二相噴流ノズル本体から供給し
た高圧水を二相噴流ノズル本体の先端部に設けた二相噴
出孔から噴出するとともに、前記高圧気流噴流ノズル本
体から供給した高圧気流を前記二相噴出孔上流側近傍に
おいて高圧水流の内側に供給し、気泡を含んだ高圧水を
二相噴出孔から噴射することを特徴とするものである。
前述のように水中に高圧水を噴射するノズルの口径収縮
(しぼり部)あるいはその上流部において、圧縮空気を
微細気泡の形態で吹き込み、吹き込んだ気泡による強力
な擾乱作用によつて、ノズルから噴射された水噴流のキ
ヤビテーシヨン発生を促進させようとするものである。
【0019】すなわち、高圧水噴流の流体圧、吹き込ん
だ気泡とキヤビテーシヨンにより発生した気泡の複合崩
壊圧力(吹き込んだ気泡は過度の衝撃圧を和らげるクツ
シヨンの役割も果たす)を利用して、水中構造材表面の
残留応力を引つ張り側から圧縮側へと変更(ピーニン
グ)しようと言うものである。
【0020】
【作用】ノズルからの噴流は、水流、吹き込まれた
微細気泡および噴流の外周で発生する渦状キヤビテー
シヨン気泡から構成される。
【0021】これらのうち、の気泡は噴流内部、ま
た、の気泡は噴流の外周にあるため、水中水噴流全体
が均質な気泡流となる。特に、の吹き込まれた気泡
は、のキヤビテーシヨン気泡の発生を促進する作用が
ある。
【0022】一方、このような強制通気はスーパーキヤ
ビテーシヨンの促進作用としての効果も加わつてくる。
すなわち、過度に高密度なキヤビテーシヨン気泡群を適
度に分散させる作用がある。従つて、本発明のノズルか
ら噴出する水中水噴流は、ピーニングに対して好適なキ
ヤビテーシヨン噴流となる。
【0023】吹き込まれた気泡および発生したキヤビテ
ーシヨン気泡は、被加工対象物の表面あるいはそのごく
近傍において崩壊(圧縮崩壊)し、構造材表面に衝撃圧
力を発生させる。おびただしい気泡が連続的に圧壊する
ため、シヨツトピーニングするのと同様の作用となり、
構造材表面の残留応力が除去される。
【0024】なお、吹き込まれた気泡によるスーパーキ
ヤビテーシヨンの生成とクツシヨン作用により、材料表
面に有害な損傷を与えるような度を超した衝突圧力の発
生は抑制される。
【0025】
【実施例】図1は、本発明を具体化した水中高速二相噴
流用ノズル(単孔)の構造を断面図として示したもので
ある。このノズルは、二相噴射ノズル本体1aと、高圧
気流噴射ノズル本体4aから構成される。
【0026】二相噴射ノズル本体1aでは、高圧水8
が、高圧水導管10aを通じて導かれ、径がしぼられる
二相ノズル収縮部3aで減圧・加速され、二相噴出孔2
aから周囲水中へ噴出される。二相噴出孔の出口は、僅
かに座ぐり加工が施されている。ここでノズル各個所の
名称に「二相」を付けているのは、高圧気流噴射ノズル
本体4aから、高圧気流9を二相ノズル収縮部3a内の
水中へ吹き込み、水と空気の混合物を噴射するからであ
る。
【0027】高圧気流噴射ノズル本体4aは、二相噴射
ノズル本体1aとの中心軸12aを共有して、高圧気流
9の噴出孔5aが二相ノズル収縮部3a内に開口するよ
うに設けられている。高圧気流9は、高圧気流導管7a
を通じて導かれ、気流噴射ノズル収縮部15aで減圧・
加速されて、気流噴出孔5aから吹き出される。
【0028】本実施例において、二相噴出孔2aの直径
m は0.8〜2.2mm、気流噴出孔5aの直径da
は0.3〜0.8mm(必ずda ≦dm とする)の条件
に設定する。高圧気流9の噴射圧力Pa は、高圧水8の
噴射圧力PW よりも必ずしも高くする必要はない。これ
は、高圧気流9が、減圧過程にある二相ノズル収縮部3
a中の水中に噴出されるためである。しかしながら実際
は、Pa >PW とする方が各噴射圧力を上手く制御しや
すい。因に二相ノズル収縮部3aのしぼり角度(片振
り)は15°〜60°の条件に設定する。
【0029】高圧気流噴射ノズル4aの先端には、そこ
で流れが剥離を起こすように突起部16aが設けられて
いる。この突起部16aの直径は、高圧水導管10aの
約半分である。
【0030】図2は、図1の単孔タイプに比較して大容
量の複数孔タイプとした例であり、基本的な構成は図1
に示す実施例と同じである。
【0031】このような大容量ノズルを利用する場合に
は、当然のことではあるが、大容量の高圧ポンプとコン
プレツサが必要になる。この複数孔ノズルでは、各二相
噴出孔2bが、二相噴射ノズル本体中心軸13に対して
片振り30°の角度でやや外向き放射状に開口してい
る。このような大容量の水中高速二相噴流用ノズルは、
かなり大型の鋼材の大面積の個所を一度にピーニング処
理しようとする用途に適している。
【0032】なお、図において、1bは二相噴射ノズル
本体、3bは二相噴射ノズル収縮部、4bは高圧気流噴
射ノズル本体、5bは気流噴出孔、6はパツキン、7b
は高圧気流導管、8は高圧水、9は高圧気流、10bは
高圧水導管、11は導管連接キヤツプナツト、12bは
二相噴出孔中心軸、14は二相噴射ノズル平行部、15
bは気流噴射ノズル収縮部、16は気流噴射ノズル平行
部である。
【0033】図4は、さらに別の実施例に係る水中高速
二相噴流用ノズル(単孔)を示す図である。基本的に
は、図1の実施例と同様であるが、圧縮空気403を、
空気噴射ノズル本体402から、高圧供給水404が流
れる高圧水導管部412中へ吹き込むことに違いがあ
る。
【0034】このノズルでは、必ずda <dm に設定す
る。ここにda は空気噴射ノズル噴出孔径、またdm
ノズル噴出孔径である。
【0035】一方、噴射圧力に関しては、圧縮空気導管
部409内への高圧供給水404の逆流を防ぐために、
空気噴射圧力Pa を水噴射圧力PW よりも大きくなるよ
うに条件設定する。この実施例に係る単孔ノズルも、図
2のように噴出孔を複数化して大容量化することが可能
である。
【0036】このノズルには、現象的に吹き込む空気が
かなり微細化することや、水と空気の噴射圧力がさほど
互いに影響を受け合わず制御しやすい点などの特長があ
る。従つて、図1に示すノズルに比べて狭い面積の部分
を集中的に精度よくピーニングしたい場合に適してい
る。
【0037】なお、図において、401はノズル本体、
405はノズル中心軸、406はノズル収縮部、407
はノズル噴出孔、408はノズル座ぐり部、410は空
気噴射ノズル収縮部、411は空気噴射ノズル噴出孔で
ある。
【0038】図5は、高圧水511と圧縮空気512の
供給系統を示す図である。この供給系統は、図1〜3に
示したノズルに共通して利用することができる。
【0039】なお、図において、501はノズル本体、
502は水中高速気水二相噴流、503は被加工対象
物、504は高圧水導管、505は圧縮空気導管、50
6は高圧水供給ユニツト、507はコンプレツサ、50
8は周囲水、510は流量・圧力コントローラである。
【0040】図3は図1に構造を示したノズルにおける
現象を模式的に示したものである。高圧水8は高圧水導
管10a内を導かれ、高圧水導管10a内に挿入された
高圧水気流噴射ノズル本体4aの先端における突起部1
6aにおいて剥離する(301)。この剥離部には付着
型キヤビテーシヨン302が生成する。この付着型キヤ
ビテーシヨン302の気泡は、二相ノズル収縮部3aに
流れ込む水流によつて突起部16aから離脱する(30
3)。
【0041】一方、高圧気流噴射ノズル本体4aを通じ
て供給された高圧気流9は、気流噴出孔5aから二相ノ
ズル収縮部3a中で減圧過程にある水中へ吹き込まれ
る。この吹き込まれた気泡は、剪断場において細かく引
きちぎられ(304)、キヤビテーシヨン気泡と合流す
る(305)。また、二相噴出孔2a内では、水流が最
も強く減圧・加速されるために、減圧キヤビテーシヨン
306が生成する。この減圧キヤビテーシヨン306の
気泡は、上流から流れ込む吹き込まれた気泡304およ
び剥離部で生成した付着型キヤビテーシヨン気泡302
と合流する。周囲水17中へこれらの気泡流が噴射され
(307)、キヤビテーシヨン噴流が形成される。
【0042】キヤビテーシヨン噴流中において、噴出し
た気泡群は拡散(分散)する(308)。また、キヤビ
テーシヨン噴流は周囲水を自身の中へ巻き込む(30
9)。キヤビテーシヨン噴流の外周には剪断渦310が
生成し、この個所において剪断渦由来のキヤビテーシヨ
ン311が発生する。
【0043】本発明の特徴は、噴射ノズル内の水中へ空
気を吹き込むことにあるが、これには次のような作用が
ある。
【0044】i)吹き込まれて剪断場で微細化した空気
泡がノズル内の水流を激しく乱し、ノズル内における水
中に潜む気泡核にトリガを与え、気泡核を励起させてキ
ヤビテーシヨンを促進する。
【0045】ii)吹き込まれた空気泡には、高密度に
集中している(付着型キヤビテーシヨン302や減圧キ
ヤビテーシヨン306がこれに相当する)キヤビテーシ
ヨン気泡群を分断・分散させる作用がある。一方、空気
泡はクツシヨン作用(キヤビテーシヨン気泡との干渉)
によつて、キヤビテーシヨン気泡の著しく大きな崩壊圧
力の発生を防止する。従つて、加工物の表面を損傷させ
る逆効果を生み出すような過度の衝撃圧力が発生しなく
なる。
【0046】iii)キヤビテーシヨン噴流内に吹き込
まれた空気泡が分散するために、キヤビテーシヨン噴流
全体が拡がる。これによつて広面積の部分を短時間で高
効率でピーニングできるようになる。また、キヤビテー
シヨン噴流全体の乱れが激しくなるため、噴流外周の剪
断渦も活発になり、この剪断渦由来のキヤビテーシヨン
も増幅される。
【0047】以上のようなi)〜iii)の作用によ
り、ピーニングにとつて適切なキヤビテーシヨン噴流が
作り出される。
【0048】図6は、図4に構造を示したノズルにおけ
る現象を示したものである。このノズルには、空気噴射
ノズル本体402の先端に剥離流を生み出すような突起
部を設けず、逆に高圧供給水404がスムーズに流れる
ように空気噴射ノズル本体402の先端はほぼ円錐型に
なつている。従つて、この個所では、剥離流もキヤビテ
ーシヨンも発生しない。気泡による流路の閉塞がなくな
るために、本実施例のノズルは、図3に示した例に比べ
ると圧力損失は少ない。
【0049】このノズルにおいては、高圧供給水404
の流れる高圧水導管部412中に気泡が吹き込まれるの
で、噴出直後の気泡はかなり微細で数密度が高くなる
(601)。また高圧水中であるので、これらの気泡は
高圧水導管部412内において良好に分散する。細かく
てよく分散した気泡群は、ノズル収縮部406内で減圧
されて膨張する。この作用がこの減圧部で生成する減圧
キヤビテーシヨンを促進させることになる。ノズル収縮
部406、ノズル噴出孔407およびキヤビテーシヨン
噴流における現象は図3に示した実施例のそれと基本的
に同じである。
【0050】なお、図において、602は減圧部のキヤ
ビテーシヨンと気泡流の混合、603は噴出孔で生成す
るキヤビテーシヨン、604は噴出する気泡流、605
は気泡の拡散(分散)、606は周囲水の巻き込み、6
07は噴流外周の剪断渦、608は剪断渦由来のキヤビ
テーシヨンである。
【0051】図7は基礎実験結果を示すものであり、溶
接端からの距離(片方向)に対する表面応力状態の変化
として結果がまとめられている。
【0052】ピーニング前は、溶接部近傍が最大であ
り、80mmの位置まで広く引つ張り方向の残留応力が
存在しているが、本発明に係るピーニングを実施する
と、かなり広範囲に渡り表面応力は圧縮側へ改質される
ことが分かる。幅が広くその中で気泡が均等に分散する
キヤビテーシヨン噴流を作り出し、また噴流中でキヤビ
テーシヨン気泡が過度に集中することを防いだ本発明の
ノズルの効果が上手く発揮された。
【0053】図8は配管における残留応力の改質効果を
調べた実証試験結果である。
【0054】従来式ノズルを用いた場合でも、引つ張り
方向成分がほぼなくなるまでの表面応力改質効果が得ら
れるものの、引つ張り方向の応力が圧縮側まで変化する
ほどの十分な改質効果は得られていない。これに対し、
本発明を具体化したノズルを用いると残留応力が圧縮側
へと大幅に改質される効果のあることが分かる。
【0055】従来式ノズルでは、キヤビテーシヨンの発
達が不十分であるのに対し、本発明に係るノズルでは、
発達した衝突圧力は適正なキヤビテーシヨン噴流が作り
出されるために、良好な表面応力改質効果が得られたも
のと考えられる。
【0056】水中水噴流を利用する本発明の応用範囲は
大変に広い。一般に、表面応力の改質に際しては、熱を
加えない、つまり金属組織の変態を伴わない常温処理の
方が格段に好ましい。この点からも本発明は有利であ
り、ボイラの耐圧部材の応力改善へも応用することがで
きる。また、水中作業であることを考えれば、海洋構造
物や船舶の補修へも適用できる。
【0057】一方、海水面下にある船舶の底部には、
貝、藻、その他小型の生物が付着し、走行に際してかな
りの流動抵抗になる。本発明に係る方法は、これらの付
着物を海水中において走行中に除去することを可能にす
る。このようにして、付着物の除去が海水中においてで
きるようになれば、 船をドツクに入れ そのドツクから水を汲み出し 付着物の混じる汚染水を廃棄し、さらに ドツクへ再び海水を入れる と言つた一連の操作が一切省略されることになり、船舶
の保全がより経済的に行われるようになる。付着物を防
ぐために用いられる特殊な塗料の使用量も削減されれ
ば、海洋の環境保護の観点からも好ましい。
【0058】また、噴流の軸上圧力の減衰を抑止するこ
とができる本技術は、比較的深い海中にある構造物の表
面応力改質や、深さ数m下の高圧水中環境における高温
岩体の屈削作用へも適用することができる。
【0059】
【発明の効果】本発明の効果をまとめると次のようにな
る。
【0060】(1)高速水噴流の高圧力と、微小気泡圧
壊の相乗効果によつて水中構造物の表面応力状態を改質
することができる。
【0061】(2)ブラスト用のビーズを使用しないた
め、それらを回収したりあるいは廃棄したりする手間が
省ける。結果的に経済的な操作となる。
【0062】(3)水中でのピーニングであり、しかも
熱伝達率のよい気泡噴流(気泡の攪拌効果)を利用する
ため、ピーニング部の温度が局所的に上昇することがな
く、対象構造物の温度を低く抑え、かつより均等にする
ことができる。
【0063】(4)水中でのピーニングのため、騒音対
策が不要となる。
【0064】(5)上記(4)と同様に、水中における
ピーニングのため、飛沫(飛び散る液滴)の始末に苦慮
することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用される水中高速二相噴流用ノズル
(単孔タイプ)の縦断面図である。
【図2】本発明に適用される水中高速二相噴流用ノズル
(複数孔タイプ)の要部縦断面図である。
【図3】図1に示すノズルの噴出部の現象を示す模式図
である。
【図4】本発明に適用される他の単孔タイプの水中高速
二相噴流用ノズルの縦断面図である。
【図5】高圧水と圧縮空気の供給系統図である。
【図6】図4に示すノズルの噴出部の現象を示す模式図
である。
【図7】本発明に係る表面改質効果を実験結果として示
す説明図である。
【図8】本発明に係る表面改質効果を実験結果として示
す説明図である。
【図9】従来のノズルにおける水噴流の分裂状態を示す
模式図である。
【図10】先行技術の一例を示す構成図である。
【図11】先行技術の他の例を示す構成図である。
【図12】水中水噴流における問題点を気相中水噴流の
それと比較して示す特性図である。
【符号の説明】
1a 二相噴射ノズル本体 2a 二相噴出孔 3a 二相ノズル収縮部 4a 高圧気流噴射ノズル本体 5a 気流噴出孔 7a 高圧気流導管 8 高圧水 9 高圧気流 10a 高圧水導管 12a 二相噴出孔中心軸 15a 気流噴射ノズル収縮部 16a 突起部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒沢 孝一 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 平3−19771(JP,A) 実開 昭62−1764(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B24C 1/10 B23P 17/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二相噴流ノズル本体の内側に高圧気流噴
    流ノズル本体を配置し、前記二相噴流ノズル本体から供
    給した高圧水を二相噴流ノズル本体の先端部に設けた二
    相噴出孔から噴出するとともに、前記高圧気流噴流ノズ
    ル本体から供給した高圧気流を前記二相噴出孔上流側近
    傍において高圧水流の内側に供給し、気泡を含んだ高圧
    水を二相噴出孔から噴射することを特徴とする水中高速
    二相噴流による金属材料の表面改質法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載において、前記二相噴流ノ
    ズル本体の二相噴出孔上流側に径収縮部を設け、前記高
    圧気流噴流ノズル本体から供給した高圧気流を前記径収
    縮部で高圧水流に供給したことを特徴とする水中高速二
    相噴流による金属材料の表面改質法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載において、前記二相噴流ノ
    ズル本体の二相噴出孔上流側に径収縮部を設け、前記高
    圧気流噴流ノズル本体から供給した高圧気流を前記径収
    縮部の上流部で高圧水流に供給したことを特徴とする水
    中高速二相噴流による金属材料の表面改質法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかの記載にお
    いて、細かな気泡の状態で気体をノズル内に吹き込むこ
    とを特徴とする水中高速二相噴流による金属材料の表面
    改質法。
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