JPH07205099A - ウォータージェット加工法 - Google Patents

ウォータージェット加工法

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JPH07205099A
JPH07205099A JP6006488A JP648894A JPH07205099A JP H07205099 A JPH07205099 A JP H07205099A JP 6006488 A JP6006488 A JP 6006488A JP 648894 A JP648894 A JP 648894A JP H07205099 A JPH07205099 A JP H07205099A
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JP
Japan
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water
cavitation
water jet
jet
nozzle
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JP6006488A
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English (en)
Inventor
Kazunori Satou
一教 佐藤
Toshio Matsubara
敏夫 松原
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工物に対して影響の大きい渦キャビテーシ
ョンを十分に発達させることのできるウォータージェッ
ト加工法を提供する。 【構成】 水面7の乱れによる気体の巻き込み流入現象
9を利用して、水中水噴流8中へキャビテーション気泡
核を供給することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水中高速水噴流に発生
するキャビテーションを活用する洗浄・はつり・研磨あ
るいは金属強化等の水中施工技術に係わり、特に浅水槽
を用いるウォータージェット加工法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】高速ウォータージェットの利用は、ユニ
ークな切断加工、採鉱あるいは、はつり・洗浄技術とし
て広く知られている。さらにこれを材料の表面応力改善
に利用する試みも、ウエスチングハウス・エレクトリッ
ク社により提案されている(特開昭62−63614
号)。
【0003】しかしこれらは、水噴流の軸上動圧力を、
具体的には噴流の連続衝突圧力あるいは噴流が分裂して
生じる液滴群の衝突圧力を有効に利用できる大気中の作
業であり、この技術を水中の水噴流へは直接展開できな
い。水中では、噴流軸上の動圧力の減衰がかなり速い。
これは、周囲の水の抵抗と、同じ液相であるが故に拡散
が速いことに起因する。水中において、気相中水噴流な
みの軸上動圧力を得るためには、超高圧力発生装置(ポ
ンプ)が必要になり、コスト的に大変不利である。
【0004】一方、水中の高速水噴流には、噴流と周囲
水との剪断作用により激しいキャビテーションが発生す
る。キャビテーション気泡が充分に存在する環境におい
て、キャビテーションを促進し、多量に発生する気泡の
急速圧壊作用を有効に利用できれば、気相中水噴流なみ
の加工性能を、低い噴射圧力で得ることができる可能性
がある。ポンプからの噴射圧力は高くなくとも、気泡崩
壊時に生じる超高圧衝撃力を有効に活用する訳である。
【0005】キャビテーション気泡の急速圧壊時には、
超高温・超高圧の場が極めて短時間のうちにパルス状に
作り出される。しかも、このパルスは、おびただしい回
数だけ繰り返される。この現象が固体面近傍で起これ
ば、固体壁面を加工対象材表面に置き換えることによ
り、特定の機械加工に積極的に利用できる〔富田・佐藤
・島;「平面剛体近傍での気泡の非球状運動に関する理
論的ならびに実験的研究」、日本機械学会論文集(B
編)、59巻、562号、(1993−6)、189
1〕。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】水中水噴流におけるキ
ャビテーション現象を有効に活用するポイントは、水中
水噴流に対する気泡核の供給法である。図13に示すよ
うに、水中水噴流へは、流入核(Inflow muc
lei)1301と周囲核(Ambient nucl
ei)1302という2つのタイプの気泡核が供給され
て、キャビテーションへと成長する。加工物1309に
対する力学的作用の影響力の強い渦キャビテーション1
308は、水中水噴流における界面で生成するので、周
囲核1302の供給がより重要といえる。
【0007】なお、図中の1303は高圧水、1304
はノズル、1305は周囲水、1306は液芯(コア)
部、1307はキャビテーションクラウドである。
【0008】あまり大きくない加工物1309を水中施
工する場合、当然のことながら水槽も小さな浅水槽が用
いられる。このような浅水槽の水中へ水噴流を噴射する
と、水槽の水面が激しく揺動して水槽を振動させる。こ
の場合、水面から気泡が巻き込まれるが、その気泡は粗
く、キャビテーションの気泡核にはなりにくいばかり
か、水中水噴流中へ入るとクッション作用によりキャビ
テーションを減衰させてしまう。また、このようにして
巻き込まれた粗い気泡は、水槽内全体に浮遊するので、
周囲核として利用する観点からは甚だ不適当である。
【0009】用いる水槽が浅水槽であるなら、水面の乱
れにおいて気泡が巻き込まれることによってもたらされ
る気泡核の巧みな作り方が考えられる。それは、図14
における気相中水噴流1401と浅水槽水面の相互作
用、すなわち水噴流の水面への衝突と突入作用時に生じ
る現象の利用である。
【0010】図中の1402はノズル、1403は高圧
水、1404は中心軸、1405は液芯(コア)部、1
406は液塊分裂、1407は微細液滴、1408は液
滴群の拡がり、1409は加工対象物である。
【0011】図11、図12は、このような気相中水噴
流を作り出すのに用いられるノズルの例である。図11
に示すノズルを用いると、気相中水噴流1401の拡が
りが少ない。一方、図12のノズルでは、しぼり部(径
収縮部)1205における強い収縮のために、噴流は乱
され下流において拡がるようになる。
【0012】なお、図中の1101,1201は高圧
水、1102,1202はノズル本体、1103,12
03は高圧水供給流路、1104,1204は中心軸、
1105,1205はしぼり部(径収縮部)、110
6,1206は噴出孔、θはしぼり角度である。
【0013】本発明の目的は、前述した従来の欠点を解
消し、加工対象物に対して影響力の大きい渦キャビテー
ションを十分に発達させることのできるウォータージェ
ット加工法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明においては、乱れ
た水面における気体の巻き込み現象を利用する。この気
体の巻き込みとは、水面が波立ったり、物体が水面へ突
入する際に水面が激しく乱れて変形し、気体が水中へ物
理的に溶解することである。
【0015】水中において、巻き込まれた気体は、微小
な気泡群の形態をとる。この気泡群は、いわゆるキャビ
テーション気泡核となり、キャビテーション発生の切っ
掛けになり得る。すなわち、気泡群が多く、水中水噴流
の近くにあるほど、気泡核として水中水噴流に発生する
キャビテーションへ供給され、キャビテーションを促進
する。
【0016】本発明では、浅水槽中に加工対象部材を設
置し、水面上の気相中に設置したノズルから高速の水噴
流を水面へ向けて噴射する。気相中水噴流が水面へ突入
する際に、水面は激しく乱れ、多量の気体が水中水噴流
へ巻き込まれ、これらがいわゆる周囲核(Ambien
t nuclei)となり、水面下にある水中水噴流の
キャビテーションを促進する。このようにして、浅水槽
内の水中水噴流に発生するキャビテーションを利用した
加工を行う。
【0017】浅水槽の水面と気相中ノズル間の距離は、
最適範囲に選定する。近過ぎれば、水面において気体を
巻き込まない。遠過ぎると、気相中水噴流が図14に示
すように、液滴群に広く分裂・分散するため、気体の巻
き込み領域が水面の広い領域に拡がってしまい、気体が
水中水噴流へ同伴されない。同様に、浅水槽の水面と加
工対象物間距離も最適範囲を選定する。短過ぎれば、材
料に対する影響力の強い渦キャビテーションが十分に発
達しない。長過ぎると、キャビテーションが消滅してし
まう。従って、ノズルと加工物間のスタンドオフ距離は
最適領域を選定する。
【0018】
【作用】以上のような手法により、浅水槽の水面の乱れ
を通して供給された多量の気泡核は、気相中から水面に
突入することにより生じた水中水噴流内へと巻き込まれ
る。高速の水中水噴流には、その界面から激しいキャビ
テーションが発生するが、上記した水面より供給される
気泡核は、周囲核(Ambient nuclei)と
して水中水噴流のキャビテーションの切っ掛けとなる。
このような作用により、本発明において作り出された浅
水槽内の水中水噴流のキャビテーションは、極めて活発
なものとなる。
【0019】キャビテーション気泡は、加工対象物であ
る固体面上において超高速で崩壊し、パルス状の衝撃圧
を作り出す。水中水噴流において、このキャビテーショ
ン気泡はおびただしい数だけ存在するので、加工対象面
において衝撃パルスの発生が著しく多く繰り返されるこ
とになる。このようにして、加工対象面に付着物がある
場合はそれがはぎ取られ、加工対象面が粗い場合には、
滑らかな面に形状修正される。あるいは対象が金属の場
合には、表面の結晶粒が押し潰されるように塑性変形す
るので、加工硬化作用により強度が増大する。
【0020】
【実施例】図1に、本発明を具体化したウォータージェ
ット加工法を示す。加工対象物10は、浅水槽5の底部
に設置され、水6はこの浅水槽5の水面7の上方におい
て、ノズル2の中心軸3が水面7に垂直になるように、
水面7へ向けて下向きに設置されている。
【0021】ノズル2から噴射される気相中高速水噴流
4は、水面7に突入し、水6の中において水中高速水噴
流8となる。水6の中では、噴流は減速されるが、噴流
界面に生じる強力な剪断作用と、水中にある気泡核の作
用により、水中高速水噴流8には激しいキャビテーショ
ンが発生する。このように発達したキャビテーションを
伴う水中水噴流8は、加工対象物10に衝突し、キャビ
テーション気泡の崩壊により、加工対象物10の表面に
衝撃圧力が作用する。すなわち、不要な付着物は除去さ
れ、あるいは金属はショットピーニングのような作用に
より強化される。この実施例においては、気相中高速水
噴流4が水面7に突入する際に、周囲の気体を水中へ巻
き込む(9)。このように巻き込まれた気泡は細かく分
裂・分散した後、水中高速水噴流8内へ流入し、キャビ
テーション現象を強く支配するいわゆる流入核(Inf
low nuclei)となる。
【0022】なお、図中の1は高圧水、3は中心軸線で
ある。
【0023】本発明において、水中の加工能力を最大限
に発揮させるためには、ノズルと水面間の距離および水
面と加工対象物間の距離の設定が、共に大変に重要にな
る。それぞれ、ノズル−水面間距離をl1 および水面−
加工物間の距離をl2 として、その定義を図2に示す。
これらのトータルスタンドオフ距離L(l1 +l2 )が
重要な理由は、噴流の構造が位置によって変化するから
である。すなわち、ノズル−水面間にある気相中水噴流
203では、ノズル201からの噴出直後と下流とで
は、噴流の構造が全く異なる。ノズル201からの噴出
直後には、液柱のような液芯(コア)が存在するのに対
して、下流では液塊や液滴群へと分裂してしまってい
る。水中高速水噴流でも、キャビテーション発生の仕方
がその初期におけるキャビテーションクラウドの生成、
そして下流域の渦キャビテーションの発達というように
異なる。このような現象をうまく利用するべく、両スタ
ンドオフ距離を適切な範囲に選定するのが本発明の特徴
である。
【0024】なお、図2において202は高圧水、20
4は水中高速水噴流、205は加工対象物、206は中
心軸、207は水槽内水(周囲水)である。
【0025】それぞれのスタンドオフ距離を変化させた
場合における水中加工性能を調べた結果を以下に示す。
【0026】図3は、ノズル−水面間距離に対する付着
物除去量の変化を調べたものである。ノズル−水面間の
スタンドオフ距離l1 は、ノズルの噴出孔径Dで割り、
無次元化して表した。一方、縦軸の付着物除去量Δm
は、l1 /Dを変化させて得られる結果の中の最大値Δ
m*を用いて割り、これも無次元化した。なお、この実
験において、水面−加工物間距離l2 は一定とした。Δ
m/Δm*は、l1 /D<8の領域で急増し、l1 /D
≦9においてピークに達した後、僅かに減少しつつもほ
ぼ一定値を保ち、l1 /D>110の領域において急減
する。
【0027】l1 /D<8の範囲において、Δm/Δm
*が小さいのは、水面とノズルが近過ぎて、気相中水噴
流が周囲の気体を十分に巻き込まないためである。
【0028】一方、下流域l1 /D<110において、
Δm/Δm*が低下するのは、気相中水噴流が液滴群に
分裂して水面上に広く分散するため、水中において強力
なキャビテーションを伴う水中水噴流が形成されないこ
とと、液滴が水面に落下して気体を巻き込むための気泡
核が広く水面に分散し、水中水噴流内へ流入しないこと
による。
【0029】この結果より、ノズル−水面間の距離は、
8≦l1 /D≦110の範囲から、より望ましくは10
≦l1 /D≦30の範囲から選択すればよいことがわか
る。図4は、水面−加工物間のスタンドオフ距離l2
対する付着物除去量Δmの変化を調べたものである。図
3と同様に、横軸のl2 はノズルの噴出孔径Dで、一
方、Δmはその最大値Δm*により、ともに割られて無
次元表記されている。この実験において、ノズル−水面
間の距離は、l1 /D=20一定とした。
【0030】Δm/Δm*は、l2 /D<10の領域で
急減し、l2 /Dが10付近で極小に至った後急増し、
2 /Dが70付近において極大点を示し、緩やかに減
少した後、l2 /D>130の領域では急減する。
【0031】l2 /Dが0付近でΔm/Δm*が大きい
のは、実質的に水面のごく近傍の加工になるため、気相
中水噴流の特性が生じるためである(Δmは大きいが、
噴流のエネルギーが集中し、局部的にえぐれるように壊
食するため、掘孔や切断には適するが、付着物除去・洗
浄あるいは金属強化には不適当である)。
【0032】l2 /D<10におけるΔm/Δm*の急
減特性は、水中においてキャビテーションが十分に発達
しないためである。さらにl2 /D>130の範囲にお
けるΔm/Δm*の急減は、スタンドオフ距離が長過ぎ
て、一度発達したキャビテーションが消滅してしまうた
めである。
【0033】以上の結果から、水中水噴流に発生するキ
ャビテーションの特性をうまく利用するには、40≦l
2 /D≦130の領域、さらに望ましくは50≦l2
D≦80の領域において、水面−加工物間のスタンドオ
フ距離を選択すればよいと判断される。
【0034】図5は、本発明を具体化したウォータージ
ェット加工における現象を模式的に描いたものである。
高圧水501は、ノズル502の噴出孔から噴射され、
気相中高速水流503を形成する。この気相中高速水噴
流503は、下流において液塊へと分裂(505)しな
がら、水面へと突入する(506)。この場合、液塊へ
と分裂(505)しても、気相中高速水噴流503の拡
がりは小さい。水面へ突入した噴流は、水面において周
囲気体を水槽内水504の中へと巻き込む(507)。
【0035】このように巻き込まれた気体は、水面と噴
流の衝突作用あるいは水中における噴流の乱れによっ
て、細かな気泡へと分裂し、キャビテーション気泡核と
なる。水槽内水504の中では、水中水噴流511が生
じるが、これには激しいキャビテーションが生成する。
巻き込まれた気体に由来する気泡核は、この水中水噴流
511へと流入する。従って、この現象は、いわゆる周
囲核(Ambientnuclei)の供給作用(50
8)ということになる。
【0036】水中水噴流511におけるキャビテーショ
ンの形態は、噴流を全体的に構成するキャビテーション
クラウド509と、下流における噴流界面で発達する渦
キャビテーション510に、大まかながら分類すること
ができる。
【0037】周囲核供給508は、噴流の周囲から供給
することから、2つのタイプのキャビテーションのうち
特に渦キャビテーションの発達に強く関与する。この渦
キャビテーション510は、キャビテーションクラウド
509に比べてパワフルであり、材料に対する影響力も
かなり強い。以上のような現象は、前述したように、ノ
ズル−水面間および水面−加工物間の両スタンドオフ距
離の最適選定によって実現する。次に、このようなスタ
ンドオフ距離の選定をうまく行わなかった場合に生じる
現象について述べる。
【0038】なお、図中の512は衝突噴流、513は
加工対象物である。
【0039】図6は、ノズル602と水面609間のス
タンドオフ距離l1 を短くし過ぎた場合の現象を模式的
に示したものである。この場合、ノズル602の噴出孔
から噴出した直後の気相中水噴流608は、分裂してお
らず連続した液芯(コア)の状態(図14参照)であ
り、水面609に突入しても、水面からの気体の巻き込
み(604)は量的に少ない。従って、結果的に浅水槽
内の水607の内部において、水中水噴流605への周
囲核供給も少なくなる。特に水中水噴流605の界面に
おいて発達するべき渦キャビテーションの生成が乏しく
なる。
【0040】なお、図中の601は高圧水、603は中
心軸線、606は加工対象物である。
【0041】図7は、図6の例とは逆に、ノズル702
と水面707のスタンドオフ距離l1 が長過ぎる場合で
ある。気相中水噴流704は、液滴705へと分裂し、
水面に衝突する前に広く分散する。この場合、水面70
7に対する液滴705の衝突速度は小さく、気体の巻き
込み量は少ない。さらに、水面707上において液滴群
が拡がって突入するため、水面下に生じた水中水噴流7
09は低速で、キャビテーションの威力も強くはなく、
加工能力も乏しい。
【0042】なお、図中の701は高圧水、703は中
心軸線、706は浅水槽の水、708は巻き込まれた空
気の気泡、710は加工対象物である。
【0043】図8は、水面805と加工対象物806間
の距離l2 が短過ぎる例を模式的に描いたものである。
このケースでは、水中水噴流におけるキャビテーション
808の発達が不十分である。すなわち、未発達のキャ
ビテーションクラウドのみが生じ、材料に対して強い影
響力を持つ渦キャビテーション生成も不十分である。従
って、この場合も、加工性能は高くない。
【0044】なお、図中の801は高圧水、802はノ
ズル、803は中心軸線、804は気相中水噴流、80
7は浅水槽内の水である。
【0045】図9は、図8の例とは逆に、水面905と
加工対象物911間の距離l2 が長過ぎる場合の現象を
示す。この場合には、水中水噴流907において生じる
キャビテーション、すなわちキャビテーションクラウド
908と渦キャビテーション909が共に消滅してしま
っている。結果的に、加工対象物911は所定の目的の
レベルまで加工されないことになる。
【0046】なお、図中の901は高圧水、902はノ
ズル、903は中心軸線、904は気相中高速水噴流、
906は浅水槽の水、910はキャビテーションの消滅
である。
【0047】図10は、本発明を具体化したことによる
効果を、付着物残存比m/m1 を以て評価し、既往の技
術と比較したものである。図中のmは人為的に塗布した
付着物の各施工後における残存量を、また、m1 は初期
付着量を表す。
【0048】図14に示した気相中水噴流を用いて、気
相中で施工した場合には付着物の6割近くが、また、図
13に示すように、水中で水噴流を用いた場合には8割
以上まで付着物を除去できるものの、本発明の手法を用
いた場合は、残存割合を1%未満まで著しく減少させる
ことが可能であった。
【0049】水面近傍における加工であることを考えれ
ば、船舶へも適用することができる。海水面下にある船
舶の側・底部には、貝・藻その他の生物やその遺骸が付
着し、走航に際してかなりの流動抵抗になる。本発明の
方法は、これらの付着物を除去することを可能にする。
特に、海水面近くにある付着物を容易に除去できれば、
造波抵抗を削減でき、船舶の走航に際し有利になる。ま
た、浅水を利用する本発明の方法は、船をドックに入
れ、ドックから海水を汲み出し、付着物の混じる洗
水を廃棄し、さらにドックへ再び海水を入れる、の施
工のうち、全海水を抜き出す従来方式に比べて、〜
の海水処理作業を半減できることになる。
【0050】
【発明の効果】本発明を具体化したことによる効果をま
とめると以下のようになる。
【0051】(1)水面下に発生するキャビテーション
を伴う水中水噴流を利用するため、気相中水噴流の利用
に比べると、加工対象部材の広域面積部分の施工が可能
になる。
【0052】(2)水面における気泡核供給量が著しく
増加するため、水中水噴流に発生するキャビテーション
が極めて発達したものとなる。従って、短時間のうちに
施工を完了することができる。すなわち、施工コストが
低減する。
【0053】(3)ピーニング施工に利用する場合、気
泡崩壊時に発生する衝撃圧の大きいキャビテーションを
利用するため、金属材料の強化が、加工対象部材の表層
からより深い個所にまで及ぶ。従って、金属材料を効率
よく強化できるようになる。
【0054】(4)ノズルの噴出孔から噴出後の流れに
おけるキャビテーションを促進するため、噴出孔がキャ
ビテーション気泡により充満・閉塞するような圧力損失
増大に伴う問題は発生しない。
【0055】なお、本発明においては、水面における乱
れ、すなわち水しぶき(ミスト)の発生や波立ちによる
浅水槽の動揺(スロッシング)があるが、カバーを設け
ることによる対策が有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る浅水槽を用いたウォータ
ージェット加工法を具体的に示した図である。
【図2】ノズルと浅水槽の水面との位置関係を示した図
である。
【図3】ノズル−浅水槽水面間距離の最適範囲を示す図
である。
【図4】浅水槽水面−加工物間距離の最適範囲を示す図
である。
【図5】本発明になるウォータージェット加工における
現象あるいはメカニズムを模式的に描いた図である。
【図6】ノズル−浅水槽水面間距離を極端に近づけた場
合の現象を示す図である。
【図7】ノズル−浅水槽水面間距離を極端に離した場合
の現象を示す図である。
【図8】浅水槽水面−加工物間の距離を極端に近づけた
場合の現象を示す図である。
【図9】浅水槽水面−加工物間の距離を極端に離した場
合の現象を示す図である。
【図10】付着物除去に関する試験結果を示す図であ
る。
【図11】高速ウォータージェットを噴射するノズルの
一例を示す図である。
【図12】高速ウォータージェットを噴射するノズルの
一例を示す図である。
【図13】水中高速水噴流の現象を模式的に描いた図で
ある。
【図14】気相中水噴流の現象を模式的に描いた図であ
る。
【符号の説明】
1 高圧水 2 ノズル 4 気相中高速水噴流 5 浅水槽 6 水 7 水面 8 水中高速水噴流 9 水面からの気体の巻き込み 10 加工対象物

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水中の水噴流に発生するキャビテーショ
    ン現象を利用し、噴流衝突面における洗浄・付着物除
    去、切断、掘孔あるいは強化等の加工を行うウォーター
    ジェット加工法において、 水面の乱れによる気体の巻き込み流入現象を利用し、水
    中水噴流中へキャビテーション気泡核を供給することを
    特徴とするウォータージェット加工法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載において、浅水槽の水面へ
    気相中高速水噴流を突入させることを特徴とするウォー
    タージェット加工法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載において、気相中高速水噴
    流を噴射するノズルと水面間の距離をl1 、ノズルの噴
    出孔径をDとしたとき、 8≦l1 /D≦110 の範囲に規制されていることを特徴とするウォータージ
    ェット加工法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載において、水面と加工対象
    物間の距離をl2 としたとき、 40≦l2 /D≦130 の範囲に規制されていることを特徴とするウォータージ
    ェット加工法。
JP6006488A 1994-01-25 1994-01-25 ウォータージェット加工法 Pending JPH07205099A (ja)

Priority Applications (1)

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JP6006488A JPH07205099A (ja) 1994-01-25 1994-01-25 ウォータージェット加工法

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JP6006488A JPH07205099A (ja) 1994-01-25 1994-01-25 ウォータージェット加工法

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