JP3303585B2 - 分散フィードバック式δς変調器 - Google Patents

分散フィードバック式δς変調器

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JP3303585B2 JP04222495A JP4222495A JP3303585B2 JP 3303585 B2 JP3303585 B2 JP 3303585B2 JP 04222495 A JP04222495 A JP 04222495A JP 4222495 A JP4222495 A JP 4222495A JP 3303585 B2 JP3303585 B2 JP 3303585B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ディジタル・オーデ
ィオ機器などにおけるA/D変換器およびD/A変換器
の主要な構成要素であるΔΣ変調器(海外ではΣΔ変調
器と呼ぶのが一般的である。)に関し、特に、複数の積
分器を直列的に結合する分散フィードバック式ΔΣ変調
器に関する。
【0002】
【従来の技術】A/D変換器及びD/A変換器における
ΔΣ変調器にはフィードフォワード方式と分散フィード
バック方式とがある。分散フィードバック方式はフィー
ドフォワード方式における加算器が不要であるため、回
路の小型化が図れる、伝達関数を広く選べるなどのメリ
ットをあり、かかる分散フィードバック式ΔΣ変調器の
基本構成が図3(a)に示されている。
【0003】図3(a)において、この例は、4つの積
分器11、12、13、14を直列に結合した4次ΔΣ
変調器である。各積分段間には係数器21、22、23
がそれぞれ挿入されている。初段の積分器11に入力信
号Xが印加され、終段の積分器14の出力が量子化器3
0に入力されて量子化信号Yが得られる。量子化信号Y
は、1サンプル遅延器40で遅延され、それぞれ係数器
51、52、53、54を介して各積分器11、12、
13、14の入力段にフィードバックされ、各段の積分
入力に対して前記フィードバック信号が加算される(正
確には減算である)。各積分器11〜14は図3(b)
のように、自身の積分出力を遅延器1で1サンプル遅延
し、その遅延信号と積分入力信号とを加算することで積
分出力を得るように構成されている。
【0004】ここで、図3(a)の分散フィードバック
式ΔΣ変調器において、大振幅の入力信号Xが印加され
ても系を安定に保つためには、入力Xから出力Yに至る
伝送系に振幅制限手段(リミッタ)を付加する必要があ
る。そこで、従来では、図3(c)に示すように、各積
分器11〜14の積分信号の出力経路上にリミッタ2を
挿入することが考えられた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、各積分
段をすべて図3(c)のように構成したのでは、当然な
がら第4次の積分器14中のリミッタ2が最初に作動す
ることになるが、各積分器11〜14が直列接続されて
いるので、作動した第4次のリミッタ2によって他3段
の信号ループも制限を受けてしまい、入力Xから出力Y
に至る系が非線形になってしまう。
【0006】つまり、入力信号の振幅レベルに応じて各
積分段が高次から低次へと徐々に飽和して系全体を安定
に保つというのが理想的な振幅制限手段の動作である
が、図3(c)のリミッタつき積分器で図3(a)の分
散フィードバック式ΔΣ変調器を構成したのでは、その
ような動作は実現できないのである。
【0007】この発明は前述した従来の問題点に鑑みな
されたもので、その目的は、入力信号の振幅レベルに応
じて各積分段が高次から低次へと徐々に飽和して系全体
を安定に保てるようにした分散フィードバック式ΔΣ変
調器を提供することにある。
【0008】この発明による分散フィードバック式ΔΣ
変調器は、自身の積分出力を1サンプル遅延した信号と
下記するフィードバック信号とを加算し、その加算出力
をリミッタに入力し、そのリミッタの出力と積分入力を
加算することで前記積分出力を得る積分器を複数段直列
に結合し、初段の積分器に入力信号を加え、終段の積分
器の出力を量子化器に入力し、その量子化器の出力信号
を1サンプル遅延するとともに適宜に係数を掛けた信号
を各積分器に対するフィードバック信号とすることを特
徴とする。
【0009】
【0010】
【作用】自身の積分出力を1サンプル遅延した信号とフ
ィードバック信号との加算出力にリミッタを利かせ、そ
のリミッタの出力と積分入力を加算して前記の積分出力
とするので、リミッタの振幅制限機能が作動した場合で
も、積分入力と加算されるリミッタ出力が飽和するだけ
で、積分入力から積分出力に至る系が飽和するわけでは
ない。したがって、この積分器を複数段直列接続する分
散フィードバック式ΔΣ変調器においては、高次(最終
段)の積分器のリミッタが働いても、その段の積分機能
は飽和するものの、より低次の他の段の積分器の動作に
は支障はなく、初段の入力から出力段の量子化器に至る
系はほぼ線形に保たれる。そのため大振幅の入力に対し
ても安定に動作し、良好な特性を示すΔΣ変調器を実現
できる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図1はこの発明の一実施例による4次の分散フィー
ドバック式ΔΣ変調器の概略構成を示している。基本構
成は従来のものと同様であり、4つの積分器11、1
2、13、14を直列に結合した4次ΔΣ変調器であ
る。各積分段間には係数器21、22、23がそれぞれ
挿入されている。初段の積分器11に入力信号Xが印加
され、終段の積分器14の出力が量子化器30に入力さ
れて量子化信号Yが得られる。量子化信号Yは、1サン
プル遅延器40で遅延され、それぞれ係数器51、5
2、53、54を介して各積分器11、12、13、1
4にフィードバックされる。
【0012】各積分器11〜14にはそれぞれリミッタ
2が内蔵されており、積分のための1サンプル遅延器1
と積分入力と積分出力とフィードバック信号との関係
が、従来技術の項で説明した図3(c)の構成と大きく
異なる。即ち、図1に示しているように、この発明の各
積分器11〜14においては、自身の積分出力を1サン
プル遅延した遅延器1の出力と、それぞれ係数器51〜
54を経たフィードバック信号とがまず加算器61〜6
4にて加算され、その加算出力をリミッタ2に入力し、
リミッタ2の出力と積分入力が加算器65〜68にて加
算されて前記の積分出力となる。
【0013】この構成の積分器を4段直列接続した分散
フィードバック式ΔΣ変調器においては、入力信号Xの
振幅が大きくなり、最終段の積分器14のリミッタ2が
働いても、その段の積分機能は飽和するものの、より低
次の他の段の積分器11、12、13の動作には支障は
なく、初段の入力信号Xから出力段の量子化器30に至
る系はほぼ線形に保たれる。さらに入力信号Xのレベル
が大きくなると、つぎに第3次の積分器13のリミッタ
2も働くが、入力Xから出力Yに至る系はほぼ線形に保
たれる。さらに入力Xのレベルが大きくなると、第2次
の積分器12のリミッタ2も働くが、やはり入出力系の
全体はほぼ線形に保たれる。
【0014】この発明の他の実施例による積分器の構成
を図2(a)に示している。この実施例はアナログ式の
積分器である。積分器の主体はオペアンプOPとコンデ
ンサC0であり、ダイオードD1とダイオードD2が前
記のリミッタ2に相当する。この積分器は、これに含ま
れる4個のスイッチSW1〜SW4がつぎのように4相
のタイミングで動作する。
【0015】即ち、1相目は、SW1=a、SW2=
b、SW3=a、SW4=OFFとなり、コンデンサC
iには積分入力がチャージされ、コンデンサCfにはフ
ィードバック信号がチャージされる。2相目は、SW1
=開放、SW2=a、SW3=b、SW4=ONとな
り、コンデンサCfにチャージされていた電荷がコンデ
ンサC0に加算される。コンデンサC0にダイオードD
1とダイオードD2が並列接続されているので、コンデ
ンサC0の電圧はダイオード順方向降下電圧0.7ボル
トを越えない(これがリミッタの作用である)。3相目
は、SW1=b、SW2=a、SW3=開放、SW4=
OFFとなり、コンデンサCiにチャージされていた電
荷がコンデンサC0に加算される。このときダイオード
D1とダイオードD2が切り離されているため、結果と
して積分入力にリミッタの制限値が加算されているのと
同じになる。この回路の等価回路が図2(b)である。
【0016】以上より、アナログ回路の積分器において
も同様に1サンプル前の信号と、出力からのフィードバ
ック信号を先に加算してからリミッタをかけ、主となる
信号線に加算することができる。尚、上記実施例では積
分器11〜14が4段の場合について示したが、積分器
は2段以上であれば本発明を適用できる。
【0017】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、自身
の積分出力を1サンプル遅延した信号と下記するフィー
ドバック信号とを加算し、その加算出力をリミッタに入
力し、そのリミッタの出力を積分入力を加算することで
前記積分出力を得る積分器を複数段直列に結合し、初段
の積分器に入力信号を加え、終段の積分器の出力を量子
化器に入力し、その量子化器の出力信号を1サンプル遅
延するとともに適宜に係数を掛けた信号を各積分器に対
するフィードバック信号とするよう構成したので、入力
信号の振幅レベルに応じて各積分段が高次から低次へと
徐々に飽和して系全体を安定に保つことができるという
効果がある。即ち、分散フィードバック式変調器はフィ
ードフォワード式変調器と比べて、量子化器前の加算器
が不要で伝達関数および内部振幅をより自由に設定でき
るという利点を有している。そして、この利点を失うこ
となく、大振幅の入力にも安定して動作し、良好な特性
を示すΔΣ変調器を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例による分散フィードバック
式ΔΣ変調器の構成図。
【図2】(a)はこの発明の他の実施例による積分器の
構成図、(b)はその等価回路図。
【図3】(a)は分散フィードバック式ΔΣ変調器の基
本構成図、(b)は積分器の構成図、(c)は従来の積
分器の構成図。
【符号の説明】
1,40…1サンプル遅延器 2…リミッタ 11〜14…積分器 21〜23,51〜54…係数器 30…量子化器

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自身の積分出力を1サンプル遅延した信
    号と下記するフィードバック信号とを加算し、その加算
    出力をリミッタに入力し、そのリミッタの出力と積分入
    力を加算することで前記積分出力を得る積分器を複数段
    直列に結合し、初段の積分器に入力信号を加え、終段の
    積分器の出力を量子化器に入力し、その量子化器の出力
    信号を1サンプル遅延するとともに適宜に係数を掛けた
    信号を各積分器に対するフィードバック信号とすること
    を特徴とする分散フィードバック式ΔΣ変調器。
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