JP3302378B2 - 金属含有ゼオライトおよびその製造法 - Google Patents

金属含有ゼオライトおよびその製造法

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JP3302378B2
JP3302378B2 JP01710191A JP1710191A JP3302378B2 JP 3302378 B2 JP3302378 B2 JP 3302378B2 JP 01710191 A JP01710191 A JP 01710191A JP 1710191 A JP1710191 A JP 1710191A JP 3302378 B2 JP3302378 B2 JP 3302378B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フォージャサイト型ゼ
オライトの結晶骨格を構成しているAl の一部が特定の
金属原子で置換されたフォージャサイト型ゼオライトを
製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】〈ゼオライト〉 ゼオライトには、結晶性アルミノシリケートの一種であ
るフォージャサイト型ゼオライト、結晶性シリケートの
一種であるZSM−5をはじめ、多種多様のものがあ
る。
【0003】〈フォージャサイト型ゼオライト〉 結晶性アルミノシリケートの一種であるフォージャサイ
ト型ゼオライトは、三次元細孔構造を持ちかつ芳香族化
合物分子を取り込むことのできるゲージを有することか
ら、ナフタレン、モノアルキルナフタレン等の芳香族炭
化水素のアルキル化触媒として利用できることが知られ
ている。(たとえば、特開昭63−14739号公報、
特開昭63−230645号公報、特開平1−2458
55号公報、特開平1−246230号公報参照。)
【0004】特開昭63−14738号公報には、フォ
ージャサイト型ゼオライトとして脱アルミナ処理したも
のを用い、ナフタレンやモノアルキルナフタレンのアル
キル化を行うことが示されている。
【0005】フォージャサイト型ゼオライト(殊にY型
ゼオライト)を金属で修飾する方法についても、いくつ
かの検討が行われている。
【0006】たとえば、特開昭63−8344号公報に
は、HY型、脱アルミニウム処理HY型、アルカリ金属
Y型、アルカリ土類金属Y型、希土類金属Y型またはVI
II族金属Y型のY型ゼオライトを用いて、モノアルキル
ナフタリンと低級アルコールとからジアルキルナフタリ
ンを製造する方法が示されている。この公報の2頁下段
左欄の説明によれば、HY型または脱アルミニウム処理
HY型はY型ゼオライトを酸処理することにより調製さ
れ、アルカリ土類金属Y型、希土類金属Y型またはVIII
族金属Y型は、これらの金属のイオンと「イオン交換」
するか「含浸」することにより調製されるとしてあり、
実施例においてもそのようにして調製したゼオライトを
使用している。
【0007】シンポジウム「触媒研究、産学の接点を探
る」予稿集の18〜19頁には、フォージャサイト型ゼ
オライトに属するY型ゼオライトのNa をLa 、Ce 、
Nd等の希土類金属あるいはアルカリ土類金属で「イオ
ン交換」することによって細孔径を調節したものを、ナ
フタレンのアルキル化反応に利用することが示されてい
る。
【0008】また、「CHEMISTRY LETTERS, 1986 」の1
213頁には、(a)HY型ゼオライトを硝酸鉄(III)
水溶液で処理することにより脱アルミニウムを行いなが
らFe を担持させた鉄ゼオライト、(b)硝酸鉄(II)水
溶液で処理することによりイオン交換サイトに鉄を担持
させた鉄イオン交換ゼオライト、(c)水酸化鉄をゼオ
ライト上に沈着させた沈着鉄ゼオライトをそれぞれ用い
て、トルエンの不均化反応における触媒活性を検討した
結果が示されている。
【0009】上述のフォージャサイト型ゼオライトに属
するX型ゼオライトは、典型的には Na2O/Al2O3/2.5SiO2/6H2O の組成を有し(Si/Al 原子比は1.25)、その合成時のSi
O2/Al2O3モル比は3〜5、結晶化反応温度は100℃前
後である。
【0010】また、同じくフォージャサイト型ゼオライ
トに属するY型ゼオライトは、典型的には Na2O/Al2O3/4.8SiO2/8H2O の組成を有し(Si/Al 原子比は 2.4)、その合成時のSi
O2/Al2O3モル比は8〜20、結晶化反応温度は100℃
前後である。
【0011】特開昭61−21911号公報の従来法の
説明の個所にも、一般にフォージャサイト型ゼオライト
は酸化物モル組成で、 (0.9±0.2)M2O/Al2O3/xSiO2/wH2O (Mはここではアルカリ金属陽イオン、xは 2.5〜6、
wは6〜9)で表わされることが示されている。
【0012】なおこの特開昭61−21911号公報の
発明は、シリカ源、アルミナ源およびアルカリ源よりな
る原料混合物を加熱・結晶化してフォージャサイト型ゼ
オライトを製造するに際し、予めケイ酸アルカリ水溶
液、アルミン酸アルカリ水溶液および水酸化アルカリ水
溶液を混合し熟成して得られる透明な液相物質を、該原
料混合物中に存在させるようにしたものである。
【0013】〈ZSM−5〉 一方、結晶性シリケートの一種であるZSM−5は、典
型的には (0-20)M2O/(0-20)Al2O3/100SiO2 の組成を有し(Si/Al 原子比は15以上)、その合成時
のSiO2/Al2O3モル比はたとえば180、結晶化反応温度
は150℃前後である。
【0014】特開昭57−196719号公報には、シ
リカ源、遷移金属および/またはアルミナ源、アルカリ
源、水およびジグリコールアミンを含有する反応混合物
をつくり、この混合物を結晶性シリケートが生成するに
至る時間および温度で加熱することからなる結晶性シリ
ケートの製造方法について開示があり、遷移金属につい
てはFe 、Ni 、Co 、Rh 、Ru 、Pd 、La 、Ce
、Ti 、V、Cr 、Nb 、Ta が用いられるとしてい
る。ジグリコールアミンの使用は、遷移金属の種類に関
係なく結晶度を高くし、触媒活性を向上させるためであ
る。なお実施例1には、水ガラスよりなるA液に、水と
塩酸の混合物中に塩化第二鉄と硫酸アルミニウムを溶解
したB液を添加し、さらにジグリコールアミンを添加し
て反応混合物を作り、この混合物を撹拌下に反応させ
て、有機化合物および結晶水を除いた組成が 0.6Na2O/0.45Fe2O3/0.55Al2O3/77SiO2 である結晶性シリケートを製造した例が示されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上にも述べたように、
フォージャサイト型ゼオライトはナフタレン、モノアル
キルナフタレン等の芳香族炭化水素のアルキル化触媒と
して知られているが、結晶内にラージゲージを有してい
るため目的物の選択性は余り高くはない上、そのゲージ
内でコークの析出が起こり、反応活性の劣化を起こしや
すい。
【0016】Y型ゼオライトを事後的に金属で修飾する
方法は、上述のラージゲージを縮小して選択性を向上さ
せようとするものである。
【0017】しかしながら、アルカリ土類金属または希
土類金属を用いてY型ゼオライトをイオン交換する方法
は、目的金属の確実な置換は不可能である上、選択率の
向上にも限度がある。またアルカリ土類金属でイオン交
換するときには、イオン交換により導入した金属が触媒
の再生時にBa CO3 等に変換するため、再使用が不可
能になるという問題点がある。
【0018】含浸法や沈着法により金属を担持させる場
合も、選択率の向上は余り期待できない。
【0019】HY型ゼオライトを硝酸鉄(III) 水溶液で
処理することにより脱アルミニウムを行いながらFe を
担持させる方法は、Y型ゼオライトの骨格を構成してい
るAl の一部が脱離するものの、均質性を欠く上、Al
の脱離した位置を確実にFeが占めるとは限らず、また
Fe が酸化物として細孔中にも残存し、ゼオライトの細
孔を閉塞する傾向がある。
【0020】特開昭57−196719号公報には、予
め反応混合物中に遷移金属を配合して反応させる方法が
示されているが、これは結晶性シリケートであるZSM
−5に関するものであり、結晶性アルミノシリケートで
あるフォージャサイト型ゼオライトを得ることを目的と
する本発明とは直接の関係がない。また結晶性シリケー
トを用いたときは、たとえ遷移金属を導入しても、ナフ
タレン、モノアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素の
アルキル化反応における選択性が小さい。
【0021】本発明は、このような背景下において、結
晶骨格のうちAl の占めるべき位置の一部を特定の金属
で置換占有させたフォージャサイト型ゼオライトの製造
法を提供することを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の金属含有ゼオラ
イトの製造法は、シリカ源、アルミナ源およびアルカリ
源と共に、鉄族またはチタン族の金属から選ばれた少な
くとも1種の金属の化合物を配合した混合物を調製し、
ついで該混合物を加熱して結晶化させること、このと
き、前記混合物の調製は温度30〜80℃で行い、前記
結晶化反応は温度70〜110℃で行うことにより、フ
ォージャサイト型ゼオライトを生成させること 前記で
調製した混合物の組成は、モル比で、 SiO 2 /Al 2 O 3 = 9-15 M' 2 O/Al 2 O 3 = 1.5-5 H 2 O/M' 2 O = 30-55 M m O n /SiO 2 = 0.001-0.15 (ただし、M' はアルカリ金属、Mは鉄族またはチタン
族の金属、M m n は金属Mの酸化物型であってmおよ
びnは正の整数)であること、および、 得られた結晶物
の酸化物組成は (0.1-0.15)Al 2 O 3 /(0.6-0.8)SiO 2 /(0.1-0.2)M' 2 O/(0.001-0.1)M m O n (ただし、M' 、M、M m n 、mおよびnは前記と同
じ、かっこ内の数値はモル組成)であること を特徴とす
るものである。
【0023】以下本発明を詳細に説明する。
【0024】本発明においては、シリカ源、アルミナ源
およびアルカリ源と共に、鉄族またはチタン族の金属か
ら選ばれた少なくとも1種の金属の化合物を配合した混
合物を調製する。
【0025】シリカ源としては、ゼオライト合成に使用
されるもの、たとえば、シリカ粉末、コロイド状シリ
カ、水ガラス、ケイ砂、含水固体ケイ酸などが用いられ
る。
【0026】アルミナ源としては、硫酸アルミニウム、
アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、塩化アル
ミニウム、活性アルミナなどが用いられる。
【0027】アルカリ源としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウムなど
が用いられるが、シリカ源やアルミナ源としてアルカリ
金属塩を用いるときは、そのアルカリ金属をアルカリ源
として利用することもできる。
【0028】鉄族またはチタン族の金属から選ばれた金
属の化合物としては、Fe 、Co 、Ni またはZr の硝
酸塩、硫酸塩、塩化物等の水溶性塩が好適に用いられ、
特にFe またはZr の水溶性塩が最適である。
【0029】混合物の組成は、モル比で、 SiO2/Al2O3 = 9-15 M'2O/Al2O3 = 1.5-5 H2O/M'2O = 30-55 MmOn/SiO2 = 0.001-0.15 (ただし、M' はアルカリ金属、Mは鉄族またはチタン
族の金属、Mmn は金属Mの酸化物型であってmおよ
びnは正の整数)に設定される。組成がこの範囲からは
ずれるときは目的とするフォージャサイト型ゼオライト
が得られない。
【0030】混合物の調製に際しては、シリカ源および
アルカリ源の混合水溶液中に撹拌下にアルミナ源および
鉄族またはチタン族の金属の化合物の水溶液を混合する
方法、シリカ源の水溶液中に撹拌下にアルミナ源、アル
カリ源および鉄族またはチタン族の金属の化合物の水溶
液の混合水溶液を混合する方法などが好適に採用され
る。
【0031】上記混合物をフォージャサイト型ゼオライ
トが生成する条件下に加熱、結晶化することにより、目
的とするフォージャサイト型ゼオライトが得られる。
【0032】この場合、まず主原料混合物を加温反応さ
せてスラリー状物質とした後、遠心分離および水洗を行
ってゲル状物質を得、このゲル状物質を摩砕して微細ゲ
ル状物質としてから、水を加えてスラリーとなし、この
スラリーに別途準備した結晶化促進剤を混合して結晶化
に供するようにすることが好ましい。ここで結晶化促進
剤としては、上述のシリカ源、アルミナ源およびアルカ
リ源よりなる混合水溶液を熟成したものが特に好まし
く、そのほか、微粉末固体シリカ、微粉末ゼオライトな
どを用いることもできる。なお結晶化促進剤を用いると
きは、それが最終ゼオライト中に組み込まれることを加
味して主原料混合物組成を定めるべきである。
【0033】混合物調製時の温度は30〜80℃に設定
される。結晶化促進剤がシリカ源、アルミナ源およびア
ルカリ源よりなる混合水溶液であるときは、その結晶化
製剤の温度も30〜80℃程度であることが望ましい。
【0034】結晶化反応温度は70〜110℃に設定さ
れ、殊に90〜100℃程度とすることが望ましく、温
度が余りに高いと結晶化反応がはやすぎて鉄族金属また
はチタン族金属が所期の骨格位置に入らないことがあ
り、一方温度が余りに低いと結晶化が円滑に進行しな
い。また、結晶化反応時間は8〜48時間程度が適当で
あり、反応時間が短すぎると結晶化が不充分となり、反
応時間が長すぎると、一度骨格に入った金属が追い出さ
れたりすることがある上、生産性の点で不利となる。
【0035】結晶生成後は固液分離を行い、充分に水洗
してから乾燥させる。これにより目的とする結晶物が得
られる。
【0036】得られた結晶物に対しては、空気雰囲気下
に300〜700℃、殊に350〜600℃程度の温度
条件にて20分〜5時間程度焼成を行う。これにより、
結晶物の酸化物組成が (0.1-0.15)Al2O3/(0.6-0.8)SiO2/(0.1-0.2)M'2O/(0.001-0.1)MmOn (ただし、M' 、M、M m n 、mおよびnは前記と同
じ、かっこ内の数値はモル組成)であるフォージャサイ
ト型ゼオライトが得られる。
【0037】そして通常は、その焼成物に対し酸処理を
行って水素型にするか、NH4 型にした後、空気中で焼
成して水素型にするか、焼成物に対してイオン交換を行
ってNH4 型に変換した後、さらに水蒸気雰囲気下に5
00〜900℃程度の温度で10分〜3時間程度水蒸気
雰囲気下で焼成することにより水素型とする。水蒸気雰
囲気下に焼成することは、若干の脱Al が生じて結晶が
わずかに変形し、芳香族炭化水素のアルキル化の点で好
ましいものとなる。また、このようにして得た水素型の
ゼオライトに、イオン交換法や含浸法あるいは沈着法に
より、さらに鉄族金属やチタン属金属あるいはその他の
金属を担持させることもできる。
【0038】上記の焼成後の結晶物またはNH4 型やH
型に変換後の結晶物は、成型、造粒または破砕を行うこ
とにより、適当な形状、粒径に調節することができる。
【0039】上記の方法により製造されたフォージャサ
イト型ゼオライトは、ナフタレンやモノアルキルナフタ
レン等の芳香族炭化水素のアルキル化触媒として特に有
用であり、そのほか、各種の触媒、吸着分離剤、分子篩
剤、担体、その他の用途に使用することができる。
【0040】
【作用および発明の効果】本発明においては、シリカ
源、アルミナ源およびアルカリ源と共に鉄族金属または
チタン族金属を予め原料混合物中に配合した状態で結晶
化反応に供しており、かつ混合物の調製および結晶化反
応を特定の温度範囲で行い、さらには調製した混合物の
組成、結晶物の酸化物組成を特定の組成に設計している
ので、得られたフォージャサイト型ゼオライトの結晶骨
格を構成するAl の一部が、鉄族またはチタン族の金属
で置換占有されている。
【0041】そのため、一般のフォージャサイト型ゼオ
ライトの有するラージゲージを縮小することができ、た
とえばナフタレン、モノアルキルナフタレン等の芳香族
炭化水素のアルキル化触媒として用いた場合、目的物の
選択性が顕著に向上する。また、細孔内に目的金属の酸
化物が残存したり、ゲージ内でのコークの析出が生じた
りするおそれがなく、触媒寿命が長くなる。
【0042】このようなすぐれた効果は、イオン交換
法、含浸法(または沈着法)、脱アルミニウムを行いな
がら鉄を担持させる方法などY型ゼオライトを事後的に
金属で修飾する方法によっては得られないものである。
【0043】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。使用した水はいずれもイオン交換水である。
【0044】実施例1 硫酸アルミニウム51gを水100gに溶解させた水溶
液と、硝酸鉄18.6gを水40gに溶解させた水溶液とを
混合し、A液とした。
【0045】ケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス3号)
207gと、水酸化ナトリウム 5.8gを水152gに溶
解させた水溶液とを混合し、B液とした。
【0046】A液およびB液を60℃に加熱し、B液を
ホモジナイザー撹拌器で撹拌しながらそこにA液を添加
し、反応を開始させた。反応開始後30分間撹拌を続け
てスラリー状物質を得た。
【0047】このスラリー状物質を遠心分離器を用いて
ゲル状物質と水とに分離し、分離したゲル状物質に水を
加え、再び遠心分離を行うと共に、洗浄液中にSO4 2-
が検出されなくなるまで水洗を繰り返した。ついで、得
られたゲル状物質をらいかい機を用いて磨砕し、微細ゲ
ル状物質を得た。
【0048】一方、アルミン酸ナトリウム8gを水22
gに溶解した水溶液と、水酸化ナトリウム28gを水4
4gに溶解した水溶液とを混合し、30℃に保った。こ
の混合液に、同様に30℃に保ったケイ酸ナトリウム水
溶液(水ガラス3号)82.8gを加え、ゆっくり撹拌しな
がら40℃に昇温してこの温度に60分間保って熟成
し、結晶化促進剤としての水溶液(C液)を調製した。
【0049】先に得た微細ゲル状物質100g(水分7
1.4重量%)に水63gを加え、ホモジナイザー撹拌器
で充分に撹拌しながら、上記で調製したC液を53g加
え、30分間撹拌して結晶化用スラリーを得た。この結
晶化用スラリーをフッ素樹脂製の密閉式容器に入れ、9
5℃の恒温器の中で24時間静置し、結晶化させた。結
晶化終了後、遠心分離器で固液を分離し、充分に水洗
後、110℃で乾燥させた。
【0050】なお、結晶化促進剤を含めた混合物の組成
は、モル比で、 SiO2/Al2O3 = 10 Na2O/Al2O3 = 3.3 H2O/Na2O = 43 Fe2O3/SiO2 = 0.017 となる。
【0051】得られた結晶物のX線回析図を図1に示
す。図1のピークから、得られた結晶物はフォージャサ
イト型ゼオライトであることが確認できる。
【0052】次に、上記で得た結晶物を空気雰囲気下に
おいて540℃で3時間焼成した。焼成後の酸化物組成
は、 0.122Al2O3/0.719SiO2/0.143Na2O/0.017Fe2O3 であった。
【0053】この焼成物につき1N−NH4 NO3 溶液
を用いて80℃でイオン交換を2回行った後、遠心分離
器で固液分離し、110℃で乾燥させた。
【0054】得られたNH4 型結晶物を水蒸気雰囲気下
に700℃で1時間焼成した後、再び1N−NH4 NO
3 溶液を用いて上記と同じ条件でイオン交換を行った
後、水蒸気雰囲気下において上記と同じ条件で焼成を行
った。これにより、水素型の鉄含有ゼオライトが得られ
た。
【0055】この鉄含有ゼオライトのSiO2/Al2O3モル比
は 4.9、Na2O含有量は 0.8重量%、Fe2O3 含有量は 4.8
重量%であった。
【0056】また、得られた鉄含有ゼオライトのESR
(電子スピン共鳴)スペクトル分析の結果は図2の曲線
1の如くであった。g=4.3 付近に現われる上向きのピ
ークはゼオライトの骨格構造に取り込まれたFe3+ を示
す。g=2.3 付近には不純物としてゼオライト結晶内外
に存在するFe23 が現われることになるが、上記で得
た鉄含有ゼオライトにはこのような遊離のFe23 は実
質的に存在していないことがわかる。
【0057】比較例1 市販のY型ゼオライトを 0.3N−Fe(NO3)3 水溶液を
用いて80℃、1時間の条件にて2回イオン交換させた
後、空気雰囲気下に540℃で3時間焼成した。
【0058】この鉄イオン交換ゼオライトの電子スピン
共鳴スペクトル分析の結果を図2の曲線2に示す。g=
4.3 付近に現われる上向きのピークはゼオライトの骨格
構造に取り込まれたFe3+ を示すが、曲線1に比較する
とピークのシャープさが減少していることがわかる。ま
たg=2.3 付近に下向きのなだらかなピークがあること
から、不純物としてゼオライト結晶内外に存在するFe2
3 が相当量あることがわかる。
【0059】実施例2 アルミン酸ナトリウム20gを水40gに溶解させた水
溶液(A液)、硝酸鉄6.1gを水20gに溶解させた水
溶液(B液)、およびケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラ
ス3号)207gに水40gを加えた水溶液(D液)を
いずれも60℃に加温し、D液をホモジナイザー撹拌器
で撹拌しながら、これにA液とB液とを同時に添加し、
反応を開始させた。反応開始後30分間撹拌を続けてス
ラリー状物質を得た。
【0060】このスラリー状物質につき、実施例1と同
様にして遠心分離、水洗を繰り返してから摩砕を行い、
微細ゲル状物質を得た。
【0061】この微細ゲル状物質100g(水分62重
量%)に水41gと水ガラス71gを加え、ホモジナイ
ザー撹拌器で充分に撹拌しながら、実施例1で用いたC
液を17.4g加え、30分間撹拌して結晶化用スラリーを
得た。この結晶化用スラリーをフッ素樹脂製の密閉式容
器に入れ、95℃の恒温器の中で17時間静置し、結晶
化させた。結晶化終了後、遠心分離器で固液を分離し、
充分に水洗後、110℃で乾燥させた。
【0062】なお、結晶化促進剤を含めた混合物の組成
は、モル比で、 SiO2/Al2O3 = 10 Na2O/Al2O3 = 3 H2O/Na2O = 40 Fe2O3/SiO2 = 0.018 となる。
【0063】得られた結晶物のX線回析図から、この結
晶物はフォージャサイト型ゼオライトであることが確認
できた。
【0064】さらに実施例1と同様にして空気雰囲気下
の焼成を行った。焼成後の酸化物組成は、 0.13Al2O3/0.72SiO2/0.14Na2O/0.0067Fe2O3 であった。
【0065】この焼成物につき、実施例1と同様にして
NH4 型結晶の取得、水蒸気雰囲気下での焼成を行い、
水素型の鉄含有ゼオライトを得た。
【0066】この鉄含有ゼオライトのSiO2/Al2O3モル比
は 5.8、Na2O含有量は 0.0重量%、Fe2O3 含有量は 1.5
重量%であった。
【0067】実施例3 実施例1で得られた水素型鉄含有ゼオライト10gを、
0.1N−Fe(NO3)3・9H2 O)水溶液300ccを用
いて80℃、1時間処理する操作を2回繰り返した後、
110℃で乾燥し、さらに空気雰囲気下において540
℃で3時間焼成を行い、鉄イオン交換−鉄含有ゼオライ
トを得た。
【0068】この鉄イオン交換−鉄含有ゼオライトのSi
O2/Al2O3モル比は 6.3、Fe2O3 含有量は11.5重量%であ
った。
【0069】実施例4 実施例2の硝酸鉄の代わりに硝酸ジルコニウム 2.6gを
水46gに溶解した水溶液(B液)を用い、結晶化時間
を16時間としたほかは、実施例2を繰り返した。
【0070】得られた結晶物のX線回析図から、この結
晶物はフォージャサイト型ゼオライトであることが確認
できた。
【0071】さらに実施例2と同様にして空気雰囲気下
の焼成、NH4 型結晶の取得、水蒸気雰囲気下での焼成
を行い、水素型のジルコニウム含有ゼオライトを得た。
【0072】このジルコニウム含有ゼオライトのSiO2/A
l2O3モル比は 5.0、Zr2O4 含有量は1.9重量%であっ
た。
【0073】応用例 実施例1〜4で得た金属含有フォージャサイト型ゼオラ
イトを圧縮成形した後、26〜42メッシュに揃えた。
【0074】このようにして得た触媒1gを石英製反応
管に充填し、空気気流中にて360℃で1時間加熱した
後、窒素気流(1.2リットル/hr)に切り替え、β−メチル
ナフタレンとメタノールとの重量比で1:1の混合物を
温度300℃、流量3g/hrの条件で反応器に通じ、メチ
ル化反応を行った。
【0075】反応生成物をガスクロマトグラフィーによ
り分析(面積比による定量分析)した結果は、次の通り
であった。転化率とあるのはβ−メチルナフタレンの転
化率、選択率とあるのはジメチルナフタレンの選択率で
ある。
【0076】
【0077】比較例1は転化率はよいが選択率が低く、
工業化に際しては実施例の方がすぐれていることがわか
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた結晶物のX線回析図であ
る。
【図2】実施例1および比較例1で得られた鉄含有ゼオ
ライトの電子スピン共鳴スペクトル分析結果を示したも
のである。
【符号の説明】
1…実施例1の電子スピン共鳴スペクトル分析 2…比較例1の電子スピン共鳴スペクトル分析
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−196719(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 39/00 - 39/54 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリカ源、アルミナ源およびアルカリ源と
    共に、鉄族またはチタン族の金属から選ばれた少なくと
    も1種の金属の化合物を配合した混合物を調製し、つい
    で該混合物を加熱して結晶化させること、 このとき、前記混合物の調製は温度30〜80℃で行
    い、前記結晶化反応は温度70〜110℃で行うことに
    より、フォージャサイト型ゼオライトを生成させるこ
    前記で調製した混合物の組成は、モル比で、 SiO 2 /Al 2 O 3 = 9-15 M' 2 O/Al 2 O 3 = 1.5-5 H 2 O/M' 2 O = 30-55 M m O n /SiO 2 = 0.001-0.15 (ただし、M' はアルカリ金属、Mは鉄族またはチタン
    族の金属、M m n は金属Mの酸化物型であってmおよ
    びnは正の整数)であること、および、 得られた結晶物の酸化物組成は (0.1-0.15)Al 2 O 3 /(0.6-0.8)SiO 2 /(0.1-0.2)M' 2 O/(0.001-0.1)M m O n (ただし、M' 、M、M m n 、mおよびnは前記と同
    じ、かっこ内の数値はモル組成)であること を特徴とす
    る金属含有ゼオライトの製造法。
  2. 【請求項2】鉄族またはチタン族の金属がFe 、Co 、
    Ni またはZr である請求項1記載の製造法。
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