JP3301840B2 - カラー感熱プリンタのヘッド冷却装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、カラー感熱プリンタの
ヘッド冷却装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】サーマルプリンタでは、複数の発熱素子
を主走査方向にライン状に配列したサーマルヘッドが用
いられ、このサーマルヘッドを記録紙に対して副走査方
向に相対的に移動させながら、各発熱素子を画像データ
に応じて発熱させ、記録紙にインクドットを記録してい
る。サーマルヘッドによる記録方式には、熱によって発
色する感熱紙をサーマルヘッドで直接加熱して可視像を
形成する感熱記録方式と、フィルムベース上に塗布され
た昇華性または熱溶融性のインクを普通紙に転写する熱
転写記録方式とがある。

【０００３】感熱記録方式のサーマルプリンタは、感熱
紙に直接に画像を熱記録できることから広く用いられて
おり、例えば特開昭６１─２１３１６９号公報に記載さ
れているように、支持体上にシアン感熱発色層，マゼン
タ感熱発色層，イエロー感熱発色層を順次層設して、フ
ルカラーの画像を直接に熱記録することができるように
したカラー感熱記録材料も提案されている。このカラー
感熱記録材料は、表面側の感熱発色層から順に熱記録を
行うが、次の感熱発色層に熱記録する際に、その上にあ
る熱記録済みの感熱発色層が再度熱記録されないように
するため、熱記録後に個々の感熱発色層に特有な波長域
の紫外線を照射して発色能力を失わせている。

【０００４】光定着に用いられる紫外線ランプは、例え
ば実公昭６３−３３３２１号公報に記載されているよう
に、その管壁温度によって発光量が変化し、管壁温度が
低いと発光量が少なく、管壁温度が上昇するにつれて発
光量も増加するが、より高温になると発光量は逆に低下
するという特性を持っている。このような特性に影響さ
れることなく均一な光定着を行うためには、管壁温度を
所定の温度範囲内に維持することが重要である。

【０００５】以上のような背景から、カラー感熱記録材
料を用いるサーマルプリンタ（以下カラー感熱プリンタ
という）には、一般的にサーマルヘッドや紫外線ランプ
を冷却するためのファンが設けられている。例えば実公
平１−４３７１２号公報には、サーマルヘッドと紫外線
ランプとの両方を１つのファンで同時に冷却するように
した冷却装置が記載されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たように、ヘッド温度は所定温度よりも上昇しすぎない
ように冷却すればよいのに対し、紫外線ランプの管壁温
度は所定の温度範囲内に維持するように厳密に温度制御
を行わなくてはならない。このため、１つのファンをサ
ーマルヘッドと紫外線ランプとで兼用して冷却を行う場
合には、ファンの制御が極めて困難である。

【０００７】また従来のカラー感熱プリンタでは、外装
ケースに放熱用の通気口を設ける程度で、被冷却部を通
過した温風の行方についてはあまり配慮がなされていな
い。このため、ヘッド冷却用のファンの風が直接、ある
いはサーマルヘッドを通過して温風となってから紫外線
ランプに吹きつけられ、紫外線ランプの管壁温度を制御
するうえでの妨げとなっている。

【０００８】本発明は、上記の事情を考慮してなされた
もので、ランプ温度の制御を妨げることなく、サーマル
ヘッドの温度上昇を抑えることができるカラー感熱プリ
ンタのヘッド冷却装置を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、サーマルヘッドに向けて空気を吹きつけ
る冷却ファンと、この冷却ファンからの風を遮って紫外
線ランプに吹き当たらないようにする導風板とを設ける
ものである。また、冷却ファンをサーマルヘッドの背面
側に配置し、導風板をサーマルヘッドの背面端縁部に設
けて紫外線ランプと隣接させるようにする。サーマルヘ
ッドに吹き当てられた冷却用空気は、導風板によって紫
外線ランプを迂回するように向きが変えられる。したが
って、紫外線ランプは、ヘッド冷却用空気の影響を受け
ないので、その温度制御が容易となる。

【００１０】

【実施例】図１及び図２において、シート状をしたカラ
ー感熱記録材料１０は、その先端がクランプ部材１１に
よってプラテンドラム１２に押さえつけられ固定され
る。熱記録及び光定着時に、プラテンドラム１２は、モ
ータ（図示せず）によって一定速度で回転される。

【００１１】プラテンドラム１２の外周には、熱記録位
置にサーマルヘッド１５、その熱記録位置の下流側に棒
状をした紫外線ランプ１６，１７が設けられている。紫
外線ランプ１６，１７の背後にはカラー感熱記録材料１
０と対向する側が開口したリフレクター１８が配置され
ており、イエロー用紫外線ランプ１６はほぼ４２０ｎ
ｍ、マゼンタ用紫外線ランプ１７はほぼ３６５ｎｍ付近
の紫外線を発光する。

【００１２】サーマルヘッド１５は、周知のように多数
の発熱素子をライン状に配列したものであり、熱記録す
べき色及びその発色濃度に応じた熱エネルギーを発生す
る。サーマルヘッド１５の背面部には、導風板２０が取
り付けられている。導風板２０は、中央部で屈曲した板
材からなり、その一部が紫外線ランプ１６，１７の背面
側に向けて突出するように、サーマルヘッド１５の紫外
線ランプ１６，１７と隣接する側の端縁部に取り付けら
れる。また、サーマルヘッド１５の背面側、および紫外
線ランプ１６，１７の側面側には、冷却ファン２１およ
び２２が設けられ、それぞれサーマルヘッド１５および
紫外線ランプ１６，１７に向けて冷却用空気を吹きつけ
る。なお、符号２５，２６は温度センサであり、紫外線
ランプ１６，１７とサーマルヘッド１５の温度を検出す
る。

【００１３】図３は、カラー感熱記録材料１０の一例を
示すものである。支持体３０の上にシアン感熱発色層３
１，マゼンタ感熱発色層３２，イエロー感熱発色層３
３，保護層３４が順次層設されている。これらの各感熱
発色層３１〜３３は、熱記録される順番に表面から層設
されているが、例えばマゼンタ，イエロー，シアンの順
番に熱記録する場合には、イエロー感熱発色層３３とマ
ゼンタ感熱発色層３２との位置が入れ換えられる。ま
た、各層の間には中間層（図示せず）が設けられてい
る。

【００１４】図４は、各感熱発色層３１〜３３の発色特
性を示すものである。横軸の熱エネルギーは、サーマル
ヘッド１５の各発熱素子が発生する熱エネルギーを表し
ており、イエロー感熱発色層３３の熱エネルギーが最も
低く、シアン感熱発色層３１の熱エネルギーが最も高
い。

【００１５】マゼンタ感熱発色層３２は、サーマルヘッ
ド１５でマゼンタ画像を熱記録した後に、３６５ｎｍ付
近の紫外線を照射すると発色能力が失われ、イエロー感
熱発色層３３は、４２０ｎｍ付近の紫外線を照射すると
発色能力が失われる。また、シアン感熱発色層３１は、
感熱発色するのに必要な熱エネルギーがほぼ８０ｍＪ／
ｍｍ² 以上であり、通常の保管状態では発色することは
ないので、光定着性が与えられていない。

【００１６】次に、上記本実施例の作用を説明する。プ
リントが指示されると、カセット（図示せず）からカラ
ー感熱記録材料１０が供給される。そして、カラー感熱
記録材料１０がプラテンドラム１２のクランプ位置にセ
ットされると、クランプ部材１１がカラー感熱記録材料
１０をプラテンドラム１２に押しつけて固定する。この
後、モータ（図示せず）によってプラテンドラム１２が
回転し、カラー感熱記録材料１０がプラテンドラム１２
の外周に巻き付けられる。また、給紙が始まると同時
に、イエロー用紫外線ランプ１６が発光を開始する。

【００１７】プラテンドラム１２が回転してカラー感熱
記録材料１０の記録エリアの先端がサーマルヘッド１５
に達すると、このサーマルヘッド１５によってイエロー
画像が１ラインずつ熱記録される。このイエロー画像の
熱記録では、サーマルヘッド１５の各発熱素子は図４に
示す発色特性を考慮した熱エネルギーを発生する。

【００１８】サーマルヘッド１５はイエロー画像の熱記
録中に、発熱によって温度が高くなる。この温度は、サ
ーマルヘッド１５に設けた温度センサ２６によって検出
される。そして、この温度が一定値以上になると、冷却
ファン２１が作動し、サーマルヘッド１５の背面に冷却
用空気を吹きつけてサーマルヘッド１５を冷却する。こ
の際、冷却ファン２１から吹きつけられた冷却用空気
が、サーマルヘッド１５の四方に向けて排出されている
が、サーマルヘッド１５の背面に導風板２０が取り付け
られているので、紫外線ランプ１６側に向かう空気は、
導風板２０を伝って紫外線ランプ１６の背面側に排出さ
れ、紫外線ランプ１６の管壁に達することはない。な
お、実際には、サーマルヘッド１５の背面には複数の冷
却ファンが設けられており、冷却効果を高めている。

【００１９】イエロー画像が熱記録された部分は、イエ
ロー用紫外線ランプ１６に達し、ここでほぼ４２０ｎｍ
の紫外線が照射されて定着される。このイエロー用紫外
線ランプ１６の点灯によって、紫外線ランプ１６の管壁
温度が上昇する。この管壁温度は、温度センサ２５によ
って間接的に検知され、一定値以上になると冷却ファン
２２が作動して冷却用空気を紫外線ランプ１６に吹きつ
け、管壁温度を所定値範囲に保つ。この紫外線ランプ１
６を冷却した空気は、冷却ファン２２と反対側の位置で
ケースに設けた排気口から排出される。ここで、紫外線
ランプ１６の管壁温度は、ヘッド冷却用のファン２１か
らの冷却用空気に影響されることなく制御されるので、
所定の温度範囲内に維持されて均一な光定着を施すこと
ができる。そして、カラー感熱記録材料１０の終端がイ
エロー用紫外線ランプ１６を通過すると、イエロー用紫
外線ランプ１６は発光を停止する。

【００２０】プラテンドラム１２が１回転して、カラー
感熱記録材料１０の記録エリアの先端が再びサーマルヘ
ッド１５の位置に達すると、マゼンタ画像が１ラインず
つ熱記録される。このマゼンタ画像の熱記録では、サー
マルヘッド１５の各発熱素子は、図４に示す発色特性を
考慮した熱エネルギーを正確に発生する。同時に、マゼ
ンタ用紫外線ランプ１７が発光を開始し、マゼンタ画像
が熱記録されたカラー感熱記録材料１０にほぼ３６５ｎ
ｍの紫外線を照射して定着を行う。このマゼンタ記録の
場合も、前述したようにサーマルヘッド１５と紫外線ラ
ンプ１７の温度が独立して制御される。カラー感熱記録
材料１０の終端がマゼンタ用紫外線ランプ１７を通過す
ると、マゼンタ用紫外線ランプ１７は発光を停止する。
さらにプラテンドラム１２が回転して、カラー感熱記録
材料１０がサーマルヘッド１５に対面し、このサーマル
ヘッド１５によってシアン画像が１ラインずつ熱記録さ
れる。

【００２１】イエロー画像，マゼンタ画像，シアン画像
の熱記録および光定着が終了すると、クランプ部材１１
による固定が解除され、熱記録済みカラー感熱記録材料
１０はトレイ（図示せず）に排出される。

【００２２】図５は導風板の別の実施例を示すもので、
導風板に紙押さえバネを一体に形成したものである。な
お、図１および図２に表した実施例と共通な部材につい
ては、共通の符号を付してある。導風板４０は、防風壁
４０ａ，バネ性を有する紙押さえ部４０ｂ，及び取付部
４０ｃの３つの板部により構成され、各板部４０ａ〜４
０ｃが三叉状に一体に形成されている。この導風板４０
は、防風壁４０ａが上側、紙押さえ部４０ｂがカラー感
熱記録材料１０と接触する下側に向くように、取付部４
０ｃをサーマルヘッド１５の背面に取り付けられて固定
される。この実施例によれば、防風壁４０ａが紫外線ラ
ンプ１６，１７に向かう冷却ファン２１からの冷却用空
気を遮り、紙押さえ部４０ｂがカラー感熱記録材料１０
をプラテンドラム１２に押しつけてカラー感熱記録材料
１０の浮き上がりを防止する。

【００２３】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、サーマル
ヘッドに向けて空気を吹きつける冷却ファンを設けたの
で、サーマルヘッドは、この冷却ファンからの風によっ
て蓄熱が抑えられ、記録濃度に応じた熱エネルギーを正
確に発生することができる。しかも、冷却ファンからの
風を遮って紫外線ランプに吹き当たらないようにする導
風板を設けたので、紫外線ランプの管壁温度は、サーマ
ルヘッド用冷却ファンからの風に影響されることなく、
正確に制御することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のヘッド冷却装置を備えたカラー感熱プ
リンタの概略図である。

【図２】図１に示したカラー感熱プリンタの側面図であ
る。

【図３】カラー感熱記録材料の層構造を示す説明図であ
る。

【図４】カラー感熱記録材料の発色特性を示すグラフで
ある。

【図５】導風板の別の実施例を示す概略図である。

【符号の説明】

１５ サーマルヘッド １６，１７ 紫外線ランプ ２０，４０ 導風板 ２１，２２ 冷却ファン

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41J 2/32 B41J 29/377

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持体上に複数の感熱発色層を層設した
   カラー感熱記録材料を用い、このカラー感熱記録材料と
   サーマルヘッドとを相対的に移動させながら、各感熱発
   色層に対して熱記録するとともに、この熱記録された部
   分に紫外線ランプからの紫外線を照射して光定着を行う
   カラー感熱プリンタにおいて、 前記サーマルヘッドに向けて空気を吹きつける冷却ファ
   ンと、この冷却ファンからの風を遮って前記紫外線ラン
   プに吹き当たらないようにする導風板とを設けたことを
   特徴とするカラー感熱プリンタのヘッド冷却装置。
2. 【請求項２】 前記冷却ファンをサーマルヘッドの背面
   側に配置するとともに、前記導風板を、前記紫外線ラン
   プと隣接する側のサーマルヘッド背面端縁部に設けたこ
   とを特徴とする請求項１記載のカラー感熱プリンタのヘ
   ッド冷却装置。