JP3301629B2 - 金属光沢を有しかつ磁気特性の優れた方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

金属光沢を有しかつ磁気特性の優れた方向性けい素鋼板の製造方法

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JP3301629B2
JP3301629B2 JP05818492A JP5818492A JP3301629B2 JP 3301629 B2 JP3301629 B2 JP 3301629B2 JP 05818492 A JP05818492 A JP 05818492A JP 5818492 A JP5818492 A JP 5818492A JP 3301629 B2 JP3301629 B2 JP 3301629B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、金属光沢を有し、さ
らに磁束密度の極めて優れた方向性けい素鋼板を得る方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性けい素鋼板は、発電機、変圧器な
どの電気機器の鉄芯材として用いられている。そして、
鉄芯が複雑な形状の場合は金型を用いて打抜き、また方
形など単純な形状の場合は、スリット後に所定形状に剪
断し、このようにして得られた単板を多数積層して鉄芯
を製作する。積層枚数は、通常、数万から数十万枚にも
達するため、上記の鉄芯製造工程における、打抜き時ま
たは剪断時の鋼板の返りを、所定値、例えば15μm 以下
に抑えることが重要である。なぜなら、返りの程度が大
きいと、鉄芯を積層する、変圧器や発電機の組立て使用
中に、鉄芯端面での短絡に起因した、異常渦電流が発生
することによって、機器は損傷し莫大な損失を生むこと
になる。
【0003】方向性けい素鋼板の表面には、フォルステ
ライト被膜および絶縁コーティングの2重の絶縁被膜が
存在する。このうち、フォルステライト被膜は、最終仕
上焼鈍において、鋼板表層のシリカを主体としたサブス
ケールと鋼板表面に塗布されたマグネシアが、高温で固
相反応した反応生成物である多結晶粒のフォルステライ
ト(Mg2SiO4) からなるセラミックス被膜である。
【0004】このフォルステライトは硬度が高いため、
打抜きや剪断の回数を重ねていくうち、剪断機や金型の
刃を摩耗し、加工時に鋼板に生じる返りが増大する。そ
こで、例えば数千回打抜いた後、金型の再研磨やあるい
は新品との取替えを行う。この作業は、打抜きや剪断の
作業性を阻害する上、著しいコスト増をもたらすため、
フォルステライト被膜の存在しない方向性けい素鋼板が
要求されている。
【0005】一方、方向性けい素鋼板の表面にフォルス
テライト被膜が存在することによって、方向性けい素鋼
板の磁束密度が劣化している事実がある。これは、フォ
ルステライト被膜という非磁性物質の存在による磁束密
度の劣化分に加えて、フォルステライト被膜と鋼板地鉄
との界面における凹凸の存在によって、磁束密度が劣化
するためである。
【0006】このため、特公昭52−24499号や同
56−4150号公報には、酸洗によって表面酸化物を
除去し、化学研磨や電解研磨で鋼板表面を平滑にして鏡
面化し、磁気特性を改善する技術が開示され、また特開
昭62−23984号公報には、鏡面に仕上げた鋼板表
面に TiN, TiC やTi(CN)を被覆することにより、磁気特
性を飛躍的に向上させる技術が開示されている。
【0007】これらの技術のもとになっているものは、
いずれも、フォルステライトを除去し、鋼板表面を鏡面
化することによって、磁束密度がB8 値で0.01〜0.03T
向上する現象である。
【0008】さて、一旦形成されたフォルステライト被
膜を酸洗等で除去する方法は、従来よく知られている。
すなわち、酸洗性の良いフォルステライト被膜を形成す
る方法として、米国特許第3125473号、同第32
27587号、同第3265600号、同第33751
44号各明細書および特公昭47−39812号公報に
は、焼鈍分離剤としてMgO と各種酸化物を配合して用い
ることにより、形成したフォルステライト被膜の酸洗除
去を容易にする方法が開示されている。しかし、これら
の方法は、被膜除去のためのコストが多大なこと、およ
び被膜とともに地鉄部分も酸洗除去され製品歩止りが低
下するため、製品単価が極めて高いこと、さらに、被膜
と地鉄の界面は凹凸が激しく、製品表面の平滑性が不十
分で所期の磁気特性が得られないこと、などの問題点が
ある。
【0009】これに対して、最終仕上焼鈍でフォルステ
ライト被膜を形成させないで、鋼板表面を鏡面化させる
技術が存在する。例えば、特開昭53−22113号公
報には、脱炭焼鈍で厚さ3μm 以下の酸化被膜を形成さ
せた後に、含水素塩鉱物粉末と微粒子アルミナよりなる
焼鈍分離剤を塗布してフォルステライト被膜の形成を抑
制する技術が、特開昭59−96278号公報には、焼
鈍分離剤として、10μm 以下のアルミナと1300℃以上の
高温で焼成した不活性MgO を用いてフォルステライト被
膜の形成を抑制する技術が、特開昭64−62417号
公報には焼鈍分離剤中に、アルカリ金属またはアルカリ
土類金属の塩化物を配合し、フォルステライト被膜の形
成を抑制する技術が、特開昭60−39123号公報に
はアルミナを主成分とする焼鈍分離剤を用いて最終仕上
焼鈍後の酸化物の膜を酸素目付量として、片面あたり0.
3 g/m2以下とする技術が、そして特開昭64−7938
1号公報にはCaまたはSrのメタ珪酸塩およびCaのアルミ
ン酸塩から選ばれた非水和粉末を焼鈍分離剤に配合する
ことによってフォルステライト被膜の形成を抑制する技
術が、それぞれ開示されている。
【0010】これらは、いずれも、フォルステライト被
膜の原料をなす焼鈍分離剤中のMgOを不活性の酸化物に
置き換えることにより、フォルステライト被膜の形成を
抑制する手法であり、鋼板表面を平滑化する効果や、鋼
板の打抜性を改善する効果は非常に優れたものがあっ
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法ではしばしば製品の磁気特性が不安定になり、大
幅な磁気特性の劣化をもたらすことがあった。そこで、
この発明は、フォルステライト被膜形成の抑制に伴う、
磁気特性の不安定化という問題点を、鋼成分と鋼中イン
ヒビターを適正化することにより有利に解決することに
よって、打抜性にすぐれるのは勿論、安定した磁気特性
を有する方向性けい素鋼板の製造方法について、提案す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らは、従来の技術
がフォルステライト被膜の形成抑制と純化不良の解決と
いう点のみに注意が向けられ、鋼成分や、鋼中インヒビ
ターの観点から全く研究がなされていない点に着目し
て、以下の実験を行った。
【0013】まず、次の成分(A)〜(C)に従う鋼塊
を溶製した。 (A) C:0.038 wt%(以下単に%と示す)、 Si : 3.18 %、 Mn : 0.068%、 P:0.008 %、 S:0.016 %、 残部不可避的不純物とFeよりなる鋼 (B) C:0.042 %、 Si : 3.20 %、 Mn : 0.065%、 P:0.005 %、 Se:0.019 %、 残部不可避的不純物とFeよりなる鋼 (C) C:0.040 %、 Si : 3.23 %、 Mn : 0.069%、 P:0.009 %、 Se:0.021 %、 Sb:0.025 %、 残部不可避的不純物とFeよりなる鋼。
【0014】これら3種類の鋼を常法により 2.0mm厚ま
で熱間圧延し、1000℃で30秒間の焼鈍後、0.50mm厚に冷
間圧延したのち、950 ℃で1分間の中間焼鈍を施した。
その後、0.20mm厚まで冷間圧延した後、H2 60 %、露点
60℃、残余N2の湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍を施した。こ
の鋼板にMgO スラリーを塗布乾燥後、N2雰囲気中で850
℃の2次再結晶焼鈍を行った。このとき、試料の一部
を、 850℃の均熱直後、10時間経過後、25時間経過後と
順に取り出して、鋼板表層部のインヒビターを観察し
た。その結果、鋼板表層部にインヒビターの消失してい
る領域が存在しており、 850℃での保持時間が延びるに
したがい、この領域が鋼板中央部に向って拡大している
ことがわかった。
【0015】インヒビターが消失していく現象は、鋼板
表面に存在する鉄の酸化物が、インヒビターの構成成分
でもある鋼中のMnを酸化して、インヒビターを分解する
ためで、これによって鋼板表面の一次再結晶粒の抑制力
が失われ、磁気特性の劣化をもたらす。ちなみに、850
℃で60時間保持した後の磁束密度は、鋼AがB8 :1.62
T、鋼BがB8 :1.86T、鋼CがB8 :1.89Tであっ
た。さらに3種類の鋼における、850 ℃保持中の鋼板表
層部のインヒビター消失層の深さについての調査結果
を、図1に比較して示す。同図から、磁束密度の高い鋼
Cはインヒビター消失層の深さが浅く、一方磁束密度の
極めて低い鋼Aは、鋼板表層のインビヒターの消失が甚
だしいことがわかる。これらの結果から、鋼成分とし
て、Sbを含有させることが、鋼板表層部のインヒビター
の消失を抑制するために、有効であるとの知見が得られ
たのである。
【0016】次に、第2の実験として、上記鋼Cの脱炭
焼鈍後の鋼板を用いて、以下に示す表層サブスケールに
ついての実験を行った。なお、鋼Cの脱炭焼鈍後の鋼板
(脱炭焼鈍板)には鋼板表層に厚さ4μm 程のサブスケ
ール(内部酸化層)が存在し、その酸素目付量は両面で
1.7 g/m2であり、酸化物の主成分はシリカであるが、最
表面部はファイヤライトからなっていた。
【0017】すなわち、鋼板表層部のインヒビターの消
失挙動とサブスケールとの関係を調査するために、鋼C
の脱炭焼鈍板表面の4μm 厚のサブスケールを除去した
試料を用意し、これに、MgO を焼鈍分離剤として塗布し
たもの(試料D)、および鋼Cの脱炭焼鈍板表層部1μ
m 厚を研磨により除去して、ファイヤライト層を取去
り、これに MgOを焼鈍分離剤として塗布したもの(試料
E)、および鋼Cの脱炭焼鈍板に、アルミナを焼鈍分離
剤として塗布したもの(試料F)、および比較材として
鋼Cの脱炭焼鈍板に MgOを焼鈍分離剤として塗布したも
の(試料C)を、それぞれ用意し、窒素雰囲気中で、85
0 ℃ 60 時間の2次再結晶焼鈍を施した。その後の各試
料の磁束密度について評価した結果を、表1に示す。ま
た、850 ℃で25時間後に取り出し、各鋼板表層部のイン
ヒビター消失領域の深さについて測定した結果も、表1
に併せて示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1より、標準条件である試料Cと比較し
て、サブスケールの存在しない試料Dは、鋼板表層のイ
ンヒビターの分解・消失の程度が大きく、磁束密度の大
幅な劣化を招いていることがわかる。また、鋼板最表層
のファイヤライトを除去した試料Eや、焼鈍分離剤とし
てAl 2O3 を塗布した試料Fは、標準試料Cと比較して、
磁束密度がやや低く、またインヒビターの消失深さもや
や大きい。さらに、 850℃で25時間保持した後の鋼板表
面の酸化物を、赤外反射分光光度計や蛍光X線、薄膜X
線回折で測定したところ、標準試料Cはファイヤライト
とフォルステライトとの固溶生成物であるオリビンが生
成していたが、試料Eではシリカのままであり、試料F
ではファイヤライトのままであった。
【0020】標準試料Cの表面における、ファイヤライ
トとフォルステライトの固溶生成物であるオリビンの存
在は、脱炭焼鈍板表面のファイヤライトと鋼板表面に塗
布されたマグネシアが、次の反応式にしたがって固相反
応を起こしていることを示している。また、反応生成物
であるオリビンがMnの酸化を抑制し、インヒビターの分
解消失を抑える効果を有することも示している。
【数1】 Fe2SiO4+2xMgO →(Fe1-x, Mgx )2SiO2 + 2xFeO
【0021】以上の実験結果より、下記の結論が導かれ
る。 1) 2次再結晶焼鈍中に、鋼板表層部のインヒビターの
分解・消失が進行していくと、2次再結晶焼鈍後の磁束
密度が劣化していく。 2) 鋼板表層部のインヒビターの分解・消失を抑制する
には、鋼中にSbを含有させることが効果的である。 3) 鋼板表層部のインヒビターの分解・消失を抑制する
には、鋼板表層のサブスケールが十分な厚さで存在する
ことが必要である。 4) 鋼板表層部のインヒビターの分解・消失を抑制する
には、2次再結晶焼鈍時にFe-Mg 系のオリビン(Fe1-x,
Mgx )2SiO4が形成されていることが必要である。 5) 上記4)を満足するには、脱炭焼鈍板最表層にファイ
ヤライトが存在していることと、脱炭焼鈍板の表面にマ
グネシアが塗布されていることの2点が必要である。
【0022】これらの結論をもとに、発明者らは、フォ
ルステライト被膜を形成させない方向性けい素鋼板の製
造に適した鋼成分および製造工程条件を研究し、この発
明を完成させた。すなわち、この発明は、含けい素鋼ス
ラブを加熱した後、熱間圧延を施し、次いで焼鈍および
冷間圧延の組合わせを1回または複数回行って最終板厚
としたのち、脱炭焼鈍を施し、次いで焼鈍分離剤を塗布
し、その後2次再結晶のための高温箱焼鈍を行う、一連
の工程によって方向性けい素鋼板を製造するに当たり、
上記スラブは、Sbを0.035 〜0.10%含有すること、上記
脱炭焼鈍において、鋼板表層に酸素目付量が片面あた
り、0.35〜0.65 g/m2のサブスケールを形成すること、
および雰囲気の酸素ポテンシャルP(H2O)/P(H2)を0.25
〜0.65の範囲に調整し、サブスケール最表面にファイヤ
ライトのみを生成させること、上記焼鈍分離剤として、
粒径が1μm 以下のマグネシアを5〜40wt%含有する酸
化物粉末を用いること、を特徴とする金属光沢を有しか
つ磁気特性の優れた方向性けい素鋼板の製造方法であ
る。また、焼鈍分離剤は、さらにカルシア粉末を5〜30
%含有することが、有利である。
【0023】さて、この発明では、先ず2次再結晶時に
おける鋼板表層部のインヒビターの分解・消失を積極的
に抑制するために、Sbを 0.035〜0.110 %と極めて高い
値とした。従来、このような高いSbを含有させると、2
次再結晶が困難となり、磁束密度が低下する傾向にあっ
た。これは、Sb含有量が高い場合、脱炭焼鈍での酸化抑
制効果が強いため、酸素目付量の確保が十分でなく、サ
ブスケールの存在による表層インヒビターの分解・消失
の抑制作用が不十分になるためと考えられる。これを回
避するためには、脱炭焼鈍時の雰囲気の酸化性を高め、
片面あたり0.35〜0.65 g/m2 の酸素目付量を確保するよ
うにする。雰囲気の酸化性を高める手法は、鋼板最表面
の酸化物をファイヤライトのみとすることが可能となる
ので、2次再結晶時に鋼板最表層の酸化物をオリビン(F
e1 -x, Mgx )2SiO4としたい場合に有利である。
【0024】ここで、Si:3.2 %およびSb:0.065 %を
含有する方向性けい素鋼板の脱炭焼鈍を、 850℃で2分
間の湿水素雰囲気中で行うに当たり、条件(a) は酸素ポ
テンシァルP(H2O)/P(H2) が0.15、条件(b) は酸素ポテ
ンシァルP(H2O)/P(H2) が0.48 、の雰囲気で処理を行
って得られた鋼板表面における、赤外反射スペクトル
を、図2に示す。同図から、雰囲気の酸化性が低い条件
(a) ではシリカが生成し、酸化性の高い条件(b) ではフ
ァイヤライト(Fe2SiO4) が生成していることがわかる。
【0025】さらに、鋼表面に MgOを塗布して、850 ℃
のN2中で25時間焼鈍した試料における、表面酸化物の赤
外反射スペクトルを、図2に併せて示すが、条件(a) で
は、ほぼシリカで変化しておらず、条件(b) はFe-Mg 系
のオリビンとなっている。これは、シリカの場合が MgO
とSiO2との完全な固相反応でフォルステライトが形成さ
れるのに対し、ファイヤライトからFe-Mg 系のオリビン
が生成する場合、FeとMgとの置換反応で反応が進行する
ため、比較的低温度で反応が進行するためと考えられ
る。
【0026】また、実際に、Sb含有量が高くかつ鋼板表
面がファイヤライトで覆われた脱炭焼鈍板を、最終仕上
焼鈍に供した場合に、点状にフォルステライト被膜が生
成し、洗滌で剥落しないことがある。これは、最終仕上
焼鈍時にコイル鋼板間の隙間層の雰囲気が部分的に変動
する場合に生じ、コイル巻取張力が高い場合に発生する
傾向がある。この点状被膜は、軽酸洗で十分除去可能で
あるが、外観を損なう上、操業能率を低下するため好ま
しくない。
【0027】これを解消する手段として、発明者らは焼
鈍分離剤への種々の添加剤を試みた結果、カルシア(Ca
O) の添加が有効であることを見出した。すなわちC:
0.032 %、Si : 3.22 %、Mn : 0.067%、Al : 0.001
%、Cu:0.01%、Se:0.014 %、Sb:0.057 %、Sn:0.
02%、P:0.004 %、N:0.002%を含み、残部不可避
的不純物とFeよりなる鋼スラブを出発材として、0.23mm
厚まで冷間圧延した方向性けい素鋼板を用いた。脱炭焼
鈍は 830℃で2分間、酸素ポテンシァルP(H2O)/P(H2)
が 0.46 の湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍を行い、片面あた
り、0.55 g/m2 の酸素目付量を付与した。次いで、脱炭
焼鈍後のコイルを分割し、0.2 μm の粒径のマグネシア
粉末を30%含有し、さらにカルシア粉末をそれぞれ0
%、2%、5%、10%、20%、30%、40%含有し、残部
はアルナミ粉末を配合した焼鈍分離剤を塗布した後、通
常よりも高張力の13kgf/mm2 でコイルを巻取った後、85
0 ℃で60時間の2次再結晶焼鈍を含む、H2中1200℃で10
時間の最終仕上焼鈍を行った。その後、鋼板表面の焼鈍
分離剤をブラシロールで除去し、磁束密度と鋼板表面の
外観を測定した。また、3%の塩酸水溶液に通板した後
の表面外観も測定した。これらの結果を、表2に併せて
示す。
【0028】
【表2】
【0029】同表に示すように、焼鈍分離剤にカルシア
を5%以上含有することにより、斑点状のフォルステラ
イト被膜の残存は抑えられ、均一な金属光沢が得られ
た。但し、30%を超えてカルシアを含有させると磁気特
性の劣化をもたらすことも、判明した。
【0030】2次再結晶焼鈍においては、Fe-Mg 系オリ
ビンを形成させることが重要であるので焼鈍分離剤に含
有させるマグネシアは反応性の良いものが必要で、この
ためには、公知(特公昭41−3726号公報参照)のよう
に、1μm 以下のマグネシアを用いる必要がある。また
マグネシアの配合割合はオリビン生成のためには5%以
上が必要であるが、40%を超えると強固なフォルステラ
イト被膜が生成するため、40%以下とする。
【0031】なお、Sb含有量が0.06%と極めて高く、と
くにコイル巻取張力が高い場合に、部分的に、強固なフ
ォルステライト被膜が生成し、またカルシアの添加によ
って、これが抑制される理由は不明であるが、カルシア
の添加によってFe-Mg 系オリビンからフォルステライト
への被膜形成反応の進行が抑制される可能性がある。
【0032】
【作用】この発明に用いる方向性けい素鋼スラブの成分
は、Sbを0.035 〜0.10%含有することが必要である。す
なわちSbが0.035 %未満である場合は、2次再結晶焼鈍
時における、鋼板表層部のインヒビターの消失に対する
抑制作用が不十分になって磁気特性の劣化をもたらし、
一方0.10%を超える場合は鋼の脆化をもたらし、冷間圧
延が困難となる。さらに、Sbの含有はフォルステライト
被膜の形成を抑制するため、この発明にとってより好ま
しい効果を与える。
【0033】その他の成分としては公知の方向性けい素
鋼板用素材の成分がすべて適用でき、C,Siおよびイン
ヒビターを含有する。一般にCとしては0.01〜0.09%、
Siとしては2.5 %から4.5 %が用いられる。インヒビタ
ーとしては、AlN や MnSe,MnS, Cu2-xSe, Cu1-xS が利
用される。その他インヒビター補助成分としてSn,P, B
i, Te などの偏析型元素を添加することがなされる。ま
た粒界割れに起因する表面性状の劣化を防止するため
に、Mo等の第3元素を添加することも一般になされる。
【0034】ここに代表組成を掲げると次のとおりであ
る。 C:0.01〜0.10% Cは、熱間圧延、冷間圧延中の組織の均一微細化のみら
なず、ゴス方位の発達に有用な元素であり、少なくとも
0.01%以上の添加が好ましい。しかしながら0.10%を超
えて含有されるとかえってゴス方位に乱れが生じるので
上限は0.10%程度が好ましい。 Si:2.0 〜4.5 % Siは、鋼板の比抵抗を高め鉄損の低減に有効に寄与する
が、4.5 %を上回ると冷延性が損なわれ、一方2.0 %に
満たないと比抵抗が低下するだけでなく、2次再結晶・
純化のために行われる最終高温焼鈍中にα−γ変態によ
って結晶方位のランダム化を生じ、十分な鉄損改善効果
が得られないので、Si量は2.0 〜4.5 %程度とするのが
好ましい。 Mn:0.02〜0.12% Mnは、熱間脆化を防止するため少なくとも0.02%程度を
必要とするが、あまりに多すぎると磁気特性を劣化させ
るので上限は0.12%程度に定めるのが好ましい。
【0035】インヒビターとしては、MnSe, MnS, Cu2-x
Se, Cu1-xS やAlN が利用される。MnS, MnSe, Cu2-xS
e, Cu1-xS 系の場合は、 Se, Sのうちから選ばれる少なくとも1種:0.005 〜0.
06% Se, Sはいずれも、方向性けい素鋼板の2次再結晶を制
御するインヒビターとして有力な成分である。抑制力確
保の観点からは、少なくとも0.005 %程度を必要とする
が、0.06%を超えるとその効果が損なわれるので、その
下限、上限はそれぞれ0.01%, 0.06%程度とするのが好
ましい。AlN 系の場合は、 Al:0.005 〜0.10%,N:0.004 〜0.015 % AlおよびNの範囲についても、上述したMnS, MnSe系の
場合と同様な理由により、上記の範囲に定めた。ここに
上記した MnS, MnSe系および AlN系はそれぞれ併用が可
能である。インヒビター成分としては上記したS, Se,
Alの他、Cu,Sn, Cr 、Ge, Mo, Te, BiおよびPなども有
利に適合するので、それぞれ少量併せて含有させること
もできる。ここに上記成分の好適添加範囲はそれぞれ、
Cu,Sn, Cr :0.01〜0.15%、Ge, Sb, Mo, Te, Bi:0.00
5 〜0.1 %、P:0.01〜0.2 %であり、これらの各イン
ヒビター成分についても、単独使用および複合使用いず
れもが可能である。
【0036】かかる成分に調整された溶鋼は、一般に連
続鋳造でスラブとしたのち、1200℃から1460℃でのスラ
ブ加熱後に熱間圧延して熱延鋼帯とする。次いで、熱延
鋼帯は、冷間圧延工程で最終板厚とする。すなわち、必
要に応じて熱延板焼鈍を行って、その後焼鈍および冷間
圧延の組合せを1回または複数回行う、公知の方法を適
用する。
【0037】最終板厚とした鋼帯は、脱脂後、脱炭焼鈍
に供するが、この焼鈍において、鋼板表層に酸素目付量
にして0.35から0.65 g/m2 のサブスケールを形成するこ
とが肝要である。すなわち、酸素目付量が0.35 g/m2
満であると、2次再結晶時における鋼板表層部のインヒ
ビターの消失が甚だしく、磁気特性の劣化を招く。従来
の技術はフォルステライト被膜の形成を抑制する観点か
ら、酸素目付量を抑えることを主眼としていたが、これ
により磁気特性の劣化を招いていたわけである。一方、
酸素目付量が0.65 g/m2 を超えたると、強固なフォルス
テライト被膜が形成され、最終仕上焼鈍後に良好な金属
光沢を有する鋼板が得られない。
【0038】脱炭焼鈍板最表面の酸化物はファイヤライ
ト(Fe2SiO4) であることが必要であり、これにより2次
再結晶焼鈍中にFe-Mg 系オリビンが形成され、鋼板表層
部のインヒビターの消失を抑制することが可能となり、
磁気特性の向上効果を得る。ここに、脱炭焼鈍板最表面
の酸化物の確認は、例えば赤外反射分光法によって行
い、先に示した図2の条件(b) の如く、ファイヤライト
のみでシリカの存在が検出されないことが必要である。
【0039】さらに、脱炭焼鈍板最表面の酸化物をファ
イヤライトのみとすることは、脱炭焼鈍雰囲気の酸素ポ
テンシャルP(H2O)/P(H2) を0.25〜0.65とすることによ
り可能となる。すなわち、P(H2O)/P(H2) が0.25未満で
あると、平衡状態におけるファイヤライト生成の酸素ポ
テンシァルの領域であっても、酸化性が十分高くないた
め、前述の実験条件(a) のようにシリカが生成し、この
発明の目的に適合しない。一方、P(H2O)/P(H2) が0.65
を超えると、鋼板表面をウスタイトの層が覆い、2次再
結晶焼鈍中でのFe-Mg 系オリビンの形成を抑制すること
になり、不適合となる。したがって、脱炭焼鈍雰囲気の
酸素ポテンシアルP(H2O)/P(H2) は、0.25〜0.65の範囲
とする。なお、焼鈍によって有害なCを0.003 %以下に
脱炭することが必要であるのは言うまでもない。
【0040】かかる脱炭焼鈍は雰囲気の酸化性、温度、
時間などの制御によってなされるが、雰囲気の酸化性を
焼鈍後半部で増大させるといった技術は、鋼板最表面の
ファイヤライトを増加させるので特に推奨される。
【0041】次に、脱炭焼鈍された鋼帯は、焼鈍分離剤
を塗布した後、コイル状に巻かれて最終仕上焼鈍に供さ
れるが、ここで塗布する焼鈍分離剤としては、1μm 以
下の粒径のマグネシアを5〜40%含有するものを用いる
必要がある。なぜなら2次再結晶焼鈍中に鋼板表面にFe
-Mg 系オリビンを形成させ、鋼板表層部のインヒビター
の消失を抑制し、磁気特性を向上するためで、1μm を
超える粒径のマグネシアの場合には、鋼板最表面のファ
イヤライトとの反応活性が低下するため、不適切であ
る。また、その配合割合は5%未満であると、2次再結
晶焼鈍中でのFe-Mg 系オリビンの形成が不十分となり磁
気特性の劣化をもたらし、一方40%を超えると、強固な
フォルステライト被膜が形成され、最終仕上焼鈍後に良
好な金属光沢を有する鋼板が得られない。
【0042】また、焼鈍分離剤中にカルシア粉末を5〜
30%含有することも可能である。カルシア粉末の配合は
時として、高Sb含有鋼特有に現われる最終焼鈍後の鋼板
表面の局部的な斑点状被膜の残存を消滅し、均一な金属
光沢を有する鋼板表面をもたらせるのに有効である。こ
のためには、カルシアの配合を5%以上とすることが必
要であるが、30%を超えると磁気特性の劣化をもたらす
ことから、カルシアの含有は5%から30%の範囲が好ま
しい。
【0043】焼鈍分離剤の残る成分としてはアルミナ系
酸化物、もしくはジルコニア系酸化系の粉末を主成分と
して用いることが有利である。これらは、最終仕上焼鈍
におけるマグネシアや、シリカとの反応において不活性
で、フォルステライト被膜の形成を抑制する作用を有す
る。これら主要成分の他に、TiO2、SrSO4 および MgSO4
などの公知の微量成分の添加は、その目的に応じて採用
されることは言うまでもなく、10%を限度に添加が許さ
れる。特に、TiO2はFe-Mg 系オリビンの生成を促進する
ので好ましい添加物である。
【0044】最終仕上焼鈍は、 800〜1100℃での2次再
結晶焼鈍とそれに引続く1200℃近辺での純化焼鈍からな
る。2次再結晶焼鈍は、N2での定温保持型と定昇温型と
の2種類のタイプがあるが、いずれでも適合する。な
お、AlN を主要インヒビターとする鋼成分ではN2とH2
の混合ガス中で2次再結晶を行う必要がある。そして、
純化焼鈍はH2雰囲気が好ましい。
【0045】最終仕上焼鈍後の鋼板は、表面の酸化物を
ブラシロール等で洗滌除去し、金属光沢面を裸出させ
る。洗滌のみでは落ちにくい場合は、軽酸洗を用いて洗
滌してもよい。かかるフォルステライト被膜の存在しな
い鋼板はコーティングを塗布して打抜性を重視する製品
向けの材料とすることもできるし、特開昭62−239
84号公報に示されるように、鋼板表面にTi系セラミッ
クスを被覆して磁気特性をさらに高めることも可能であ
る。
【0046】
【実施例】
実施例1 表3のI〜IVに示す成分からなる方向性けい素鋼板用ス
ラブを、1430℃に加熱し、熱間圧延によって2.0mm 厚の
熱延鋼帯とした。その後、1000℃で30秒間の均一化焼鈍
を施し、酸洗後0.50mmの厚さに冷間圧延し、中間焼鈍で
0.020 %に脱炭した後、急冷し、その後0.18mm厚まで冷
間圧延した。次いで、電解脱脂後、前半はP(H2O)/P
(H2) =0.38、後半はP(H2O)/P(H2) =0.48の酸素ポテ
ンシアルを有する雰囲気下で、 830℃で2分間の脱炭焼
鈍を施した。ここで、成分I〜IVの鋼板の酸素目付量は
片面あたり、それぞれ0.65 g/m2 、0.58 g/m2 、 0.53
g/m2および 0.42 g/m2であり、鋼板表面の酸化物はいず
れもファイヤライトのみからなっていた。さらに、これ
らの鋼板に、平均粒径0.18μm のマグネシア粉末30%、
カルシア粉末を10%、TiO2を1.5 %、残部アルミナ粉末
からなる焼鈍分離剤を塗布してコイル状に巻取った後、
最終仕上焼鈍に供した。最終仕上焼鈍は 850℃で60時間
N2中で保持して2次再結晶させた後、引続いてH2で1200
℃で5時間の純化焼鈍を行った。その後、ブラシロール
で鋼板表面を洗滌し、表面の観察と磁気特性の測定を行
った。その結果を表4に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】実施例2 表3のV〜Xに示した成分を有する方向性けい素鋼板用
スラブを、1440℃に加熱し、熱間圧延によって2.0mm 厚
の熱延鋼帯とした。その後、1150℃で60秒間の均熱と40
℃/sの急冷を伴う均一化焼鈍を施した後、酸洗し、0.90
mmの板厚に冷間圧延した後300 ℃で2分間の時効処理を
行い、再び冷間圧延によって0.30mmの最終板厚にした。
その後、電解脱脂後、P(H2O)/P(H2) =0.48の湿水素雰
囲気下で850℃で2分間の脱炭焼鈍を施した。ここで、
成分V〜Xの鋼板の酸素目付量は片面あたり、0.50〜0.
58g/m2であり、鋼板表面の酸化物はいずれもファイヤラ
イトのみからなっていた。次いで、これらの鋼板に、平
均粒径0.25μm のマグネシア粉末25%、TiO2を5%、残
部アルミナ粉末からなる焼鈍分離剤を塗布してコイル状
に巻取った後、最終仕上焼鈍に供した。最終仕上焼鈍は
850℃で35時間N2中で保持し、その後N2:25 % H2:75%
の雰囲気下にて15℃/hで昇温し、2次再結晶させた後、
引続いてH2で1200℃で10時間の純化焼鈍を行った。その
後、ブラシロールで鋼板表面を洗滌し、表面の観察と磁
気特性の測定を行った。その結果を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】実施例3 表3のXIに示した成分を有する方向性けい素鋼板用スラ
ブを、1440℃に加熱し、熱間圧延によって2.2mm 厚の熱
延鋼帯とした。その後、1000℃で30秒間の均一化焼鈍を
施し、酸洗後、0.65mmの厚みに冷間圧延し、中間焼鈍で
0.020 %に脱炭した後、急冷し、その後、0.23mmの厚み
に冷間圧延した。電解脱脂後コイルを、(c),(d),(e),
(f) に4分割し、 830℃で2分間、湿水素中で脱炭焼鈍
を施した。この時、(c) はP(H2O)/P(H2) =0.22の雰囲
気下で、(d) は前半をP(H2O)/P(H2) =0.22で後半をP
(H2O)/P(H2) =0.50の雰囲気下で、(e) は前半をP(H
2O)/P(H2) =0.48で後半をP(H2O)/P(H2) =0.08の雰
囲気下で、(f) はP(H2O)/P(H2)=0.44の雰囲気下で行
った。これらの脱炭焼鈍板の性状を、表6に示す。
【0052】次いで、これらの鋼板に、平均粒径0.12μ
m のマグネシア粉末35%、カルシア粉末15%、残部アル
ミナ粉末からなる焼鈍分離剤を塗布してコイル状に巻取
った後、最終仕上焼鈍に供した。最終仕上焼鈍は、 850
℃で60時間N2中で保持して2次再結晶させた後、引き続
いてH2中にて1200℃で5時間の純化焼鈍を行った。その
後、ブラシロールで鋼板表面を洗滌し、表面の観察と磁
気特性の測定を行った。その結果を表6に併せて示す。
【0053】
【表6】
【0054】実施例4 表3のVIで示した成分を有する方向性けい素鋼板用スラ
ブを、1230℃で加熱し、熱間圧延によって2.0mm 厚の熱
延鋼帯とした。その後、1150℃で60秒間の均熱とミスト
冷却による400 ℃まで40℃/sの急冷による均一化焼鈍を
行い、酸洗後、150 ℃の温度での冷間圧延によって、0.
30mmの最終板厚にした。その後、電解脱脂を行い、P(H2
O)/P(H2) =0.48の酸素ポテンシァルの湿水素中で、85
0 ℃で2分間の脱炭焼鈍を行った。ここで、酸素目付量
は片面あたり0.48g/m2で鋼板表面の酸化物は全面ファイ
ヤライトであった。
【0055】その後、この鋼板に、平均粒径0.08μm の
マグネシア粉末25%、3%TiO2、残部ジルコニア粉末か
らなる焼鈍分離剤を塗布し、コイル状に巻取った後、最
終仕上焼鈍に供した。最終仕上焼鈍は、1150℃までN2 2
5 %、H2 75 %の雰囲気下で15℃/hの昇温速度で昇温中
に2次再結晶させ、H2雰囲気下で1200℃で10時間の純化
焼鈍を行った。次いで、ブラシロールで鋼板表面を洗滌
し、表面の観察と磁気特性の測定を行ったところ、鋼板
表面は全面均一な金属光沢を有し、磁気特性はB8:1.93
0T、W17/50:1.04 w/kg であった。
【0056】
【発明の効果】この発明の方法を用いれば、最終仕上焼
鈍後に、フォルステライト被膜形成のない、平滑で金属
光沢を有し、かつ磁束密度の高い方向性けい素鋼板を得
ることができ、打抜き加工用の方向性けい素鋼板や、Ti
N をイオンプレーティングした磁気特性の極めて高い方
向性けい素鋼板を有利に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】850 ℃保持中の鋼板表層部における、インヒビ
ター消失層の深さを示すグラフである。
【図2】赤外反射スペクトルを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−22113(JP,A) 特開 昭59−96278(JP,A) 特開 昭64−62417(JP,A) 米国特許3125473(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C21D 1/70 C21D 9/46 501 C22C 38/00 303 C22C 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含けい素鋼スラブを加熱した後、熱間圧
    延を施し、次いで焼鈍および冷間圧延の組合わせを1回
    または複数回行って最終板厚としたのち、脱炭焼鈍を施
    し、次いで焼鈍分離剤を塗布し、その後2次再結晶のた
    めの高温箱焼鈍を行う、一連の工程によって方向性けい
    素鋼板を製造するに当たり、 上記スラブは、Sbを0.035 〜0.10wt%含有すること、 上記脱炭焼鈍において、鋼板表層に酸素目付量が片面あ
    たり、0.35〜0.65 g/m2のサブスケールを形成するこ
    と、および雰囲気の酸素ポテンシャルP(H2O)/P(H2)を
    0.25〜0.65の範囲に調整し、サブスケール最表面にファ
    イヤライトのみを生成させること、 上記焼鈍分離剤として、粒径が1μm 以下のマグネシア
    を5〜40wt%含有する酸化物粉末を用いること、を特徴
    とする金属光沢を有しかつ磁気特性の優れた方向性けい
    素鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 焼鈍分離剤は、さらにカルシア粉末を5
    〜30wt%含有する、請求項1記載の方法。
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