JPH0797631A - 磁気特性および被膜特性に優れた高磁束密度方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性および被膜特性に優れた高磁束密度方向性けい素鋼板の製造方法

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JPH0797631A
JPH0797631A JP5245008A JP24500893A JPH0797631A JP H0797631 A JPH0797631 A JP H0797631A JP 5245008 A JP5245008 A JP 5245008A JP 24500893 A JP24500893 A JP 24500893A JP H0797631 A JPH0797631 A JP H0797631A
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JP
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annealing
steel sheet
decarburization
silicon steel
oriented silicon
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JP5245008A
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Michiro Komatsubara
道郎 小松原
Fumihiko Takeuchi
文彦 竹内
Masataka Yamada
政孝 山田
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 良好な結晶組織を得るために行う熱延板焼鈍
や中間焼鈍などの表層弱脱炭技術に工夫を加えることに
より、優れた磁気特性および被膜特性を有する方向性性
素鋼板が安定して得られる製造方法について提案する。 【構成】 方向性けい素鋼素材を熱間圧延したのち、必
要に応じて熱延板焼鈍を施し、次いで1回または中間焼
鈍をはさむ複数回の冷間圧延によって最終板厚に仕上
げ、引続き脱炭および1次再結晶焼鈍、そして最終仕上
焼鈍を施す、一連の工程によって方向性けい素鋼板を製
造するに当たり、上記熱延板焼鈍および中間焼鈍のいず
れかにおいて、Cを合計で0.006 〜0.030 wt%脱炭させ
る表層弱脱炭を、酸素含有率が0.1 〜10%の雰囲気下で
行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、変圧器等の鉄芯に用
いられる圧延方向に磁化されやすい方向性けい素鋼板、
特に磁束密度の高い方向性けい素鋼板の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】方向性けい素鋼板は、軟磁性材料とし
て、主に発電機や変圧器、その他の電気機器の鉄芯材料
に使用されているもので、磁気特性として励磁特性と鉄
損特性が良好であることが必要である。
【0003】励磁特性を表わす数値としては、通常B8
(磁場の強さ800A/mにおける磁束密度)を用い、鉄損特
性を表わす数値としてはW17/50値(50Hzの商用周波数で
1.7Tまで磁化させた時の1kgあたりの鉄損) を用いてい
る。
【0004】近年、エネルギー危機を境にして、発電、
送電、電気機器のエネルギー損失を低減するため、方向
性珪素鋼板の磁気特性を向上させる要求が高まり、現状
で、B8値にして1.920T, W17/50値にして0.85W/kgの材料
が製造されるようになってきた。しかしながら、要求さ
れる磁気特性の水準は、未だ十分とは言えない。
【0005】方向性珪素鋼板の工業的規模での製造は、
一般に次の方法による。即ち、電気炉、平炉あるいは転
炉により精錬され、かつRH炉等での2次精錬の過程で適
正な組成を有する溶鋼に調整される。特に、インヒビタ
ーと呼称される微量成分の調整が最も肝要な点である。
次に、溶鋼は連続鋳造機によりスラブとするか、インゴ
ットなどの鋼塊にした後、均熱炉で加熱し分塊圧延によ
りスラブにする。スラブは、直接あるいは再圧下加工
し、さらに必要に応じてスラブ再加熱を行ない、熱間圧
延に供する。スラブの再加熱を行う場合は、前記インヒ
ビターを完全に鋼中に固溶し、熱間圧延の途中で微細均
一に析出させる必要がある。
【0006】得られた熱延板は、必要に応じて熱延板焼
鈍を施した後、1回の冷間圧延もしくは中間焼鈍を挟む
2回以上の冷間圧延によって最終板厚に仕上げ、引続き
1次再結晶焼鈍、次いで最終製品に優れた磁気特性を与
えるための2次再結晶を兼ねた最終仕上焼鈍を施す。
【0007】ここに、製品の磁気特性を向上させるため
には、製品における結晶を(110)[001] 方位、いわゆる
ゴス方位に高度に集積させる必要があることが知られて
いる。このためには、前述の2次再結晶において、(11
0)[001] 方位からずれた方位の粒成長を抑制し、(110)
[001] 方位のみを粒成長させることが必要であり、強い
インヒビターおよび(110)[001] 方位粒の核成長と(11
0)[001] 方位の粒が成長しやすい細かい結晶粒を2次再
結晶の前段階において形成させておくこと、が必要にな
る。
【0008】方向性けい素鋼板の製造において有用かつ
最も強いインヒビターとしてはAlNがある。AlN を用い
て、高磁束密度の方向性けい素鋼板を製造する技術とし
て、例えば、特公昭46−23820 号公報には、最終冷間圧
延前の焼鈍の冷却において、950 〜400 ℃の温度範囲を
2〜200 秒で急冷すること、さらに最終冷間圧延の圧下
率を80〜95%の高圧下率とすることにより、3.15wt%Si
材でB10:1.93T (B8 で約1.91T)の高磁束密度を得る技術
が開示されている。
【0009】しかしながら、実際のコイルの製造におい
ては最終仕上焼鈍をコイル状に巻取って箱焼鈍を行う際
に、鋼板間の層間雰囲気が高酸化性であるために、鋼板
表面が酸化されて、表層部のインヒビターが分解し、抑
制力が劣化するという不利が指摘された。これに対し
て、鋼中にSbを含有させSbの表面への偏析効果を利用し
て鋼板の酸化を抑え、一定温度に長時間保持し、 (110)
〔001 〕方位の2次再結晶の核生成を促進させる技術
が、特開平2−115319号公報にて提案されたが、この技
術をもってしても、十分な高磁束密度の材料を得ること
はできなかった。すなわち、良好な2次再結晶組織を得
るためには、強いインヒビターの他に、良好な結晶組織
が必要である。
【0010】この結晶組織に関しては、最終冷間圧延前
の焼鈍において、鋼板表層部を脱炭する技術が知られて
いる。例えば、特公昭59−32528 号公報には、MnSeもし
くはMnS をインヒビターとする方向性けい素鋼板の製造
方法において、熱間圧延終了後かつ、最終冷間圧延終了
前にCを0.006 〜0.020 wt%脱炭することにより、結晶
組織を均一化し集合組織中 (110)〔001 〕方位の強い集
積度を得て、磁気特性を向上させる技術が開示されてい
る。
【0011】また、特公昭62−50528 号公報において
は、AlN およびMnS をインヒビターとする方向性けい素
鋼板の熱延板焼鈍に際して、850 〜1200℃の温度領域
で、Cを50〜250ppm (0.0050〜0.0250wt%) まで脱炭
し、次いで冷却水または気水により室温まで急冷するこ
とにより、鋼板の表面あるいはその近傍に、最終仕上焼
鈍時にゴス方位をもつ、2次再結晶核を生み出す結晶粒
が生成し、鉄損を低減する技術が開示されている。
【0012】さらに、特公昭62−50529 号公報には、Al
N およびMnS をインヒビターとし、さらにSn, Cuの1種
または2種を含有する方向性けい素鋼板の製造におい
て、熱間圧延終了後かつ、最終冷間圧延前の工程中で、
Cを0.007 〜0.0300wt%脱炭させることにより、2次再
結晶粒の方位をより先鋭に (110)〔001 〕方位にし、
(110)〔001 〕方位の2次再結晶粒のサイズを小さくし
て、磁束密度と鉄損の向上を図る技術が開示されてい
る。
【0013】さらにまた、特公昭63−5454号公報には、
MnS をインヒビターとする方向性けい素鋼板の製造にお
いて、最終冷間圧延前の焼鈍工程で750 〜870 ℃の温度
範囲で鋼板表面層付近の炭素濃度を300PPM以下とし、中
心層の炭素濃度を300PPM以上とした後、非酸化性雰囲気
にて880 〜1050℃の高温熱処理を施す技術が開示されて
いる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の技術は
いずれも、鋼板表面層における脱炭量の制御のみに着目
しているため、鋼板の酸化に伴う表面状態の質的変化に
ついて注意が払われずに、磁気特性の劣化、特に工業規
模での大重量コイルにおける磁気特性の劣化をまねくと
ころに問題があった。
【0015】また、最終仕上焼鈍においては、鋼板表面
に、フォルステライト(Mg2SiO4)からなるセラミックス
多結晶被膜が形成される。これは、脱炭・1次再結晶焼
鈍で生成したサブスケール中のSiO2と鋼板表面に塗布さ
れた焼鈍分離剤であるMgO とが最終仕上焼鈍において固
相反応することにより形成される被膜である。そして、
実際の製品においては、この被膜の均一性や密着性とい
った被膜特性も極めて重要である。何故なら、打抜き加
工や、巻き加工において、鋼板表面の被膜が剥落した場
合、変圧器や発電機の鉄芯に急激な電流が流れ、昇熱の
ために鉄芯が破損し、多大な損害を与えることになるか
らである。
【0016】この発明の目的は、良好な結晶組織を得る
ために行う熱延板焼鈍や中間焼鈍などの表層弱脱炭技術
に工夫を加えることにより、優れた磁気特性および被膜
特性を有する方向性性素鋼板が安定して得られる製造方
法について提案することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】この発明は、C:0.03〜
0.10wt%、Si:2.5 〜4.5 wt%:Mn:0.02〜0.10wt%、
Al:0.01〜0.05wt%およびN:0.0040〜0.0130wt%を含
有する方向性けい素鋼〜素材を熱間圧延したのち、必要
に応じて熱延板焼鈍を施し、次いで1回または中熱間焼
鈍をはさむ複数回の冷間圧延によって最終板厚に仕上
げ、引続き脱炭および1次鈍再結晶焼鈍、そして最終仕
上焼鈍を施す、一連の工程によって方向性けい素鋼焼板
を製造するに当たり、上記熱延板焼鈍および中間焼鈍の
いずれかにおいて、Cを合計で0.006 〜0.03〜0 wt%脱
炭させる表層弱脱炭を、酸素含有率が0.1 〜10%の雰囲
気下で行うことを特徴とする磁気特性および被膜特性に
優れた高磁束密度方向性けい素鋼板の製造方法。
【0018】また、方向性けい素鋼素材は、さらにSb:
0.005 〜0.080 wt%を含有することが、2次再結晶の核
生成を促進する上で有利である。
【0019】以下、この発明を着想する端緒となった調
査および実験について詳しく説明する。C:0.065 wt
%、Si : 3.25 wt%、 Mn : 0.068 wt%、S:0.003 wt
%、P:0.005 wt%、Al : 0.024wt%、 Se : 0.019 wt
%、Sb : 0.025wt%およびN:0.0082wt%を含有する方
向性けい素鋼の熱延板(2.20mm厚)に、乾H2雰囲気中に
て1000℃で1分間の熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延で
1.50mmの板厚に仕上げた。その後、鋼板を2分割し、一
方の鋼板(A) は1100℃で1分間乾H2中で焼鈍した後、ミ
ストによって室温まで急冷した。他方の鋼板(B) は、10
0 ℃で1分間露点が55℃の湿H2中にて1100℃で1分間の
焼鈍を施した後、ミストにより室温まで急冷した。これ
ら処理後において、鋼板(A) のC含有量は0.064 wt%と
熱延板とほとんど差がないのに対し、鋼板(B) は表層部
が弱脱炭されてC含有量は0.052 wt%と低下していた。
【0020】次に、両鋼板(A) ,(B) の表面酸化物を酸
洗で除去した後、冷間圧延によって0.22mmの厚みとし
た。その後、露点60℃、H2含有量50%および残部N2の組
成の湿水素雰囲気中で850 ℃で2分間の脱炭・1次再結
晶焼鈍を行ったところ、酸素目付量は鋼板(A) が1.35g/
m2、同(B) が0.98g/m2であり、残余のC含有量は同(A)
が0.0015wt%、同(B) が0.0012wt%であった。さらに、
両鋼板(A) ,(B) に対してMgO を主成分とする焼鈍分離
剤を塗布した後、850 ℃のN2中での25時間の低温保持を
含む1200℃で10時間の最終仕上焼鈍を施した。このとき
の磁気特性は、鋼板(A) がB8で1.582T、W17/50で2.19W/
kgであり、同(B) がB8で1.913T、W17/50で0.995W/kg で
あった。ここで、鋼板(A) は2次再結晶不良であるのに
対し、同(B) は2次再結晶を完了していた。しかしなが
ら、詳細に鋼板(A) ,(B) を調査したところ、鋼板(A)
の被膜は灰色均一で、曲げ密着性試験は20mmφの径で曲
げて被膜が剥落しないのに対して、鋼板(B) の被膜は白
色部と灰白部がまだらとなっており、しかも曲げ密着性
試験は30mmφの径で曲げても被膜が剥落する密着性の低
いものであった。
【0021】この両者の被膜特性の差異は、脱炭・1次
再結晶焼鈍後の鋼板の酸素目付量に原因があるのは明ら
かであり、すなわち鋼板(A) の1.35g/m2に対して、同
(B) は0.98g/m2しか表面酸化されておらず、被膜の原料
となるサブスケール中のSiO2の生成量が不足しているこ
とに原因がある。さらに、この(A) ,(B) 両者の酸素目
付量に差異が生じた原因を解明した結果、中間焼鈍にお
ける鋼板表面の脱珪層の厚み差に原因があることが判明
した。
【0022】図1は、中間焼鈍後の鋼板(A) ,(B) それ
ぞれの断面における表層部のSi濃度をEPMAによるライン
分析で調査した結果であり、鋼板(A) は、脱珪層がほと
んどないのに対し、同(B) は6.7 μm の厚みの脱珪層が
存在することが判る。
【0023】鋼板表面に脱珪層が存在した場合、脱炭・
1次再結晶焼鈍時、酸化性雰囲気によってサブスケール
が形成される際、鋼板表面にSi欠乏層が存在するため、
SiO2の生成量が少なくなる。そして、脱珪層の厚い鋼板
(B) では脱炭・1次再結晶焼鈍後の酸素目付量も少なく
なるわけである。
【0024】したがって、製品の被膜特性を向上させる
にはかかる脱珪層を低減することが肝要であるが、脱珪
を抑制するためには、焼鈍雰囲気の酸素ポテンシァルを
低下させる必要があるから脱炭も抑制され、鋼板(A) の
ように磁気特性の劣化を招くことになるのである。
【0025】この相反する要求を満足させる、脱炭雰囲
気の適正条件について、以下の実験を行ったところ、従
来の、湿N2や湿H2の雰囲気ではなく、O2を雰囲気中に混
入することが、有効であるとの新規知見を得た。
【0026】すなわち、前述の実験と同一の素材を用い
て、1000℃、1分間の熱延板焼鈍を乾H2で行ない、板厚
1.50mmに冷間圧延後、中間焼鈍を1.2 %のO2を含有する
乾 N 2 中で1100℃、1分間行った後、ミストによって急
冷して鋼板(C) とした。このときの鋼板(C) 断面表層部
のSi濃度をEPMAによるライン分析で調べた結果について
図2に示すように、脱珪層の厚みは2.8 μm と上記鋼板
(B) に較べ大幅に少ない。なお、中間焼鈍後のC含有量
は0.053 wt%であったので、前述の実験の鋼板(B) と差
異がない。
【0027】この鋼板(C) を酸洗後さらに、0.22mm厚ま
で圧延し、露点60℃、H2含有量50%、残部N2組成の湿水
素雰囲気中で850 ℃で2分間の脱炭・1次再結晶焼鈍を
行ったところ、酸素目付量は1.29g/m2であり、残余のC
含有量は0.0013wt%であった。その後、MgO を主成分と
する焼鈍分離剤を塗布した後、850 ℃のN2中での25時間
の低温保持を含む1200℃で10時間の最終仕上焼鈍を施し
た。かくして得られた鋼板(C) Cの磁気特性はB8で1.93
8T、W17/50で0.821W/kg であった。
【0028】鋼板(C) は、その磁気特性に示されるよう
に、良好な2次再結晶をしており、被膜も灰色かつ均一
で、曲げ密度性鋼板でも20mmφの径で曲げても被膜が剥
落しない良好な特性を示した。
【0029】このように、中間焼鈍において雰囲気中に
O2を含有させて、表層の弱脱炭を行った鋼板(C) では、
中間焼鈍後も、脱珪が然程進行しておらず、良好な被膜
特性に併せて、磁気特性も極めて優れたものが得られ
た。しかも、脱炭量が湿水素中で中間焼鈍を行った鋼板
(B) とほぼ同一であるにも拘わらず、磁気特性は鋼板
(B) よりも極めて優れたものが得られた。
【0030】さらに、鋼板(B) と(C) とにおいて、脱炭
および1次再結晶焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布した鋼板を
積層して、850 ℃で25時間N2中で焼鈍した。この鋼板に
ついて調査したところ、鋼板(B) ,(C) ともに2次再結
晶は始まっていなかった。鋼中N含有量の分析をしたと
ころ、脱炭および1次再結晶焼鈍後のN含有量について
は鋼板(B) ,(C) ともに0.0083wt%であるのに対し、85
0 ℃で25時間のN2中での焼鈍によって鋼板(B) はN含有
量が0.0095wt%と増加するのに対し、鋼板(C)はN含有
量が0.0084wt%と増加はほとんど認められなかった。さ
らに850 ℃で25時間N2中で焼鈍した後の鋼板(B) および
(C) について850 ℃からN2:25%、H2:75%の雰囲気で
15℃/hの昇温速度で1050℃まで昇温して鋼板断面を観察
したところ、鋼板(B) は板厚中央部から2次再結晶が始
まっているのに対し、同(C) は鋼板の表面から2次再結
晶が始まっていた。
【0031】以上のことから、次のような推論が可能で
ある。すなわち、中間焼鈍で表層弱脱炭を行った材料に
おいて、表層脱珪層の少ない鋼板(C) のような場合、脱
炭および1次再結晶における酸素目付量が大きい。この
ことは、サブスケールの厚みが厚いことを意味してお
り、最終仕上焼鈍において、表面被膜が形成されるまで
の間、この厚いサブスケールが、鋼板表面からの窒化を
抑制し、鋼板表面からの2次再結晶が惹起される。2次
再結晶の核は鋼板厚み方向において、鋼板表面程、 (11
0)〔001 〕方位に近いと考えられているため、表層の脱
珪層の形成を抑制した鋼板(C) では、極めて良好な磁気
特性が得られたものと考えられる。
【0032】これに対し、中間焼鈍において脱珪層の発
達した鋼板(B) においては、脱炭・1次再 結晶焼鈍で
の酸素目付量が少なくなり、したがってサブスケールの
厚みが薄くなるため、最終仕上焼鈍においてN2雰囲気か
らの窒化が進行し、鋼板内部からのAlの拡散と相伴って
鋼板表層に多量のAlN が形成される結果、鋼板(B) のよ
うに鋼板表層からの2次再結晶が抑制され、 (110)〔00
1 〕から方位のずれた板厚中央部の粒から2次再結晶が
起こり、結局磁気特性が劣化するものと思われる。
【0033】かかる脱珪層の形成を抑制するための表層
弱脱炭における最適条件を実験で求めたところ、酸素含
有量を0.1 〜10%の範囲に規制するのが有利であること
がわかった。すなわち、酸素含有量が0.1 %未満では脱
炭量の確保が十分でなく、一方10%を超えると、脱珪層
の厚みが過大になるため不適当である。
【0034】また、かかる表層弱脱炭の雰囲気の残余成
分としては、N2やArの中性ガスやCO 2, CO などのガス、
さらにH2O の併存も可能である。すなわち、燃焼ガスの
組成のような雰囲気を使用することも可能である。この
場合、酸素含有量の調整は空燃比の調整でなされる。
【0035】雰囲気中に酸素を一定量含有させ、表層弱
脱炭を行なうことにより、鋼板表層の脱珪層の厚みを低
減できる理由は定かでないが、おそらく、湿 H2, 湿 N
2 の場合と異なった鉄酸化物が鋼板表面に形成し、これ
が、Cの鋼板表面への拡散は阻害しないが、Oの鋼中へ
の拡散を阻害し、CとOの相互拡散のバランスを変化さ
せ、鋼板表層部でのSiの酸化を抑制する結果となったも
のと推測される。
【0036】このような酸素を含有させた表層弱脱炭の
技術は従来に例がなく、例えば、特公昭59−32528 号公
報には、その実施例において、湿水素雰囲気を用いて表
層弱脱炭を行っており、特公昭62−50528 号公報におい
ては、その実施例において湿N2雰囲気を用いて表層弱脱
炭を行っており、同特公昭62−50529 号公報や特公昭63
−5454号公報においても、実施例において、湿水素雰囲
気で表層弱脱炭を行っている。すなわち、一般にけい素
鋼板の焼鈍においては、雰囲気への酸素の混入を避ける
ことが通例となっている。
【0037】
【作用】次に、この発明で用いる方向性けい素鋼素材と
各製造工程についてを説明する。まず、方向性けい素鋼
素材の好適成分組成は、以下のとおりである。 C:0.030 〜0.10wt% Cは焼鈍中に鋼の一部に変態を生じさせ、熱延組織の改
善に有効なので0.030wt%以上必要であるが、0.10wt%
を超えると脱炭焼鈍でのCの除去が困難になるので、0.
030 〜0.10wt%の範囲とする。
【0038】Si:2.5 〜4.5 wt% Siは鋼の電気抵抗を高めて鉄損を低減するのに有効であ
り、 2.5wt%以上必要とするが、4.5 wt%を超えると冷
間圧延が困難になるので、上限を4.5 wt%とする。
【0039】Mn:0.02〜0.10wt% Mnは熱間脆性を改善するのに0.02wt%以上必要である
が、0.10wt%を超えると脱炭に悪影響を及ぼすので0.02
〜0.10wt%の範囲とする。
【0040】Al:0.01〜0.05wt% Alは、この発明の特徴である高磁束密度をもたらすイン
ヒビターであるAlN の構成成分として0.01wt%以上必要
であるが、0.05wt%を超えると、AlN が粗大化して抑制
力が劣化し、良好な磁気特性が得られないので0.01〜0.
05wt%の範囲とする。
【0041】N:0.0040〜0.0130wt% NもインヒビターであるAlN の構成成分として0.0060wt
%以上必要であるが、途中工程で窒化して補うことも可
能であるので0.0040wt%以上を必要とする。しかし0.01
30wt%を超えると、スラブ加熱の際に鋼中で気化して鋼
板のふくれの原因となるので、上限を0.0130wt%とす
る。
【0042】上記成分の他に、副抑制剤としてS,Se,
Cuを添加することも可能で、これらにより更なる磁気特
性の向上が期待できる。この目的のためには、SやSeは
0.005 〜0.050 wt%およびCuは0.05〜0.2 wt%の範囲で
添加することが好ましい。また粒界偏析型インヒビター
であるSn, Cr, Bi, Te, P,V,Ge, (B) 等の添加も可
能で、これらにより更なる磁気特性の向上が期待でき
る。この目的のためには、Sn, Crは0.05〜0.30wt%、G
e, Bi, Te, PやVは0.005 〜0.030 wt%および(B) は
0.0005〜0.0020wt%の範囲で添加することが好ましい。
【0043】さらに、鋼中にSbを添加することによっ
て、磁気特性を飛躍的に向上させ得るため、極めて有利
である。Sbは最終仕上焼鈍において、鋼板表面に偏析
し、鋼板表面の酸化および窒化を防止するので、鋼板表
面からの (110)〔001 〕方位粒の2次再結晶を促進し、
磁気特性を向上させる。この目的のためには、0.005 wt
%以上の添加が必要であるが、0.080 wt%を超えると鋼
が脆化し、圧延が困難になるので、0.005 〜0.080 wt%
の範囲で添加することが好ましい。また、鋼の熱間脆性
を改善するために、Moを0.005 〜0.020 wt%の範囲で添
加することも可能である。
【0044】上記に従って成分調整された溶鋼は、鋳型
にて鋼塊とした後分塊してスラブとするか、連続鋳造で
スラブとする。スラブは、必要により再圧されてから、
加熱後に熱間圧延に供され、熱延コイルとする。
【0045】熱延コイルは1回または中間焼鈍を挟む複
数回の冷間圧延によって最終板厚に仕上げるが、ここ
で、熱延板焼鈍もしくは中間焼鈍において、0.006 〜0.
020 wt%のCを脱炭する。
【0046】この脱炭の目的は、鋼板表層部のCを一部
除去することにより結晶組織を均一化し、1次再結晶の
集合組織中 (110)〔001 〕方位の強い集積を得ることに
ある。そこで、鋼板表層部の弱脱炭を行う必要がある
が、酸化性雰囲気を用いての脱炭であれば、脱炭条件は
自動的に満足されることになる。上記目的のためには、
Cを0.006 wt%以上脱炭する必要があるが、0.020 wt%
を超えて脱炭すると、鋼板板厚中央部にも、脱炭領域が
進展して板厚中央部から2次再結晶が発生することにな
り、磁気特性が逆に劣化する。
【0047】また、弱脱炭を行う際の焼鈍温度域は、従
来公知のように、900 〜1200℃であるが、脱炭に好適な
温度域は800 ℃前後であるので、昇温速度を遅くした
り、800 ℃前後の温度で保持したりする焼鈍パターンが
効率的である。なお、鋼板表層弱脱炭の回数は一度の焼
鈍で目的を達することも、複数回の焼鈍で目的を達する
ことも可能である。かかる鋼板表層部の弱脱炭は、その
焼鈍雰囲気を制御することがこの発明の最大の特徴とす
るものである。
【0048】すなわち、焼鈍雰囲気中に0.1 〜10%の酸
素を含有させることにより、脱炭を進行させつつ、鋼板
表層部の脱珪層の生成と拡大とを抑制し、脱炭・1 次再
結晶焼鈍の酸素目付量を確保して、製品の被膜特性を改
善する。また、最終仕上焼鈍途中での窒化を抑制し鋼板
表面からの (110)〔001 〕方位粒の2次再結晶を可能と
する。上記目的のためには、酸素を0.1 %以上含有させ
ることが必要であるが、10%を超えると、表層脱珪層の
厚みが増加して、磁気特性が再び劣化する。したがっ
て、酸素の含有量は0.1 〜10%の範囲とする。
【0049】また、表層弱脱炭の雰囲気の残る成分とし
ては、N2やAr等の中性ガスやH2O, CO2, CO等の酸化性又
は還元性ガスの併存が可能である。例えば、燃焼ガスの
組成のような雰囲気を使用することも可能であった。こ
の場合、酸素含有量の調整は空燃比の調整でもってなさ
れる。
【0050】次の冷間圧延工程において、インヒビター
AlN による高磁束密度を活性するためには、公知のよう
に最終冷間圧延前の焼鈍における冷却を急冷で行うこと
および最終冷間圧延での圧下率を80〜95%の高圧下率と
することが必要である。そして圧延に際しては、温間圧
延やパス間時効等、公知の圧延方法が適用できる。
【0051】最終冷間圧延後の鋼板は脱脂した後、湿水
素雰囲気中で脱炭・1 次再結晶焼鈍を施し、焼鈍分離剤
を塗布した後、最終仕上焼鈍を施す。その後、必要に応
じて絶縁コーティングを施したり、平坦化焼鈍を施し、
製品となす。
【0052】
【実施例】
実施例1 表1の記号Dに示す組成を有するけい素鋼スラブ10本
を、1420℃で10分間加熱した後、常法により熱間圧延を
行い、厚み2.2mm の熱延コイルとした。各コイルは乾 N
2 中で750 ℃15秒間の炭化物調整焼鈍を行い酸洗した
後、冷間圧延により、1.50mm厚の中間圧延板とした。中
間焼鈍は820 ℃で1分間保持し、さらに昇温して1100℃
で1分間保持した後、ミスト冷却により350 ℃まで急冷
し、330 ℃で20秒間保持した後徐冷する、二段昇熱急冷
低温保持のヒートパターンとした。このとき、焼鈍雰囲
気として露点20℃の湿 N2 中に(1) 酸素を含有しない、
酸素を(2)0.01 %、(3)0.05 %、(4)0.1%、(5)0.5%、
(6)1.0%、(7) 5%、(8) 10%、(9)15 %、(10)20%含
有させて、それぞれのコイルの中間焼鈍を行った。その
後、酸洗してからゼンジマー圧延機を用いて100 〜250
℃の温度で最終板厚0.22mmまで冷間圧延を行った。
【0053】その後、電解脱脂し、露点50℃、H2 50 %
含有、残余N2バランスの雰囲気で脱炭・1次再結晶焼鈍
を行った。このときの酸素目付量は、各々(1)0.92 、
(2)0.95 、(3)0.98 、(4)1.05 、(5)1.25 、(6)1.28 、
(7)1.28 、(8)1.19 、(9)1.08、(10)1.02であった。
【0054】その後、TiO2:7%およびSr(OH)2 ・8H
2O:3%を添加したMgO を焼鈍分離剤として塗布しコイ
ル状に巻取った後、最終仕上焼鈍を施した。最終仕上焼
鈍の条件は、840 ℃で25時間N2中で保持した後、N2:25
%およびH2:75%の雰囲気で15℃/hの昇温速度で昇温さ
せながら2次再結晶させ、さらにH2中で1200℃、10時間
の純化処理を行った。
【0055】最終仕上焼鈍後に未反応分離剤を除去し、
次いで平坦化焼鈍を兼ねて張力コーティングを焼付け
た。これらのコイルについての磁気特性および被膜特性
の測定結果を、表2および図3に示す。なお被膜の密着
性は種々の径の丸棒に鋼板を巻きつて皮膜の剥落のない
最終径をもって表わした。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】実施例2 表1に示した組成を有するけい素鋼スラブを1400℃で40
分間加熱した後、常法により熱間圧延を行い、厚み2.0m
m の熱間圧延コイルとした。但し、表1中の鋼F,Gの
スラブは1250℃で均熱40分間加熱した。
【0059】各コイルは酸素を1%含有するN2雰囲気中
で1000℃、1分間の熱延板焼鈍を行った後、酸洗し、冷
間圧延で1.30mmの厚さに圧延した。中間焼鈍は1100℃ま
で5℃/sで昇温し、50秒間保持した後、ミスト冷却に
より350 ℃まで急冷し、330℃で20秒間保持した後徐冷
する徐熱急冷低温保持のヒートパターンとした。この中
間焼鈍は、乾 N2 中に酸素を3%含有する雰囲気で行っ
た。ここで、熱延板焼鈍および中間焼鈍における脱炭量
の合計値を表3に示す。
【0060】次いで、酸洗後に、ゼンジマー圧延機を用
いて100 〜250 ℃の温度で最終板厚0.19mmに仕上げた。
その後、脱脂して露点50℃、 H2 50%および残余 N2
成の雰囲気で脱炭および1次再結晶焼鈍を行った。引続
き、TiO2:8%、SrSO4 :2%を添加したMgO を焼鈍分
離剤として塗布し、コイル状に巻取った後、最終仕上焼
鈍を施した。最終仕上焼鈍は、850 ℃まで20℃/hの昇温
速度でN2中で昇温した後、15℃/hの昇温速度でN2: 25
%、H2: 75 %の雰囲気で1200℃まで昇温し、2次再結
晶させ、さらにH2中で1200℃、10時間の純化を行った。
【0061】最終仕上げ焼鈍後は未反応分離剤を除去し
た後、平坦化焼鈍を兼ねて張力コーティングの焼付けを
行った。これらのコイルの磁気特性および被膜特性につ
いて測定結果を表3に併記する。
【0062】
【表3】
【0063】実施例3 表1に示した鋼D,GおよびQの組成を有するけい素鋼
スラブを、1420℃で10分間加熱した後、常法により熱間
圧延を行い、厚み2.0mm の熱間圧延コイルとした。但
し、鋼Gのスラブは1320℃で均熱30分間加熱した。各コ
イルは1130℃で90秒間の焼鈍とその後のミストによる急
冷処理のヒートパターンにて熱延板焼鈍を施すに当た
り、加熱を炉内での都市ガスの燃焼で行ない、かつ空燃
比を1.05〜1.15とした。この結果、炉内の雰囲気ガスの
露点は35〜55℃および酸素含有量が0.85〜1.53%の範囲
となった。この熱延板焼鈍によって脱炭した量を表4に
示す。各コイルは酸洗後、ゼンジマー圧延機で0.295mm
の厚さまで100 〜250 ℃の温度で圧延した。
【0064】次いで、脱脂して露点60℃ H2 65%含有
し、残余N2バランスの雰囲気で脱炭・1次再結晶焼鈍を
行った。その後、TiO2:8%を添加したMgO を焼鈍分離
剤として塗布し、コイル状に巻きとった後、最終仕上げ
焼鈍を施した。最終仕上げ焼鈍の条件は840 ℃で30時間
の保持まではN2中で、その後1200℃までN2 25 %、H2 7
5 %の雰囲気で15℃/hの昇温速度で昇温し2次再結晶さ
せ、さらにH2中で1200℃で15時間の純化を行った。最終
仕上げ焼鈍後は未反応分離剤を除去した後、平坦化焼鈍
を兼ねて張力コーティングを焼付けた。これらのコイル
についての磁気特性および被膜特性の測定結果を表4に
併記する。
【0065】
【表4】
【0066】
【発明の効果】この発明によれば、冷間圧延工程におけ
る鋼板表層の弱脱炭における焼鈍雰囲気に酸素を一定量
含有させることにより、磁気特性および被膜特性の良好
な高磁束密度方向性けい素鋼板を安定して得ることがで
きるため、その工業的効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】EPMAによるSiの分析結果を示す図である。
【図2】EPMAによるSiの分析結果を示す図である。
【図3】焼鈍雰囲気における酸素含有率と磁気特性およ
び被膜特性との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.03〜0.10wt%、Si:2.5 〜4.5 wt
    %:Mn:0.02〜0.10wt%、Al:0.01〜0.05wt%および
    N:0.0040〜0.0130wt%を含有する方向性けい素鋼素材
    を熱間圧延したのち、必要に応じて熱延板焼鈍を施し、
    次いで1回または中間焼鈍をはさむ複数回の冷間圧延に
    よって最終板厚に仕上げ、引続き脱炭および1次再結晶
    焼鈍、そして最終仕上焼鈍を施す、一連の工程によって
    方向性けい素鋼板を製造するに当たり、上記熱延板焼鈍
    および中間焼鈍のいずれかにおいて、Cを合計で0.006
    〜0.030 wt%脱炭させる表層弱脱炭を、酸素含有率が0.
    1〜10%の雰囲気下で行うことを特徴とする磁気特性お
    よび被膜特性に優れた高磁束密度方向性けい素鋼板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 方向性けい素鋼素材はさらにSb:0.005
    〜0.080 %を含有する請求項1に記載の方法。
JP5245008A 1993-09-30 1993-09-30 磁気特性および被膜特性に優れた高磁束密度方向性けい素鋼板の製造方法 Pending JPH0797631A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002332523A (ja) * 2001-05-09 2002-11-22 Nippon Steel Corp 鉄損特性の良い方向性珪素鋼板の製造方法及び脱炭焼鈍炉
JP2012001741A (ja) * 2010-06-14 2012-01-05 Jfe Steel Corp 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2014062305A (ja) * 2012-09-24 2014-04-10 Jfe Steel Corp 板厚0.12〜0.25mmの方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2023508029A (ja) * 2019-12-20 2023-02-28 ポスコホールディングス インコーポレーティッド 方向性電磁鋼板およびその製造方法

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