JP3893766B2 - 均質なフォルステライト質被膜を有する方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

均質なフォルステライト質被膜を有する方向性けい素鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、変圧器やその他の電気機器の鉄心などの用途に用いて好適な方向性電磁鋼板の製造方法に関し、特にフォルステライト質絶縁被膜の被膜特性を有利に改善する、均質なフォルステライト質被膜を有する方向性けい素鋼板の製造方法を提案するものである。
【0002】
【従来の技術】
方向性けい素鋼板は、主として変圧器あるいは回転機器などの鉄心材料として使用され、磁気特性として磁束密度が高く、鉄損および磁気歪が小さいことが要求される。特に近年、省エネルギー、省資源の観点から磁気特性に優れる方向性けい素鋼板のニーズはますます高まっている。
【0003】
磁気特性に優れる方向性けい素鋼板を得るには{110}<001>方位、いわゆるゴス方位に高度に集積した二次再結晶組織を得ることが肝要である。
かかる方向性けい素鋼板は、二次再結晶に必要なインヒビター、例えばMnS ,MnSe,AlN などを含む方向性けい素鋼スラブを加熱して熱間圧延を行ったのち、必要に応じて焼鈍を行い、1回あるいは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終冷延板厚とし、次いで脱炭焼鈍を行ったのち、鋼板にMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上げ焼鈍を行うことによって製造される。そして、この方向性けい素鋼板の表面には、特殊な場合を除いて、フォルステライト(Mg2SiO4)を主体とする絶縁被膜、いわゆるフォルステライト質絶縁被膜あるいはフォルステライト質被膜といわれる被膜が形成されているのが普通である。この被膜は表面の電気的絶縁だけでなく、その低熱膨張性に起因する引張応力を鋼板に付与することにより、鉄損さらには磁気歪をも効果的に改善する。
【0004】
また、一般に方向性けい素鋼板は、フォルステライト質被膜の上にガラス質のコーティングが施されるが、このコーティングは非常に薄く透明であるためフォルステライト質被膜が製品の最終的な外観を決定する。したがって、その外観の良否は製品価値を大きく左右し、例えば地鉄が一部露出したような被膜をもつものは製品として不適当とされるなど、被膜性状が製品歩留りに及ぼす影響は極めて大きいのである。したがって、形成されたフォルステライト質被膜は外観が均一で欠陥のないこと、またせん断、打ち抜きおよび曲げ加工などにおいて被膜のはく離を生じないようにするため、密着性に優れることが要求される。更に、その表面は平滑で、鉄心として積層したときに高い占積率を有することが必要である。
【0005】
このフォルステライト質被膜は仕上げ焼鈍において形成されるが、その被膜形成挙動は鋼中のMnS ,MnSe,AlN などのインヒビターの挙動に影響するため、優れた磁気特性を得るために必須の過程である二次再結晶そのものにも影響を及ぼす。また形成されたフォルステライト質被膜は、二次再結晶が完了したあとには不要となるインヒビター成分を被膜中に吸い上げて鋼を純化することによっても鋼板の磁気特性の向上に貢献する。したがって、このフォルステライト質被膜形成過程を制御して被膜を均一に生成させることは、優れる磁気特性を有する方向性けい素鋼板を得るうえでも非常に重要である。
【0006】
かように製品品質に多大な影響を及ぼすフォルステライト質絶縁被膜は、一般に以下のような工程で形成される。
まず、所望の最終冷延板厚に冷間圧延された方向性けい素鋼板用の最終冷延板を、湿水素中で700 〜900 ℃の温度で連続焼鈍を行う。この焼鈍(脱炭焼鈍)により
▲1▼冷間圧延後の組織を、最終仕上げ焼鈍において適正な二次再結晶がおこるように1次再結晶させ、
▲2▼最終仕上げ焼鈍における二次再結晶を完全に行わせるとともに、製品の磁気特性の時効劣化を防止するため、鋼中に0.01〜0.10%程度含まれる炭素を0.003 %程度以下にまで脱炭し、
▲3▼鋼中Siの酸化によってSiO2を含むサブスケールを鋼板表層に生成させる。
【0007】
その後、MgO を主体とする焼鈍分離剤を鋼板上に塗布し、コイル状に巻き取って還元あるいは非酸化性雰囲気にて二次再結晶焼鈍と純化焼鈍を兼ねた最終仕上げ焼鈍を最高1200℃程度の温度で行うことにより、主として以下の反応式で示される固相反応によってフォルステライト質絶縁被膜を形成させるのである。
2MgO +SiO2→Mg2SiO4
【0008】
このフォルステライト質絶縁被膜は1μm 前後の微細結晶が緻密に集積したセラミックス被膜であり、上述の如く、脱炭焼鈍により鋼板表層に生成したSiO2を含有するサブスケールを一方の原料として、その鋼板上に生成させるものであるから、このサブスケールの種類、量、分布などはフォルステライトの核生成や粒成長挙動に関与するとともに、被膜結晶粒の粒界や粒そのものの強度にも影響を及ぼし、したがって、仕上げ焼鈍後の被膜品質にも多大な影響を及ぼす。
【0009】
また、他方の原料物質であるMgO を主体とする焼鈍分離剤は、水に懸濁したスラリーとして鋼板に塗布されるため、乾燥させたのちも物理的に吸着したH2O を保有するほか、一部が水和してMg(OH)2 に変化している。そのため、仕上げ焼鈍中は800 ℃付近まで少量ながらH2O を放出し続ける。このH2O により仕上げ焼鈍中に鋼板表面は酸化される。この酸化もフォルステライトの生成挙動に影響を及ぼすとともにインヒビターの挙動にも影響を与え、この追加酸化が多いと磁気特性が劣化する要因となる。このマグネシアが放出するH2O による酸化し易さも、脱炭焼鈍で形成されたサブスケールの物性に大きく影響される。また当然ながら、焼鈍分離剤中に配合されるマグネシア以外の添加物も、たとえ添加量が少量であっても、被膜形成および二次再結晶過程に大きく影響する。
特にインヒビター成分としてAlN を含む方向性けい素鋼板においては、このサブスケールの物性が仕上げ焼鈍中の脱窒挙動あるいは焼鈍雰囲気からの浸窒挙動に大きく影響を及ぼし、したがって、磁気特性にも大きな影響を与える。
【0010】
以上述べたように、脱炭焼鈍において鋼板表層に形成されるサブスケールの物性を制御することは、優れたフォルステライト質絶縁被膜を適切な温度で均一に形成させるために、また、二次再結晶を正常に発現させるために欠かせない技術であり、方向性けい素鋼板の製造技術の重要な項目の一つとなっている。
【0011】
これまで方向性けい素鋼板の脱炭焼鈍に関しては、例えば、特開昭59−185725号公報に開示されているように、脱炭焼鈍後鋼板の酸素含有量を制御する方法、特公昭57−1575号公報に開示されているように、雰囲気の酸化度を脱炭焼鈍の前部領域では0.15以上とし、引き続く後部領域の酸化度を0.75以下でかつ前部領域よりも低くする方法、特開平2−240215号公報や特公昭54−24686 号公報に示されているように、脱炭焼鈍後に非酸化性雰囲気中で850 〜1050℃の温度の熱処理を行う方法、また、特公平3−57167 号公報に開示されているように、脱炭焼鈍後の冷却を750 ℃以下の温度域では酸化度を0.008 以下として冷却する方法、あるいは特開平6−336616号公報に開示されているように、均熱過程における水素分圧に対する水蒸気分圧の比を0.70未満に、かつ昇温過程における水素分圧に対する水蒸気分圧の比を均熱過程よりも低い値にする方法、更に特開平7−278668号公報に開示されているように昇温速度と焼鈍雰囲気を規定する方法などが知られている。
【0012】
また、フォルステライト質被膜の外観に大きな影響を与えるものとして、部分的に地鉄が露出する点状欠陥がある。この点状欠陥の発生を抑制する方法としては、例えば特開昭59−226115号公報に、素材中にMoを0.003 〜0.1 %の範囲で含有させるとともに、脱炭焼鈍を、雰囲気温度:820 〜860 ℃でかつ、P(H2O)/P(H2) で表される雰囲気酸化性を0.30〜0.50の条件下で行って、鋼板表面に形成されるサブスケール中のシリカ(SiO2)とファイヤライト(Fe2SiO4)の比Fe2SiO4 /SiO2を0.05〜0.45の範囲に調整する技術がそれぞれ開示されている。
【0013】
しかしながら、上述した方法は、いずれも一定の効果は認められるとはいえ、必ずしも十分なものではなく、ストリップの幅方向あるいは長手方向で磁気特性やフォルステライト質絶縁被膜の密着性、厚みあるいは均一性などが劣化する場合があり、優れた品質を有する製品を安定生産し、さらなる歩留り向上を図るためには、いまだ改善の余地を残すものであった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、コイルの全幅および全長にわたって欠陥のない均一で密着性に優れたフォルステライト質被膜を有し、かつ磁気特性にも優れる方向性けい素鋼板を得るための製造方法を提案することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前述したように、フォルステライト質被膜は脱炭焼鈍時に生成するサブスケールを一方の原料として、またMgO を主体とする焼鈍分離剤を他方の原料として生成するものであるから、それら両者がフォルステライト質被膜の品質や磁気特性のばらつきに大きく影響すると考えられる。発明者らは、この観点に基づき、製品板でのフォルステライト質被膜の品質や磁気特性のばらつきの原因を詳細に調査したところ、脱炭焼鈍において鋼板表層に生成するサブスケールの量および質のばらつきが大きく影響していることを見出した。更に可能なかぎり同一条件で熱間圧延・冷間圧延などを実施して脱炭焼鈍を行っても、サブスケールの品質が大きくばらつくことがあった。そこでこの原因究明のため、素材成分にまで遡って詳細に検討したところ、不純物として含まれる素材中のCr量が変動し、その影響によりサブスケールの量・質がばらつくことが判明した。素材中の不純物Cr量は約0.02〜0.06%の範囲で変動し、その程度の変動であってもサブスケール品質への影響が非常に大きいことが判った。
【0016】
なお、これまで、この素材中のCr量に関しては、下記に述べる技術が開示されている。
特開平4−329829号公報、特開平4−329830号公報には、Crを0.04〜0.20%素材中に含有させる技術が開示されていて、「Crは脱炭焼鈍時の酸化挙動に大きく影響する元素であるが、Sb(あるいはSn, Sb) と同時に添加すると酸化層の質・量の変動を小さくし、仕上げ焼鈍における被膜形成を安定化する。」という記述があり、特開平8−176666号公報にも、Crを0.03〜0.30%素材中に含有させる技術が開示されていて、「Crは脱炭焼鈍時の酸化を促進する元素であるが、Snとの複合添加で仕上げ焼鈍後のフォルステライト被膜形成に有効に働く。」と記述されている。また特開平9−49023 号公報でもCrを0.05〜0.30%素材中に含有させる技術が開示されていて、「Crは、フォルステライト被膜形成に必要な脱炭焼鈍後の酸素量を確保するために添加される。0.05%より少ないと本発明のように(Sn+Sb) を添加した場合酸素量が極端に少なくなる。また、0.30%を超えると酸素量が極端に増加し、良好なフォルステライトが形成されなくなる。また磁束密度も低下する。」と報告されている。
【0017】
更に、特公平63−1371号公報ではCrを0.07〜0.30%素材中に含有させる技術が開示されていて、「適当量のCrを鋼中に含有させることにより、高磁束密度の得られる酸可溶性Al量の範囲が拡がることを見い出した。更にCr含有の素材から製造した製品は、同一磁束密度下での鉄損が優れていることを見いだした」と記述されており、特開平5−78743 号公報でもCrを0.04〜0.25%素材中に含有させる技術が開示されていて、「Crは高磁束密度が得られるAl量の範囲を拡げることを介して磁気特性を高める作用があり、そのために0.04%以上必要である。」と記述されている。
【0018】
上記の各開示技術は主にけい素鋼スラブを1200℃あるいは1280℃以下の温度に加熱したのち、熱間圧延・冷間圧延などを施し、脱炭焼鈍後に窒化処理を行う技術に関するものではあるが、いずれもCrを素材中に所定量添加して磁気特性・被膜特性を向上させる技術である。
【0019】
この発明はそれらとは異なり、素材中のCr量をできるだけ低減して0.05wt%以下にし、0.05wt%以下でのCr量の変動もサブスケールの量および質のばらつきに大きく影響するため、素材Cr量に応じて脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性P(H20)/P(H2) を制御するとともに、鋼板表層の酸素目付量を一定範囲にして、サブスケールの品質を安定化させるものである。すなわち発明者らは、従来の技術とは異なり、素材中にCrを添加するのではなくて、不純物としてのCr量を0.05wt%以下にし、かつ不純物として素材中に含有されたCr量に応じて脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性と鋼板表層の酸素量を制御してサブスケールを形成することで、フォルステライト質被膜の品質と磁気特性とが格段に安定して向上することを新規に見出し、この発明を達成したものである。
すなわち、この発明の要旨とするところは以下のとおりである。
【0020】
C:0.03〜0.12wt%、Si:2.0 〜4.5 wt%、Sol.Al:0.01〜0.05wt%およびN:0.004 〜0.012 wt%を含有するけい素鋼スラブを素材として、該素材を熱間圧延し、その後1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行い、次いで脱炭焼鈍を施したのち、鋼板表面にMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶焼鈍および純化焼鈍を施す一連の工程からなる方向性けい素鋼板の製造方法において、
上記素材中に不純物として含まれるCr量を0.05wt%以下(但し0 wt %は含まず)にするとともに、脱炭焼鈍均熱時のP(H2O)/P(H2)で表される雰囲気酸化性:yをCr量:x(wt%)によって定められる式;
0.35− 2x≦y≦0.60− 2x
の範囲に調整し、かつ、脱炭焼鈍後の鋼板表層に酸素目付量が片面当たり0.35〜0.75g/m2のサブスケールを形成させることを特徴とする均質なフォルステライト質被膜を有する方向性けい素鋼板の製造方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
この発明を更に詳細に以下に述べる。
まず、この発明の基礎となった実験例について述べる。
【0022】
・実験1
鋼中に含まれるCr量がサブスケールの品質に及ぼす影響を詳細に調査した。以下に、この実験結果について述べる。
【0023】
表1に示すように鋼中のCr量を変更した成分組成からなるけい素鋼スラブを6種類特別に用意して、それぞれ熱間圧延したのち、1000℃の温度で均一化焼鈍を行ってから、1050℃の温度で1分間の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延によって最終冷延板厚:0.23mmとした。
【0024】
【表1】
Figure 0003893766
【0025】
次いでこれらの冷延板を脱脂して表面を清浄化したのち、H2− H2O−N2雰囲気にて850 ℃の温度で2分間の脱炭焼鈍を施した。このときの酸化性雰囲気P(H20)/P(H2) は0.55とした。得られた各試料の酸素目付量(鋼板表層の片面当たり)を測定した。
図1は鋼中Cr量が脱炭焼鈍板の酸素目付量(片面当たり)に及ぼす影響を示すグラフである。図1より明らかなように鋼中のCr量が増すとともに酸素目付量が増えていることがわかる。その後、マグネシアにTiO2を6wt%配合した焼鈍分離剤をスラリー状にして、それぞれの脱炭焼鈍板コイルに塗布して乾燥させたのち、窒素雰囲気中での850 ℃の温度で20時間の保定に続いて、窒素:25%、水素:75%の雰囲気中で15℃/hrの速度で1150℃の温度まで昇温する二次再結晶焼鈍を施したのち、1200℃の温度の水素雰囲気中で5時間の純化焼鈍を行った。
【0026】
かくして得られた各コイルのフォルステライト質被膜の外観および曲げ密着性を評価するとともに、磁気特性(磁束密度B8, 鉄損W1 7/50) を評価した。鋼中Cr量が磁気特性(磁束密度B8, 鉄損W1 7/50) に及ぼす影響を示すグラフを図2(a),(b) に、被膜特性に及ぼす影響を表2に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0003893766
【0028】
なお、被膜の曲げ密着性は5mm間隔の種々の径を有する丸棒にそれぞれ試験片を巻き付け、被膜が剥離しない最少径を測定したものである。
図2および表2から明らかなように、鋼中Cr量が0.03wt%以上の範囲で磁気特性と被膜特性が大きく劣化していることがわかる。
【0029】
・実験2
そこで、実験1で磁気特性と被膜特性とが大きく劣化した鋼中Cr量が0.04wt%である成分の素材を用いて、脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性の影響を調べる実験を行った。
【0030】
C:0.07wt%(以下単に%で示す),Si:3.25%,Mn:0.072 %, Al:0.025 %,N:0.0082%,Se:0.018 %,Sb:0.025 %、およびCr:0.040 %を含むけい素鋼スラブを、1430℃の温度で20分間加熱後、熱間圧延した。その後、1000℃の温度で均一化焼鈍を行ってから、1050℃の温度で1分間の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延によって最終冷延板厚:0.23mmとした。次いでこれらの冷延板を脱脂して表面を清浄化したのち、H2−H2O −N2雰囲気にて850 ℃の温度で、片面当たりの酸素目付量が0.5 〜0.6 g/m2になるように脱炭焼鈍を施した。この脱炭焼鈍の際、雰囲気の酸化性を露点とH2ガス濃度の調整によって、酸化性雰囲気P(H20)/P(H2) を0.2 〜0.6 の範囲で変化させた。その後、マグネシアにTiO2を6%配合した焼鈍分離剤をスラリー状にして、それぞれの脱炭焼鈍板コイルに塗布して乾燥させたのち、窒素雰囲気中での850 ℃の温度で20時間の保定に続いて、窒素:25%、水素:75%の雰囲気中で15℃/hrの速度で1150℃の温度まで昇温する二次再結晶焼鈍を施したのち、1200℃の温度の水素雰囲気中で5時間の純化焼鈍を行った。
【0031】
かくして得られた各コイルのフォルステライト質被膜の外観および曲げ密着性を評価するとともに、磁気特性(磁束密度B8, 鉄損W1 7/50) を評価した。脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性が磁気特性(磁束密度B8, 鉄損W1 7/50) に及ぼす影響を示すグラフを図3(a),(b) に、被膜特性に及ぼす影響を表3に示す。
【0032】
【表3】
Figure 0003893766
【0033】
なお、被膜の曲げ密着性は実験1と同様の方法により測定したものである。
図3および表3から明らかなように、脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性P(H20)/P(H2) が0.27〜0.52の範囲では良好な磁性と被膜特性が得られているが、その範囲外では特性が大きく劣化していることがわかる。
【0034】
・実験3
実験2の結果から次に、鋼中Cr量が異なるときに良好な磁気特性と被膜特性とが得られる脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性P(H20)/P(H2) の範囲を調べる実験を行った。
【0035】
表4に示すように鋼中のCr量を変更した成分組成からなるけい素鋼スラブ5種類を特別に用意して、それぞれ熱間圧延したのち、1000℃の温度で均一化焼鈍を行ってから、1050℃の温度で1分間の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延によって最終冷延板厚:0.23mmとした。
【0036】
【表4】
Figure 0003893766
【0037】
次いでこれらの冷延板を脱脂して表面を清浄化したのち、H2−H2O −N2雰囲気にて850 ℃の温度で、片面当たりの酸素目付量が0.5 〜0.6 g/m2になるように脱炭焼鈍を施した。この脱炭焼鈍の際、雰囲気の酸化性を露点とH2ガス濃度の調整によって、酸化性雰囲気P(H20)/P(H2) を0.2 〜0.65の範囲で変化させた。その後、マグネシアにTiO2を6%配合した焼鈍分離剤をスラリー状にして、それぞれの脱炭焼鈍板コイルに塗布して乾燥させたのち、窒素雰囲気中での850 ℃の温度で20時間の保定に続いて、窒素:25%、水素:75%の雰囲気中で15℃/hrの速度で1150℃の温度まで昇温する二次再結晶焼鈍を施したのち、1200℃の温度の水素雰囲気中で5時間の純化焼鈍を行った。
【0038】
かくして得られた各コイルのフォルステライト質被膜の外観および曲げ密着性を評価するとともに、磁気特性(磁束密度B8) を評価した。鋼中Cr量と脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性P(H20)/P(H2) が磁気特性に及ぼす影響を示すグラフを図4と図5に、被膜特性に及ぼす影響を表5に示す。
【0039】
【表5】
Figure 0003893766
【0040】
なお、被膜の曲げ密着性は実験1と同様の方法により測定したものである。
図4,5および表5から明らかなように、鋼中Cr量が0.05%以下でその値がx%であるとき、脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性P(H20)/P(H2) :yを、0.35− 2x≦y≦0.60− 2xの条件下で行ってサブスケールを形成することで、良好な磁気特性(B8 ≧1.94(T) ) と被膜特性とが得られていることがわかる。なお、鋼中Cr量が0.05%を超えると、どの酸化性雰囲気P(H20)/P(H2) の条件でも良好な磁気特性・被膜特性を得ることはできなかった。
【0041】
・実験4
次に、脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性P(H20)/P(H2) :yを、0.35− 2x≦y≦0.60− 2x(xは鋼中Cr量(%)、ただしx≦0.05%)の条件で行ったときに、良好な磁気特性と被膜特性とが得られる脱炭焼鈍後の鋼板表層の酸素目付量の範囲を調べる実験を行った。
【0042】
表6に示すように鋼中のCr量を変更した成分組成からなるけい素鋼スラブ4種類を特別に用意して、それぞれ熱間圧延したのち、1000℃の温度で均一化焼鈍を行ってから、1050℃の温度で1分間の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延によって最終冷延板厚:0.23mmとした。
【0043】
【表6】
Figure 0003893766
【0044】
次いでこれらの冷延板を脱脂して表面を清浄化したのち、H2−H2O −N2雰囲気にて脱炭焼鈍を施した。この脱炭焼鈍の際、雰囲気の酸化性を露点とH2ガス濃度の調整によって、酸化性雰囲気P(H20)/P(H2) を0.35− 2x〜0.60− 2x(xは鋼中Cr量(%))の範囲で変化させた。また、均熱温度・均熱時間・昇温速度・最終冷間圧延後(脱炭焼鈍前)の電解脱脂条件(有無を含めて)などを適宜変更することで、種々の酸素目付量の試料を用意した。その後、マグネシアにTiO2を6%配合した焼鈍分離剤をスラリー状にして、それぞれの脱炭焼鈍板コイルに塗布して乾燥させたのち、窒素雰囲気中での850 ℃の温度で20時間の保定に続いて、窒素:25%、水素:75%の雰囲気中で15℃/hrの速度で1150℃の温度まで昇温する二次再結晶焼鈍を施したのち、1200℃の温度の水素雰囲気中で5時間の純化焼鈍を行った。
【0045】
かくして得られた各コイルのフォルステライト質被膜の外観および曲げ密着性を評価するとともに、磁気特性(磁束密度B8) を評価した。鋼板表層の酸素目付量(片面当たり)が磁気特性に及ぼす影響を示すグラフを図6に、被膜特性に及ぼす影響を表7に示す。
【0046】
【表7】
Figure 0003893766
【0047】
なお、被膜の曲げ密着性は実験1と同様の方法で測定したものである。
図6および表7より明らかなように脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性P(H20)/P(H2) :yを、0.35− 2x≦y≦0.60− 2x(xは鋼中Cr量(%))の条件下で行って、かつ鋼板表層に酸素目付量が片面当たり0.35〜0.75g/m2であるサブスケールを形成することで、良好な磁気特性と被膜特性とが得られていることがわかる。
【0048】
以上の一連の実験結果より、
1)素材中に不純物として含まれるCr量を0.05%以下にするとともに、
2)素材中に含有されたCr量がx(%)であるとき、脱炭焼鈍時の均熱焼鈍をP(H2O)/P(H2) で表される雰囲気酸化性(yとする)を、0.35− 2x≦y≦0.60−
2xの条件下で行うこと、および
3)鋼板表層の酸素目付量が片面当たり0.35〜0.75g/m2であるサブスケールを形成すること
で、良好な磁気特性と被膜特性とが得られることがわかった。
【0049】
これらの理由について発明者らは次のように考えている。
同一雰囲気酸化性下で脱炭焼鈍を行ったとき、鋼中Cr量が増すと脱炭焼鈍時に形成されるサブスケールの酸素量は増大する。これは、特開平8−176666号公報の明細書中でも述べられているように、Crが脱炭焼鈍時の酸化を促進する元素であるからと考えられる。しかし、発明者らは、Crは単に脱炭焼鈍時の酸化を促進するだけでなく、サブスケール中SiO2層の構造を変えていることを新たに見出した。すなわち、鋼中Cr量が増すと、鋼中Cr量が低い場合と同じ雰囲気酸化性下で脱炭焼鈍を行っても、結果として鋼中Cr量が低い場合に、より高い雰囲気酸化性下で脱炭焼鈍を行ったのに等しい構造を有するサブスケールが生成する。このサブスケール中SiO2層の構造は脱炭焼鈍均熱中の雰囲気酸化性で決定される。つまり鋼中Cr量が異なる素材で、均熱時間などを変えて両者の酸素目付量を同一にしても、同一雰囲気酸化性下で脱炭焼鈍を行っている場合は、両者のサブスケール中SiO2層の構造は異なる。
【0050】
脱炭焼鈍均熱中の雰囲気酸化性の違いによるサブスケール中SiO2層の構造の変化は特開平7−103938号公報、特開平8−218124号公報あるいはCAMP-ISIJ8(1995),1591 、CAMP-ISIJ9(1996),448などに開示されている電気化学的なサブスケールの評価法で把握することができる。この方法で得られる図7に示す電圧−時間曲線の模式図のIII 領域の幅はサブスケールSiO2量中のO量と比例するが、脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性が異なると、その関係が異なってくることが新たにわかった。すなわち図8のサブスケール中のSiO2量中のO量と脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性が図7の電圧−時間曲線の領域III 幅に及ぼす影響を示すグラフのように、III 領域の幅とサブスケール中のSiO2量中のO量との比例関係は、焼鈍時の雰囲気酸化性が異なっても成り立つが、同一直線上にはのっていない。これはサブスケール中SiO2層の構造が、脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性により異なることを反映していると考えられる。実際、サブスケール断面を観察すると、ほぼ同じ酸素目付量であっても脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性が高くなると、図9(a), (b)のサブスケールの図面代用断面SEM 写真に示すようにラメラ(あるいはフィルム)状のSiO2が多く観察された。
【0051】
このようにサブスケール中SiO2層の構造が異なると、インヒビターの分解挙動やフォルステライト質被膜の形成挙動が異なることも新たにわかった。これが、鋼中Cr量に応じて、脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性を変化させてサブスケールを形成する理由である。これによって鋼中Cr量が異なっても、一定の安定した性状を有するサブスケールを形成させることが可能になった。
ただし、鋼中Cr量が0.05%を超えると、更にサブスケール性状が大きく変化するので、脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性と酸素目付量を制御しても良好な特性が得られないと思われる。
【0052】
また、サブスケールの酸素目付量(片面当たり)が0.35g/m2未満、あるいは0.75g/m2を超える範囲では、磁気特性・被膜特性とも劣化した。酸素目付量が0.35g/m2未満では、フォルステライト質形成源としてのSiO2量が不足するためにフォルステライト質被膜が十分に生成せず、0.75g/m2を超えると表面の保護性が強すぎて最終仕上げ焼鈍中のインヒビター分解が適当に進行しないため、かえって磁気特性劣化を招くと思われる。したがって、酸素目付量(片面当たり)は0.35〜0.75g/m2の範囲に限定する。
【0053】
次にこの発明の成分組成の限定理由および好適範囲について述べる。
この発明の対象とするけい素鋼板用スラブの成分組成については、C:0.03〜0.12%,Si:2.0 〜4.5 %,sol.Al:0.01〜0.05%,N:0.004 〜0.012 %を含有させることが必要である。また、素材中に含まれる不純物Cr量は0.05%以下とする。その他、必要に応じて、Mn:0.02〜0.20%,SおよびSeのうちから選んだ少なくとも一種:0.010 〜0.040 %,Sb:0.01〜0.20%,Cu:0.01〜0.20%,Mo:0.01〜0.10%,Sn:0.02〜0.30%,Ge:0.02〜0.30%, Ni:0.01〜0.50%, P:0.002 〜0.30%,Nb:0.003 〜0.10%,V:0.003 〜0.10%,B:0.0005〜0.03%およびBi:0.001 〜0.20%の範囲で各成分を含有させることもできる。
【0054】
sol.AlおよびNは、AlN インヒビターを形成させるために必要である。良好に二次再結晶させるには、sol.Al:0.01〜0.05%、N:0.004 〜0.012 %の範囲であることが要求される。これを超える量ではAlN の粗大化を招いて抑制力を失い、これ未満ではAlN の量が不足である。
【0055】
Cは、熱間圧延時のα−γ変態を利用して結晶組織の改善を行うために重要な成分である。含有量が0.03%に満たないと良好な1次再結晶組織が得られず、0.12%を超えると脱炭が難しくなって脱炭不良となり磁気特性が劣化するので0.03〜0.12%の範囲に限定する。
【0056】
Siは、製品の電気抵抗を高め、渦電流損を低減させる上で重要な成分である。含有量が2.0 %に満たないと最終仕上げ焼鈍中にα−γ変態によって結晶方位が損なわれ、4.5 %を超えると冷間圧延性に問題があるため、2.0 〜4.5 %の範囲に限定する。
【0057】
素材中の不純物Cr量は0.05%以下(但し0%は含まず)にする。0.05%を超えると、この発明の方法でも一定の性状のサブスケールを生成することが難しくなるので、0.05%以下に限定する。
【0058】
MnとSeおよびSもインヒビターとして機能するもので、Mn量が0.02%未満、またはSとSeの単独もしくは合計量が0.010 %未満であるとインヒビター機能が不十分となり、Mn量が0.20%を超え、またはSとSeの単独もしくは合計量が0.040 %を超えるとスラブ加熱の際に必要とする温度が高すぎて実用的でないので、Mnは0.02〜0.20%、SまたはSeは単独あるいは合計量として0.010 〜0.040 %の範囲であることが好ましい。
【0059】
更に磁束密度を向上させるためにSb, Cu, Sn, Ge, Ni, P,Nb, V,BおよびBiなどを単独または複合して添加することが可能である。Sbは含有量が、0.20%を超えると脱炭性が悪くなり、0.01%に満たないと効果がないので、その含有量は0.01〜0.20%の範囲が好ましい。Cuは含有量が0.20%を超えると酸洗性が悪化し、0.01%に満たないと効果がないので、その含有量は0.01〜0.20%の範囲が好ましい。Sn,Geは共に含有量が0.30%を超えると良好な1次再結晶組織が得られず、0.02%未満では効果がないので、それらの含有量はそれぞれ0.02〜0.30%の範囲が好ましい。Niは含有量が0.50%を超えると熱間強度が低下し、0.01%未満では効果がないので、その含有量は0.01〜0.50%の範囲が好ましい。Pは含有量が0.30%を超えると良好な1次再結晶組織が得られず、0.002 %未満では効果がないので、それぞれの含有量は0.002 〜0.30%の範囲が好ましい。Nb、Vは共に含有量が0.10%を超えると脱炭性が悪くなり、0.003 %に満たないと効果がないので、それらの含有量はそれぞれ0.003 〜0.10%の範囲が好ましい。Bは含有量が0.03%を超えると良好な1次再結晶組織が得られず、0.0005%に満たないと効果がないので、その含有量は0.0005〜0.03%の範囲が好ましい。Biは含有量が0.20%を超えると良好な1次再結晶組織が得られず、0.001 %に満たないと効果がないので、その含有量は0.001 〜0.20%の範囲が好ましい。
【0060】
また、表面性状を改善するためにMoを添加できる。含有量が0.10%を超えると脱炭性が悪くなり、0.01%に満たないと効果がないので、その含有量は0.01〜0.10%の範囲が好ましい。
【0061】
つぎに、この発明の対象としている方向性けい素鋼板の製造条件について述べる。
従来より用いられている製鋼法で上記成分組成に調整した溶鋼を連続鋳造法あるいは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟んでスラブを得、1100〜1450℃の温度範囲でスラブ加熱を行い、その後熱間圧延を行う。次いで必要に応じて熱延板焼鈍を行ったのち、1回ないしは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終冷延板厚の冷延板とする。
【0062】
次いで、前記したこの発明に従う雰囲気中のP(H2O)/P(H2) と酸素目付量を制御した脱炭焼鈍を行う。この脱炭焼鈍での昇温速度は、通常の10〜30℃/sの範囲に限るものではなく、5〜60℃/sのより広範囲で行うことができる。
【0063】
この脱炭焼鈍を施した鋼板表面に、MgO を主成分とする焼鈍分離剤を、スラリー状にして塗布したのち乾燥する。ここで、焼鈍分離剤に用いるMgO は、水和量(20℃・6分間にて水和後、1000℃・1時間の強熱による減量)が1〜5%の範囲のものを用いるのがよい。これは、MgO の水和量が1%未満ではフォルステライト質被膜の生成が不十分となり、5%を超えるとコイル層間への持ち込み水分量が多くなりすぎ鋼板の追加酸化量が多くなるため、良好なフォルステライト質被膜が得られなくなるおそれがあるからである。更に、30℃でのクエン酸活性度(CAA 40)が30秒から160 秒のものを用いるのがよい。30秒未満では反応性が強過ぎてフォルステライトが急激に生成して剥落し易く、160 秒を超えると反応性が弱過ぎてフォルステライト生成が進行しないからである。
【0064】
また、焼鈍分離剤の塗布量は鋼板片面当たり4〜10g/m2の範囲で塗布するのが好ましい。これは、塗布量が4g/m2より少ないとフォルステライト質の生成が不十分となり、10g/m2を超えるとフォルステライト質被膜が過剰に生成し厚くなるため占積率の低下をきたすからである。なお、磁気特性あるいは被膜特性の向上を目的として、焼鈍分離剤中に酸化物や硫化物のような化合物の1種または2種以上をそれぞれ単独または複合して添加してもよい。
【0065】
次いで、二次再結晶・純化焼鈍(最終仕上げ焼鈍)を行ったのち、りん酸塩系の絶縁コーティング好ましくは張力を有する絶縁コーティングを施して製品とする。
また、最終冷延後、最終仕上げ焼鈍後あるいは絶縁コーティング後に既知の磁区細分化処理を行うこともよく、さらなる鉄損の低減に有効である。
【0066】
【実施例】
実施例1
C:0.075 %,Si:3.40%, Mn:0.069 %,Al:0.025 %, N:0.0090%, Se:0.020 %,Cu:0.10%,Sb:0.043 %、および不純物Cr:0.045 %を含むけい素鋼スラブを、1430℃の温度で30分間加熱後、熱間圧延を施して、2.2 mm厚の熱延板とした。次いで1000℃・1分間の熱延板焼鈍後、冷間圧延にて板厚:1.5 mmとし、1100℃・1分間の中間焼鈍ののち、2回目の冷間圧延により最終冷延板厚:0.23mmに仕上げた。
【0067】
これらの冷延板に、H2−H2O −N2雰囲気にて820 ℃の温度で脱炭焼鈍を施した。このとき、酸化性雰囲気P(H20)/P(H2) を0.20〜0.60の範囲で変化させるとともに、均熱時間・昇温速度・最終冷間圧延後(脱炭焼鈍前)の電解脱脂条件(有無で含めて)などを適宜変更して、酸素目付量(片面当たり)がA:0.28〜0.33g/m2、B:0.50〜0.55g/m2、C:0.77〜0.82g/m2の3水準になるようにした。
【0068】
次いでMgO を主成分とする焼鈍分離剤をスラリー状として脱炭焼鈍板コイルにそれぞれ塗布し乾燥させたのち、窒素雰囲気中での850 ℃の温度で10時間の保定に続いて、窒素:30%、水素:70%の雰囲気中で10℃/hrの速度で1150℃の温度まで昇温する二次再結晶焼鈍を施したのち、1200℃の温度の水素雰囲気中で5時間の純化焼鈍を行った。しかるのち、りん酸マグネシウムとコロイダルシリカを主成分とするコーティングを施した。
【0069】
かくして得られた各製品コイルの磁気特性(磁束密度B8, 鉄損W1 7/50) と被膜の曲げ密着性・被膜外観を調査した。なお、被膜の曲げ密着性は5mm間隔の種々の径を有する丸棒にそれぞれ試験片を巻き付け、被膜が剥離しない最少径を測定したものである。これらの調査結果を表8に示す。
【0070】
【表8】
Figure 0003893766
【0071】
表8から明らかなように、この発明に従う条件で製造した適合例は、いずれも良好な磁気特性および被膜特性を示している。
【0072】
実施例2
C:0.067 %,Si:3.24%, Mn:0.075 %,Al:0.026 %, N:0.0082%, Se:0.021 %,Cu:0.10%,Sb:0.024 %、および不純物Cr:0.018 %を含むけい素鋼スラブを、1430℃の温度で30分間加熱後、熱間圧延を施して、2.4 mm厚の熱延板とした。次いで1000℃・1分間の熱延板焼鈍後、冷間圧延にて板厚:1.8 mmとし、1050℃・1分間の中間焼鈍ののち、2回目の冷間圧延により最終冷延板厚:0.27mmに仕上げた。ただし、このとき、少なくとも1回は圧延ロール出側直後の鋼板温度が200 〜250 ℃となるように冷間圧延を実施した。
【0073】
これらの冷延板に、H2−H2O −N2雰囲気にて脱炭焼鈍を施した。このとき、酸化性雰囲気P(H20)/P(H2) を0.20〜0.60の範囲で変化させるとともに、均熱温度・均熱時間・昇温速度・最終冷間圧延後(脱炭焼鈍前)の電解脱脂条件(有無で含めて)などを適宜変更して、酸素目付量(片面当たり)がA:0.28〜0.33g/m2、B:0.45〜0.50g/m2、C:0.77〜0.82g/m2の3水準になるようにした。
【0074】
次いでMgO を主成分とする焼鈍分離剤をスラリー状として脱炭焼鈍板コイルにそれぞれ塗布し乾燥させたのち、窒素雰囲気中での850 ℃の温度まで昇温してから、窒素:20%、水素:80%の雰囲気中で20℃/hrの速度で1150℃の温度まで昇温する二次再結晶焼鈍を施したのち、1200℃の温度の水素雰囲気中で5時間の純化焼鈍を行った。しかるのち、りん酸マグネシウムとコロイダルシリカを主成分とするコーティングを施した。
【0075】
かくして得られた各製品コイルについて、磁気特性(磁束密度B8, 鉄損W1 7/50) と被膜の曲げ密着性・被膜外観を調査した。なお、被膜の曲げ密着性は実施例1と同様の方法で測定したものである。これらの調査結果を表9に示す。
【0076】
【表9】
Figure 0003893766
【0077】
表9から明らかなように、この発明に従う条件で製造した適合例はいずれも良好な磁気特性および被膜特性を示している。
【0078】
実施例3
C:0.071 %,Si:3.28%, Mn:0.068 %,Al:0.025 %, N:0.0086%, Se:0.019 %,Cu:0.12%,Sb:0.024 %、および不純物Cr:0.035 %を含むけい素鋼スラブを、1430℃の温度で30分間加熱後、熱間圧延を施して2.2 mm厚の熱延板とした。次いで1100℃・1分間の熱延板焼鈍後、冷間圧延にて最終冷延板厚:0.30mmに仕上げた。
【0079】
これらの冷延板に、H2−H2O −N2雰囲気にて脱炭焼鈍を施した。このとき、酸化性雰囲気P(H20)/P(H2) を0.20〜0.60の範囲で変化させるとともに、均熱温度・均熱時間・昇温速度・最終冷間圧延後(脱炭焼鈍前)の電解脱脂条件(有無で含めて)などを適宜変更して、酸素目付量(片面当たり)がA:0.28〜0.33g/m2、B:0.55〜0.60g/m2、C:0.77〜0.82g/m2の3水準になるようにした。
【0080】
次いでMgO を主成分とする焼鈍分離剤をスラリー状として脱炭焼鈍板コイルにそれぞれ塗布し乾燥させたのち、窒素雰囲気中での850 ℃の温度で20時間の保定に続いて、窒素:50%、水素:50%の雰囲気中で25℃/hrの速度で1150℃の温度まで昇温する二次再結晶焼鈍を施したのち、1200℃の温度の水素雰囲気中で5時間の純化焼鈍を行った。しかるのち、りん酸マグネシウムとコロイダルシリカを主成分とするコーティングを施した。
【0081】
かくして得られた各製品コイルについて、磁気特性(磁束密度B8, 鉄損W1 7/50) と被膜の曲げ密着性・被膜外観を調査した。なお、被膜の曲げ密着性は実施例1と同様の方法で測定したものである。これらの調査結果を表10に示す。
【0082】
【表10】
Figure 0003893766
【0083】
表10から明らかなように、この発明に従う条件で製造した適合例はいずれも良好な磁気特性および被膜特性を示している。
【0084】
実施例4
表11に示す種々の成分組成からなるけい素鋼スラブ4種類を用意した。
【0085】
【表11】
Figure 0003893766
【0086】
これらのけい素鋼スラブを1430℃の温度で30分間加熱後、それぞれ熱間圧延を施し、2.3 mm厚の熱延板とした。次いで1000℃・1分間の熱延板焼鈍後、冷間圧延にて板厚:1.6 mmとし、1100℃・1分間の中間焼鈍ののち、2回目の冷間圧延により最終冷延板厚:0.23mmに仕上げた。
【0087】
これらの冷延板に、H2−H2O −N2雰囲気にて脱炭焼鈍を施した。このとき、酸化性雰囲気P(H20)/P(H2) を0.20〜0.60の範囲で変化させるとともに、均熱温度・均熱時間・昇温速度・最終冷間圧延後(脱炭焼鈍前)の電解脱脂条件(有無で含めて)などを適宜変更して、酸素目付量(片面当たり)がA:0.35g/m2未満、B:0.35〜0.75g/m2、C:0.75g/m2超えの3水準になるようにした。
【0088】
次いでMgO を主成分とする焼鈍分離剤をスラリー状として脱炭焼鈍板コイルにそれぞれ塗布し乾燥させたのち、窒素雰囲気中での850 ℃の温度で15時間の保定に続いて、850 ℃の温度まで昇温してから、窒素25%、水素75%の雰囲気中で15℃/hrの速度で1150℃の温度まで昇温する二次再結晶焼鈍を施したのち、1200℃の温度の水素雰囲気中で5時間の純化焼鈍を行った。しかるのち、りん酸マグネシウムとコロイダルシリカを主成分とするコーティングを施した。
【0089】
かくして得られた各製品コイルについて、磁気特性(磁束密度B8, 鉄損W1 7/50) と被膜の曲げ密着性・被膜外観を調査した。なお、被膜の曲げ密着性は実施例1と同様の方法で測定したものである。これらの調査結果を素材別にそれぞれ表12〜15に示す。
【0090】
【表12】
Figure 0003893766
【0091】
【表13】
Figure 0003893766
【0092】
【表14】
Figure 0003893766
【0093】
【表15】
Figure 0003893766
【0094】
これらの表12〜15から明らかなように、この発明に従う条件で製造した適合例はいずれも良好な磁気特性および被膜特性を示している。
【0095】
【発明の効果】
この発明は、AlN 系インヒビターを有する方向性けい素鋼板の製造にあたり、素材中の不純物Cr量に応じて脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性と酸素目付量とを制御するものであり、この発明によれば優れる被膜特性・磁気特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼中Cr量が脱炭焼鈍板の酸素目付量(片面当たり)に及ぼす影響を示すグラフである。
【図2】鋼中Cr量が磁気特性(磁束密度B8, 鉄損W1 7/50) に及ぼす影響を示すグラフである。
【図3】脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性の変化が、磁気特性(磁束密度B8, 鉄損W1 7/50) に及ぼす影響を示すグラフである。
【図4】鋼中Cr量と脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性が磁気特性(磁束密度B8) に及ぼす影響を示すグラフである。
【図5】鋼中Cr量と脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性が磁気特性(磁束密度B8) に及ぼす影響を示すグラフである。
【図6】脱炭焼鈍板の酸素目付量(片面当たり)が、磁気特性(磁束密度B8) に及ぼす影響を示すグラフである。
【図7】特開平7−10398 号公報などに開示されているサブスケールの評価法によって得られる電圧−時間曲線の模式図である。
【図8】サブスケールSiO2量中のO量と脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性が図7の電圧−時間曲線の領域III 幅に及ぼす影響を示すグラフである。
【図9】脱炭焼鈍板サブスケールの図面代用断面SEM写真である。

Claims (1)

  1. C:0.03〜0.12wt%、Si:2.0 〜4.5 wt%、Sol.Al:0.01〜0.05wt%およびN:0.004 〜0.012 wt%を含有するけい素鋼スラブを素材として、該素材を熱間圧延し、その後1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行い、次いで脱炭焼鈍を施したのち、鋼板表面にMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶焼鈍および純化焼鈍を施す一連の工程からなる方向性けい素鋼板の製造方法において、
    上記素材中に不純物として含まれるCr量を0.05wt%以下(但し0 wt %は含まず)にするとともに、脱炭焼鈍均熱時のP(H2O)/P(H2)で表される雰囲気酸化性:yをCr量:x(wt%)によって定められる式;
    0.35− 2x≦y≦0.60− 2x
    の範囲に調整し、かつ、脱炭焼鈍後の鋼板表層に酸素目付量が片面当たり0.35〜0.75g/m2のサブスケールを形成させることを特徴とする均質なフォルステライト質被膜を有する方向性けい素鋼板の製造方法。
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