JP3301308B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置

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JP3301308B2
JP3301308B2 JP10703796A JP10703796A JP3301308B2 JP 3301308 B2 JP3301308 B2 JP 3301308B2 JP 10703796 A JP10703796 A JP 10703796A JP 10703796 A JP10703796 A JP 10703796A JP 3301308 B2 JP3301308 B2 JP 3301308B2
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pressure chamber
valve
pressure
fluid
internal combustion
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嘉人 守谷
健 朝倉
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Lubrication Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の気筒に
設けられた吸気バルブ又は排気バルブのバルブタイミン
グを同機関の運転状態に応じて制御する制御装置に係
る。詳しくは、流体圧を用いて駆動されるバルブタイミ
ング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の気筒に設けられた
吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期、即ちバルブタイ
ミングを制御するバルブタイミング制御装置が種々実用
化されている。図21はそれらバルブタイミング制御装
置の構成例を示す。この装置に設けられたピストン部材
311は、タイミングプーリ312に固定されたハウジ
ング316と、カムシャフト313に固定されたインナ
キャップ318とに対しスプライン歯311b,311
aにて噛合する。スプライン歯311b,311aは、
カムシャフト313の軸線Lに対し斜めに交差するヘリ
カルスプラインである。
【0003】ピストン部材311は、その前側(図21
の左側)の第1圧力室314に供給される油圧と、後側
の第2圧力室315に供給される油圧とによって往復動
する。例えば、第2圧力室315にのみ油圧が供給さ
れ、同室315内の油圧が第1圧力室314の油圧より
も相対的に大きくなることにより、ピストン部材311
は第1圧力室314の側へ向かって移動する。この際、
タイミングプーリ312及びカムシャフト313には、
両者312,313を相対回転させる力が加わる。その
結果、タイミングプーリ312に対するカムシャフト3
13の相対的な回転位相が遅れることにより、バルブタ
イミングが遅角される。
【0004】一方、第1圧力室314にのみ油圧が供給
され、同室314内の油圧が第2圧力室315内の油圧
よりも相対的に大きくなると、ピストン部材311は第
2圧力室315の側へ向かって移動する。この際、タイ
ミングプーリ312及びカムシャフト313には前述し
た場合とは逆方向に両者312,313を相対回転させ
る力が加わる。その結果、タイミングプーリ312に対
するカムシャフト313の相対的な回転位相が進むたこ
とにより、バルブタイミングが進角される。
【0005】前述した装置では、内燃機関の停止ととも
に両圧力室314,315内への油圧の供給が停止され
る。両圧力室314,315内の油はハウジング316
とプラグ317との隙間や、同ハウジング316とタイ
ミングプーリ312との隙間等から微量ではあるが漏出
する。このため、機関停止後、時間の経過に伴い両圧力
室314,315内の油量が減少し、やがて両圧力室3
14,315内は油の無い状態となる。
【0006】この状態で内燃機関を始動させると、ピス
トン部材311がカムシャフト313の軸方向に振動し
ハウジング316と衝突して異音を発生する場合があ
る。より詳細に説明すれば、内燃機関の運転時におい
て、カムシャフト313に作用する回転トルクは一定で
はなく、同シャフト313のカムがバルブを開閉する際
に受ける力の変化に同期して変動する。カムシャフト3
13に作用する回転トルクが変動することにより、ピス
トン部材311には、そのトルク変動の周期に同期して
変動する起振力、即ち振動させる力がカムシャフト31
3の軸方向に作用する。
【0007】ここで、両圧力室314,315内が油に
よって満たされている場合には、前述したような起振力
がピストン部材311に作用しても同部材311は各圧
力室314,315の油により保持されるため振動は起
こり難い。
【0008】しかしながら、両圧力室314,315内
が油の無い状態となっていることによってピストン部材
311は前記起振力により容易に振動するようになり、
前述したような異音が発生する虞がある。
【0009】実開平6−37505号公報はこのような
不具合を回避するための「バルブタイミング制御装置」
を開示する。この装置は、ハウジング内にばね等の緩衝
部材を配置し、機関始動時にピストン部材が振動して
も、その振動にともなう衝撃を緩衝部材の弾性変形によ
って和らげ、異音の発生を抑制しようとするものであ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
報の装置では、異音抑制のための緩衝部材は、高温の油
に晒されるため熱劣化しやすく、又、長期間の使用によ
り経時劣化するため、同緩衝部材による異音抑制効果の
低下を招く虞があるという問題があった。
【0011】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は機関始動時の異音発生を長期間に
わたり抑制することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の第1の発明は、内燃機関の吸気バ
ルブ及び排気バルブの少なくとも一方のバルブタイミン
グを制御するバルブタイミング制御装置であって、吸気
バルブ又は排気バルブを駆動するためのカムシャフト
と、カムシャフトの一端部において同シャフトと相対回
転可能に設けられ、内燃機関のクランクシャフトから回
転力が伝達される回転体と、カムシャフト及び回転体の
間に設けられ、所定方向に移動することにより両回転体
の回転位相を変更するための位相変更部材と、位相変更
部材の移動方向において同部材の両側に設けられた第1
圧力室及び第2圧力室と、流体供給源からの流体を各圧
力室に供給するための第1供給通路及び第2供給通路を
含む流体通路と、流体通路に設けられ、各圧力室におけ
る流体圧を調整するための調整弁と、内燃機関の運転状
態に応じて調整弁を制御することにより各圧力室におけ
る流体圧を変化させ、その流体圧により位相変更部材の
位置を調整して回転体に対するカムシャフトの相対的な
回転位相を変更し運転状態に適合するバルブタイミング
にて吸気バルブ又は排気バルブを開閉させるための第1
の制御手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御
装置において、内燃機関の始動後から所定時間が経過す
るまでは、圧力室の一方を密閉すべく同圧力室に通じ
る第1供給通路を閉鎖し、且つ、圧力室の他方に流体
を供給すべく同圧力室に通じる第2供給通路を開放する
ように調整弁を制御するための第2の制御手段を備えた
ことをその趣旨とする。
【0013】上記構成によれば、内燃機関のクランクシ
ャフトから回転体に伝達された回転力は、位相変更部材
を介してカムシャフトに伝達され、同シャフトが回転す
る。このカムシャフトの回転により吸気バルブ、排気バ
ルブが開閉される。
【0014】位相変更部材の移動方向において同部材の
両側に設けられた第1及び第2圧力室には、流体通路を
構成する第1及び第2供給通路を通じて流体供給源から
流体が供給される。各圧力室の流体圧は流体通路に設け
られた調整弁によって調整され、位相変更部材は各圧力
室内における流体の圧力差によって移動する。位相変更
部材の移動に伴い、カムシャフトは回転体に対して相対
的に回転し、同シャフトの回転位相が位相変更部材の移
動量に応じて変化する。その結果、吸気バルブ又は排気
バルブのバルブタイミングが変更される。第1の制御手
段は、バルブタイミングが内燃機関の運転状態に適合す
るように調整弁を制御する。
【0015】第2の制御手段は、機関始動後から所定時
間が経過するまでは、調整弁を制御して圧力室の一方
へ通じる第1供給通路を閉鎖するとともに、圧力室
他方に通じる第2供給路を開放する。第1供給通路が閉
鎖されることにより前記一方の圧力室内は密閉された状
態となる。内燃機関の始動時において各圧力室内が流体
の無い状態となっていることによって、この一方の圧力
室内にある空気は空気ばねとして作用し、カムシャフト
のトルク変動によって位相変更部材が振動しようとする
場合に、同部材の動きが抑制される。
【0016】更に、位相変更部材の動きが前記一方の
力室内の空気によって抑制される一方で、他方の圧力室
内には第2供給通路を通じて流体が供給される。そし
て、この他方の圧力室内に供給される流体の量が増加す
るに伴い、位相変更部材は同圧力室内の流体圧によって
もその動きが抑えられる。
【0017】上記目的を達成するために、請求項2記載
の第2の発明は、第1の発明の構成において、前記一方
圧力室は、吸気バルブ又は排気バルブを開閉すること
により生じるカムシャフトのトルク変動によって位相変
更部材が振動した場合に、その振動によって容積が平均
的に減少するように変化する圧力室であって、第2の制
御手段は同圧力室に通じる第1供給通路を閉鎖するよう
に調整弁を制御するものであることをその趣旨とする。
【0018】上記構成によれば、第1の発明の作用に加
えて、前記一方の圧力室内の空気は、カムシャフトのト
ルク変動によって位相変更部材が振動した場合に、平均
的に圧縮された状態となる。従って、この一方の圧力室
内の空気は、圧縮空気ばねとして作用するようになるた
め、位相変更部材の動きが更に抑えられる。
【0019】上記目的を達成するために、請求項3記載
の第3の発明は、第1の発明とは異なり、機関始動後か
ら所定時間が経過するまでは、各圧力室のうち、吸気バ
ルブ又は排気バルブを開閉することにより生じるカムシ
ャフトのトルク変動によって位相変更部材が振動した場
合に、その振動によって容積が平均的に減少する第1圧
力室への流体の供給を停止し、且つ、第2圧力室内に流
体を供給すべく同圧力室に通じる第2供給通路を開放す
るように調整弁を制御する第2の制御手段を備えるとと
もに、第1圧力室に通じる第1供給通路は主供給通路及
び補助供給通路を含み、主供給通路は、位相変更部材が
当接可能な他の部材に対して所定距離だけ近接して位置
した場合に同位相変更部材によって閉鎖されるものであ
り、補助通路には、同通路を通じて第1圧力室内の空気
が同圧力室内から流体供給源側へと移動することを規制
するための逆止弁が設けられていることをその趣旨とす
る。
【0020】上記構成によれば、上記第1の発明の作用
とは異なり、第2の制御手段は、内燃機関の始動後から
所定時間が経過するまでは、各圧力室のうち、カムシャ
フトのトルク変動により位相変更部材が振動した場合
に、その振動によって容積が平均的に減少する第1圧力
室への流体の供給を停止し、且つ、第2圧力室内に流体
を供給すべく同圧力室に通じる第2供給通路を開放する
ように調整弁を制御する。
【0021】内燃機関の始動時において各圧力室内が流
体の無い状態となっていることにより、位相変更部材
は、カムシャフトのトルク変動によって振動する。そし
て、位相変更部材が当接可能な他の部材に対して所定距
離だけ近接した位置にまで移動することにより、第1圧
力室に通じる主供給通路が位相変更部材により閉塞され
る。更に、位相変更部材の振動によって、第1圧力室内
の容積が減少することにより、第1圧力室内の空気は補
助通路を通じて同圧力室から流体供給源側へと移動しよ
うとするが、この空気の移動は、補助通路に設けられた
逆止弁により規制される。その結果、第1圧力室内は密
閉され、同圧力室内の空気は、圧縮空気ばねとして作用
するようになり、位相変更部材の動きが抑えられる。
【0022】位相変更部材の動きが第1圧力室内の空気
によって抑制される一方で、第2圧力室へは第2供給通
路を通じて流体が供給される。この供給される流体の量
が増加するに伴い、位相変更部材は同圧力室内における
流体の圧力によってもその動きが抑えられる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)以下、上記第1及び第2の発明に係
る内燃機関のバルブタイミング制御装置を具体化した第
1の実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】この実施形態では、内燃機関としてのガソ
リンエンジンにおいて、吸気側カムシャフトに対して設
けられたバルブタイミング制御装置が示される。図1に
示すように、ガソリンエンジン(以下、単に「エンジ
ン」という)11は、シリンダブロック12及びシリン
ダヘッド13を備える。シリンダブロック12に併設さ
れた複数の気筒(シリンダ14)は、その内部にピスト
ン15を往復動可能に収容する。コネクティングロッド
16は各ピストン15とクランクシャフト72を互いに
連結する。
【0025】シリンダヘッド13は、各シリンダ14毎
に設けられた各燃焼室18に連通する吸気ポート19及
び排気ポート21を備える。シリンダヘッド13に往復
動可能に支持された吸気バルブ22及び排気バルブ23
は、吸気及び排気の各ポート19,21を開放及び閉鎖
する。
【0026】図3に示すように、各バルブスプリング2
4,25は、吸気バルブ22及び排気バルブ23を吸気
ポート19、排気ポート21を閉鎖する方向(略上方)
に付勢する。シリンダヘッド13は、吸気バルブ22を
駆動するためのカム28を有する吸気側カムシャフト2
6と、排気バルブ23を駆動するためのカム29を有す
る排気側カムシャフト27とを備える。
【0027】図1,2に示すように、タイミングチェー
ン33は、各カムシャフト26,27の端部にそれぞれ
設けられたスプロケット31,32とクランクシャフト
72を互いに連結する。クランクシャフト72の回転力
は、タイミングチェーン33を介して両スプロケット3
1,32に伝達される。スプロケット31,32の回転
に伴いカムシャフト26,27が回転することにより、
カム28,29の押し下げ力とバルブスプリング24,
25の付勢力とが釣り合うように各バルブ22,23が
往復動し、各ポート19,21がそれら各バルブ22,
23により選択的に開放及び閉鎖される。
【0028】この際、図11に示すように、各カムシャ
フト26,27には、正負のトルクが交互に発生する。
ここで、正トルクとは各カムシャフト26,27に対し
て、同シャフト26,27の回転方向と同方向に作用す
るトルクであり、負トルクとは各カムシャフト26,2
7に対して同シャフト26,27の回転方向と逆方向に
作用するトルクを意味する。
【0029】同図に示すように本実施形態では、カムシ
ャフト26,27に作用するトルクは、その大部分が正
トルクとなる。従って、カムシャフト26,27に作用
するトルクの時間的な平均値(平均トルク)も正トルク
となる。
【0030】図1に示すように、エアクリーナ34、ス
ロットルバルブ35、サージタンク36、吸気マニホー
ルド37等を備えた吸気通路38は、吸気ポート19に
接続され、同ポート19にエンジン11外部の空気を導
入する。
【0031】排気マニホールド44、触媒コンバータ4
5等を備えた排気通路46は排気ポート21に接続され
ており、燃焼室18で生じた燃焼ガスをエンジン11の
外部へ排出する。
【0032】エンジン11にはカム角センサ51、クラ
ンク角センサ52、水温センサ53、スロットルセンサ
54、吸気圧センサ55等の各種センサが用いられてい
る。図2に示すように、カム角センサ51は吸気側カム
シャフト26上に取り付けられたロータ51aと、その
近傍に対向配置された電磁ピックアップ51bとを備え
る。ロータ51aは円盤状の磁性体からなり、その外周
に多数の歯を有する。電磁ピックアップ51bは、吸気
側カムシャフト26の回転に伴いロータ51aが回転し
て、その歯が同ピックアップ51bの前方を通過する毎
にパルス状のカム角信号SG2を出力する。
【0033】クランク角センサ52は、カム角センサ5
1と同様、クランクシャフト72上に取り付けられたロ
ータ(図示略)と、その近傍に対向配置された電磁ピッ
クアップ(図示略)とを備える。ロータは円盤状の磁性
体からなり、その外周に等角度毎に多数の歯を有する。
電磁ピックアップは、クランクシャフト72の回転に伴
いロータが回転してその歯が同ピックアップの前方を通
過する毎にパルス状のクランク角信号SG1を出力す
る。
【0034】エンジン11は、その始動時にクランキン
グによって回転力を付与するためのスタータ(図示略)
を備える。スタータは、そのオン・オフ動作を検知する
始動時検出手段としてのスタータスイッチ101を有す
る。スタータスイッチ101は後述する外部入力回路9
3を介して電子制御装置88に対しスタータ信号STA
を出力する。スタータ信号STAは、エンジン11の始
動のために運転者によってイグニションスイッチがオフ
位置の状態からスタート位置まで操作され、スタータが
作動しているとき(クランキング中)にのみ、「オン」
信号として出力される。エンジン11が始動して、イグ
ニションスイッチがスタート位置からオン位置まで戻さ
れると、スタータ信号STAは「オン」から「オフ」に
切り替わる。
【0035】吸気通路38においてスロットルバルブ3
5の近傍に取り付けられたスロットルセンサ54は、そ
のバルブ35の軸35aの回動角度、即ちスロットル開
度TAを検出する。サージタンク36に取り付けられた
吸気圧センサ55は、真空を基準とした場合の同タンク
36内の圧力、即ち吸気圧PMを検出する。シリンダブ
ロック12に取り付けられた機関温度検出手段としての
水温センサ53は、エンジン11の冷却水の温度、すな
わち冷却水温THWを検出する。本実施の形態におい
て、前述した各センサ51〜55は運転状態検出手段に
相当する。
【0036】エンジン11は吸気側カムシャフト26の
一端部において可変バルブタイミング機構(以下、「V
VT」という)63を有する。VVT63は、スプロケ
ット31、ひいてはクランクシャフト72の回転に対す
る吸気側カムシャフト(以下、単に「カムシャフト」と
いう)26の回転位相を変化させることにより、吸気バ
ルブ22のバルブタイミングを連続的に変更するための
機構であり、油圧によって駆動される。以下、VVT6
3の構成について図2を参照して説明する。
【0037】シリンダヘッド13及びベアリングキャッ
プ64はその間においてカムシャフト26を回転自在に
支持する。カムシャフト26の前端部(図2の左端部)
には、カバー68とともにインナギヤ65がボルト62
によって取り付けられている。インナギヤ65は、カム
シャフト26の前端面に図示しないノックピンにより固
定されたフランジ65aと、内部にボルト62が挿通さ
れるボス65bとを有する。
【0038】フランジ65aの外周に相対回転可能に装
着されたスプロケット31は、タイミングチェーン33
が掛けられる複数の外歯31aを有する。カバー68は
スプロケット31及びインナギヤ65の前端部を覆って
いる。VVT63は、カバー68、スプロケット31、
ボス65b、及びフランジ65aにより区画された環状
の空間Sを有する。空間S内に収容された略円環形状を
なすピストン73は、第1の位置と第2の位置との間で
往復動する。ピストン73が第1の位置に配置される
と、同ピストン73の前端部はカバー68の内面68a
に当接する。このとき、クランクシャフト72に対する
カムシャフト26の回転位相が最も遅れ、吸気バルブ2
2のバルブタイミングが最も遅角した状態となる。ピス
トン73が第2の位置に配置されると、同ピストン73
の基端部はフランジ65aに当接する。このとき、クラ
ンクシャフト72に対するカムシャフト26の回転位相
が最も進み、吸気バルブ22のバルブタイミングが最も
進角した状態となる。本実施形態において、ピストン7
3は本発明の位相変更部材に相当する。
【0039】ピストン73の内周及び外周に形成された
スプライン歯73a,73bは、これらに対応してイン
ナギヤ65の外周及びスプロケット31の内周に形成さ
れたスプライン歯65c,31bにそれぞれ噛合する。
これらのスプライン歯73a,73b,65c,31b
は、いずれもカムシャフト26の軸線Lに対して交差す
るヘリカルスプラインからなる。これらの噛合により、
スプロケット31の回転力は、ピストン73及びインナ
ギヤ65を介してカムシャフト26に伝達される。
【0040】第1圧力室74は空間Sにおいてピストン
73の前端側に形成され、第2圧力室75は後端側に形
成されている。各圧力室74,75に流体圧を供給する
ための流体供給源として、エンジン11に設けられた本
発明の流体圧供給源としてのオイルポンプ(以下、「ポ
ンプ」という)76は、流体圧力としての油圧を供給す
る。ポンプ76はクランクシャフト72に駆動連結され
ており、エンジン11の運転にともない作動し、オイル
パン77内に貯留されている流体としてのエンジンオイ
ル(以下、「オイル」という)70を吸引及び吐出す
る。吐出されたオイル70中の異物、金属粉等はオイル
フィルタ78によって除去される。オイル70フィルタ
78を通過したオイル70はシリンダヘッド13、ベア
リングキャップ64、カムシャフト26、フランジ65
a、ボス65b等に形成された第1油路79を通って第
1圧力室74に供給されるとともに、シリンダヘッド1
3、ベアリングキャップ64、カムシャフト26等に形
成された第2油路81を通って第2圧力室75に供給さ
れる。本実施形態において第1油路79、第2油路81
はそれぞれは本発明の第1供給通路、第2供給通路を構
成し、両油路79,81により流体通路が構成される。
【0041】両油路79,81の途中に設けられた調整
弁としてのオイルコントロールバルブ(以下、「OC
V」という)82は、各圧力室74,75に供給される
油圧の大きさを調整する。図7に示すようにOCV82
のケーシング85は、タンクポート85t、Aポート8
5a、Bポート85b及び一対のリザーバポート85r
を備える。タンクポート85tはオイルフィルタ78を
介してポンプ76に接続され、Aポート85aは第1油
路79に接続されている。Bポート85bは第2油路8
1に接続され、両リザーバポート85rはオイルパン7
7に接続されている。
【0042】ケーシング85内に往復動可能に収容され
たスプール84の外周には、前述した2つのポート間で
のオイル70の流れを遮断する4つのランド84aが形
成されている。スプール84の外周において隣接するラ
ンド84a間には、2つのポート間を連通してオイル7
0の流れを許容するパセージ84b,84c,84dが
形成されている。OCV82は、スプール84による各
ポートの連通状態、即ちスプール84の軸線方向におけ
る位置を変更することによって、第1圧力室74及び第
2圧力室75に供給される油圧の大きさを調整する。
【0043】ケーシング85の前部に配置されたスプリ
ング86はスプール84を後方へ付勢し、同ケーシング
85の後部に配置された電磁ソレノイド87は、通電に
よって励磁されてスプール84を前方へ付勢する。
【0044】電子制御装置(以下、「ECU」という)
88は、前述した各種センサ51〜55による検出値に
基いてOCV82を制御する。図5に示すように、EC
U88は中央処理装置(CPU)89、読出し専用メモ
リ(ROM)90、ランダムアクセスメモリ(RAM)
91、バックアップRAM92、外部入力回路93及び
外部出力回路94を備える。バス95は各回路89〜9
4を互いに接続する。
【0045】ROM90は所定の制御プログラムや初期
データを予め記憶する。例えば、ROM90は図6に示
すバルブタイミングを制御するためのプログラムを記憶
している。CPU89はROM90に記憶された制御プ
ログラム及び初期データに従って各種の演算処理を実行
する。RAM91はCPU89による演算結果を一時的
に記憶する。バックアップRAM92はECU88に対
する電力供給が停止された後にも、RAM91内の各種
データを保持する。
【0046】外部入力回路93には前述したカム角セン
サ51、クランク角センサ52、スロットルセンサ5
4、吸気圧センサ55、及び水温センサ53がそれぞれ
接続されている。外部出力回路94にはOCV82が接
続されている。
【0047】各センサ51〜55の検出信号は外部入力
回路93を介してCPU89に入力される。CPU89
は入力された検出信号に基づき、エンジン回転速度N
E、変位角θ等を算出する。CPU89はこれらの算出
値に基づき、OCV82を作動させバルブタイミング制
御を実行する。
【0048】例えば、CPU89は、クランク角センサ
52が出力するクランク角信号SG1の時間間隔を計測
することにより、単位時間当たりのクランクシャフト7
2の回転数であるエンジン回転速度NEを演算する。C
PU89はカム角信号SG2の発生と同時にクランク角
信号SG1を入力し、その後、予め設定された基準のク
ランク角信号SG1を入力するまでの同信号のパルス数
に基づき、カムシャフト26の回転位相、即ち変位角θ
を演算する。この変位角θとは、吸気バルブ22のバル
ブタイミングの調整のために、VVT63により変更さ
れるカムシャフト26の回転角度である。
【0049】ECU88は単位時間に占める電磁ソレノ
イド87への通電時間の割合(デューティ比DVT)を
種々変更することにより、即ちデューティ制御すること
により、OCV82のスプール84をケーシング85内
の任意の位置へ移動させることができる。
【0050】例えば、ECU88は、エンジンが始動さ
れて所定のバルブタイミングをもって吸気バルブ22が
開閉している状態から、100%のデューティ比DVT
で電磁ソレノイド87を通電する。これにより、図8に
示すように、スプール84はスプリング86の付勢力に
抗して前方(図の左方)へ移動し「進角位置」に達す
る。スプール84が「進角位置」に達すると、タンクポ
ート85t及びAポート85a間がパセージ84cによ
り連通され、ポンプ76から吐出されたオイル70は、
第1油路79を通って第1圧力室74に供給される。従
って、ピストン73に前側から加わる油圧が上昇する。
この際、Bポート85b及び後側のリザーバポート85
r間は後側のパセージ84dにより連通され、第2圧力
室75内のオイル70は、第2油路81、Bポート85
b、リザーバポート85rを通じてオイルパン77に戻
されるため、ピストン73に後側から加わる油圧が低下
する。
【0051】ピストン73に対し前側から加わる油圧が
後側から加わる油圧よりも大きくなることにより、同ピ
ストン73は第2圧力室75内の油圧に抗して後方ヘ移
動しながら回転する。この際、インナギヤ65には、同
ギヤ65をスプロケット31に対して相対的に回転させ
る回転力が付与される。
【0052】その結果、スプロケット31に対するカム
シャフト26の回転位相が変えられ、吸気バルブ22の
バルブタイミングが現状よりも進角される。この動作に
ついて、図4(b)のダイヤグラムを参照すると、吸気
バルブ22が開弁している期間全体が、そのバルブ22
が開弁するタイミングを進めるようにシフトされる。従
って、吸気バルブ22と排気バルブ23とがともに開い
ているバルブオーバラップ期間が拡大される。
【0053】一方、例えば、電磁ソレノイド87が通電
されずデューティ比DVTが0%となることにより、図
7に示すように、スプール84はスプリング86の付勢
力により後方(図の右方)へ移動し「遅角位置」に達す
る。スプール84が「遅角位置」に達すると、タンクポ
ート85t及びBポート85b間はパセージ84cによ
り連通され、ポンプ76からのオイル70が第2油路8
1を通って第2圧力室75に供給されるため、ピストン
73に後側から加わる油圧が上昇する。この際、Aポー
ト85a及び前側のリザーバポート85r間は前側のパ
セージ84bにより連通され、第1圧力室74内のオイ
ル70は、第1油路79、Aポート85a、リザーバポ
ート85rを通ってオイルパン77に戻されるため、ピ
ストン73に前側から加わる油圧が低下する。
【0054】ピストン73に対し後側から加わる油圧が
前側から加わる油圧よりも大きくなることにより、同ピ
ストン73は第1圧力室74内の油圧に抗して前方ヘ移
動しながら回動する。この際、インナギヤ65には、同
ギヤ65をスプロケット31に対して相対的に回転させ
る回転力が付与される。
【0055】その結果、スプロケット31に対するカム
シャフト26の回転位相が変えられ、吸気バルブ22の
バルブタイミングが現状よりも遅れる。この動作につい
て、図4(a)のダイヤグラムを参照すると、吸気バル
ブ22の開弁している期間全体が、そのバルブ22の開
弁のタイミングが遅れるようにシフトされ、バルブオー
バラップ期間が少なくなる。
【0056】電磁ソレノイド87が50%のデューティ
比DVTで通電されることにより、図9に示すように、
スプール84はスプリング86の付勢力と電磁ソレノイ
ド87の電磁力とが釣り合う「保持位置」に移動し、A
ポート85a及びBポート85bの双方は各ランド84
aによって閉塞される。従って、各圧力室に74,75
対する油の供給・排出は行われず、各圧力室74,75
の油圧は互いに等しくなるため、ピストン73は各圧力
室74,75の油圧により保持された状態で停止する。
その結果、吸気バルブ22のバルブタイミングは現状の
タイミングに保持される。
【0057】上記のようにVVT63が構成されている
ため、OCV82の電磁ソレノイド87に対するデュー
ティ比DVTを変化させて同VVT63を作動させるこ
とにより、吸気バルブ22のバルブタイミング、ひいて
はバルブオーバラップ期間を、図4(a)に示す状態
と、図4(b)に示す状態との間で連続的に変更し、或
いは保持することができる。
【0058】更に、本実施形態では、「40%」のデュ
ーティ比DVTで電磁ソレノイド87が通電されると、
スプール84が図10に示す「始動時位置」に移動す
る。スプール84が「始動時位置」に達すると、Aポー
ト85aはランド84aによって閉塞され、第1油路7
9が閉鎖されて第1圧力室74内は密閉された状態とな
る。この際、タンクポート85t及びBポート85b間
はパセージ84cにより連通され、ポンプ76からのオ
イル70が第2油路81を通って第2圧力室75に供給
される。本実施形態では、後述するようにエンジン11
が始動されてから所定の時間が経過するまでは、電磁ソ
レノイド87が「40%」のデューティ比DVTをもっ
て通電制御される。
【0059】VVT63では、エンジン11の停止とと
もにポンプ76が停止され、両圧力室74,75内へ油
圧が供給されなくなる。両圧力室74,75内のオイル
70はスプロケット31とフランジ65aとの隙間や、
カバー68とスプロケット31との隙間等から漏れ出て
オイルパン77へ戻される。このため、エンジン停止
後、時間の経過に従い両圧力室74,75内のオイル7
0が減少してゆき、やがてほとんど無い状態となる。こ
のようにピストン73に前後からの油圧が加わらない状
態でエンジン11を始動させることにより、ヘリカルス
プラインによる前方への力によってピストン73が前方
へ移動する。そして、ピストン73はその移動範囲の前
端位置(第1の位置)の近傍まで移動する。
【0060】ここで、図11に示すように、カムシャフ
ト26が吸気バルブ22を開閉することによって同シャ
フト26に作用するトルクが変動すると、ピストン73
には同シャフト26の軸線方向において、その向きがト
ルク変動の周期に同期して変化する交番力が作用する。
即ち、カムシャフト26に正トルクが作用すると、ピス
トン73には、同ピストン73を第1圧力室74側へ付
勢する力が作用し、逆に、負トルクが作用すると、同ピ
ストン73を第2圧力室75側に付勢する力が作用す
る。
【0061】ここで、第1圧力室74及び第2圧力室7
5がオイル70によって満たされている場合には、ピス
トン73に対して前述したような交番力が作用しても、
同ピストン73は各圧力室74,75内の油圧により保
持される。従って、ピストン73は振動しないか、或い
は振動した場合でもその振幅は微少である。
【0062】しかしながら、各圧力室74,75内が、
前述したようにオイル70の殆ど無い状態となっている
と、前記交番力によってピストン73はカムシャフト2
6の軸線方向に振動しようとする。そして、ピストン7
3が振動した場合には、同ピストン73はカバー68と
衝突して異音を発生する虞がある。本実施形態では、以
下に説明する「バルブタイミング制御ルーチン」におい
て、エンジン11の始動時から所定時間の間、OCV8
2のスプール84を前記「始動時位置」に配置すること
により、異音の発生を抑制する。
【0063】以下、この「バルブタイミング制御ルーチ
ン」の内容を、図6のフローチャートに従って説明す
る。CPU89は、このルーチンを、イグニションスイ
ッチがオフ位置からオン位置まで操作されたときに開始
し、その後、同スイッチがオフ位置へ戻されるまで所定
時間毎に実行する。
【0064】CPU89は、同ルーチンの各処理をカウ
ンタに基づいて実行する。カウンタは、スタータ信号S
TAが「オン」となってからの同ルーチンの実行回数を
カウントし、そのカウント値Cを記憶する。カウント値
Cはエンジン始動後の経過時間に比例する。
【0065】エンジン11の始動のために、運転者によ
ってイグニションスイッチがオフ位置からオン位置へ操
作されると、CPU89は、ステップ100において、
クランク角センサ52によるクランク角信号SG1と、
カム角センサ51によるカム角信号SG2とをそれぞれ
読み込む。
【0066】ステップ101において、CPU89は両
信号SG1,SG2から現状の変位角θを求める。即
ち、CPU89はカム角信号SG2の発生と同時にクラ
ンク角信号SG1を入力し、予め設定された基準のクラ
ンク角信号SG1を入力するまでの同信号のパルス数を
カウントする。そして、CPU89は、そのカウント値
とクランク角信号SG1の角度間隔とから、カムシャフ
ト26の回転位相である変位角θを演算する。
【0067】ステップ102において、CPU89は、
スタータ信号STAを読み込む。その後、ステップ10
3に移行し、CPU89は同信号STAが「オン」であ
るか否かを判断する。同信号STAが「オン」である場
合、エンジン11が始動中(クランキング中)であるこ
とから、ステップ104に移行してCPU89はフラグ
F1を「1」にセットする。一方、ステップ103にお
いて、スタータ信号STAが「オフ」である場合、エン
ジン11が未だ始動されていないか、或いはスタータが
駆動されていないことから、CPU89はエンジン11
がクランキング中ではないと判断して、ステップ108
に移行する。
【0068】ステップ108において、CPU89はカ
ウント値Cが所定の判定値α以上であるか否かを判定す
る。判定値αは所定時間に対応する値であり、本実施形
態では「3秒」に対応した値となっている。ここで、判
定値αを「3秒」に対応する値に設定したのは以下の理
由に基づく。即ち、各圧力室74,75内にオイル70
が全く無い状態からエンジン11を始動させた場合で
も、「3秒」以上経過した後であれば、後述するように
第2圧力室75に十分なオイル70が供給され、同オイ
ル70によってピストン73の動きが抑えられ異音の発
生が抑制されるからである。
【0069】ステップ108の判定条件が満たされてい
なければCPU89は、エンジン11が始動されてから
の経過時間が所定時間未満(C<α)であると判断し
て、ステップ105に移行してデューティ比DVTを
「40%」に設定する。その結果、第1油路79が閉鎖
されて第1圧力室74内が密閉されるとともに、第2油
路81が開放され同油路81を通じて第2圧力室75に
オイル70が供給される。
【0070】ステップ105から移行して、ステップ1
06においてフラグF1が「1」であるか否かを判断す
る。フラグF1は、スタータ信号が「オン」となったか
否か、即ち、エンジン11が始動されたか否かを判別す
るためのフラグであり、バルブタイミング制御ルーチン
の開始と同時に「0」にリセットされる。フラグF1が
「1」である場合、エンジン11が始動されていること
を示し、「0」である場合、エンジン11が未だ始動さ
れていないことを示す。
【0071】フラグF1が「1」である場合、ステップ
107においてCPU89はカウンタ値Cを「1」だけ
インクリメントし本ルーチンを終了する。フラグF1が
「0」である場合、CPU89はそのまま本ルーチンを
終了する。そして、CPU89は所定の制御周期をおい
て再び本ルーチンを実行する。
【0072】一方、ステップ108の判定条件が満たさ
れていると、エンジン11が始動されてから所定時間が
経過していることから、第2圧力室75内に所定量のオ
イル70が供給され、同オイル70により異音の発生が
抑制されることになる。そこで、CPU89は、ステッ
プ109〜111において、エンジン11の運転状態に
応じた通常のバルブタイミング制御を行う。
【0073】即ち、ステップ109においてCPU89
は、スロットルセンサ54により検出されるスロットル
開度TAと、別のルーチンにおいてクランク角センサ5
2から求めたエンジン回転速度NEとをそれぞれ読み込
む。ステップ110において、CPU89は、スロット
ル開度TA及びエンジン回転速度NE等に基づき目標変
位角θVTAを算出する。CPU89は、各パラメータ
TA,NE,θVTAに基づき予め定められ、ROM9
0に記憶された関数データを参照することにより、目標
変位角θVTAを算出する。
【0074】ステップ111において、CPU89は変
位角θが目標変位角θVTAに合致するようにデューテ
ィ比DVTを決定する。例えば、変位角θが目標変位角
θVTAよりも遅れている場合、CPU89はデューテ
ィ比DVTを例えば「100%」に設定することにより
変位角θを進角させる。これに対して、変位角θが目標
変位角θVTAよりも進んでいる場合、CPU89はデ
ューティ比DVTを例えば「0%」に設定することによ
りに変位角θを遅角させる。更に、変位角θと目標変位
角θVTAとの偏差が所定角度以下になった場合、CP
U89はデューティ比DVTを「50%」に設定するこ
とにより、変位角θを現状の値に保持する。 CPU8
9はステップ111の処理を実行した後、本ルーチンを
終了する。
【0075】本実施の形態において、ステップ109〜
111の各処理を実行するCPU89は第1の制御手段
に相当し、ステップ105,108の各処理を実行する
CPU89は第2の制御手段に相当する。
【0076】以上説明したように、この実施形態の構成
によれば、エンジン始動後から所定時間が経過するまで
は、デューティ比DVTが「40%」に設定され、スプ
ール84が「始動時位置」に配置される。その結果、第
1油路79が閉鎖されて第1圧力室74内が密閉され
る。ここで、エンジン11が停止されてから、再び始動
されるまでの経過時間が長く、両圧力室74,75内の
オイル70が外部に漏出した状態となっていると、第1
圧力室74内の空気は同圧力室74内に閉じこめられた
状態となる。
【0077】その結果、カムシャフト26のトルク変動
に起因してピストン73を振動させるような交番力が作
用した場合でも、第1圧力室74内の空気が空気ばねと
して作用し、同ピストン73の動きが抑えられる。従っ
て、仮にピストン73がカバー68と衝突した場合で
も、その衝突時におけるピストン73の速度は小さなも
のとなる。
【0078】このように第1圧力室74内の空気により
ピストン73の動きが抑えられつつ、第2圧力室75内
には第2油路81を通じてオイル70が供給される。そ
して、第2圧力室75に供給されたオイル70の総量が
増加するにつれて、ピストン73は第2圧力室75の油
圧によって更にその動きが確実に抑えられるようにな
る。
【0079】この実施形態によれば、エンジン11の始
動時において各圧力室74,75内がオイル70の無い
状態となっている場合でも、カムシャフト26のトルク
変動に起因するピストン73の動きが抑えられることか
ら、VVT63からの異音の発生を抑制することができ
る。
【0080】この実施形態は、ピストン73の動きを抑
えるために第1圧力室74に閉じ込められた空気及び第
2圧力室75内に供給されるオイル70を利用するよう
にしたため、緩衝部材等の劣化により異音の抑制効果が
低下してしまう従来のVVTとは異なり、長期間にわた
りエンジン始動時における異音の発生を抑制することが
できる。
【0081】尚、第1圧力室74内にオイル70が全く
無い場合を想定して説明したが、同圧力室74内にオイ
ル70が残っている場合であっても同様の異音抑制効果
を奏することができる。
【0082】本実施形態は、第1圧力室74に閉じ込め
られた空気を空気ばねとして利用しピストン73の動き
を抑えるものであるため、同圧力室74が完全に密閉さ
れた状態となることが望ましい。ところが、第1圧力室
74内の空気がオイル70の漏出経路を通じて同圧力室
74から漏出する可能性があり、空気ばねとしての機能
が低下してしまうことが懸念される。しかしながら、ト
ルク変動によってピストン73に生じる振動の速度は極
めて大きく、従って、第1圧力室74から前記漏出経路
を通じて漏出する際の空気の移動速度も大きくなる。そ
の結果、空気の漏出時において、前記漏出経路は絞りと
して作用し大きな管路抵抗を発生する。従って、第1圧
力室74から外部に漏出する空気の量は僅かであり、ピ
ストン73の動きを十分に抑えることができる。
【0083】本実施形態において、カムシャフト26の
トルク変動は、図11に示すように、平均的に正トルク
として同シャフト26に作用している。従って、カムシ
ャフト26のトルク変動によりピストン73が振動した
場合、同ピストン73は平均的に前方へと移動する。即
ち、第1圧力室74の容積はトルク変動に起因したピス
トン73の振動によって減少するように変化する。その
結果、第1圧力室74内において閉じ込められた空気は
平均的に圧縮された状態となる。
【0084】図12は第1圧力室74の容積Vと同圧力
室74内の空気圧Pとの関係を示す。同図に示すよう
に、例えば基準容積V1から容積Vを△Vだけ増加及び
減少させた場合、容積Vを増加させた際の空気圧の変化
率K1(同図においてグラフの傾きによって示される)
は、同容積Vを減少させた際の空気圧の変化率K2より
も大きくなる。即ち、第1圧力室74内の空気は、膨張
した状態よりも圧縮された状態のほうがより大きな弾性
力を発生する。
【0085】本実施形態によれば、第1圧力室74内の
空気を圧縮状態の空気ばねとして用いることで、より大
きな弾性力によってピストン73の動きを確実に抑える
ことができ、エンジン始動時における異音の発生を更に
抑制することができる。
【0086】その結果、本実施形態によれば、OCV8
2の制御内容を変更するだけでエンジン始動時の異音を
抑制することが可能となる。従って、従来技術とは異な
り、異音を抑制するために緩衝部材等を追加する必要が
なく、別部材の追加によりバルブタイミング制御装置の
コスト上昇を抑えることができる。加えて、通常のバル
ブタイミング制御時、即ち、エンジン11の運転状態に
応じたバルブタイミング制御を行う際に、ピストン73
に無用な力(例えば、緩衝部材等による付勢力)が作用
することがなく、同制御の応答性に対する悪影響を回避
することができる。
【0087】(第2の実施形態)次に、上記第1及び第
2の発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置を
具体化した第2の実施形態について図面を参照して説明
する。本実施形態においてもCPU89は第1の実施形
態で説明した「バルブタイミング制御ルーチン」と同様
の制御を実行する。以下、上記第1の実施形態における
構成と本実施形態における構成との相違点について説明
する。
【0088】図13に示すように、本実施形態における
ピストン73は、その前端面に前記ボス65bを囲む環
状溝20を有する。同溝20内には、全体が環状をなし
断面がS字形状を呈するウェーブワッシャ30が固定さ
れている。同ワッシャ30の前端面は、ピストン73の
前端面よりも若干前方側に位置する。従って、ピストン
73が空間Sにおいて前方へ移動した場合、カバー68
の内面68aに対して先ずウェーブワッシャ30が当接
する。更にピストン73が前方に移動すると、ウェーブ
ワッシャ30が弾性変形してピストン73の前端部が内
底面68aに当接する。
【0089】本実施形態では、両圧力室74,75内の
オイル70が無い状態で、エンジン11が始動される
と、ピストン73は前方へ移動する。この際、図13に
示すように、ピストン73はカバー68に当接せず、両
者73,68はウェーブワッシャ30によって所定距離
だけ離間した状態となる。
【0090】そして、前記「バルブタイミング制御ルー
チン」により所定時間が経過するまで、スプール84が
「始動時位置」に配置されると、第1圧力室74が密閉
される。この際、ピストン73はカバー68から離間し
ているため、両者73,68の間に形成された空間内に
閉じ込められた空気が空気ばねとして作用する。
【0091】本実施形態の構成によれば、ピストン73
に固定されたウェーブワッシャ30により、エンジン1
1の始動時に第1圧力室74の容積を所定量確保するこ
とができる。
【0092】ここで、ピストン73がカバー68に当接
した状態で第1圧力室74が密閉された場合を考える
と、この場合には、第1圧力室74とOCV82との間
における第1油路79内の空気が空気ばねとして機能す
る。この空気ばねは、上記第1の実施形態と同様にピス
トン73の動きを抑えて、異音の発生を抑制するように
作用する。ところが、この空気ばねは、ピストン73が
振動によりカバー68から離間した際に、同ピストン7
3をカバー68側に付勢するように作用する。
【0093】しかしながら、本実施形態の構成によれ
ば、ウェーブワッシャ30によってピストン73とカバ
ー68との間に空間が形成され、その状態で第1圧力室
74内が密閉される。このため、ピストン73がカバー
68と衝突する際には、その空気ばねは常に圧縮力、即
ち、ピストン73をカバー68から離間させる方向に作
用する。従って、その圧縮力によってピストン73とカ
バー68との衝突を緩和させ、異音の発生を抑制するこ
とができる。
【0094】本実施形態におけるウェーブワッシャ30
は、エンジン11が始動される際に、ピストン73とカ
バー68とを所定間隔だけ離間させる機能を有していれ
ばよい。即ち、ピストン73が振動した際にその動きを
積極的に抑えることができる程の弾性を備えている必要
はない。従って、本実施形態において、通常のバルブタ
イミング制御を行う際に、ウェーブワッシャ30の弾性
力がピストン73の位置制御に与える影響は極めて少な
い。但し、バルブタイミング制御に対して悪影響を与え
ない範囲で、ウェーブワッシャ30の弾性係数を増加さ
せ、その弾性力によりピストン73の動きを抑え、エン
ジン始動時におけるVVT63からの異音の発生を更に
抑制する構成とすることも可能である。
【0095】(第3の実施形態)次に、上記第3の発明
に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置を具体化し
た第3の実施形態について図面を参照して説明する。
尚、第1の実施形態における構成部材に相当する部材に
ついては同一の符号を付すとともにその説明を省略す
る。又、図14では図示しないが、OCV82、ECU
88の構成についても第1の実施形態と同様である。
【0096】本実施形態では、第1の実施形態において
カムシャフト26の前端部に取り付けられていたインナ
ギヤ65が省略されるとともに、スプロケット31に換
えてプーリ39がカムシャフト26の外周に設けられて
いる。同プーリ39は、その外周に外歯39aを有す
る。この外歯39aには前記タイミングチェーン33に
換えてタイミングベルト(図示略)が掛けられる。プー
リ39は、その内周部に前記スプロケット31のスプラ
イン歯31bに相当するスプライン歯39bを有する。
【0097】カムシャフト26は、その前端側外周にイ
ンナギヤ65のスプライン歯65cに相当するスプライ
ン歯26aを有する。カムシャフト26は、その前端部
に、第1圧力室74に通じる溝40と、同溝40に開口
する油穴41とを有する。更に、カムシャフト26は、
その内部において軸線方向に沿って形成された主油路4
2及び補助油路43を有する。本実施形態において主油
路42は本発明の主供給通路に相当し、補助油路43は
補助供給通路に相当する。
【0098】カバー68は主油路42の前端側を閉塞す
る。カムシャフト26の前端側内部に形成された油孔6
1は、主油路42と第1圧力室74とを連通する。油孔
61はカバー68から離間した位置に開口している。図
14に示すように、ピストン73は、カバー68に対し
て所定距離だけ近接した際に油孔61を閉塞する。
【0099】シリンダヘッド13及びベアリングキャッ
プ64は、第1油路79の一部を構成する油溝47を有
する。補助油路43は前端側が油穴41に開口し、同油
穴41と油溝47とを連通する。油穴41内に配置され
たチェックボール48は、同ボール48とカバー68と
の間のスプリング58によって付勢され、図14に示す
ように補助油路43の開口43aを閉塞する。従って、
第1圧力室74内のオイル70、或いは空気は、溝4
0、油穴41を介して補助油路43内に流入しないよう
規制される。これに対して、補助油路43から油穴41
側にオイル70が流れる場合には、その油圧により図1
5に示すようにチェックボール48がスプリング58の
付勢力に抗して前方に移動する。従って、補助油路43
内のオイル70は、その開口43aから油穴41内への
流入が許容されるため、油溝40を通じて第1圧力室7
4に供給される。本実施形態において、チェックボール
48、スプリング58、及び開口43aは本発明の逆止
弁に相当する。
【0100】ピストン73は、その後端側において第1
ピストン49と第2ピストン50に分割されている。本
実施形態では、各ピストン49,50の内周に形成され
たスプライン歯49a,50aにより前記スプライン歯
73aが構成され、各ピストン49,50の外周に形成
されたスプライン49b,50bにより前記スプライン
歯73bが構成される。各スプライン歯73a,73b
はそれぞれカムシャフト26のスプライン歯26a、プ
ーリ39のスプライン歯39bに噛合されている。
【0101】第2ピストン50は複数のボルト56によ
って第1ピストン50に固定されている。両ピストン4
9,50は、ボルト56によって互いに相対回転が規制
されるが、カムシャフトの軸線方向に沿った動きは互い
に若干許容される。第1ピストン49は、第2ピストン
50に対面する後端面において複数の凹部57を有す
る。各凹部57内に配設されたスプリング80は第2ピ
ストン50を第1ピストン49に対して相対的に後方に
付勢する。この付勢により、両ピストン49,50は離
間してスプライン歯73a,73bの見掛け上の歯厚が
増大している。従って、各スプライン歯73a,73b
と、これら各歯73a,73bと噛合するカムシャフト
26及びプーリ39のスプライン歯26a,39bとの
間のバックラッシ量が減少している。
【0102】本実施形態における「バルブタイミング制
御ルーチン」では、前記ステップ105でデューティ比
DVTを「0%」に設定するようにした点で、第1の実
施形態における制御内容と異なる。
【0103】以下、図6を参照して説明する。イグニシ
ョンスイッチがオフ位置からオン位置まで操作される
と、CPU89は「バルブタイミング制御ルーチン」を
開始する。
【0104】そして、始動時から所定時間が経過してい
ない場合、即ち、ステップ108の判定条件が満たされ
ていない場合には、ステップ105において、CPU8
9は、デューティ比DVTを「0%」に設定して電磁ソ
レノイド87に対する通電を停止する。その結果、OC
V82のスプール84が前記「遅角位置」に配置され、
第1油路79はOCV82を介してオイルパン77に連
通する一方で、第2圧力室75には第2油路81を通じ
てオイル70が供給される。
【0105】エンジン11が始動された際に、各圧力室
74,75内がオイル70の殆ど無い状態となっている
と、各圧力室74,75の油圧によりピストン73は保
持されない。このため、ヘリカルスプラインによる前方
への力によってピストン73が前方へ移動する。そし
て、図14に示すように、空間S内においてピストン7
3がカバー68に対して所定距離だけ近接した位置に達
すると、同ピストン73の前端部は油孔61を閉塞す
る。この際、チェックボール48は補助油路43の開口
43aを閉塞している。その結果、第1油路79は閉鎖
され、第1圧力室74内は密閉された状態となり、その
内部の空気は同圧力室74内に閉じ込められた状態とな
る。
【0106】第1圧力室74が密閉された後、更にピス
トン73がカバー68側に移動すると、第1圧力室74
内の空気は空気ばねとなって圧縮力を発生する。従っ
て、ピストン73にはこの圧縮力が作用して、その動き
が抑えられる。その結果、ピストン73はカバー68に
当接しないか、或いは当接した場合でも当接時における
速度は極めて小さなものとなる。
【0107】更に、ピストン73は第2圧力室75内に
供給されるオイル70の総量が増加するにしたがって、
同圧力室75内の油圧によっても保持されるようになる
ため、その動きが更に抑えられる 本実施形態の構成によれば、第1の実施形態と同様の効
果を奏することができるほか、第1圧力室74に通じる
第1油路79を同圧力室74に対してより近い位置で閉
塞するようにしたため、同圧力室74を確実に密閉する
ことができる。即ち、第1の実施形態では、第1圧力室
74に通じる第1油路79をOCV82によって閉鎖す
るようにしたため、例えば、シリンダヘッド13及びベ
アリングキャップ68と、カムシャフト26との間から
空気が漏出する可能性がある。しかしながら、本実施形
態によれば、第1油路79は、第1圧力室74により近
接した、補助油路43の開口43a及び油孔61の位置
で閉鎖されることとなるため、空気が漏出する可能性が
小さくなり、同圧力室74を確実に密閉することができ
る。
【0108】本実施形態の構成によれば、バルブタイミ
ングを進角させる場合、補助油路43、油穴41、及び
溝40を通じて第1圧力室74内にオイル70が供給さ
れる。油孔61がピストン73によって閉塞されていな
ければ、主油路42及び同油孔61を通じて第1圧力室
74内にオイル70が供給される。これに対して、バル
ブタイミングを遅角させる場合、補助油路43の開口4
3aはチェックボール48により閉塞される。このた
め、同油路43内にオイル70は流れず、油孔61及び
主油路42のみを通じてオイルパン77(図示略)に戻
される。
【0109】このように、本実施形態では、バルブタイ
ミングを進角させる場合と、遅角させる場合とでは、オ
イル70が通過する流路断面積が異なったものとなって
おり、バルブタイミングを遅角させる場合の流路断面積
は、進角させる場合の流路断面積よりも小さくなってい
る。従って、バルブタイミングを遅角させる際にオイル
70が受ける管路抵抗は、進角させる際に同オイル70
が受ける管路抵抗よりも大きなものとなるため、バルブ
タイミングを遅角させる際のピストン73の移動速度が
低下する。
【0110】前述したように、ピストン73には、カム
シャフト26のトルク変動によって平均的に前方、即ち
第1圧力室74側へ向かう付勢力が作用している。従っ
て、バルブタイミングを遅角制御する場合、ピストン7
3には、この付勢力と第2圧力室75に供給されたオイ
ル70の油圧とが同時に作用することとなり、目標のタ
イミングよりもバルブタイミングが更に遅角した状態
(オーバシュート)となる傾向がある。
【0111】本実施形態の構成によれば、バルブタイミ
ングを遅角させる際のピストン73の移動速度を低下さ
せることにより、遅角制御時にオーバシュートとなる傾
向を抑制することができる。従って、遅角制御時におい
て、カムシャフト26の変位角θを目標変位角θVTA
に収束させることが容易になりその制御性を向上させる
ことができる。
【0112】ここで、スプライン歯73a,73bと、
これらと噛合するカムシャフト26、プーリ39のスプ
ライン歯26a,39bとの間のバックラッシ量が大き
い場合、エンジン11の始動時にトルク変動によりピス
トン73が振動した際に歯打音が発生することがある。
【0113】しかしながら、本実施形態の構成によれ
ば、ピストン73を第1ピストン49と第2ピストン5
0に分割するとともに、スプリング80により両ピスト
ン49,50を離間させて、スプライン歯73a,73
bの見掛け上の歯厚を増大させている。このため、バッ
クラッシ量が減少し、前記歯打音の発生を抑制すること
ができる。従って、エンジン11の始動時におけるVV
T63からの異音の発生を更に抑制することができる。
【0114】(第4の実施形態)次に、上記第1及び2
の発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置を具
体化した第4の実施形態について図面を参照して説明す
る。尚、第1の実施形態における構成部材に相当する部
材については同一の符号を付すとともにその説明を省略
する。又、図16,17では図示しないが、OCV8
2、ECU88、オイルパン77等の構成についても第
1の実施形態と同様である。
【0115】図16,17に示すように、カムシャフト
26の外周に配置されたスリーブ59の前端部(図7の
左端部)には、回転体としてのスプロケット60及びハ
ウジング66が順に取り付けられている。スプロケット
60はその外周にタイミングチェーン33(図示略)が
掛けられる外歯60aを有する。ハウジング66は、そ
の内周面に等角度毎に形成された3つの凹部67を有す
る。
【0116】カムシャフト26の前端に取り付けられた
位相変更部材としての羽根車69は、その外周に複数の
羽根71を有する。各凹部67は各羽根71をそれぞれ
回動可能に収容する。各凹部67内には、羽根71の回
動方向両側の空間により第1圧力室96及び第2圧力室
97が形成されている。
【0117】シリンダヘッド13、ベアリングキャップ
64、スリーブ59、カムシャフト26及び羽根車69
には、オイルパン77内のオイル70を第1圧力室96
に導く第1油路98と、オイルパン77内のオイル70
を第2圧力室97に導く第2油路99とがそれぞれ形成
されている。第1油路98及び第2油路99はそれぞれ
第1供給通路、第2供給通路に相当し、更に両油路9
8,99は流体通路に相当する。両油路98,99の途
中には実施の形態と同一構成のOCV82(図示略)が
配置されている。
【0118】上記構成のVVT100ではOCV82が
制御されることにより、各圧力室96,97に供給され
る油圧が調整される。そして、各圧力室96,97の油
圧の差に応じて羽根車69が回転し、スプロケット60
(クランクシャフト)に対するカムシャフト26の回転
位相、即ち吸気バルブ22のバルブタイミングが変更さ
れる。
【0119】CPU89は、図6に示す第1の実施形態
の「バルブタイミング制御ルーチン」と同様の制御を実
行する。これにより、エンジン11が始動されてから所
定時間はOCV82のスプール84が「始動時位置」に
配置される。その結果、第1圧力室96内の空気は圧縮
空気ばねとなって羽根車69の回転方向における動きを
抑える。更に、第2圧力室97内にオイル70が供給さ
れるに伴って、同オイル70によっても羽根車69の回
転が規制される。
【0120】その結果、カムシャフト26のトルク変動
によって羽根71とハウジング66の内周面とが当接す
ることがなく、或いは当接した場合でもその衝撃が小さ
なものとなる。本実施形態においても、上記第1の実施
形態と同様に、エンジン11の始動時におけるVVT6
3からの異音の発生を長期間抑制することができる。
【0121】(第5の実施形態)次に、上記第1及び第
2の発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置を
具体化した第5の実施形態について図面を参照して説明
する。以下、上記第1の実施形態における構成と本実施
形態における構成との相違点について説明する。
【0122】上記第1の実施形態では、エンジン11が
始動されてから所定時間(3秒)が経過した後は、第2
圧力室75内に供給されたオイル70によってピストン
73の動きが抑えられ異音の発生が抑制されると判断
(図6に示すフローチャートにおいてステップ108)
するようにした。ここで、所定時間に対応する判定値α
は、始動時におけるエンジン11の状態を示すパラメー
タによってその都度変更されるものであってもよい。
【0123】例えば、前記パラメータとして冷却水温T
HWを用いることができる。図18は、冷却水温THW
によって判定値αを変更するようにした本実施形態にお
ける「バルブタイミング制御ルーチン」を示す。本ルー
チンが開始されると、先ず、CPU89はステップ20
0において判定値αを初期値α0 (3秒に相当する)に
設定する。その後、CPU89はステップ100〜10
2の各処理を実行した後、ステップ103に移行する。
【0124】ステップ103においてエンジン11が始
動されたと判断すると、CPU89は、第1の実施形態
における制御と同様に、ステップ104においてフラグ
F1を「1」に設定する。
【0125】そして、ステップ104からステップ20
1に移行し、CPU89はエンジン始動時における冷却
水温THWを読み込む。前記ROM90には冷却水温T
HWと判定値αとの関係が関数データとして予め記憶さ
れている。図19はこの関数データをグラフに示したも
のである。同図に示すように、判定値αは、エンジン始
動時における冷却水温THWが高いほど小さく、逆に冷
却水温THWが低いほど大きく設定される。CPU89
は、この関数データを参照することにより、冷却水温T
HWに対応する判定値αの値を決定し、その値を新たな
判定値αとして設定する。
【0126】更に、CPU89はステップ108におい
て、前記カウンタ値Cがこの判定値α以上であるか否か
を判定し、判定条件が満たされた場合は、通常のエンジ
ン運転状態に応じたバルブタイミング制御を実行し(ス
テップ109〜111)、判定条件が満たされない場合
には、ピストン73の動きを抑えて異音の発生を抑制す
るためにステップ105の処理を実行する。
【0127】本実施形態によれば、冷却水温THWが高
い場合には、エンジン11が停止されてから再び始動さ
れるまでの時間が短くなることから、各圧力室74,7
5(96,97)内のオイル70によってピストン73
(羽根車69)の動きが抑えられ、異音が抑制されるも
のとして判定値αが小さく設定される。従って、異音抑
制のための不要な動作が回避され、より早いタイミング
で通常のエンジン運転状態に応じたバルブタイミング制
御に移行することができる。
【0128】逆に、冷却水温THWが低い場合には、エ
ンジン11が停止されてから再び始動されるまでの時間
が長くなることから、各圧力室74,75(96,9
7)内がオイル70の無い状態となっていると推定され
るものとして判定値αが大きく設定される。従って、確
実に異音の発生を抑制することができる。
【0129】尚、本発明は次に示す別の実施形態に具体
化することができる。以下の構成によっても上記実施形
態と同等の作用効果を奏することができる。 (1)図6に示す「バルブタイミング制御ルーチン」に
おいて、エンジン11が停止されてから再び始動される
までの経過時間を計時手段(例えば、CPU89によっ
て構成される)により計測し、計測された経過時間が短
い場合には前記判定値αを小さく設定し、逆に経過時間
が長い場合には判定値αを大きく設定するようにしても
よい。このように構成すれば、第5の実施形態に示す構
成と同様に、異音抑制のための無用な動作が回避される
とともに、異音抑制が必要な場合にはピストン73(羽
根車69)の動きを抑えらて異音の発生を抑制すること
ができる。
【0130】(2)図6に示す「バルブタイミング制御
ルーチン」において、ステップ105では、デューティ
比DVTを一定値(40%、或いは50%)に設定する
ようにした。これに対し、例えば、図20に示すよう
に、エンジンが始動されてからの経過時間に相当するカ
ウンタ値Cが小さい場合には、デューティ比DVTを
「50%」に保持し、その後、カウンタ値Cの増加とと
もに、デューティ比DVTを「50%」から「40%」
に減少させようにしてもよい。
【0131】このように制御すれば、エンジン11の始
動直後では、双方の圧力室74,75が密閉された状態
となり各圧力室74,75内に閉じ込められた空気を空
気ばねとして作用させてピストン73の動きを抑えるこ
とができる。そして、デューティ比DVTが「50%」
から「40%」に減少するにつれて、第2圧力室75内
にはオイル70が供給され、同オイル70によってピス
トン73の動きが確実に抑えられる。
【0132】更に、冷却水温THWが低いほど図20の
一点鎖線で示すように、デューティ比DVTを「50
%」に保持する時間Tを長く設定するようにしてもよ
い。 (3)本発明は、排気バルブ23の作動タイミングを変
更するように構成したVVTにも適用できる。また、本
発明は、ピストン73のスプライン歯73a,73bの
一方のみをヘリカルスプラインとした構成のVVTにも
適用できる。
【0133】(4)上記各実施形態では、一つのOCV
82により油路79,81とポンプ76及びオイルパン
77との接続状態を切り換えるようにした。これに対
し、油路79,81毎にOCVを設ける構成とし、これ
らを別々に制御するようにしてもよい。
【0134】(5)第4の実施形態において、羽根車6
9は3つの羽根71を有する構成とした。これに対し、
この羽根71は例えば、2つ以下でもよく、或いは4つ
以上有する構成としてもよい。
【0135】(6)上記各実施形態において、判定値α
は所定時間「3秒」に対応するものとした。これに対
し、例えば、第2圧力室75(97)の容積、或いは第
2油路81(99)内を流れるオイル70の流量に応じ
て変更することができる。要するに、所定時間経過後
は、第2圧力室75(97)内のオイル70によって、
ピストン73(羽根車69)の動きが確実に抑えられる
ように設定されていればよい。
【0136】以上、本発明の各実施形態について説明し
たが、各形態から把握できる請求項以外の技術的思想に
ついて、以下にそれらの効果とともに記載する。 (イ)請求項1乃至3に記載した内燃機関のバルブタイ
ミング制御装置において、同機関の温度を検出する温度
検出手段と、前記所定時間を、前記温度検出手段によっ
て検出された同機関の始動時における温度に基づいて設
定する設定手段とを更に備えたことを特徴とする。
【0137】上記(イ)の構成によれば、始動時におけ
る機関温度が温度検出手段により検出されるとともに、
検出された温度に基づいて前記所定時間が設定される。
本構成によれば、始動時における機関温度を検出するこ
とにより、第2圧力室内の位相変更部材の動きを抑える
ように作用する流体の量を適切に推定することができ、
その流体の量に応じて前記所定時間を設定することがで
きる。
【0138】(ロ)上記(イ)に記載した内燃機関のバ
ルブタイミング制御装置において、前記設定手段は、前
記温度検出手段によって検出された始動時における機関
温度が高いほど前記所定時間を短く設定するものである
ことを特徴とする。
【0139】上記(ロ)の構成によれば、設定手段は、
始動時における機関温度が高いほど所定時間を短く設定
する。ここで、始動時の機関温度が高い場合には、同機
関が停止されてから始動時までの経過時間が短く、従っ
て、第2圧力室から漏出した流体の量が少ない。本構成
によれば、このような場合に前記所定時間が短く設定さ
れるため、異音抑制のための無用な制御動作が行われる
ことを回避することができ、速やかに通常のバルブタイ
ミング制御、即ち、機関の運転状態に応じた制御に移行
することができる。尚、上記(イ)、(ロ)における温
度検出手段は水温センサ53によって構成され、設定手
段は、図18に示す「バルブタイミング制御ルーチン」
においてステップ202の処理を実行するCPU89に
より構成される。
【0140】
【発明の効果】請求項1に記載した第1の発明では、第
2の制御手段により調整弁が制御されることにより、機
関始動後から所定時間が経過するまでは、圧力室の一
は密閉され、他方の圧力室内には流体が供給される。
従って、その一方の圧力室内に閉じこめられた空気は空
気ばねとなって作用し、この空気ばねによって位相変更
部材の動きが抑えられる。更に、他方の圧力室内に供給
される流体の量が増加するに伴い位相変更部材は同圧力
室内の流体圧によってもその動きが抑えられる。その結
果、位相変更部材が他の部材に衝突した場合でもその衝
撃は小さなものとなり、異音の発生を抑制することがで
きる。加えて、緩衝部材等を設けた場合と異なり同部材
の劣化に起因した異音抑制効果の低下を招くことなく、
機関始動時における異音の発生を長期間にわたり抑制す
ることができる。
【0141】請求項2に記載した第2の発明では、第1
の発明の構成において、各圧力室のうちカムシャフトの
トルク変動により容積が平均的に減少するように変化す
一方の圧力室が密閉状態となるようにした。従って、
この一方の圧力室内の空気が圧縮空気ばねとして作用す
るため、位相変更部材の動きがより確実に抑えられる。
その結果、第1の発明の効果に加え、機関始動時におけ
る異音の発生をより確実に抑制することができる。
【0142】請求項3に記載した第3の発明では、機関
始動後に位相変更部材が振動して当接可能な他の部材に
対して所定距離だけ近接した位置に移動すると、第1圧
力室内が密閉された状態となる。従って、第1圧力室内
に閉じこめられた空気は圧縮空気ばねとなって作用し、
同空気ばねによって位相変更部材の動きが抑えられる。
更に、第2圧力室内に供給される流体の量が増加するに
伴い位相変更部材は同圧力室内の流体圧によってもその
動きが抑えられる。その結果、位相変更部材が他の部材
に衝突した場合でもその衝撃は小さなものとなり、異音
の発生を抑制することができる。加えて、緩衝部材等の
経時劣化に起因した異音抑制効果の低下を招くことな
く、機関始動時における異音の発生を長期間にわたり抑
制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バルブタイミング制御装置を搭載したエンジン
の概略構成図。
【図2】バルブタイミング制御装置の概略構成図。
【図3】エンジンの動弁機構の断面図。
【図4】吸気バルブ及び排気バルブの開放期間を示すダ
イヤグラム。
【図5】ECUの内部構成を示すブロック図。
【図6】バルブタイミング制御ルーチンを示すフローチ
ャート。
【図7】OCVを示す断面図。
【図8】OCVを示す断面図。
【図9】OCVを示す断面図。
【図10】OCVを示す断面図。
【図11】カムシャフトに作用するトルクを示す線図。
【図12】第1圧力室内における容積と圧力との関係を
示す線図。
【図13】第2の実施形態におけるカムシャフト前端部
を示す断面図。
【図14】第3の実施形態におけるバルブタイミング制
御装置の概略構成図。
【図15】チェックボール等を示す拡大断面図。
【図16】第4の実施形態におけるバルブタイミング制
御装置の概略構成図。
【図17】図16の17−17線に沿った断面図。
【図18】第5の実施形態におけるバルブタイミング制
御ルーチンを示すフローチャート。
【図19】冷却水温と判定値との関係を示す線図。
【図20】カウンタ値とデューティ比との関係を示す線
図。
【図21】従来のバルブタイミング制御装置を示す断面
図。
【符号の説明】
11…内燃機関としてのエンジン、22…吸気バルブ、
23…排気バルブ、26…吸気側カムシャフト、27…
排気側カムシャフト、31…回転体としてのスプロケッ
ト、42…主供給通路としての主油路、43…補助供給
通路としての補助油路、43a…逆止弁の一部を構成す
る開口、48…逆止弁の一部を構成するチェックボー
ル、58…逆止弁の一部を構成するスプリング、60…
回転体としてのスプロケット、69…位相変更部材とし
ての羽根車、70…流体としてのエンジンオイル、72
…クランクシャフト、73…位相変更部材としてのピス
トン、74,96…第1圧力室、75,97…第2圧力
室、76…流体供給源としてのオイルポンプ、79,9
6…流体通路としての第1油路、81,97…流体通路
としての第2油路、82…調整弁としてのOCV。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−264110(JP,A) 特開 平7−109907(JP,A) 特開 平8−246819(JP,A) 特開 平8−210111(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 1/34 F02D 13/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の吸気バルブ及び排気バルブの
    少なくとも一方のバルブタイミングを制御するバルブタ
    イミング制御装置であって、 前記吸気バルブ又は前記排気バルブを駆動するためのカ
    ムシャフトと、 前記カムシャフトの一端部において同シャフトと相対回
    転可能に設けられ、前記内燃機関のクランクシャフトか
    ら回転力が伝達される回転体と、 前記カムシャフト及び前記回転体の間に設けられ、所定
    方向に移動することにより前記両回転体の回転位相を変
    更するための位相変更部材と、 前記位相変更部材の移動方向において同部材の両側に設
    けられた第1圧力室及び第2圧力室と、 流体供給源からの流体を前記各圧力室に供給するための
    第1供給通路及び第2供給通路を含む流体通路と、 前記流体通路に設けられ、前記各圧力室における流体圧
    を調整するための調整弁と、 前記内燃機関の運転状態に応じて調整弁を制御すること
    により前記各圧力室における前記流体圧を変化させ、そ
    の流体圧により前記位相変更部材の位置を調整して前記
    回転体に対するカムシャフトの相対的な回転位相を変更
    し前記運転状態に適合するバルブタイミングにて前記吸
    気バルブ又は排気バルブを開閉させるための第1の制御
    手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置に
    おいて、 前記内燃機関の始動後から所定時間が経過するまでは、
    前記各圧力室の一方を密閉すべく同圧力室に通じる第1
    供給通路を閉鎖し、且つ、前記各圧力室の他方に流体を
    供給すべく同圧力室に通じる第2供給通路を開放するよ
    うに前記調整弁を制御するための第2の制御手段を備え
    たことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した内燃機関のバルブタ
    イミング制御装置において、 前記一方の圧力室は、前記吸気バルブ又は前記排気バル
    ブを開閉することにより生じるカムシャフトのトルク変
    動によって前記位相変更部材が振動した場合に、その振
    動によって容積が平均的に減少するように変化する圧力
    室であって、第2の制御手段は同圧力室に通じる第1供
    給通路を閉鎖するように前記調整弁を制御するものであ
    ることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装
    置。
  3. 【請求項3】 内燃機関の吸気バルブ及び排気バルブの
    少なくとも一方のバルブタイミングを制御するバルブタ
    イミング制御装置であって、 前記吸気バルブ又は前記排気バルブを駆動するためのカ
    ムシャフトと、 前記カムシャフトの一端部において同シャフトと相対回
    転可能に設けられ、前記内燃機関のクランクシャフトか
    ら回転力が伝達される回転体と、 前記カムシャフト及び前記回転体の間に設けられ、所定
    方向に移動することにより前記両回転体の回転位相を変
    更するための位相変更部材と、 前記位相変更部材の移動方向において同部材の両側に設
    けられた第1圧力室及び第2圧力室と、 流体供給源からの流体を前記各圧力室に供給するための
    第1供給通路及び第2供給通路を含む流体通路と、 前記流体通路に設けられ、前記各圧力室における流体圧
    を調整するための調整弁と、 前記内燃機関の運転状態に応じて調整弁を制御すること
    により前記各圧力室における前記流体圧を変化させ、そ
    の流体圧により前記位相変更部材の位置を調整して前記
    回転体に対するカムシャフトの相対的な回転位相を変更
    し前記運転状態に適合するバルブタイミングにて前記吸
    気バルブ又は排気バルブを開閉させるための第1の制御
    手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置に
    おいて、 前記機関始動後から所定時間が経過するまでは、前記各
    圧力室のうち、前記吸気バルブ又は前記排気バルブを開
    閉することにより生じるカムシャフトのトルク変動によ
    って前記位相変更部材が振動した場合に、その振動によ
    って容積が平均的に減少する第1圧力室への流体の供給
    を停止し、且つ、第2圧力室内に流体を供給すべく同圧
    力室に通じる第2供給通路を開放するように前記調整弁
    を制御する第2の制御手段を備えるとともに、 前記第1圧力室に通じる第1供給通路は主供給通路及び
    補助供給通路を含み、前記主供給通路は、前記位相変更
    部材が当接可能な他の部材に対して所定距離だけ近接し
    て位置した場合に同位相変更部材によって閉鎖されるも
    のであり、前記補助通路には、同通路を通じて前記第1
    圧力室内の空気が同圧力室内から前記流体供給源側へと
    移動することを規制するための逆止弁が設けられている
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装
    置。
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