JP2842113B2 - 可変バルブタイミング制御装置 - Google Patents

可変バルブタイミング制御装置

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JP2842113B2
JP2842113B2 JP33927492A JP33927492A JP2842113B2 JP 2842113 B2 JP2842113 B2 JP 2842113B2 JP 33927492 A JP33927492 A JP 33927492A JP 33927492 A JP33927492 A JP 33927492A JP 2842113 B2 JP2842113 B2 JP 2842113B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は吸・排気バルブの開閉時
期を内燃機関の運転状態に応じて制御する可変バルブタ
イミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の運転状態に応じて
吸気側カムシャフトの回転位相を変化させて、吸気バル
ブの開閉時期を早めたり遅らせたりする可変バルブタイ
ミング制御装置がある。その一つとして、本出願人が先
に提案した技術がある(特願平3−28935号)。
【0003】この技術では、図9に示すように、吸気バ
ルブ用カムシャフト71の外周にタイミングプーリ72
が回動可能に設けられている。カムシャフト71の前端
(図9の左端)に固定されたケース70とタイミングプ
ーリ72との間には、内外周面にヘリカルスプライン7
3a,73bを有する円筒状リングギヤ73が介在され
ている。リングギヤ73の前端側の圧力室74と内燃機
関のオイルポンプ79とは供給路75によって相互に連
通されており、オイルポンプ79によって供給された作
動油80の油圧がリングギヤ73の前端に加えられる。
また、リングギヤ73の後端にはコイルスプリング76
による付勢力が加えられている。
【0004】圧力室74への供給油量(油圧)を調整す
るために、供給路75の途中には電磁弁よりなる第一油
圧制御弁77が設けられている。第一油圧制御弁77の
開閉動作はコンピュータ(図示しない)によって制御さ
れる。そして、第一油圧制御弁77の開閉動作により油
圧が調整されてリングギヤ73が前後方向へ移動され、
タイミングプーリ72の回転がヘリカルスプライン73
a,73bを介してカムシャフト71に伝達される。そ
の結果、タイミングプーリ72とカムシャフト71とが
相対回動し、同カムシャフト71の回転位相が変化し、
吸気バルブの開閉時期が調整される。
【0005】さらに、上記技術ではケース70とリング
ギヤ73とが相互に密接し、同じくリングギヤ73とタ
イミングプーリ72とが相互に密接している。これらの
密接により、圧力室74内の作動油がコイルスプリング
76側へ漏出することが防止されている。また、カムシ
ャフト71等には、圧力室74とオイルパン82とを連
通させる排出路78が形成されている。排出路78の圧
力室74側端部は、リングギヤ73の移動範囲の中間位
置に対応する前記密接部分に開口している。
【0006】排出路78の途中には、電磁弁よりなる第
二油圧制御弁81が設けられている。第二油圧制御弁8
1の開閉動作は、コンピュータ(図示しない)によって
次のように制御される。リングギヤ73が油圧により最
大量変位して後端部に停止されるときには、排出路78
を閉じるための信号がコンピュータから第二油圧制御弁
81へ出力される。また、リングギヤ73が移動範囲の
中間位置へ変位するときには、排出路78を開くための
信号がコンピュータから第二油圧制御弁81へ出力され
る。コンピュータからの信号に応答して、第二油圧制御
弁81が開弁・閉弁する。
【0007】この技術によると、リングギヤ73の前端
に油圧が加えられないと、同リングギヤ73はコイルス
プリング76の付勢力により移動範囲の前端部に押し付
けられる。
【0008】前記リングギヤ73の前端に油圧が加えら
れ、かつ第二油圧制御弁81が開かれると、同リングギ
ヤ73は油圧により後方へ移動する。すると、ヘリカル
スプライン73a,73bの作用によりタイミングプー
リ72とカムシャフト71との間に捩じり力が付与され
る。その結果、タイミングプーリ72及びカムシャフト
71が相対回動して同カムシャフト71の回転位相が変
化する。
【0009】リングギヤ73が排出路78の開口部分を
過ぎると、作動油は同開口部分から流出し油圧が低下す
る。すると、コイルスプリング76によりリングギヤ7
3は前方へ押し戻され、開口部分を閉じる。開口部分を
閉じると前記のようにリングギヤ73が後方へ移動す
る。このサイクルを繰り返して移動範囲の中間位置にリ
ングギヤ73が保持される(図9の状態)。
【0010】前記リングギヤ73の前端に油圧が加えら
れ、かつ第二油圧制御弁81が閉じられると、同リング
ギヤ73は油圧により移動範囲の後端部まで変位する。
このようにリングギヤ73が移動範囲の3つの位置に選
択的に保持され、カムシャフト71の回転位相が3段階
に切換えられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記の技術では、リン
グギヤ73を移動範囲の中間位置に保持するために、圧
力室74とオイルパン82とを連通させる排出路78を
設け、リングギヤ73が油圧により最大量変位して後端
部に停止されるときに排出路78を閉塞し、リングギヤ
73が移動範囲の中間位置へ変位するときに排出路78
を開放するという構成を採っている。そして、この排出
路78の開閉のために、同排出路78の途中に第二油圧
制御弁81を設け、同第二油圧制御弁81の開閉作動を
コンピュータによって制御している。
【0012】ところが、前記の第二油圧制御弁81は、
一般に構造が複雑で重く、しかも比較的大きい。また、
第二油圧制御弁81はコンピュータからの信号を受けな
いと開閉動作しない。このため、第二油圧制御弁81を
追加したことにより、カムシャフト71の中間の回転位
相を得ることが可能となる反面、可変バルブタイミング
制御装置全体が複雑化及び大型化するとともに、重量も
増加する。また、コンピュータによる可変バルブタイミ
ング制御装置の制御も複雑となってしまう。
【0013】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、油圧制御弁を使用することなく
簡単な構成で排出路を開閉し、リングギヤを移動範囲の
中間位置に保持させて、カムシャフトの中間回転位相を
得ることが可能な可変バルブタイミング制御装置を提供
することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、内燃機関のバルブ駆動用カムシャフトの外
周に設けられたプーリと、前記カムシャフト及びプーリ
間に介在されるとともに、内外周面にスプラインを有
し、かつ少なくともその一方がヘリカルスプラインであ
る円筒状リングギヤと、加圧流体供給源からの流体を圧
力室へ導き、その流体圧を前記リングギヤの一端側に作
用させるための供給路と、前記リングギヤの他端側に配
設され、同リングギヤを前記流体圧とは反対方向へ付勢
するリングギヤ付勢部材とを備え、前記加圧流体供給源
からの流体圧及びリングギヤ付勢部材の付勢力により、
リングギヤをカムシャフトの軸方向へ移動させ、プーリ
の駆動力をヘリカルスプラインにてカムシャフトに伝達
し、同プーリ及びカムシャフトの回転位相を変化させて
バルブの開閉時期を調整するようにした可変バルブタイ
ミング制御装置において、前記カムシャフトとリングギ
ヤとの間、及び同リングギヤとプーリとの間に設けら
れ、前記圧力室内の流体がリングギヤ付勢部材側へ漏出
するのを防止するためのシール部と、前記圧力室内の流
体を内燃機関内へ排出させるべく設けられ、その圧力室
側端部がリングギヤの移動範囲の中間位置に対応する前
記シール部に面して開口された排出路と、前記排出路を
開閉するべく設けられた弁体と、前記排出路を閉塞する
方向へ弁体を付勢する弁体付勢部材と、前記カムシャフ
トに一体回転可能に取付けられ、同カムシャフトの回転
にともない発生する遠心力により変位し、前記弁体付勢
部材による付勢力に抗して、排出路を開放する方向へ前
記弁体を移動させる質量体とを設けている。
【0015】
【作用】加圧流体供給源によって加圧された流体が供給
路を介して圧力室に導かれず、リングギヤに流体圧が加
えられないときには、同リングギヤはリングギヤ付勢部
材の付勢力により移動範囲の一端部に押し付けられる。
【0016】一方、内燃機関の作動時には、カムシャフ
トの回転により質量体に遠心力が作用する。この際の遠
心力が小さいと、質量体が弁体付勢部材の付勢力に抗し
て弁体を移動させようとする力がわずかである。このた
め、排出路が弁体によって閉塞される。このとき、加圧
流体供給源による流体の供給が行われてリングギヤに流
体圧が加わると、排出路への流体の流出が弁体によって
阻止されているので、リングギヤは流体圧により移動範
囲の他端部まで最大量変位する。すると、ヘリカルスプ
ラインの作用によりプーリとカムシャフトとの間に捩じ
り力が付与される。その結果、プーリ及びカムシャフト
が相対回動して同カムシャフトの回転位相が変化し、バ
ルブの開閉時期が調整される。
【0017】カムシャフトの回転数の上昇にともない質
量体に作用する遠心力が増大する。この増大した遠心力
により、前記弁体付勢部材による付勢力に抗して質量体
が変位する。この変位により弁体が移動して排出路が開
放される。このとき、加圧流体供給源による流体の供給
が行われてリングギヤに流体圧が加わると、リングギヤ
は流体圧により移動範囲の他端部側へ移動するが、排出
路の開口部分を過ぎると流体は同開口部分から流出し流
体圧が低下する。流体圧が低下すると、リングギヤ付勢
部材によりリングギヤは押し戻され、開口部分を閉じ
る。開口部分を閉じると前記のようにリングギヤが移動
する。このサイクルを繰り返して移動範囲の中間位置に
リングギヤが保持される。
【0018】リングギヤが移動すると、前記と同様にし
てヘリカルスプラインの作用によりプーリとカムシャフ
トとの間に捩じり力が付与される。その結果、プーリ及
びカムシャフトが相対回動して同カムシャフトの回転位
相が変化し、バルブの開閉時期が調整される。
【0019】前記リングギヤが移動範囲の他端部に停止
された状態から、中間位置へ移動する場合、あるいは移
動範囲の一端部へ移動する場合には、前記と逆の動作が
行われる。
【0020】このように、本発明ではカムシャフトの回
転数の上昇に応じて増大する遠心力を利用し、この遠心
力によって弁体を受動的に移動させて排出路を開閉させ
ている。このため、排出路の途中に電磁弁等からなる油
圧制御弁を設け、この弁の開閉動作をコンピュータによ
り制御しなくても、加圧流体供給源から圧力室への供給
通路の開閉を制御するだけで、カムシャフトの中間回転
位相が得られる。また、排出路開閉のための構成が、弁
体、弁体付勢部材、質量体等の少ない部品点数で得られ
る。
【0021】
【実施例】
(第一実施例)以下、本発明を具体化した第一実施例を
図1〜図6に従って説明する。
【0022】図1に示すように、内燃機関としてのエン
ジンのシリンダヘッド1には、前後(図1の左右)方向
へ延びる吸気バルブ用のカムシャフト2が設けられてい
る。カムシャフト2の外周にはジャーナル部2aが形成
され、このジャーナル部2aが、シリンダヘッド1とベ
アリングキャップ3とによって回転可能に支承されてい
る。カムシャフト2の前端には、後面を開放した略円筒
状のケース4がボルト5により締付固定されている。カ
ムシャフト2の前端部外周には、タイミングプーリ6が
回転可能に設けられている。タイミングプーリ6にはタ
イミングベルト8が掛装され、クランクシャフト(図示
しない) の回転がこのタイミングベルト8を介してタイ
ミングプーリ6に伝達される。
【0023】前記タイミングプーリ6のボス部7とケー
ス4とによって環状空間9が形成されている。環状空間
9内には、ほぼ円筒状をなすリングギヤ11が配設され
ている。このリングギヤ11により、タイミングプーリ
6とケース4とが駆動連結されている。すなわち、リン
グギヤ11の前端内周及び外周にはそれぞれヘリカルス
プライン11a,11bが形成されている。一方、前記
ボス部7の前端外周及びケース4の内周にはヘリカルス
プライン7a,4bが形成されている。そして、ヘリカ
ルスプライン11a,7aが相互に噛み合い、ヘリカル
スプライン11b,4bが相互に噛み合っている。
【0024】従って、クランクシャフトの回転がタイミ
ングベルト8を介してタイミングプーリ6に伝達される
と、リングギヤ11によって連結されたタイミングプー
リ6とケース4とが一体的に回転され、カムシャフト2
が回転駆動される。
【0025】前記環状空間9における前記リングギヤ1
1の前側は圧力室12となっている。この圧力室12に
は流体としての作動油10が供給される。すなわち、カ
ムシャフト2の前端部、ベアリングキャップ3等には作
動油10の供給路13が形成されている。供給路13の
一端は前記圧力室12と連通し、他端は加圧流体供給源
としてのオイルポンプ14を介しオイルパン15に接続
されている。オイルポンプ14はエンジンのクランクシ
ャフトに駆動連結されており、エンジンの作動に連動し
てオイルパン15内の作動油10を汲み上げ、吐出す
る。吐出された作動油10は供給路13を通って圧力室
12内へ供給される。この供給により、リングギヤ11
に流体圧としての油圧が作用する。
【0026】一方、前記環状空間9におけるリングギヤ
11の後側はスプリング室16となっており、このスプ
リング室16には、リングギヤ付勢部材としてのコイル
スプリング17が圧縮状態で収容されている。コイルス
プリング17は前記リングギヤ11を常に前方へ付勢し
ている。そして、前記リングギヤ11の前後から作用す
る油圧と付勢力とが釣り合うように、同リングギヤ11
が回転をともないながら前後方向へ移動する。
【0027】ケース4において圧力室12の前端に相当
する箇所は、コイルスプリング17によってリングギヤ
11が最も前進したときに、それ以上の前進を阻止する
ための前部ストッパ18となっている。また、タイミン
グプーリ6においてスプリング室16の後端に相当する
箇所は、油圧によってリングギヤ11が最も後退したと
きに、それ以上の後退を阻止するための後部ストッパ1
9となっている。
【0028】前記リングギヤ11の後部内周面は、前記
ボス部7の後部外周面に回動可能に密接している。リン
グギヤ11の後部外周面は、ケース4の後部内周面に回
動可能に密接している。両密接部分によってシール部が
構成され、圧力室12内の作動油10がリングギヤ11
の後側へ漏出するのが防止されている。
【0029】前記ボス部7の内周面及び外周面におい
て、リングギヤ11の移動範囲の中間位置に対応する箇
所には、環状溝21,22がそれぞれ形成されている。
両環状溝21,22は、作動油リーク用の孔23によっ
て相互に連通されている。カムシャフト2内の前端部に
は、前後方向へ略直線状に延びる排出路24が形成され
ている。排出路24の圧力室側端部は前記環状溝21に
開口し、他端はオイルパン15に接続されている。
【0030】前記供給路13とオイルポンプ14との間
には油圧制御弁25が設けられている。この油圧制御弁
25は、供給路13を開閉してリングギヤ11の停止位
置を切り換えるためのものである。ここでのリングギヤ
11の停止位置とは、リングギヤ11が前部ストッパ1
8に当接した位置(図5参照)、リングギヤ11が後部
ストッパ19に当接した位置(図6参照)、両者の中間
位置(図1参照)の三つの位置である。
【0031】本実施例では前記油圧制御弁25として、
スプリングリターン形の3ポート2位置電磁切換弁が用
いられている。油圧制御弁25のポート26はオイルポ
ンプ14に接続され、ポート27は供給路13に接続さ
れ、ポート28はオイルパン15に接続されている。こ
の油圧制御弁25は、ソレノイドが消磁されたとき図5
で示す第一切換え位置25aを採り、ポート27,28
間を連通させる。また、油圧制御弁25は、ソレノイド
が励磁されたとき図1,6で示す第二切換え位置25b
を採り、ポート26,27間を連通させる。
【0032】前記カムシャフト2内の排出路24の途中
には、同排出路24を開閉するためのシャッタバルブ3
1が設けられている。詳しくは、カムシャフト2の外周
部においてジャーナル部2aよりも若干後側には、その
約半周部分にわたって凹所29が形成されている。凹所
29は図2に示すように、バルブ収容部29a、スプリ
ング収容部29c、及び両収容部29a,29c間を繋
ぐ中間部29bから構成されている。バルブ収容部29
aは前記排出路24を横切っている。
【0033】凹所29内には、弁体及び質量体の両方を
兼ねるシャッタバルブ31が配設されている。シャッタ
バルブ31は、凹所29の中間部29bの形状に対応し
て湾曲形成された棒状部31aと、その棒状部31aの
下端に一体形成された本体部31bとから構成されてい
る。本体部31bの厚みは、バルブ収容部29aの幅と
ほぼ同一に設定されている。シャッタバルブ31は、そ
の棒状部31aの上部において軸32によりカムシャフ
ト2に回動可能に支持されている。そして、シャッタバ
ルブ31が軸32を中心として回動すると、その本体部
31bが排出路24と交差する方向へ往復動して同排出
路24を開閉する。
【0034】前記凹所29のスプリング収容部29c内
には、弁体付勢部材としてのコイルスプリング33が圧
縮状態で配設されている。このコイルスプリング33
は、シャッタバルブ31の棒状部31aの一端をカムシ
ャフト2の半径方向外方へ常に付勢している。この方向
は、シャッタバルブ31の本体部31bが前記排出路2
4を閉塞する方向である。
【0035】そして、エンジンの作動にともなってカム
シャフト2が回転すると、前記シャッタバルブ31、特
に本体部31bに大きな遠心力が作用する。この遠心力
により、シャッタバルブ31が軸32を中心として図2
の矢印A方向へ回動しようとする。この際の遠心力に基
づく回動力と前記コイルスプリング33の付勢力とが釣
り合う位置まで、本体部31bが変位する。すなわち、
遠心力が小さなエンジン低回転時には、付勢力が回動力
を上回り本体部31bが排出路24を閉塞する。また、
遠心力が大きなエンジン高回転時には、回動力が付勢力
を上回り、本体部31bが排出路24を開放する。この
開放の際のエンジン回転数NEを所定値(NE)a とす
る。
【0036】なお、図1に示すように、前記油圧制御弁
25の動作によりカムシャフト2が相対的に回転変位す
る際には、リングギヤ11にバックラッシが生じるが、
そのバックラッシに基づくガタツキはビスカスカップリ
ング34の作用により緩衝されて異音の発生が抑えられ
る。このビスカスカップリング34は、前記タイミング
プーリ6に圧入固定されたアウタプレート35と、ケー
ス4の外周に形成されたインナプレート36とからな
り、両者35,36の間に高粘度の粘性流体が封入され
ている。
【0037】前記油圧制御弁25の作動を制御するため
に電子制御装置(ECU)37が設けられている。EC
U37の入力側には、エンジン回転数NEを検出する回
転数センサ38が接続されるとともに、吸気通路を通じ
てエンジンへ吸入される空気の量(吸入空気量Q)を検
出するエアフロメータ39が接続されている。また、E
CU37の出力側には前記油圧制御弁25が接続されて
いる。ECU37は前記回転数センサ38及びエアフロ
メータ39からの各検出信号に基づき、そのときのエン
ジン負荷Q/Nを算出し、その算出値が所定値(Q/
N)a 未満のときには油圧制御弁25のソレノイドを消
磁し、エンジン負荷Q/Nが所定値(Q/N)a 以上の
ときには油圧制御弁25のソレノイドを励磁するための
信号をそれぞれ出力するようになっている(図3参
照)。
【0038】次に、前記のように構成された本実施例の
作用及び効果を説明する。図5は、エンジン負荷Q/N
が所定値(Q/N)a 未満であるとき(図3の第一領域
Z1のとき)の可変バルブタイミング制御装置の状態を
示している。この状態では、ECU37からの信号によ
り、ソレノイドが消磁されて油圧制御弁25が第一切換
え位置25aを採っている。同第一切換え位置25aで
はポート27とポート28とが連通され、ポート26と
ポート27との連通が遮断されている。このため、オイ
ルポンプ14からの作動油10は供給路13を介して圧
力室12側へは供給されず、圧力室12内の作動油10
が供給路13、油圧制御弁25を通ってオイルパン15
へ流出可能である。従って、リングギヤ11には作動油
10の油圧がほとんど加わらず、リングギヤ11はコイ
ルスプリング17によって前方へ付勢されてケース4の
前部ストッパ18に押し付けられて停止している。
【0039】この際の吸気バルブの開閉タイミングは図
4の特性線L1で示すようになり、バルブオーバラップ
がわずかか、もしくはオーバラップがない。このため、
アイドル回転の安定性が良い。さらに吸気バルブの閉じ
時期が遅くポンピング損失が低減されるので、低負荷時
における燃料消費の低減を図ることができる。
【0040】なお、このときには、エンジン回転数NE
の高低に応じてシャッタバルブ31が回動して排出路2
4を開閉するが、ボス部7の環状溝22がリングギヤ1
1の後部内周面によって塞がれているので、前記シャッ
タバルブ31の回動は吸気バルブの開閉タイミングに影
響を及ぼさない。従って、エンジン回転数NEの高低に
かかわらず、エンジン負荷Q/Nのみによって吸気バル
ブの開閉タイミングが決定される。
【0041】図5の状態からエンジンの作動状態が変化
し、エンジン負荷Q/Nが所定値(Q/N)a 以上で、
かつエンジン回転数NEが所定値(NE)a 未満の第二
領域Z2(図3参照)へ移行した場合、つまり、低回転
高負荷状態となった場合、可変バルブタイミング制御装
置は図6に示すように作動する。
【0042】ECU37は油圧制御弁25のソレノイド
を励磁させるための信号を出力する。この信号により、
油圧制御弁25の状態が第一切換え位置25aから第二
切換え位置25bに切り換わり、ポート26とポート2
7とが連通され、ポート27とポート28との連通が遮
断される。このため、オイルポンプ14から吐出された
作動油10は供給路13を介して圧力室12へ供給され
る。また、エンジン回転数NEが低いことから、カムシ
ャフト2の回転数も低く、シャッタバルブ31の本体部
31bに作用する遠心力が小さく、コイルスプリング3
3の付勢力が遠心力に基づく回動力を上回り、本体部3
1bが排出路24を閉塞する。従って、圧力室12内の
作動油10が排出路24を通ってオイルパン15へ戻さ
れることがない。
【0043】作動油供給によりリングギヤ11に加わる
油圧がコイルスプリング17の付勢力に打ち勝つと、ヘ
リカルスプライン11a,7a,11b,4bの作用に
より、リングギヤ11が回転しながら後方へ移動する。
この後方への移動の途中で、リングギヤ11の後部内周
面はそれまで閉塞していたボス部7の環状溝22を開放
する。また、前記の回転をともなうリングギヤ11の移
動により、ケース4及びタイミングプーリ6に捩じり力
が付与され、カムシャフト2とタイミングプーリ6とが
相対回転する。この相対回転は、リングギヤ11がタイ
ミングプーリ6の後部ストッパ19に押し付けられたと
ころで停止される。
【0044】このときの吸気バルブの開閉タイミングは
図4の特性線L3で示される。このタイミングでは吸気
バルブの閉弁時期が早められて、低・中回転域でシリン
ダ内に吸い込まれた混合気が戻されにくくなる。その結
果、低中速回転域の吸気充填効率が高められ、低中速域
トルクの向上が得られる。
【0045】なお、リングギヤ11の後退の過程で中間
位置を越えると、環状溝22が圧力室12に面して開口
する。しかし、このときには、排出路24がシャッタバ
ルブ31によって閉塞されているので、圧力室12内の
作動油10が環状溝22、孔23、環状溝21、排出路
24を介してオイルパン15へ戻されることはない。
【0046】図6の状態から図5の状態へ移行する際に
は前記と逆の動作が行われる。すなわち、ECU37か
ら出力される信号により、油圧制御弁25のソレノイド
が消磁され、ポート27とポート28とが連通され、ポ
ート26とポート27との連通が遮断される。このた
め、オイルポンプ14による作動油10の圧力室12側
への供給が停止され、同圧力室12内の作動油10が油
圧制御弁25を通ってオイルパン15に戻される。そし
て、リングギヤ11に加わっていた油圧が急激に小さく
なり、リングギヤ11はコイルスプリング17によって
前方へ付勢される。その結果、ケース4及びタイミング
プーリ6に捩じり力が付与され、カムシャフト2とタイ
ミングプーリ6とが相対回転し、ケース4の前部ストッ
パ18に押し付けられて元の状態に復帰される。
【0047】ところで、本実施例では図5もしくは図6
の状態から図1の状態にしてタイミングプーリ6とカム
シャフト2との回転位相を中間の位相(中間回転位相)
にすることができる。
【0048】例えば、図5の状態からエンジンの作動状
態が変化し、エンジン負荷Q/Nが所定値(Q/N)a
以上で、エンジン回転数NEが所定値(NE)a 以上の
第三領域Z3(図3参照)へ移行した場合、つまり、高
回転高負荷状態となった場合、可変バルブタイミング制
御装置は次に示すように作動する。
【0049】ECU37は、油圧制御弁25のソレノイ
ドを励磁させるための信号を出力する。この信号によ
り、油圧制御弁25の状態が第一切換え位置25aから
第二切換え位置25bに切り換わるので、オイルポンプ
14から吐出された作動油10は供給路13を介して圧
力室12へ供給される。また、エンジン回転数NEが高
くなっていることから、カムシャフト2の回転数も高
く、シャッタバルブ31の本体部31bに作用する遠心
力が大きくなっている。この遠心力がコイルスプリング
33の付勢力を上回ると、シャッタバルブ31が軸32
を中心として回動して図2の矢印A方向へ回動する。シ
ャッタバルブ31が図2において二点鎖線で示す位置ま
で回動すると、本体部31bが排出路24を開放する。
【0050】すると、オイルポンプ14からの作動油1
0の供給によりリングギヤ11が後方へ移動するのであ
るが、この移動の途中で、リングギヤ11の後部内周面
がそれまで閉塞していたボス部7の環状溝22を開放す
る。このため、圧力室12内の作動油10の一部はヘリ
カルスプライン11a,7aの噛合部分、環状溝22、
孔23、環状溝21、排出路24を順に通りオイルパン
15へ戻される。この作動油10のリークにより圧力室
12内の油圧が低下し、同油圧とコイルスプリング17
の付勢力とが釣り合うように、リングギヤ11は回転し
ながら前方へ移動し、図1に示す中間位置に至る。この
回転をともなった移動により、ケース4及びタイミング
プーリ6に捩じり力が付与され、カムシャフト2とタイ
ミングプーリ6とが相対回転し、吸気バルブの開閉時期
が変更される。
【0051】さらにリングギヤ11が前方へ移動し、そ
の後部内周面が前記ボス部7の環状溝22を塞ぐと、圧
力室12内の油圧の低下が止められる。このとき圧力室
12への作動油10の供給は続けられているので再び油
圧が高められ、その結果、リングギヤ11が後方へ移動
しようとする。このように、環状溝22が開放されたり
閉塞されたりすることで圧力室12内の油圧が調節され
る。そして、リングギヤ11は油圧とコイルスプリング
17の付勢力とが釣り合う中間位置に保持される。
【0052】また、図6の状態からエンジンの作動状態
が変化し、エンジン負荷Q/Nが所定値(Q/N)a 以
上のままで、エンジン回転数NEが所定値(NE)a 以
上となって図3の第三領域Z3へ移行した場合、可変バ
ルブタイミング制御装置は次に示すように作動する。
【0053】ECU37は、油圧制御弁25のソレノイ
ドを励磁させるための信号を出力し続ける。この信号に
より、油圧制御弁25が第二切換え位置25bを採り続
けるので、オイルポンプ14から吐出された作動油10
は依然として供給路13を介して圧力室12へ供給され
る。また、エンジン回転数NEが高くなっていることか
ら、カムシャフト2の回転数も高く、シャッタバルブ3
1の本体部31bに作用する遠心力が大きくなってい
る。この遠心力に基づく回動力がコイルスプリング33
の付勢力を上回ると、シャッタバルブ31が図2におい
て二点鎖線で示すように軸32を中心として回動し、本
体部31bが排出路24を開放する。
【0054】すると、リングギヤ11の後部内周面はボ
ス部7の環状溝22を開放しているので、圧力室12内
の作動油10の一部はヘリカルスプライン11a,7a
の噛合部分、環状溝22、孔23、環状溝21、排出路
24を順に通りオイルパン15へ戻される。この作動油
10のリークにより圧力室12内の油圧が低下し、同油
圧とコイルスプリング17の付勢力とが釣り合うよう
に、リングギヤ11は回転しながら前方へ移動し、図1
に示す中間位置に至る。この回転をともなった移動によ
り、ケース4及びタイミングプーリ6に捩じり力が付与
され、カムシャフト2とタイミングプーリ6とが相対回
転し、吸気バルブの開閉時期が変更される。
【0055】さらにリングギヤ11が前方へ移動し、そ
の後部内周面が前記ボス部7の環状溝22を塞ぐと、圧
力室12内の油圧の低下が止められる。このとき圧力室
12への作動油10の供給は続けられているので再び油
圧が高められ、その結果、リングギヤ11が後方へ移動
しようとする。このように、環状溝22が開放されたり
閉塞されたりすることで圧力室12内の油圧が調節され
る。そして、リングギヤ11は油圧とコイルスプリング
17の付勢力とが釣り合う中間位置に保持される。
【0056】図1での吸気バルブの開閉タイミングは図
4の特性線L2で示される。このタイミングでは、特性
線L1のタイミングに比べるとバルブオーバラップを大
きくでき、さらに、吸気慣性によって混合気をより多く
シリンダ内へ取り込むことが可能となり、高出力が得ら
れる。
【0057】このように本実施例では、排出路24を開
閉するためのシャッタバルブ31をカムシャフト2に回
動可能に支持するとともに、排出路24を閉塞する方向
へシャッタバルブ31を付勢するためのコイルスプリン
グ33を設けている。そして、カムシャフト2の回転数
の上昇に応じて増大する遠心力を利用し、コイルスプリ
ング33の付勢力に抗して、排出路24を開放する方向
へシャッタバルブ31を受動的に移動させて排出路24
を開閉させている。
【0058】このため、排出路78の途中に電磁弁等か
らなる第二油圧制御弁81を設け、この弁の開閉動作を
コンピュータにより制御するようにした従来技術とは異
なり、本実施例では、ECU37によってオイルポンプ
14から圧力室12への供給路13の開閉を制御するだ
けで、アイドル安定性や運転領域全体にわたる出力向上
に相応したカムシャフト2の三つの回転位相を得ること
ができる。これにともない、第二油圧制御弁81の使用
及びその開閉動作のための制御がともに不要となり、そ
の分、ECU37による制御が簡略化できる。
【0059】また、本実施例では排出路24を開閉する
ために、シャッタバルブ31、軸32及びコイルスプリ
ング33の三つの部品を用いているだけなので、従来の
第二油圧制御弁81を用いた場合に比べ軽量化及び構造
の簡略化を図ることができる。また、部品点数が少ない
ことから製造コストも低く抑えることができる。
【0060】さらに、本実施例ではカムシャフト2の外
周部に凹所29を設け、この凹所29内にシャッタバル
ブ31、軸32及びコイルスプリング33を内装したの
で、これらの部品を設置するスペースを新たに確保する
必要がない。そのため、第二油圧制御弁81を用いた場
合に比べ、可変バルブタイミング制御装置をコンパクト
にすることができる。
【0061】加えて、カムシャフト2の回転にともない
発生する遠心力を利用してシャッタバルブ31を作動さ
せているので、他の駆動源、例えばオイルポンンプ14
による油圧を用いた場合に比べ作動遅れが少なく、排出
路24の開閉時の応答性がよい。 (第二実施例)次に、本発明の第二実施例を説明する。
【0062】本実施例では、図1におけるB部を図7で
示すように変更している。この図7に基づき第一実施例
と異なる箇所のみを説明すると、カムシャフト2の一部
には大径部41が一体形成され、その外周面に形成され
た環状溝41aに排出路24の途中箇所が開口してい
る。大径部41の外周には略円筒状をなすバルブホルダ
42が嵌合されている。バルブホルダ42の内周面には
前記環状溝41aに対応する環状溝42aが形成されて
いる。さらに、バルブホルダ42には、その外周面と前
記環状溝42aとを連通させる連通孔42bが透設され
ている。これらの環状溝41a,42a及び連通孔42
bは排出路24の一部を構成している。
【0063】前記バルブホルダ42は、大径部41の外
周後端(図7の右端)に形成されたフランジ41bと、
同大径部41の外周前端に取付けられたストッパ43と
によって前後から挟み込まれている。これらのフランジ
41b及びストッパ43によりバルブホルダ42の前後
方向への移動が規制されている。
【0064】また、バルブホルダ42の外周には、円環
状をなす弁体としてのスプールバルブ44が前後方向へ
の往復動可能に嵌合されている。この移動方向は排出路
24の延出方向と交差する方向である。スプールバルブ
44には、その内外周面を連通させる孔44bが透設さ
れている。そして、スプールバルブ44が往復動して孔
44bが連通孔42bと合致すると排出路24が開放さ
れ、孔44bが連通孔42bからずれると排出路24が
閉塞される。
【0065】前記バルブホルダ42の後端に突設された
後壁42cとスプールバルブ44後端との間には、弁体
付勢部材としてのスプリング45が配設されている。こ
のスプリング45は前側ほど縮径するような円環状に形
成されており、その後端が前記後壁42cに当接し、前
端が前記スプールバルブ44に当接している。スプリン
グ45は排出路24を閉塞する方向(この場合前方)へ
スプールバルブ44を付勢している。
【0066】前記バルブホルダ42の後壁42cからは
支持腕42dが前方へ延びている。この支持腕42dの
前端には、質量体としてのフライウエイト46が軸47
により回動可能に支持されている。フライウエイト46
は正面略L字状をなしており、その前端の突起46aが
前記スプールバルブ44の前端に当接している。フライ
ウエイト46は、前記カムシャフト2の回転にともない
発生する遠心力により軸47を中心として矢印C方向へ
回動し、前記スプリング45による付勢力に抗して、排
出路24を開放する方向(この場合後方)へスプールバ
ルブ44を移動させる。
【0067】前記のように構成された本実施例による
と、エンジン回転数NEが低くて、フライウエイト46
に作用する遠心力が小さく、スプリング45による付勢
力がフライウエイト46による押圧力よりも小さい場合
には、図7に示すように排出路24がスプールバルブ4
4によって閉塞される。また、エンジン回転数NEが上
昇し、フライウエイト46に作用する遠心力が大きくな
り、フライウエイト46による押圧力がスプリング45
による付勢力に打ち勝つと、同フライウエイト46が軸
47を中心として矢印C方向へ回動する。この回動によ
り、スプールバルブ44が押圧されて後方へ移動する。
そして、スプールバルブ44の孔44bがバルブホルダ
42の連通孔42bに合致し、排出路24が開放され
る。
【0068】従って、本実施例によっても前記第一実施
例と同様に、第二油圧制御弁81を用いることなく簡単
な構成で排出路24を開閉して、カムシャフト2の中間
回転位相を得ることができる。 (第三実施例)次に、本発明の第三実施例を説明する。
【0069】本実施例では、図1におけるB部を図8で
示すように変更している。この図8に基づき第一実施例
と異なる箇所のみを説明すると、カムシャフト2の外周
部にはバルブ取付穴51が穿設されている。バルブ取付
穴51はカムシャフト2の外周面において開口し、軸心
方向へ向けて延びている。バルブ取付穴51の内周面に
は排出路24の途中箇所が開口しており、作動油10が
排出路24を通ってバルブ取付穴51内へ流入可能であ
る。
【0070】前記バルブ取付穴51内には、有底円筒状
をなすバルブホルダ52が螺合により締付固定されてい
る。バルブホルダ52の開口端52aは、バルブ取付穴
51の内底面51aに当接している。バルブホルダ52
の周壁52b及び底壁52cには、同バルブホルダ52
の内外を連通する孔53,54がそれぞれ透設されてい
る。これらのバルブ取付穴51、孔53、バルブホルダ
52内及び孔54は排出路24の一部を構成している。
【0071】バルブホルダ52内には、両端を開口した
略円筒状のガバナバルブ55が、カムシャフト2の半径
方向への往復動可能に収容されている。ガバナバルブ5
5は弁体及び質量体を兼用しており、そのガバナバルブ
55の軸心方向への移動は、バルブホルダ52に係止さ
れたスナップリング56にガバナバルブ55が当接する
ことで規制されるようになっている。
【0072】バルブホルダ52内には、弁体付勢部材と
してのコイルスプリング57が圧縮状態で配設されてい
る。このコイルスプリング57は、排出路24の一部で
ある孔53を閉塞する方向(この場合軸心方向)へガバ
ナバルブ55を付勢している。
【0073】前記のように構成された本実施例による
と、エンジン回転数NEが低くて、ガバナバルブ55に
作用する遠心力が小さく、コイルスプリング57による
付勢力がガバナバルブ55の遠心力よりも小さい場合に
は、図8に示すように排出路24がガバナバルブ55に
よって閉塞される。エンジン回転数NEが上昇し、ガバ
ナバルブ55に作用する遠心力が大きくなって、これが
コイルスプリング57による付勢力に打ち勝つと、同ガ
バナバルブ55が矢印Dで示すように半径方向外方へ移
動する。すると、それまで閉塞されていた排出路24が
ガバナバルブ55の移動により開放される。従って、本
実施例によっても前記第一実施例と同様に、第二油圧制
御弁81を用いることなく簡単な構成で排出路24を開
閉することができ、リングギヤ11を移動範囲の中間位
置に保持させて、カムシャフト2の中間回転位相を得る
ことができる。
【0074】また、バルブホルダ52内にガバナバルブ
55、スナップリング56及びコイルスプリング57が
収容されて、これらが一つのアッセンブリとして構成さ
れている。このため、前記第一実施例及び第二実施例に
比較してカムシャフト2への着脱が容易であり、組付け
作業性がよい。バルブ取付穴51からバルブホルダ52
を取り外して保守点検を行うことができ、整備性に優れ
るという効果も奏する。
【0075】なお、本発明は前記実施例の構成に限定さ
れるものではなく、例えば以下のように発明の趣旨から
逸脱しない範囲で任意に変更してもよい。 (1)各実施例において、リングギヤ11の内外周のヘ
リカルスプライン11a,11bのいずれか一方を軸線
と平行なスプラインに変更してもよい。
【0076】(2)本発明の可変バルブタイミング制御
装置を排気バルブ用カムシャフトに装着してもよく、こ
のようにすれば排気バルブの開閉タイミングを可変とす
ることができる。
【0077】(3)ECU37による油圧制御弁25の
ソレノイドの励磁・消磁の状態を各実施例と逆にしても
よい。 (4)各実施例におけるリングギヤ11の中間位置は、
シール部における環状溝21,22及び孔23の位置を
変更することによって任意に設定することができる。
【0078】(5)前記第一実施例でのシャッタバルブ
31、第二実施例でのスプールバルブ44、第三実施例
でのガバナバルブ55がそれぞれ排出路24を開放する
際のエンジン回転数の所定値(NE)a は、各実施例で
のスプリング33、45、57のばね荷重を変更するこ
とによって任意に設定できる。それ以外にも、各実施例
でのバルブ31、44、55の質量や、カムシャフト2
に対する取付位置を変更することによっても、前記所定
値(NE)a を適宜に調整可能である。
【0079】(6)各実施例において、リングギヤ11
の移動範囲の互いに異なる箇所に開口する排出路24を
複数本設け、排出路24毎にシャッタバルブ31、スプ
ールバルブ44及びガバナバルブ55のいずれかを設け
てもよい。この場合には、上記(5)で説明したよう
に、排出路24を開放する際のエンジン回転数の所定値
(NE)a をバルブ31,44,55毎に異ならせる。
すると、カムシャフト2の2つ以上の中間位相を得るこ
とが可能となる。
【0080】(7)各実施例におけるリングギヤ11の
中間位置とは、同リングギヤ11の移動範囲両端部の真
ん中の位置を示すものではなく、リングギヤ11が移動
する部分の全てを示すもので、各々のエンジンの要求特
性に添って特定の位置に設定可能である。
【0081】(8)各実施例において、供給路13の途
中に圧力センサ又は流量センサを設置し、これらのセン
サの検出信号に基づいて油圧制御弁25をフィードバッ
ク制御するようにしてもよい。
【0082】(9)各実施例におけるボス部7の内周面
の環状溝21をカムシャフト2の外周面に形成してもよ
い。また、ボス部7の内周面とカムシャフト2の外周面
との両方に環状溝21を形成してもよい。
【0083】(10)カムシャフト2の位相は、アイド
ル安定性の向上、ポンピングロスの低減、出力性能向上
のほか、排出ガス(NOx、CO2 等)の低減に対して
最適な位相を3段の中から選択してもよい。
【0084】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、排
出路を開閉可能な弁体と、排出路を閉塞する方向へ弁体
を付勢する弁体付勢部材と、カムシャフトの回転にとも
ない発生する遠心力により変位し、弁体付勢部材による
付勢力に抗して、排出路を開放する方向へ弁体を移動さ
せる質量体とを設けたので、油圧制御弁を用いることな
く簡単な構成で排出路を開閉し、リングギヤを移動範囲
の中間位置に保持させて、カムシャフトの中間回転位相
を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第一実施例において、リン
グギヤが移動範囲の中間位置に保持された状態を示す可
変バルブタイミング制御装置の部分断面図である。
【図2】第一実施例において、カムシャフトに対するシ
ャッタバルブの取付け状態を示す図であり、図6のE−
E線方向の拡大断面図である。
【図3】第一実施例のエンジン回転数とエンジン負荷と
の関係において、可変バルブタイミング制御装置が採る
位相を説明する特性図である。
【図4】第一実施例において、クランク角と吸気バルブ
のバルブリフト量と排気バルブのバルブリフト量との関
係を示す特性図である。
【図5】第一実施例において、リングギヤが移動範囲の
前端位置に保持された状態を示す可変バルブタイミング
制御装置の部分断面図である。
【図6】第一実施例において、リングギヤが移動範囲の
後端位置に保持された状態を示す可変バルブタイミング
制御装置の部分断面図である。
【図7】本発明を具体化した第二実施例を示す要部断面
図である。
【図8】本発明を具体化した第三実施例を示す要部断面
図である。
【図9】従来の可変バルブタイミング制御装置の部分断
面図である。
【符号の説明】
2…カムシャフト、6…タイミングプーリ、10…流体
としての作動油、11…リングギヤ、11a,11b…
ヘリカルスプライン、12…圧力室、13…供給路、1
4…加圧流体供給源としてのオイルポンプ、17…リン
グギヤ付勢部材としてのコイルスプリング、24…排出
路、31…第一実施例における弁体及び質量体を兼用す
るシャッタバルブ、33…第一実施例における弁体付勢
部材を構成するコイルスプリング、44…第二実施例に
おける弁体を構成するスプールバルブ、45…第二実施
例における弁体付勢部材を構成するスプリング、46…
第二実施例における質量体を構成するフライウエイト、
55…第三実施例における弁体及び質量体を兼用するガ
バナバルブ、57…第三実施例における弁体付勢部材を
構成するコイルスプリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−269309(JP,A) 特開 平4−109006(JP,A) 特開 昭64−105064(JP,A) 特開 平4−171324(JP,A) 特開 平2−245407(JP,A) 実開 昭62−16706(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F01L 1/34 F01L 13/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関のバルブ駆動用カムシャフトの
    外周に設けられたプーリと、 前記カムシャフト及びプーリ間に介在されるとともに、
    内外周面にスプラインを有し、かつ少なくともその一方
    がヘリカルスプラインである円筒状リングギヤと、 加圧流体供給源からの流体を圧力室へ導き、その流体圧
    を前記リングギヤの一端側に作用させるための供給路
    と、 前記リングギヤの他端側に配設され、同リングギヤを前
    記流体圧とは反対方向へ付勢するリングギヤ付勢部材と
    を備え、前記加圧流体供給源からの流体圧及びリングギ
    ヤ付勢部材の付勢力により、リングギヤをカムシャフト
    の軸方向へ移動させ、プーリの駆動力をヘリカルスプラ
    インにてカムシャフトに伝達し、同プーリ及びカムシャ
    フトの回転位相を変化させてバルブの開閉時期を調整す
    るようにした可変バルブタイミング制御装置において、 前記カムシャフトとリングギヤとの間、及び同リングギ
    ヤとプーリとの間に設けられ、前記圧力室内の流体がリ
    ングギヤ付勢部材側へ漏出するのを防止するためのシー
    ル部と、 前記圧力室内の流体を内燃機関内へ排出させるべく設け
    られ、その圧力室側端部がリングギヤの移動範囲の中間
    位置に対応する前記シール部に面して開口された排出路
    と、 前記排出路を開閉するべく設けられた弁体と、 前記排出路を閉塞する方向へ弁体を付勢する弁体付勢部
    材と、 前記カムシャフトに一体回転可能に取付けられ、同カム
    シャフトの回転にともない発生する遠心力により変位
    し、前記弁体付勢部材による付勢力に抗して、排出路を
    開放する方向へ前記弁体を移動させる質量体とを設けた
    ことを特徴とする可変バルブタイミング制御装置。
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