JP3300687B2 - 弾性体人形用頭部の成形方法 - Google Patents

弾性体人形用頭部の成形方法

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JP3300687B2 JP23743099A JP23743099A JP3300687B2 JP 3300687 B2 JP3300687 B2 JP 3300687B2 JP 23743099 A JP23743099 A JP 23743099A JP 23743099 A JP23743099 A JP 23743099A JP 3300687 B2 JP3300687 B2 JP 3300687B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はブロー成形により弾
性を有する人形用頭部を成形する弾性体人形用頭部の
形方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来、弾性を有する人形用頭部は塩化ビニ
ルを溶融してスラッシュ成形法や回転成形法によって成
形するのが一般的であった。上記両方法は、ブロー成形
のような成形品の表面にパーティングラインが形成され
ることがないので、仕上りがよいという利点がある。ま
た、後者の方法によれば安価に量産できるという利点が
ある。
【0003】ところで、塩化ビニルは塩素を含み、ま
た、上記成形法では、成形品に弾性を付与するため塩化
ビニルに可塑剤としてフタル酸エステルを添加しなけれ
ばならなかった。最近は塩化ビニルもフタル酸エステル
も安全性が疑問視されているので、最近は各分野で塩化
ビニルの使用を回避する傾向があることから、人形用頭
部においても、より問題のない安全な成形材料によって
成形する必要に迫られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、塩化ビ
ニル以外の成形材料を用いてスラッシュ成形や回転成形
を行なおうとしても、素材がゲル化しないので成形が不
可能である。ブロー成形によれば成形自体は可能である
が、この成形法ではパーティングラインが顔の表面に表
われてしまうほか、パーティングラインから遠い部位に
は成形材料が回り込みにくいので、図13に示すように
全体に偏肉となり、凹凸の多い目、鼻、口等は他の部分
よりも薄肉となって色が透けたり、簡単にへこみやすく
なって破損しやすくなったりするなどの問題が発生す
る。人形用頭部に関しては、顔の表面の仕上り、すなわ
ち表面の滑らかさと顔の各部の凹凸の精巧さのほかに、
全体の肉厚が均一であることも重要であり、ブロー成形
は上記の点に致命的な問題があった。
【0005】また、人形用頭部は人の皮膚と同じような
柔らかい感触の弾性を有するものでなければならず、こ
の要求も満足しなければならない。
【0006】本発明は上記問題点を解消し、塩化ビニル
以外の成形材料を用い、ブロー成形によって肉厚に偏り
が少なく、しかも弾性を有する弾性体人形用頭部の成形
方法を提供することをその課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明に係る人形用頭部の成形方法は、下記要件を
備えたことを特徴とする。 (イ)人形用頭部の形状に即した内面形状が形成された
分割金型を用い、一方の分割金型には人形の後頭部の形
状に即した内面形状が、他方の分割金型には顔部の形状
に即した内面形状が形成され、上記分割金型によるパー
ティングラインは、頭部をほぼ前後に等分するように形
成されるようにすること。 (ロ)上記パーティングラインの耳穴部にかかる部分
は、耳部の外縁に沿うように形成されていること。 (ハ)上記パーティングラインは、耳部の外縁の下方か
ら顎部の下面に沿って首穴部の前部を巻くように形成さ
れていること (ニ)合成樹脂の熱可塑性エラストマー又はシリコン樹
脂を主成分とし、これを加熱して離間配置された分割金
型の間にパリソンとして落し込んだ後、分割金型を閉じ
て内部に空気を吹き込むこと
【0008】また、頭部の大きさが縦約40mm、横約3
0mmであり、首穴部の開口端からその奥の段部までの長
さが約4mmであるように成形するのがよい。
【0009】さらに、前記パリソンを偏肉厚として成形
するのが望ましく、この場合、前記パリソンは横断面又
は縦断面において偏肉厚とし、あるいは横断面及び縦断
面において偏肉厚とするのが好ましい。
【0010】なお、前記分割金型に空気を吹き込むとき
に、鼻部等の出張り部の少なくとも1箇所からキャビテ
ィ内の空気を抜くのがよい。
【0011】さらに、前記分割金型が多数の微細な空隙
を備えて全体がポーラスな通気構造の金型であるのが好
ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】図1において符号1は成形金型を
示す。この成形金型1はブロー成形法に供されるもの
で、2個の分割金型2、3から構成されている。図2に
示されるように、一方の分割金型2には人形の頭部の
形状に即した内面形状aが、他方の分割金型2には顔部
の形状に即した内面形状bが形成され、パーティングラ
インが顔部に表われないよう、合わせ面4(パーティン
グラインを構成する)は頭部を前後に分けるように、頭
部の上部の略中心と左右両側の耳部7の外縁に沿い、さ
らに首穴部の略中心を通って頭部をほぼ前後に等分する
ように形成されている。
【0013】また、上記分割金型2、3には、鼻部5、
顎部6、後頭部8を構成する出張り部に空気抜き用の空
気抜き孔9が形成されている。空気抜き孔9の直径は0.
1 mm〜0.3 mmに形成するのが好ましい。鼻部5と顎部6
後頭部8の空気抜き孔9は分割金型2の合わせ面4に
垂直になるように形成されている。空気の吹き込み孔1
0は後頭部8の最上部の合わせ面4に開口形成されてい
る。
【0014】なお、空気の引き抜きは出っ張り部に設け
られるが、引き抜き箇所は1箇所以上であればよい。通
常は鼻部5や口部に設けるのが好ましいが、実施態様に
は限定されない。出張り部とは鼻部5、顎部6のように
表面から突出する部分だけでなく、唇や頬、額などのよ
うに、要するにへこんでいない部分を全て含む。したが
って、後頭部8や顎部6の空気抜き孔9の部分のよう
に、分割金型2、3の合せ目から遠くて空気が残留しや
すい部分も含む。なお、耳部7は分割金型の合せ目に近
いので、空気は残留しにくいため、必ずしも空気抜き孔
9を設ける必要はない。
【0015】次に、上記成形金型1には、図1に示され
るブロー成形機11によって成形材料が供給される。ブ
ロー成形機11は、溶融された成形材料を押出し機12
によってチューブ状のパリソン13にして上記成形金型
1内に押し出すものであるが、ブロー成形機11には外
側のダイス14と、スパイダ15によって保持された内
側のノズル16と、ノズル16の中心を通る空気吹き込
み管17とが設けられている。そして、ダイス14とノ
ズル16との間からパリソン13が押し出されるととも
に、中央の管17から空気が吹き出される。ダイス14
とノズル16とによってパリソン13の肉厚が決められ
る。縦約40mm、横約30mm程度の人形用頭部を作る場
合、パリソン13の外径は14mm、内径は6mm程度と
し、肉厚を約4mmに設定すればよい。
【0016】次に、人形用頭部を成形する方法について
説明する。
【0017】まず、成形材料であるが、これは成形品と
しての人形用頭部が人間の皮膚と同じような柔軟な弾性
を備える必要があるから、合成樹脂の熱可塑性エラスト
マーを主成分とし、これに可塑剤、着色剤等を加えて成
るものを使用する。このような熱可塑性エラストマーに
は、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマ
ー、スチレン−ブタジエン系エラストマー、ウレタン系
エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエチ
レン系エラストマーなどがある。このような熱可塑性エ
ラストマーは可塑剤を加えても塩化ビニルのようにゲル
状になることはないが、ブロー成形用の成形材料として
は可能である。可塑剤の選択の幅も大きい。したがっ
て、塩素系のエラストマーは使用しない。また、可塑剤
としてフタル酸エステルを使用しない。なお、成形材料
としては、エラストマーのほか、シリコン樹脂を使用し
てもよい。
【0018】ここでは、上記成形材料中、三井化学株式
会社製のオレフィン系エラストマーである、タフマー
(商標)を使用した。
【0019】上記成形材料を加熱し、図3のように離間
された2個の分割金型2、3の間に筒状のパリソン13
として落し込み、図4に示すように分割金型2、3を閉
じて吹き込み管17と10から空気を吹き込む。分割金
型によるパーティングラインは、ほぼ球形の頭部をほぼ
前後にほぼ等分するように形成したから、パリソン13
は前後左右にバランスよく配置される。
【0020】なお、空気の吹き込みは頭頂部からに限定
されない。首部から吹き込む構成であってもよい。
【0021】成形材料の温度は140°C〜180°C
(最適温度は160°C)とし、空気の吹き込み圧は4
Kg/cm2 〜5Kg/cm2 とする。空気を吹き込むことによ
り、パリソン13は膨張し、金型内面に張り付く。空気
吹き込みとほぼ同時に、キャビティ内にもともと存在し
ていた空気の一部を排除するため、空気抜き孔9から上
記残留空気を抜く。これにより、残留空気による一種の
壁が形成されることがなく、図5に示されるように、金
型1の内面全体に成形材料13aが密着する。
【0022】空気吹き込み後に金型を開いて内部の人形
用頭部を取り出すことにより、図6(a) (b) に示される
ように、人形用頭部の成形が完了し、頭部成形品を得る
ことができる。金型を開いて上記頭部を取り出す際、成
形品の耳部7が引っ掛かることはないので、成形品を破
損することなくスムーズに取り出すことができる。しか
も、型閉じしたときも、パーティングラインに近い耳部
7には空気が残留しにくいので、必ずしも空気抜き孔9
を形成する必要がなく、空気抜き孔9を形成しないとき
は、その分だけ成形時間を短縮することができる。
【0023】なお、上記成形品の場合は、頭部の大きさ
が縦約40mm、横約30mmであり、図7に示すように、
首穴部21の開口端からその奥の段部22までの長さ寸
法Lが約4mmである。上記寸法Lは従来は約6mmであっ
た。これはスラッシュ成形によるもので、ブロー成形で
は空気注入後、首穴部21を成形するので、従来のスラ
ッシュ成形のように寸法Lを6mm程度とすると、首穴部
21の周辺が肉薄になってしまうのを4mm程度にするこ
とで解消された。
【0024】なお、図8に示されるように、分割金型に
よるパーティングライン18は、耳部7の外縁の下方か
ら顎部6の下面に沿って首部(首穴部21として形成さ
れている)の前部を巻くように形成するのが好ましい。
この場合、パリソンは凹凸の多い鼻5や顎部6側に寄る
ので、成形材料の回りがよく、他の部分との肉厚の均一
性はさらに向上する。
【0025】ところで、上述の例はパリソンの肉厚がほ
ぼ等しい場合であるが、このパリソンを偏肉厚として成
形することにより、同様にして成形された人形用頭部の
全体の肉厚を等しくなるように制御することができる。
【0026】次に、その例について詳しく説明する。
【0027】まず、図1に示されたブロー成形機と同じ
ものを使用する。上記パリソン13は偏肉厚状態、つま
り人形用頭部の前後に対応する部分を他に比べて厚肉と
して押し出されるように構成されている。
【0028】すなわち、上述の例と同様に、ダイス14
とノズル16との間からパリソン13が押し出されると
ともに、中央の管17から空気が吹き出されるが、ダイ
ス14とノズル16とによってパリソン13の肉厚が決
められる。偏肉パリソン13は、図9(a) のように、偏
径ダイス14、つまり内面形状を略楕円形にしたダイス
14によって得られる。同様に、ノズル16の外面形状
を略楕円形にすることによっても得られる。
【0029】このように、パリソン13をその横断面に
おいて偏肉厚として供給するが、縦40mm、横30mm程
度の人形を作る場合は、パリソン13の左右の寸法は2
6mm〜32mm、前後の寸法は28mm〜34mm程度とし、
左右方向における肉厚は約10mm〜12mm、前後方向に
おける肉厚は11mm〜13mm程度にすることをおおよそ
の基準とすればよい。
【0030】成形材料は上述に示したものを使用すれば
よい。ここでは、熱可塑性エラストマーとしてクラレ株
式会社製のセプトン(商標)を使用した。
【0031】上記成形材料を加熱し、上述の図3及び図
4の例と同様に、離間された2個の分割金型2、3の間
に筒状のパリソン13として落し込み、分割金型2、3
を閉じて吹き込み管17から空気を吹き込む。分割金型
によるパーティングラインは、ほぼ球形の頭部をほぼ前
後にほぼ等分するように形成したから、パリソン13は
前後左右にバランスよく配置される。
【0032】成形材料の加熱温度は170°C〜190
°C(最適温度は180°C)とし、空気圧は4Kg/cm2
〜6Kg/cm2 とする。空気を吹き込むことにより、パリ
ソン13は膨張し、金型内面に張り付く。成形材料の温
度は170°C〜190°Cに設定されているので、パ
リソン13は均一に膨張する。ところで、パリソン13
と金型内面との間にはキャビティ内にもともと存在して
いた空気の一部が残留する。そこで、空気吹き込みとほ
ぼ同時に空気抜き孔9から上記残留空気を抜く。これに
より、残留空気による一種の壁が形成されることがな
く、金型1の内面全体に成形材料の肉が密着する。
【0033】また、分割金型内に落し込まれたパリソン
13は偏肉パリソン13で、パーティングラインから離
れた前後の部位にはパリソン13の厚肉の部分が供給さ
れるから、図10に示すように、人形用頭部の前後に対
応する鼻、顎、口、後頭部等を構成する部分に十分な量
の成形材料13aが行き渡る。したがって、出っ張り部
分の肉のみが薄くなるようなことがない。
【0034】空気吹き込み後に金型を開いて内部の人形
用頭部を取り出すことにより、上述の図6(a) (b) に示
されたように、頭部の成形が完了し、肉厚がほぼ均一な
頭部成形品を得ることができる。この場合も、成形品を
破損することなくスムーズに取り出すことができる、耳
部に空気抜き孔を形成する必要がない、等の効果が得ら
れる。
【0035】なお、偏肉パリソン13によって人形用頭
部全体を略均一の肉厚にする方法としては、上述のよう
に、パリソン13を横断面において偏肉厚状態にするほ
か、図9(b) に示されるように、パリソンコントロール
により、パリソン13を縦断面において偏肉厚状態にし
て供給するようにしてもよい。このような肉厚の調整は
同図のように、ノズル16を細かく上下に移動させて成
形材料の通路の幅p、qを変えることによっても行なう
ことができる。上記コントロールによれば、図11(a)
のように例えば鼻部5や顎部6を額部や口部よりも肉厚
にすることができる。
【0036】また、偏径ダイスとパリソンコントロール
により、パリソン13を横断面と縦断面において偏肉厚
状態にして供給するようにすれば、同図(b) のように、
前後左右における肉厚の調整だけでなく、上下の肉厚も
微妙に調整することができるから、例えば前後の肉を厚
くするとともに、さらに鼻部5、耳部7及び顎部6を他
の部分よりも肉厚にすることにより、肉厚が均一な人形
用頭部を成形することができる。
【0037】上述の人形用頭部の成形方法によれば、一
方の分割金型2には人形の頭部形状に即した内面形状
が、他方の分割金型2には顔部の形状に即した内面形状
が形成されているので、人形用頭部として最も重要な顔
の部分にパーティングラインが現われることがない。
【0038】パーティングライン18は頭部の上部から
耳部7と顎部6の後ろを経て首下に至る部分に形成され
る。しかし、図6に示すように、人形用頭部の上部と耳
部7から上の側頭部のパーティングライン18aは植毛
やカツラによる頭髪で覆われることになるので、上記パ
ーティングライン18aが外から視認できる部分に露出
することはない。また、側頭部のパーティングライン1
8のうち耳部7にかかる部分18bは、耳部7の外縁に
沿うように表われるので、ほとんど目につかない。ま
た、顎部6の後ろ部分18cも、頭髪の長い人形の場合
は頭髪で覆われる部分であり、頭髪が比較的短い人形の
場合でも目につきにくい部分であるから、外観上は無視
することができる程度である。したがって、パーティン
グライン18によって人形の頭部外観が損なわれること
はない。
【0039】次に、成形時に空気吹き込みとほぼ同時に
鼻部5と顎部6と耳部7と後頭部8に対応する部位に形
成された空気抜き孔9から空気が抜かれるので、これら
の部分にも成形材料が良好に供給される。したがって、
鼻部5の先や鼻孔に金型の形状に忠実なシャープな形状
を得ることができる。なお、高さが40mm、幅が30mm程度
の寸法の人形の場合は、空気抜き孔9の直径は0.2 mm程
度が最も好ましいことがわかった。なお、0.3 mm以上で
あれば、後処理作業も簡単であるから、大きい寸法の人
形用頭部を成形するときは、トリミングすればよい。
【0040】なお、上記キャビティから残留空気を抜く
方法として、分割金型2、3に微小な空気抜き孔9を形
成することに代え、図12に示すように、分割金型2
(3)に多孔質体20を貫通させ、この多孔質体20の
キャビティ側の端面に前記鼻部5と耳部7の形状を形成
するようにしてもよい。孔径は0.03mm〜 0.1mmにするの
が好ましい。
【0041】同様に、多数の微細な空隙を備えて全体が
ポーラスな通気構造の金属材料、例えば新東工業株式会
社製のポーセラックス(商標)を利用して作った金型に
よっても、わざわざ空気抜き孔を形成する必要がない。
【0042】上記構成によれば、成形時の空気吹き込み
に伴いパリソンが膨張することによって押し出されたキ
ャビティ内の空気は金型の空隙から外部に自然排気され
るので、残留空気が壁を作るようなことがなく、金型に
忠実な形状を有するとともに十分な弾性を有する成形品
を得ることができる。多孔質体を使用する場合は、ここ
から強制的にキャビティ内の空気を抜くようにしてもよ
い。
【0043】なお、熱可塑性エラストマーは種類が多
く、それぞれにおいて成形温度、パリソンの厚みが変わ
ってくることは言うまでもない。
【0044】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、パーティ
ングラインは頭部の上部から側頭部と顎部の後ろを経て
首下に至る部分に形成される。しかし、人形用頭部の頭
部上部と耳部から上の側頭部のパーティングラインは植
毛やカツラによる頭髪で覆われることになるので、上記
パーティングラインが外から視認できる部分に露出する
ことはない。また、側頭部のパーティングラインのうち
耳部にかかる部分は、耳部の外縁に沿うように表われる
ので、ほとんど目につかない。また、顎部の後ろ部分
も、頭髪の長い人形の場合は頭髪で覆われる部分であ
り、頭髪が比較的短い人形の場合でも目につきにくい部
分であるから、外観上は無視することができる程度であ
る。したがって、パーティングラインによって人形の頭
部外観が損なわれることはない。
【0045】また、成形材料として塩化ビニルを使用し
ないので、最近問題視されている環境ホルモン等の心配
がなく、人体により安全な人形用頭部を製造することが
できるとともに、人の皮膚と同じような柔らかい感触の
弾性を有する人形用頭部を成形することができる。した
がって、幼児や子供の遊びにおける擬似体験に供する道
具として最適な人形を提供することができる。
【0046】加えて、成形材料が熱可塑性エラストマー
であるため、成形された人形用頭部は人の皮膚と同じよ
うな柔らかい感触の弾性を有する。
【0047】そして、成形時において、分割金型による
パーティングラインは、ほぼ球形の頭部をほぼ前後にほ
ぼ等分するように形成したから、パリソンは前後左右に
バランスよく配置される。したがって、成形時に成形材
料が全体的によくまわり込み、肉厚にあまりばらつきの
ない良好な人形用頭部を成形することができる。
【0048】さらに、上記パーティングラインが、耳部
の外縁の下方から顎部の下面に沿って首穴部の前部を巻
くように形成されているので、ブロー成形をする時にパ
リソンは凹凸の多い鼻や顎部側に寄るので、成形材料の
回りがよく、他の部分との肉厚の均一性はさらに向上す
る。
【0049】請求項2に係る発明によれば、頭部の大き
さが縦約40mm、横約30mm程度の通常の着せ替え人形
の頭部と同じ程度の大きさで、首穴部の開口端からその
奥の段部までの長さが約4mmであるから、首穴部部分が
肉薄になるのを防止することができる。
【0050】請求項3に係る発明によれば、前記パリソ
ンを偏肉厚としたので、成形時に全体の肉厚を均一に調
整して通常のブロー成形では肉が薄くなりやすい、パー
ティングラインから遠い部分にも十分な量を行き渡らせ
ることができる。したがって、成形された人形用頭部の
肉厚を比較的均一な厚さとすることができ、色が透けた
り、指などで表面を触ったときに一部のみがへこみやす
いという不自然さがなく、人形用頭部としての商品性が
損なわれることのない、ごく自然な人形用頭部を成形す
ることができる。
【0051】請求項4に係る発明によれば、さらに、上
記分割金型に空気を吹き込むときに、鼻部等の出張り部
の少なくとも1箇所からキャビティ内の空気を抜いて金
型の形状に忠実なシャープな形状を得るようにしたか
ら、偏肉パリソンによって肉厚が比較的均一になる効果
と相まって、意匠的に優れ、外観体裁も良好な弾性体人
形用頭部を得ることができる。
【0052】請求項5に係る発明によれば、さらに、前
記分割金型が多数の微細な空隙を備えて全体がポーラス
な通気構造の金型であるから、格別の空気抜き手段を設
けなくても金型内に空気が残存することがないので、常
に良好な成形が得られる。
【0053】請求項6に係る発明によれば、前記パリソ
ンを横断面において偏肉厚としたから、頭部の前後部分
を左右部分よりも肉厚にすることができる。したがっ
て、通常のブロー成形では肉が薄くなりやすい、パーテ
ィングラインから遠い部分にも十分な量を行き渡らせる
ことができ、全体として均一な肉厚の人形用頭部を成形
することができる。
【0054】請求項7に係る発明によれば、前記パリソ
ンを縦断面において偏肉厚としたから、通常のブロー成
形では肉が薄くなりやすい、鼻部や顎部などに対応する
部分を額部や口部よりも肉厚にして全体として均一な肉
厚の人形用頭部を成形することができる。
【0055】請求項8に係る発明によれば、パリソンを
横断面と縦断面において偏肉厚にしたから、前後左右に
おける肉厚の調整だけでなく、上下の肉厚も微妙に調整
することができるから、さらに効率的に肉厚が均一な人
形用頭部を成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る弾性体人形用頭部の成形方法に供
される成形装置の概要図
【図2】上記人形用頭部の成形金型の断面図
【図3】成形金型内にパリソンを落し込んだ状態の断面
【図4】成形金型に空気を吹き込んだ状態の断面図
【図5】成形金型内に成形材料が密着した状態の断面図
【図6】(a) (b) は成形された人形用頭部の正面図及び
側面図
【図7】パーティングラインの他の実施態様を示す底面
における説明図
【図8】成形された人形用頭部の縦断面図
【図9】(a) はパリソンの肉厚を横断面において調整す
る態様を示す断面図 (b) はパリソンの肉厚を上下方向において調整する態様
を示す断面図
【図10】成形金型内に成形材料が行き渡った状態を示
す断面図
【図11】(a) はパリソンの肉厚を縦断面において調整
した状態の断面図 (b) はパリソンの肉厚を横断面と縦断面ににおいて調整
した状態の断面図
【図12】他の空気の引き抜き態様を示す金型の断面図
【図13】通常のブロー成形によった場合の人形用頭部
の縦断面図
【符号の説明】
1 成形金型 2、3 分割金型 6 顎部 7 耳部 9 空気抜き孔 13 パリソン 18 パーティングライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−49740(JP,A) 特開 平4−288187(JP,A) 特開 平6−293062(JP,A) 特開 平9−48063(JP,A) 特開 平8−25465(JP,A) 特開 平8−103569(JP,A) 実公 昭30−6482(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A63H 1/00 - 37/00 B29C 49/00 - 49/46 B29C 29/58 - 49/68 B29C 49/72 - 51/28 B29C 51/42 B29C 52/46

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記要件を備えたことを特徴とする弾性
    体人形用頭部の成形方法。 (イ)人形用頭部の形状に即した内面形状が形成された
    分割金型を用い、一方の分割金型には人形の後頭部の形
    状に即した内面形状が、他方の分割金型には顔部の形状
    に即した内面形状が形成され、上記分割金型によるパー
    ティングラインは、頭部をほぼ前後に等分するように形
    成されるようにすること。 (ロ)パーティングラインの耳部にかかる部分は、耳部
    の外縁に沿うように形成されていること (ハ)上記パーティングラインは、耳部の外縁の下方か
    ら顎部の下面に沿って首穴部の前部を巻くように形成さ
    れていること (ニ)合成樹脂の熱可塑性エラストマー又はシリコン樹
    脂を主成分とし、これを加熱して離間配置された分割金
    型の間にパリソンとして落し込んだ後、分割金型を閉じ
    て内部に空気を吹き込むこと
  2. 【請求項2】 請求項1において、頭部の大きさが縦約
    40mm、横約30mmであり、首穴部の開口端からその奥
    の段部までの長さが約4mmであることを特徴とする弾性
    体人形用頭部の成形方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記パリソンを偏肉
    厚としたことを特徴とする弾性体人形用頭部の成形方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記分割金型に空気
    を吹き込むときに、鼻部等の出張り部の少なくとも1箇
    所からキャビティ内の空気を抜くことを特徴とする弾性
    体人形用頭部の成形方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記分割金型が多数
    の微細な空隙を備えて全体がポーラスな通気構造の金型
    であることを特徴とする弾性体人形用頭部の成形方法。
  6. 【請求項6】 請求項1において、前記パリソンは横断
    面において偏肉厚であることを特徴とする弾性体人形用
    頭部の成形方法。
  7. 【請求項7】 請求項1において、前記パリソンは縦断
    面において偏肉厚であることを特徴とする弾性体人形用
    頭部の成形方法。
  8. 【請求項8】 請求項1において、前記パリソンは横断
    面及び縦断面において偏肉厚であることを特徴とする弾
    性体人形用頭部の成形方法。
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