JP3295684B2 - ポリ四フッ化エチレン紙状物及びその製造方法 - Google Patents

ポリ四フッ化エチレン紙状物及びその製造方法

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JP3295684B2 JP09063898A JP9063898A JP3295684B2 JP 3295684 B2 JP3295684 B2 JP 3295684B2 JP 09063898 A JP09063898 A JP 09063898A JP 9063898 A JP9063898 A JP 9063898A JP 3295684 B2 JP3295684 B2 JP 3295684B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ四フッ化エチ
レンが有する耐熱性、耐薬品性、耐候性、不燃性、低誘
電性、電気絶縁性、光学特性、非粘着性、低摩擦性等の
優れた特性を紙状物として発揮できるポリ四フッ化エチ
レン紙状物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリ四フッ化エチレンは、それ自体が持
つ優れた特性から、耐薬品性の容器、フィルター材料、
耐熱性絶縁材料、摺動材、シール材等の種々の分野で用
いられている。そして、濾材やプリント配線板の芯材、
光拡散板等の用途にポリ四フッ化エチレンの薄葉紙状物
が要求されている。
【0003】しかし、ポリ四フッ化エチレン繊維で紙状
物を製造する場合、ポリ四フッ化エチレンの低い接着性
のため、合成繊維紙で一般に用いられるバインダ樹脂に
よる繊維間の接着が困難であり、また、ポリ四フッ化エ
チレンの融点以上で加熱することによる繊維同士の溶融
接合を行った場合、ポリ四フッ化エチレン繊維が熱によ
り緩和し収縮するため、良好な紙状物が得られないと言
う問題がある。
【0004】このような問題点を解決するための方法と
して、特公昭46−11043号公報には、ポリ四フッ
化エチレン水性分散液をマトリックスと混合し、エマル
ジョン紡糸し、これを適当な長さに切断し短繊維とした
後抄造し、ついで、ポリ四フッ化エチレンの融点以上
で、かつ、マトリックスを炭化分解する温度で熱処理す
ることにより、マトリックスを炭化分解すると共に、ポ
リ四フッ化エチレンを融着させることによりポリ四フッ
化エチレン紙状物を製造する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特公昭46−1104
3号公報で開示された方法によって、バインダを含ま
ず、ポリ四フッ化エチレン繊維同士が融着されたポリ四
フッ化エチレン紙状物を得ることが出来るが、ポリ四フ
ッ化エチレンの融点以上で、かつ、マトリックスを炭化
分解する温度で熱処理することによって、熱処理前の紙
状物と熱処理後の紙状物で寸法変化を生じ、処理前に較
べて処理後の方が面積比で40%以上減少するため、製
品寸法が抄造装置の制約を受けると言う問題点がある。
さらに、熱処理により得られたポリ四フッ化エチレン
は、未延伸状態にあるため、紙状物の機械的な伸び率が
大きいという問題がある。
【0006】本発明の目的は、上記のポリ四フッ化エチ
レン紙状物の製造方法における問題点を解決し、熱処理
前の紙状物と熱処理後の紙状物で寸法変化を生じ難いポ
リ四フッ化エチレン紙状物、すなわち、熱処理等におけ
る寸法変化を防止し、機械的な伸び率を改善したポリ四
フッ化エチレン紙状物およびその製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記問題
点を解決したポリ四フッ化エチレン紙状物を得るべく鋭
意検討した結果、ポリ四フッ化エチレン粒子をマトリッ
クスと混合してエマルジョン紡糸したポリ四フッ化エチ
レン繊維とアラミドからなる耐熱性のパルプ状異種繊維
との混合物を抄造し紙状物を形成した後、ポリ四フッ化
エチレンの融点以上で、かつ、マトリックスを炭化分解
する温度で熱処理し、ポリ四フッ化エチレンを融着させ
ることによって、前記問題点を解決したポリ四フッ化エ
チレン紙状物を提供するものである。
【0008】また本発明は、エマルジョン紡糸したポリ
四フッ化エチレン繊維とアラミドからなる耐熱性のパル
プ状異種繊維との混合物を抄造し、紙状物とした後、ポ
リ四フッ化エチレンの融点以上で、かつ、マトリックス
を炭化分解する温度で熱処理し、ポリ四フッ化エチレン
を融着させて得られるポリ四フッ化エチレン紙状物の製
造方法を提供することにある。
【0009】湿式抄造法を用いて異なる材質から成る繊
維同士を混抄して紙状物を形成することは、一般に行わ
れる手法であるが、本発明のポリ四フッ化エチレン紙状
物の主体繊維となるエマルジョン紡糸したポリ四フッ化
エチレン繊維とステープル状のガラス繊維や炭素繊維な
どを混抄すると、繊維同士の絡み合いが弱いため紙力が
低下し、抄造過程で紙切れなどの問題点が生じ生産性が
低下する。このような抄造特性の低下は、紙状物の薄葉
化に伴い、さらに増大する。また、熱処理後の紙状物の
強度は、ポリ四フッ化エチレン繊維同士の融着により発
現するため、繊維同士の絡み合いが弱く、自己接着性を
有しないステープル状繊維の混抄は、紙状物の著しい強
度低下の原因となる。
【0010】本発明では、ポリ四フッ化エチレン繊維と
アラミドからなるパルプ状の異種繊維を混抄することに
より、繊維同士の絡み合いの程度が増大し、抄造過程で
の紙切れなどの問題点を解決でき、紙状物の薄葉化が可
能になる。
【0011】本発明においては、エマルジョン紡糸した
ポリ四フッ化エチレン繊維は、樹脂分60%以上の高濃
度ポリ四フッ化エチレン水性分散液をマトリックスであ
るビスコース、繊維素銅アンモニア、アルギン酸ソー
ダ、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコー
ル等のマトリックス中に、ポリ四フッ化エチレン固形分
を重量比で10%〜95%の割合で混合し、押出機の口
金より押し出し、硫酸ナトリウム水溶液等の凝固浴中で
凝固させ紡糸したものを用いる。このような方法で得ら
れた繊維を、抄造可能な適当な長さに切断して用いる
が、1mm〜20mmの長さが好ましく用いられる。上
記ポリ四フッ化エチレン固形分が10重量%未満の含有
比では抄紙後の熱処理においてポリ四フッ化エチレン樹
脂が融着して連続化するに至らず、熱処理中に紙状構造
を失い粉末化する場合があり、95重量%を超えて多い
場合は、ポリ四フッ化エチレン樹脂の水性分散液が得ら
れ難い。
【0012】エマルジョン紡糸したポリ四フッ化エチレ
ン繊維と混抄するアラミドからなるパルプ状異種繊維
は、フィブリル化したパルプ状の耐熱性合成高分子から
なる繊維を用いる。異種繊維にステープル状の繊維を用
いた場合と較べて、フィブリル化したパルプ状繊維を用
いることで、抄造特性が良好で、強度等の物理的特性に
優れ、より厚さの薄い薄葉紙状物を得ることが出来る。
また、このパルプ状異種繊維には、抄造後の熱処理温度
で、熱収縮や分解等が生じない耐熱性が要求される。こ
の様なパルプ状の異種繊維としては、アラミドや全芳香
族ポリエステル等の耐熱性高分子などがあげられる。
【0013】また、紙状物の寸法安定性をさらに向上さ
せる目的で、ステープル状のガラス繊維、炭素繊維、金
属繊維、耐熱性合成高分子繊維等の種々の繊維を混抄す
ることが出来る。また、通常の抄造方法で用いられるパ
ルプ、ポリビニルアルコール等の繊維をバインダ等の補
助繊維として用いることが出来る。
【0014】紙状物は、エマルジョン紡糸し適当な長さ
に切断したポリ四フッ化エチレン繊維とアラミドからな
パルプ状異種繊維をポリアクリルアミド等の分散剤と
共に水中に分散して抄紙原料とし、円網式抄紙機や長網
式抄紙機等の既存の抄紙機を用いて抄造する。この様な
方法で抄造された紙状物は、ポリ四フッ化エチレンの融
点以上で、かつ、マトリックスが炭化分解する380℃
以上の温度で熱処理され、マトリックス及びバインダを
炭化分解すると共に、未焼成のポリ四フッ化エチレン粒
子を融着し連続化したポリ四フッ化エチレン繊維とし、
その繊維同士を密着接合させることにより紙状物を得る
ことが出来る。この様にして熱処理された紙状物は、マ
トリックスや抄紙時に用いたバインダが完全に除去され
ず、炭化物が残存するため、黒褐色を呈する。これら残
留炭化物を除去するために、250℃〜320℃の温度
で6時間〜72時間加熱処理することにより、白色化す
る事が出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施例について説明
する。
【0016】<実施例1>ビスコースをマトリックスと
してエマルジョン紡糸したポリ四フッ化エチレン繊維
(東レファインケミカル社製 商品名トヨフロン、6m
m長)4重量部と、パラ型アラミドパルプ(日本アラミ
ド社製 商品名トワロン1094)1重量部を、水99
5重量部に分散し、ポリアクリルアミド系の合成分散剤
を加えて抄紙用原料を調製した。そして、円網式抄紙機
を用い、通常の方法で抄造して、坪量100g/m2
紙状物を得た。この紙状物を380℃で10分間熱処理
し、ポリ四フッ化エチレンを融着させて、ついで、32
0℃で6時間加熱して残留炭化物を除去しポリ四フッ化
エチレン紙状物を得た。このようにして得られた紙状物
は、熱処理による寸法変化は面積比で約15%減少し
た。また、機械的伸び率も、パルプ状異種繊維を含有し
ないポリ四フッ化エチレン紙状物と比較して低く、約5
0%であった。
【0017】<実施例2>実施例1で用いたポリ四フッ
化エチレン繊維4重量部と、実施例1で用いたパラ型ア
ラミドパルプ1重量部にガラス繊維(日東紡社製 商品
名チョップドストランドCS6DE、長さ6mm)1重
量部を混合し、水994重量部に分散し、ポリアクリル
アミド系の合成分散剤を加えて抄紙用原料を調製した。
そして、長網式抄紙機を用い、通常の方法で抄造し、坪
量100g/m2 の紙状物を得た。この紙状物を、38
0℃で10分間熱処理し、ポリ四フッ化エチレンを融着
させて、ついで、320℃で6時間加熱して残留炭化物
を除去しポリ四フッ化エチレン紙状物を得た。この様に
して得られた紙状物は、熱処理による寸法変化は面積比
で約5%減少した。また、機械的伸び率も、パルプ状異
種繊維を含有しないポリ四フッ化エチレン紙状物と比較
して低く、約15%であった。
【0018】<比較例1>アラミドパルプを用いない以
外は、実施例1に記載の方法と同様にして、ポリ四フッ
化エチレン紙状物を得た。この様にして得られたポリ四
フッ化エチレン紙状物の熱処理による寸法変化は、面積
比で約40%減少し、機械的伸び率は、約600%であ
った。
【0019】<比較例2>アラミドパルプを用いない以
外は、実施例1に記載の方法と同様にして、ポリ四フッ
化エチレン紙状物を得た。この様にして得られたポリ四
フッ化エチレン紙状物の熱処理による寸法変化は、面積
比で約25%減少し、機械的伸び率は、約120%であ
った。
【0020】
【発明の効果】本発明のポリ四フッ化エチレン紙状物
は、熱処理による寸法変化が少なく、機械的な伸び率も
低いので、ポリ四フッ化エチレンの有する優れた特性を
紙状物として発揮できる、濾材やプリント配線板の芯
材、光拡散板等の様々な用途に適用することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−31883(JP,A) 特開 平3−218690(JP,A) 特開 昭63−165598(JP,A) 特開 平10−212686(JP,A) 特開 平11−217790(JP,A) 特公 昭42−5244(JP,B1) 特公 昭45−8165(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ四フッ化エチレン粒子をマトリック
    スと混合してエマルジョン紡糸したポリ四フッ化エチレ
    ン繊維とアラミドからなるパルプ状異種繊維が混抄され
    た紙状物であって、ポリ四フッ化エチレン繊維同士が熱
    融着により接合されていることを特徴とするポリ四フッ
    化エチレン紙状物。
  2. 【請求項2】 ポリ四フッ化エチレン粒子をマトリック
    スと混合してエマルジョン紡糸した繊維とアラミドから
    なるパルプ状異種繊維とを混抄し、湿式抄造法により抄
    紙し、ついで、ポリ四フッ化エチレンの融点以上で、か
    つ、マトリックスを炭化分解する温度で熱処理して繊維
    同士を熱融着により接合することを特徴とするポリ四フ
    ッ化エチレン紙状物の製造方法。
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CN115341404B (zh) * 2022-08-15 2023-10-13 黄河三角洲京博化工研究院有限公司 一种对位芳纶纳米纤维增强的覆铜板及其制备方法

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