JP2617817B2 - 燒結体シート及びその製造方法 - Google Patents

燒結体シート及びその製造方法

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宥直 中須賀
義男 北川
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、ポリテトラフロロエチレン系焼結繊維から
成る焼結体シート及びその製造方法に関する。
背景技術 ポリテトラフロロエチレン(以下PTFEと言うことがあ
る)系重合体繊維やPTFE系焼結繊維は産業用素材をはじ
めとして広範囲の分野において、その耐熱性や耐薬品性
等の特性のために重宝されている。しかし、かかるPTFE
系重合体繊維やPTFE系焼結繊維は、通常、バインダー樹
脂や他の有機繊維との混用等の方法で各種のシート状物
として使用されている。
このようなシートは、PTFE系重合体繊維やPTFE系焼結
繊維の離型性、易滑性及び化学的不活性さのためにバイ
ンダー樹脂や他の有機繊維とのなじみが悪く、接着性や
親和性に欠け、脱落や剥離現象が誘起するという弱点を
有し、形態安定性が悪く、シート特性の劣るものであ
る。
また、かかる従来シートは、シートの形でPTFEの有す
る優れた特性を生かそうとしても、バインダー樹脂や他
の有機繊維の性状によってその性質が大きく左右され
て、結局、そのPTFEが有する優れた性質を十分に発揮せ
しめることができなかった。
発明の開示 本発明の目的は、耐熱性、耐薬品性、離型性(易滑
性)、不燃性及び電気的特性(電気絶縁性)に優れ、か
つ、形態安定性に優れた焼結シート及びその製造方法を
提供することである。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、バインダー樹脂等
を用いることなく、PTFE繊維を直接融着させてシートを
形成させる方法を見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、ポリテトラフロロエチレン系焼
結繊維が直接融着して互いに接合されて紙状のシートを
構成していることを特徴とする焼結体シートを提供す
る。
さらにまた、本発明は、マトリックス物質とポリテト
ラフロロエチレン系重合体ディスパージョンとの混合液
を凝固浴中に吐出し、凝固してなる凝固繊維を湿式抄造
によりシート化した後、該シートを上記ポリテトラフロ
ロエチレン系重合体の融点以上分解点未満の温度下で焼
成することを特徴とする焼結体シートの製造方法を提供
する。
本発明の焼結体シートは、PTFE繊維が直接融着して互
いに接合されてシートを構成しており、従来のPTFEシー
トのように樹脂バインダー等の他の接合材がなくてもよ
い。従って、耐熱性、耐薬品性、離型性(易滑性)、不
燃性及び電気的特性(電気絶縁性)に優れているとい
う、PTFE本来の特性が発揮される。さらに、繊維同士が
直接融着されて接合されているので、シートの形態安定
性にも優れている。
本発明の焼結体シートは、上記のように優れた耐熱
性、耐薬品性、離型性(易滑性)、不燃性及び電気的特
性(電気絶縁性)並びに形態安定性を有するので、これ
らの特性を有するシートが要求される用途、例えば電気
絶縁剤、フィルター剤、包装剤、ガスケット剤、パッキ
ング剤、デミスター剤、その他建材、土木用資材、水産
用資材、医療用資材、食品加工用資材等として、種々の
産業分野において有利に利用することができる。
図面の簡単な説明 図1は実施例1に記載した焼結体シートの電子顕微鏡
写真である。
図2は比較例1に記載した、バインダー樹脂により接
着されたシートの電子顕微鏡写真である。
発明を実施するための最良の形態 上述のように、本発明の焼結体シートは、PTFE系焼結
繊維から成る。ここで、PTFE系繊維を構成するPTFE系重
合体は、テトラフロロエチレン単位を主たる構成単位と
して含むものであり、好ましくはテトラフロロエチレン
を90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、最も
好ましくは100%含有する。10モル%以下の範囲ならば
他の共重合成分を含んでいてもよく、このような共重合
成分としては、テトラフロロエチレンに共重合可能な単
量体であればよく、例えば、トリフロロエチレン、トリ
フロロクロロエチレン、テトラフロロプロピレン、ヘキ
サンフロロプロピレン等のフッ化ビニル化合物やさらに
プロピレン、エチレン、イソブチレン、スチレン、アク
リロニトリル等のビニル化合物が挙げられるがこれに限
定されるものではない。これらのモノマーの中でも、フ
ッ化ビニル系化合物、特にフッ素含有量の多い化合物が
繊維特性の上から好ましい。
本発明の焼結体シートは、主として繊維がランダムな
方向に走っている構造のシートであって、紙状の薄手の
ものである。
上述のように、本発明の焼結体シートは、シートを構
成する繊維同士が、バインダー樹脂等の介在なしに直接
融着して互いに接合されていることを特徴とする。すな
わち、本発明の焼結体シートの原料であるPTFE系重合体
は、融解して凝集する性質を有する。本発明は、該重合
体の融解状態での凝集力を利用して、PTFE系繊維同士を
直接融合させることにより接着したものである。このよ
うな融着は、繊維同士が交差したり積層したりして接触
している点で起きる。
本発明の焼結体シートを構成するPTFE系焼結繊維は、
未延伸繊維であることが好ましい。繊維が原料となる繊
維として未延伸繊維、延伸繊維のいずれを用いても、そ
れらの原料繊維は、焼成によって一旦融解されるもので
あって、さらに、その融解によって該繊維同士が互いに
融着してシートが構成されるものであるから、結局、該
シートを構成する繊維は未延伸状態にあるものである。
すなわち、本発明の焼結体シートの特徴は、これを構成
するPTFE系焼結繊維が未延伸繊維であるところにある。
本発明の焼結体シートを構成するPTFE系焼結繊維は、
短繊維でも長繊維でもよい。もっとも、シートを構成す
る繊維が短繊維であることが好ましく、その長さは短い
方が好ましいが、例えば、好ましくは1〜70mm、さらに
好ましくは1〜50mm、さらに好ましくは1〜15mmであ
る。このような短繊維で紙状シートを形成することによ
り、均一な紙状物が得られる。
本発明の焼結体シートを構成するPTFE系焼結繊維の太
さは、いかなる繊度でも差し支えなく、細いものから太
いものまで、広範囲のもので構成されていてよく、必要
に応じて選択することができる。例えば、好ましくは0.
5〜50d、さらに好ましくは1〜20d、さらに好ましくは
1〜10d、特に好ましくは1d以上5d未満の繊維で構成す
ることができる。例えば、5d未満のような細い繊維で構
成すると、比較的緻密な構造のもので薄いものをつくり
易い利点はあるが、やや強度的に弱い傾向があり、逆に
10d以上のような太い繊維で構成すれば強度的には改善
されるが、空隙の大きい構造のものとなり易い。従っ
て、太い繊維と細い繊維を2種以上適宜の混率で混用す
れば,両方の繊維の有する利点が生かされた構造のもの
を提供することができる。
本発明の焼結体シートにおいて、繊維がランダムな方
向に走っていると、強度に方向性のないものとなるので
好ましい場合がある。繊維がランダム方向に走っている
シートは、後述のように、例えば手抄きによる湿式抄造
により製造することができる。
本発明は、特に、柔軟で薄く、それでいて強度的にも
実用上問題のない、紙状のPTFE焼結体シートを提供する
ことも重要な特徴の1つである。このような紙状シート
の厚さは、0.05mm〜2.0mmが好ましく、さらに好ましく
は0.05mm〜0.5mm程度である。
本発明の焼結体シートは、上記したPTFE系焼結繊維に
加え、充填材として耐熱性物質を含んでいてもよい。か
かる耐熱性物質としては、PTFE系重合体の融点以上分解
点未満の温度、すなわち、焼成温度条件、好ましくは少
なくとも300℃、さらに好ましくは330℃以上の温度に十
分耐え得る無機、有機の物質が使用できる。耐熱性物質
のうち、無機物質としては、ガラス、金属、鉱物、セラ
ミック及び炭素系物質等から選ばれる粒状物や繊維状物
などが使用される。ここで、繊維状物とは、長繊維、短
繊維、粒状繊維(繊維を短く切断して粒状にしたも
の)、粉砕物等を包含する。耐熱性物質としては、より
具体的には、例えば、鉄、銅、ニッケル等やそれらの合
金、特にステンレス等の金属、クレー、砂、岩石等の鉱
物、陶磁器、白磁器等、特にジルコニア系のセッラミッ
ク、炭素繊維及び黒鉛繊維等の炭素系物質、アラミド、
ポリフェニレントリアゾール、ポリオキサジアゾール、
ポリベンズイミダゾール、ポリイミド等の重合体等を使
用することが可能である。これらの耐熱性物質は、PTFE
系繊維の焼成、焼結挙動(融解)の際に同時に複合(接
合)されて一体化され、PTFE系焼結繊維との複合体を形
成する。これらの耐熱性物質を充填材として使用するこ
とにより、その充填量にもよるが、該物質の性質が加味
された特殊な複合体が得られる。
本発明の焼結体シートは、上述のように、マトリック
ス物質とポリテトラフロロエチレン系重合体ディスパー
ジョンとの混合液を凝固浴中に吐出し、凝固してなる凝
固繊維を湿式抄造によりシート化してウェブとした後、
該ウェブを上記ポリテトラフロロエチレン系重合体の融
点以上分解点未満の温度下で焼成することにより製造す
ることができる。なお、以下の説明において、別段の表
示がない限り、%及び部は重量基準である。
ここで、原料となる凝固繊維は、いわゆるマトリック
ス紡糸法と呼ばれる公知の方法により得られるものであ
り、この方法は、従来のPTFE繊維の製造工程に採用され
ているものである。マトリックス紡糸法は、単独では紡
糸することが困難な物質を紡糸するために開発された方
法であり、マトリックス物質の中に紡糸すべき物質を分
散させた混合物を紡糸した後、加熱等によりマトリック
ス物質を除去して所望の物質から成る繊維を得る方法で
ある。マトリックス物質としては、従来と同様、例えば
アルギン酸ソーダのような高分子電解質水溶液やビスコ
ース等を使用することができる。また、PTFE系重合体を
分散させるための分散剤としては、従来と同様、ポリア
リルエーテル系分散剤等を用いることができる。また、
PTFE系重合体ディスパージョンとしては、好ましくは水
にPTFE系重合体を配合分散させたものが使用される。上
述のPTFE系重合体ディスパージョンとマトリックス物質
とを混合して紡糸原液とする。マトリックス物質として
ビスコースを用いた場合には、この原液の粘度は好まし
くは20℃で30〜190ポイズ程度であり、特に好ましくは5
0〜140ポイズ程度である。
かかる紡糸原液は、次に、無機鉱酸や無機鉱酸塩で構
成される凝固浴水溶液中に紡出される。この工程も従来
よりPTFE系重合体繊維の製造方法において採用されてい
る公知のものを採用することができる。無機鉱酸として
は、硫酸が好ましいが、硝酸、塩酸、リン酸等も適用さ
れ得る。無機鉱酸の含有量は、好ましくは0.1〜50%程
度である。また、必要により、硫酸アンモニウム、硫酸
亜鉛、硫酸ナトリウム等の硫酸塩等の無機鉱酸塩を併用
することもできる。前記紡糸原液は、上述の凝固浴中に
押出されて、マルチフィラメントとして紡出され、凝固
する。この時の紡出速度は、例えば1分間に20〜30m程
度のゆっくりとした速度が好ましい。
本発明の製造方法では、上記のようにして得られる凝
固繊維を主として原料とする。
なお、PTFE系重合体は、一旦焼成して焼結させたもの
であっても再び加熱することによって融解し、上記凝集
力を発揮し、シートを形成することが可能であるので、
本発明の製造方法における原料は、主として凝固繊維で
あるが、かかる凝固繊維を一旦焼成した繊維、すなわ
ち、焼成繊維も原料として使用できる。しかし、かかる
焼成繊維は、再び焼成される際に未焼成凝固繊維よりも
熱収縮が著しく大きく、その傾向は延伸焼成繊維では、
さらに大きい。従って、かかる焼成繊維は、長繊維では
平滑で均質なシート化を達成しにくい傾向を有するの
で、短繊維状で使用される。かかる焼成繊維の短繊維状
物は凝固繊維と混用することもでき、所望するシート特
性によって、混用率を決定すればよい。その場合未焼成
凝固繊維の含有量が多いほど焼結体シートは均質で柔ら
かく、シート強力の優れたものとなり、未延伸焼成繊維
や延伸焼成繊維の短繊維状物の含有量が増加するにした
がって、シートが硬く、不均質なものになり易い傾向が
ある。従って、本発明においては、未焼成凝固繊維100
%から形成されたものが最も優れたシート特性を有する
柔軟な焼結体シートを提供するものであり、焼成繊維は
用いないか又は上記耐熱性物質と同様な充填剤として用
いることが好ましい。
原料繊維は、シート化する前に好ましくは40〜90℃程
度の温水で十分に洗浄することにより脱酸して用いるこ
とが好ましい。もっとも、この脱酸工程は、シート化
後、焼成前に行なってもよい。また、焼成工程における
マトリックス物質の消失を助長するためにアルカリ処理
を行なうこともできる。
本発明の製造方法では、上記原料繊維をシート化する
が、かかるシート化の方法としては、主として繊維がラ
ンダムな方向に走っている構造のシート状物(ウェブ)
にする方法が採用される。具体的には、湿式抄造法、が
使用され得る。
湿式抄造法は紙特性の点から好ましく、工業的製造に
も適している。
紙状物を製造する場合に最も適している湿式抄造法
は、機械的方法又は手抄きにより行なうことができる。
機械的湿式抄造法による場合は、抄紙ドラムの回転方向
に繊維が配列し易く、紙の長手方向に配列(配向)した
ものが得られる。しかし、手抄きの場合は、繊維の配向
はなく、繊維がほぼ均一にランダムに集合されて抄かれ
ているので、紙強力の方向性のないものが得られる。
湿式抄造法の場合には、繊維が水系媒体中に均一に分
散することが望まれる。本願発明者らは、焼成前の凝固
繊維、すなわち、マトリックス物質との混合物の状態に
ある繊維を湿式抄造に供すると、繊維が水系媒体中に均
一に分散させることができることを見出し、PTFE系重合
体から成る、柔軟で十分な強度を有する紙状物を製造す
ることに成功した。従って、湿式抄造法により原料繊維
をシート化する場合には、未焼成繊維を用いることが好
ましい。もっとも、例えば、ある程度の剛性が要求され
る紙状物を製造する場合等には焼成短繊維を配合するこ
ともできる。かかる湿式抄造法によって、例えば長繊維
状の凝固繊維を用いてシート化することができる。すな
わち、凝固浴中で凝固された凝固繊維を、そのまま噴射
ノズルに導入し、軽く噴射させてネット状繊維受け体に
受けさせることによって、シート化することができる。
このとき、噴射の強さを適宜調整することにより、該繊
維を切断し、ネットに捕集される凝固繊維の繊維長を調
節することもできる。また、繊維を水系媒体中に均一に
分散させるために、原料繊維は短繊維であることが好ま
しく、繊維長は好ましくは1〜70mm、さらに好ましくは
1〜50mm、特に好ましくは1〜15mm程度が好ましい。こ
のような短繊維は、上記の方法により得られた凝固繊維
を所望の長さに切断することにより得ることができる。
また、湿式抄造法に供される原料繊維の繊度は、好まし
くは0.5〜50d、さらに好ましくは1〜20d、さらに好ま
しくは1〜10d、特に好ましくは1d以上5d未満の範囲の
ものが使用されるが、細い繊維であるほど柔軟な紙状物
を提供することができる。必要によっては、かかる紙を
異繊度の繊維で構成してもよい。また、上記充填材をウ
ェブに適宜添加することもできる。
次に、上記のようにして形成したウェブを、PTFE系重
合体の融点以上分解点未満の温度下で焼成する。この温
度は通常300〜450℃程度が好ましい。焼成時間は、原料
の量やシート厚さ、繊維の繊度等に依存するが、要する
に繊維が繊維としての形態を維持したまま、他の繊維と
の融着が可能な程度に融解されている状態を実現すれば
よい。加熱は、ウェブを加熱ロールで押圧することによ
り好ましく行なうことができるが、オーブン中で加熱す
る等他の方法により加熱してもよい。なお、焼成繊維を
原料の少なくとも一部として用いる場合には、それまで
の熱履歴の中で最も強い温度で焼成することにより接合
性のよいシートを得ることができる。
上記方法により得られた焼結体シートは、残存するセ
ルロース炭化物のために褐色ないしは黒色を呈してい
る。所望ならば、好ましくは300℃以上の条件で空気酸
化することによって漂白することができる。
上記焼成条件や空気酸化条件はポリマー組成や目付に
よって適宜変動され得る。なお、上述の焼成条件、すな
わち、焼成温度が高くなるにつれて、シートを構成する
繊維の熱収縮度合は大きくなり、得られる焼結体シート
の硬さは硬くなる。
上記のようにして得られる焼結体シートを積層して再
度焼成することにより、所望の厚さのシートを製造する
ことができる。繊維は焼成の度に熱収縮をするので、積
層して焼成するシートは、なるべく、未焼成繊維を焼成
して得られたものを用いることが好ましいがこれに限定
されるものではない。また、この積層工程において上記
充填材を添加することも可能である。
次に、本発明を実施例に基づきより具体的に説明す
る。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるもので
はない。
実施例1 ポリアリルエーテル系分散剤をポリマーに対して5%
用いることによって、水に分散されたPTFE重合体(PTFE
100%)を60%含有するデイスパージョンを114部と、ビ
スコース(セルロース含有9%)100部とを真空ミキサ
ーに装填し、真空度10Torrで21時間混合、脱泡して粘度
100ポイズの紡糸原液を作った。
この紡糸原液を、直径0.12mmのホールを240個有する
口金に6g/分で導き、23m/分の速度で23℃に制御された
凝固浴中に吐出させた。凝固浴は硫酸7%、硫酸ソーダ
20%を水に溶解して成る水溶液を用いた。
この凝固繊維は80℃の水槽に導き、約29m/分の速度で
ゆっくりと十分に洗浄して脱酸処理し、マングルで絞っ
て凝固繊維(A)を得た。
この凝固繊維(A)をさらに苛性ソーダ濃度が0.05mo
l/lである水溶液に浸漬し、苛性ソーダを繊維重量に対
して0.32%含有せしめて凝固繊維(B)を得た。
この約3dの(B)の長繊維を12mmにカットしてカット
ファイバー(C)を形成した。
また、別に該(B)の繊維をさらに焼成、延伸して延
伸焼成繊維をつくり、この繊維を6mmにカットしてカッ
トファイバー(D)を形成した。
これらの2種の繊維をカットファイバー(B)が70
%、(D)が30%の割合で混用し、湿式抄造法により、
紙状ウェブを形成し、これを380℃の加熱ロールにより
焼成し、さらに、弛緩状態で375℃の空気雰囲気中で4
時間放置して漂白した。
得られた白色紙状物の目付は240g/m2であり、その厚
さは0.35mmであった。また、引張り強さは、縦1.5kg/15
mm、横1.0kg/15mmであった。さらにこの紙の伸びは縦30
0%、横290%であった。
比較例1 実施例5で製造した延伸焼成したPTFE系焼成繊維を10
mmにカットしたカットファイバーを形成した。
このカットファイバーをポリビニルアルコール10%水
溶液中に分散させて湿式抄造した。
得られた紙状ウェブを、220℃の加熱ロールで乾燥し
て紙状物をつくった。
この紙の引張り強さは、縦0.17kg/15mm、横0.06kg/15
mmで、実用的な強力のものではなかった。この紙を熱ベ
ンゼンに浸漬したところポリビニルアルコールが溶解
し、紙状物の形態が崩れて消失してしまった。この紙状
物を顕微鏡で観察したところ、繊維がビニルアルコール
樹脂によって接合されている状態が明確に確認された。
実施例2 実施例1で製造された目付240g/m2の焼結体紙状物を
用意した。
別に、原料繊維として、実施例5のカットファイバー
(C)を準備した。
上述の焼結体シートの上に、100g/m2のカットファイ
バー(C)を積層し、390℃の加熱ロールで加圧下で焼
成し、さらに同一温度の空気雰囲気下で4時間漂白し
た。得られたシートは、焼結体シートが該カットファイ
バーによって、充填密度が高く、かつ強く融着された、
目付310g/m2のシートが得られた。このシートの引張り
強さは、縦2.0kg/15mm、横1.5kg/15mmであった。
実施例3 実施例1で製造された目付240g/m2の焼結体紙状物を
用意した。
これとは別に、実施例1のカットファイバー(C)を
用いて抄紙した紙状ウェブ(未焼成)を得た。
上記焼結体紙状物及び上記未焼成紙状ウェブを積層
し、385℃の加熱ロールで加圧下焼成し、さらに同一温
度の空気雰囲気下で4時間漂白した。得られたシート
は、目付が480g/m2の2枚のシートが融着された積層体
であった。このシートの引張り強さは、縦1.3kg/15mm、
横1.0kg/15mmであった。
実施例4 実施例1でつくった約3dの(B)の長繊維を6mmにカ
ットしてカットファイバーを形成した。
このカットファイバーを100%用いて、湿式抄造法に
より、紙状ウェブを形成し、この紙状ウェブを380℃の
加熱ロールにより焼成し、さらに、弛緩状態で375℃の
空気雰囲気中で4時間放置して漂白した。
この白色紙状物の目付は212g/m2であり、厚さは0.21m
mであった。また、引張り強さは、縦0.73kg/15mm、横0.
60kg/15mmであった。さらにこの紙状物の伸びは縦240
%、横185%であった。
産業上の利用可能性 本発明の焼結体シートは、上記の構成としたことによ
り、従来のPTFE系重合体繊維を含有するシートの弱点で
あった耐熱性、耐薬品性、剥離性(易滑性)、不燃性及
び電気的性質の欠点を大幅に改善し、PTFE系焼結繊維の
優れた性質を十分に生かすことができ、該弱点のために
制約を受けていた各種産業分野にも十分に使用可能なも
のを提供することができたものである。従って、本発明
の焼結体シートは、例えば、電気絶縁剤、フィルター
剤、包装剤、ガスケット剤、パッキング剤、デミスター
剤、その他建材、土木用資材、水産用資材、医療用資
材、食品加工用資材等の好適に使用され得る。特にフィ
ルターやIC配線基板等に最適な素材である。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリテトラフロロエチレン系焼結繊維が直
    接融着して互いに接合されて紙状のシートを構成してい
    ることを特徴とする焼結体シート。
  2. 【請求項2】ポリテトラフロロエチレン系焼結繊維が未
    延伸糸である請求項1記載の焼結体シート。
  3. 【請求項3】ポリテトラフロロエチレン系焼結繊維が、
    ランダムな方向に走っている請求項1又は2記載の焼結
    体シート。
  4. 【請求項4】ポリテトラフロロエチレン系焼結繊維が1
    〜20dの繊度を有するものである請求項1ないし3のい
    ずれか1項記載の焼結体シート。
  5. 【請求項5】厚さが0.05〜2.0mmである請求項4記載の
    焼結体シート。
  6. 【請求項6】マトリックス物質とポリテトラフロロエチ
    レン系重合体ディスパージョンとの混合液を凝固浴中に
    吐出し、凝固してなる凝固繊維を湿式抄造によりシート
    化してウェブとした後、該ウェブを上記ポリテトラフロ
    ロエチレン系重合体の融点以上分解点未満の温度で焼成
    することを特徴とする焼結体シートの製造方法。
  7. 【請求項7】前記湿式抄造に供される繊維は、前記凝固
    繊維を切断することにより得られる短繊維を含む請求項
    6記載の方法。
  8. 【請求項8】前記短繊維の長さは1〜70mmである請求項
    7記載の方法。
  9. 【請求項9】前記湿式抄造に供される繊維は、未焼成繊
    維を含む請求項6ないし8のいずれか1項記載の方法。
  10. 【請求項10】前記湿式抄造に供される繊維は、未焼成
    の短繊維である請求項9記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS5160773A (ja) * 1974-09-26 1976-05-26 Ici Ltd
JPS6094607A (ja) * 1983-10-03 1985-05-27 イー・アイ・デユポン・デ・ニモアス・アンド・カンパニー 鋳造工場作業員用保護衣服

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