JP3460389B2 - パラ系芳香族ポリアミド紙の製造方法 - Google Patents

パラ系芳香族ポリアミド紙の製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パラ系芳香族ポリアミ
ド(以下、パラアラミドと略称することがある)からな
る紙の製造方法に関する。本発明の方法で得られるパラ
アラミド紙は特に耐熱性および高強度が要求される用途
分野の電気絶縁紙、ハニカム構造を有する複合材素材等
に有用である。
【0002】
【従来の技術】パラアラミド繊維は高強度、高剛性およ
び高耐熱性といった優れた性質を有しており、パラアラ
ミド繊維から製造されたパラアラミドパルプはアスベス
ト代替として広く使用されている。しかしパラアラミド
は溶融しないのでパラアラミドパルプから製造されたパ
ラアラミド紙は膠着部(絡合部ということもある)を有
しない。この結果、従来よりパラアラミド紙は強度が低
いので電気絶縁紙等に使用されることは難しいとされて
きた。
【0003】この問題を改良するために検討がなされて
きた。例えば、特開昭59─163418号公報にはパ
ラアラミドと脂肪族ポリアミドからなる繊維をフィブリ
ル化したパルプによりフィブリル間の膠着部が改善され
るとの記載がある。
【0004】また、特公平3─39539号公報にはメ
タ系芳香族ポリアミド(以下、メタアラミドと略称する
ことがある)からなる紙の耐熱性および強度の改善のた
めにパラアラミド短繊維を含むシート状紙が提案されて
いる。メタアラミドからなる極細短繊維(フィブリルと
呼ばれることがある)はメタアラミド溶液を非溶媒(通
常水系)中で高剪断により激しく攪拌することにより得
られる。該フィブリルは乾燥により膠着する。その結
果、メタアラミドからなるフィブリルを必須成分とする
メタアラミド紙は強度が高い。一方、繊維強度はパラア
ラミド繊維の方がメタアラミド繊維より高いので、メタ
アラミドからなるフィブリルとパラアラミド短繊維との
組み合わせで高強度、高耐熱性の紙が得られる。
【0005】以上はパラアラミド紙に膠着部を付与する
のにパラアラミド以外の成分を添加した系であるが、他
の成分を添加するため、いずれもパラアラミド繊維の特
徴である高剛性や高耐熱性が損なわれるという欠点を有
する。
【0006】特開平3─14832号公報にはパラアラ
ミド、アミド溶剤、アルカリ土類金属、N−メチルピロ
リジンからなるパラアラミド繊維性ゲル組成物をバイン
ダーとして使用したパラアラミド紙の製造方法が開示さ
れている。しかしその実施例によれば、裂断長が0.3
4lb/in/oz/yd2 (単位換算すると0.18
kmとなる)であり、市販のパラアラミドパルプから試
作された紙の裂断長の約2倍程度しかない。
【0007】さらに、特開平3−90693号公報に
は、パラアラミド紙の表面に濃硫酸を塗布して、表層の
パラアラミドを部分的に溶解したのち凝固して接合部を
作ることが記載されている。類似の技術として、特開昭
52−34399号公報には、実質的にメタアラミド
(メタ系芳香族ポリアミド)からなる絶縁体が記載され
ている。すなわち、芳香族ポリアミド紙に、芳香族ポリ
アミドとアミド溶媒とからなる溶液を塗布して得た合成
樹脂層を積層して接着させた電気絶縁体が記載されてい
る。いずれの場合も、芳香族ポリアミドを溶解する溶媒
を使用することを特徴としている。すなわち、特開平3
−90693号公報では、パラアラミドを溶解する濃硫
酸を、特開昭52−34399号公報では、メタアラミ
ドを溶解するアミド溶媒をそれぞれ使用することを特徴
としている。
【0008】また、特開平6−41298号公報には、
極性アミド系溶媒中に、固有粘度が1.0〜2.5dl
/gであるパラアラミドを4〜10重量%、アルカリ金
属またはアルカリ土類金属の塩化物を2〜10重量%溶
解してなり、かつ、光学的異方性を有することを特徴と
する低重合度パラアラミドドープが記載されている。ま
た、上記のドープから工業的に有用な繊維、パルプが製
造されることも記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は実質的にパラ
アラミドのみからなるパラアラミド紙の機械的強度を改
良することを課題としている。上記したように、従来の
技術ではパラアラミド紙の強度の向上を目的としてパラ
アラミド以外の各種バインダーを使用して、膠着部を導
入する方法が主流である。しかし、この場合には、パラ
アラミドの優れた特徴である耐熱性や高剛性が損なわれ
る。
【0010】市販のパラアラミドパルプから抄紙して得
られる紙では裂断長が0.1km以下である。メタアラ
ミドからなるフィブリルの場合には、抄紙して得られる
湿潤紙は乾燥時にフィブリル間で膠着部が形成される。
さらに高温でのカレンダーロールにかけることにより、
強固な膠着部が形成される。この結果、メタアラミドか
らなる紙は裂断長が3〜12kmとなる。これに対し、
市販のパラアラミドパルプでは膠着部が形成されない。
膠着部を有し、かつ実質的にパラアラミドのみからなる
紙が製造されれば、パラアラミドの特徴を維持し、かつ
高強度の紙が得られる。また、膠着部を形成するのに、
紙を構成する成分を溶解する溶媒を使用する方法では、
塗布面がフィルム状となる。この結果として、紙の厚み
方向にも均質な膠着部を有する紙とはなりにくい。本発
明の課題は高耐熱で高強度かつ均質な紙を得ることであ
る。
【0011】本発明は実質的にパラアラミドのみからな
る機械的強度の優れたパラアラミド紙を提供しようとす
るものである。具体的には裂断長が3km以上であるパ
ラアラミド紙の製造法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は次の発明からな
る。 〔1〕アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を
0.5〜10重量%と固有粘度が1.0〜2.5dl/
gであるパラ系芳香族ポリアミドを0.5〜10重量%
とを含む極性アミド系溶媒からなる溶液をバインダーと
して用いることを特徴とするパラ系芳香族ポリアミド紙
の製造方法。 〔2〕前記溶液として、アルカリ金属またはアルカリ土
類金属の塩化物を0.5〜10重量%溶解した極性アミ
ド系溶媒中で、パラ系芳香族ポリアミドの濃度が0.5
〜10重量%になるように、パラ配向芳香族ジアミン
1.00モルに対してパラ配向芳香族ジカルボン酸ハラ
イド0.94〜0.99モルを添加して重合して製造さ
れる溶液を用いる前記項〔1〕記載のパラ系芳香族ポリ
アミド紙の製造方法。 〔3〕パラ系芳香族ポリアミドの、パルプ、短繊維およ
びステープルからなる群から選ばれる少なくとも1成
分、または該成分にパラ系芳香族ポリアミドの粒状ポリ
マーを加えた少なくとも2成分を主成分とする抄紙原料
から抄紙されたウェブに、前記項〔1〕記載のバインダ
ーを含浸させることを特徴とするパラ系芳香族ポリアミ
ド紙の製造方法。
【0013】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明においてパラ系芳香族ポリアミド(パラアラミド)
とは、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカル
ボン酸ハライドの縮重合により得られるものであり、ア
ミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位
(例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタレ
ン、2,6−ナフタレン等のような反対方向に同軸又は
平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実
質的になるもので、例えば、ポリ(パラフェニレンテレ
フタルアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレ
フタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビ
フェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)等のパラ
配向型またはパラ配向型に近い構造を有する芳香族ポリ
アミドを具体的に挙げることができる。これらの芳香族
ポリアミドはパラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族
ジカルボン酸ハライドを重合させることにより製造され
る。
【0014】本発明に用いられるパラ配向芳香族ジアミ
ンを例示すると、パラフェニレンジアミン(以下、PP
Dということがある)、4,4’−ジアミノビフェニ
ル、2−メチル−パラフェニレンジアミン、2−クロロ
−パラフェニレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミ
ン、1,5−ナフタレンジアミンおよび4,4’−ジア
ミノベンズアニリド等を挙げることができる。
【0015】本発明に用いられるパラ配向芳香族ジカル
ボン酸ハライドを例示すると、テレフタロイルクロリド
(以下、TPCということがある)、4,4’−ベンゾ
イルクロリド、2−クロロテレフタロイルクロリド、
2,5−ジクロロテレフタロイルクロリド、2−メチル
テレフタロイルクロリド、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸クロリドおよび1,5−ナフタレンジカルボン酸ク
ロリド等を挙げることができる。
【0016】本発明に用いられるバインダーは、アルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を0.5〜10
重量%溶解した極性アミド系溶媒中で、パラアラミド濃
度が0.5〜10重量%になるように、パラ配向芳香族
ジアミン1.00モルに対してパラ配向芳香族ジカルボ
ン酸ハライドを0.94〜0.99モル、好ましくは
0.95〜0.98モル添加して、温度−20〜50℃
で重合して製造される。
【0017】本発明において用いられるバインダー中の
パラアラミドは、固有粘度(本発明において固有粘度と
は、後に定義するものをいう)で表して、1.0〜2.
5dl/g、好ましくは1.5〜2.2dl/gの値を
示すパラアラミドを言う。固有粘度が1.0dl/g未
満ではバインダーとしての十分な紙力増強の効果が得ら
ない。固有粘度が2.5dl/gを越えると安定な液状
バインダーとならず、ゲルが生成しウェブへの含浸が困
難となる。
【0018】本発明に用いられるバインダーにおいて、
パラアラミドの濃度は0.5〜10重量%である。0.
5重量%未満では、バインダーとしての十分な紙力増強
の効果が得られない。パラアラミドの濃度が10重量%
を越えると安定な液状バインダーとならず、ゲルが生成
しウェブへの含浸が困難となる。
【0019】本発明において用いられるアルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属の塩化物を例示すると、塩化リチ
ウム、塩化カルシウムを挙げることができる。これら塩
化物の重合系への添加量は縮重合で生成するアミド基
1.0モル当たり0.5〜2.5モルの範囲が好まし
く、0.5〜1.5モルの範囲がより好ましく0.7〜
1.3モルの範囲がさらに好ましい。0.5モル未満で
は生成するパラアラミドの溶解性が不十分となり、2.
5モルを越えると重合液(バインダー)の粘度が高くな
りウェブへの含浸性が低下するので好ましくない。アル
カリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物の濃度は0.5
〜10重量%である。この濃度が0.5重量%未満であ
ると、重縮合で生成するパラアラミドの溶解性が不十分
となり、また、10重量%を超えると、該塩化物の極性
アミド系溶媒への溶解が困難となるので好ましくない。
【0020】本発明で使用される極性アミド系溶媒を具
体的に例示すると、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロ
リドン(以下、NMPということがある)およびN,
N,N’,N’−テトラメチル尿素等を挙げることがで
きる。
【0021】本発明では、パラ系芳香族ポリアミドから
得られるパルプ、短繊維およびステープルから選ばれる
少なくとも1成分、または該成分に必要に応じてパラ系
芳香族ポリアミドから得られる粒状ポリマーを加えた少
なくとも2成分の抄紙原料を水に分散させて、本発明の
特徴とする前記バインダーを用いて、公知の方法で抄紙
してウェブを製造する。これらの各種形態のパラ系芳香
族ポリアミドの種類、組合せおよび配合量は目的に応じ
て適宜選択することができる。例えば地合いの良好なパ
ラアラミド紙とするにはパルプ形態が好ましく、また、
紙力が重要なときには短繊維および/またはステープル
をパルプと組み合わせて用いるのが好ましい。ここで、
パラ系芳香族ポリアミドから得られるパルプ、短繊維、
ステープルおよび粒状ポリマーは公知の方法により製造
されたものを用いることができる。
【0022】上記した抄紙原料を水に分散させて抄紙す
ることによりウェブを作製する。抄紙の方法は特に限定
されず、従来の抄紙機を用いて行うことができる。手抄
きでも充分抄紙できるが、工業的には長網抄紙機や丸網
抄紙機を用いることができ、さらにロトフォーマー付き
等で抄紙できる。
【0023】ウェブにバインダーを含浸する方法は特に
限定されず、例えば、従来の飽充機が使用できる。具体
的には三浦義人著「不織布要論」(高分子刊行会)に機
器、方法が記載されている。本発明で重要な点は、充分
に遊離水を除去することである。遊離水が多量に残存し
ていると、バインダーが遊離水と接触して表面から凝固
が始まりウェブの内部まで含浸しなくなる。その結果、
バインダーが表面にだけ付着し、紙力増強の効果が小さ
くなる。
【0024】バインダーを含浸したウェブは、バインダ
ーの凝固液に浸漬し充分に洗浄して溶媒を除去する。使
用される凝固液としてはN−メチル−2−ピロリドン水
溶液、N−メチル−2−ピロリドンとメタノールの混合
溶液等が好ましい。このようにして得られたウェブを加
圧下で乾燥する。この結果、ウェブを構成する各形態の
パラアラミド間に膠着部が形成される。
【0025】例えば、カレンダー加工により加圧下で乾
燥する場合は、好ましくは、湿潤紙に付着している遊離
水を除いてから、加熱、加圧して乾燥すると、地合、紙
強度に優れたパラアラミド紙を得ることができる。小ス
ケールの方法としては、金属箔や耐熱樹脂フィルムで上
下から被覆して加熱加圧する方法により前述の目的が達
成されるが、カレンダー加工時に連続的に遊離水を除去
しつつ加熱加圧処理することもできる。加熱乾燥条件と
しては、好ましくは温度80℃以上で、加圧下に乾燥し
て、膠着部を有するパラアラミド紙とする。温度が80
℃未満では乾燥に時間を要するので、工業的に不利益と
なる。
【0026】工業的な加圧下での乾燥条件、すなわち温
度、圧力条件は、所望のパラアラミド紙の密度や強度等
により決められる。例えば、いわゆるカレンダー加工に
おける温度および圧力の条件は、好ましくは130℃以
上、10kg/cm2 以上、より好ましくは130℃以
上、50kg/cm2 以上である。
【0027】パラアラミド短繊維等の種類と配合組成に
も依存するが、本発明の製法により裂断長が3km以上
である実質的にパラアラミドのみからなるパラアラミド
紙を製造することができる。
【0028】本発明の方法で得られるパラアラミド紙は
電気絶縁紙として使用される。電気絶縁紙として用いら
れる場合には、電気絶縁性を向上させる目的で雲母類、
石英粉末、ガラス繊維、アルミナタルクなどを配合する
ことができる。これに対し、アルミ薄片、カーボンブラ
ック、ステンレス短繊維などを配合して導電性を有する
パラアラミド紙とすることも可能である。
【0029】その他の用途としては、本発明の方法で製
造されるパラアラミド紙を補強用素材として用いるハニ
カム構造を有する複合材が挙げられる。また、断熱、防
火壁の基体としてのパーティクルボード等の用途に適用
することができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例および比較例における試験、評価方法または
判定基準は次に示すとおりである。
【0031】(1)固有粘度の測定法 96〜98%硫酸100mlにパラアラミド0.5gを
溶解した溶液と96〜98%硫酸そのものについてそれ
ぞれ毛細管粘度計により30℃にて流動時間を測定し
た。求められた流動時間の比から次式により固有粘度を
求めた。 固有粘度=ln(T/T0 )/C〔単位:dl/g〕 ここで、TおよびT0 はそれぞれパラアラミド硫酸溶液
及び硫酸の流動時間であり、Cはパラアラミド溶液の濃
度(g/dl)を表す。
【0032】(2)比表面積 マイクロメリティクス社製フローソープII2300型
を用いて、BET比表面積法により窒素の吸着量から、
パラアラミドパルプの比表面積(m2 /g)を求めた。
【0033】(3)裂断長 インストロン引張試験機を使用して、JIS P811
3に準拠して裂断長を測定した。 (4)膠着部(絡合部)の観察 日立製作所(製)走査型電子顕微鏡(SEM)を用い
て、パラアラミド紙の膠着部を観察した。倍率5000
倍で見てパラアラミド短繊維またはパルプが相互に接触
している部分でその界面が観察されない絡合部がある場
合を膠着部があると判定した。
【0034】合成例1 〔バインダーAの合成〕攪拌翼、温度計、窒素流入管お
よび粉体添加口を有する500mlのセパラブルフラス
コを使用してポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)
の重合を行った。フラスコを十分乾燥してから、200
℃で2時間乾燥した塩化カルシウムを25.63g、つ
いで、NMPを390g添加して85℃に昇温した。塩
化カルシウムが完全に溶解してから室温まで放冷して、
パラフェニレンジアミン(PPD)を12.65g
(0.117モル)添加して完全に溶解させた。この溶
液をさらに約2〜3℃の氷水で冷却し、内温が5℃にな
ったところでテレフタロイルクロライド(TPC)の全
添加量22.74g(0.112モル)の約1/3を徐
々に添加した。重合熱で内温は8℃まで上昇したが、1
0分後には再度3℃まで下がった。この時点でさらにT
PCの全添加量の約1/3を徐々に添加したところ内温
は10℃まで上昇したが、10分後には再度5℃まで下
がった。内温が5℃になったとき、残りのTPCを徐々
に添加した。この時点では重合液は増粘しており、急激
な重合は起こらず内温はほぼ5℃で一定であった。TP
Cが完全に溶解してから5℃で2時間熟成した。熟成後
の重合液(重合体ドープ)は光学異方性を示し、いわゆ
るリオトロピック溶液であった。この溶液をバインダー
Aとする。このバインダーAに含まれるポリ(パラフェ
ニレンテレフタルアミド)の固有粘度は1.54dl/
gであった。
【0035】合成例2 〔バインダーBの合成〕合成例1で塩化カルシウムを
5.69g、PPDを3.244g(0.030モ
ル)、TPCを5.888g(0.029モル)使用し
た以外は合成例1と同じ方法で重合した。得られた重合
液は等方的溶液であった。この溶液をバインダーBとす
る。このバインダーBに含まれるポリ(パラフェニレン
テレフタルアミド)の固有粘度は1.66dl/gであ
った。
【0036】合成例3 〔パラアラミドパルプの作製〕以下に述べる方法によ
り、水で膨潤されたパラ(フェニレンテレフタルアミ
ド)のパルプを得た。
【0037】1.重合 攪はん翼、温度計、窒素流入管及び粉体添加口を有する
500mlのセパラブルフラスコを使用してパラ(フェ
ニレンテレフタルアミド)の重合を行なった。フラスコ
を十分乾燥してから、NMP300gに0.135モル
の乾燥した塩化カルシウムを添加し、内温85℃で完全
に溶解した。次に0.120モルのPPDを加え溶解
し、内温が−6℃になるまで冷却した後、内温を5℃以
下に保ちながら0.115モルのTPCを徐々に加え
た。TPCの添加終了後、温度−6〜0℃にて2時間熟
成し、安定な液状重合体ドープを得た。このドープに含
まれるパラ(フェニレンテレフタルアミド)の固有粘度
を測定したところ1.8dl/gであった。
【0038】2.紡糸 このようにして得られたパラアラミドの液状重合体ドー
プをNMP20wt%を含む水溶液を凝固液として紡糸
した。紡糸ノズルとしては、その穴がコーン型の形状で
先端は円柱状であり、該円柱状の穴部分のL/Dが1で
あり、その穴径が0.07mmのものを使用した。紡糸
後充分に水洗し、繊維長約6mmに切断し水で膨潤され
たパラアラミド短繊維を得た。この短繊維の一部分を採
取して、120℃で2時間乾燥したところ固形分は約2
0wt%であった。
【0039】3.パルプの作製 次に、このようにして得られた水で膨潤されたパラアラ
ミド短繊維を、熊谷理機工業(株)製のPFIミルでパ
ルプ化した。得られたパルプは湿潤状態のままで水に分
散して保存した。一部分のパルプを取り、乾燥して比表
面積を測定したところ約2m2 /gであった。また、固
形分は約20wt%であった。
【0040】実施例1 パラアラミド繊維(商品名:トワロン1000、アクゾ
社製)の短繊維(繊維長6mm)1.6gをイオン交換
水1300cc中に投入し、家庭用ミキサーで3分間処
理した。これに合成例3で得られた湿潤パラアラミドパ
ルプの遊離水を充分に除去したもの25g(固形分3.
5g)とイオン交換水700ccをさらに加え熊谷理機
工業(株)製の標準パルプ離解機で離解し、同社製の標
準角型シートマシーンで抄紙した。
【0041】抄紙により得られたウェブを、空気循環式
乾燥器中で50℃で60分間乾燥して遊離水を完全に除
去した。乾燥したウェブの残存水分率は4.1wt%で
あった。合成例1のバインダーAを使用して平面ガラス
板上に塗膜を作り、乾燥したウェブを乗せてから、さら
にその上に平面ガラス板を乗せ手で軽く押して、バイン
ダーAをウェブに含浸させた。次に、NMPの10%水
溶液に浸漬し、除々にガラス板を引き剥がした。バイン
ダーAからポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)が
凝固して、シート状のウェブが得られた。充分に水洗い
してから、厚さ35μmの銅箔でサンドイッチし、
(株)大東製作所製の小型圧延機で熱圧カレンダー加工
した。この時のロール温度は165℃、ロール間隔は3
40μmであった。
【0042】このようにして得られたパラアラミド紙の
坪量は178g/m2 であり、また裂断長は8.2km
であった。該パラアラミド紙をSEMにより観察したと
ころ、パラアラミドパルプとトワロン短繊維の間で繊維
の界面が明確でない膠着部が一面に存在していた。
【0043】実施例2〜4 実施例1に準じて、バインダーAの塗膜の厚み(坪量)
を変化させてパラアラミド紙を作成した。結果を第1表
に示す。
【0044】
【表1】
【0045】実施例5 バインダーAの代わりにバインダーBを使用した以外は
実施例1に準じて、パラアラミド紙を作製した。パラア
ラミド紙の坪量は146g/m2 で、裂断長は7.9k
mであった。
【0046】比較例1 合成例3で得られたパラアラミドパルプを30g採取し
て、実施例1の方法に準じて抄紙し、ホットプレスせず
に、熱オーブンで乾燥した。得られた乾燥紙は裂断長が
0.11kmであった。SEM乾燥によれば明確な膠着
部は認められなかった。
【0047】比較例2 比表面積が約6m2 /gのパラアラミドパルプ(商品
名:トワロン1097、アクゾ社製)を6g採取して、
比較例1と同様の方法で乾燥紙を得たが、その裂断長は
0.08kmであった。
【0048】
【発明の効果】上記のとおり本発明の方法で得られる実
質的にパラアラミドのみからなるパラアラミド紙は、パ
ラアラミドの特徴である耐熱性および剛性を維持しつ
つ、繊維の膠着部を有し、均質で紙としての裂断長が高
く、高強度であるという優れた性質を示す。また、得ら
れるパラアラミド紙は、そのもの単体で電気絶縁紙とし
て有用であり、他の機能を付与することにより複合材料
の素材としても好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42 D04H 1/00 - 18/00 C08L 1/00 - 101/14 D01F 1/00 - 13/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パラ系芳香族ポリアミドから得られるパル
    プ、短繊維およびステープルから選ばれる少なくとも1
    成分、または該成分にパラ系芳香族ポリアミドから得ら
    れる粒状ポリマーを加えた少なくとも2成分を抄紙原料
    として用い、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩
    化物を0.5〜10重量%と固有粘度が1.0〜2.5
    dl/gであるパラ系芳香族ポリアミドを0.5〜10
    重量%とを含む極性アミド系溶媒からなる溶液をバイン
    ダーとして用いることを特徴とするパラ系芳香族ポリア
    ミド紙の製造方法。
  2. 【請求項2】前記溶液として、アルカリ金属またはアル
    カリ土類金属の塩化物を0.5〜10重量%溶解した極
    性アミド系溶媒中で、パラ系芳香族ポリアミドの濃度が
    0.5〜10重量%になるように、パラ配向芳香族ジア
    ミン1.00モルに対してパラ配向芳香族ジカルボン酸
    ハライド0.94〜0.99モルを添加して重合して製
    造される溶液を用いる請求項1記載のパラ系芳香族ポリ
    アミド紙の製造方法。
  3. 【請求項3】パラ系芳香族ポリアミドの、パルプ、短繊
    維およびステープルからなる群から選ばれる少なくとも
    1成分、または該成分にパラ系芳香族ポリアミドの粒状
    ポリマーを加えた少なくとも2成分を主成分とする抄紙
    原料から抄紙されたウェブに、請求項1記載のバインダ
    ーを含浸させることを特徴とするパラ系芳香族ポリアミ
    ド紙の製造方法。
  4. 【請求項4】アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩
    化物を0.5〜10重量%と固有粘度が1.0〜2.5
    dl/gであるパラ系芳香族ポリアミドを0.5〜10
    重量%とを含む極性アミド系溶媒からなる溶液からなる
    紙用バインダー。
  5. 【請求項5】パラ系芳香族ポリアミドから得られるパル
    プ、短繊維およびステープルから選ばれる少なくとも1
    成分、または該成分にパラ系芳香族ポリアミドから得ら
    れる粒状ポリマーを加えた少なくとも2成分と、固有粘
    度が1.0〜2.5dl/gであるパラ系芳香族ポリア
    ミドからなる膠着部とを含むパラ系芳香族ポリアミド
    紙。
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