JP2891071B2 - パラ系芳香族ポリアミド紙の製造方法 - Google Patents
パラ系芳香族ポリアミド紙の製造方法Info
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Description
ド(以下、パラアラミドと略称することがある)からな
る紙に関する。本発明の方法で得られるパラアラミド紙
は特に耐熱性および高強度が要求される用途分野の電気
絶縁紙、ハニカム構造を有する複合材素材等に有用であ
る。
び高耐熱性といった優れた性質を有しており、該パラア
ラミド繊維から製造されたパラアラミドパルプはアスベ
スト代替として広く使用されている。しかし該パラアラ
ミド繊維は溶融しないので該パラアラミドパルプから製
造されたパラアラミド紙は膠着部(絡合部ということも
ある)を有しない。この結果、該パラアラミド紙は強度
が低いので電気絶縁紙等に使用されることは難しい。
きた。例えば、特開昭59─163418号公報にはパ
ラアラミドと脂肪族ポリアミドからなる繊維をフィブリ
ル化したパルプによりフィブリル間の膠着部が改善され
るとの記載がある。
タ系芳香族ポリアミド(以下、メタアラミドと略称する
ことがある)からなる紙の耐熱性および強度の改善のた
めにパラアラミド短繊維を含むシート状紙が提案されて
いる。メタアラミドからなる極細短繊維(フィブリルと
呼ばれることがある)はメタアラミド溶液を非溶媒(通
常水系)中で高剪断により激しく攪拌することにより得
られる。該フィブリルは乾燥により膠着する。その結
果、メタアラミドからなるフィブリルを必須成分とする
メタアラミド紙は強度が高い。一方、繊維強度はパラア
ラミド繊維の方がメタアラミド繊維より高いので、メタ
アラミドからなるフィブリルとパラアラミド短繊維との
組み合わせで高強度、高耐熱性の紙が得られる。
のにパラアラミド以外の成分を添加した系であるが、他
の成分を添加するため、いずれもパラアラミド繊維の特
徴である高剛性や高耐熱性が損なわれるという欠点を有
する。特開平3─14832号公報にはパラアラミド、
アミド溶剤、アルカリ土類金属、N−メチルピロリジン
からなるパラアラミド繊維性ゲル組成物をバインダーと
して使用したパラアラミド紙の製造方法が開示されてい
る。しかしその実施例によれば、裂断長が0.34lb
/in/oz/yd2 (単位換算すると0.18kmと
なる)であり、市販のパラアラミドパルプから試作され
た紙の裂断長の約2倍程度しかない。
アラミドのみからなるパラアラミド紙の機械的強度を改
良することを課題としている。上記したように、従来の
技術では紙強度の向上を目的として各種バインダーを使
用して、膠着部を導入する方法が主流である。しかし、
この場合には、パラアラミドの優れた特徴である耐熱性
や高剛性が損なわれる。市販のパラアラミドパルプから
抄紙して得られる紙では裂断長が0.1km以下であ
る。メタアラミドからなるフィブリルの場合には、抄紙
して得られる湿潤紙は乾燥時にフィブリル間で膠着部が
形成される。さらに高温でのカレンダーロールにかける
ことにより、強固な膠着部が形成される。この結果、メ
タアラミドからなる紙は裂断長が3〜12kmとなる。
これに対し、市販のパラアラミドパルプでは膠着部が形
成されない。膠着部を有し、かつ実質的にパラアラミド
のみからなる紙が製造されれば、パラアラミドの特徴を
維持し、かつ高強度の紙が得られる。本発明は実質的に
パラアラミドのみからなる機械的強度の優れたパラアラ
ミド紙を提供しようとするものである。具体的には裂断
長が0.5km以上であるパラアラミド紙の製造法を提
供しようとするものである。
なる。 (1)実質的にパラ系芳香族ポリアミドからなる紙の製
造方法であって、水で膨潤された状態のパラ系芳香族ポ
リアミドの短繊維、ステープル、パルプおよび粒状ポリ
マーからなる群から選ばれる1成分または2成分以上の
組成物から抄紙し、得られる湿潤紙を加圧下で乾燥する
ことを特徴とするパラ系芳香族ポリアミド紙の製造方
法。 (2)水で膨潤された状態のパラ系芳香族ポリアミドの
短繊維、ステープル、パルプおよび粒状ポリマーが、固
有粘度が1.0〜2.5dl/gであるパラ系芳香族ポ
リアミド、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化
物および極性アミド溶媒からなる紡糸ドープより水系凝
固液中に凝固して得られるものである項(1)記載のパ
ラ系芳香族ポリアミド紙の製造方法。 (3)乾燥条件が温度80℃以上である項(1)または
(2)記載のパラ系芳香族ポリアミド紙の製造方法。 (4)湿潤紙を、それに付着している遊離水を除いてか
ら、加圧下で乾燥する項(1)または(2)記載のパラ
系芳香族ポリアミド紙の製造方法。 (5)パラ系芳香族ポリアミド紙の裂断長が0.5km
以上である項(1)または(2)記載のパラ系芳香族ポ
リアミド紙の製造方法。
発明においてパラ系芳香族ポリアミド(パラアラミド)
とは、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカル
ボン酸ハライドの縮重合により得られるものであり、ア
ミド結合が芳香族環のパラ位又はそれに準じた配向位
(例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタレ
ン、2,6−ナフタレン等のような反対方向に同軸又は
平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実
質的になるもので、例えば、ポリ(パラフェニレンテレ
フタルアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレ
フタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビ
フェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)等のパラ
配向型又はパラ配向型に近い構造を有する芳香族ポリア
ミドを具体的に挙げることができる。
ラアラミド短繊維、ステープル、パルプ、粒状ポリマー
は以下に記す方法で製造することができる。例えば、パ
ラアラミドを硫酸に溶解した紡糸ドープより、乾湿式紡
糸(通称エャーギャップ紡糸)または湿式紡糸の方法で
紡糸し、紡糸後は水洗、乾燥の工程を経て繊維を得られ
る。このとき、乾燥せずに繊維を切断することにより本
発明で用いられる水で膨潤された状態のパラアラミド短
繊維が得られる。そして、該パラアラミド短繊維をパル
プ製造用のリファイナー等で高剪断力を作用させること
によりパラアラミドパルプを得ることができる。また、
粒状ポリマーは米国特許3671542号公報の実施例
に記載されているように、パラアラミドの重合物を水に
再沈し、洗浄することにより得られる。このようにして
得られる種々の形態をした水で膨潤されたパラアラミド
は、パラアラミドと水とからなる凝集体である。このも
のを乾燥するとパラアラミドのみからなる凝集体とな
り、再度水に分散しても水で膨潤した状態には戻らな
い。また、本発明で用いられるアラミドパルプは以下の
方法でも製造できる。すなわち特開昭57−17886
号公報に記載された方法でパラアラミド溶液をそのまま
水系溶液中に浸漬してパラアラミドをフィルム状に凝固
させる。これを水洗し、そのままリファイナー等で高剪
断力を作用させることによってアラミドパルプを得る。
法により本発明に用いる水で膨潤された種々の形態のパ
ラアラミドを製造することができる。すなわち、固有粘
度が1.0〜2.5dl/gであるパラアラミド、アル
カリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物および極性ア
ミド系溶媒からなる紡糸ドープより前述の乾湿式または
湿式紡糸により水系凝固液中に凝固させて長繊維を製造
する。従来の通常のパラアラミドの紡糸ドープはパラア
ラミドを硫酸に溶解して製造される。このパラアラミド
は固有粘度が約4.5dl/gであるので、重合中に析
出してくる。その結果、水に再沈した後充分に洗浄して
から乾燥して微粉状で取り出す工程が必要となる。この
微粉状のパラアラミドを上述のごとく硫酸に溶解するこ
とになるので製造工程が長くなり工業的に不利益が生じ
る。重合液を紡糸ドープとしてそのまま使用して、水系
凝固液中に凝固させて得られた長繊維を、乾燥前に前述
の方法で加工することにより本発明で用いられる水で膨
潤された状態の短繊維、パルプ形態を有するパラアラミ
ドが安価に製造できる。さらに、前述と同様な方法で粒
状ポリマーも得られる。また、この場合も前述と同様に
フィルム形態からパルプを製造することができる。
潤したパラアラミドの少なくとも一成分以上を必須成分
とする組成物から抄紙して湿潤紙を製造する。具体的に
示すと、本発明で用いられる水で膨潤されたパラアラミ
ドパルプと特公昭55−14167号公報に記載された
方法で製造された長繊維を切断して得られた短繊維とを
水に分散し、通常の抄紙方法で湿潤紙を製造する方法が
挙げられる。特公昭55−14167号公報に記載され
た方法で製造された市販のパラアラミド短繊維、パル
プ、ステープルは乾燥された長繊維から製造されている
ので、水に浸漬しても水で膨潤した状態には戻らない。
たパラアラミド短繊維、パルプ、ステープル、粒状ポリ
マーを少なくとも一成分以上、好ましくは水で膨潤した
パラアラミド短繊維またはパルプを併用することによ
り、膠着部を有するパラアラミド紙を製造することがで
きる。水で膨潤したパラアラミド短繊維、パルプ、ステ
ープル、粒状ポリマーの配合量は目的とする紙の強度、
密度、平滑性を考慮して選ぶことができる。
度の紙力がないと抄紙後のハンドリングが困難となる。
例えば、水で膨潤したパラアラミド粒状ポリマーと乾燥
した短繊維からなる組成物から抄紙した場合、得られる
湿潤紙は強度が弱過ぎて、抄紙以降のハンドリングが困
難となる。したがって、製造工程での湿潤紙の紙力も配
慮して組成を選択する。基本的には水で膨潤した各形態
のパラアラミドの量の多い方が膠着部が増加する。ただ
し、この場合には密度も増加する。紙の品質において、
膠着部の数が多いほど、かつ、短繊維、パルプ、ステー
プルの繊維長が長いほど紙の強度が増加する。ただし、
短繊維またはステープルの繊維長が長くなると均一な紙
質の紙が得にくくなる。
パラアラミド短繊維等を水に分散して、公知の方法で抄
紙して湿潤紙を製造する。抄紙には従来の抄紙機を用い
ることができる。手抄きでも充分抄紙できるが、工業的
には長網抄紙機や丸網抄紙機を用いることができ、更に
ロフトフォーマー付きなどで抄紙できる。
まま加圧下で乾燥する。乾燥は加熱して行うのが好まし
い。また、好ましくは湿潤紙に付着している遊離水を除
いてから、加圧して乾燥すると、地合、紙強度に優れた
パラアラミド紙を得ることができる。
熱樹脂フィルムを用いて湿潤紙を上下から挟んで加圧下
に加熱乾燥するか、または、まず室温でロールを通し、
つぎに高温のロールを通す二度掛け処理する方法により
前述の目的が達成される。多段ロールを用いる場合に
は、各段のロール温度を変えることにより、連続的に遊
離水を除去をしながら加圧下に乾燥することができる。
加熱乾燥条件としては、好ましくは温度80℃以上で、
加圧下に乾燥して、膠着部を有するパラアラミド紙とす
る。温度が80℃未満では乾燥に時間を要するので、工
業的に不利益となる。
度、圧力条件は、所望のパラアラミド紙の密度や強度等
により決められる。例えば、いわゆるカレンダー加工に
おける温度および圧力の条件としては、130℃以上、
50kg/cm以上が好ましい。乾燥時の圧力が低いと
充分な膠着部が得られず、紙の裂断長が低下する。
も依存するが、本発明の製法により裂断長が0.5km
以上、好ましくは1.0km以上である実質的にパラア
ラミドのみからなるパラアラミド紙を製造することがで
きる。
電気絶縁紙として使用される。電気絶縁紙として用いら
れる場合には、電気絶縁性を向上させる目的で雲母類、
石英粉末、ガラス繊維、アルミナタルクなどを配合する
ことができる。これに対し、アルミ薄片、カーボンブラ
ック、ステンレス短繊維などを配合して導電性を有する
パラアラミド紙とすることも可能である。
造されるパラアラミド紙を補強用素材として用いるハニ
カム構造を有する複合材が挙げられる。また、断熱、防
火壁の基体としてのパーティクルボード等の用途に適用
することができる。
る。実施例および比較例における試験、評価方法または
判定基準は次に示すとおりである。
溶解した溶液と96〜98%硫酸そのものについてそれ
ぞれ毛細管粘度計により30℃にて流動時間を測定し
た。求められた流動時間の比から次式により固有粘度を
求めた。固有粘度=1n(T/T0 )/C〔単位:dl
/g〕ここで、TおよびT0 はそれぞれパラアラミド硫
酸溶液及び硫酸の流動時間であり、Cはパラアラミド溶
液の濃度(g/dl)を表す。
を用いて、BET比表面積法により窒素の吸着量から、
パラアラミドパルプの比表面積(m2 /g)を求めた。
3に準拠して裂断長を測定した。
て、パラアラミド紙の膠着部を観察した。倍率5000
倍で見てパラアラミド短繊維またはパルプが相互に接触
している部分でその界面が観察されない結合部がある場
合を膠着部があると判定した。
レンテレフタルアミド)の短繊維を得た。 〔重合〕攪はん翼、温度計、窒素流入管及び粉体添加口
を有する500mlのセパラブルフラスコを使用してパ
ラ(フェニレンテレフタルアミド)の重合を行なった。
フラスコを十分乾燥してから、NMP300gに0.1
35モルの乾燥した塩化カルシウムを添加し、内温85
℃で完全に溶解した。次に0.120モルのパラフェニ
レンジアミン(以下、PPDと略称することがある)を
加え溶解し、内温が−6℃になるまで冷却した後、内温
を5℃以下に保ちながら0.115モルのテレフタロイ
ルクロリド(以下、TPCと略称することがある)を徐
々に加えた。TPCの添加終了後、温度−6〜0℃にて
2時間熟成し、安定な液状重合体ドープを得た。このパ
ラ(フェニレンテレフタルアミド)の固有粘度を測定し
たところ1.8dl/gであった。
ミドの液状重合体ドープをNMPを20wt%含む水溶
液を凝固液として紡糸した。紡糸ノズルとしては、その
穴がコーン型の形状で先端は円柱状であり、該円柱状の
穴部分のL/Dが1であり、その穴径が0.07mmの
ものを使用した。紡糸後充分に水洗し、繊維長約6mm
に切断し水で膨潤されたパラアラミド短繊維を得た。こ
の短繊維の一部分を採取して、120℃で2時間乾燥し
たところ固形分は約20wt%であった。
得た。次にこの湿潤糸を繊維長約30mmに切断し、熊
谷理機工業(株)製のPFIミルでパルプ化した。得ら
れたパルプは湿潤状態のままで水に分散して保存した。
一部分のパルプを取り、乾燥して比表面積を測定したと
ころ約2m2 /gであった。また、固形分は約20wt
%であった。
の遊離水を充分に除去して、その30g採取し1.5リ
ットルのイオン交換水中に分散した。これを熊谷理機工
業(株)製の標準パルプ離解機で離解し、同社製の標準
角型シートマシンで抄紙した。得られた湿潤紙を3枚重
ねてホットプレスで加熱、加圧下に乾燥した。ホットプ
レスによる乾燥条件は、150℃、100kg/c
m2 、3分間であった。 このようにして、実質的にパ
ラアラミドのみから成るパラアラミド紙を得た。このパ
ラアラミド紙の坪量は221g/m2 であり、裂断長は
0.98kmであった。該パラアラミド紙をSEMによ
り観察したところ、パラアラミド短繊維は偏平化してお
り、異なる繊維間で繊維の界面が明確でない膠着部が多
数存在していた。
を60gにアクゾ社(製)パルプであるトワロン109
7を6g配合した以外は、実施例1に準じてパラアラミ
ド紙を得た。パラアラミド紙として、湿潤紙1枚だけの
もの、2枚重ねたもの、および12枚重ねたものをそれ
ぞれホットプレスして、計3種類作成した。このように
して得られたパラアラミド紙のそれぞれの坪量は196
g/m2 、341g/m2 および517g/m2 であ
り、裂断長はそれぞれ1.1km、1.4kmおよび
1.1kmであった。SEM観察によれば、トワロン1
097のフィブリルが湿潤パラアラミド短繊維に埋没し
て、部分的に界面が消失しており、膠着部が形成されて
いることが観察された。
充分に除去したもの27g(固形分3g)と、パラ系ア
ラミド繊維トワロン(日本アラミド(有))の短繊維
(繊維長3mm)2gを、2リットルのイオン交換水中
に投入した。これを実施例1で使用した離解機で8分間
離解し、実施例1で使用した抄紙機で抄紙した。得られ
た湿潤紙を、厚さ35μmの銅箔でサンドイッチし、
(株)大東製作所製の小型圧延機で熱圧カレンダー加工
した。この時のロール温度は165℃、ロール間隔は1
20μmであった。このようにして得られたパラアラミ
ド紙の坪量は70g/m2 であり、また裂断長は3.0
kmであった。該パラアラミド紙をSEMにより観察し
たところ、パラアラミドパルプとトワロン短繊維の間で
繊維の界面が明確でない膠着部が一面に存在していた。
1.6gをイオン交換水1300cc中に投入し、家庭
用ミキサーで3分間処理した。これに合成例2で得られ
た湿潤パルプの遊離水を充分に除去したもの25g(固
形分3.5g)とイオン交換水700ccをさらに加え
実施例3と同様に離解、抄紙した。得られた湿潤紙を実
施例3と同様に熱圧カレンダー加工した。ただし、この
ときまず室温のロール(ロール間隔85μm)にかけて
遊離水を除き、ついで165℃の熱ロール(ロール間隔
100μm)で加熱加圧する2段階の処理を行った。こ
のようにして得られたパラアラミド紙の坪量は80g/
m2 あり、また裂断長は3.0kmあった。該パラアラ
ミド紙をSEMにより観察したところ、パラアラミドパ
ルプとトワロン短繊維の間で繊維の界面が明確でない膠
着部が一面に存在していた。
ン交換水中に再沈させ、特殊機化工業(株)製オートホ
モミキサーと実施例4で使用した家庭用ミキサーを用い
て平均粒径約120μmに粉砕し、吸引濾過により遊離
水を充分に除去したパラアラミド粒状ポリマー46g
(固形分2.7g)と合成例2で得られた湿潤アラミド
パルプの遊離水を充分に除去したもの3.7g(固形分
0.5g)およびトワロンの短繊維(繊維長3mm)
1.5gをイオン交換水中に投入し、離解時間が3分間
であった以外は実施例3と同様に抄紙した。得られた湿
潤紙を実施例3と同様に熱圧カレンダー加工した。ただ
しこのときのロール温度は160℃、ロール間隔は14
0μmであった。このようにして得られたパラアラミド
紙の坪量は79g/m2 あり、また裂断長は3.7km
あった。該パラアラミド紙をSEMにより観察したとこ
ろ、パラアラミド粒状ポリマーおよびパラアラミドパル
プとトワロン短繊維の間で繊維の界面が明確でない膠着
部が一面に存在していた。
て、実施例1の方法に準じて抄紙し、ホットプレスせず
に、熱オーブンで乾燥した。得られた乾燥紙は裂断長が
0.11kmであった。SEM観察によれば明確な膠着
部は認められなかった。
して、比較例1と同様の方法で乾燥紙を得たが、その裂
断長は0.08kmであった。
質的にパラアラミドのみからなるパラアラミド紙は、パ
ラアラミドの特徴である耐熱性および剛性を維持しつ
つ、繊維の膠着部を有するので紙としての裂断長が高
く、高強度であるという優れた性質を示す。また、得ら
れるパラアラミド紙は、そのもの単体で電気絶縁紙とし
て有用であり、他の機能を付与することにより複合材料
の素材としても好適に用いることができる。
Claims (5)
- 【請求項1】実質的にパラ系芳香族ポリアミドからなる
紙の製造方法であって、水で膨潤された状態のパラ系芳
香族ポリアミドの短繊維、ステープル、パルプおよび粒
状ポリマーからなる群から選ばれる1成分または2成分
以上の組成物から抄紙し、得られる湿潤紙を加圧下で乾
燥することを特徴とするパラ系芳香族ポリアミド紙の製
造方法。 - 【請求項2】水で膨潤された状態のパラ系芳香族ポリア
ミドの短繊維、ステープル、パルプおよび粒状ポリマー
が、固有粘度が1.0〜2.5dl/gであるパラ系芳
香族ポリアミド、アルカリ金属またはアルカリ土類金属
の塩化物および極性アミド溶媒からなる紡糸ドープより
水系凝固液中に凝固して得られるものである請求項1記
載のパラ系芳香族ポリアミド紙の製造方法。 - 【請求項3】乾燥条件が温度80℃以上である請求項1
または2記載のパラ系芳香族ポリアミド紙の製造方法。 - 【請求項4】湿潤紙を、それに付着している遊離水を除
いてから、加圧下で乾燥する請求項1または2記載のパ
ラ系芳香族ポリアミド紙の製造方法。 - 【請求項5】パラ系芳香族ポリアミド紙の裂断長が0.
5km以上である請求項1または2記載のパラ系芳香族
ポリアミド紙の製造方法。
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