JP3295334B2 - 加熱調理器の感温センサー - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、テーブルこんろ等の
加熱調理器における感温センサーに関する。

【０００２】

【従来の技術】テーブルこんろ等の加熱調理器におい
て、いわゆる、天ぷら火災等を防止する安全手段とし
て、感温センサーが調理物の加熱温度を鍋底面で検出し
予め設定された加熱温度を検出したとき、バーナへのガ
ス供給を断ってバーナを消火し安全を期す構造のものは
すでに知られている。

【０００３】そこで、感温フェライトと磁石とからなる
感温センサーにおいては、感温センサーが予め設定され
た加熱温度を検出して離間された場合、感温フェライト
に磁石を吸着させてリセットする必要があるが、従来の
リセット手段としては、たとえば、図５に示されている
ように、点火レバー（図示せず）と連動するリセット用
レバー１０１の梃子作用で押上げ軸（リセット軸）１０
２を介して磁石１０３を押上げて可動ホルダー１０４に
備えた感温フェライト１０５に押し当てリセットする構
造のものが一般的に使用されている。なお、図中、１０
６は感温フェライト１０５と磁石１０３を離反する方向
に付勢して感温センサーを鍋底に確実に密接するバネ力
をもった発条である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の技術では、
点火レバーと連動するリセット用レバー１０１で磁石１
０３を押上げ軸１０２を介して直上に押上げリセットす
るものであるから、こんろ上に載せる鍋等の重量、鍋底
形状等によってリセット時に磁石１０３が可動ホルダー
１０４とともに必要以上に持上げられたり、発条１０
６、１０７のバネ力との関係で鍋等が持上げられて傾き
内容物がこぼれ出ることがあるという不具合が生ずるな
どの問題点があった。また、レバーで直接センサーを持
上げる要があり、点火レバーとの関連のため、位置的制
限もあり設計上困難な面があった。

【０００５】この発明は、従来の技術の有する斯かる問
題点に鑑み、感温フェライトと磁石がこんろ上に鍋等を
載せることで降下して吸着しリセットされるようにし
て、常時安全、確実な使用ができる加熱調理器の感温セ
ンサーの提供を目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の加熱調理器の感温センサーは、たとえ
ば、実施例に対応する図面に示されているように、調理
物の加熱温度を鍋底面で検出する感温フェライト１と、
磁石２とからなる感温センサーにおいて、該感温フェラ
イト１と磁石２とを一定の規制のもとに上下動可能に関
連させ、感温センサーが予め設定された加熱温度を検出
して離間された感温フェライト１と磁石２を、こんろ上
に載せる鍋等の重量を利用して降下させることで接近し
て吸着しリセットする構成を主要な特徴としている。

【０００７】前記特定発明の感温センサーが、加熱温度
を検出する感温フェライト１を備えた可動ホルダー３
と、該可動ホルダー３を上下摺動自由に支持する固定支
柱４と、前記感温フェライト１に吸着、離脱する磁石２
と連動して磁石２の上限位置と下限位置を規制するリセ
ット杆５と、該リセット杆５で作動される作動軸６とか
らなり、前記感温フェライト１と磁石２及び可動ホルダ
ー３と固定支柱４とを離反する方向に付勢してなる構造
であり、

【０００８】また、加熱温度を検出する感温フェライト
１を備えた可動ホルダー３と、該可動ホルダー３を上下
摺動自由に支持し、かつ、前記感温フェライト１に吸
着、離脱する磁石２の上限位置と下限位置を規制する係
合片７、８を備えた固定支柱４と、前記磁石２と連動す
る作動軸６を備えたリセット軸５と、前記磁石２が下限
位置近くで接してリセット軸５を傾ける傾斜面９を備え
たリセット台１０とからなり、前記感温フェライト１と
磁石２及び可動ホルダー３と固定支柱４とを離反する方
向に付勢してなる構造であることをも特徴としている。

【０００９】

【作用】上記構成を有するこの発明の加熱調理器の感温
センサーは、平常時の鍋なし状態の時は、感温フェライ
ト１と磁石２は吸着したままその感温部は鍋セットライ
ンａより上方に突出した状態にあり、これに鍋を載せた
平常時の鍋セット完了時は、その感温部は鍋底に密接し
て鍋セットラインａまで押し下げられて調理物の加熱温
度を鍋底面で検出する。

【００１０】感温フェライト１が予め設定された加熱温
度を検出した異常時は、磁石２は感温フェライト１から
離脱して降下し、該磁石２とリセット部材５、９を介し
て連動する作動軸６でバーナへのガス供給を断つための
スイッチ又はガス弁を作動してバーナを消火する。その
後、鍋を取外して鍋なし状態にすると、感温フェライト
１と磁石２は離脱、離間した状態のまま上昇し鍋セット
ラインａより上方に位置して停止する。

【００１１】そこで、こんろ上に鍋を再び載せると、該
鍋の重量で鍋セットラインａより上方に位置する感温フ
ェライト１と磁石２はともに押し下げられ、磁石２が鍋
セットラインａの近くに達するとその降下が止められ、
以後は感温フェライト１だけが降下し、該感温フェライ
ト１が磁石２に吸着可能な位置にまで近づいたとき又は
感温フェライト１に磁石２が吸着したとき、磁石２の降
下規制が解かれるとともに磁石２が感温フェライト１に
吸着してリセットされ、鍋セット完了によりその感温部
が鍋底に密接する。

【００１２】

【実施例】以下この発明による加熱調理器の感温センサ
ーの実施例について図面を参照して説明する。

【００１３】図１及び図２はこの発明の感温センサーの
一実施例を示したものであって、１は調理物の加熱温度
を検出する感温フェライトで、可動ホルダー３の上端部
にホルダーカバー１１を介して一体に取付け固定され、
鍋底に密接して調理物の加熱温度を鍋底面で検出するも
ので、この感温フェライト１は、特定の温度を界にして
磁気特性が変化し、特定温度以下では永久磁石の磁力に
より吸着され、特定温度以上になると吸着されなくなる
性質を有する。

【００１４】２は前記感温フェライト１に吸着、離脱す
る磁石で、筒状の磁石台１２の上部に固定され、該磁石
台１２を介して前記可動ホルダー３内の上部に前記感温
フェライト１に対向して上下可動自由に設けられ、該磁
石２と感温フェライト１は磁石台１２と可動ホルダー３
との間に装着した圧縮バネ１４により離反する方向に付
勢され、該圧縮バネ１４で感温センサー作動時に磁石２
を離脱、降下させてバーナへのガス供給を停止する。な
お、この圧縮バネ１４は感温センサー作動時にガス遮断
動作が確実に行えるバネ力をもっている。

【００１５】３は可動ホルダーで、筒状体で形成され、
その上端部に前記感温フェライト１を設けるほか、下部
に該可動ホルダー３の上限位置を規制するストッパー１
５を有し、該ストッパー１５の上方部にはバネ受け１６
が設けられ、器具本体Ａに取付け固定される固定支柱４
に上下摺動が自由に行えるように支持され、この可動ホ
ルダー３と固定支柱４はバネ受け１６と固定支柱４の段
部１７との間に装着された圧縮バネ１８で離反する方向
に付勢され、該圧縮バネ１８で可動ホルダー３を上限位
置まで上昇できるようになっている。なお、この圧縮バ
ネ１８は感温センサーの感温部１３を鍋底に確実に密接
するバネ力をもっている。

【００１６】５は前記磁石２の上限位置と下限位置を規
制するリセット杆で、前記磁石台１２に固定した枢支ピ
ン１９に枢支して図示左右へ揺動自由に垂設され、その
下部に磁石２の降下をその下限位置に接近した位置にお
いて規制する係合段部２０と磁石２の上限位置を規制す
るストッパー２１とを有し、略中間部にはリセット杆５
を揺動して前記係合段部２０を固定支柱４に固定した係
合ピン２２との係合を外すカム２３を可動ホルダー３に
固定したピン２４と関連させて設け、かつ、枢支ピン１
９に装着したトーションバネ２５により図示反時計方向
に付勢されている。

【００１７】６は前記リセット杆５で作動されてバーナ
へのガス供給を遮断するためのスイッチ又はガス弁を作
動する作動軸で、固定支柱４内の下方部に圧縮バネ２６
で上方に付勢して備えられている。なお、この実施例で
は、異常時に前記作動軸６でマイクロスイッチ２７をＯ
ＦＦして熱電対回路をＯＦＦしバーナへのガス供給を遮
断する構造となしているが、作動軸６でガス弁を閉止し
てガスの供給を断ってもよいこと勿論である。

【００１８】前記構成において、平常時の鍋なし状態の
時は、感温フェライト１と磁石２は吸着したままその感
温部１３は鍋セットラインａより上方に突出位置して停
止している。このとき、リセット杆５のストッパー２１
が固定支柱４に固定した係合ピン２２に係合されて磁石
２の上限位置を規制している（図１の実線の状態参
照）。

【００１９】使用にあたり、こんろ上に鍋を載せると、
その感温部１３は鍋底に密接して鍋セットラインａまで
可動ホルダー３、リセット杆５等とともに鍋の重量で圧
縮バネ１８に抗して押し下げられ、鍋セット完了後は調
理物の加熱温度を鍋底面で検出する（図１の鎖線の状態
参照）。

【００２０】次に、調理物の加熱温度が予め設定された
温度にまで上昇した異常時は、磁石２が感温フェライト
１から離脱するため、磁石２は圧縮バネ１４でリセット
杆５とともに降下し、該リセット杆５で作動軸６を押し
下げマイクロスイッチ２６を作動してＯＦＦし、たとえ
ば、熱電対回路をＯＦＦしてバーナへのガス供給を断っ
てバーナを消火する（図２の実線参照）。その後、鍋を
取外し鍋なし状態にすると、感温フェライト１と磁石２
は離脱、離間した状態のまま圧縮バネ１８で可動ホルダ
ー３のストッパー１５が固定支柱４の段部１７に係合さ
れるまで上昇し鍋セットラインａより上方に位置して停
止する（図２の鎖線の状態参照）。

【００２１】そこで、こんろ上に再び鍋を載せると、該
鍋の重量で鍋セットラインａより上方に位置する感温フ
ェライト１と磁石２は、当初は離間状態のままともに押
し下げ降下され、磁石２が鍋セットラインａの近くにま
で降下したところで、これと連動して降下するリセット
杆５の係合段部２０が固定支柱４に固定されている係合
ピン２２に係合されて磁石２の降下を規制する。このと
き、リセット杆５はトーションバネ２５で図示反時計方
向に付勢されているので係合段部２０と係合ピン２２と
の係合が確実に行われる。したがって、その後は感温フ
ェライト１だけが可動ホルダー３とともに圧縮バネ１８
に抗して降下し、該感温フェライト１が磁石２に吸着可
能な位置にまで接近したところで、可動ホルダー３に固
定されているピン２４がリセット杆５のカム２３に当接
してリセット杆５をトーションバネ２５に抗して図示時
計方向に回動変位して前記係合段部２０と係合ピン２２
の係合を外すとともに、磁石２が感温フェライト１に吸
着してリセットされ、鍋セット完了によりその感温部が
鍋底に密接し、以後、調理物の加熱温度を鍋底面で検出
する（図１の鎖線の状態参照）。

【００２２】図３及び図４はこの発明の感温センサーの
他の実施例を示したもので、先の図１及び図２の実施例
と同一部分には同一符号を付してその説明は省略し、異
なる部分だけを以下に説明すると、磁石２とリセット軸
（先の実施例ではリセット杆）５及び作動軸６は同一軸
心を保って一体に設けられ、リセット杆５と作動軸５と
の接続部にバネ受けを兼ねた係合板２８を設け、該係合
板２８が固定支柱４の上下に設けた係合片７、８に係合
して磁石２の上限位置と下限位置が規制されるようにな
っている。

【００２３】また、可動ホルダー３には、磁石２が下限
位置の近くまで降下したときその平面状の下面が接して
磁石２と一体のリセット軸５と作動軸６を一定の方向
（前記係合片８に係合される方向）に傾ける平面状の傾
斜面９を上面に備えたリセット台１０を固定している。
なお、このリセット台１０は圧縮バネ１４、１８のバネ
受けを兼ねている。

【００２４】この実施例では、異常時に前記作動軸６で
バーナへのガス通路に装備したガス遮断弁Ｖを閉止して
バーナへのガス供給を断つ構造としているが、作動軸６
でスイッチを作動してガス供給を断つ構造としてもよい
こと勿論である。

【００２５】前記構成において、平常時の鍋なし状態の
時は、感温フェライト１と磁石２は吸着したままその感
温部１３は鍋セットラインａより上方に突出位置して停
止している。このとき、リセット軸５と一体の係合板２
８が固定支柱４の係合片７に係合されて磁石２の上限位
置を規制している（図３の実線の状態参照）。

【００２６】使用にあたり、こんろ上に鍋を載せると、
その感温部１３は鍋底に密接して鍋セットラインａまで
可動ホルダー３、リセット軸５等とともに鍋の重量で圧
縮バネ１８に抗して押し下げられ、鍋セット後は調理物
の加熱温度を鍋底面で検出する（図３の鎖線の状態参
照）。

【００２７】次に、調理物の加熱温度が予め設定された
温度にまで上昇した異常時は、磁石２が感温フェライト
１から離脱するため、磁石２は圧縮バネ１４でリセット
軸５、作動軸６とともに降下し、作動軸６で弁軸３０を
押し、該弁軸３０を連動するガス遮断弁Ｖをその復帰用
バネ２９に抗して押し下げ閉止し、バーナへのガス供給
を断ってバーナを消火する（図４の実線の状態参照）。
その後、鍋を取外し鍋なし状態にすると、感温フェライ
ト１と磁石２は離脱、離間した状態のまま圧縮バネ１８
で可動ホルダー３のストッパー１５が固定支柱４の凸部
（先）の実施例では段部１７に係合されるまで上昇し同
時に磁石２の下面がリセット台１０の傾斜面９に圧接し
てリセット軸５と作動軸６を傾け、これらは鍋セットラ
インａより上方に位置して停止する（図４の鎖線の状態
参照）。

【００２８】そこで、こんろ上に再び鍋を載せると、該
鍋の重量で鍋セットラインａより上方に位置する感温フ
ェライト１と磁石２は、当初は離間状態のままともに押
し下げ降下されるが、磁石２が鍋セットラインａの近く
まで降下したところで、磁石２と一体の傾斜している作
動軸６の下端が固定支柱４に設けられている係合片８に
係合して磁石２の降下を規制し磁石２を下限位置で保持
する。したがって、その後は感温フェライト１だけが可
動ホルダー３とともに圧縮バネ１８に抗して降下し、該
感温フェライト１が磁石２に接近してこれが感温フェラ
イト１に吸着されると、感温フェライト１の吸着面と磁
石２の吸着面は平面状となっているので、その吸着力で
傾斜しているリセット軸５と作動軸６は垂直状に変位し
係合片８との係合を外すため、以後、これらは一体とな
って鍋セットラインａまで押し下げられリセットされ
る。この鍋セット完了によりその感温部１３が鍋底に密
接して、調理物の加熱温度を鍋底面で検出する（図３の
鎖線の状態参照）。

【００２９】以上この発明の実施例について説明した
が、この発明はこうした実施例に何等限定されるもので
はなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において、種
々なる態様で実施しうること勿論である。

【００３０】

【発明の効果】以上詳述したように、この発明の加熱調
理器の感温センサーによれば、感温センサーが作動した
とき、感温フェライトに対し磁石を吸着させるリセット
動作が、こんろ上に鍋を載せることで行いうるから、リ
セット時に磁石を持上げるのではなく、感温フェライト
及び磁石を一定の規制のもとに降下させて吸着しリセッ
トする。

【００３１】したがって、使用する鍋の重さ、鍋底の形
状等に関係なく、リセット時に鍋が持上げられて傾く等
の不具合は解消され、常時安全に使用でき、しかも、感
温センサーの作動も常時確実に行われる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による加熱調理器の感温センサーの一
実施例を示した平常時の断面図である。

【図２】異常時の断面図である。

【図３】他の実施例を示した平常時の断面図である。

【図４】異常時の断面図である。

【図５】従来例を示した要部の断面図である。

【符号の説明】

１ 感温フェライト ２ 磁石 ３ 可動ホルダー ４ 固定支柱 ５ リセット杆（リセット軸） ６ 作動軸 ７ 係合片 ８ 係合片 ９ 傾斜面 １０ リセット台

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−236520（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−20354（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−198901（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F24C 3/12

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 調理物の加熱温度を鍋底面で検出する感
   温フェライトと、該感温フェライトに吸着、離脱する磁
   石とからなる感温センサーにおいて、該感温フェライト
   と磁石とを一定の規制のもとに上下動可能に関連させ、
   感温センサーが予め設定された加熱温度を検出して離間
   された感温フェライトと磁石を、こんろ上に載せる鍋等
   の重量を利用して降下させることで接近して吸着しリセ
   ットする構成としたことを特徴とする加熱調理器の感温
   センサー。
2. 【請求項２】 加熱温度を検出する感温フェライトを備
   えた可動ホルダーと、該可動ホルダーを上下摺動自由に
   支持する固定支柱と、前記感温フェライトに吸着、離脱
   する磁石と連動して磁石の上限位置と下限位置を規制す
   るリセット杆と、該リセット杆で作動される作動軸とか
   らなり、前記感温フェライトと磁石及び可動ホルダーと
   固定支柱とを離反する方向に付勢してなる請求項１記載
   の加熱調理器の感温センサー。
3. 【請求項３】 加熱温度を検出する感温フェライトを備
   えた可動ホルダーと、該可動ホルダーを上下摺動自由に
   支持し、かつ、前記感温フェライトに吸着、離脱する磁
   石の上限位置と下限位置を規制する係合片を備えた固定
   支柱と、前記磁石と連動する作動軸を備えたリセット軸
   と、前記磁石が下限位置近くで接してリセット軸を傾け
   る傾斜面を備えたリセット台とからなり、前記感温フェ
   ライトと磁石及び可動ホルダーと固定支柱とを離反する
   方向に付勢してなる請求項１記載の加熱調理器の感温セ
   ンサー。