JP3294815B2 - 木材乾燥処理方法及びその装置 - Google Patents

木材乾燥処理方法及びその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生木を乾燥処理す
る方法及びその方法に用いる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】木材を乾燥する場合、一般に自然乾燥と
強制乾燥とがあるが、自然乾燥では時間が長くかかり、
生産性が極度に低下することから、強制乾燥が多く用い
られている。この強制乾燥は、乾燥処理材木を乾燥処理
室に入れ、室内温度を例えば高温乾燥では約120〜1
40℃、中温乾燥では約80℃前後、低温乾燥では40
〜50℃にされ、この温度は乾燥処理材木の種類によっ
て適宜選択されるが、一般的には初期温度40〜60と
し、終期温度80〜90℃の段階的に温度を変化させる
スケジュール乾燥が行われることが多い。また、この温
度を上げる手段としては所謂蒸気乾燥と言われる蒸気が
用いられているが、この蒸気乾燥では主として加工木材
が対象となる。一方、丸太等の原木を乾燥する場合に
は、木材を下から燻し、その燻した熱で乾燥する燻煙乾
燥も行われている。しかしこの場合の乾燥は温度、湿度
のコントロール、特に湿度コントロールが出来ない欠点
を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の蒸気乾燥で
は加工された比較的小形の木材が対象とされ、例えば径
の大きなものを乾燥する場合にはかなりの乾燥時間を要
してしまうという問題があった。また、木材を下から燻
し、その燻した熱で乾燥する燻煙式乾燥木材加工処理で
は、高温の温度のために乾燥も早いという利点はあるも
のの、温度のコントロールができないため、木材の表面
側の乾燥が早く、中心部分が十分に乾燥していないにも
拘らず、乾いた外周面部分が縮もうとすることから乾燥
割れを生じ易いと問題があった。そこで、本発明は上記
問題点に鑑み提案されたもので、大径の丸太等の原木は
勿論のこと、加工木材でも乾燥割れを生じることなく短
時間で良好に乾燥することができる木材乾燥処理方法及
びその装置を提供できるようにすることを目的とするも
のである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にかかる木材乾燥処理方法は、乾燥処理室の下
部に形成された燻煙発生装置の燃焼路に充填された燻材
に着火して発生させた燻煙と、噴射ノズルから噴射され
た水又は水滴に高圧の気体を吹きつけて霧化した湿度調
節用ミストとにより乾燥処理室の乾燥雰囲気を形成し、
乾燥処理室の乾燥雰囲気を攪拌して均一にしながら乾燥
処理室に収納した木材を乾燥させるようにしたことを特
徴とするものである。
【0005】また、本願発明にかかる木材乾燥処理方法
においては、乾燥処理室内の気体の一部を取り出し、こ
れを乾燥処理室内に流入させる循環路を形成し、循環路
中の乾燥処理室内の気体の温度及び/または湿度を調節
することにより乾燥処理室内の温度及び/または湿度を
調整するようにしたことも特徴とするものであり、さら
に燻材が廃材であって、燻煙が高温のものであることも
特徴の1つである。
【0006】本願発明にかかる木材乾燥処理装置は、密
閉可能な乾燥処理室と、該乾燥処理室の底部に形成され
燻煙を供給する燻煙発生装置と、噴射ノズルから噴射
された水又は水滴に高圧の気体を吹きつけて霧化した湿
度調節用ミストを形成して乾燥処理室を加湿する加湿装
置と、乾燥処理室内の温度及び/または湿度を略均一に
する攪拌装置と、燻煙発生装置で発生させた燻煙と加湿
装置から発生させた湿度調節用ミストとからなる乾燥気
体を乾燥処理室に略均一に分布させる攪拌装置とを備
え、加湿装置が乾燥処理室に微粒水滴を供給する霧滴供
給手段で形成されていることを特徴とするものである。
【0007】また、木材乾燥処理装置においては燻煙発
生装置の燃焼路の上面開口部を被う緩衝板と この緩衝
板の上方に配設された床板とで緩衝処理室の床面を形成
したり 霧滴供給手段を、水を噴射する噴射ノズルと、
この噴射ノズルから噴射された高圧水に高圧気体を吹き
つけて水滴を霧化する霧化用ノズルとで構成するように
したことも特徴とするものである
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の木材乾燥処理方法
及びその装置にかかる実施の形態を図面に基づいて詳し
く説明する。図1は本発明の一実施形態に係る木材乾燥
処理装置の概略を示す縦断側面図、図2はその正面図、
図3は平面図、図4は斜視図、図5はと木材乾燥処理装
置の概略構成図である。図において、符号1は木材乾燥
処理装置を全体的に示し、この木材乾燥処理装置1は、
木材2を収納する密閉可能な乾燥処理室3と、この乾燥
処理室3内の床面4の下部に設けられた燻煙発生装置5
と、乾燥処理室3内にミストを供給する加湿装置6と、
乾燥処理室3内の乾燥雰囲気を循環させて均一にするた
めにファン等の送風手段からなる攪拌装置7及び温度並
びに湿度を調節する除湿乃至冷却手段8とを備えてな
る。
【0009】乾燥処理室3内にミストを供給する加湿装
置6は、図6に示すように乾燥処理室3内に設置された
水噴射ノズル9に、水タンク10に貯溜された水を高圧
にして給水するとともに、水噴射ノズル9から噴射され
る高圧水に高圧気体を吹きつけて水噴射ノズル9からの
水滴を霧化する霧化用ノズル12とからなる。尚、加湿
装置6は上述の構成のものに限られず、例えば水に超音
波振動を加え、この超音波振動によりミストを発生させ
るようにした所謂“超音波加湿器”を使用することもで
きる。このように、水噴射ノズル9から噴射される高圧
水に霧化用ノズル12から高圧気体を吹きつけて水噴射
ノズル9からの水滴を霧化したり、“超音波加湿器”で
形成されたミクロのミストは一般に“ドライミスト”と
言われ、付着してもべとつくことなく、微粒子状である
ことから木材2への浸透も速いことが知られている。
【0010】上記燻煙発生装置5は、図3乃至図5に示
すように乾燥処理室3の床面4の下方に迷路状に掘り下
げて形成した燃焼路13を左右に二系統形成するととも
に、この燃焼路13の上部開口部分は断面が角溝形をし
た鋼板製の緩衝板14と、床面4を形成する鋼板製の床
板18とで蓋して形成される。尚、上記迷路状に掘り下
げて形成された燃焼路13の両端部及びその途中部分に
は夫々空気量を調整したり、着火及び点検用開口15が
形成されている。上記、除湿乃至冷却手段8は乾燥処理
室3内の燻煙とミストを含んだ高熱の乾燥雰囲気の空気
を乾燥処理室3外に取り出し、これを乾燥処理室内に流
入させる管21内に循環路22を形成し、この管21に
放熱フィン23を形成するとともに、この放熱フィン2
3をモータ24で駆動されるファン25で強制空冷する
ように構成されている。
【0011】こうした除湿乃至冷却手段8で乾燥処理室
3内の燻煙とミストを含んだ高熱の乾燥雰囲気の空気が
冷却されると燻煙等に含まれるミスト等が結露し、木酢
として回収されるとともに、湿度の少ない低温の空気と
して循環路22で乾燥処理室3に還流される。上記のよ
うに形成された木材乾燥処理装置1を使用する手順を次
に説明する。先ず、乾燥処理室3の床面 の下方に迷路
状に形成された左右に二系統の燃焼路13・13に燃料
としての廃材(角材の切れっ端やプレーナ屑・鉋屑・大
鋸屑)16を上面開口部17から所定量充填する。この
時、廃材16としては乾燥する木材の種類と同種の廃材
が望ましい。また、燃焼路13内の廃材16の燃焼時間
は着火及び点検用開口の調節及び廃材16の量だけでな
く、廃材16の種類の調整によってその燃焼時間が調整
される。即ち、廃材16の種類、例えば角材の切れっ端
が多い時には周囲に空間(空気)が多くなり、燃焼温度
が高く炎を上げて燃えやすくなり、逆にプレーナ屑や大
鋸屑が多い場合には空間(空気)が少なくなり、長時間
に亙って燻ることになる。
【0012】燃焼路13に廃材16が充填されると、燃
焼路13の上面開口部17に鋼板製の緩衝板14と鋼板
製の床板18とを敷設し、床面4を形成する。次に、床
面4が形成されると、ここに乾燥処理する木材2が搬入
されて所定の隙間を開けた状態で積み上げられた後、乾
燥処理室3は密閉され、燃焼路13の一方の着火及び点
検用開口15から廃材16に着火される。廃材16に着
火されて燻煙とともに熱が発生すると、この燻煙と熱は
燃焼路13からこれを蓋している鋼板製の緩衝板14を
加熱するとともに、燻煙は鋼板製の床板18との間の緩
衝空間に流入する。
【0013】そして、加熱された緩衝板14から発生す
る輻射熱及び熱伝導並びに緩衝空間19を対流する熱に
より鋼板製の床板18が略均一に加熱されるとともに、
燻煙も床板18に透設された穴20から乾燥処理室3内
に流れ出る。こうした燻煙発生装置5から燻煙を発生さ
せると同時に加湿装置6から加湿用のミストが噴霧され
る。こうして燻煙発生装置5からの燻煙と加湿装置6か
らの加湿用のミストとで乾燥処理室3内の乾燥雰囲気は
温度が約80度、湿度が約80%に保たれるのである。
因みに、本発明の装置の場合、迷路状に形成した長い燃
焼路13により約200時間燻煙を発生させて乾燥雰囲
気を温度が約80度、湿度が約80%に保ちながらの乾
燥を行うことができたのである(図7及び図8参照)。
【0014】このように、燻煙発生装置5からの燻煙と
加湿装置6からの加湿用のミストとで乾燥する場合、加
湿用のミストに乾燥処理室3内が適度な湿度を有するこ
とから、従来の燻煙乾燥装置において温度と湿度をコン
トロール、特に湿度のコントロールができなかった点を
改良しているため、乾燥初期に乾燥処理室3を急速に高
温、高湿度条件にし、それを保持できる。これにより、
木材構成成分のうち、リグニン、ヘミセルローズを熱軟
化した後に木材中の水分を木材第に放出する操作が可能
となる。しかも、上記したように乾燥初期に乾燥処理室
3を高温、高湿度条件にする操作が行えるので、木材内
部の蒸気圧が高められ、細胞相互間の連通路(ピット)
は通常トールスによって閉塞されているが、このトール
スを高められた蒸気圧が破壊する。従って、以後木材中
の水分の移動が容易となるので、割れや狂い反り等を防
止でき、乾燥処理時間を大幅に短縮することができる。
尚、上記実施の形態では廃材を乾燥処理される木材と同
種のものとしてあるが、こうしたものに限られず異種の
廃材による燻煙でも乾燥処理することができるのは勿論
のことである。
【0015】
【発明の効果】本発明は以上に説明したように、燻煙発
生装置で発生させた燻煙と、加湿装置から発生させた湿
度調節用ミストとにより乾燥処理室の温度並びに湿度を
調節しながら乾燥処理室に収納した木材を乾燥させるよ
うにしてあるので、従来のように、中心部分が十分に乾
燥していないにも拘らず、木材の表面側の乾燥が早いた
めに生じる乾燥割れをなくし、加工材や原木とを問わず
効率よく短時間で大量に乾燥を行うことができるという
利点がある。
【0016】また、本発明は燻煙と湿度調節用ミストと
で木材を乾燥させるようにしてあるので、乾燥処理され
た木材には燻煙に含まれる木酢やタール等の薬効成分が
含浸されていることから、乾燥と同時に防腐防虫効果の
ある材木を生産することができる利点もあり、乾燥合成
樹脂にこれらの薬剤を塗布する手間をなくすことができ
その分コストの低減を行えるという利点もある。
【0017】更に、従来の燻煙乾燥では乾燥後期におい
て乾燥装置内の乾燥斑によってひきおこされる乾燥題目
の含水率斑等を調整できなかったが、温度、湿度を大分
より人為的に操作できるため、乾燥後期において目標仕
上がり含水率より2%程度低めの乾燥条件設定による、
所謂“イコライジング”の操作、木材内部に発生してい
る乾燥応力を除去する所謂“コンディショニング”の操
作ができ、その結果、大断面の張り板、丸太等、極めて
困難とされる乾燥でも一度に多量に行うことができると
いう利点もある。
【0018】加えて、本発明は加湿装置を、噴射ノズル
から噴射された水又は水滴に高圧の気体を吹きつけて霧
化した湿度調節用ミストとにより乾燥処理室の乾燥雰囲
気を形成するようにしてあり、一般的なスチームや噴霧
器で発生する加湿用水滴とはその粒度が異なり、付着し
てもべとつくことがなく、微粒子で木材への浸透も速い
ことから木材の表面側乾燥割れを確実になくし、良質の
木材乾燥処理を行える利点もある。
【0019】更に、乾燥処理室内の気体の一部を取り出
し、これを乾燥処理室内に流入させる循環路を形成し、
循環路中の乾燥処理室内の気体の温度や湿度を調節する
ことにより、もって乾燥処理室内の乾燥雰囲気を調整す
るようにしたものでは乾燥処理室内の乾燥処理気体が外
部に漏れたりすることが無く、燻煙の無駄をなくすこと
ができることは勿論のこと、臭気の周辺への漏洩も防止
することができる利点もある。
【0020】尚、燻材が廃材を利用する場合には製材時
に発生する角材の切れっ端やプレーナ屑・鉋屑・大鋸屑
等の処理も兼ねられ、別個に処理を行う時の費用をなく
して製材のコストを低減することもできる利点がある。
【0021】また、燻煙発生装置を、乾燥処理室の下方
に配設したものでは、燻煙や熱の外部への放散が極めて
少なく、燻煙の供給効率は勿論のこと、熱効率も良く、
木材乾燥処理効率を大幅に向上させることができる利点
もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の木材乾燥処理装置の概略を示す縦断
側面図である。
【図2】は本発明の木材乾燥処理装置の概略を示す正面
図である。
【図3】は本発明の木材乾燥処理装置の概略を示す平面
図である。
【図4】は本発明の木材乾燥処理装置の概略を示す斜視
図である。
【図5】は本発明の木材乾燥処理装置の概略構成図であ
る。
【図6】は本発明の木材乾燥処理装置の加湿装置部分の
概略斜視図である。
【図7】は本発明の木材乾燥処理装置における温度変化
を示すグラフである。
【図8】は本発明の木材乾燥処理装置における湿度変化
を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・木材乾燥処理装置 3・・・乾燥処理室 5・・・燻煙発生装置 6・・・加湿装置 7・・・攪拌処理室 8・・・除湿乃至冷却手段14・・・緩衝板 18・・・床板 22・・・循環路22
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−213566(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B27K 5/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乾燥処理室の下部に形成された燻煙発生装
    置の燃焼路に充填された燻材に着火して発生させた燻煙
    と、噴射ノズルから噴射された水又は水滴に高圧の気体
    を吹きつけて霧化した湿度調節用ミストとにより乾燥処
    理室の乾燥雰囲気を形成し、乾燥処理室の乾燥雰囲気を
    攪拌して均一にしながら乾燥処理室に収納した木材を乾
    燥させるようにしたことを特徴とする木材乾燥処理方
    法。
  2. 【請求項2】乾燥処理室内の気体の一部を取り出し、こ
    れを乾燥処理室内に流入させる循環路を形成し、循環路
    中の乾燥処理室内の気体の温度及び/または湿度を調節
    することにより乾燥処理室内の温度及び/または湿度を
    調整するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の
    木材乾燥処理方法。
  3. 【請求項3】燻材が廃材であって、燻煙が高温のもので
    ある請求項1に記載の木材乾燥処理方法。
  4. 【請求項4】密閉可能な乾燥処理室と、該乾燥処理室の
    底部に形成された燻煙を供給する燻煙発生装置と、噴射
    ノズルから噴射された水又は水滴に高圧の気体を吹きつ
    けて霧化した湿度調節用ミストを形成して乾燥処理室を
    加湿する加湿装置と、乾燥処理室内の温度及び/または
    湿度を略均一にする攪拌装置と、燻煙発生装置で発生さ
    せた燻煙と加湿装置から発生させた湿度調節用ミストと
    からなる乾燥気体を乾燥処理室に略均一に分布させる攪
    拌装置とを備え、加湿装置が乾燥処理室に微粒水滴を供
    給する霧滴供給手段で形成されていることを特徴とする
    木材乾燥処理装置。
  5. 【請求項5】燻煙発生装置の燃焼路の上面開口部を被う
    緩衝板と この緩衝板の上方に配設された床板とで緩衝
    処理室の床面が形成されている請求項4に記載の木材乾
    燥処理装置。
  6. 【請求項6】霧滴供給手段が、水を噴射する噴射ノズル
    と、この噴射ノズルから噴射された高圧水に高圧気体を
    吹きつけて水滴を霧化する霧化用ノズルとを備えてなる
    請求項4に記載の木材乾燥処理装置。
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