JP3291506B2 - 製紙用薬剤 - Google Patents

製紙用薬剤

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JP3291506B2
JP3291506B2 JP00769193A JP769193A JP3291506B2 JP 3291506 B2 JP3291506 B2 JP 3291506B2 JP 00769193 A JP00769193 A JP 00769193A JP 769193 A JP769193 A JP 769193A JP 3291506 B2 JP3291506 B2 JP 3291506B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な製紙用薬剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に水溶性高分子は、その分子量、イ
オン性等によって、濾水性向上剤、歩留向上剤、サイジ
ング剤、紙力増強剤、紙塗工剤、紙加工剤をはじめとす
る製紙用薬剤として製紙分野で大量に用いられている。
これらの薬剤は、特にパルプの使用増加と、パルプ原料
の多様化、製紙の高速化、製紙用排水処理等の観点から
一層重要性が増している。一方、中性抄紙やアルカリ性
抄紙に適する薬剤や用水のクローズド化に伴う悪化に対
応できる薬剤及びこれらの問題点を解決できる十分な技
術は確立されていない。
【0003】
【発明の目的】従って本発明の目的は、従来十分と言え
なかった中性抄紙やアルカリ性抄紙において、濾水性の
向上と填料の歩留向上、更に紙力増強効果の増大を達成
でき、また、クローズド系の抄紙の高塩類濃度用水につ
いても、従来解決できなかった高歩留化により、用水を
改善しながら、濾水性向上と紙力増強などの目的を達成
できる新規な製紙用薬剤を提供することにある。
【0004】
【発明の構成】上記目的を達成する本発明の製紙用薬剤
は、下記の構造式(I),(IIa ),(IIb ),(III
a),(IIIb)
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】 (ただし、上記式(I),(IIa ),(IIb ),(III
a),(IIIb)中、R1およびR2 は、それぞれ独立に水
素原子、メチル基、エチル基またはシクロヘキシル基で
あり、R3 は、水素原子、メチル基、エチル基またはベ
ンジル基であり、R4 およびR5 は、それぞれ独立に水
素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基であり、
Xは、アニオンである。)で示されるアリルアミン、そ
の無機酸塩および有機酸塩から選ばれるカチオン単位の
少なくとも1種と、下記の構造式(IV),(V),(V
I)
【化14】
【化15】
【化16】 (ただし上記式(IV),(V),(VI)中、R6 は、水
素またはメチル基であり、Yは、結合するカルボキシ基
ごとにそれぞれに対して独立に水素、Na、K、N
4 、1/2Ca、1/2Mg、1/2Fe、1/3A
lおよび1/3Feから選ばれるカチオンである)で示
されるアニオン単位から選ばれる少なくとも1種とを有
する両性高分子化合物からなることを特徴とする。
【0005】また本発明の製紙用薬剤は、上記両性高分
子化合物に、従来公知の非イオン性高分子化合物、カチ
オン性高分子化合物、アニオン性高分子化合物および両
性高分子化合物から選ばれる少なくとも1種を添加して
なることを特徴とする。本発明の製紙用薬剤は、中性抄
紙やアルカリ性抄紙及び用水クローズド系での抄紙にお
いて用いると、これらの抄紙法に固有の上述の問題点を
解決するものであるが、一般の酸性抄紙にも使用するこ
とができる。
【0006】本発明の製紙用薬剤において、必須成分で
ある両性高分子化合物は、構造式(I),(IIa ),
(IIb ),(IIIa),(IIIb)で示されるアリルアミ
ン、その無機酸塩および有機酸塩から選ばれるカチオン
単位の少なくとも1種と、構造式(IV),(V),(V
I)で示されるアニオン単位の少なくとも1種とを有す
るものであり、該両性高分子化合物は、下記のカチオン
系モノマーとアニオン系モノマーを共重合させることに
より得られる。
【0007】カチオン系モノマー カチオン系モノマーの具体例としては、以下のものが挙
げられる。 (1)モノアリルアミン、N−メチルアリルアミン、N
−エチルアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミ
ン、N,N−ジエチルアリルアミン、N−シクロヘキシ
ルアリルアミン、N,N−(メチル)シクロヘキシルア
リルアミン、N,N−(エチル)シクロヘキシルアリル
アミン、N,N−ジシクロヘキシルアリルアミンなどの
モノアリルアミン類
【0008】(2)ジアリルアミン、N−メチルジアリ
ルアミン、N−エチルジアリルアミン、N−ベンジルジ
アリルアミン、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、臭
化ジアリルジメチルアンモニウム、沃化ジアリルジメチ
ルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルジメチルアンモニ
ウム、塩化ジアリルジエチルアンモニウム、臭化ジアリ
ルジエチルアンモニウム、沃化ジアリルジエチルアンモ
ニウム、メチル硫酸ジアリルジエチルアンモニウム、塩
化ジアリルメチルベンジルアンモニウム、臭化ジアリル
メチルベンジルアンモニウム、沃化ジアリルメチルベン
ジルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルメチルベンジル
アンモニウム、塩化ジアリルエチルベンジルアンモニウ
ム、臭化ジアリルエチルベンジルアンモニウム、沃化ジ
アリルエチルベンジルアンモニウム、メチル硫酸ジアリ
ルエチルベンジルアンモニウム、塩化ジアリルジベンジ
ルアンモニウム、臭化ジアリルジベンジルアンモニウ
ム、沃化ジアリルジベンジルアンモニウム、メチル硫酸
ジアリルジベンジルアンモニウム、メチル硫酸ジアリル
ジベンジルアンモニウムなどのジアリルアミン類
【0009】前記モノアリルアミン類、ジアリルアミン
類においては夫々のアミン類の塩酸塩、硫酸塩、硝酸
塩、りん酸塩などの無機酸塩及び酢酸塩などの有機酸塩
等を共重合用の出発モノマーとして用いても良く、また
これらの塩類を出発モノマーとしては用いず、下記のア
ニオン系モノマーとの共重合後に上記の酸成分(無機酸
および有機酸)を添加混合することによって当該酸成分
を共重合体の中に含ませることが出来る。
【0010】アニオン系モノマー 一方、アニオン系モノマーとしては、フマル酸、マレイ
ン酸、シトラコン酸、イタコン酸またはそれらのナトリ
ウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩なとが挙げられ
る。
【0011】本発明の共重合体の特に好ましいものは、
上記カチオン系モノマーとして、モノアリルアミン、ジ
アリルアミン、N−メチルジアリルアミン、N−ベンジ
ルジアリルアミン、塩化ジアリルメチルアンモニウムの
うちの少なくとも1種を用い、これをアニオン系モノマ
ーのフマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸
のうちの少なくとも1種と共重合させて得られる共重合
体であり、この共重合体において、カチオン単位/アニ
オン単位の共重合モル比は5/1〜1/3が好ましく、
3/1〜1/2が特に好ましい。この共重合体の分子量
は1,000〜10,000,000である。
【0012】次に両性高分子化合物の製造方法について
述べる。先ずカチオン系モノマーとアニオン系モノマー
とを水に混合する。カチオン系モノマー/アニオン系モ
ノマーのモル比は、既述のように5/1〜1/3が好ま
しく、3/1〜1/2が特に好ましい。上記モル比が5
/1を超える場合および1/3に満たない場合、重合収
率が急速に低下する。重合時の水中におけるモノマー濃
度はモノマーの種類によって異なるが、通常10〜75
%である。
【0013】この共重合反応は、ラジカル重合反応であ
り、ラジカル重合触媒の存在下に行なわれる。ラジカル
重合触媒の種類は特に限定されるものでなく、t−ブチ
ルハイドロパーオキサイドなどの過酸化物、過硫酸アン
モニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過
硫酸塩、アゾビス系、ジアゾ系などの水溶性アゾ化合物
が挙げられる。
【0014】ラジカル重合触媒の添加量は一般的にはモ
ノマーに対して1〜5モル%、好ましくは1〜3モル%
である。重合温度は一般的には20〜100℃、好まし
くは35〜75℃であり、重合時間は一般的には20〜
150時間、好ましくは30〜100時間である。重合
雰囲気は、大気中でも重合性に問題を生じないが、窒素
などの不活性ガスの雰囲気で行なうこともできる。
【0015】本発明の製紙用薬剤は、上記カチオン系単
位とアニオン系単位とからなる両性高分子化合物単独の
みによって構成してもよいが、上記両性化合物に所望に
より従来公知の非イオン性高分子化合物、カチオン性高
分子化合物、アニオン性高分子化合物及び両性高分子化
合物から選ばれる少なくとも1種の成分(以下副次成分
という)を添加することによって構成することもでき
る。
【0016】これらの従来公知の高分子化合物としては
以下のものが挙げられる。非イオン性高分子化合物 非イオン性アクリルアミド系重合体:例えばポリアクリ
ルアミドまたはポリメタクリルアミドまたはポリビニル
アルコールまたはポリカルボン酸ビニルの部分加水分解
アニオン性高分子化合物 アニオン性アクリルアミド系重合体:例えばポリアクリ
ルアミドまたはポリメタクリルアミド部分加水分解物、
アクリル酸またはメタクリル酸とアクリルアミドまたは
メタクリルアミドとの共重合体およびその塩類、アクリ
ル酸またはメタクリル酸と、アクリルアミドまたはメタ
クリルアミドと、2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸またはビニルスルホン酸、ビニルメチル
スルホン酸との三元共重合体またはその塩類などカチオン性高分子化合物 ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルア
ミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキ
ルアクリルアミドもしくはジアルキルアミノアルキルメ
タクリルアミドまたはそれらの第4級化物または酸付加
塩の単独重合体、上記のモノマーとアクリルアミドまた
はメタクリルアミドとの共重合体、キトサンなどポリア
クリルアミド又はポリメタクリルアミドのマンニッヒ変
性物またはホフマン分解物、ジアリルジアルキルアンモ
ニウムクロリドの単独重合体または共重合体、ビニルア
ミンの単独重合体または共重合体、ビニルイミダゾリン
の単独重合体または共重合体、ポリエチレンイミン、エ
ピハロヒドリン−アミン縮合物、ジシアンジアミド−ホ
ルマリン縮合物、モノアリルアミンの単独重合体、ジア
リルアミンの単独重合体、N−アルキルジアリルアミン
の単独重合体など
【0017】両性高分子化合物 下記(A)〜(C)に例示のモノマー中の(A)に例示
のカチオンモノマーの少なくとも1種と(B)に例示の
アニオンモノマーの少なくとも1種との共重合体または
(A)に例示のカチオンモノマーの少なくとも1種と
(B)に例示のアニオンモノマーの少なくとも1種と
(C)に例示のノニオンモノマーの少なくとも1種との
共重合体など (A)ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアル
キルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノ
アルキルアクリルアミド、もしくはジアルキルアミノア
ルキルメタクリルアミドまたはそれの4級化物または酸
付加塩、ジアリルジアルキルアンモニウムハライド、ビ
ニルピリジン、アミノメチルスチレンなどのカチオンモ
ノマー (B)アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、
アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩類
などのアニオンモノマー (C)アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸
アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、カ
ルボン酸ビニルなどのノニオンモノマー 上記副次成分の非イオン、アニオン、カチオン、両性高
分子化合物の分子量は、用途によって異なるが、1,0
00〜20,000,000であるのが好ましい。
【0018】上記両性高分子化合物に上記副次成分を併
用して用いる時の混合比は、目的によって変えられるこ
とができるが、両性高分子化合物:副次成分=0.1:
99.9〜50:50が好ましい。
【0019】
【作用】本発明の製紙用薬剤の特性がいかなる作用によ
るものかは明らかではないが、本発明で用いた両性高分
子化合物の高い電荷密度と、安定した溶解性、pHの変
動に左右されない安定性が、パルプ繊維、填料および/
または高分子化合物との間で有効に働き、更に乾燥中に
余剰のアニオン基および/またはカチオン基が、他の高
分子化合物と、および/または分子内で強固な結合を形
成するためと推測される。
【0020】
【実施例】以下実施例によって本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。
【0021】本実施例で用いられる物質について、略号
を予め以下に示す。 AA:モノアリルアミン、DA:ジアリルアミン、MD
A:メチルジアリルアミン、DADMAC:塩化ジメチ
ルジアリルアンモニウム、MA:マレイン酸、FA:フ
マル酸、Mah:無水マレイン酸、IA:イタコン酸 DM(4):ジメチルアミノエチルメタクリレートの塩
化メチル四級塩、AcAm:アクリルアミド、AcA
d:アクリル酸、DA(4):ジメチルアミノプロピル
アクリルアミドの塩化メチル四級塩、HCl:塩酸、N
aOH:水酸化ナトリウム、APS:過硫酸アンモニウ
ム、V−50:アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩 上記の略号の中で、単量体の前にPをつけると、それは
高分子体を表す。例えば、PAcAm:ポリアクリルア
ミドを示す。
【0022】(合成例1)DA 97g(1mol)と
35%塩酸 104gの混合物中に、Mah 98g
(1mol)を添加し混合後、水85gで稀釈し、AP
S 4.5gを加えてN2 中、45℃、48時間重合反
応させた。メタノール沈殿法による両性高分子化合物の
収率は99%であった。N/10−NaOHを溶媒とし
て、濃度0.500g/dl、30℃で測定したこの両
性高分子化合物の固有粘度(以下断らない限り同じ条
件)は、1.50dl/gであった。本合成例で得られ
た両性高分子化合物をR1 とする。
【0023】(合成例2)AA 107g(1.874
mol)とMA 174g(1.899mol)を水1
10g中に混合し、APS 13gを添加してN2 中で
55℃で96時間、重合反応させた。反応終了後、メタ
ノール沈殿法で得られた両性高分子化合物の収率は88
%であった。本両性高分子化合物をR2 とする。固有粘
度は0.51dl/gを示した。
【0024】(合成例3)DADMAC、MA、25%
アンモニアを夫々16.5g(0.1mol),11g
(0.1mol),32g(0.05mol)混合し、
水11.5gを添加してから、APS 0.5gを重合
開始時と24時間後に二分割して添加することによっ
て、55℃、72時間反応させた。アセトン沈殿で得た
本両性高分子化合物の収量は、26.6gであった。固
有粘度は1.02を示した。この両性高分子化合物をR
3 とする。
【0025】(合成例4)MDA 55.6g(0.5
mol)とFA 34.8g(0.3mol)を水 8
4.8gに加えてスラリーとなし、45℃で溶解後、V
−50を2.5g添加し、55℃,70時間重合させ
た。本重合体の均一水溶液の一部をメタノールで沈殿さ
せて得た本両性高分子化合物の収率は、89%、固有粘
度は1.35gを示した。この両性高分子化合物をR4
とする。
【0026】(合成例5)DA 97.2g(1mo
l)、IA 130.1g(1mol)、水 227.
3gの混合物を調製後、55℃に昇温し、APS 2.
28gを添加、55℃で24時間重合させた。重合終了
後、反応物10.0gを取り300mlのアセトンに再
沈させて、4.99gの両性高分子化合物を得た(重合
率99.8%)。この重合体は、pHがおよそ1.8〜
3.8の間で水に不溶であった。この両性高分子化合物
をR5 とする。
【0027】本実施例で使用した、他の既知の高分子化
合物を略号と共に以下に示す。 K1 :P(DM(4)),およその分子量(以下MWと
略記する)130万 K2 :P(DA(4)),MW180万 K3 :AcAmとDM(4)の仕込みモル比が2:1の
共重合物,MW150万 N1 :P(AcAm),MW150万 A1 :AcAmとAcAdの仕込みモル比85:15の
共重合物,MW200万 A2 :PAcAmの部分加水分解物、MW150万 H1 :DA(4)とAcAdとAcAmの仕込みモル比
2:1:7の共重合物,MW260万 H2 :K1 とA1 の重合比1:3の混合物 P1 :ポリエチレンイミン((株)日本触媒、エポミン
P−1000),MW7万
【0028】(実施例1)本実施例は、前記合成例で得
た両性高分子化合物R1 〜R5 単独で、または該高分子
化合物と従来の製紙用の高分子系薬剤との混合物を用い
て、紙用添加剤、特に中性条件下での濾水性向上剤及び
填料やサイズ剤他の歩留向上剤としての有用性を評価し
たものである。比較に用いた従来の高分子系薬剤での結
果(比較例1)と共に、実施例1の結果を表1に示す。
【0029】抄紙条件 パルプ:NBKP,pH9.2、填料:重質炭酸カルシ
ウム、パルプ/填料=100/30、サイズ剤:AKD
型(パルプスラリーに対して0.2%添加)、薬剤添加
順:パルプ→填料→サイズ剤→製紙用添加剤(パルプス
ラリーに対して500ppm)→シートマシーン抄紙
(タッピ角型)、プレス:4kg/cm2 (1分)、乾
燥:ドラム型ドライヤー(100℃,2分)、坪量:6
0g/m2 測定法 (1)ステキヒトサイズ度:JIS−P8112、
(2)濾水度:JIS−P8121(フリーネステスタ
ー)、(3)歩留度:650℃、1時間焼成,(4)炭
酸カルシウム分散性:目視テストにて評価
【0030】
【表1】
【0031】表1より明らかなように、両性高分子化合
物R1 〜R5 を単独で用いた場合および従来公知の製紙
用高分子化合物と組み合わせた場合のいずれにおいて
も、歩留度、炭酸カルシウム(填料)分散性、濾水性、
ステキヒトサイズ度ともに満足すべき結果を与えた。こ
れに対し、従来の製紙用高分子化合物のみを使用した比
較例1では、いずれも歩留度、填料分散性、濾水性、ス
テキヒトサイズ度の少なくとも1つにおいて劣ってい
た。
【0032】(実施例2)カナディアンスタンダードフ
リーネス(CSF)405mlの故紙解叩パルプ(パル
プスラリー濃度2.5%)に液状硫酸バンド(8%,以
下同じ)をパルプに対して2%添加した。引き続いて前
記合成例で得られた両性高分子化合物、又はこれらと既
存の製紙用高分子薬剤との混合物を、パルプに対して4
00ppm添加した後、以下の条件で抄紙し、比破裂強
度を測定した。その結果を表2に示す。又、従来用いら
れている高分子での結果も比較例2として示した。
【0033】抄紙条件 パルプ:ダンボール由来の故紙(CSF 405m
l)、パルプスラリー濃度:2.5%、液体硫酸バン
ド:パルプ対して2%、薬剤添加順:パルプ→液体硫酸
バンド→紙力増強剤(高分子)→シートマシーン抄紙
(タッピ角型,pH5.7)、坪量:90g/m2 測定条件 比破裂強度:JIS−P8112
【0034】
【表2】
【0035】表2より、本実施例で得られた紙は、比較
例で得られた紙よりも比破裂強度が高いことが明らかで
ある。
【0036】(実施例3)ダンボール中芯由来パルプ
(故紙パルプ100%)を用いて、合成例で得られた両
性高分子化合物、及び該両性高分子化合物と従来の製紙
用高分子化合物との混合物を用いて下記の抄紙条件で抄
紙した。実施例1〜2で記した方法で測定した比破裂強
度、濾水量及び乾燥直前の紙の含水率についての結果を
表3に示す。又、従来用いられている高分子での結果も
比較例3として示した。
【0037】抄紙条件 パルプスラリー濃度:1.5%、温度:35℃、pH:
5.0(液状硫酸バンド添加時)又は6.3(無添
加)、用水:A製紙工場のもの(クローズド系用水/水
道水=8/2)、薬剤添加順:パルプ→(液状硫酸バン
ド)→製紙用薬剤(高分子)→シートマシーン抄紙(タ
ッピ角型)、坪量:125g/m2 、乾燥:ドラム型ド
ライヤー(110℃,2分)
【0038】
【表3】
【0039】表3より、本実施例の製紙用薬剤は、得ら
れた抄紙物の比破裂強度、濾水量、含水率のいずれも比
較例のものより優れているということが明らかとなっ
た。
【0040】
【発明の効果】本発明の製紙用薬剤は、従来十分と言え
なかった中性抄紙やアルカリ性抄紙において、濾水性の
向上と填料の歩留向上、更に紙力増強効果の増大を達成
でき、また、クローズド系の抄紙の高塩類濃度用水につ
いても、従来解決できなかった高歩留化により、用水を
改善しながら、濾水性向上と紙力増強などの目的を達成
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の構造式(I),(IIa ),(IIb
    ),(IIIa),(IIIb) 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 (ただし、上記式(I),(IIa ),(IIb ),(III
    a),(IIIb)中、R1およびR2 は、それぞれ独立に水
    素原子、メチル基、エチル基またはシクロヘキシル基で
    あり、R3 は、水素原子、メチル基、エチル基またはベ
    ンジル基であり、R4 およびR5 は、それぞれ独立に水
    素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基であり、
    Xは、アニオンである。)で示されるアリルアミン、そ
    の無機酸塩および有機酸塩から選ばれるカチオン単位の
    少なくとも1種と、下記の構造式(IV),(V),(V
    I) 【化6】 【化7】 【化8】 (ただし上記式(IV),(V),(VI)中、R6 は、水
    素またはメチル基であり、Yは、結合するカルボキシ基
    ごとにそれぞれに対して独立に水素、Na、K、N
    4 、1/2Ca、1/2Mg、1/2Fe、1/3A
    lおよび1/3Feから選ばれるカチオンである)で示
    されるアニオン単位の少なくとも1種とを有する両性高
    分子化合物からなることを特徴とする製紙用薬剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の両性高分子化合物に、非
    イオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、アニ
    オン性高分子化合物および両性高分子化合物から選ばれ
    る少なくとも1種を添加してなることを特徴とする製紙
    用薬剤。
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