JP3290855B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、MOS構造を有す
る半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、Na+ 、K+ 等に代表される
可動イオンが、半導体装置内において配線や基板の電位
に対応して移動するため、装置の動作に伴い装置の特性
を変化させてしまうことが知られている。これらの可動
イオンは、半導体装置の製造工程において、様々な製造
装置から半導体装置内へ侵入する。
【0003】とくにMOSトランジスタやMOSキャパ
シタなどMOS( Metal-Oxide-Semiconductor)構造を
利用した半導体装置においてゲ−ト酸化膜中にこの可動
イオンが侵入すると、ゲ−ト電位に応じて電荷を帯びた
イオンが酸化膜中を移動するために、キャパシタ特性や
しきい値電圧を変化させ、装置の正常な動作を妨げると
いう問題が発生する。
【0004】また、浮遊ゲ−ト電極に電荷を蓄積してデ
−タを保持するNAND型EEPROMにおいては、負
電位となっている浮遊ゲ−ト電極内へNa+ イオンが侵
入すると、正電荷を有する可動イオンが浮游ゲ−ト電極
中に蓄積されている電子を電気的に相殺し、浮遊ゲ−ト
電極の電荷量を変化させてしまうため、デ−タを正確に
読みだすことができないという問題を生じる。
【0005】図4に、一例として従来のMOSキャパシ
タの製造方法を示す。シリコン基板1を酸化した後、酸
化膜2上に例えば不純物を添加した多結晶シリコン膜3
を堆積し、この多結晶シリコン膜3をパタ−ニング加工
し、さらに後酸化を行う(図4の(a))。この後、平
坦化用の層間絶縁膜として、例えばBPSG膜(ボロン
とリンを含む酸化膜)膜5を堆積し、例えば熱処理とエ
ッチング等により平坦化工程を行い(図4の(b))、
この後に通常の方法により配線を形成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようにして形成さ
れた従来のMOSキャパシタにおいては、層間絶縁膜の
BPSG膜またはPSG膜中に可動イオンが侵入し、安
定な動作を妨げるという問題があった。本発明の目的
は、層間絶縁膜中の可動イオンを低減し、動作の安定性
に優れた半導体装置の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために、本発明の半導体装置の製造方法は、半
導体基板上に形成された素子を覆うように絶縁膜を形成
する工程と、前記絶縁膜上に導電膜を形成する工程と、
次に前記半導体基板と前記導電膜間に前記導電膜側が負
電位となるような電圧を印加する工程と、次に前記導電
膜を除去する工程と、次に可動イオンが集積して前記可
動イオンの含有濃度が上昇した前記絶縁膜の部分または
前記絶縁膜の全部を除去する工程とを具備することを特
徴とする。
【0008】このように本発明による半導体装置の製造
方法では、半導体基板と導電膜の間に印加された電圧に
より電界が形成され、この電界により可動イオンが導電
膜の方向に向かって絶縁膜中を移動し導電膜近傍に集積
するため、この可動イオンが集積してその含有濃度が高
くなった部分を除去することにより、残存する絶縁膜中
に存在する可動イオンの濃度を低減することができる。
このため、装置の動作中に可動イオンが移動することを
防止し、装置の動作を安定させることができる。
【0009】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、M
OSキャパシタを例として図面を参照して説明する。図
1に第1の実施の形態によるMOSキャパシタの工程断
面図を示す。
【0010】従来と同様に半導体基板1を酸化した後、
酸化膜2上に例えば不純物を添加した多結晶シリコン膜
3を堆積し、この多結晶シリコン膜3をパタ−ニング加
工し、さらに後酸化を行い、後酸化膜4を形成する(図
1の(a))。
【0011】次に、平坦化用の層間絶縁膜として、例え
ばBPSG膜5を堆積し、例えば熱処理またはエッチン
グ等を用いた通常の平坦化工程により平坦化を行う。こ
の後、従来と異なり、BPSG膜5上に導電膜6を堆積
し(図1の(b))、半導体基板1と導電膜6の間に、
導電膜6側が負電位となるように電圧を印加する。この
ようにして電界を生成することによって、BPSG膜5
中に存在するNa+ 、K+ 等の可動イオンが導電膜6側
に移動し、BPSG膜5中の導電膜6側には可動イオン
濃度の高い領域5aが、BPSG膜5中の後酸化膜4側
には可動イオン濃度の低い領域5bが形成される。(図
1の(c))。
【0012】次に、導電膜6を除去し、さらにBPSG
膜5のうち、高濃度に可動イオンが含まれる領域5aを
除去し(図1の(d))、その後は、残存したBPSG
膜5bを層間絶縁膜として、通常の方法により配線等を
形成する。
【0013】ここで、BPSG膜のエッチング膜厚は、
可動イオンの濃度分布に従い、可動イオンが充分に除去
できる程度とする。この可動イオンの濃度分布は、印加
電圧と時間に依存し、電圧が高い程(すなわち生成され
る電界が大きい程)、また印加時間が長い程、可動イオ
ンはBPSG膜5中の導電膜6に近い部分のより狭い範
囲に集中する。したがって、この場合はエッチング量も
より少なくてよい。
【0014】このような形成方法によれば、電圧を印加
することによってBPSG膜5中の可動イオンは導電体
6側のBPSG膜5aに集積し、このBPSG膜5aと
共に可動イオンを除去するため、残存するBPSG膜5
b中の可動イオン含有量を非常に低減することができ
る。このような可動イオン含有量の少ないBPSG膜を
層間絶縁膜として用いることにより、可動イオンに起因
する装置の誤動作という問題を防止することができる。
【0015】次に、2層の層間絶縁膜を用いた本発明に
よる第2の実施の形態を説明する。後酸化膜4を形成す
る工程までは第1の実施の形態と同様に行う(図2の
(a))。
【0016】この後、後酸化膜4上に第1の層間絶縁膜
として、PSG膜(リンを含有する絶縁膜)7を堆積し
熱処理等により平坦化を行った後、さらにこのPSG膜
7上にBPSG膜5を堆積し、導電膜6を形成する(図
2の(b))。
【0017】ここで第1の実施の形態と同様に、半導体
基板1と導電膜6の間に、導電膜6側が負電位となるよ
うに電圧を印加する。このようにして、PSG膜7中に
存在するNa+ 、K+ 等の可動イオンが導電膜6に向か
って移動し、BPSG膜5中に集積する(図2の
(c))。
【0018】この後、導電膜6を除去し、さらに高濃度
に可動イオンが含まれるBPSG膜5を除去し(図1の
(d))、その後は通常の方法により配線を形成する。
すなわち、例えばPSG膜7のみを層間絶縁膜として用
いることもできるし、または、PSG膜上にさらに他の
絶縁膜を形成して層間絶縁膜とすることも可能である。
【0019】ここで、BPSG膜7の膜厚は、電圧印加
後の可動イオンの濃度分布に従い、ほとんどの可動イオ
ンがBPSG膜中に集積されるように、適宜設定する。
このように、BPSG膜5およびPSG膜7の2層の層
間絶縁膜を形成し、電圧を印加することにより、導電膜
6側に形成されているBPSG膜6に可動イオンを集積
し、このBPSG膜6を除去することにより、残存する
PSG膜7中の可動イオン含有量を低減することができ
る。このような可動イオン含有量の少ないPSG膜7を
層間絶縁膜として用いることにより、可動イオンに起因
する装置の誤動作という問題を防止することができる。
【0020】さらに本実施の形態では、BPSG膜6の
エッチングがPSG膜7のエッチングに対して選択比を
有するようなエッチングの条件を設定することにより、
エッチング膜厚を制御することができる。このようにす
れば、層間絶縁膜の堆積膜厚やエッチングレ−トの面内
ばらつきに起因して、例えばゲ−ト電極3が露出してし
まいこの層間絶縁膜上に形成される配線層とゲ−ト電極
3が短絡することを防止することができる。
【0021】さらに、本発明による第3の実施の形態と
して、ゲ−ト酸化膜2中に存在する可動イオンを除去す
る方法を説明する。第1の実施の形態と同様に、後酸化
膜4を形成する(図3の(a))。
【0022】さらに、後酸化膜4上にBPSG膜5を堆
積し、平坦化を行った後、BPSG膜5上に導電膜6を
形成する(図3の(b))。ここで半導体基板1と導電
膜6の間に、導電膜6側が負電位となるように電圧を印
加する工程までは第1の実施の形態と同様に行う。この
ようにして、ゲ−ト酸化膜2中に存在するNa+ 、K+
等の可動イオンが導電膜6に向かって移動し、BPSG
膜5中に集積する。(図3の(c))。
【0023】次に、導電膜6を除去し、第1の実施の形
態と異なり、さらに可動イオンが集積したBPSG膜5
をすべて除去する(図3の(d))。この後、可動イオ
ンの含有量の少ないTEOS(テトラエトキシシラン)
膜8を堆積し、平坦化を行い(図3の(e))、その後
は通常の方法により配線を形成する。
【0024】この第3の実施の形態においては、BPS
G膜5は除去されるが、電圧を印加することにより、B
PSG膜5内の可動イオンが移動するとともにゲ−ト酸
化膜2中の可動イオンもBPSG膜5中に集積され、こ
のBPSG膜5を除去することにより、可動イオンを除
去することができる。このようにして、ゲ−ト酸化膜2
中の可動イオンを除去することにより、可動イオンに起
因したMOSキャパシタやMOSトランジスタの誤動作
を防止することができる。
【0025】なお、上記いずれの実施の形態において
も、BPSG膜5等の堆積膜厚は、このBPSG膜5を
堆積する前に形成されている素子による段差に応じて適
宜設定する。
【0026】基板1と導電膜6の間の電界が小さい場合
には、可動イオンの移動に時間がかかるため、効率が低
下してしまう。これを考慮して、基板1と導電膜6の間
の電界を1MV/cm程度にすることが好ましい。実際
に印加する電圧は、BPSG膜5等の層間絶縁膜の膜厚
とその誘電率により異なる。しかしながら、印加電圧に
よって絶縁破壊が生じないように、例えばゲ−ト酸化膜
2が高電界により破壊されないように、ゲ−ト酸化膜2
にかかる電界を10MV/cm以下とする必要がある。
【0027】さらに、可動イオンを高濃度に含有したB
PSG膜5a等の除去方法は、たとえば弗酸(HF)等
を用いたウェットエッチング、たとえばCF4 等の反応
ガス、活性イオン、ラジカル等を用いたドライエッチン
グ、さらにCMP(化学機械研磨)法などを使用するこ
とができる。ただし、ウェットエッチング法を用いた場
合、BPSG膜と共に除去された可動イオンがエッチン
グ液中に遊泳し、BPSG膜の表面に付着する可能性が
あるため、この可動イオンを取り除く処理が必要とな
る。
【0028】また、可動イオンを高濃度に含有したBP
SG膜5a等を除去した後に、配線を形成する前に、例
えばTEOS膜等の可動イオンの含有量が少ない膜を堆
積することも可能である。
【0029】なお、本実施の形態においては、MOSト
ランジスタを例として説明したが、本発明による半導体
装置の製造方法は、キャパシタや種々のメモリ−セル
等、どのような素子にも適用することが可能である。
【0030】また、本実施の形態では絶縁膜として、B
PSG膜5、PSG膜7、TEOS膜8を使用したが、
これ以外の絶縁膜を用いることも可能である。また、第
2の実施の形態において、PSG膜7とBPSG膜5の
2層の絶縁膜を使用したが、3層以上の絶縁膜を形成
し、最上層の絶縁膜に可動イオンを集積し、この絶縁膜
を除去することにより可動イオンを除去しても構わな
い。さらに最上層だけでなく複数層の絶縁膜を除去する
ことも可能である。
【0031】さらに、導電膜6は基板のほぼ全面に形成
しても一部に形成しても構わないが、可動イオンをより
早く集積することができ、またパタ−ニング工程を必要
としないため、導電膜を全面に形成する方が好ましい。
また、電圧を印加する時の温度、雰囲気は特に限定しな
いが、高温である程可動イオンが早く移動するため、効
率良く可動イオンを集積することができる。
【0032】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、層間絶
縁膜中の可動イオンを低減し、動作の安定性に優れた半
導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施の形態を示す断面図。
【図2】本発明による第2の実施の形態を示す断面図。
【図3】本発明による第3の実施の形態を示す断面図。
【図4】従来の半導体装置の製造方法を示す断面図。
【符号の説明】
1…半導体基板、2…酸化膜、3…ゲ−ト電極、4…後
酸化膜、5…BPSG膜、6…導電膜、7…PSG膜、
8…TEOS膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 27/04 27/108 29/786 (56)参考文献 特開 平6−216154(JP,A) 特開 昭49−42283(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/78 H01L 21/316 H01L 21/336 H01L 21/822 H01L 21/8242 H01L 27/04 H01L 27/108 H01L 29/786

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に形成された素子を覆うよ
    うに絶縁膜を形成する工程と、 前記絶縁膜上に導電膜を形成する工程と、次に 前記半導体基板と前記導電膜間に前記導電膜側が負
    電位となるような電圧を印加する工程と、次に 前記導電膜を除去する工程と、次に可動イオンが集積して前記可動イオンの含有濃度が
    上昇した 前記絶縁膜の部分または前記絶縁膜の全部を除
    去する工程とを具備することを特徴とする半導体装置の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 半導体基板上に形成された素子を覆うよ
    うに絶縁膜を形成する工程と、 前記絶縁膜上に導電膜を形成する工程と、次に 前記半導体基板と前記導電膜間に前記導電膜側が負
    電位となるような電圧を印加する工程と、次に 前記導電膜を除去する工程と、次に可動イオンが集積して前記可動イオンの含有濃度が
    上昇した 前記絶縁膜の部分または前記絶縁膜の全部を除
    去する工程と、 残存する前記絶縁膜上または露出された前記素子上に可
    動イオンの含有量が少ない絶縁膜を形成する工程とを具
    備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記可動イオンの含有量が少ない絶縁膜
    はテトラエトキシラン膜である前記請求項2記載の半導
    体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 半導体基板上に形成された素子を覆うよ
    うに複数層の絶縁膜を形成する工程と、 前記複数層の絶縁膜上に導電膜を形成する工程と、次に 前記半導体基板と前記導電膜間に前記導電膜側が負
    電位となるような電圧を印加する工程と、次に 前記導電膜を除去する工程と、次に前記絶縁膜中の可動イオンが集積した 前記複数層の
    絶縁膜の最上層の絶縁膜を除去する工程とを具備するこ
    とを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記複数層の絶縁膜の最上層の絶縁膜を
    除去する工程において、少なくとも前記最上層のエッチ
    ングレートはその下層の絶縁膜のエッチングレートに比
    べて大きい前記請求項4記載の半導体装置の製造方法。
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