JP3290335B2 - 水硬性組成物 - Google Patents

水硬性組成物

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JP3290335B2
JP3290335B2 JP16398295A JP16398295A JP3290335B2 JP 3290335 B2 JP3290335 B2 JP 3290335B2 JP 16398295 A JP16398295 A JP 16398295A JP 16398295 A JP16398295 A JP 16398295A JP 3290335 B2 JP3290335 B2 JP 3290335B2
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達男 泉
穂高 山室
伸 村原
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P40/00Technologies relating to the processing of minerals
    • Y02P40/10Production of cement, e.g. improving or optimising the production methods; Cement grinding

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  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高流動性を有した締め固
め不要な水硬性組成物およびその製造方法に関するもの
である。更に詳しくは建築材料および二次製品材料とし
て使用するコンクリート、モルタルおよびペーストの粘
性および流動性を高め、骨材、セメント、水の分離抵抗
性に優れた性状を与えるもので、バイブレーター等の振
動による締め固め不要な水硬性組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
らコンクリート組成物の施工方法としては、鉄筋を配筋
した型枠内へコンクリートを投入してバイブレーターの
振動により締め固めを行うのが一般的である。しかし、
近年打設時のバイブレーターによる騒音公害、更にコン
クリート業界の人手不足が問題となっている。これらの
問題点に対し、振動締め固めの不要な自己充填性を持つ
コンクリートの研究が始まっているが、技術的にまだ実
用化に至っていないのが現状である。
【0003】一般にコンクリートの流動性を高めると骨
材分離を生じ、粗骨材が絡み合って充填性が悪くなるば
かりでなく、均一なコンクリートが得られないことから
強度低下をきたす。また、水中コンクリートのように増
粘剤を多量に添加したコンクリート配合では、骨材分離
は抑制されるものの粘性が著しく高くなり (例えば特公
昭62-35984号公報に開示された水中施工用コンクリート
組成物では、コンクリートの練り混ぜ水の粘度が 500〜
5000cps である。) 、充填作業が困難になるばかりでな
く、増粘剤の性質である硬化時間の遅延による初期強度
の発現が遅いことから、建築や土木、特に二次製品への
応用は困難な状況である。
【0004】近年ハイパーフォーマンスコンクリートの
名称で報告〔コンクリート工学年次論文報告集、63〜68
頁(1989)〕されている締め固め不要のコンクリート組成
物は、高炉スラグやフライアッシュ等の微粉末を多量に
添加して、更に増粘剤を加えたもので、前記の水中コン
クリートと比較して硬化時間が改善されているが、粉末
量が多いことから水量を多く必要とし、また、水/セメ
ント比が 100%の原料であるため、早期脱型を必要とす
る二次製品への使用は困難な状況である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは高流動性で
分離抵抗が大きく、自己充填性があり、且つ硬化遅延に
よる強度への影響が少ない自己充填用コンクリート組成
物を得るために鋭意検討の結果、本発明を完成するに至
ったものである。
【0006】すなわち本発明は、分子内に6〜30個の炭
素原子を有する1価アルコールにエチレンオキサイド
とプロピレンオキサイドを、付加モル比がエチレンオキ
サイド80モル%以上、プロピレンオキサイド20モル%以
下で、10〜1000モル(平均付加モル数)付加したポリア
ルキレンオキサイド誘導体からなる水溶性高分子(a)、
高性能減水剤(b)および水硬性粉体(c)を含有することを
特徴とする水硬性組成物を提供するものである。
【0007】本発明の水硬性組成物を締め固め不要のコ
ンクリートとして用いる場合、JISA 1101に規定するス
ランプ試験において、スランプフロー値が50cm以上を必
要とする。十分な充填性を確保するためにはスランプフ
ロー値50〜70cmが好ましい。スランプフロー値が50cm未
満では十分な充填性を確保できない。スランプフロー値
が70cmを超えるとセメントペーストと砂利との分離を引
き起こし、鉄筋間で砂利による閉塞が生じてしまい、そ
の結果十分な充填性が得られない。
【0008】本発明における水硬性粉体としては、セメ
ント、または粉末度3,000cm2/g以上の微粉体とセメント
の混合物が良い。粉末度3,000cm2/g以上の微粉末として
は、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム、石
粉等の群から選ばれる1種または2種以上の微粉末が使
用されるが、コスト面および供給面を考慮すると、高炉
スラグ、フライアッシュおよび石粉が望ましい。微粉末
の粉末度は分離抵抗性の点から比表面積が高いほど良
く、例えば、高炉スラグの場合 5,000〜10,000cm2/g が
好ましい。粉末度がこの範囲以下であっても配合量を多
くすることで所定の分離抵抗性を得られる。
【0009】本発明において分子内に6〜30個の炭素原
子を有する1価アルコールの代表的な例としては、ドデ
シルアルコール、トリデシルアルコール、ヘキサデシル
アルコール、2−ヘキシルデシルアルコール、オクタデ
シルアルコールのような1価の脂肪族アルコール、アビ
エチルアルコールのような脂環式1価アルコール等で、
これらの一種または二種以上の混合物を使用し得る。
【0010】(a) 成分として本発明に使用するのに適し
たアルキレンオキサイド付加物は上記の如き分子内に6
〜30個の炭素原子を有する1価アルコールに、エチレン
オキサイド単独、またはエチレンオキサイドとプロピレ
ンオキサイドの両者をランダムあるいはブロック状に10
〜1000モル(平均付加モル数)を付加せしめたものであ
る。
【0011】アルキレンオキサイドとしては、エチレン
オキサイドとプロピレンオキサイドが適しており、両者
の付加モル比はエチレンオキサイド80モル%以上、プロ
ピレンオキサイド20モル%以下である。また平均付加モ
ル数は 100〜500 モルが性能上好ましい。尚、本発明に
使用するのに適したアルキレンオキサイドは、製造の際
に副生するポリアルキレンオキサイドを含有していても
性能発現に問題はない。
【0012】水溶性高分子(a) の添加量は、分子中のア
ルキレンオキサイドの長さによって最適量が異なるが、
水硬性組成物を製造する際に必要な水量に対して0.01〜
10.0重量%が適当である。
【0013】本発明の水硬性組成物においては、高流動
性 (スランプフロー値:50cm以上)を得るために、高性
能減水剤(b) をセメントに対して有効分で 0.3〜3.0 重
量%添加する。本発明で使用可能な高性能減水剤として
は、下記 (1)〜(3) に示されるものが特に好ましい。
【0014】(1) ナフタレン、メラミン、フェノール、
尿素およびアニリンの何れかのメチロール化物およびス
ルホン化物の群から選ばれる一種または二種以上の化合
物のホルムアルデヒド縮合物(以下、共重合体Aとい
う)が挙げられ、例えば、ナフタレンスルホン酸金属塩
ホルムアルデヒド縮合物〔例えば、マイテイ 150:花王
(株)製〕、メラミンスルホン酸金属塩ホルムアルデヒ
ド縮合物〔例えば、マイテイ150-V2:花王(株)製〕、
フェノールスルホン酸ホルムアルデヒド化合物 (特許N
o.1097647号に記載の化合物等) 、フェノール・スルフ
ァニル酸ホルムアルデヒド共縮合物 (特開平1-113419号
公報に記載の化合物等) 等が挙げられる。
【0015】(2) 不飽和モノカルボン酸およびその誘導
体、不飽和ジカルボン酸およびその誘導体の群から選ば
れる1種または2種以上の単量体を重合して得られる重
合体または共重合体 (特公平2-7901号、特開平3-75252
号、特公平2-8983号に記載の化合物等) (以下、共重合
体Bという)が挙げられる。
【0016】(3) 下記一般式(1) で表される単量体(C
−1)と、下記の一般式(2) および(3) で表される化合
物の中から選ばれる一種類以上の単量体(C−2)とを
重合して得られる共重合体(以下、共重合体Cという)
が挙げられる。
【0017】
【化3】
【0018】〔式中、 R1, R2:水素、メチル基 m1:0から2の整数 AO:炭素数2から3のオキシアルキレン基 n:2から300 の整数 X:水素または炭素数1から3のアルキル基 を表す。〕
【0019】
【化4】
【0020】〔式中、 R3, R4, R5:水素、メチル基、(CH2)m2COOM2 R6:水素、メチル基 M1,M2, Y :水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、
アンモニウム、アルキルアンモニウムまたは置換アルキ
ルアンモニウム m2:0から2の整数 を表す。〕本発明の共重合体(C)において、一般式
(1) で表される単量体(C−1)としては、メトキシポ
リエチレングリコール、メトキシポリエチレンポリプロ
ピレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、
エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、プロ
ポキシエチレングリコール、プロポキシポリエチレンポ
リプロピレングリコール等の片末端アルキル封鎖ポリア
ルキレングリコールとアクリル酸、メタクリル酸または
脂肪酸の脱水素(酸化)反応物とのエステル化物やアク
リル酸、メタクリル酸または脂肪酸の脱水素(酸化)反
応物へのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付
加物が用いられる。
【0021】ポリアルキレングリコールのモノマーの繰
返しは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダ
ム、ブロック、交互の何れでも用いることができる。ま
た、ポリアルキレングリコールのモノマーの繰返しモル
数は 110〜300 であると、硬化遅延の短縮、高流動性、
高充填性、高分離低減性の面で特に好ましい。
【0022】また、一般式(2) で表される化合物として
は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびこれ
らの金属塩が挙げられる。また、不飽和ジカルボン酸系
単量体として、無水マレイン酸、マレイン酸、無水イタ
コン酸、イタコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン
酸、フマル酸、またはこれらのアルカリ金属塩、アルカ
リ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、置換アミン
塩が使用される。
【0023】また、一般式(3) で表される化合物として
は、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、またはこ
れらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニ
ウム塩、アミン塩、置換アミン塩が使用される。
【0024】本発明の共重合体(C)を構成する単量体
(C−1)と単量体(C−2)の反応単位は、単量体
(C−1)/単量体(C−2) = 0.1/100 〜 100/10
0(モル比) の範囲が特に、流動性と分離抵抗性に優れ
る。上記のモル比が 0.1/100 よりも小さい場合は流動
性が低下傾向になり、 100/100 よりも大きい場合は分
離抵抗性が低下傾向となる。
【0025】本発明の共重合体(C)の製造法は公知の
方法で製造することができる。例えば、特開昭59-16216
3 号、特公平2-11542 号、特公平2-7901号、特公平2-78
97号等の溶媒重合法が挙げられる。溶媒重合法において
用いる溶剤としては、水、メチルアルコール、エチルア
ルコール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、脂肪族
炭化水素、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン
等が挙げられる。取扱と反応設備から考慮すると水およ
び1〜4級アルコールが好ましい。
【0026】水系の重合開始剤としては、アンモニウム
またはアルカリ金属の過硫酸塩あるいは過酸化水素等の
水溶性の開始剤が使用される。水系以外の溶剤を用いる
溶媒重合にはベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド等が重合開始剤として使用される。
【0027】また、重合開始剤と併用して、促進剤とし
て亜硫酸水素ナトリウムやメルカプトエタノールやアミ
ン化合物を使用することも可能であり、これら重合開始
剤あるいは促進剤を適宜選択して用いることができる。
【0028】本発明の共重合体(C)の重量平均分子量
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法/ポリス
チレンスルホン酸換算) は 3,000〜1,000,000 の範囲が
良く、 5,000〜100,000 がより好ましい。分子量が大き
すぎると流動性が低下し、また分子量が小さすぎると分
離抵抗性が低下傾向を示す。
【0029】さらに本発明における共重合体(C)は、
本発明の効果を損なわない範囲内で他の共重合可能な単
量体と反応させてもよい。例えば、アクリロニトリル、
アクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、スチレン、スチレンスルホン酸等が挙げられる。
【0030】また、高性能減水剤(b) である上記のごと
き共重合体(A)〜(C)は、任意の割合で組み合わせ
て用いることができるが、(A)と(B)を併用する場
合は有効物質として(B)/(A)=60/40〜99/1が
好ましい。
【0031】本発明の水硬性組成物においては、水溶性
高分子(a) と高性能減水剤(b) の重量比は水溶性高分子
/高性能減水剤=95/5〜5/95が好ましく、90/10〜
30/70がより好ましい。
【0032】本発明の水硬性組成物は、コンクリート成
形体に使用される。コンクリート成形体は特に限定され
るものではなく、通常バイブレーターによって締め固め
られている成形体が対象となる。
【0033】本発明における高性能減水剤のセメント配
合物への添加方法は、水溶液または粉末のどちらの状態
でも可能であり、その添加時期は、セメントとのドライ
ブレンド、混練水への溶解、またはセメント配合物の混
練開始期、即ちセメントへの注水と同時もしくは注水直
後からセメント配合物の混練終了までの間に添加するこ
とも可能であり、一旦練り上がったセメント配合物への
添加も可能である。また、一時に全量添加する方法ある
いは数回に分割して添加する方法のどちらの方法でも可
能である。
【0034】公知の分散剤を併用する場合は、リグニン
スルホン酸またはその塩、オキシカルボン酸またはその
塩、ポリカルボン酸またはその塩、およびポリアルキル
無水カルボン酸またはその塩(例えば、特公昭63-5346
号、特開昭62-83344号、特開平1-270550号)などと予め
混合しておいても良く、また、一方をセメントまたはセ
メント配合物に配合した後、あるいは一方をセメントま
たはセメント配合物に配合して練っておいてから他方を
配合しても良い。
【0035】また、他のセメント添加剤(材)、例え
ば、徐放性分散剤、AE減水剤、流動化剤、高性能減水
剤、遅延剤、早強剤、促進剤、起泡剤、発泡剤、消泡
剤、保水剤、増粘剤、セルフレベリング剤、防水剤、防
錆剤、着色剤、防黴剤、ひび割れ低減剤、高分子エマル
ション、その他の界面活性剤、その他の水溶性高分子、
膨張剤(材)、グラスファイバーおよびこれらの複数の
併用も可能である。
【0036】
【発明の効果】本発明の水硬性組成物によれば、高流動
性、骨材分離抵抗性、強度の確保が可能となることか
ら、コンクリートの使用方法、コンクリートの施工方法
が飛躍的に改善され、特にコンクリート製品の製造にお
いては騒音解消、製造合理化への波及効果が大きい。
【0037】
【実施例】以下に製造例および実施例を挙げ本発明を説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。尚、特にことわりのない限り、以下の実施例にお
ける「%」は「重量%」であり、アルキレンオキサイド
の付加モル数は平均付加モル数である。
【0038】実施例1 <材料> 水 (W) :水道水 セメント(C):普通ポルトランドセメント(比重 3.17) 細骨材(S) :紀ノ川産砂(比重 2.57) 粗骨材(G) :宝塚産砕石(比重 2.62) 微粉末(F) 高炉スラグ :比表面積 8,000cm2/g、比重 2.90 フライアッシュ:比表面積 3,600cm2/g、比重 2.90 石粉 :比表面積 3,500cm2/g、比重 2.70 <コンクリートの練り混ぜ方法> セメント分散剤を予め練り混ぜ水に溶解し、20℃にて 1
00リットルの傾胴ミキサーを用い、50リットルのコンク
リートを3分間混練した後、スランプフローと骨材分離
抵抗性を測定した。上記の材料を用いて調製したコンク
リート組成物の配合組成、使用した減水剤および水溶性
高分子を表1〜3に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】製造例1 商品名カルコール86〔花王(株)製、ステアリルアルコー
ルとセタノールの混合物〕を窒素雰囲気下、 140℃でア
ルカリ触媒を用いてエチレンオキサイドを 200モル付加
させた。
【0043】製造例4 製造例1に準じてパルミチルアルコールにエチレンオキ
サイドを 750モル付加させた。
【0044】製造例5 製造例1に準じてアビエチルアルコールにエチレンオキ
サイドを20モル付加させた。
【0045】<評価項目> 1. スランプフロー JIS A 1101によるスランプフロー値(cm) 2. 分離抵抗性 目視 (肉眼) による評価を行った。評価基準は下記の通
りである。 ○ 骨材分離および水の分離なし × 骨材分離および水の分離あり 3. 自己充填性 コンクリート練り後、φ10cmの円柱型枠にコンクリート
を詰め、硬化脱型後、コンクリートの表面の充填状態を
肉眼で観察した。評価基準は下記の通りである。 ○ 3mm以上の空隙の発生なし △ 3mm以上の空隙の発生僅かにあり × 3mm以上の空隙の発生多い 以上の測定結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】上記の結果から本発明の水硬性組成物はス
ランプフロー値が50cm以上の高流動性を示し、かつ分離
抵抗性が良い為、優れた自己充填性が得られていること
がわかる。一方、比較品の場合、減水剤を用いると分離
抵抗性は満足されるものの減水剤を5%添加してもスラ
ンプフロー値は45cm程度である為、十分な自己充填性は
得られていない。また、メチルセルローズのような水溶
性高分子を用いると流動性の著しい低下作用がある為、
優れた自己充填性は得られないことが分かる。
【0048】実施例2 実施例1で用いた高性能減水剤、実施例1で用いた水溶
性高分子を、それぞれ表5に示す割合で用いて、実施例
1と同様の試験を行なった。
【0049】
【表5】
【0050】実施例3 下記に示す単量体C−1〜C−6を用いて、下記製造例
13〜22のように共重合体(C)を製造した。但し、EOは
エチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを表
し、付加モル数は平均付加モル数を意味する。 C−1:メタノールEO・メタクリル酸モノエステル (EO
付加モル数=115) C−2:メタノールEO・アクリル酸モノエステル (EO付
加モル数=220) C−3:メタノールEO・メタクリル酸モノエステル (EO
付加モル数=280) C−4:アクリル酸EO付加物 (EO付加モル数=130) C−5:アクリル酸PO・EOブロック付加物 (PO付加モル
数=10、EO付加モル数=135) C−6:アクリル酸EO・POブロック付加物 (EO付加モル
数=135 、PO付加モル数=5) 以下に共重合体 (C) と水溶性高分子の製造例を示す。
なお、共重合体(C)の平均分子量はゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー法/ポリスチレンスルホン酸ナ
トリウム換算による分子量から求めたものである。
【0051】製造例13 攪拌機付き反応容器に水10モルを仕込み、攪拌しながら
窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。C−1
0.09 モルとアクリル酸1モル (モル比=9/100)、水
7.5モルを混合溶解したものと20%過硫酸アンモニウム
水溶液0.01モル、および2−メルカプトエタノール4g
の3者をそれぞれ同時に反応系に2時間かけて滴下す
る。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液0.03モルを30分
かけて滴下し、1時間同温度 (75℃) で熟成する。熟成
後95℃に昇温して、35%過酸化水素12gを1時間かけて
滴下し、2時間同温度 (95℃) で熟成する。熟成終了
後、48%水酸化ナトリウム 0.7モルを加えて中和、分子
量22,000の共重合体を得た(減水剤C−1)。
【0052】製造例14 攪拌機付き反応容器に水8モルを仕込み、攪拌しながら
窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。C−2
0.05 モルとメタクリル酸1モル (モル比=5/100)、水
8.5モルを混合溶解したものと20%過硫酸アンモニウム
水溶液0.01モル、および2−メルカプトエタノール3g
の3者をそれぞれ同時に反応系に2時間かけて滴下す
る。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液0.03モルを30分
かけて滴下し、1時間同温度 (75℃) で熟成する。熟成
後95℃に昇温して、35%過酸化水素9gを1時間かけて
滴下し、2時間同温度 (95℃) で熟成する。熟成終了
後、48%水酸化ナトリウム 0.7モルを加えて中和、分子
量85,000の共重合体を得た(減水剤C−2)。
【0053】製造例15 攪拌機付き反応容器に水5モルを仕込み、攪拌しながら
窒素置換し、窒素雰囲気中で95℃まで昇温した。C−3
0.002モルとマレイン酸モノナトリウム塩1モル (モル
比=0.2/100)、90℃温水15モルを混合溶解したものと20
%過硫酸アンモニウム水溶液0.01モル、および2−メル
カプトエタノール3gの3者をそれぞれ同時に反応系に
2時間かけて滴下する。次に20%過硫酸アンモニウム水
溶液0.03モルを30分かけて滴下し、1時間同温度 (95
℃) で熟成する。熟成後95℃で35%過酸化水素9gを1
時間かけて滴下し、2時間同温度 (95℃) で熟成する。
熟成終了後、48%水酸化ナトリウム 0.7モルを加えて中
和、分子量12,000の共重合体を得た(減水剤C−3)。
【0054】製造例16 攪拌機付き反応容器に水10モルを仕込み、攪拌しながら
窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。C−4
0.01 モルとアクリル酸 0.9モルとメタリルスルホン酸
ナトリウム 0.1モル (モル比=1/90/10)、水 7.5モルを
混合溶解したものと20%過硫酸アンモニウム水溶液0.01
モル、および2−メルカプトエタノール4gの3者をそ
れぞれ同時に反応系に2時間かけて滴下する。次に20%
過硫酸アンモニウム水溶液0.03モルを30分かけて滴下
し、1時間同温度 (75℃) で熟成する。熟成後95℃に昇
温して、35%過酸化水素12gを1時間かけて滴下し、2
時間同温度 (95℃) で熟成する。熟成終了後、48%水酸
化ナトリウム 0.6モルを加えて中和、分子量 7,200の共
重合体を得た(減水剤C−4)。
【0055】製造例17 攪拌機付き反応容器に水10モルを仕込み、攪拌しながら
窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。C−5
0.01 モルとメタクリル酸1モル (モル比=1/100)、水
7.5モルを混合溶解したものと20%過硫酸アンモニウム
水溶液0.01モル、および2−メルカプトエタノール1g
の3者をそれぞれ同時に反応系に2時間かけて滴下す
る。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液0.03モルを30分
かけて滴下し、1時間同温度 (75℃) で熟成する。熟成
後95℃に昇温して、35%過酸化水素5gを1時間かけて
滴下し、2時間同温度 (95℃) で熟成する。熟成終了
後、48%水酸化ナトリウム 0.7モルを加えて中和、分子
量105,000 の共重合体を得た(減水剤C−5)。
【0056】製造例18 攪拌機付き反応容器に水10モルを仕込み、攪拌しながら
窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。C−6
0.01 モルとアクリル酸ナトリウム1モル (モル比=1/
100)、水 7.5モルを混合溶解したものと20%過硫酸アン
モニウム水溶液0.01モル、および2−メルカプトエタノ
ール2gの3者をそれぞれ同時に反応系に2時間かけて
滴下する。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液0.03モル
を30分かけて滴下し、1時間同温度 (75℃) で熟成す
る。熟成後95℃に昇温して、35%過酸化水素9gを1時
間かけて滴下し、2時間同温度 (95℃) で熟成する。熟
成終了後、48%水酸化ナトリウム 0.7モルを加えて中
和、分子量77,000の共重合体を得た(減水剤C−6)。
【0057】製造例19 攪拌機付き反応容器に水23モルを仕込み、攪拌しながら
窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。C−2
0.045モルとアクリル酸 0.3モル (モル比=15/100) 、
水10モルを混合溶解したものと20%過硫酸アンモニウム
水溶液 0.003モル、および2−メルカプトエタノール
1.2gの3者をそれぞれ同時に反応系に2時間かけて滴
下する。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液 0.009モル
を30分かけて滴下し、1時間同温度 (75℃) で熟成す
る。熟成後95℃に昇温して、35%過酸化水素4gを1時
間かけて滴下し、2時間同温度 (95℃) で熟成する。熟
成終了後、48%水酸化ナトリウム0.21モルを加えて中
和、分子量51,000の共重合体を得た(減水剤C−7)。
【0058】製造例20 攪拌機付き反応容器に水23モルを仕込み、攪拌しながら
窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。C−1
0.08 モルとアクリル酸 0.2モル (モル比=40/100) 、
水12モルを混合溶解したものと20%過硫酸アンモニウム
水溶液 0.002モル、および2−メルカプトエタノール
0.6gの3者をそれぞれ同時に反応系に2時間かけて滴
下する。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液 0.006モル
を30分かけて滴下し、1時間同温度 (75℃) で熟成す
る。熟成後95℃に昇温して、35%過酸化水素3gを1時
間かけて滴下し、2時間同温度 (95℃) で熟成する。熟
成終了後、48%水酸化ナトリウム0.14モルを加えて中
和、分子量56,000の共重合体を得た(減水剤C−8)。
【0059】製造例21 攪拌機付き反応容器に水18モルを仕込み、攪拌しながら
窒素置換し、窒素雰囲中で75℃まで昇温した。C−1
0.06 モルとアクリル酸 0.1モル (モル比=60/100) 、
水8モルを混合溶解したものと20%過硫酸アンモニウム
水溶液 0.001モル、および2−メルカプトエタノール
0.3gの3者をそれぞれ同時に反応系に2時間かけて滴
下する。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液 0.003モル
を30分かけて滴下し、1時間同温度 (75℃) で熟成す
る。熟成後95℃に昇温して、35%過酸化水素2gを1時
間かけて滴下し、2時間同温度 (95℃) で熟成する。熟
成終了後、48%水酸化ナトリウム0.07モルを加えて中
和、分子量45,000の共重合体を得た(減水剤C−9)。
【0060】製造例22 攪拌機付き反応容器に水30モルを仕込み、攪拌しながら
窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。C−1
0.1モルとアクリル酸 0.1モル (モル比=100/100)、水
13モルを混合溶解したものと20%過硫酸アンモニウム水
溶液 0.001モル、および2−メルカプトエタノール 0.3
gの3者をそれぞれ同時に反応系に2時間かけて滴下す
る。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液 0.003モルを30
分かけて滴下し、1時間同温度 (75℃) で熟成する。熟
成後95℃に昇温して、35%過酸化水素2gを1時間かけ
て滴下し、2時間同温度 (95℃) で熟成する。熟成終了
後、48%水酸化ナトリウム0.07モルを加えて中和、分子
量72,000の共重合体を得た(減水剤C−10)。
【0061】<評価> 上記の如き減水剤と表7,8に示す減水剤或いは水溶性
高分子とを用い、実施例1と同様の評価を行なった。ま
た、硬化時間と圧縮強度を以下の方法で測定した。 ・硬化時間…JIS A 6204のプロクター貫入抵抗試験によ
る凝結時間の測定 ・圧縮強度…JIS A 1123の圧縮強度試験 なお、表6に本実施例で用いたコンクリート配合および
使用材料を示す。
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】<結果の評価> 表7,8で明らかなように、本発明の混和剤は比較品に
較べて、低添加量で流動性を示し、材料分離抵抗性が大
きく、自己充填性に優れ、さらに硬化時間が短いことが
分かる。これらの結果は、コンクリートの施工方法が飛
躍的に改善されるものであり、コンクリート構造物の製
造において、騒音の解消、製造の合理化、工期の短縮へ
の効果が期待される。
【0066】上記の結果から本発明の水硬性組成物はス
ランプフロー値が50cm以上の高流動性を示し、かつ分離
抵抗性が良い為、優れた自己充填性が得られていること
がわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C04B 24/26 C04B 24/26 H 24/30 24/30 D 28/02 28/02 // C04B 103:32 103:32 111:62 111:62 (72)発明者 田所 敬章 和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社 研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−11557(JP,A) 特開 昭63−156049(JP,A) 特開 平3−93660(JP,A) 特開 昭60−27638(JP,A) 特開 平5−78156(JP,A) 特開 平5−58693(JP,A) 特開 平7−232945(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 24/24 - 24/32

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に6〜30個の炭素原子を有する1
    価アルコールにエチレンオキサイドとプロピレンオキ
    サイドを、付加モル比がエチレンオキサイド80モル%以
    上、プロピレンオキサイド20モル%以下で、10〜1000モ
    (平均付加モル数)付加したポリアルキレンオキサイ
    ド誘導体からなる水溶性高分子(a)、高性能減水剤(b)お
    よび水硬性粉体(c)を含有することを特徴とする水硬性
    組成物。
  2. 【請求項2】 水溶性高分子(a)におけるアルキレンオ
    キサイドの平均付加モル数が 100〜500 モルである請求
    項1記載の水硬性組成物。
  3. 【請求項3】 水溶性高分子(a) と高性能減水剤(b) の
    重量比(a) /(b) が90/10〜30/70の範囲である請求項
    1又は2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 高性能減水剤が、ナフタレン、メラミ
    ン、フェノール、尿素およびアニリンの何れかのメチロ
    ール化物およびスルホン化物の群から選ばれる1種また
    は2種以上の化合物のホルムアルデヒド縮合物(A)で
    ある請求項1〜3の何れか1項記載の水硬性組成物。
  5. 【請求項5】 高性能減水剤が、不飽和モノカルボン酸
    およびその誘導体、不飽和ジカルボン酸およびその誘導
    体の群から選ばれる1種または2種以上の単量体を重合
    して得られる重合物または共重合体(B)である請求項
    1〜3の何れか1項記載の水硬性組成物。
  6. 【請求項6】 高性能減水剤が、下記一般式(1) で表さ
    れる単量体(C−1)と、下記の一般式(2) および(3)
    で表される化合物の中から選ばれる一種類以上の単量体
    (C−2)とを重合して得られる共重合体(C)である
    請求項1〜3の何れか1項記載の水硬性組成物。 【化1】 〔式中、 R1, R2:水素、メチル基 m1:0から2の整数 AO:炭素数2から3のオキシアルキレン基 n:2から300 の整数 X:水素または炭素数1から3のアルキル基 を表す。〕 【化2】 〔式中、 R3, R4, R5:水素、メチル基、(CH)m2COOM2 R6:水素、メチル基 M1,M2, Y :水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、
    アンモニウム、アルキルアンモニウムまたは置換アルキ
    ルアンモニウム m2:0から2の整数 を表す。〕
  7. 【請求項7】 高性能減水剤が(A)と(B)の組み合
    わせであり、(A)はナフタレン、メラミン、フェノー
    ル、尿素およびアニリンの何れかのメチロール化物およ
    びスルホン化物の群から選ばれる1種または2種以上の
    化合物のホルムアルデヒド縮合物、(B)は不飽和モノ
    カルボン酸およびその誘導体、不飽和ジカルボン酸およ
    びその誘導体の群から選ばれる1種または2種以上の単
    量体を重合して得られる重合体または共重合体である
    求項1〜3の何れか1項記載の水硬性組成物。
  8. 【請求項8】 高性能減水剤が(A)と(B)の組み合
    わせであり、(A)と(B)の重量比(B)/(A)が
    有効物質として60/40から99/1の範囲である請求項
    記載の水硬性組成物。
  9. 【請求項9】 JIS A 1101に規定するスランプ試験にお
    いて、スランプフロー値が50〜70cmの範囲の高流動性
    ある請求項1〜の何れか1項に記載の水硬性組成物。
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