JP3285026B2 - 被膜導体線の被膜剥離方法 - Google Patents

被膜導体線の被膜剥離方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被膜導体線を導通
可能に接続するために、導体線の外周に有する被膜を必
要な部分のみ、効率良くかつ確実に除去加工する被膜導
体線の被膜剥離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】長円形の断面を持つ被膜導体線の従来の
被膜剥離方法は、図15に示されるように2個の砥石5
を、スプリング等の付勢により砥石の軸間距離を移動可
能に保持し、その2個の砥石5の間に被膜導体線1を通
過させることにより行っていた。即ち2個の砥石5の間
に被膜導体線1を通過させると、砥石5は該導体線1に
押されてその軸間距離を拡げる方向に移動する。このと
き、該導体線1の断面形状に沿って砥石5が移動するこ
とから該導体線の被膜を剥離できる。この長円形断面の
被膜導体線1の被膜剥離は、最初に図15の(a)に示
されるように該導体線の長円形断面の長径に平行な方向
で、第1の研削を行う。次いで図15の(b)に示され
るように導体線を90°回転し、長円形断面の長径に直
角の方向で第2の研削を行う。このようにして該導体線
1の全周の被膜を剥離していた。
【0003】しかしながらこの方法では、被膜と導体と
の結合力が弱い場合は良いが、絶縁樹脂被膜のように強
固に結合し、導体の材料が銅のように軟かい金属の場合
は、被膜剥離した導体の表面に被膜が残ったり、表面が
荒れたり、また削り過ぎて導体が細くなるという問題が
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題に鑑み、結合力の大きい被膜であっても、被膜剥離
後の導体表面に被膜が残ったり、表面が荒れたりせず、
かつ導体を削り過ぎたりせずに、被膜剥離ができる被膜
導体線の被膜剥離方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に
記載の被膜導体線の被膜剥離方法を提供する。請求項1
に記載の被膜導体線の被膜剥離方法は、被膜剥離すべき
領域の一部に、被膜及び導体の一部を除去することで溝
を形成し、第1の切削刃を被膜を貫通して導体線に切り
込ませ、溝に向けて導体線の軸方向に移動させることに
よって被膜を剥離するものであり、被膜及び導体の剥離
量を増加でき、被膜の剥離不良を低減できる。
【0006】請求項2に記載の該被膜剥離方法は、前記
の軸方向剥離工程に加えて被膜導体線の側面の被膜を剥
離する直交方向剥離工程を行うもので、これにより被膜
剥離すべき領域において被膜導体線の全周の被膜を剥離
することができる。請求項3に記載の該被膜剥離方法
は、前記直交方向剥離工程で使用する第2の切削刃の幅
が、被膜剥離すべき領域の長さに対応していることを特
定したものである。請求項4に記載の該被膜剥離方法
は、被膜導体線の対向する側面の被膜の剥離を一対の第
2の切削刃を使用することで、一回の動作で行えるよう
にしたものである。
【0007】請求項5に記載の該被膜剥離方法は、軸方
向剥離工程を複数回行うことで、被膜導体線の全周の被
膜を剥離するものである。請求項6に記載の該被膜剥離
方法は、被膜剥離すべき領域のほぼ中央部に溝が形成さ
れ、第1の切削刃が被膜剥離すべき領域の両端からこの
溝に向かって軸方向に移動するようにしたものであり、
被膜剥離された境界が精度良く、きれいに剥離できるよ
うになる。請求項7に記載の該被膜剥離方法は、溝が被
膜導体線の全周に渡って形成されることにより、第1の
切削刃が溝に達した時に切削バリが溝部の導体につなが
ったままとなることを防止できる。
【0008】請求項8に記載の該被膜剥離方法は、第1
の切削刃の軌跡を導体線の外周の輪郭と相似させたもの
であり、これにより導体線の断面形状に合わせて、確実
に効率良く被膜を剥離することができる。請求項9に記
載の該被膜剥離方法は、溝の断面形状を台形にしたもの
であり、これにより切削バリをより容易に切り離すこと
ができる。請求項10に記載の該被膜剥離方法は、長円
形断面の被膜導体線の長円形断面の長径に平行な側面
と、長径の両端部との被膜を剥離する方法を特定したも
のである。請求項11に記載の該被膜剥離方法は、被膜
導体線から被膜を剥離した後に、溝の形成位置で被膜導
体線を切断することにより、最終的に所定長さの被膜が
剥離された被膜導体線が得られる。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、本発明の
実施の形態の被膜導体線の被膜剥離方法について詳細に
説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の被膜導
体線の被膜剥離方法の手順を示しており、これを使用し
て本発明の方法を説明する。図1の(a)は、導体10
に被膜11を着けた長円形断面の被膜導体線1である。
この被膜導体線1は、まず図1の(b)の第1の剥離工
程において、その断面長円形の長径に平行(図2の矢印
A)に切削工具2を移動することで、所定位置の被膜導
体線1を切削して被膜11及び一部導体10を除去し、
被膜を剥離する。図2はこの切削工具2による第1の剥
離工程を拡大して示したものであり、図1の(b)及び
図2のハッチング部分が第1の剥離工程によって切除さ
れた除去部分Xを示している。切削工具2の幅は、被膜
11を剥離する領域の長さに対応していると共に、図
1,2に示される除去部分Xは一対の切削工具2,2で
同時に除去される。したがってその剥離工程が少なくて
すむ。なお、図2(a)に示される切削工具2は、その
先端から後退した位置に溝加工刃7を一体に有してお
り、この切削工具2によって溝gが形成された被膜導体
線1のC−C断面が、図2(b)に示される。当然、溝
加工刃7を有さない切削工具2も使用可能であり、図1
(b)では、この場合が示されている。
【0014】次に、この第1の剥離工程で被膜剥離した
部分の中央部において、図1の(c)に示されるよう
に、被膜導体線1の長円形断面の長径の両端部分に溝g
を形成する溝加工を行う。図1の(c)のハッチングさ
れた部分が、この溝加工により除去された部分Yを示し
ている。次いで、図4に示すように残りの被膜部の輪郭
と相似形状をした円弧状の切れ刃の軌跡を有する切削工
具3を使用して被膜部を除去する。具体的には、図3に
示すように切削工具3を軸方向に斜めの方向である矢印
B方向に移動し被膜導体線1に切込み、続いて軸方向で
ある矢印C方向にこの切削工具3を移動して、被膜導体
線1の第1の剥離工程で残した被膜部と一部導体を切削
除去して、被膜を剥離する。これが、図1の(d)で示
す第2の剥離工程である。図1の(d)には、第2の剥
離工程で切削除去した部分Zをハッチングで示してい
る。このように第1及び第2の剥離工程を経た被膜導体
線1は、最後に、図1の(e)に示すように切断工具4
によって切断される。両端部の被膜が剥離された最終製
品としての被膜導体線1が図14に示されている。
【0015】本発明の第1の実施の形態の被膜導体線の
被膜剥離方法は、このように切削加工で被膜を除去する
ことから被膜剥離を確実に行えると共に、切削工具の寸
法や形状を所定の寸法、形状にすることにより、削りす
ぎて導体が細くなることを防止できる。また上記第2の
剥離工程の切削工具の移動方向を被膜導体線の軸方向と
し、被膜導体線の断面形状に応じた工具形状とすること
により、効率良く被膜を除去できる。更に、上記第2の
剥離工程の前に被膜導体線に溝を加工することにより、
第2の剥離工程での切削ばりの除去が容易になった。ま
た、上記第2の剥離工程の切削工具切れ刃の軌跡を円弧
状にすることで、切削工具を動かす構造が単純となり、
簡単な構造で被膜剥離が行える。
【0016】次に、本発明の第2の実施の形態の被膜導
体線の被膜剥離方法について説明する。前記した第1の
実施の形態では、長円形断面の被膜導体線の長径の両端
部分の被膜及び導体を除去して溝(図1のY部分)を形
成していたが、この第2の実施の形態では、被膜導体線
の全周に渡って溝gを形成することを特徴とする。これ
は被膜導体線の軸方向(送り方向)へ切削工具3を移動
して、被膜及び表層部の導体を切削除去する場合に、第
1の実施の形態のように長円形断面の長径の両端部分の
みにしか溝gが形成されていないと、切削工具3が溝g
に達したときに切削バリを容易に除去できない場合があ
る。つまり、円弧状切れ刃をもつ切削工具3の切削深さ
が加工ばらつき等で深くなり、その円弧状切れ刃の両端
が溝底面よりも深い位置になると、切削工具3が溝gに
達しても切削バリが溝底面の導体から切り離されないま
まとなってしまう。
【0017】これに対して、切れ刃が被膜導体線の表面
から極く浅い部分のみを切削するようにすると、被膜の
剥離不良が生ずる可能性がある。このために、第2の実
施の形態では、被膜導体線の全周に溝gを形成するよう
にしたものである。これにより、切削工具3の切れ刃が
導体の比較的に深い位置に達して被膜及び導体を切削し
ても、切れ刃が溝gに達した時に切削バリが溝部の導体
につながったままとなることを防止できる。そして被膜
及び導体の剥離量を増加することができるので、被膜の
剥離不良を低減することができる。
【0018】図5は、第2の実施の形態によって被膜導
体線の全周に渡って溝gが形成されている被膜導体線の
斜視図である。第2の実施の形態の溝を被膜導体線の全
周に渡って形成する具体的な手順が、図6と図7に示さ
れている。この第2の実施の形態では、長円形断面の被
膜導体線1の長軸方向の被膜剥離と溝加工を、切削工具
であるパンチAとパンチB及びダイ6を使用して行い、
長円形断面の被膜導体線1の長径の両端部の溝加工を、
切削工具であるパンチCとパンチDを使用して行ってい
る。この一対のパンチA,Bとは、溝gを形成するため
の溝加工刃7を有している。更にパンチAには、パンチ
CとDを貫通させることができる孔8が、パンチBに
は、パンチCとDをそれぞれ別々に貫通させることがで
きる2つの孔9と、この2つの孔9の間でダイの役目を
する架橋部12とが形成されている。またダイ6の断面
が図6に示されている。
【0019】その作業手順について説明すると、まず被
膜導体線1をダイ6で支持する。次いで図6に示される
ようにパンチA,Bとをダイ6に向けて動作する。即ち
パンチAとパンチBとが被膜導体線1の送り方向と直交
する方向に移動し、被膜導体線1の長円形断面の長軸方
向の被膜剥離と溝加工とを同時に行う。このとき、パン
チAとパンチBとがそれぞれ有している溝加工刃7は、
被膜を剥離するための刃よりも遅れて被膜導体線に達す
るようにパンチA,Bが構成されている。これは、溝加
工では、被膜剥離加工よりも取り除く部分が大きく、被
膜導体線に与える応力も大きいので、溝加工を行うパン
チ部分で被膜導体線の両側を支持した状態で溝加工を行
うようにしているためである。この両側からの支持がな
いと、溝加工時に、被膜導体線が変形する場合がある。
このパンチA,B及びダイ6によって、図6の断面A−
Aで示されるように被膜導体線1が切り取られる。
【0020】次いで図6に示される状態を維持したま
ま、図7に示されるようにパンチCとパンチDを動作さ
せる。パンチC,Dは、パンチAの貫通孔8を通過し被
膜導体線1の被膜及び導体の一部を切除し、更にパンチ
Bの貫通孔9を通過し、パンチBの架橋部12がダイの
役目をして、被膜導体線1の長円形断面の長径の両端部
の切除が行われ、図5に示されるような全周に渡って溝
gが形成された被膜導体線1が得られる。この場合、長
径両端部に溝加工を施す場合でも、パンチA,Bで被膜
導体線を支持したまま、そのパンチA,B内に形成され
た貫通孔8,9にパンチC,Dを挿入することにより行
っているので、被膜導体線が変形することはない。この
後、パンチA,B,C,D及びダイ6を取り除き、被膜
導体線1の断面短軸方向の被膜剥離を被膜導体線1の送
り方向と同一方向に切削工具を移動することで被膜剥離
を完了する。
【0021】上述した第2の実施の形態では、一対のパ
ンチA,Bをダイ6に移動させる一回の動作だけで被膜
導体線の側面の被膜剥離と溝加工を行っている。なお、
この第2の実施の形態では、溝gの断面形状が略長方形
状であるが、パンチの形状を変えることにより、その溝
の断面形状を台形にすることも可能である。このように
台形にすることにより、切削バリを容易に切り離すこと
ができる。更にまた第2の実施の形態の変形例として、
最初に被膜導体線の全周に溝gだけを形成し、その後、
被膜導体線の軸方向に沿って、形成した溝に向かって切
削工具を移動して被膜を剥離する軸方向剥離工程のみを
複数回繰り返して、所定の領域における被膜導体線全周
の被膜を剥離してもよいものである。
【0022】図8は、本発明の第3の実施の形態の被膜
導体線の被膜剥離方法の手順を示している。この第3の
実施の形態では、被膜を剥離する工程の前に被膜導体線
の断面形状を、長円形から四角形に成形加工している。
即ち、図8の(a)に示すような導体10に被膜11を
着けた長円形断面の被膜導体線1の被膜剥離する部分の
断面形状を、図8の(b)に示すように四角形にプレス
等により成形加工する。なお、この成形加工は、導体1
0に被膜11を着ける前に行ってもよい。
【0023】その後、被膜導体線1の長円形断面の長径
に平行な平面で、被膜導体線1の軸方向に直角方向に、
切削工具2を移動することにより、図9に拡大して示さ
れるように、成形された平行する2面の被膜が切削加工
され、除去される。これが第1の剥離工程であり、その
結果が図8の(c)に示されている。次いで、被膜導体
線1の長円形断面の短径に平行で、被膜導体線1の軸方
向に直角方向に、同様な切削工具(図示されていない)
を移動することにより、上記第1の剥離工程で被膜剥離
した2面に直交するもう一方の2面の被膜を切削加工
し、除去する。これが第2の剥離工程であり、2つの剥
離工程により被膜を剥離された被膜導体線が、図8の
(d)に示されている。このように第1及び第2の剥離
工程を経た被膜導体線1は、最後に、図8の(e)に示
すように切断工具4によって切断される。図14は、両
端部の被膜が剥離された所定長さに切断された被膜導体
線1を示している。
【0024】本発明の第3の実施の形態の被膜導体線の
被膜剥離方法は、このように最初に、被膜剥離する部分
の被膜導体線の断面形状を略四角形にすることにより、
被膜導体線の軸に直角の方向に2回切削加工すること
で、確実にかつ高精度に効率良く被膜を剥離することが
できる。
【0025】次に本発明の第4の実施の形態の被膜導体
線の被膜剥離方法について説明する。この第4の実施の
形態は、上記した第3の実施の形態を改良したものであ
る。即ち第3の実施の形態では、被膜導体線1の断面を
略四角形に加工し、4つの側面の被膜を剥離している
が、実際には、角部は所定の曲率をもつR部となり、4
つの側面の被膜を剥離する工程のみでは角部に被膜が残
る場合が発生する。このために、この第4の実施の形態
では、側面剥離工程に加え、4つの角部を切り落すよう
に角部の被膜剥離工程を行う。この結果、被膜導体線の
断面形状は、略八角形となり、被膜導体線全周の被膜を
十分に除去することができ、剥離不良を防止できる。ま
た、断面形状を略八角形とすることにより、被膜剥離後
の導体の断面積が過度に減少することが防止できる。
【0026】第4の実施の形態の被膜剥離方法の手順
が、図10〜13に示されている。この実施の形態で
は、側面剥離工程に先だって角部剥離工程が行われる。
図10,11には、被膜導体線に対して、例えば45°
程傾斜した方向でパンチを動作して長円形断面(R部を
もつ略四角形)の被膜導体線の角部を切除する角部剥離
工程(1),(2)が示されている。図10の角部剥離
工程(1)では、被膜導体線1を支持すると共にカット
されてきた切粉を材料から切り離す刃具を備えているダ
イ6−1が、被膜導体線に対して約45°の角度に配置
される。当然ダイ6−1の断面は、被膜導体線1の断面
形状と相似している。同様に約45°の傾斜で、材料を
カットするための切削工具である一対のパンチE,F
と、この一対のパンチE,Fが加工中にラジアル方向に
たわまないように保持するためのガイド13と、加工中
に材料に挙動を与えないように保持するストリッパ14
−1とが配置される。ストリッパ14−1の断面は、被
膜導体線1の断面形状と相似していて、スプリングによ
りストリッパ14は被膜導体線1に対して付勢されてい
る。なお、パンチE,Fの刃部のすくい角は、例えば0
〜10°である。上記した配置から、一対のパンチE,
Fが、ガイド13に沿って約45°の角度で直線的に移
動して、被膜導体線1の対向する2つの角部が切除され
る。
【0027】次に図11に示される角部剥離工程(2)
が行われる。この場合、パンチ、ダイ、ガイド及びスト
リッパの配置は、図10の角部剥離工程(1)とは、9
0°位相がずれている。また、ダイ6−2の断面及びス
トリッパ14−2の断面は、前工程の加工でカットされ
た面を受ける形状となっている。更にパンチE,Fの先
端部とダイ6−2の先端部とは、隙間を微少にして、切
断時変形による剥離残りの不良を無くすようにしてい
る。こうして、前と同様にパンチE,Fが、ガイド13
に沿って約45°の角度で直線的に移動して、被膜導体
線1の残りの対向する2つの角部を切除する。
【0028】次の図12に示される側面剥離工程(1)
では、4つの角部を切除された長円形断面の被膜導体線
1の短径の両端部を剥離している。この場合、パンチ、
ダイ、ガイド及びストリッパは、被膜導体線の長軸と平
行及び長軸に合わせて配置される。ダイ6−3の断面及
びストリッパ14−3の断面は、前の2工程でカットさ
れた2つの面を受ける形状となっている。一対のパンチ
A−1,B−1がガイド13に沿って被膜導体線1の長
軸方向に移動することによって、被膜導体線1の短径の
両端部が剥離される。この場合、ダイ6−3及びストリ
ッパ14−3が、角部の2つの切り落し部分で構成する
V字となった部分を保持することになり、被膜導体線の
位置決め(センター出し)の精度が向上する。この結
果、被膜導体線の側面剥離を高精度に行うことができ、
被膜残り等を防止することができる。
【0029】次の図13に示される側面剥離工程(2)
では、4つの角部と長円形断面の短径の両端部が剥離さ
れた被膜導体線1の長径の両端部を剥離している。この
場合、パンチ、ダイ、ガイド及びストリッパは、被膜導
体線の長軸と直交する方向に配置されている。ダイ6−
4の断面及びストリッパ14−4の断面は、前の3工程
でカットされた3つの面を受ける形状となっている。こ
れによって前記した同様の理由によって、側面剥離を高
精度で行え、被膜残り等を防止できる。一対のパンチC
−1,D−1がガイドに沿って被膜導体線1の長軸と直
交する方向に移動することによって、被膜導体線1の長
径の両端部が剥離される。
【0030】この場合、図13に示されるように、パン
チC−1,D−1のいずれか一方のパンチが、面カット
パンチ部15を有してもよい。この面カットパンチ部1
5は、パンチC−1の先端より後退した位置に一体的に
設けられる。これにより、長径の両端部の剥離と面カッ
トとが時期をずらして加工され、被膜導体線1の変形も
なく、図13に示されるようなカットが行える。この面
カットパンチ15は、被膜剥離工程後に行われる被膜導
体線の切断工程において、切断バリの発生量を低減する
ために設けられたものである。即ち、切断すべき位置の
導体断面積を予め減少させておくことで、切断バリの発
生を低減している。切断工程を経た最終製品としての被
膜導体線1が図14に示されている。
【0031】図10〜13から分るように、本発明の第
4の実施の形態では、角部剥離工程(1),(2)及び
側面剥離工程(1),(2)とも一対のパンチによって
対向する角部及び面を同時に加工している。なお、側面
剥離工程を先に実施し、その後、角部剥離工程を行なっ
てもよい。なお、第4の実施の形態においては、被膜導
体線1の断面の「略四角形」は、角部がR部である場合
は勿論のこと、側面が湾曲しているものや、側面が2以
上の傾斜面で構成されているものも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の被膜導体線の被膜
剥離方法の手順を説明する図である。
【図2】図1の(b)に示された手順である第1の剥離
工程を説明する図で切削工具が溝加工刃を有している場
合を示している。
【図3】図1の(d)に示された手順である第2の剥離
工程を説明する図である。
【図4】図3に示された第2の剥離工程で使用される工
具の刃先形状の斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の被膜導体線の被膜
剥離方法によって、全周に溝が形成された被膜導体線の
斜視図である。
【図6】第2の実施の形態における長円形断面の被膜導
体線の長軸方向の被膜剥離と溝加工を行う工程と、A−
A線断面及びダイの断面形状とを示す図である。
【図7】第2の実施の形態における長円形断面の被膜導
体線の短軸方向の溝加工を行う工程と、B−B線断面を
示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の被膜導体線の被膜
剥離方法の手順を説明する図である。
【図9】図8の(c)に示された手順である第1の剥離
工程を説明する図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態の被膜導体線の被
膜剥離方法の手順の第1の工程である略四角形断面の被
膜導体線の角部剥離を説明する図である。
【図11】第4の実施の形態の被膜剥離方法の手順の第
2の工程である被膜導体線の残りの角部剥離を説明する
図である。
【図12】第4の実施の形態の被膜剥離方法の手順の第
3の工程である被膜導体線の長軸方向の両側面剥離を説
明する図である。
【図13】第4の実施の形態の被膜剥離方法の手順の第
4の工程である被膜導体線の短軸方向の両側面剥離と面
カットを説明する図である。
【図14】第1〜4の実施の形態によって得られた両端
部の被膜が剥離された最終製品としての被膜導体線を示
す図である。
【図15】従来の被膜導体線の被膜剥離方法を説明する
図である。
【符号の説明】
1…被膜導体線 2…切削工具 3…円弧状の刃先の軌跡をもつ切削工具 4…切断工具 5…砥石 6,6−1,6−2,6−3,6−4…ダイ 7…溝加工刃 8,9…貫通孔 10…導体 11…被膜 12…架橋部 13…ガイド 14−1,14−2,14−3,14−4…ストリッパ 15…面カットパンチ部 A,A−1,B,B−1,C,C−1,D,D−1,
E,F…パンチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02G 1/12

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周に被膜を有する被膜導体線の被膜を
    部分的に剥離する被膜剥離方法において、 被膜剥離すべき領域の一部に、被膜及び導体の一部を除
    去することによって溝を形成する溝形成工程と、 前記被膜を貫通して第1の切削刃を前記導体線に切り込
    ませ、この第1の切削刃を前記溝に向けて導体線の軸方
    向に移動させることにより前記被膜を剥離する軸方向剥
    離工程とを備えることを特徴とする被膜導体線の被膜剥
    離方法。
  2. 【請求項2】 前記軸方向剥離工程に加えて、第2の切
    削刃を前記被膜導体線の軸方向と直交方向に移動させる
    ことにより前記被膜導体線の側面の被膜を剥離する直交
    方向剥離工程を行い、前記被膜剥離すべき領域において
    前記被膜導体線の全周の被膜を剥離することを特徴とす
    る請求項1に記載の被膜導体線の被膜剥離方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の切削刃は、被膜剥離すべき領
    域の長さに対応する幅を有することを特徴とする請求項
    2に記載の被膜導体線の被膜剥離方法。
  4. 【請求項4】 前記直交方向剥離工程では、一対の第2
    の切削刃を用いて前記被膜導体線の対向する側面の被膜
    を同時に剥離することを特徴とする請求項2または3に
    記載の被膜導体線の被膜剥離方法。
  5. 【請求項5】 前記軸方向剥離工程を複数回行うことに
    より、前記被膜剥離すべき領域において前記被膜導体線
    の全周の被膜を剥離することを特徴とする請求項1に記
    載の被膜導体線の被膜剥離方法。
  6. 【請求項6】 前記溝が被膜剥離すべき領域のほぼ中央
    部に形成され、前記軸方向剥離工程において前記第1の
    切削刃が被膜剥離すべき領域の両端から中央部に形成さ
    れた溝に向かって移動されることを特徴とする請求項1
    乃至5のいずれか一項に記載の被膜導体線の被膜剥離方
    法。
  7. 【請求項7】 前記溝は、前記被膜導体線の全周に渡っ
    て形成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれ
    か一項に記載の被膜導体線の被膜剥離方法。
  8. 【請求項8】 前記第1の切削刃の軌跡が、前記導体線
    の外周の輪郭と相似していることを特徴とする請求項1
    乃至7のいずれか一項に記載の被膜導体線の被膜剥離方
    法。
  9. 【請求項9】 前記溝は、断面が台形状に形成されるこ
    とを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の
    被膜導体線の被膜剥離方法。
  10. 【請求項10】 前記被膜導体線は長円形の断面を有
    し、前記直交方向剥離工程において、長円形断面の長径
    に平行かつ前記被膜導体線の軸方向と直交する方向に前
    記第2の切削刃を移動させて前記被膜導体線の側面の被
    膜を剥離し、前記軸方向剥離工程において、前記第
    切削刃を前記被膜導体線の軸方向に移動させて前記長円
    形断面の長径の両端部に位置する被膜を剥離することを
    特徴とする請求項乃至9のいずれか一項に記載の被膜
    導体線の被膜剥離方法。
  11. 【請求項11】 前記被膜導体線から被膜を剥離した後
    に、前記溝が形成された位置において、前記被膜導体線
    を切断する切断工程を備えることを特徴とする請求項1
    乃至10のいずれか一項に記載の被膜導体線の被膜剥離
    方法。
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