JP3284018B2 - 自転車用ブレーキ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ブレーキ装置、特に、
自転車のフレームに設けられた台座から延びる固定ピン
に支持され、ブレーキワイヤにより駆動されて車輪のリ
ムにブレーキシューを圧接させるブレーキ装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】例えば、マウンテンバイク（ＭＴＢ）や
オールテラインバイク（ＡＴＢ）と呼ばれるオフロード
走行が可能な自転車には、強力な制動力を得るために一
般にカンチレバー型のブレーキ装置が装着されている。
カンチレバー型のブレーキ装置は、自転車のフレームの
前後に設けられた前フォーク又は後フォークに回動自在
に片持ち支持されたブレーキアームと、ブレーキアーム
の途中に固定されたブレーキシューとを備えている。ブ
レーキアームは、一端がフレームに回動自在に支持さ
れ、他端がブレーキワイヤに連結されている。またブレ
ーキシューは、ブレーキアームの途中において自転車用
車輪リムの両側面に対向配置されている。

【０００３】このカンチレバー型の自転車用ブレーキ装
置では、ブレーキレバーによりブレーキワイヤを引っ張
ることでブレーキアームを閉じる方向に回動させ、ブレ
ーキシューをリムに圧接させ制動をかけている。このよ
うなカンチレバー型のブレーキ装置は、キャリパーブレ
ーキ装置のように自転車のサイズによって形状を変える
必要がなく、かつブレーキが片効きしにくく左右均等な
制動力が得られるという利点がある。

【０００４】しかし、カンチレバー型のブレーキ装置は
ブレーキアームの回動によってブレーキシューが水平面
から下方に回動する際に、リム側面の傾斜に合わずにブ
レーキシューが接触すると押圧力が小さくなる。このた
め、リム側面とブレーキ装置との相対取り付け位置を精
度よく調整する必要があるが、この調整作業は困難であ
る。

【０００５】この問題を解決する従来技術として、４リ
ンク式のブレーキ装置がある。この４リンク式のブレー
キ装置は、台座から延びる固定ピンに揺動自在に支持さ
れかつ上端が固定ピンより外側に位置するブレーキアー
ムと、ブレーキアームの途中に回動自在に支持され外側
に延びる出力リンクと、出力リンクに回動自在に連結さ
れた下方に延びる従動リンクと、従動リンクに回動自在
に連結され、内側に延びて固定ピンに回動不能に連結さ
れた静止リンクとから構成されている。また、出力リン
クの途中にブレーキシューが取り付けられている。この
ブレーキ装置では、ブレーキアームをブレーキワイヤに
より上方に回動することで、従動リンクが内側に回動
し、出力リンクが水平又は上向きに移動する。これによ
り、ブレーキシューがリム側面に対して水平又は上向き
に当接する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成では、
固定ピンの先端にねじ込まれたボルトによる摩擦力を利
用して静止リンクを固定ピンに回動不能に連結してい
る。このため、ブレーキシューに強力な制動力を作用さ
せると、その反力で静止リンクが摩擦に抗して回動し、
ブレーキシューがリム側面から逃げて充分な制動力が得
られないことがある。また、ボルトの緩みやがたつきに
よっても静止リンクが回動して充分な制動力が得られな
いことがある。

【０００７】本発明の目的は、自転車車輪のリムにブレ
ーキシューを圧接させる自転車用ブレーキ装置におい
て、充分な制動力を得られるようにすることにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】発明１に係る自転車用ブ
レーキ装置は、自転車のフレームに設けられた台座から
延びる固定ピンに支持され、ブレーキワイヤにより駆動
されて車輪のリムにブレーキシューを圧接させる装置で
あって、左右１対のブレーキアームと左右１対のリンク
部材と左右１対のシュー取付部材とリンクベースと姿勢
維持手段と付勢部材とを備えている。ブレーキアーム
は、下端部が固定ピンに回動自在に片持ち支持され、上
端部がブレーキワイヤに連結されている。リンク部材
は、１対のブレーキアームのそれぞれに並設されてい
る。シュー取付部材は、リンク部材の上端部及びブレー
キアームの上下方向中間部のそれぞれが回動自在に連結
され、かつブレーキシューを装着可能なものである。リ
ンクベースは、リンク部材の下端部が回動自在に連結さ
れ、フレームに取り付けられている。姿勢維持手段は、
リンクベースのフレームへの取付姿勢を所定の姿勢に維
持するためのものである。付勢部材は、１対のブレーキ
アームをその上端部が開く方向に付勢するものである。
そして、姿勢維持手段は、台座に形成された保持孔と、
リンクベースに設けられ保持孔に挿入されてリンクベー
スの取付姿勢を所定の姿勢に維持する係止ピンとを有し
ている。

【０００９】発明２に係る自転車用ブレーキ装置は、自
転車のフレームに設けられた台座から延びる固定ピンに
支持され、ブレーキワイヤにより駆動されて車輪のリム
にブレーキシューを圧接させる装置であって、左右１対
のブレーキアームと左右１対のリンク部材と左右１対の
シュー取付部材とリンクベースと姿勢維持手段と付勢部
材とを備えている。ブレーキアームは、下端部が固定ピ
ンに回動自在に片持ち支持され、上端部がブレーキワイ
ヤに連結されている。リンク部材は、１対のブレーキア
ームのそれぞれに並設されている。シュー取付部材は、
リンク部材の上端部及びブレーキアームの上下方向中間
部のそれぞれが回動自在に連結され、かつブレーキシュ
ーを装着可能なものである。リンクベースは、リンク部
材の下端部が回動自在に連結され、フレームに取り付け
られている。姿勢維持手段は、リンクベースのフレーム
への取り付け姿勢を所定の姿勢に維持するためのもので
ある。付勢部材は、１対のブレーキアームをその上端部
が開く方向に付勢するものである。そして、リンク部材
は、ブレーキアームの内側に並設されている。

【００１０】発明５に係る自転車用ブレーキ装置では、
発明１から４のいずれかに記載の装置において、台座が
固定ピンの軸芯を中心とする同一円周上に配置された複
数の孔を有しており、姿勢維持手段は、リンクベースか
ら台座に向けて突出し、複数の孔のいずれか１つに係止
されるピンを有している。発明６に係る自転車ブレーキ
装置では、発明１から５のいずれかに記載の装置におい
て、シュー取付部材がブレーキシューを取り付けるため
の上下に長い長孔を有し、この長孔において球状または
半円柱状の凹面及び凸面を有するワッシャーを含み、ブ
レーキシューを上下に傾動可能に締結する締結手段をさ
らに備えている。

【００１１】

【作用】発明１に係る自転車用ブレーキ装置では、ブレ
ーキワイヤによりブレーキアームを内側に回動させる
と、ブレーキアームの途中に回動自在に連結されたシュ
ー取付部材がそれぞれ内側に移動する。このシュー取付
部材には、ブレーキアームに並設されたリンク部材の上
端が連結されている。このリンク部材の下端は、姿勢維
持手段によって所定の取付姿勢でフレームに取り付けら
れたリンクベースに連結されている。このため、シュー
取付部材はブレーキアームとリンク部材とによって水平
又は上方に向くように規制されて内側に移動し、ブレー
キシューが車輪のリム側面に当接する。またブレーキワ
イヤを緩めると、付勢部材によりブレーキアームの上端
部が開く方向に回動し、ブレーキが解除される。

【００１２】ここでは、ブレーキシューがリム側面に当
接して反力がブレーキシューに作用しても、リンクベー
スが所定の姿勢を維持して移動しないので、ブレーキシ
ューが逃げることがなくなり、充分な制動力が得られ
る。発明２に係る自転車用ブレーキ装置では、リンク部
材がブレーキアームの内側に配置されているので、ブレ
ーキ装置の幅方向の寸法がコンパクトである。

【００１３】発明３に係る自転車用ブレーキ装置では、
リンク部材がブレーキアームの外側に配置されているの
で、リムとブレーキアームとの間の隙間が大きくなり、
タイヤの交換を行いやすい。発明４に係る自転車用ブレ
ーキ装置では、ブレーキワイヤの外側ワイヤに当接する
連結部材をさらに備え、ブレーキアームは外側に凸状に
湾曲し、一方がブレーキワイヤの内側ワイヤの端に固定
され、他方が連結部材に連結されている。この場合、内
側ワイヤを引くと、外側ワイヤから露出している内側ワ
イヤの長さが短くなるので、ブレーキアームの上端部が
閉じて内側に回動する。ここでは、１本の内側ワイヤを
一方のブレーキアームに固定するだけで簡単にブレーキ
を作動できる。また、この内側ワイヤの先端での固定位
置を調整することでブレーキシューとリム側面との間隔
を容易に調整できる。さらに、ブレーキワイヤの外側ワ
イヤの先端を両ブレーキアームの間に配置可能であるの
で、ブレーキワイヤが外側に張り出しにくい。

【００１４】発明５に係る自転車用ブレーキ装置では、
台座が固定ピンの軸芯を中心とする同一円周上に配置さ
れた複数の孔を有しており、リンクベースは、いずれか
１つの孔に係合するピンにより所定の取付姿勢に維持さ
れている。この場合には、通常のカンチレバー型のブレ
ーキ装置の復元力設定用の孔を利用してリンクベースの
取付姿勢を変更可能であり、カンチレバー型のブレーキ
装置が取り付けられた自転車に後から本発明のブレーキ
装置を取り付けできる。また、この取付姿勢を変更する
とシュー取付部材の姿勢を変更できる。このため、リム
の形状や大きさに応じて、ブレーキシューが常にリム側
面に対して水平又は上向きに当接するように調整するこ
とが容易になる。

【００１５】発明６に係る自転車用ブレーキ装置では、
シュー取付部材が上下に長い長孔を有し、球状また半円
柱状の凹面及び凸面を有するワッシャーを含み、ブレー
キシューを上下に傾動可能に締結する締結手段をさらに
備えている。この場合には、シュー取付部材へのブレー
キシューの取り付け時に、取り付けの上下位置及びブレ
ーキシューの方向を任意にまたは方向を限定して調整で
きる。このためリムに対して最適の位置及び角度にブレ
ーキシューを取り付けることができ、より強力な制動力
が得られる。

【００１６】

【実施例】図１及び図２において、本発明の一実施例を
採用した自転車用のブレーキ装置１は、例えば前輪用の
ものであり、前輪２のリム５の両側面５ａに圧接して制
動作用する。ブレーキ装置１は、フレーム３の前フォー
ク４の途中に回動自在に支持されている。前フォーク４
は、たとえば、エアー・オイル式またはエラストマー式
のサスペンションフォークであり、路面からの衝撃を吸
収できるものである。前フォーク４は、１対のサスペン
ション部４ａと、１対のサスペンション部４ａを取り付
ける取付部４ｂと、サスペンション部４ａを補強するた
めのブレーキアーチ４ｃとを有している。ブレーキアー
チ４ｃは、二股に分かれたほぼ倒立Ｕ字状であり、その
下端がサスペンション部４ａの途中に固定されている。

【００１７】ブレーキ装置１は、ハンドル６に設けられ
たブレーキレバー７から延びるブレーキワイヤ１０の端
部に連結されている。ブレーキ装置１は、図２及び図３
に示すように、ブレーキワイヤ１０の内側ワイヤ１０ｂ
の先端に固定されたブレーキアーム１２ａと、ブレーキ
アーム１２ａと左右対称に配置されたブレーキアーム１
２ｂとを有している。ブレーキアーム１２ｂの上端に
は、ブレーキワイヤ１０の外側ワイヤ１０ａに当接しか
つ内側に延びる連結アーム１１が回動自在に連結されて
いる。両ブレーキアーム１２ａ，１２ｂは、上端から下
端に向けて外側に凸状と凹状とに弓形に湾曲した長Ｓ字
形状である。ブレーキアーム１２ａ，１２ｂの下端部
は、図４に示すように、固定ピン１３ａ，１３ｂにリン
クベース１４ａ，１４ｂ（１４ａのみ図示）を介して回
動自在に支持されている。

【００１８】固定ピン１３ａ，１３ｂを含む以下に説明
する部材は左右対称の部材であるので、以下の説明では
図２の右側の部材についてのみ説明し、図２の左側の部
材の説明は省略する。固定ピン１３ａは、図３及び図４
に示すように、ブレーキアーチ４ｃの下端内側に設けら
れた台座１５ａから前方に突出する段付ピンである。台
座１５ａの内側面には、図５に示すように、固定ピン１
３ａの軸芯を中心にした同一円周上に３つの保持孔１６
ａが上下に形成されている。この保持孔１６ａは、通常
のカンチレバー型のブレーキ装置のリターンスプリング
の強さを調整するための孔である。

【００１９】固定ピン１３ａには、図４に示すように、
リンクベース１４ａが支持されている。リンクベース１
４ａは、固定ピン１３ａの外周に配置され、基端が固定
ピン１３ａの段差部１３ｃに当接している筒状部１７ａ
と、筒状部１７ａの基端外周に嵌め込み固定された係止
部１８ａと、先端外周に嵌め込み固定された雨滴状のア
ーム部１９ａとを有している。この筒状部１７ａにブレ
ーキアーム１２ａが回動自在に支持されている。係止部
１８ａは、図５に示すように概ね３角形状の部材であ
り、その内側に保持孔１６ａのいずれか一つを貫通する
係止ピン２０ａが設けられている。この係止ピン２０ａ
を保持孔１６ａに貫通させることで、リンクベース１４
ａの取付姿勢を所定の姿勢に維持している。

【００２０】リンクベース１４ａの外周において、ブレ
ーキアーム１２ａと係止部１８ａとの間には、スプリン
グ受け２１ａが設けられている。スプリング受け２１ａ
は、周方向に形成された溝２２ａと、外周に配置された
調節部２３ａ（図５）とを有している。溝２２ａ内に
は、リターンスプリング２４ａの基端部が巻き付け固定
されている。リターンスプリング２４ａの先端部は上方
に延び、ブレーキアーム１２ａの中間部において背面側
に突出する係止ピン２５ａ（図３）により係止されてい
る。リターンスプリング２４ａは、ブレーキアーム１２
ａを外方に回動するように付勢している。調節部２３ａ
には、係止部１８ａの外周部に形成された突起部２６ａ
に当接可能な調節ネジ２７ａがねじ込まれている。この
調節ネジ２７ａのねじ込み量によって左右のブレーキア
ーム１２ａ，１２ｂの姿勢を調整して、左右のブレーキ
シュー３０ａ，３０ｂ（後述）とリム側面５ａとの隙間
を調節できる。

【００２１】リンクベース１４ａの外周において、ブレ
ーキアーム１２ａとアーム部１９ａとの間には、１対の
ロックナット２８ａ，２９ａ（図４）がねじ込まれてい
る。ロックナット２８ａ，２９ａは、ブレーキアーム１
２ａの軸方向の移動を規制するものである。固定ピン１
３ａの先端には、取り付けボルト３１ａが締結されてい
る。取り付けボルト３１ａは、リンクベース１４ａの軸
方向への移動を抑えるものである。

【００２２】図２及び図３に示すように、ブレーキアー
ム１２ａの上下方向の中間部には、ブレーキシュー３０
ａを装置１の後部に取り付けるためのシュー固定リンク
３２ａがほぼ水平に取り付けられている。シュー固定リ
ンク３２ａは、ブレーキアーム１２ａに両者を貫通する
取付ピン３３ａにより回動自在に連結されている。シュ
ー固定リンク３２ａは、図６に示すように、ブレーキア
ーム１２ａの両面を挟むようにコ字状に形成されたアー
ム取付部３４ａと、アーム取付部３４ａから直角に延び
るシュー取付部３５ａとを有している。アーム取付部３
４ａには、取付ピン３３ａを取り付けるための２つのコ
字片を貫通した取付孔３６ａと、支持ピン３８ａを固定
するための固定穴３７ａとが形成されている。なお、支
持ピン３８ａは、後述する補助リンク３９ａを回動自在
に支持するためのものである。このように、ブレーキア
ーム１２ａを挟むようにしてシュー取付部３２ａとブレ
ーキアーム１２ａとを連結することで、連結部分の剛性
を高め、ブレーキシュー３０ａ，３０ｂの逃げを抑える
ことができる。シュー取付部３５ａには、上下方向（図
６の紙面奥行き方向）に長いシュー取付長孔４０ａが形
成されている。このシュー取付長穴４０ａは、図３に示
すように、ブレーキシュー３０ａの後端と、固定ピン１
３ａの段差部１３ｃとの間の距離Ｌが２５ｍｍ以上にな
るように形成されている。このような位置にシュー取付
長穴４０ａを配置すると、制動中心が前フォーク４の中
心に近くなり、反力により生じるモーメントが小さくな
る。このため、前フォーク４に作用する力が弱くなりブ
レーキ装置の剛性が高くなる。

【００２３】補助リンク３９ａは、図２に示すように、
平板部材であり、その上端部は、支持ピン３８ａにより
シュー固定リンク３２ａのアーム取付部３４ａの前面に
回動自在に連結されている。また下端部は、図２及び図
４に示すように、アーム部１９ａの先端に取り付けられ
た支持ピン４１ａによりリンクベース１４ａに回転自在
に連結されている。

【００２４】なお、固定ピン１３ａの軸芯から支持ピン
４１ａの軸芯までの距離と、取付ピン３３ａの軸芯から
支持ピン３８ａの軸芯までの距離とは等しい。また、補
助リンク３９ａの両端に配置された支持ピン３８ａの軸
芯から支持ピン４１ａの軸芯までの距離と固定ピン１３
ａの軸芯から取付ピン３３ａの軸芯までの距離とは等し
い。すなわち、これらの４つのピンは、平行四辺形の頂
点となるように配置されており、これらのピンの間のブ
レーキアーム１２ａの一部、リンクベース１４ａ、シュ
ー固定リンク３２ａの一部及び補助リンク３９ａにより
リンク機構が構成されている。このため、シュー固定リ
ンク３２ａは、固定ピン１３ａの軸芯と支持ピン４１ａ
の軸芯とを結ぶ線分と平行に移動する。

【００２５】ブレーキシュー３０ａは、図６に示すよう
に、シュー取付長孔４０ａに挿入されている。ブレーキ
シュー３０ａは、シュー固定ピン４５ａと、シュー固定
ピン４５ａの先端に固定されたシューホルダ４６ａと、
シューホルダ４６ａに取り付けられた弾性体製の摩擦パ
ッド４７ａとを有している。シュー固定ピン４５ａは、
六角穴付の丸頭ボルトであり、丸頭とシュー取付部３５
ａとの間及びシューホルダ４６ａとシュー取付部３５ａ
との間には、球面の一部をなす凸面を有する凸ワッシャ
４８ａと、凸面に係合する凹面を有する凹ワッシャ４９
ａとが配置されている。ここでは、凸ワッシャ４８ａ及
び凹ワッシャ４９ａを介在させてシュー取付部３５ａの
長孔４０ａ内でブレーキシュー３０ａを締結すること
で、ブレーキシュー３０ａの上下位置及び傾きをリム５
の側面５ａの位置及び傾きに合わせて自在に調整でき
る。

【００２６】次に上述の実施例の動作について説明す
る。ブレーキレバー７を運転者が操作すると、内側ワイ
ヤ１０ｂが外側ワイヤ１０ａ内に引っ張られ、ブレーキ
アーム１２ａ，１２ｂの上端部がそれぞれ内側に引っ張
られる。この結果、ブレーキアーム１２ａ，１２ｂがそ
れぞれ閉じる方向に回動し、ブレーキシュー３０ａ，３
０ｂの摩擦パッド４７ａ，４７ｂがリム５の側面５ａに
圧接され、制動作用がなされる。このとき、シュー固定
リンク３２ａ，３２ｂは、それぞれ補助リンク３９ａ，
３９ｂを含むリンク機構の作用により、水平姿勢を保っ
た状態で内側に移動する。これを図７（Ａ），（Ｂ）に
示す。この結果、リム５に対して確実に摩擦パッド４７
ａ，４７ｂが当接し、強力な制動力を得ることができ
る。この補助リンク３９ａは、ブレーキアーム１２ａ，
１２ｂの内側に配置されているので、ブレーキ装置１の
幅方向寸法がコンパクトになる。この結果、ブレーキ装
置１が例えば前フォーク４より突出しなくなり操作中に
脚等に当たることがない。さらに、摩擦パッド４７ａ，
４７ｂに反力が作用しても、リンクベース１４ａ，１４
ｂが係止ピン２０ａ，２０ｂにより所有の姿勢を維持す
るので、充分な制動力が得られる。

【００２７】また、ブレーキレバー７を解除すると、ブ
レーキワイヤ１０が緩み、リターンスプリング２４ａ，
２４ｂにより、ブレーキアーム１２ａ，１２ｂが開く方
向に回動し、ブレーキシュー３０ａ，３０ｂの摩擦パッ
ド４７ａ，４７ｂの先端がリムの側面５ａから離れブレ
ーキが解除される。 〔他の実施例〕 （ａ） ブレーキシュー３０ａをブレーキ装置１の後部
に配置したが、前部に配置してもよい。 （ｂ） 本実施例では、補助リンク３９ａ，３９ｂをブ
レーキアーム１２ａ，１２ｂの内側に配置したが、図８
に示すように外側に配置してもよい。 （ｃ） 前記実施例では、４つのピンを平行四辺形の頂
点に配置したが、これらを平行四辺形の頂点位置に配置
せず、ブレーキシュー３０ａ，３０ｂの先端がリム５の
側面５ａに沿うようにそれぞれの長さを変更してもよ
い。このように長さを変更すると、例えば当接時にシュ
ー固定リンク３２ａ，３２ｂを上向きや水平の任意の姿
勢で移動させることができる。 （ｄ） 前フォークに代えて後フォークにブレーキ装置
１を取り付けてもよい。 （ｅ） 図９に示すように、シュー固定リンク３２ａの
両側をブレーキアーム１２ａで挟んだ構造でもよい。

【００２８】

【発明の効果】発明１に係る自転車用ブレーキ装置で
は、ブレーキシューがリム側面に当接して反力がブレー
キシューに作用しても、リンクベースが所定の姿勢を維
持して移動しないので、ブレーキシューが逃げることが
なくなり、充分な制動力が得られる。

【００２９】発明２に係る自転車用ブレーキ装置では、
リンク部材がブレーキアームの内側に配置されているの
で、ブレーキ装置の幅方向の寸法がコンパクトである。
発明３に係る自転車用ブレーキ装置では、リンク部材が
ブレーキアームの外側に配置されているので、リムとブ
レーキアームとの間の隙間が大きくなり、タイヤの交換
を行いやすい。

【００３０】発明４に係る自転車用ブレーキ装置では、
１本の内側ワイヤを一方のブレーキアームに固定するだ
けで簡単にブレーキを作動できる。また、この内側ワイ
ヤの先端での固定位置を調整することでブレーキシュー
とリム側面との間隔を容易に調整できる。さらに、ブレ
ーキワイヤの外側ワイヤの先端を両ブレーキアームの間
に配置可能であるので、ブレーキワイヤが外側に張り出
しにくい。

【００３１】発明５に係る自転車用ブレーキ装置では、
通常のカンチレバー型のブレーキ装置の復元力設定用の
孔を利用してリンクベースの取付姿勢を変更可能であ
り、カンチレバー型のブレーキ装置が取り付けられた自
転車に後から本発明のブレーキ装置を取り付けできる。
また、この取付姿勢を変更するとシュー取付部材の姿勢
を変更できる。このため、リムの形状や大きさに応じ
て、ブレーキシューが常にリム側面に対して水平又は上
向きに当接するように調整することが容易になる。

【００３２】発明６に係る自転車用ブレーキ装置では、
シュー取付部材へのブレーキシューの取り付け時に、取
り付けの上下位置及びブレーキシューの方向を任意にま
たは方向を限定して調整できる。このためリムに対して
最適の位置及び角度にブレーキシューを取り付けること
ができ、より強力な制動力が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を採用した自転車の前部側面
図。

【図２】ブレーキ装置の正面図。

【図３】ブレーキ装置の側面図。

【図４】図３のIV−IV断面図。

【図５】図３のＶ−Ｖ断面図。

【図６】図３のVI−VI断面図。

【図７】ブレーキの作動状態を示す模式図。

【図８】他の実施例の図２に相当する図。

【図９】さらに他の実施例の図６に相当する図。

【符号の説明】

１ ブレーキ装置 ４ 前フォーク １０ ブレーキワイヤ １０ａ 外側ワイヤ １０ｂ 内側ワイヤ １１ 連結アーム １２ａ，１２ｂ ブレーキアーム １３ａ，１３ｂ 固定ピン １４ａ，１４ｂ リンクベース １５ａ，１５ｂ 台座 １６ａ，１６ｂ 保持孔 １９ａ，１９ｂ ブレーキシュー ２０ａ，２０ｂ 係止ピン ２４ａ，２４ｂ リターンスプリング ３０ａ，３０ｂ ブレーキシュー ３２ａ，３２ｂ シュー固定リンク ３９ａ，３９ｂ 補助リンク

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B62L 1/14 - 1/16

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】自転車のフレームに設けられた台座から延
   びる固定ピンに支持され、ブレーキワイヤにより駆動さ
   れて車輪のリムにブレーキシューを圧接させるブレーキ
   装置であって、 下端部が前記固定ピンに回動自在に片持ち支持され、上
   端部が前記ブレーキワイヤに連結された左右１対のブレ
   ーキアームと、 前記１対のブレーキアームのそれぞれに並設された左右
   １対のリンク部材と、 前記リンク部材の上端部及び前記ブレーキアームの上下
   方向中間部のそれぞれが回動自在に連結され、かつ前記
   ブレーキシューを装着可能な左右１対のシュー取付部材
   と、 前記リンク部材の下端部が回動自在に連結され、前記フ
   レームに取り付けられたリンクベースと、 前記リンクベースの前記フレームへの取り付け姿勢を所
   定の姿勢に維持するための姿勢維持手段と、 前記１対のブレーキアームをその上端部が開く方向に付
   勢する付勢部材とを備え、前記姿勢維持手段は、前記台座に形成された保持孔と、
   前記リンクベースに設けられ前記保持孔に挿入されて前
   記リンクベースの取付姿勢を所定の姿勢に維持する係止
   ピンとを有している、 自転車用ブレーキ装置。
2. 【請求項２】自転車のフレームに設けられた台座から延
   びる固定ピンに支持され、ブレーキワイヤにより駆動さ
   れて車輪のリムにブレーキシューを圧接させるブレーキ
   装置であって、 下端部が前記固定ピンに回動自在に片持ち支持され、上
   端部が前記ブレーキワイヤに連結された左右１対のブレ
   ーキアームと、 前記１対のブレーキアームのそれぞれに並設された左右
   １対のリンク部材と、 前記リンク部材の上端部及び前記ブレーキアームの上下
   方向中間部のそれぞれが回動自在に連結され、かつ前記
   ブレーキシューを装着可能な左右１対のシュー取付部材
   と、 前記リンク部材の下端部が回動自在に連結され、前記フ
   レームに取り付けられたリンクベースと、 前記リンクベースの前記フレームへの取り付け姿勢を所
   定の姿勢に維持するための姿勢維持手段と、 前記１対のブレーキアームをその上端部が開く方向に付
   勢する付勢部材とを備え 前記リンク部材は、前記ブレー
   キアームの内側に並設されている、 自 転車用ブレーキ装置。
3. 【請求項３】前記リンク部材は、前記ブレーキアームの
   外側に並設されている、請求項１記載の自転車用ブレー
   キ装置。
4. 【請求項４】前記ブレーキワイヤの外側ワイヤに当接す
   る連結部材をさらに備え、前記ブレーキアームは外側に
   凸状に湾曲しており、一方が前記ブレーキワイヤの内側
   ワイヤの先端に固定され、他方が前記連結部材に連結さ
   れている、請求項１から３のいずれかに記載の自転車用
   ブレーキ装置。
5. 【請求項５】前記台座は、前記固定ピンの軸芯を中心と
   する同一円周上に配置された複数の孔を有しており、前
   記姿勢維持手段は、前記リンクベースから前記台座に向
   けて突出し、前記複数の孔のいずれか１つに係止される
   ピンを有している、請求項１から４のいずれかに記載の
   自転車用ブレーキ装置。
6. 【請求項６】前記シュー取付部材がブレーキシューを取
   り付けるための上下に長い長孔を有し、この長孔におい
   て球状または半円柱状の凹面及び凸面を有するワッシャ
   ーを含み、ブレーキシューを上下に傾動可能に締結する
   締結手段をさらに備えている、請求項１から５のいずれ
   かに記載の自転車用ブレーキ装置。