JP3283407B2 - ポリシラン光学デバイス - Google Patents

ポリシラン光学デバイス

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JP3283407B2
JP3283407B2 JP23565395A JP23565395A JP3283407B2 JP 3283407 B2 JP3283407 B2 JP 3283407B2 JP 23565395 A JP23565395 A JP 23565395A JP 23565395 A JP23565395 A JP 23565395A JP 3283407 B2 JP3283407 B2 JP 3283407B2
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    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/04Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of organic materials, e.g. plastics

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学デバイスに関
し、さらに詳しくは、使用中の光学特性の変化がない、
耐久性の優れた光学デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリシランをはじめとする有機ケイ素系
高分子材料は、炭化ケイ素の前駆体として利用されてい
るばかりでなく、有機導電材料やフォトレジスト材料と
しての応用が期待されている(J. Michl ら、Chem Revie
w, 89, 1359(1989))。さらに、非線形光学材料や光導波
路としての応用も検討されている。ポリシランは、無色
透明の固体として得られ、主鎖のSi−Siσ結合の電
子が動きやすいため、三次の非線形材料として期待され
ている。ポリ(メチルフェニルシラン)やポリ(メチル
シクロヘキシルシラン)は、10-12esu程度の三次非線
形光学係数(χ3)を有し、この値は無色の物質中では
最大のレベルである(F. Kajzarら、J. Appl. Phys., 6
0, 3040(1986); J. C. Baumert ら、Appl. Phys. Let
t., 53, 1147(1989))。
【0003】一方、光導波路としては、Si−Si結合
が、酸素の存在下で紫外線に露光することにより、Si
−O−Si結合に変換され、屈折率が大きく変化するこ
とから、光で描画可能な光導波路として期待されている
(L. A. Hornak ら、J. Appl.Phys., 67, 2235(1990))
。この応用では、紫外線露光の際に、Si−Si結合
の切断によるポリマーの低分子量化を防ぐために、ポリ
シランとして、網目状構造を有するポリ(シクロヘキシ
ルシリン)などを使用している。
【0004】しかしながら、ポリシランを光学材料とし
て使用する場合、使用中に紫外線のような短波長の光線
の照射を受けると、ポリシラン鎖中のSi−Si結合の
開裂が起こるため、材料としての耐久性に難があった。
すなわち、非線形材料として用いた場合、Si−Si結
合の開裂により、材料の非線形光学特性が低下してしま
う。また、光導波路として用いた場合、Si−Si結合
の開裂による化学変化で、屈折率が変化して光の透過量
が変化したり、ポリマー分子量が低下して導波路の形状
が変化してしまうことがあった。このような劣化は、ポ
リシラン分子に網目状構造を導入しても、完全に克服す
ることはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような問題点を解
決するためになされたもので、本発明の目的は、光学デ
バイスとして使用したときに、その光学特性や機能が変
化しにくい、工業的に有用な、耐久性の高いポリシラン
光学デバイスを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決するために鋭意検討を行った結果、アルコキシ
基のようなヒドロカルビルオキシ基を有するポリシラン
を、酸素の存在下で紫外線を照射し、光導波路を紫外線
で描画した後、該ポリシランを光透過性の材料により封
止して、酸素を遮断した状態にすると、使用中に紫外領
域の光線を露光してもポリシランの基本的特性が変化せ
ず、しかもその分子量が低下してデバイスとしての機能
が変化することがないことを見出して、本発明を完成す
るに至った。
【0007】すなわち、本発明の光学デバイスは、光導
波路を形成し、光通過性で、非通気性の材料によって、
ヒドロカルビルオキシ基含有ポリシランが酸素を遮断さ
れた状態に封止されたポリシラン光学デバイスである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるヒドロカルビ
ルオキシ基含有ポリシランは、好ましくは、平均式
(I):
【化2】 (式中、R1 はたがいに同一でも異なっていてもよく、
ケイ素原子に結合した、置換または非置換の1価の炭化
水素基を表し;R2 は酸素原子を介してケイ素原子に結
合した、炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し;R
3 は2個のケイ素原子に結合した、2価の置換もしくは
非置換の炭化水素基または複素環基を表し;aおよびc
はそれぞれ0または正の数、bは正の数であり、ただし
b/(a+b)≧0.05、かつn≧5cであり;nは
ポリシランの重量平均分子量が500〜3,000,0
00になるように選ばれる数である)で示される。
【0009】このようなポリシランは、直鎖状、分岐
状、環状、網目状のいずれのポリシラン骨格を有するも
のであってもよく、またその構造中に、部分的に、分子
中に分散して、ケイ素原子の間に上記のR3 が存在して
いてもよい。
【0010】このようなポリシランとしては、たとえば
一般式(II)または(III)
【化3】 (式中、R1 、R2 およびR3 は前述のとおりであり;
p、qおよびsは0または正の整数、rは正の整数であ
って、該p、q、rおよびsは上記の平均式(I)の
a、b、cおよびnを満足させる数であり;式はシラン
単位およびR3 の数を表わすもので、ブロック共重合体
を意味するものではない)で示され、R1 Si単位およ
び必要に応じてR3 によって架橋され、網目状骨格を有
するポリシランが挙げられる。
【0011】R1 はポリシランのケイ素原子に結合した
置換または非置換の1価の炭化水素基で、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチ
ル、デシル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシルな
どの直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロヘキシル
などのシクロアルキル基;2−フェニルエチル、2−フ
ェニルプロピルなどのアラルキル基;フェニル、トリ
ル、キシリル、メシチルなどのアリール基;ビニル、ア
リルなどのアルケニル基;p−ビニルフェニルなどのア
ルケニルアリール基;ならびにクロロメチル、トリフル
オロプロピル、メトキシフェニルなどの置換炭化水素基
が例示される。これらのうち、合成のし易さ、反応性の
高さを考慮すると、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシ
ル、オクタデシルなどのアルキル基が好ましく、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルが
特に好ましい。
【0012】R2 は、本発明に用いられるポリシランに
とって最も特徴的である、ケイ素原子に結合したヒドロ
カルビルオキシ基OR2 を構成する炭素数1〜12の1
価の炭化水素基であり、メチル、エチル、プロピル、ブ
チル、ペンチル、ヘキシル、ドデシルなどの直鎖状また
は分岐状のアルキル基;シクロヘキシルなどのシクロア
ルキル基;フェニル、トリル、キシリル、メシチルなど
のアリール基が例示され、合成のし易さおよび反応性か
ら、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ド
デシルなどの炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、
メチルおよびエチルが最も好ましい。すなわち、OR2
としては、メトキシ、エトキシのような低級アルコキシ
基が最も好ましい。
【0013】このようなヒドロカルビルオキシ基は、ポ
リシラン分子鎖の末端、中間および分岐位置のいずれの
ケイ素原子に結合していてもよい。該ヒドロカルビルオ
キシ基の数bは、ポリシランを光学デバイスとして使用
する際の光学的耐久性を増す効果から、該ポリシランの
ケイ素原子に結合した全有機基数に対する比b/(a+
b)が0.05以上であることが好ましい。この比が
0.05未満では、上記の効果が十分でない。
【0014】R3 はポリシラン鎖中、ポリシラン鎖を架
橋する形、または網目状ポリシラン構造中に、ケイ素原
子の間に導入された置換もしくは非置換の2価の炭化水
素基または複素環基であり、ポリシランの分子中に分散
して存在することが好ましい。R3 としては、メチレ
ン、エチレン、トリメチレンなどのアルキレン基;ブタ
ジエニレンなどの2価の脂肪族飽和炭化水素基;フェニ
レン、ナフチレン、ビフェニレン、9,10−アントラ
セニレン、フェロセニレンなどのアリーレン基;キシリ
レンなどの2価の置換炭化水素基;チエニレンなどの複
素環基が例示され、合成のし易さからフェニレン、9,
10−アントラセニレンおよびチエニレンが好ましい。
【0015】このようなR3 の数cは、Si−Si結合
のσ電子の移動のし易さから、0≦c≦n/5であるこ
とが好ましい。
【0016】本発明に用いられるヒドロカルビルオキシ
基含有ポリシランは、固体であれば、その平均分子量
は、目的とする光学デバイスの性質から任意に選定して
よいが、スピンコートのような塗布法によって膜を形成
する作業性から、重量平均分子量として500〜3,0
00,000が好ましく、1,000〜2,000,0
00がさらに好ましい。
【0017】このようなヒドロカルビルオキシ基含有ポ
リシランは、いくつかの方法で合成が可能である。たと
えば、直鎖状ポリシランは、ヒドロポリシランの水素原
子をアルコキシ基に変換しても得ることができる(J. P.
Banovetz ら、J. Am. Chem.Soc., 115, 2540 (199
3))。また、クロロジシランの不均化反応により得られ
るクロロポリシランを、既知の方法でアルコキシ化する
ことによっても得られる(R. H. Baneyら、Organometall
ics, 2, 859(1983))。その他、シクロテトラ(ジアルコ
キシシラン)の開環重合によっても得ることも可能であ
る(Y. Gupta ら、Polym. Preprents., 31, 46(1990))。
【0018】また、アルコキシジシランの不均化反応を
利用すれば、様々な有機置換基を有する網目状骨格のポ
リシランの合成が可能である(特開平4−31172
7)。さらに、ケイ素鎖中にR3 を導入したポリマーを
得ることも可能である(K. Kabetaら、Chem. Lett., 199
4, 119) 。
【0019】これらの文献は、アルコキシ基含有ポリシ
ランについて記載されたものであるが、これを他のヒド
ロカルビルオキシ基含有ポリシランに適用することは、
当業者にとっては容易であろう。
【0020】本発明の光学デバイスは、上述のようなヒ
ドロカルビルオキシ基含有ポリシランを、光透過性を有
し、非通気性で、内部を外気から遮蔽する材料によって
封止したものである。このような材料としては、無機材
料では、たとえば石英ガラス、合成石英ガラス、ナトリ
ウムガラスのようなガラスが挙げられ、また、有機材料
では、光透過度の高いポリスチレン、ポリメチルメタク
リレートのようなアクリル樹脂、ポリカーボネートなど
が挙げられる。その材質は、利用する光学デバイスの用
途や、使用する光の波長によって選択される。
【0021】本発明の光学デバイスは、たとえば次のよ
うにして作製できる。すなわち、固体状ヒドロカルビル
オキシ基含有ポリシランを、ガラスや有機ポリマーフィ
ルムのような封止材によって形成されたケースの内部
に、たとえばn−ヘキサン、トルエン、クロロホルムの
ような有機溶媒の溶液として塗布し、溶媒を乾燥除去す
るなどの方法によって導入し、内部からガスおよび残存
する溶媒を除き、たとえば10-1Torr以下、好ましくは
10-2Torr以下の減圧にするか、アルゴン、窒素のよう
な不活性ガスに置換して、封止する(図1)。この場
合、塗布は、スピンコート、浸漬などの方法によって行
ってよい。または、固体状ヒドロカルビルオキシ基含有
ポリシランを、光透過性の高い合成樹脂やガラスのよう
な2層の封止材の間に挟みこんで封止する(図2)。
【0022】
【発明の効果】本発明の光学デバイスは、使用中の露光
により活性化されたSi−Si結合が仮に開裂しても、
そこに生じた活性種がSi−OR2 結合によりトラップ
され、全体としてSi−Si結合の数や架橋密度に変化
がないために、耐久性が高い。したがって、使用中にS
i−Si結合の開裂が生じても、ポリシランはシロキサ
ンに変換されたり、分子量の低下を導くことはなく、ポ
リシラン特有の電子的、光学的特性が保持される。
【0023】本発明の光学デバイスは、このような利点
を生かして、非線形光学材料、光記録材料、光スイッチ
などとして利用でき、使用中の劣化が少ないので、その
工業的価値は大きい。
【0024】
【実施例】以下の合成例、実施例および比較例によっ
て、本発明をさらに詳しく説明する。これらの例中、特
記したものを除き、部はすべて重量部である。本発明
は、これらの実施例によって制限されるものではない。
なお、以下、炭化水素基には次の略号を用いる。 Me:メチル基; Et:エチル基; Hex:ヘキシ
ル基; Ph:フェニル基
【0025】合成例1 乾燥アルゴンガス気流下で、撹拌器および単蒸留装置を
備えたフラスコに1,2−ジメチル−1,1,2,2−
テトラエトキシジシラン0.22部を仕込み、メチルリ
チウムの1.14規定無水ジエチルエーテル溶液0.5
部をシリンジで添加した。これを20℃で1時間撹拌し
て反応させ、淡黄色液状の触媒を調製した。この際、固
形物の形成は認められなかった。これに、乾燥アルゴン
ガス気流下で1,2−ジメチル−1,1,2,2−テト
ラエトキシジシラン10.38部を加え、混合物を徐々
に加熱しながら撹拌し、低沸点物を留去しながら100
℃まで昇温して撹拌を5時間続けたところ、褐色液状の
生成物が得られ、また加熱を続ける間に、単蒸留装置の
受器に0.5部の留出物が得られた。用いたメチルリチ
ウムの量は、触媒調製および出発原料として用いたジシ
ラン化合物の合計量に対して2モル%、該ジシラン化合
物のエトキシ基に対して0.5モル%に相当する。
【0026】フラスコ中の生成物を、固定相としてSE
30(General Electric社、商品名)を用いたガスクロ
マトグラフィーにかけたところ、原料ジシラン化合物の
ピークが消失したことが確認された。続いて、吸引ろ過
により固形物を除き、ろ液を無水エタノールにゆっくり
と滴下し、再沈殿させた。得られた白色の固体生成物を
真空乾燥した。収量は0.67部であった。この生成物
について、 1HNMRおよびIR吸収スペクトルを測定
した。その結果は下記のとおりである。また、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略
す)により、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2,
800、分子量分布係数(Mw/Mn)は1.8であっ
た。1 HNMR(60MHz, CDCl3, δ): 3.9(m; -OCH2C, 22H), 1.2
(br.s, -OCCH3, 33H), 0.4(br.s, Si-Me, 115H); IR(disk) : 2965, 1631, 1270, 1103, 1035cm-1
【0027】また、生成物をテトラヒドロフランに溶解
して、1.0×10-3重量%の溶液として、UV吸収ス
ペルトルを測定し、生成物が網目状構造のポリシランで
あることを確認した。さらに、生成物を熱分解GC−M
S−IR分析にかけて、シラン単位比(MeSi):
(Me2 Si):(MeSiOEt)が19:11:7
0であることを確認した。なお、熱分解にはダブルショ
ット・パイロライザー Model PY-2010D (フロンティア
・ラボ株式会社、商品名)を用い、熱分解温度は500
℃とした。
【0028】合成例2 合成例1と同様にして、10.6部の1,2−ジメチル
−1,1,2,2−テトラエトキシジシランと0.5部
のメチルリチウムを、100℃で20時間反応させて、
ポリスチレン換算重量平均分子量23,800、Mw/
Mnが6.3の白色固体のポリシランを得た。得られた
ポリシランを熱分解GC−MS−IR分析にかけたとこ
ろ、シラン単位比は、(MeSi):(Me2 Si):
(MeSiOEt)が26:56:18であった。
【0029】合成例3 冷却管およびY字管を備えたフラスコに、乾燥アルゴン
ガス気流下で2,5−ジブロモチオフェン230部を仕
込み、テトラヒドロフラン13.3部を加えて攪拌し
た。これをドライアイス−アセトンによって−78℃ま
で冷却し、n−ブチルリチウムの2.5N のn−ヘキサ
ン溶液989部を滴下した。ガスクロマトグラフィーに
よって2,5−ジブロモチオフェンの消失を確認した
後、1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラエトキ
シジシラン5,000部をゆっくり滴下した。このよう
にして、2,5−ジブロモチオフェンをリチオ化して得
られた2,5−ジリチオチオフェンと、該ジシラン化合
物との反応によって、リチウムエトキシドが生成し、同
時に該ジシラン化合物の一部が2,5−ビス(1,2−
ジメチル−1,1,2−トリエトキシシリル)チオフェ
ンに転換して、これらと未反応の1,2−ジメチル−
1,1,2,2−テトラエトキシジシラン、および反応
溶媒であるn−ヘキサンを含む混合物を得た。これをそ
のまま、100℃に20時間加熱して不均化反応を行
い、室温まで冷却して反応生成物を得た。
【0030】フラスコ中の反応生成物を、固定相として
SE30(General Electric社、商品名)を用いたガス
クロマトグラフィーにかけたところ、原料ジシラン化合
物のピークが消失し、メチルエトキシシランのピークが
観察された。無水エタノールにゆっくり加えると、白色
の沈殿が得られた。吸引ろ過によりリチウムエトキシド
を除去し、溶媒と、副生したメチルトリエトキシシラン
とを留去して、重合体240部を得た。
【0031】得られた重合体をGPCにかけたところ、
重量平均分子量は5,200(ポリスチレン換算)であ
り、Mw/Mnは1.9であった。さらに、該重合体の
1HNMRを測定したところ、下記のようなシグナルが
観察された。この分析結果から、この重合体は(MeS
i):(MeSiOEt):(C52 S)が83:1
5:2の網目状構造を有するチオフェン環含有ポリシラ
ンであることを確認した。1 HNMR(60MHz, CDCl3, δ): 0.40(br.s,
82H, SiMe), 1.20(m, 7H, S
iOEt), 3.50(m, 7H, SiOE
t), 7.00−7.70(m, 1H, −C
S−)
【0032】合成例4 フェニルシラン5.4部に、触媒としてジメチルジルコ
ノセン0.25部を加え、室温で5時間攪拌した。フロ
リジールカラムで触媒を除き、低沸点化合物を留去し
て、淡黄色固体を得た。これをGPCにかけ、ポリスチ
レン換算重量平均分子量1,900(Mw/Mn=1.
5)のポリ(フェニルヒドリドシラン)であることを確
認した。このポリ(フェニルヒドリドシラン)を四塩化
炭素中で24時間加熱還流して、該ポリシランのSi−
H結合をSi−Cl結合に変換した。ついで、トリエチ
ルアミンの存在下に、エタノールを反応させてエトキシ
基を導入し、ポリスチレン換算重量平均分子量2,00
0(Mw/Mn=1.1)のポリ(フェニルエトキシシ
ラン)を得た。
【0033】合成例5 ヘキシルシラン10.0部に、触媒としてジメチルジル
コノセン0.43部を加え、90℃で3時間攪拌した。
ヘキサンで抽出し、フロリジールカラムで触媒を除き、
低沸点化合物を留去して、淡黄色固体を得た。これをG
PCにかけ、ポリスチレン換算重量平均分子量1,38
0(Mw/Mn=1.1)のポリ(ヘキシルヒドリドシ
ラン)であることを確認した。このポリ(ヘキシルヒド
リドシラン)を四塩化炭素中で24時間加熱還流し、該
ポリシランのSi−H結合をSi−Cl結合に変換し
た。ついで、トリエチルアミンの存在下に、エタノール
を反応させてエトキシ基を導入し、ポリスチレン換算重
量平均分子量1,900(Mw/Mn=1.2)のポリ
(ヘキシルエトキシシラン)を得た。
【0034】合成例6 乾燥トルエン21.7部に金属ナトリウム1.24部と
クラウンエーテル0.42部を加え、加熱還流してナト
リウムを溶解させた。これにジヘキシルジクロロシラン
7.0部を滴下し、1時間加熱還流した。氷冷し、エタ
ノール15.8部を加えた。その反応混合液を237部
のエタノールに滴下して、析出した沈殿物を、吸引ろ過
によって分取した。得られた固体を水で洗浄し、ついで
エタノールで洗浄し、ヘキサンで抽出した。低沸点化合
物を留去すると、白色固体のポリスチレン換算重量平均
分子量15,800(Mw/Mn=1.8)のポリ(ジ
ヘキシルシラン)を得た。
【0035】合成例7 乾燥トルエン43.3部に金属ナトリウム1.9部とク
ラウンエーテル0.62部を加え、加熱還流してナトリ
ウムを溶解させた。これにヘキシルトリクロロシラン
5.0部を滴下し、1時間加熱還流した。氷冷し、エタ
ノール15.8部を加えた。その反応混合液を474部
のエタノールに滴下して、析出した沈殿物を、吸引ろ過
によって分取した。得られた固体を水で洗浄し、ついで
エタノールで洗浄し、ヘキサンで抽出した。低沸点化合
物を留去すると、黄色固体のポリスチレン換算重量平均
分子量26,000(Mw/Mn=4.2)のポリ(ヘ
キシルシリン)を得た。
【0036】実施例1 合成例1で得られた、ポリスチレン換算重量平均分子量
2,800(Mw/Mn=1.8)のアルコキシ基含有
網目状ポリシラン25部を石英製サンプル管に仕込み、
無水ヘキサン6.6部を加えて溶液とした。この溶液に
含まれる酸素等の気体を凍結脱気法により除去し、低圧
水銀灯を用いて紫外線(254nm)を20分照射し
た。照射後の反応混合物の、250〜400nmにおける
紫外線吸収スペクトルを照射前と比較したところ、ポリ
シラン由来の吸収にはほとんど変化は見られず、ポリス
チレン換算の重量平均分子量15,400(Mw/Mn
=3.0)を有するポリシランを得た。この結果、ポリ
シランの分子量が増加していることが確認された。照射
前後の紫外線吸収スペクトルチャートを図3に示す。
【0037】実施例2〜5 それぞれ合成例2〜5で得られたアルコキシ基含有ポリ
シランを用いて、実施例1と同様に、紫外線照射を行っ
て、照射前後の重量平均分子量、分子量分布係数および
250〜400nmにおける紫外線吸収スペクトルを比較
した。その結果を、実施例1の結果とともに表1にまと
めた。
【0038】
【表1】
【0039】表1に見られるように、アルコキシ基を含
有するポリシランは、外気から遮蔽された環境下におい
て、紫外光を露光しても安定で、分子量が低下しないこ
とが明らかである。したがって、耐久性の高い光学デバ
イスとして使用できる。
【0040】実施例6 合成例2で得られたポリシランをトルエンに溶解して、
10重量%溶液とした。その溶液を用いて、石英ガラス
板上に500rpm で5秒、ついで2,000rpm で30
秒かけてスピンコートした。得られた厚さ0.4μm の
ポリシラン薄膜を石英ガラス板ごと石英ガラス製の組立
セルに入れ、内部のガスを乾燥アルゴンに置換した。こ
の状態で低圧水銀灯で露光し(254nmで1,000mJ
/cm2) 露光前後のUVスペクトルを比較した。その結
果、スペクトルにはほとんど差がなく、このポリシラン
が安定であることが示された。また、この薄膜の屈折率
をエリプリメトリーで測定したところ、露光前n=1.
63あったものがn=1.62に変化しただけであっ
た。
【0041】したがって、アルコキシ基を有するポリシ
ラン薄膜を使用すれば、耐久性の高い光学デバイスが得
られることが明らかになった。
【0042】比較例1 合成例6で得られた、ポリスチレン換算重量平均分子量
15,800(Mw/Mn=1.8)のポリ(ジヘキシ
ルシラン)25部を、石英製サンプル管に仕込み、無水
ヘキサン6.6部を加えて溶液とした。この溶液に含ま
れる酸素などの気体を凍結脱気法により除去し、低圧水
銀灯を用いて紫外線(254nm)を20分照射した。照
射後の反応混合物の250〜400nmのUV吸収スペク
トルを照射前と比較したところ、ポリシラン由来の吸収
は完全に消失していた。照射前後の紫外線吸収スペクト
ルチャートを図4に示す。
【0043】比較例2〜4 いずれも合成例7で得られた、ポリスチレン換算重量平
均分子量26,000(Mw/Mn=4.2)のポリ
(ヘキシルシリン)を用いた。すなわち、比較例2では
該ポリシリン25部を用い、比較例3ではこれにテトラ
エトキシシラン23部、比較例4では1,2−ジメチル
−1,1,2,2−テトラエトキシジシラン29部を混
合して、それぞれ比較例1と同じ条件で紫外線照射を行
い、照射前後の重量平均分子量、分子量分布係数および
250〜400nmにおける紫外線吸収スペクトルを比較
した。その結果を、比較例1の結果とともに表2にまと
めた。
【0044】
【表2】
【0045】比較例1〜4に用いたポリシランは、いず
れもケイ素原子に結合したアルコキシ基を実質的に含有
していない。このようなポリシランは、照射によって分
子量が著しく低下することがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光学デバイスの一例を示す断面概
念図である。
【図2】本発明による光学デバイスの一例を示す断面概
念図である。
【図3】実施例1によるポリシランの照射前後の紫外線
照射スペクトルである。
【図4】比較例1によるポリシランの照射前後の紫外線
照射スペクトルである。
【符号の説明】
1 ポリシラン 2 封止材 3 減圧または不活性ガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若松 茂 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝 シリコーン株式会社内 (72)発明者 今井 高史 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝 シリコーン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−111205(JP,A) 特開 平7−238171(JP,A) 特開 平7−70325(JP,A) 特開 平7−33881(JP,A) 特開 平6−57002(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光通過性でかつ非通気性の材料によっ
    て、ポリシランを封止した光学デバイスにおいて、該ポ
    リシランが、平均式(I): 【化1】 (式中、R1は、たがいに同一でも異なっていてもよ
    く、ケイ素原子に結合した、メチル、エチル、プロピ
    ル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル基を表し;R
    2は、酸素原子を介してケイ素原子に結合した、炭素数
    1〜12のアルキル基を表し;R3は、2個のケイ素原
    子に結合した、フェニレン、9,10−アントラセニレ
    ンまたはチエニレン基を表し;aおよびcは、それぞれ
    0または正の数、bは正の数であり、ただしb/(a+
    b)≧0.05、かつn≧5cであり;nは、ポリシラ
    ンの重量平均分子量が1,000〜2,000,000
    になるように選ばれる数である)で示されるヒドロカル
    ビルオキシ基含有ポリシランであり、かつ該ポリシラン
    が酸素を遮断された状態に封止されている光記録または
    光スイッチ用ポリシラン光学デバイス。
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